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資金調達額は過去最高、ロンドン・パリ・ベルリンが三大テック都市ーー欧州スタートアップシーンの現状

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欧州のテックスタートアップシーンの現状をまとめたレポート「The State of Europearn Tech」を、ベンチャーキャピタルのAtomicoが先週リリースした。 143ページにわたる詳細なレポートでは、欧州のスタートアップシーンの現状と将来をさまざまな角度から分析している。総じて、その内容はポジティブなものである。以下に、特に印象に残った部分をピックアップしたい。 欧州のテックシーン…

上:ベルリンのテックフェスティバル Tech Open Air (著者撮影)

欧州のテックスタートアップシーンの現状をまとめたレポート「The State of Europearn Tech」を、ベンチャーキャピタルのAtomicoが先週リリースした。

143ページにわたる詳細なレポートでは、欧州のスタートアップシーンの現状と将来をさまざまな角度から分析している。総じて、その内容はポジティブなものである。以下に、特に印象に残った部分をピックアップしたい。

欧州のテックシーンに対する見方は楽観的

まず、「1年前と比べて、欧州のテックシーンの将来について楽観的か」という質問では、ほとんどの地域で過半数の回答者が楽観的に考えていることがわかる。

上:「1年前と比べて、欧州のテックシーンの将来について楽観的か」に対する回答

レポートによれば、テック業界の雇用力は伸びており、欧州全体で2.6パーセント増よ業界全体の平均よりも3倍の伸び率だ。

資金調達額は過去最高を記録、トップはロンドン

欧州のスタートアップによる資金調達も好調だ。今年の資金調達件数は昨年よりも減ったものの、調達額は過去最高の190億ドルを記録した。都市別にみると、ロンドン、ベルリン、パリの順で調達額が多い。

ブレグジットに対する懸念は大きく、特に資金調達や人材獲得が不安

一方で、「過去1年で欧州のテックエコシステム対して最も大きな影響を与えた出来事はなにか」という質問に対しては「EU離脱プロセスを開始するための第50条が発動したこと」を挙げた人が多く、ブレグジットに対する不安は大きいことがわかる。

特に挙がっている懸念点としては、「資金調達、投資に関する状況が大きく変わること」「人材獲得」だ。一方で「影響はない」と考えている人も32パーセントおり、ブレグジットに対する考え方は多様であるようだ。

上:欧州のVCによる、自国以外のスタートアップへの出資件数

実際、欧州のVCが自国以外へのスタートアップに出資をする、つまり国境を超えた投資というのは、上のグラフの通り2012年以降大きく伸びている。英国を含めて一枚岩で語られることの多い「欧州のスタートアップシーン」であるが、その状況が英国離脱によってどう変わるのかは、当然関係者の大きな関心の的だ。

テックコミュニティは都市に集中、欧州トップ3のテック都市はロンドン・パリ・ベルリン

上:年間のスタートアップ関連イベント数と、アクティブなメンバー数の都市別比較

スタートアップコミュニティは都市に集中している。欧州でのミートアップの数は、2012年に比べると8倍ほどの数に増えている。中でも、こうしたイベントへの参加者が多い「ハブ都市」のトップ5は、ロンドン、パリ、ベルリン、アムステルダム、マドリードである。

ドイツではテックコミュ二ティの34パーセントがベルリン、スペインは32パーセントがマドリード、ハンガリーは87パーセントがブダペストと、一部の都市にコミュニティが集中する傾向にある。一方で、トップ20以外のテック都市で開催されるミートアップの数は徐々に増えており、こうした「テック都市」の数自体は増えている。

ファウンダーが起業の場所を選ぶポイントとして挙げるのが、「人材へのアクセス」と「事業を始める上の簡単さ・コスト」だ。都市に集中する背景には、人材(特にエンジニア)の採用しやすさと、事業を始めるにあたっての環境が整っていたり、関連の情報が多いことがあるだろう。

欧州でファウンダーを輩出している企業は、ロケットインターネットとノキアだった

その他、興味深かったのが、欧州でファウンダーを輩出している企業ランキングだ。

上:ファウンダーを輩出している欧州のテック企業

アメリカでは、GoogleやApple、Microsoftなどのいわゆるテックジャイアントを卒業したファウンダーは多く、こうした人材の循環がエコシステムを成熟させているといえる。

アメリカに比べると、その規模は下回るものの、欧州でもロケットインターネットやノキア、スカイプ、SAPなどのテック企業が多くのファウンダーを輩出しており、時間とともにエコシステムがまわり始めていることが見てとれる。

この他、エンジニアが集まっている都市やベンチャーキャピタルの投資状況など、詳細の情報はこちらのレポート「The State of Europearn Tech」を参照のほど。

日本のフィンテック・スタートアップ【インフォグラフィック】

本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens によるものだ。フランスのスタートアップ・ブログ Rude Baguette への寄稿を、同ブログおよび著者 Mark Bivens からの許諾を得て、翻訳転載した。(過去の寄稿) The Bridge has reproduced this from its origina…

mark-bivens_portrait本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens によるものだ。フランスのスタートアップ・ブログ Rude Baguette への寄稿を、同ブログおよび著者 Mark Bivens からの許諾を得て、翻訳転載した。(過去の寄稿

The Bridge has reproduced this from its original post on Rude Baguette under the approval from the blog and the story’s author Mark Bivens.


1年半前、私は日本のフィンテック業界へのベンチャー投資に対して、いかに強気かということを書いた。それ以来、以前に増してアクティブに活動するようになった日本の VC とあわせ、新しいフィンテック・スタートアップの出現が顕著になった。

私の友人の投資家は、我々は今「ピーク・フィンテック」に近づいているのかもしれないと冗談を言っていた。彼がこういったのは、これからの2週間の間に、東京で数多くのフィンテック・カンファレンスが開催されるからだ。日経、金融庁、Fintech 協会が今週開催する FIN/SUM に始まり、9月26日には Net Service Ventures が FinTech Forum を開催する。そして最後に、今月を締めくくるのは、28日に開催される楽天の FinTech カンファレンスだ。

というわけで、「ピーク・フィンテック」の精神に則り、我々が現在追いかけている日本のフィンテック・スタートアップのインフォグラフィックをまとめてみた。(デザイン特別協力:Adelson Goncalves 氏)

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新たなハイテク拠点が台頭、ソフトウェア関連職に占めるシリコンバレーのシェアが低下【Glassdoor報告書】

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シリコンバレー以外の都市や他のハイテク拠点では、これまでにない速度で次々とソフトウェア関連の仕事が生まれている。オンライン求職サイトの Glassdoor の新しい報告書によると、シアトル、ワシントン DC、デトロイト、オースティン、その他諸々の都市において、ソフトウェア関連の人材募集が過去5年で急成長を見せてきた。一方、カリフォルニアのサンノゼがソフトウェア関連の仕事に占める割合は、同期間に15…

