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特集:チャレンジャーバンクの世界

特集:チャレンジャーバンクの世界

銀行という体験を新しく作り出しているスタートアップたちがいる。チャレンジャーバンク、と呼ばれる彼らは各国の事情、暗号資産などの新しい動きに合わせ、様々な金融体験を生み出そうとしている。その境界線はどこにあるのか。関連する話題をニュース解説や識者コラムの形式でお届けする

MUGENLABO Magazine

特集:チャレンジャーバンクの世界の話題

ナイジェリアのチャレンジャーバンクKuda、SBI Investmentら出資

ピックアップ:After raising $1.6m pre-seed last year, Nigerian digital bank, Kuda bags a $10m seed investment ニュースサマリ:モバイルベースのチャレンジャーバンクをナイジェリアで展開するKudaは、2019年9月にナイジェリアのスタートアップのプレシードラウンドでは最高額といわれた160万ドルの資金調達…

Image Credit : Kuda

ピックアップ:After raising $1.6m pre-seed last year, Nigerian digital bank, Kuda bags a $10m seed investment

ニュースサマリ:モバイルベースのチャレンジャーバンクをナイジェリアで展開するKudaは、2019年9月にナイジェリアのスタートアップのプレシードラウンドでは最高額といわれた160万ドルの資金調達に続き、先月11月にシードラウンドで1,000万ドルの資金調達を実施した。これはシードラウンドでの調達額としてアフリカ最大といわれている。

このラウンドはベルリンを拠点とするVCのTarget Globalが主導し、Entrée CapitalSBI Investmentが参加、AuxmoneyのRaffael Johnen、HolviのJohan Lorenzen、Stashの創設者であるBrandon KriegとEd Robinsonや、Nubank、Revolut、Chimeなど、ブラジル、英国、米国などのモバイルチャレンジャーバンクにも投資しているOliver Jung氏・Lish Jung氏といった著名なエンジェル投資家らも参加した。

詳細な情報:Kudaは現在、個人消費者と中小企業の両方で30万人を超える顧客がプラットフォームを使用しており、毎月5億ドル以上のトランザクションを処理している。Kudaのデジタルバンクの特徴は、モバイルファースト、ゼロに近い低額な手数料、顧客目線でのサービス(需要がありながらレガシーな銀行が行ってこなかった類のサービス)や充実したオプションサービスなどにある。

  • Kudaはフルスタックのデジタルオンラインバンクで、全ての取引がKudaのプラットフォーム上で完結できるが、同国内での事情などを考慮し、西アフリカの3つの銀行、Guaranty Trust Bank(GTB)、Access Bank、ZenithBankと戦略的パートナーシップを結び、ユーザーはデビットカードを使用しこれらの銀行を介して現金の引き出しもできる。
  • これまではナイジェリア国内のみでサービス展開をしてきたKudaだが、今後はアフリカ全土や世界中に住むアフリカ人がどこにいても利用できる銀行にしていきたいと考えている
  • 2016年にBabs Ogundeyi氏とMustapha Musty氏によって創立されたKudaはKudimoneyという融資プラットフォームを提供していたが2019年6月にナイジェリア中央銀行から銀行免許を取得し、デジタルバンクへと事業を移行した。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代

Google Plex 始動:Google銀行があなたのデータを売り出すとき(2/2)

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データを食い尽くすお化け (前回からのつづき)もちろんなにもGoogle Payが必ずしも広告の成長目標を満たす必要がある別部門になるとは言わない。Alphabetの株主がPlexに広告を出せと要求するとは誰も予想していないだろう。しかし、だ。 彼らはじゃあどうやって最終的に無料の銀行口座を収益化するのだとその方法を尋ねることはできる。Googleはいつかは利益を稼ぐ必要があり、そしてその(現時点…

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データを食い尽くすお化け

(前回からのつづき)もちろんなにもGoogle Payが必ずしも広告の成長目標を満たす必要がある別部門になるとは言わない。Alphabetの株主がPlexに広告を出せと要求するとは誰も予想していないだろう。しかし、だ。

