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ライドシェア保険から紐解くインシュアテックの今(2/2)

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社のInvestment Group、Directorの皆川朋子氏が共同執筆した。 コラボレーションの必要性 (前回からのつづき)ではこういった業界の大きな変化は誰が担うべきなのだろうか。 事例で挙げたBuckleはライドシェアに目をつけ、大手プラッ…

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社のInvestment Group、Directorの皆川朋子氏が共同執筆した。

コラボレーションの必要性

「Insure as a Service」を展開するドイツのELEMENT

(前回からのつづき)ではこういった業界の大きな変化は誰が担うべきなのだろうか。

事例で挙げたBuckleはライドシェアに目をつけ、大手プラットフォームと保険企業も巻き込み事業拡大を目指している。大手はなぜここを総取りできなかったのか。

実は国内でも大手保険会社はすでにシェアリング向けのサービスを展開している。東京海上日動火災保険は2017年にいち早くシェアリング関連の自動車保険の販売を開始している。

他方、オンデマンドのような新しい業態の到来や、査定の自動化などにおけるビッグデータのリアルタイム活用には、従来の保険システムでは対応しきれない場合がほとんどだ。かといって重厚長大な既存システムを大幅に変更するには年単位の時間とコストがかかり、大手は機敏に動けない。例えば「スマホ対応」と言っても、簡単にできるようなものではないのだ。

こういった足回りの問題で単独での展開が難しい場合、やはり候補として挙がるのはコラボレーションの方向性になる。

例えば、グローバル・ブレインが支援するドイツの「ELEMENT」は保険サービスに必要な機能をモジュールのようにして提供する「Insure as a Service」を展開しているのだが、先頃、三井住友海上火災保険と提携したことを公表している。これにより今後、多様化する保険商品の開発を加速させる効果が期待されている。

今後を占うP2P保険

ライドシェア保険をきっかけに、インシュアテックにまつわる領域を説明してきた。最後にP2P保険についても言及しておきたい。

グローバルでは米Lemonade、中国アリババグループの相互宝、日本ではjustInCaseが展開している新しい保険のスキームだ。加入者の誰かが被保険者となった場合、加入者でそのリスクを分担する仕組みで、justInCaseのわりかん保険では、加入者の誰かががんになった時、契約者全員でその保険金を「わりかん」する。

justincaseの提供する「わりかん保険」

「わりかん保険」では、一般的な保険料の毎月・前払いではなく、前月にがんになった人の数で支払う金額がきまる仕組みで、対象者がいなければ保険料を支払う必要はない。今後もP2P保険のように、全く新しい形の保険サービスは増えてくるだろう。

ライドシェア保険から紐解くインシュアテックの今(1/2)

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社のInvestment Group、Directorの皆川朋子氏が共同執筆した。 2019年にMcKinseyが発表したレポートによると、2012年以降のインシュアテック(保険テクノロジー領域)への合計投資額は100億ドルに上るという。また、Acc…

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本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社のInvestment Group、Directorの皆川朋子氏が共同執筆した。

2019年にMcKinseyが発表したレポートによると、2012年以降のインシュアテック(保険テクノロジー領域)への合計投資額は100億ドルに上るという。また、Accentureの別レポートでは、86%の保険会社が競争力を維持するためにイノベーションを加速させる必要があると答え、87%がもはや業界は直線的ではなく指数関数的な成長を見せていると回答している。

保険業界を大きく変えるインシュアテックで今、何が起こっているのか。グローバル・ブレインでは国内P2P保険を手掛けるjustInCaseに昨年投資をしているが、この領域での知見をいくつかのポイントに整理してみたいと思う。

オンデマンド経済が変えた保険のあり方

昨今の保険業界に大きな影響をもたらすキーワードとして「オンデマンド経済」と「ビッグデータ」が挙げられる。まずはオンデマンド経済と保険の関係性から紐解いていきたい。