シリコンバレーの中心部であるサンノゼでは、新しいソフトウェア職のシェアは、過去数年間にわたり低下を続けている。
Image Credit: Glassdoor

シリコンバレー以外の都市や他のハイテク拠点では、これまでにない速度で次々とソフトウェア関連の仕事が生まれている。オンライン求職サイトの Glassdoor の新しい報告書によると、シアトル、ワシントン DC、デトロイト、オースティン、その他諸々の都市において、ソフトウェア関連の人材募集が過去5年で急成長を見せてきた。一方、カリフォルニアのサンノゼがソフトウェア関連の仕事に占める割合は、同期間に15.8%から8.1%に縮小している。

Glassdoor のチーフエコノミストである Andrew Chamberlain 氏は、「Beyond Silicon Valley: Tech Jobs Spreading Out of Tech Hubs」(シリコンバレーの先へ:ハイテク拠点以外に広がる技術職)と題したレポートの中で、こうした兆候の原因として主に2つの背景を挙げている。第1に、アメリカの中心地全域で様々な産業がテクノロジーを重視するようになっており、「ソフトウェアの仕事はテクノロジー以外のセクターに広がりつつある」とし、第2に、「ソフトウェアの仕事はシリコンバレーの外へ広がってきている」と述べている。

こうした変化の結果、テック産業の新しいエコシステムとして、ソフトウェア関連の優秀な人材の需要が高まっている。「ソフトウェア職の募集は徐々にシリコンバレーの外でも活発になっています。同じ都市部とは言っても、こじんまりとしていてコストも低い都市があり、そうした地域で様々なテクノロジー企業が拡大してきています」と Chamberlain 氏は指摘する。

このレポートは Glassdoor が持つ5年分の求職データを基にしている。データによると、テクノロジーの求人は、小売、金融、製造などの産業に拡散する傾向にある。一例として小売業界では、こうした職種の募集は2012年に6.4%であったが、2017年には13.9%となっており、7.5%上昇した計算だ。同じ期間で地理的に見てみると、Amazon、Microsoft、Zillow などの集まるシアトルでは、ソフトウェア関連の募集全体で10.2%から16.9%に伸びており、6.7%の上昇となった。

Chamberlain 氏はこのように結論づけている。

数年のうちに、アメリカのコストの低い都市部が大差で勝利を収めるでしょう。これらの地域ではテクノロジーのクラスターが急成長しており、近年ますます伸びを見せるソフトウェアの求人の募集先として魅力を高めています。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

攻防を極める中国の自転車レンタル業界、マーケットシェアをリードしているのはofo(小黄車)であることが判明【7Park Data調査報告】

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Tencent(騰訊)の CEO である Pony Ma(馬化騰)氏と GSR Ventures(金沙江創業投資)CEO の Zhu Xiaohu(朱嘯虎)氏の不仲は公知の事実だ。どの企業が自転車レンタルプラットフォームの勝者になるかを巡る争いは、すでに過熱気味だった中国の自転車レンタル業界にさらに油を注いでいる。大物投資家の間で交わされる議論が混乱に拍車をかけるため、競争をただ見物しているだけの…

Tencent(騰訊)の CEO である Pony Ma(馬化騰)氏と GSR Ventures(金沙江創業投資)CEO の Zhu Xiaohu(朱嘯虎)氏の不仲は公知の事実だ。どの企業が自転車レンタルプラットフォームの勝者になるかを巡る争いは、すでに過熱気味だった中国の自転車レンタル業界にさらに油を注いでいる。大物投資家の間で交わされる議論が混乱に拍車をかけるため、競争をただ見物しているだけの人にとっては、急成長を遂げるこの市場でどちらが優勢かを見極めるのは難しい。当事者の企業にとってもさえもこれは難題だ。

ニューヨークの調査会社 7Park Data は最近、この問題に関する観測を中国の自転車レンタル市場に関する洞察とあわせて発表した。同社によると、ofo(小黄車)が65%のマーケットシェアを有し、競争をリードしているようだ。

中国都市部の「最後の1キロ問題」(訳注:目的地の近くまでは容易に到達できるが、その先の短距離移動が不便である問題)を解決する上で、近年の自転車シェアのシステムは便利かつ効率的である。これまでは長きに渡って自家用車が人気を集めており、自転車は移動手段としては敬遠されるようになっていた。しかし、レンタル自転車ブームの到来が再びユーザの自転車熱に火を付け、両社によると1日あたろ2,000万回以上利用されるまでになっている。調査結果によると、ofo および Mobike(摩拜単車)の両サービスとも、ユーザは平均約1時間自転車に乗っているとしており(2017年5月現在)、今年前半に発表された平均25分という数字と比べて上昇を見せている。

Image credit: 7Park Data

2016年第4四半期から2017年第1四半期にかけて、ofo の週間アクティブユーザ数は386%という驚異的なペースで増加した。Mobike の成長はこれよりは緩やかだが、同調査によると同じ期間で180%の増加となっている。

上海には45万台のレンタル自転車があり、世界トップの自転車シェア都市となっている。ほぼ全てが2016年から投入されたものだ。自転車の市場シェアを確保するため、ofo と Mobike はそれぞれ自転車メーカーと製造契約を結んでいる。(車のドライバーを巡り Uber(優歩)と Didi Chuxing(滴滴出行)が繰り広げた縄張り争いを連想させる)。中国にある14の第1級都市のうち ofo は8省でシェアをリードしており、対する Mobike は残りの6省となっている。

第1級省における、ofo と Mobike のマーケットシェア
Image credit: 7Park Data

中国国外での展望

ローカルな市場の他にも、両社は中国以外に目を向け始めている。事業拡大を図るため、ofo は2017年、シンガポールでサービスを開始した。これは中国の自転車レンタル企業としては初の海外展開となる。北京で設立された同社は今や5ヶ国に展開している。同様の試みとして Mobike も、シンガポール、イギリス、そして直近では日本への海外展開を行っている。

一般的に、製品を海外で販売するには現地向けにローカライズすることが成功の秘訣であり、自転車レンタルにおいても例外ではない。

7Park Data の調査責任者である Brian Chaitoff 氏は、TechNode(動点科技)に次のように語っている。

自転車レンタルの成長を後押しする市場ダイナミクスはそれぞれのマーケットで異なります。海外マーケットへの事業拡大を成功させるには、次の要素を意識する必要があるでしょう。すなわち、人口密度(つまり設備稼働率を高く保ち、かつ利用可能な空き車両を確保すること)、経済的要因、自転車を安全に運転するのに適した環境かどうか(つまり物理的なレイアウトや犯罪率など)、そして州や政府の規制が市場の成長を妨げないこと、などです。ライドシェアのケースと同様に、一般に新しい市場が素早くかつ継続的に成長するためには、新規参入企業が十分な資金を得られることが肝要です。

1件の閉鎖と1件の買収

マーケットシェア確保のために両社とも無料レンタルの機会を提供する必要に迫られているが、このセクターでは市場の統合が進むのではないかという初期の兆候がいくつか見られる。重慶の自転車レンタルスタートアップ Wukong Bike(悟空単車)は今月初め、事業の閉鎖を発表した。程なくしてこの件に詳しい筋の人々は、Mobike が小規模スタートアップ Unibike(由你単車)の買収を完了したと明かした。