彼らはじゃあどうやって最終的に無料の銀行口座を収益化するのだとその方法を尋ねることはできる。Googleはいつかは利益を稼ぐ必要があり、そしてその(現時点での)最良の方法はデータを収集し、それに対して広告を販売することなのだ。

Googleがなんとかその約束を反故にしないように頑張っていたとしても、もうひとつ考える必要がある。

Googleはすでにどの企業よりも、あなたについて多くのことを知っているのだ(まあ確かにFacebookとの競争は厳しいものがある)。Googleはその上であなたの銀行残高、収入源、何にお金を使っているのか、すべての取引がいつ行われたのかを正確に知る必要があるのだろうか?

他のすべてのデータに加えて、このすべての金融情報の一元化は、巨大なプライバシーとセキュリティのリスクとなるはずだ。フィッシングやランサムウェア、ありふれた個人情報の窃盗・・、おぞましい。

さらにGoogleは、Google PayやPlexを他のすべてのフィンテックアプリと差別化するために、できる限り多くのデータを収集したいと考えるはずだ。次の一文は、Googleが刷新されたGoogle Payについての説明文になる。

新しいアプリは、あなたと人や企業との関係を中心に設計されています。お金を節約するのに役立ち、あなたの支出についての洞察力を与えてくれます。

その「洞察力」は必然的にPlexにも関連してくるだろう。そして、それは理にかなっている。GoogleのAI技術者が銀行の分野で思いついた内容を聞きたくない人はいないだろう。Googleの最新の知能が資金運用してくれるというのは簡単に売れる話になる。

しかし、結局のところ、AIがGoogleに直接的な巨額の収益をもたらすことはないだろう。AIは、同社がより多くの広告を販売するための技術に過ぎないからだ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

Google Plex 始動:Google銀行があなたのデータを売り出すとき(1/2)

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Googleは、Google PayのAndrooid・iOS双方に向けた大規模なアップデートをつい先日発表した。生まれ変わったこのアプリは、Apple PayやSamsung Payだけでなく、PayPal、VenomoやMintを全て一つにまとめた形となった。また、Googleは来年1月を目途に米国の11の銀行・信用組合と提携し、Plexと呼ばれるモバイルファーストな銀行口座サービスを開始する…

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Googleは、Google PayのAndrooid・iOS双方に向けた大規模なアップデートをつい先日発表した。生まれ変わったこのアプリは、Apple PayやSamsung Payだけでなく、PayPal、VenomoやMintを全て一つにまとめた形となった。また、Googleは来年1月を目途に米国の11の銀行・信用組合と提携し、Plexと呼ばれるモバイルファーストな銀行口座サービスを開始することを発表している。

Plexの当座預金・普通預金口座には、毎月の維持費や最低残高は設けられない。口座自体は、提携銀行が保有し、ユーザーはGoogle Payを通して管理することが可能となる。

ーーと、ここまではいい話過ぎていつものGoogleじゃないように思えてしまうのは私だけだろうか?

というのもGoogleを振り返ってみれば、最も大きな収益源は広告に変わりはない。その対象が、あなたの資産情報やヘルスケアの情報に代わりつつあるのだとしたら、一度思い留まるべきかもしれない。

破られる約束

広告による収益があるからこそ、GoogleはGmailのようなサービスを無料で提供できている。ただ、これはGoogleが長年あらゆるトラブルに巻き込まれてきた元凶でもある。

Googleは当初からGmailに広告を導入しており、長年にわたって双方の良質な体験を考えたUX作りを心掛けてきた。近年のGoogleを見ると、初期の段階では無料サービスを立ち上げ、後から収益化を目指す流れへと変化しており、ある意味で余裕があるという考え方もできるだろう。ここで触れておきたいのは、確かにGoogleはPlxeを発表した際の声明で「Google Payは第三者へのデータ販売、ターゲティング広告のためにユーザーの取引履歴を共有したりすることはありません」と表明していることだ。