日本でUberEatsのようなオンデマンド配達サービスが流行っているように、スポットで短時間だけ働ける環境が整いつつある。すると、従来の保険とは違うスキームが必要とされてくる。世界的にはライドシェアが最たる例であろう。

8月に3,100万ドルの調達を発表した「Buckle」というスタートアップは、ライドシェアを利用するドライバー向けに保険を提供している。従来の保険会社が年齢や運転歴などの要素を考慮するのに対し、Buckleはライドシェアの評価なども考慮に入れて柔軟な保険プランを提案しているのが特徴だ。

シェアリング市場は日本でも様々な領域で広がっている。多数拠点の居住サービスや留学生向けの民泊、キャンピングカーやヨットといったものまでシェアの考えは浸透し始めている。

これは何を意味するのか。シェアは所有に比較して稼働する時間が少ない。一方、不特定多数が利用することのリスクも高まる。また、シェアというのはオンデマンドとセットになっている。つまり「より細分化された柔軟な保険」に対するニーズが高まっていた、ということが市場背景として考えられる。

ちなみに国内では、2006年に施行された少額短期保険(いわゆるミニ保険)によって、こういった新しい経済圏に対して保険が対応しやすくなったことも付け加えておく。

ビッグデータで変わる保険業界

justInCaseの「スマホ保険」はセンサーデータからスコアを算出

もうひとつの視点で重要なのがビッグデータの存在だ。保険とデータは相性がよい。

自動運転車に対して保険サービスを提供する「Avinew」もこのトレンドに合致するだろう。自動運転技術はデータの宝庫だ。どの道をどんな天候で選ぶのかによって事故の発生率が事前予測しやすくなった現代では、データで保険料を変動させることができる。

スマートフォンの保険を展開するjustInCaseの場合、スマホの各種センサーを活用したデータスコアリング(安全スコア)を計測している。ユーザーがどのような使い方をしているのかをデータから割り出し、より個人に最適化されたカタチの保険提案を実現している例だ。

また、医療・ヘルスケアデータの活用も注目される領域だ。従来の医療保険では基礎疾患や過去の疾病履歴により加入できない場合があるが、例えばウェアラブルデバイスを装着することで生体データを取得したり、食事内容をモニタリング・記録するなど、疾患を予防できる日々のエビデンスを得ることにより加入対象を拡大できる可能性が広がる。

もう一点、ビッグデータの活用と並び、保険業務そのもののデジタル化の影響も大きい。

例えば昨今発生した感染症拡大の問題で、変わらざるをえなかったのが対面契約のあり方だ。非対面での営業活動が長期化する中、テレビ電話やLINEなどのチャットで保険の説明を完結させる流れが徐々に生まれつつある。

海外の事例では火災保険なども、書類提出プロセスがデジタル化されていたり、衛星写真から家の写真を撮影して、その場で保険料を自動計算できたりと効率化が進んでいる例もある。

こういったプロセス自体の効率化においても、スタートアップ参入の間口が広がることもインシュアテックを語る上で重要な視点になろう。(次につづく)

 

三井不動産「31 VENTURES」、85億円規模のCVC2号ファンド組成を発表——アーリー〜ミドル期出資注力へ

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ベンチャー共創事業「31 VENTURES」を展開する三井不動産(東証:8801)は16日、都内で戦略発表会を開催し、この席上、85億円規模となる新ファンド「CVC 2号」の組成を発表した。 2016年に発表した CVC 1号がシード〜アーリーステージを対象としていたのに対し、2号では—アーリー〜ミドルステージを対象とする。より成熟したスタートアップを対象とするため、必然的に1ショットのチケットサ…

左から:三井不動産 ベンチャー共創事業部 グループ長 小玉丈氏、三井不動産 執行役員ベンチャー共創事業部長 金谷篤実氏、ファンドを共同運用するグローバル・ブレイン代表取締役の百合本安彦氏
Image credit: 31 Ventures

ベンチャー共創事業「31 VENTURES」を展開する三井不動産(東証:8801)は16日、都内で戦略発表会を開催し、この席上、85億円規模となる新ファンド「CVC 2号」の組成を発表した。