私たちは、自転車シェア市場は長期的には寡占状態になると見込んでいます。理由の一つには、1社がサービスを提供した方があちこちの場所で自転車をレンタルでき、利用者側もその方が利便性が良いと気づくことが挙げられます。(Brian 氏)

【via Technode】 @technodechina

【原文】

ベルリン・メイカーズの祭典「Maker Faire Berlin 2017」現地リポート【ゲスト寄稿】

本稿は、「Monozukuri Hub Meetup」を主宰する Makers Boot Camp の CEO 牧野成将氏による寄稿である。 Makers Boot Camp は京都を拠点とするハードウェアに特化したスタートアップアクセラレータである。 今年2月には、20億円規模のファンドを組成している。 ベルリン滞在中の週末に「Maker Faire Berlin 2017」を訪問しました。ドイ…

本稿は、「Monozukuri Hub Meetup」を主宰する Makers Boot Camp の CEO 牧野成将氏による寄稿である。

Makers Boot Camp は京都を拠点とするハードウェアに特化したスタートアップアクセラレータである。

今年2月には、20億円規模のファンドを組成している。


Maker Faire Berlin に向かう人たち
入口近くには、子供も楽しめる体験アトラクションも。

ベルリン滞在中の週末に「Maker Faire Berlin 2017」を訪問しました。ドイツ国内ではベルリン以外にも様々な都市で Maker Faire が開催されており、モノづくりの国、ドイツを良く表していました。

会場に入ってすぐのエントランスにて。何気ないライトもアートです。

会場は日本国内と比べるとそれ程大きくはありませんが、印象的だったのは子どもたちの数の多さ。もちろん親が連れてきている訳ですが、ハンダごてで基板づくりをする子、Arduino を使って PC を自作する子、またレゴブロックを使って何かものを作っている子までおり、素晴らしいモノづくり環境に育っているドイツの子どもたちが羨ましくなりました。

PCを自作する大人と子供。モノづくりには年齢は関係ありません。
子供向けワークショップが多く行われていました。

ベルリンの Maker Faire は未来のモノづくりを支える子どもたちに楽しんでもらえるような、仕組みづくりができているイベントで、小さな子どもたちが自分の手を動かして大人と一緒に「作り上げる」体験をできるものが多くあったことが印象的でした。日本人と同じようにドイツ人はみなモノづくりが大好きなんだと感じ、共通項を見つけて嬉しくなりました。

その一方で、日本では子どもたちの好奇心を刺激する環境を私達大人が提供できているか? と言うと胸を張って答えられないと知る機会にもなりました。帰国後、子どもたち向けのモノづくりや起業についてを知ってもらうプログラムなどの充実を図りたいとの思いを強くしました。

クリエイティブなレゴに夢中な子どもたち
子供も大人も、Makers はスターウォーズに夢中

展示に関してですが、日本ではドローンや AR といったテクノロジー的なものが多く展示されていますが、ベルリンでは農業、音楽、ゲームなどより身近に感じられるものの比率が多い様に感じました。世界中から最先端のアーティストが集まる新たなクリエーターの街として、モダンアートやアンダーグラウンドミュージックなどの新しい文化ムーブメントが生まれているベルリンならではの Maker Faire であったと思います。

今回ベルリンの Maker Faire に参加して感じたのは、都市の個性が作り手に与える影響とモノづくりの方向性を決定づけることについてです。日本は技術を徹底的に極めていくメイカーズが多いことや今回の身近な事柄に技術を発展させていくベルリンの例などを考えると、各都市の個性を表現するメイカーと出会うことができる世界各国の Maker Faire に訪れる価値はあると感じました。

多くのスタートアップや Makers が自慢のプロダクトを展示していました。

今回の参加企業で私が個人的に紹介したい企業が1社あります。アフリカ等の途上国で「1ドル」でメガネを提供する EinDollarBrille という会社です。世界中では7億人以上の人たちがメガネを必要としているそうですが、途上国ではそのメガネが十分に行き届かず、勉強や仕事に就くことが出来ない人が生まれているということです。

EinDollarBrille は非常にシンプルな形状でメガネを作り、それを現地生産し低予算の眼鏡を必要とする人に届ける「OneDollarGlasses」というサービスを開始しました。たった1ドルで、これまでチャンスを得ることの出来なかった人に新しい人生を与えることのできる、社会の仕組みを変える可能性のあるスタートアップが生まれてきていることに大きな可能性を感じました。

EinDollarBrille のブースにて。多くの人が足を止めて話を聞いていました

Maker Faire に参加し、日本でもこうした社会に貢献するモノづくり企業が生まれて欲しい、と強く思うと同時に、Makers Boot Camp として社会に貢献できる起業家支援をどのようにおこなっていくべきかを考える機会となりました。

5月は「資金繰り問題解決」がテーマ、6社のピッチ登壇企業を紹介@THE BRIDGE X Lab. Night

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6月15日更新:ALT に関する記述の中で、横浜銀行となっていた部分を千葉銀行に修正。 THE BRIDGE X Lab.では4月の「教育・子育て」ミートアップに引き続き、5月のテーマ「資金繰り問題解決」に関する全4回のミートアップを実施した。6月1日に開催したLab. Nightでは資金繰り問題解決に関するスタートアップを中心に6社の企業に登壇いただいたので、その内容をお伝えする。 <ピッチ登壇…

6月15日更新:ALT に関する記述の中で、横浜銀行となっていた部分を千葉銀行に修正。

THE BRIDGE X Lab.では4月の「教育・子育て」ミートアップに引き続き、5月のテーマ「資金繰り問題解決」に関する全4回のミートアップを実施した。6月1日に開催したLab. Nightでは資金繰り問題解決に関するスタートアップを中心に6社の企業に登壇いただいたので、その内容をお伝えする。

<ピッチ登壇企業>

  • 不正アクセスや不正送金を防ぐ乱数表「BankGuard」バンクガード
  • 不動産特化型クラウドファンディング「CrowdRealty」クラウドリアリティ
  • 会計データを活用したオンラインレンディングサービス提供のALT
  • 士業と中小企業やスタートアップを結ぶマッチング・サービス「Gozal」BEC
  • AIを使った高速ニュース配信「Spectee」Spectee
  • 高層ビル内で料理を宅配してくれる「スカイマークシッピング」スカイファーム

不正アクセスや不正送金を防ぐ乱数表「BankGuard」

2017-06-01 11.15.00
バンクガードが開発した「スーパー乱数表」は、IDを使わずにセキュリティ情報を保護するシステム。このスーパー乱数表は特許を取得しており、実際に信用金庫など11件で活用されている。

同システムはセキュリティ情報にアクセスする際にランダムなイラストアイコンの表が表示され、その表への質問に回答していく仕組み。英数字を用いた乱数表と違ってキーボードから入力することがないため、入力情報の読み取りなどによるサイバー攻撃をクリアできるとのこと。また難しいキーボード入力もないため、年配の方も利用しやすい設計にこだわっている。