しかし、問題はいつでもGoogleはそのスタンスを変えることができる。また、彼らのビジネスモデルを考えれば、約束を破るインセンティブが充分にあるようにも思える。

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Googleのまっとうな倫理観が既に存在しないことは、ほかの部門の動きを見ても明らかだろう。例えば、ちょうど今週あったYouTubeがわかりやすい。彼らは、YouTube Partner Program(YPP)が充分に軌道に乗っていないことを受け、利用規約を更新した

本日より、YPPに参加していないチャンネルの中から限定していくつかの動画に対し広告を掲載することを決定しました。そのため、YPPにまだ参加していないクリエイターの動画に広告が表示されることがあるかもしれません。ただ、YPPに参加していないため、収益の分配権利をクリエイターの方は持つことはできません。もちろん、以前までと同じように要件を満たせばいつでもYPPに参加することが可能です。

つまり、Googleは制限のない全てのクリエイターがYouTubeにアップロードする動画に広告を掲載し、プログラムに参加していなければ収益を分配しないというのだ。なぜか?それは、Googleの主な顧客が広告主だからだ。

今年初めに、Googleの親会社Alphabetが初めて収益報告書の項目にYouTubeの広告収益を記載しだしていたが、もちろん偶然ではないのだろう(次につづく)。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

フリーランス・個人事業主向けモバイルバンク「Lili」

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ピックアップ:Freelancer banking startup Lili raises $15M ニュースサマリー:フリーランス・個人事業主向けオンラインバンク「Lili」はシリーズAにて、1500万ドルの資金調達を実施したことを発表している。リード投資家にはGroup 11が参加し、Foundation Capital、AltaIR Capital、Primary Venture Partn…

Image Credit : Lili

ピックアップ:Freelancer banking startup Lili raises $15M

ニュースサマリー:フリーランス・個人事業主向けオンラインバンク「Lili」はシリーズAにて、1500万ドルの資金調達を実施したことを発表している。リード投資家にはGroup 11が参加し、Foundation Capital、AltaIR Capital、Primary Venture Partners、Torch Capitakなどの既存投資家、また新しくZeev Venturesが同ラウンドより参加している。同社は今年6月に、シードラウンドにて1000万ドルの資金調達を実施しており、わずか4カ月でのラウンドとなった。

話題のポイント:チャレンジャーバンクやオンラインバンクの登場に伴い、同市場の中でもセグメントを小さくしサービスを作り上げるスタートアップが数多く登場してきています。例えばチャレンジャーバンクでは、若者世代にターゲティングした「Yotta」、「Chime」や「Step」が挙げられ、また、Z世代家族にフォーカスした「Kard」などのユーザーターゲティング戦略を持つスタートアップが増えてきている印象です。

今回調達を発表したフリーランス向けオンラインバンクLiliも、既に多くの競合が存在しており例えば「Oxygen」やZenBusinessに買収された「Joust Labs」が挙げられます。フリーランス・個人事業主向けオンラインバンクの特徴として共通しているのが、日々の出費管理や税申告など、キャッシュフローを包括的にサポートする機能です。

また、キャッシュフローが安定性を持てるよう、入金日より数日早く口座に反映させるサービスなどもフリーランス向けモバイルバンクの特徴ともいえるでしょう。ただ、今のところ若者世代向けモバイルバンクに比べると目立った機能は少ない点は懸念すべきかもしれません。

現段階では、UI/UXの面での使いやすさからフリーランスのユーザーを集め、将来的には融資やクレジット事業などへの展望を想定しているのだと思います。今までは、銀行や公的機関でのキャッシュフローによって個人のクレジットは評価されてきましたが、チャレンジャーバンクやモバイルバンクの一般化で新しいクレジットの形が誕生するのもそう遠くはないでしょう。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