2016年に発表した CVC 1号がシード〜アーリーステージを対象としていたのに対し、2号では—アーリー〜ミドルステージを対象とする。より成熟したスタートアップを対象とするため、必然的に1ショットのチケットサイズも以前より大きくなる見込み。投資テーマは、Real Estate as a Service、デジタルトランスフォーメーション、スマートシティ、新事業領域のビジネスの発掘の4つで、三井不動産の本業との関係性をより意識したものに設定された。

Image credit: 31 Ventures

投資領域については、CVC 1号では不動産テック、IoT、サイバーセキュリティ、シェアリングエコノミー、E コマース、フィンテック、環境・エネルギー、ロボティクス、AI・ビッグデータ、ヘルスケアの10領域だったが、2号ではこれらに加え、モビリティ、宇宙商用化、食品、農業、エンターテイメントの5領域を追加。これまでの活動を通じて社内でもスタートアップとの共創に対する理解が高まり、ファンドを共同運用するグローバル・ブレインと国内外のネットワークを拡大できたと評価した。

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Image credit: 31 Ventures

三井不動産では、これまでに CVC 1号から39社に対して投資を実行、また、2017年に運用を開始したミドル〜レイターステージのスタートアップを対象とした300億円規模のファンド「31 VENTURES-グローバル・ブレインーグロースI」からは2社に対して投資を実行していたことを明らかにした。うち、リビングスタイル、CrediFi、Enlighted、マテリアルコンセプト、ライフロボティクス、SiteWare の6社はイグジットしている。

(クリックして拡大)
Image credit: 31 Ventures

31 VENTURES が本格始動した2015年以降、三井不動産では東京・日比谷ミッドタウン「BASE Q」の展開、プロトスターとの「“E.A.S.T.”構想」の発表、起業家育成コミュニティ「Swing-By」の運用を通じて、起業家やスタートアップとの連携が深まってきたと強調。戦略発表会では、三井不動産が持つ不動産や顧客アセットを活用したスタートアップとの共創事例も紹介された。同社では今後、これまで以上に三井不動産の新事業を創出を加速し、スタートアップの事業ブーストも共に支援強化させていくとしている。

パンデミックで激変する日本の医療、スタートアップはどう戦う?

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社のInvestment Group、Principalの松尾壮昌氏、Directorの守口毅氏が共同執筆した。 パンデミックの影響もあり、医療分野のデジタル化が急務となっている。 Fierce Healthcareによると、2020年第1四半期にお…

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本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社のInvestment Group、Principalの松尾壮昌氏、Directorの守口毅氏が共同執筆した。

パンデミックの影響もあり、医療分野のデジタル化が急務となっている。

Fierce Healthcareによると、2020年第1四半期における遠隔医療系スタートアップの資金調達額は7億8800万ドルで、実に前年同時期の2億2,000万ドルから3倍のジャンプアップを果たした。さらにデジタルヘルス全体の資金調達額でみると、過去最高の36億ドル(2020年第1四半期)をマークしている。

遠隔医療以外でデジタルヘルス分野の調達額トップ領域はデータ分析(5億7,300万ドル)、臨床意思決定支援(4億4,600万ドル)、mHealthアプリ(3億6,500万ドル)、ヘルスケア予約(3億600万ドル)、ウェアラブルセンサー(2億8,600万ドル)と続く(全て2020年第1四半期のデータ)。これらの領域が次のヘルスケア分野を牽引するとみられる。

さて、Accentureでは感染症拡大が医療分野にもたらした変化として次の5つを挙げた

  1. モバイルサービス向けのバーチャル労働力の組成
  2. バーチャルケア・在宅ケア・遠隔医療の3つのソリューション加速
  3. 福利厚生拡大と規制緩和促進
  4. 必須供給品の迅速な手配
  5. 手動コールセンターに代表される労働力の自動化と戦略的人員配置