現状ではサイバー攻撃被害に対策を打ちたいが、ハイテクノロジーは導入し難いという信用金庫などに需要がある。

不動産特化型クラウドファンディング「CrowdRealty」

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クラウドリアルティが運営する「CrowdRealty」は、不動産特化型のクラウドファンディングのマーケットプレイス。5月26日にサービスを正式リリースしている。

同サービスは不動産の資金需要に対応するための投資型(エクイティ型)クラウドファンディング・プラットフォーム。不動産関連のプロジェクト起案者や投資家に対して、資金調達や出資の機会を提供する。

サービスの特徴として募集総額のサイズ規模がある。同社によれば、不動産投資において数千万円から数億円規模の不動産証券を扱う業者などは少なく、CrowdRealtyはまさにこのゾーンがターゲットとのこと。

また金融規制に対応できるプラットフォームを構築しており、不動産投資の際に投資法人など専門家をたてる手間や、対面による投資先の選定がなくなるため投資する側・される側のコストカットが可能。

今後は個人間での金融投資の活性化を目指すべく、投資家や案件発行者を増やしていく方針。

会計データを活用したオンラインレンディングサービスALT

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4月に会社設立を発表したALTは、会計情報や銀行の取引情報から審査を実施するオンラインレンディングを事業とする。会計ソフト「弥生会計」の弥生代表取締役の岡本浩一郎氏が同社代表も兼任している。

ALTは借り入れを希望する法人および個人から申し込みを受け、弥生会計内の仕分け情報ないし銀行口座の取引情報、クレジットカードやSNSの情報を人口知能が収集して審査をする。この審査情報の結果から、融資が決定する仕組みだ。

岡本氏によれば、「小規模事業者は短期資金を調達したいが出来ないという現状があり、弥生会計のユーザーデータによると法人の31.7%、個人事業ものは44.2%は借り入れを断念している」という。

今後は千葉銀行、福岡銀行、山口ファイナンシャルグループ、横浜銀行と業務提携して本モデルの活用を視野にいれていく。

士業と中小企業やスタートアップを結ぶマッチング・サービス「Gozal」

Gozal

BECが運営する「Gozal」はクラウドを活用したバックオフィスの自動化ツール。法務や労務、税務をアウトソースできる。同社の6月1日の発表によれば、社員数1万人規模の企業の労務管理に対応できるようになりつつあるそうだ。

バックオフィス分野において中小企業が抱える、「いつ何をすべきか不明」という問題の解決や複雑な用紙での手続きをなくすことを目指している。現在はGozakから10種類のオンライン申請が可能。

ユーザー数は2000社ほどで、今後はHR サービスを提供するスタートアップとの提携や、他の会計サービスや銀行サービスと連携を図り、給与計算から直接振込ができる仕組みを実装する予定。

上記の企業の他にも、AIを使った高速ニュース配信の「Spectee」や高層ビル内でレストランの料理を宅配してくれる「スカイマークシッピング」などが登壇していた。

高層ビル内でレストランの料理を宅配してくれる「スカイマークシッピング」

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スカイファームが三菱地所プロパティマネジメントの協力で展開するのが「スカイマークシッピング」。同サービスは横浜ランドマークタワー内のレストランの食事を宅配するというもの。横浜ランドマークタワーで働く法人テナントの従業員(約9100名)はスマートフォンから食事を注文して決済し、オフィス内で受け取ることが出来る。

ランチタイムの混雑の緩和や料理を待つ間の時間ロスをなくすもので、店舗側にも回転率のアップや割り勘の対応など手間のかかるオペレーションコストを下げるメリットがある。

同社代表取締役の木村拓也氏によれば「海外ではスマートフォンで注文・決済をして購入した食べ物を受け取る仕組みは広く取り入れられており、2015年9月からこの仕組みを導入したスターバックスでは売り上げが6%(約2兆円)アップしている」と語る。

今後はビルマネジメント会社の新しい福利厚生サービスとして、他の高層ビルにもサービスを展開していく目論見だ。

AIを使った高速ニュース配信「Spectee」

Spectee
人工知能でいち早く報道機関向けのニュース素材の提供をする「Spectee」。ソーシャルメディアのタイムラインに流れる投稿を自動で分析して、テキストや写真・動画情報をキャッチする。

ニュース素材を収集するための4つの特許技術を取得しており、投稿してから約3分以内で具体性のない情報も「いつ、どこで、何が起こっていて、事実なのか」といった具合に解析できる。また、集積されたチャートや地図からニュースを発見することもできる。

現在100件程の報道機関が同サービスを導入しており、最近では消防などの事件や事故の情報を早く察知したい機関にも需要がある。

錆びついた工業地帯「ラストベルト」から、全米有数の「起業の街」へと蘇ったピッツバーグ【ゲスト寄稿】

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本稿は、大阪を拠点に活動するマーケティング PR プロデューサーの西山裕子氏による寄稿を THE BRIDGE が編集したものだ。 彼女は、モノづくり起業推進協議会(Tech Shop Japan、FabFoundry、Makers Boot Camp)が、2017年4月17日から4月20日まで開催された米国視察ツアーにライターとして同行した。本稿はその一部を記録したものである。 このツアーの活動…

本稿は、大阪を拠点に活動するマーケティング PR プロデューサーの西山裕子氏による寄稿を THE BRIDGE が編集したものだ。

彼女は、モノづくり起業推進協議会(Tech Shop JapanFabFoundryMakers Boot Camp)が、2017年4月17日から4月20日まで開催された米国視察ツアーにライターとして同行した。本稿はその一部を記録したものである。

このツアーの活動の一部として、アメリカ・ピッツバーグで4月19日に開催された International Hardware Cup 2017 に参加した模様については、ここから読むことができる。


市内には3本の川が流れています(アレゲニー川とモノンガヒラ川が合流し、オハイオ川に)

ピッツバーグは日本で売られているガイドブックにもあまり載っておらず、なじみが薄いのですが、野球ファンならメジャーリーグの Pirates の本拠地、NFL ファンなら Steelers の本拠地として知っている方もいるでしょう。人口約30万人、ニューヨークから飛行機で約1時間、緑の多い美しい街です。大都会ニューヨークから訪れると、その落ち着いた空気にほっとします。

鉄鋼の街からの転身

PNC Park(Pittsburgh Pirates の本拠地球場)の前

ピッツバーグは U.S. Steel の本社もあり、一時は世界の50%の鉄鋼を生産するほどでした。工場の排煙による公害が問題になった時代もありました。安い鉄鋼の輸入により打撃を受け、一時は失業率が20%にまで及び、不景気の波が街を覆いました。その後、市長のリーダーシップ、カーネギーメロン大学など有力大学の研究により、産業構造を変えていきました。まだ鉄鋼や製造業(ケチャップのハインツ等)も重要な位置を占めていますが、最近はテクノロジーの街へと変化しています。実際、Google、Amazon、Apple などの先端企業が、リサーチセンターをピッツバーグに置いています。

A snapshot of Pittsburgh’s technology investment landscape, Trends and highlights, 2012-16 by Innovation Works