2016年創業、チャレンジャーバンクのJikoは「銀行買収」でショートカットを狙う

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ピックアップ:Jiko raises $40 million to become a most unusual challenger bank ピックアップ:チャレンジャーバンクの「Jiko」は10月、シリーズAにて総額4000万ドルの資金調達を実施したと発表している。リード投資家にはUpfront Venturesが参加している。同社は2016年創業。今年9月には、ミネソタ州に拠点を置き60年の…

ピックアップ:Jiko raises $40 million to become a most unusual challenger bank

ピックアップ:チャレンジャーバンクの「Jiko」は10月、シリーズAにて総額4000万ドルの資金調達を実施したと発表している。リード投資家にはUpfront Venturesが参加している。同社は2016年創業。今年9月には、ミネソタ州に拠点を置き60年の歴史を持つ中堅銀行「Mid Central National Bank」を買収している。

話題のポイント:例えばChimeなど米国を拠点とするチャレンジャーバンクの多くはFDIC(連邦預金保険機構)の支援を受けた機関と提携して銀行業をはじめます。逆に既にある程度の与信があれば、SquareやSoFiのように国家公認の銀行設立免許を獲得することも珍しくありません。

しかし、今回調達を発表したJikoは今までのフィンテックスタートアップが歩んできた道を全てショートカットした戦略を進めています。上述通り、同社は今年9月に1957年創設のMid Central National Bankを買収しています。もちろん同行はFDICのメンバーです。そのため、結果的にJikoは買収を通じて既存顧客や金融インフラも一挙に手に入れることに成功したのです。

ちなみに、Mid Central National Bankのホームページは「フィンテック」とはかけ離れたレガシーな見た目をしています。

Mid Central National Bankのホームページ

また、同社はまだプロダクトローンチが完了しておらずウェイトリストを募集している状態です。つまり、Jiroはプロダクトローンチよりも前に既存銀行の買収を実施したという今までのチャレンジャーバンクが歩んできたルートとは真逆の一手を踏んでいると言えるでしょう。

モバイルバンク自体の機能としても例えば預金が米国債券(U.S. Treasury Bills)への投資に回されるなどの幾つかの特色を持っています。最近のチャレンジャーバンクの動きと言えば、YottaやStepなど若者世代に特化した枠組みでの登場が増えていました。今後Jikoが正式リリースされ、いかに買収済みの銀行を生かし業界を勝ち抜いていくのかに注目です。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

Googleが銀行サービス「Plex」発表、Google Payの体験も次のステージへ

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ピックアップ:Google Pay reimagined: pay, save, manage expenses and more ニュースサマリー:Googleは18日、Google Payを通したデジタルバンクサービスの提供を2021年1月より米国ユーザー向けに開始すると発表した。同サービスは「Plex Account」と呼ばれ、米国における11の銀行やクレジットユニオンがパートナー企業として…

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ピックアップ:Google Pay reimagined: pay, save, manage expenses and more

ニュースサマリー:Googleは18日、Google Payを通したデジタルバンクサービスの提供を2021年1月より米国ユーザー向けに開始すると発表した。同サービスは「Plex Account」と呼ばれ、米国における11の銀行やクレジットユニオンがパートナー企業として参加する。なお、現段階ではCitiまたはSFCU(Stanford Federal Credit Union)であればウェイトリスト申請することが可能だ。

話題のポイント:Googleが来年から提供開始するPlex Accountでは、Google Payを通して簡単に銀行口座を開設できるようになります。同社がパートナシップを結ぶ銀行が、銀行業務のバックエンドを支えることになり、フィンテックスタートアップの手法とよく似ています。

またGoogle Pay自体のコンセプトを、よりソーシャル性高い体験へシフトすることも発表しています。これは、例えば今までVenmoやFacebook Payが提供していた個人間送金のマーケットと被っています。また、toBにおけるSNS性にもフォーカスしていくとしており、Google Payを通した支払いにおけるロイヤリティーやクーポンなどが充実することが予想されます。toBに関しては、今まで主にGoogle Maps上に表示していたローカル・オファーを上手くGoogle Payと融合させることになるのでしょう。