バーチャルケアは、認知行動療法に基づくメンタルケアサービスを提供する「Big Health」が当てはまるだろう。在宅ケア分野では慢性的な筋骨格系疾患に特化したサービス「Hinge Health」が挙げられる。自宅で専用ベルトでトレーニングをさせながら、チャットベースの相談にも乗ってくれる。

遠隔医療「ならでは」の体験を作れ

では、遠隔医療分野はどのような状況だろうか。注目が集まっているのが動画診察などの「リアルタイム同期性」を持つ領域だ(非同期性のものはメール診察など)。

例えば今年7月に7,500万ドルの調達を果たした「Doctor On Demand」はこの領域で有名だ。同社はサンフランシスコを拠点に、医療従事者と患者をマッチングさせ、オンデマンド形式の診察サービスを提供する。現在は9800万人以上の生活をカバーしているという

また、最近では遠隔医療と小売の分野が融合し始めている。男性向けヘルスケア商品を扱う「Hims」がそれだ。同社は男性の脱毛薬や精力薬までをD2Cの業態で販売。遠隔医療による医師によるオンライン診察も受け付けており、自宅にいながらにして安心して処方箋を出してもらえる体験を提供する。

彼らの体験で重要なのがプライバシーの扱いだ。身体的なコンプレックスに関係しているからこそ、顧客体験は単に医療品購入では終わらない。専門医によるアドバイスと処方箋を通じたフォローアップまで提供することで顧客満足度を高め、成長してきた。7月には上場を目指しているという報道も出ている注目株だ

つまり、遠隔医療はコスト削減だけでなく顧客満足度を最大化させる、カスタマージャーニー上でも重要な要素なのである。今後、ヘルスケア用品を扱う小売ブランドは医療業界のオンライン化に伴い、Himsのような総合的なケアサービスを開発するまでに至るだろう。

遠隔医療におけるAI活用法

Accentureの別レポートではAIを医療トレンドの引き合いに出している。AIも遠隔医療分野には欠かせない要素だ。特定の疾患関連情報の内、適切なものをフィードバックしてくれる「キュレーター」であり、医師に寄り添って最善の治療法を患者に提案してくれる「アドバイザー」にもなり得ると指摘する。

例えばAIを活用したプライマリーケアコンサルタント「K Health」では、膨大な医療論文データが組み込まれており、簡単なQ&Aの回答から患者にとって適切な治療法を提案してくれる。月額9ドルのVIPプランでは、実際に医師による診察が入るが、事前にAIによる診察を経ているため基礎情報が揃っている形で通される。AIがスムーズに人力の遠隔医療チームへとバトンを引き継ぐ体制を構築している。

日本における遠隔医療の動きと課題

MEDLEYのオンライン診療システム「CLINICS」

ここまで米国における遠隔医療分野における最近の動きを紹介してきた。それでは国内ではどうなのであろうか。まず大きな動きとしては、日本政府は4月から初診対面診療の緩和を実施し、時限的ではあるものの、オンライン診療や服薬指導の幅を広げる動きを示している。

例えばグローバル・ブレインの出資先「MEDLEY」(2019年12月・東証マザーズ上場)は、2016年よりオンライン診療システム「CLINICS」を提供していたが、9月から調剤薬局向けオンライン服薬指導支援システム提供を開始する。スタートアップにも早速市場の動きが反映されている格好だ。

ただ、先行する米国とは大きく異なる部分がある。それが皆保険制度にまつわる「インセンティブ構造」の違いだ。米国では基本、医療費は自己負担が前提になるのでコストカットなどの課題が立てやすい。また、保険会社や政府、医療機関などステークホルダーが複数に渡ることで、医療ビジネスのバラエティが豊富になっている。

一方、医療費が皆保険によって安価に設定されている日本では、例えば予防医療などのテーマを立てても「医療機関に行けばよい」という力学が働き、成立しにくくなる。これは国内の医療系スタートアップを考える上で重要なポイントになる。