投資活動も盛んです。2016年、アメリカ全体でベンチャーへの投資は、金額では前年比32.2%減、案件数で12.4%減でしたが、ピッツバーグ地区への投資は金額で8.1%増、件数は11.4%増、合計2.3億ドルに上りました。また、市レベルで見ると、全米40の有力都市の中で投資額は17番目、人口当たりの投資数では5番目で、スタートアップにとって重要な地域であることがわかります。(上写真)

ピッツバーグ市の政策顧問とお話する機会もありました。行政としてスタートアップの環境を整備し、税の優遇、産学連携などを進めているそうです。

投資家とスタートアップのマッチング

もともとカーテン工場だった建物をリノベーションした Ascender の内観。窓がなかったので新たに作ったそうですが、カーテン工場に窓がないとは、ちょっとおかしいですね。

4月20日は、ビジネスコンテストの司会で会場を沸かせた Kenny Chen 氏が所属するインキュベーション施設 Ascender を訪問しました。Ascender はピッツバーグのスタートアップ・エコシステムのハブとなるように、スタートアップ向けのコワーキングスペースや起業講座などを提供しています。

この日はビジネスコンテストで審査員を務めた投資家や、地元のベンチャーキャピタルが、コンテストに参加したスタートアップと1対1で話をするマッチングが開催されており、協議会のツアーに参加した協議会のメンバーや日本からのスタートアップも、このマッチングイベントで意見交換を進めたようです。

日本予選2位の PLENGoer Robotics は決勝ピッチには参加できませんでしたが、マッチングの機会を生かして複数の投資家と話をしました。

筆者も座って輪に加わったところ、あるベンチャーキャピタリストが、フレンドリーに話をしてくれました。

日本から来たのかい。私もビジネススクールにいたころ、日本人留学生と友人になったよ。だけど企業派遣が多くて、柔軟に動けなかったね。私が、こんなアイデアは日本ではどうだろう? と言っても、「自社とは関係ない」と一緒にできず、ビジネスチャンスは広がらなかった。

確かにそれは、日本における、起業の課題の一つかもしれません。ミートアップで気軽にビジネスアイデアを披露し、提携や投資の話を持ち掛け、実行に移すフットワークの軽さは、スピード感が違います。日本企業が新規事業を起こす従来のやり方とは、大きく異なるでしょう。

モノづくり起業推進協議会のメンバーとして参加した Makers Boot Camp は、投資家として決勝に進出したスタートアップと積極的に面談していました。
アドバイス、新しいアイデア、人の紹介、話しているうちに膨らみます。

Uber の自動運転車に遭遇

アメリカで移動するには、Uber がとても便利です。スマホのアプリで呼び出すと、すぐに来てくれます。次の訪問地、カーネギーメロン大学に向かうとき、Uber の自動運転の実験車がやってきました。ピッツバーグは Uber が初めて自動運転の実験を始めた街で、数十台の実験車が走っているそうです。

目的地を入力すると、自動的に発車・停止をして走る Uber の自動運転車

自動運転と言っても、2人が乗車しており、様子を見ながらいろいろ確認しています。行先を設定すると自動的に運転を始め、信号の前では止まり、雨が降ってきたらワイパーも動き出し、隣の車と車間距離もきちんと取り、正確に運転を続けました。

ただ、新しくできた道の情報が地図情報アプリにまだ登録されていなかったようで、目的地が見えているのに違う方向に行ってしまいそうになりました。やむなく最後は人間が運転をすることになりました。自動運転には、まだまだ改善の余地があるようです。

最新テクノロジースタートアップを輩出するカーネギーメロン大学

広いキャンパス、重厚感ある建物が並ぶカーネギーメロン大学に到着しました。

この日はアメリカ生活が長く、20年間この大学にいらっしゃる、嶋田憲司教授に話をお聞きしました。

嶋田教授は、かつて日本IBMで働き、その後マサチューセッツ工科大学(MIT)で博士号を取得されました。元々の専攻は機械ですが、最近はバイオや医学にも研究領域を広げておられます。アカデミアとビジネスと両方に興味があり、日米それぞれの得意分野を活かしたいそうです。

産業構造の発展を考えると、物理的なものとサイバー技術が兼ね合わさったものが、今後の波として来ると感じています。ハードウェアとITを一緒にして、効果を出すようなものですね。

ピッツバーグは小さな街ですが、一通りそろっており、安全で生活コストも安いのが良い点です。カーネギーメロン大学は、学生数13,000人で総合大学としては小規模ですが、コンピューター、ロボット、AIの研究で存在感があります。

鉄鋼王のカーネギーなど、財を成した人が財団を作って文化に投資をしています。私の子どもはアメリカで育ちましたが、大学でも専門分野だけではなく、文化や教養を高めるための教育を受ける機会が豊富で驚きます。うらやましいですよ。

技術革新の状況をよく知る嶋田憲司教授からレクチャーを受ける。

我々が訪問したのは、大学の春のお祭りの期間。屋台や遊具もキャンパスに設置され、同窓会も開かれていました。アメリカでは出身大学への母校愛や同窓生の結束が強く、仕事につながる人を見つけてコンタクトをするなど、大学のネットワークをビジネスに活かすことがよくあるそうです。

キャンパスには家族連れが大勢あつまっていました。

カーネギーメロン大学のとあるホールでは「Project Olympus Incubation Program」という、大学が持つ最先端研究と現実のビジネスとのギャップを埋めるプログラムの発表会が開催されていました。博士号取得者や研究中の学生が、自らが持つ技術や知識を活用したビジネスプランを語ります。大学もその活動のための場所を提供し、アドバイスやネットワーキング活動の支援をしています。

2016年はピッツバーグにある大学を通じて、過去10年で最高数の特許が取得されました。大学でのレベルの高い研究が、強力なスタートアップ環境につながっているようです。

ピッツバーグは日本にとって、ロールモデルになるか?

さて、ピッツバーグの事例は、日本のスタートアップ環境の整備において参考になるでしょうか。製造業が強い、技術がある、最先端の研究を行う大学機関がある、地方自治体が積極的にスタートアップを支援する…。

すでに強力なスタートアップ育成環境を持つシリコンバレーと同等の環境を作るのは、多くの都市にとってかなり難しいことですが、ピッツバーグの事例は、日本の多くの都市にとって、参考にできるところが少なくないと感じました。

アメリカの小さな都市、ピッツバーグの大きな動きは、今後も注目です。

移転・新装オープンした「Clipニホンバシ」に潜入【ゲスト寄稿】

本稿は、THE BRIDGE 英語版で翻訳・校正などを担当する “Tex” Pomeroy 氏の寄稿を翻訳したものです。オリジナルはこちら。 三井不動産のベンチャー共創事業「31 VENTURES」が運営する「Clip ニホンバシ」が先ごろ新装オープンした。人工衛星スタートアップのアクセルスペースも、ここに拠点を構えている(Clip ニホンバシの上層階)。このコラボレーションやミーティングが行える…