Image Credit : Google

Plexの話に戻ると、Plex Accountでは普通・当座預金どちらにも管理費や最低預金残高の指定はありません。もはやモバイルバンクがあり触れている今となっては特別驚くことでもありません。ただ、銀行業自体は今でもそうしたレガシーな手数料が生じる既存金融機関が担当することを考えると、StepやChimeなどとは多少違った存在になるのかもしれません。

ただ一つ言えるのは、将来的にGoogle PayとPlex Accountが若者世代などの層に浸透してしまえば、わざわざ他の銀行口座・モバイルバンクに切り替えるメリットはほぼなくなる、ということです。現段階において、チャレンジャーバンクや関連フィンテックスタートアップは、若者世代にフォーカスした戦略を打ち出していますが、それを全てGoogleが中長期的に見れば飲み込んでしまう可能性もあります。

CNBCによれば、Plexは口座開設後、申請すれば物理的なデビットカードをマスターカードで発行可能と報じています。Plexのサービス自体が開始される来年1月の段階までに、モバイルバンク市場の様相がどのように変化していくのかとても楽しみです。

APIで投資サービスを手軽に立ち上げ「Fintech as a Service」の波を掴むDriveWealth

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コロナの影響で全体的に消費行動は冷え込みました。一方、給付金を使って株式投資に手を出すという需要も掘り起こされたようです。特にトラクションを伸ばしたのが投資アプリ「Robinhood」です。同社は112億ドル価値で2億ドルを8月に調達。2020年6月のDARTs(Daily Average Revenue Trades)は431万ドルであり、同年第2四半期のDARTsが第1四半期比で倍増するという…

Image Credit:DriveWealth

コロナの影響で全体的に消費行動は冷え込みました。一方、給付金を使って株式投資に手を出すという需要も掘り起こされたようです。特にトラクションを伸ばしたのが投資アプリ「Robinhood」です。同社は112億ドル価値で2億ドルを8月に調達。2020年6月のDARTs(Daily Average Revenue Trades)は431万ドルであり、同年第2四半期のDARTsが第1四半期比で倍増するという伸びを示しました。

少額投資分野は熱を帯続けていますが、こうした需要を汲み取ろうとしているのがチャレンジャーバンクです。

従来の銀行よりも手数料が安く、使い勝手の良いモバイル体験を提供する彼らにとって、顧客に対して預金を効率的かつ気軽に投資できる体験を提供することは、昨今の市場動向から必須となっています。口座機能と投資サービスを結びつける流れができつつあるのです。

ただ、投資サービスを立ち上げるのはコストがかかります。そこで登場したのが、APIを通じて金融事業者に投資機能を提供するFintech as a Serviceの業態になります。この分野の草分けが「DriveWealth」です。10月27日には5,670万ドルを調達しています。

DriveWealthは事業者が少額投資サービスを立ち上げられるためのAPIを提供しています。提携企業にはRevolutやMoneylionを筆頭とするチャレンジャーバンクの名前が並んでいて、現在153カ国にサービスを提供しており、米国株の取引を世界中に広めています。競合にはY Combinator出身のAlpacaなどが挙げられます。

チャレンジャーバンクが狙う顧客層はZ世代の若者たちです。彼らはクレジットヒストリーを持たないことから、クレジットカードを発行できなかったり、適切な年齢になるまで気軽に銀行サービスにアクセスできない課題意識を持っていました。この課題を解決するために動いているのが、若者向け新興バンク「Current」に代表される企業です。

こうしたスタートアップが率先して投資サービスを提供することで、今後さらに欧米の少額投資市場は拡大することが見込めるはずです。日本とは違い、投資に手を出すハードルの低い海外では、DriveWealthを筆頭とする投資APIの市場はさらに拡大していくと考えられます。