どこにペインがあるのか

では、そういった前提を踏まえた上で、どこにチャンスがあるのだろうか。「Bain & Company」ではアジアに住む患者のヘルスケアに対するニーズを紹介している。特徴的な意見を大きく3つ挙げる。

  1. パーソナライズ化した予防医療
  2. 病院での短い待ち時間
  3. 健康的なライフスタイルを送るためのインセンティブ付き保険

まず予防医療だ。医療費が高いから予防する、という課題設定が成立しにくいからこそ、違ったアプローチが必要になる。

例えばグローバル・ブレインの支援するPREVENTは、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の再発防止・重症化予防を、ライフログのモニタリングおよび電話面談で実施している。特徴的なのは、彼らが健康保険組合と積極的に取り組みをしている、という点だ。従業員の健康維持、医療費の軽減を目的としている保険組合だからこその動機付けが発生するケースだろう。

次に遠隔医療の可能性だ。そもそもオンライン診療だけだと差別化がしづらいという課題がある。ただ医師と話せる場だけを用意するのであれば、先行優位のプラットフォームが勝つ可能性が高い。ということはやはり「Hims」のように、患者にとって対面通院に課題感のある領域で活躍するスタートアップが成長するのではないだろうか。

また、オンライン化が図られることで取得できるデータ量は確実に増える。これらのモニタリングデータは保険料適正化に繋がるはずだ。

地方の問題も大きい。患者が疾患を認識(Awareness)、通院・診断して、後日モニタリングする。ここまでの流れは基本的に全てオンラインで完結すると考えている。地方の病院が減ってくる中で、オンライン診療との組み合わせは大きな可能性を秘めていると言えよう。

ということで、考察してきたように日本の医療ビジネス環境には特有の課題もありつつも、投資目線で言えば今は大いに好機とみている。この領域に取り組むスタートアップと共に課題解決を目指したい。

多様化するクラウドファンディング、日本的寄付として根付くか

  本稿はPR TIMES STORYからの転載記事。一部、執筆者の許諾を得て要約・編集をしております 新型コロナウイルス蔓延の影響で危機的状況に置かれる事業者が増加するなか、寄付などの支援の輪が広がっているようです。コロナ給付金寄付実行委員会、パブリックリソース財団によると、約4割の方が新型コロナウイルスにより経済的影響を受けた個人や団体等に10万円給付金の一部を活用したいと回答したそ…

 

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Photo by Dio Hasbi Saniskoro from Pexels

本稿はPR TIMES STORYからの転載記事。一部、執筆者の許諾を得て要約・編集をしております

新型コロナウイルス蔓延の影響で危機的状況に置かれる事業者が増加するなか、寄付などの支援の輪が広がっているようです。コロナ給付金寄付実行委員会、パブリックリソース財団によると、約4割の方が新型コロナウイルスにより経済的影響を受けた個人や団体等に10万円給付金の一部を活用したいと回答したそうです。

こうした回答の背景には、オンラインで手軽にできる「ふるさと納税」や「クラウドファンディング」の普及により、寄付がより身近な存在へと変化したことがあると考えられます。

ふるさと納税とは応援したい自治体に寄付をすると、住民税の還付や地方の名産品などの返礼品を受け取ることができる仕組みです。また、インターネット上でお金が必要な事業や個人と、お金を支払う余裕のある人を結びつけるクラウドファンディングも市民権を得てきました。仕組みの違いにより「購入型」「寄付型」「投資型」「貸付型」などに分類されます。

日経BPマーケティング社の「デジタル金融未来レポート」によると、2019年の購入型の決済総額は約135億円、貸付型の貸付残高は約976億円で、今後5年間で購入型は約14倍、貸付型は約5倍に成長すると予想されています。コロナ禍では特に購入型に注目が集まっており、中でもCAMPFIREの提供する「新型コロナウイルスサポートプログラム」は、2020年2月末から2020年7月時点までで63億円超の金額を集め、支援者数は延べ56万人にも拡大したそうです。