本稿は、THE BRIDGE 英語版で翻訳・校正などを担当する “Tex” Pomeroy 氏の寄稿を翻訳したものです。オリジナルはこちら


三井不動産のベンチャー共創事業「31 VENTURES」が運営する「Clip ニホンバシ」が先ごろ新装オープンした。人工衛星スタートアップのアクセルスペースも、ここに拠点を構えている(Clip ニホンバシの上層階)。このコラボレーションやミーティングが行えるスペースは以前、近くの日本橋の CM ビルにあったが、夕方6時以降はビルが閉まってしまう上、6階にあるというものだった。

現代的なガラスで覆われた施設は、受付、カンファレンスルーム、ロッカースペース、それに小さなカフェ風スペースで構成され、〝社会意識の高い〟スタートアップによって運営されている。ロケーションも主要道路に面しており便利だ。会員向けに90席ほどが利用可能で、大きなイベントが開催されるときは100人ほどが入ることができる。

三井不動産は、秋葉原と東京の北東部にある科学都市つくばを結ぶ、つくばエクスプレスの柏の葉駅前にある KOIL のほか、街中の神谷町や霞が関などにも似たような施設を整備している。アクセルスペースが最初に本社を構えたのも、つくばエクスプレス沿いの街だった。

Clip ニホンバシからさほど遠くないところには、日本橋ライフサイエンスハブもある。近隣には、アステラス、第一三共のほか興和やゼリア新薬といった主要な製薬企業のオフィスが集まっている。武田薬品は、Clip ニホンバシの面する通り(日本橋室町の仲通り)沿いに新しい本社ビルを建設中だ。

Clip ニホンバシへは、東京メトロの銀座線や半蔵門線の三越前駅からも近く、東京駅から一つ目の JR 新日本橋駅の真上にある。JR 神田駅のほか、東京メトロ・都営地下鉄の日本橋周辺の駅からも歩いていくことが可能だ。

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Games Beat Summitで語られたARの未来:ポケモンGoと500ドルのARグラスの可能性

現時点で一般消費者向けの拡張現実(AR)グラスを作成することは可能だ。しかし、少なくとも500ドルはするだろう。 拡張現実グラスはARを使用して見る人の視界を妨げることなく、実世界のデータやその他の情報を投影できる。一般の人が個人のハードウェアを購入する前にはクリアしなければならない技術的な面、倫理的ないくつかのステップがある。これはカリフォルニア州バークレーで開催された今年のGamesBeat …

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左からDeak Takahashi氏、Ralph Osterhout氏、John Underkoffler氏、John Hanke氏
Above: From left to right: Deak Takahashi, Ralph Osterhout, John Underkoffler, and John Hanke.Image Credit: Michael O’Donnell/VentureBeat

現時点で一般消費者向けの拡張現実(AR)グラスを作成することは可能だ。しかし、少なくとも500ドルはするだろう。

拡張現実グラスはARを使用して見る人の視界を妨げることなく、実世界のデータやその他の情報を投影できる。一般の人が個人のハードウェアを購入する前にはクリアしなければならない技術的な面、倫理的ないくつかのステップがある。これはカリフォルニア州バークレーで開催された今年のGamesBeat SummitでのARの将来に関するパネルで論議されたテーマの1つであった。

パネリストは「消費者にとって理想的なAR体験とは何か」について話した。Osterhout Design GroupのCEO、Ralph Osterhout氏によると、ARとバーチャルリアリティ愛好家の共通の願いであるStar Trekのホロデッキを再現するという考えは非現実的なのだそうだ。彼はそれが 恐ろしく高価であり、コストはすぐには下がらないと言っていた。

Osterhout氏はARメガネの融通性に期待を持ち、ホロデッキよりもその先を見ている。Osterhout社では2700ドルもする高級ARグラス「Rシリーズ」を製造販売している。

ポケモンGoを制作したNiantic LabsのCEOであるJohn Hanke氏は、200ドルが流通するのに最適な価格と考えていた。Hanke氏は価格について次のように話している。

「Ralph氏が最新のメガネを200ドルで販売することができれば多くの人がそれを買い、普及のきっかけとなるでしょう。またゲームデザイナーは驚くべき経験を提供できるはずです。究極のハードウェアを作り上げることに固執する必要はないと思います。すでに基本的な技術は取得しており、それらの「技術的な」制約内で開発が可能なのです」。

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Above: ODG augmented reality smartglasses at CES 2017. Image Credit: Dean Takahashi

しかしOsterhout氏が主張したように、その価格で販売することは奇跡に近い。

「Samsung Galaxy S8には、Snapdragon 835クアルコムプロセッサが搭載されています。現在作られているメガネにはこの835を使用しています。約1000ドルの最高性能スマートフォンに含まれているのと同じものがグラスに使われているのです。違いといえば2つのディスプレイとそれぞれのディスプレイが指の爪のサイズであることです」。

彼は後に次のようにも述べている。

「技術は存在します。しかし無料のランチなどは存在しません。高性能のスマートフォンを小さな機器のスクリーンに詰め込んでそれを無料でくれ!とは言えません。誰もがフェラーリを持ちたいと思っている。しかし現実にはプリウスを運転しながらフェラーリができること全てを実現することはできないということです。眼鏡の価格は200ドルに下げられるか? 正直に話します。それを出来る人がいたら私に会いに来てください。採用しますのでついて来てください」。

しかし、Osterhout氏は希望を捨てたわけではない。実際彼は質の高いAR体験を提供する500ドルのグラスを作ることができると考えている。実現可能にするためには、数千万個のグラスを作って売る必要がある。これが制作費を下げる唯一の方法である。

そしてグラスを公衆で身に着ける際のプライバシーに関する懸念に対処しなければならない(Google Glassのbackashが過去問題になったように)。Oblong Industries CEO のJohn Underkoffler氏はこんな風に話していた。

「すでに2、3歩先行しているサイエンスフィクションが実際に役立つようになるんじゃないですか。ちょうど数分前にSF作家のEliot Peper氏が言ったように、それが期待する結果なのかそうでないのかは別として最先端の技術は現実のものとなるのですから」。

プレゼンテーションは楽観的な雰囲気で終わった。GamesBeatのリードエディタで今回モデレートを担当したDean Takahashi氏は、ふざけた調子で「ポケモンGo10」が高度なAR技術と合わさるとどうなるかをHanke 氏に尋ねた。

「ポケットモンスターが実際に存在するように感じられると思いますよ。まるで彼らが一緒にいるようになる。いずれは彼らと友達になり、あなたの子供たちは彼らを家に持ち込み、ペットのようにするでしょう。そこまでの技術の道のりは楽しいものになるに違いありません」。

【原文】

【via VentureBeat】 @VentureBeat

Translated by MachineTranslation+Conyac


世界のブロックチェーン・エコシステムの今:出遅れたアメリカ、リードするヨーロッパと中国

Blockchain News を発行している Richard Kastelein 氏は現在、ブロックチェーン人道支援スタートアップ Humaniq で暫定 CMO(チーフマーケティングオフィサー)を務めている。彼は ICO による資金調達型の設計・建築企業 Cryptoalchemy の設立者であり、教育関連企業 Blockchain Partners の共同設立者でもある。 Kastelein…