行動経済×チャレンジャーバンクーーイスラム教徒向けオンライン銀行「insha」

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行動経済とフィンテックの相性の良さは度々目にします。出費を抑えたり、貯蓄目標を達成させるために特定の行動をトリガーとする設計のものです。 たとえば貯蓄アプリ「Qapital」。2015年に米国で立ち上げられ(創業はスウェーデン)、3,000万ドルの調達を果たした2018年には米国市場で42万ユーザーを抱え、5億ドル近くが貯蓄されたといいます。同社はデビットカードから予算管理ツール、ロボ投資に至るま…

Image Credit:insha

行動経済とフィンテックの相性の良さは度々目にします。出費を抑えたり、貯蓄目標を達成させるために特定の行動をトリガーとする設計のものです。

たとえば貯蓄アプリ「Qapital」。2015年に米国で立ち上げられ(創業はスウェーデン)、3,000万ドルの調達を果たした2018年には米国市場で42万ユーザーを抱え、5億ドル近くが貯蓄されたといいます。同社はデビットカードから予算管理ツール、ロボ投資に至るまで、多岐にわたるサービスを展開しています。

ユーザーは自分で貯金目標額と、そのためのトリガー行動を設定します。たとえば毎日スタバでコーヒーを買うのであれば、カード利用されると同時に同額を貯金すると言った具合です。ユーザーの目標を満足させるため、日常行動を基にサポートするQapitalの業態はある程度市場にハマっているようです。

Qapitalのサービス形態はターゲットを変え、特化市場向けに応用されています。それがイスラム教徒向けのチャレンジャーバンクを展開する「insha」です。

Image Credit:insha

inshaは欧州市場を中心に展開する、「規範ある口座」をコンセプトにした銀行サービスです。オンライン銀行口座や貯蓄目標のサポートなどはQapitalと同じ。同社は先日250万ユーロの調達に成功しています。預金が何に使われているかを気にする倫理的意識の高い消費者層に向けて、より幅広い金融商品を提供するのがinshaです。同社の投資口座を利用することで、ユーザーは倫理的なビジネスアイデアに投資することができるようになります。

もともとイスラム教では自分で働くことなくお金を稼ぐことが嫌われています。

そのためinshaでは、利息を徴収する消費者ローンに預金が使われていないことが保証されています。加えて、投資講座の運用資金が武器製造業者を筆頭とする道徳的に問題性のある企業へ流れることもありません。お金の流れも宗教や改修制度に伴うことで変わってきます。UXも当然変わるので、この点を行動経済学に則って最適化させたのがinshaです。

イスラム教は世界で大きな影響力を持つ宗教のひとつです。中東や東南アジア、中国にもリーチできる市場がありますし、Qupitalとは違い市場特化型のサービスであるため、同じ共通点を持ったコミュニティ形成もしやすい印象があります。TAM(Total Addressable Market)の大きさを考えつつ、他社と違いのあるコンセプトを打ち出すことで差別化の図りやすいサービス事例の好例と言えるでしょう。

今回はイスラム教の事例を挙げましたが、それ以外にも特定の疾患や職種、民族、ジェンダーに最適化したオンライン銀行が出てくるかもしれません。金融機関も幅広く種類が用意される時代になってきそうです。

預金で「宝くじ」が貰えるYotta、新たなチャレンジャーバンクの座を狙う

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ピックアップ:Yotta Savings Banks On $3.3M Seed Round To Propel Prize-linked Savings Accounts – Crunchbase News ニュースサマリー:新たなチャレンジャーバンクの座を狙う「Yotta」は9月30日、シードラウンドにて330万ドルの資金調達を発表した。同ラウンドに参加したのは、Slow Ventures、F…

ピックアップ:Yotta Savings Banks On $3.3M Seed Round To Propel Prize-linked Savings Accounts – Crunchbase News

ニュースサマリー:新たなチャレンジャーバンクの座を狙う「Yotta」は9月30日、シードラウンドにて330万ドルの資金調達を発表した。同ラウンドに参加したのは、Slow Ventures、Funders Club、TwentyTwo VC、Chapter One、CapitalX、Y Combinator。同社は毎週一定額以上の金額を該当口座に貯金することで、「宝くじ」を引けるサービスを展開している。行動経済学に基づき、長期的に見れば預貯金額が最大化できる新しい銀行の形を目指す。