日本でなかなか進まない寄付文化

実は欧米諸国などに比べると、日本における寄付金総額は大きいとは言えません。日本ファンドレイジング協会の「寄付白書2017」によると、日本の個人寄付総額は2016年で7,756億円、東日本大震災で寄付が活発になった2011年でも1兆182億円です。人口や経済規模が異なるため単純な比較はできませんが、アメリカの2016年の個人寄付総額は30兆6,664億円、イギリスの個人寄付総額は1兆5,035億円です。

では一体なぜ、他先進国に比べて日本ではあまり寄付が活発ではないのでしょうか?その一因には「文化」や「税制」の違いがあります。

例えばアメリカの場合は日本よりもNPO法人の数が多く、中には一流大学の卒業生が就職先に選ぶほど人気や影響力のある団体もあるようです。また、アメリカには税制優遇措置の対象となっているNPO法人が120万件以上あるのに対し、日本には同様の税制優遇措置の認定NPO法人は全国で1,200件程度(※)しかありません。※2020年07月30日時点

また、寄付をした際に所得控除または税額控除を選択し確定申告することになりますが、アメリカの場合は所得控除だけでなく、控除範囲を超えた金額の繰り越しができたり、イギリスにおいては、「ペイロールギビング」という、給与天引きで寄付をした場合に寄附金額が税引き前の給与から天引きされる仕組みなどがあります。

日本でも始まる新しい「応援」の仕組み

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社会的インパクト投資例(画像:クラウドクレジットウェブサイト)

従来の仕組みではなかなか根付かなかった「寄付文化」ですが、これがクラウドファンディングなどで大きく転機を迎えることになります。ふるさと納税やクラウドファンディングは、従来の寄付と比較すると手続きが簡易でメリットも分かりやすい形態となっています。欧米の寄付により近く、日本的寄付の新しい形と言えるでしょう。

支援するメリットについても広がりがあります。寄付やふるさと納税は控除や返礼品などが支援の「お返し」としてありました。ここにもう少し投資的な観点を加えたのが「社会的インパクト投資」と呼ばれる方法です。

社会的インパクト投資とは「社会面・環境面での課題解決を図ると共に、経済的な利益を追求する投資行動のこと(※)」です。社会的インパクト投資は経済的なリターンに加えて、社会課題の解決による公共善も追求する点が特徴です。

※GSG国内諮問委員会「社会的インパクト投資拡大に向けた提言書2019」

例えば、私たちが提供する「中東地域ソーラー事業者支援ファンド2号」の場合、砂漠地帯のソーラー化を進めることで、CO2の排出量を削減できることに加え、1万円あたり565円の経済的リターンが得られます。2019年の世界の社会的インパクト投資の市場規模は推計で約50兆円(1ドル100円換算)、日本における市場規模は2018年で約3,400億円とのことです。

現在、日本を含む世界全体でSDGs達成に向けた取り組みが活性化しています。こうした潮流を背景に、ふるさと納税やクラウドファンディング、社会的インパクト投資などの個人と社会のメリットを両立する取り組みは益々普及するのではないでしょうか。

本稿はクラウドクレジット株式会社編集室によるもの。Twitterアカウントは @crowdcredit_jp。お問い合わせはこちらから

「Revolut」は5.8億ドルの評価を獲得、チャレンジャーバンクとは何者か

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本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社のFounder兼CEOでGeneral Partnerの百合本安彦氏が共同執筆した。 2015年、英国発のフィンテック企業「Revolut」はシリーズDラウンドのエクステンションを公表した。2月に実施した調達と合わせて5億8000万ドルの評価で8…

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本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社のFounder兼CEOでGeneral Partnerの百合本安彦氏が共同執筆した。

2015年、英国発のフィンテック企業「Revolut」はシリーズDラウンドのエクステンションを公表した。2月に実施した調達と合わせて5億8000万ドルの評価で8000万ドルの資金を獲得したことになる。今回出資したのはTSGコンシューマー・パートナーズで、評価額は変わらないそうだ。2月に実施した内容はTCVがリードしたもので、これにより同社の累計調達額は9億1700万ドルにものぼる。紛れもないユニコーン(10億ドル評価)企業だ