Blockchain News を発行している Richard Kastelein 氏は現在、ブロックチェーン人道支援スタートアップ Humaniq で暫定 CMO(チーフマーケティングオフィサー)を務めている。彼は ICO による資金調達型の設計・建築企業 Cryptoalchemy の設立者であり、教育関連企業 Blockchain Partners の共同設立者でもある。

Kastelein 氏は ICO による資金調達型のブロックチェーンスタートアップ DECENTExscudo で相談役を務め、Blockchain Ecosystem Network の運営委員会に参加し、さらに、ロンドンで開催されるヨーロッパのICOイベント「CryptoFinancing」にも携わっている。


Image credit: charnsitr / 123RF

90年代前半にインターネットの未来を予測できなかったように、ブロックチェーンの未来を予測することは誰にもできない。しかし、この技術が大きな影響を及ぼすことは明らかだ。

企業からスタートアップ、政府からその他の組織に至るまで、人々は、信用の分散化および非中央集権化という概念を取り入れ始めている。それにより、摩擦を減らし、より公正で透明かつ効率的なビジネスおよび政治のフレームワークを構築しようとしている。

アメリカにおけるブロックチェーンスタートアップの最前線はあまり活発とは言えない状態で、それはイノベーティブな企業が不足していることよりも規制上の問題に関係しており、その結果、シリコンバレーではブロックチェーンに対する熱が上がらないのだ。 ベイエリアには Kraken と Coinbase という企業が存在するが、どちらも暗号通貨に特化した企業である。他の国々で研究されているような健康、エネルギー、保険、サプライチェーンなどの分野に取り組むアメリカのブロックチェーンスタートアップが不足しているのが現状だ。

Outlier Ventures の優良ブロックチェーン企業調査によると、グローバルブロックチェーン企業の4分の1はアメリカ出身だそうだが、そのほとんどが暗号通貨またはビットコインを専門にしている。ブロックチェーンが持つ大きな可能性を通貨以外の分野に活かしている企業はごくわずかだ。

ニューヨークはアメリカのブロックチェーンコミュニティの中心地になっている。その一番の理由は、金融業界が直面している真の脅威を分散型台帳技術によって解決する方法を躍起になって探していることにある。しかし、ニューヨークには金融以外の分野でビッグプレーヤーが2つ存在する。

Consensysは イーサリアムをグローバルに扱う主要プレーヤーであり、金融業の枠を越えてブロックチェーンを推進している。 Digital Asset Holdings は規制された業界における決済の高速化、コスト削減、セキュリティ強化、透明性の向上を目的とした安全な分散型の処理ツールを構築するために、世界最大手のテクノロジー企業および金融機関15社から7,000万米ドル以上を調達した。経済学者であり JPMorgan Chase の元幹部でもある CEO の Blythe Masters 氏は、Digital Asset Holdings の設立のために、Barclay の投資部門を経営するという大役を辞退している

【アメリカ】エコシステム発展に歯止めをかける SEC

しかし、全体として見れば、アメリカにおけるブロックチェーンエコシステムの動きは遅い。SEC(アメリカ証券取引委員会)は、ICO(イニシャルコインオファリング)という新たな現象に対処し、規制の枠組みを設けることができていない。それがアメリカのブロックチェーンの発展を停滞させており、イノベーションの大きな妨げになっている。

シンガポールとスイスはトークンを証券ではなく資産として扱う世界で2つだけの地域として、ブロックチェーンの扉を開け放とうとしている。その一方で、SEC の腰は重い。それが、ユニークな金融商品を活用して資金調達を行いたいアメリカのイノベーターや、アメリカの投資家と取引を行いたいヨーロッパやアジアの企業にとっては好ましくない状況をもたらしている。

法的な問題が発生する可能性があるため、ヨーロッパで実施される ICO にはアメリカ人の参加を禁止するものもある。これはアメリカの投資家にとってはあまり良くない。しかし、アメリカ人の Brock Pierce 氏と彼が率いる Blockchain Capital の VC チームは、世界初の KYC・AML(金融機関の顧客確認とアンチマネーロンダリング)に準拠したクラウドセール(独自通貨をビットコインで販売し開発費を捻出)となる ICO を独自に行うという、業界に革命をもたらす一か八かの賭けに出ることを決定した。Pierce氏は先週投資家にデジタルトークンを売り出し、6時間で1,000万米ドルを集めて同社の次の目標調達額の20%を調達した。

しかし、それは容易なことではなかった。シンガポールで ICO を行う企業を設立し、さらに、国内投資家だけでなく海外投資家からの資金調達を行うために、SEC に対してはレギュレーション S およびレギュレーション D の免除規定を利用しなければならなかった。アメリカからの参加は許可を得たわずか99人のアメリカ人投資家に限られたが、他の国々からは自由に投資に参加することができた。

Pierce 氏は American Banker に対して、次のように語っている

今後10年、20年で、世界中のスタートアップがトークンで資金調達するようになると私は考えています。

幸いなことに、アメリカでは少なくとも8つの州がビットコインおよびブロックチェーンテクノロジーの利用を促進するブロックチェーンに関する法整備に取り組んでおり、これは上手くいく可能性が高い。だが、連邦レベルでの法案は提出されていない。

【カナダ】ブロックチェーン推進派が大勢を占める

カナダには活発なビットコインスタートアップコミュニティが存在する。その主な要因は、トロントのビットコインコミュニティからイーサリアムが生まれたことや、イーサリアムを考案したVitalik Buterin 氏をはじめとした多くの才能豊かな人材が同国最大の都市トロントに集まっていることにある。

言うまでもなく、ブロックチェーン分野で最も有名な作家の2人である William Mougayar 氏Don Tapscott 氏もカナダ出身だ。様子見をしているアメリカのSECとは異なり、CSA(カナダ証券管理局)は、ブロックチェーンスタートアップや金融テクノロジーを扱う企業を対象とした「フィンテック・サンドボックス・プログラム」を新たに立ち上げるなど、積極的な姿勢を見せている

【中国】ブロックチェーン採用を積極的に推進

中国国内で何が起こっているのか、外からではそれを理解するのは難しい。上海に本社を置く Skyledger(快貝)の Jane Zhang 氏(張紅)によると、政府は寛大なアプローチを取っているという。中国のブロックチェーンコミュニティの有力プレーヤーである Zhang 氏は、政府側は次にどんなブームが来るのか把握していると語る。

最近のインタビューで彼女は、ビットコイン取引所の中には銀行免許なしで貸付を行っているものも存在し、これこそが、中国政府が何よりもイノベーションを大事にしていることを示していると語る。

中央政府は国内の貧しい地域に大規模な投資を行い、ブロックチェーンパークを構築することで、豊富な資金力を背景に世界中からブロックチェーン企業を誘致する計画を行っています。今年のブロックチェーンスタートアップの数は昨年よりもかなり増加しています。