話題のポイント:同社は2020年春季のY Combinatorアクセラレータープログラムの卒業生です。最高で1千万ドルの賞金を掲げており、かなり業界の中でも挑戦的かつ若者世代の心を掴みにきました。Yottaの「掛け金」には預かりの貯金額に余裕を持たせてあると想像しますが、ユニットエコノミクス確立が実際にできるのかどうかは不明です。フィンテックに行動経済学を足し合わせた分野では、QapitalLemonadeが参入していることから、Yottaも巧みにユーザー心理をついた新興銀行のポジションを狙っていることが窺い知れます。

仕組みはシンプルで、まずユーザーは25ドル単位で利用している金融機関からYottaに対し振り込みをします。25ドルごとに「チケット(宝くじ)」を受け取ることが可能で、実際の宝くじのように7つの番号を選択します。数字の抽選は毎日7日間行われ、最終的に日曜日に該当週の当選番号が決定するという流れです。

選んだ数字とマッチすればするほど当選金額は上昇し、最大で1,000万ドルの賞金を獲得することが可能です。さらには、同社の預金金利は0.2%をベースとしています。そのため、Yottaに預金していれば金利での利回り+賞金獲得のチャンスを同時に獲得することができるのです。

Image Credit : GoBankingRates

2019年にGoBankingRatesが公開したデータによれば、回答した米国の69%の人の預金総額が1,000ドル以下という状況もあるようで、さらに貯金額5,000ドルまでレンジを上げると全体の80%以上というから驚きです。Yottaは宝くじで高額当選という、いかにも若者世代に特化した機能にも思えますが、こうした社会問題を考えると案外、効果的な施策であるのかもしれません。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏

 

チャレンジャーバンクの「Kard」はZ世代家族にフォーカスした戦略を展開

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  ピックアップ:Kard raises another $3.5 million for its challenger bank for teens ニュースサマリー:Z世代向けチャレンジャーバンク「Kard」は23日、昨年のシードラウンドに引き続き350万ドルの資金調達を実施したと発表した。これにより、同社はシードにて700万ドルの調達を完了したこととなる。Founders Futu…

 

ピックアップ:Kard raises another $3.5 million for its challenger bank for teens

ニュースサマリー:Z世代向けチャレンジャーバンク「Kard」は23日、昨年のシードラウンドに引き続き350万ドルの資金調達を実施したと発表した。これにより、同社はシードにて700万ドルの調達を完了したこととなる。Founders Futureがリード投資家として主導し、その他エンジェル数人が参加している。

話題のポイント:Kardは主にZ世代、特に10代の需要に合わせた戦略で金融サービスを提供しています。月額サブスクリプションを採用し、家族単位で月に約5ドル(4.99ユーロ)でサービスの利用が可能です。例えば同じチャレンジャーバンクのN26やChimeなどは、利用者からのサブスクモデルを打ち出していませんが、同社はあえて有料化することで10代の子供を持つ家族が利用しやすくなるような付加価値を提供しています。

具体的には、保護者が直接的に子供の口座を管理できるようアプリからすぐに入金できる点や、振り込み頻度のスケジューリングをフレキシブルに設定することができるなどです。また、口座を保有していれば自動でスマホ損傷保険を利用でき、ティーンの求める機能が今後も増え続ける雰囲気を見せているのも特徴です。

他のチャレンジャーバンクも、既存金融機関が実現できない関連機能を続々と実装していますが、同社では金融をベースとした包括的なライフスタイルサービスの提供も視野に入れているようです。例えば収益軸を月額利用料に置くことで、低金利な学生ローンも実現するかもしれませんし、また、10代の内から家族単位でお金の運用をすることで、投資体験を身近にできることも利点の一つです。

小さいころから始めるお金の教育が注目される中、「Kard」を始めとするZ世代+家族にフォーカスしたチャレンジャーバンクは大きな需要を集める気がします。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