Skyledger で彼女が率いるチームはグローバルなブロックチェーンデベロッパーのエリート集団で形成されている。彼らの多くは東欧出身で、ドバイ政府の入国管理に採用されたばかりの民間ブロックチェーンプラットフォームで働くために上海に移ってきた者たちだ。

中国では現在 ICO の規制がない状態で、200万人以上が ICO に参加しており、イノベーションと成長のための資金を調達するためにトークンの販売を選択するブロックチェーンスタートアップがますます増えている。

中国政府は ICO を脅威とみなしていません。政府は、単に彼らが ICO を禁止していないという事実を提示することで、ICO の促進を図っているのです。(Zhang 氏)

中国市場はここ一年、コンソーシアムを形成することで継続的に発展している。コンソーシアムの例を以下に示そう。

  • China Ledger Alliance(中国分布式総賬基礎協議連盟):複数の地方取引所によって構成されるコンソーシアム。中国に到来しようとしている「IoE(Internet of Everything)」をサポートするオープンソースブロックチェーンプロトコルの構築を行っている。
  • Financial Blockchain Shenzhen Consortium(金融区塊鏈合作連盟):Ping An Insurance(平安保険、ブロックチェーンの活用に関する研究・開発に携わる50社以上の金融機関から成るグローバルコンソーシアムR3の参加企業)と Tencent(騰訊)の子会社を含むメンバーによって構成されるコンソーシアム。資本市場テクノロジー、証券取引所、取引プラットフォーム、銀行業務、生命保険に焦点を当て、研究およびグループ規模でのブロックチェーンプロジェクトを共同で行っている。証券取引プラットフォームのプロトタイプの構築や、クレジット、デジタル資産台帳、および請求書の管理サービスの開発を目標としている。
  • Qianhai International Blockchain Ecosphere Alliance(前海国際区塊鏈生態圈連盟):中国国内外の人材、技術、資本を組み合わせることで、ブロックチェーンテクノロジーとその応用テクノロジーを開発するための効率的なエコシステムの確立を目指している。Microsoft、IBM、香港の Applied Science and Technology Research Institute(ASTRI)などによって構成される同コンソーシアムは、ブロックチェーンの研究・開発の商業化を加速させ、中国の社会的および経済的な発展を支援するためにブロックチェーンの応用を促進していきたいと考えている。

【オーストラリア/ニュージーランド】まだ調査段階

オーストラリア中央銀行(オーストラリア準備銀行)は、オーストラリアおよびニュージーランドが取り残されてしまわないようにブロックチェーンについて行内調査を実施している

巨大中国企業 Alibaba(阿里巴巴)はブロックチェーンを活用して中国の食品偽装問題に取り組んでおり、ニュージーランドとオーストラリアでサプライチェーンプロジェクトをテスト運用している。

【ヨーロッパ】ブロックチェーンで世界の先頭を走る

ヨーロッパは多くの点でブロックチェーンラッシュをリードしている。大陸に浸透している優れたオープンソースの文化はブロックチェーンの新たな原動力を支えており、官民両方が積極的にブロックチェーンプロジェクトに関与している。

実際、ICO の大部分はヨーロッパ、特に東欧のブロックチェーンスタートアップによって実施されている。

ブロックチェーンハブに関して言えば、主にロンドン、アムステルダム、バルセロナ、ベルリン、スイスのクリプトバレーにスタートアップが集中している。

エストニアの Guardtime は政府と協力して健康記録にブロックチェーンを利用しているほか、NATO などの組織とも契約している。さらに、アメリカの Nasdaq はアプリケーション開発のためにバルトの小国エストニアに手を伸ばし、 Skype の共同設立者 Jaan Tallinn 氏もエストニアを拠点とする Funderbeam というブロックチェーンスタートアップマーケットプレイスをキックオフした

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イギリスの主任研究員 Mark Walpor t氏はブロックチェーンが持つ可能性の概要をまとめ、ブロックチェーンがどのように公共サービスの提供を変化させ、政府の生産性を向上させることができるかを示す、ブロックチェーンに関する88ページに及ぶ大規模なレポートを1月に公開した。その後すぐに、ロンドンに本社を置く金融テクノロジー企業 GovCoin Systems は、社会福祉給付の分配を合理化する政府の目標を支援するブロックチェーンのテスト運用を発表した。

マン島政府は、マン島内のどの企業が分散型オンライン台帳システムを活用しているのかを記録するために、ブロックチェーン台帳の使用を開始した。

今年初め、BOE(イングランド銀行)の Mark Carney 総裁は、中央銀行発行のデジタル通貨(CBDC)がもたらす政策上および技術上の問題を検討し、ブロックチェーンの概念実証を進めていく予定があることを述べた

オランダの ING Bank は2月までに27件ものブロックチェーンの概念実証(PoC)を完了させ、同じくオランダの巨大銀行 Rabobank も非常に活発に活動している。世界的な巨大医療機器メーカーの Philips はブロックチェーン分野の先頭を走っており、2016年初めには健康維持サービスへの応用を模索している。そして、オランダの中央銀行は DNBcoin というビットコインクローンの本格的な実験を行った。

デンマークの中央銀行はかなり積極的で、将来的にはブロックチェーンベースのE-kroneを準備通貨として発行する予定。フランスの中央銀行もブロックチェーンのテスト運用を行っている

スウェーデンでは官民の協力の下で3月に開始されたブロックチェーン上に土地所有権を記録するなど、土地所有権の管理に応用する準備を整えた。

EUの執行部は規制に焦点を当てたブロックチェーンの概念実証の実施を望んでおり、ブリュッセルは最近、規制上の問題を検討するためにブロックチェーンのパイロットテストを提案している

EUレベルでは法整備されていない状態だが、スイスがそこに至るまでの道を整えようとしている。スイスの規制機関 FINMA は4月、いくつかの銀行業務を行うが貸出業務を行わず、顧客資産の預かりに上限を設けた金融イノベーター向けに新たな免許のカテゴリーを設置することに関して、支持する姿勢を示した。リスクが低くて事業範囲も限られているため、フルバンクと比較すると免許要件はあまり広範囲にはならない。

これがICOのゲームチェンジャーとなる。

したがって、ツークとチューリッヒの間の30kmの谷がクリプトバレーを生み出し、世界的なブロックチェーンスタートアップエコシステムの中心とみなされているのも不思議ではない。

最も素早く行動できるのは誰だ?

今後数年の間は、ブロックチェーンは勢いを増し続け、既存のビジネスモデルに脅威と機会の両方をもたらすという興味深い動きが見られそうだ。問題は、このテクノロジーを利用 してイノベーションを最初にもたらすのは誰か?という点である。

それは現時点ではわからないが、ICO が短・中期的にエコシステムに影響を与えることは明らかだ。もう一つの問題は、ICO によって生み出される新たな流動性を凍結したり解放したりする権限を持つ規制当局の動向に大きく左右されてしまうという点だ。なぜなら、次世代のブロックチェーンイノベーションにエネルギーを提供するのは ICO だからである。

【原文】

【via VentureBeat】 @VentureBeat