グローバル・ブレインでは2018年にソニーフィナンシャルベンチャーズと共同でSFV・GB投資事業有限責任組合を立ち上げ、フィンテック企業への投資を実行している。本稿では、私たちのフィンテック領域に関する知見と共に、現在、世界中で大きなうねりとなっている「チャレンジャー(ネオ)バンク」について整理してみたいと思う。

4つの視点から見る未来の銀行

その前にまず、現在の銀行のあるべき未来像から考えてみたい。

調査会社のForresterは「未来の銀行に関するレポート」にて、4つの価値観をベースに次の10年の銀行の形を考察している。

  • Invisible(目に見えない形で動く)
  • Connected(サービス連携)
  • Insights-driven(顧客へのインサイト提供)
  • Purposeful(目的意識)

そしてこれらの価値は「顧客」「銀行」「コラボレーター(外部企業・ブランド)」の3者が密に連携することによって市場開拓が進むとしている。

具体的に何が起こるのか。大きく二つの方向性が考えられる。

最適化した金融体験の提供

今後、金融サービスはあらゆるプラットフォームと連携するようになる。例えば米VCのAndreessen Horowitz(a16z)は「Why Every Company Will Be a Fintech Company」と題したオピニオン記事であらゆる企業がフィンテック化していく世界を論じた。

従来、金融サービスを提供する際、各コラボレーターとは独立したものとなっており、顧客体験が全くの別物となっていた。例えば住宅販売企業はローン支払いサービスをシームレスに提供する必要があるが、別々のインターフェースになると顧客満足度は大きく下がる可能性がある。こうした非接続性はブランド毀損に繋がってしまう。

これらの体験は本来、1つのフローの中で完結するものである。そこで生まれた概念がBanking as a Service(BaaS)だ。金融サービスをモジュール的に扱い、顧客体験を最優先に「組み合わせて」提供する。銀行サイドは汎用性のあるAPIを用意するだけでOKだ。

例えば私たちが支援するsolarisBankはまさに、その上で動くサービスレイヤーを提供する企業になる。ベルリン発BaaS企業で、銀行サービスをオンデマンドで機能別に提供するビジネスモデルを展開している。欧州圏のフィンテック企業を中心に、決済や送金、KYC、カード、レンディングなどの銀行機能をモジュール化して提供している。

これが未来の銀行にあるべき「Invisible(目に見えない形で動く)」と「Connected(サービス連携)」の現在進行形と言えよう。

預けるだけが目的ではない

ではもう一つ、Forresterが提示する「Insights-driven(インサイト提供)」と「Purposeful(目的意識)」とは何を示すのか。

銀行はかつてのように金融資産を預けるだけの存在ではなくなりつつある。つまり、顧客の金融生活を銀行側がしっかりと理解し、どのような利用をすれば「心地よい生活を送れるのか」。そのインサイトを提供する需要が高まっているというのだ。

例えばWealthNavi(ウェルスナビ)は国内でトップクラスのロボアドバイザー・サービスなのだが、ソニー銀行と提携をし「WealthNavi for ソニー銀行」を提供している。

このように、金融資産の状況、保険の加入、住宅ローンの借り換え、こういった情報を預かるデータから導き出し、顧客に的確に伝える。顧客は金融資産の保全だけではない、より幅広いサービスの提供を求めているようになっている。

チャレンジャーバンクとは何か

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Image Credit: Revolutウェブサイト

では、こういった新たな金融に関わる体験を実現するにはどうしたらよいか。ここで生まれた概念がチャレンジャー(ネオ)バンクだ。

チャレンジャーバンクには2つの種類が存在する。銀行業免許を持つ「チャレンジャーバンク」と呼ばれる業態と、免許を自社では持たずに提携銀行を介して事業運営する「ネオバンク」だ。どちらの種類であっても、通常は専用のモバイルアプリとデビット/クレジットカードを提供するサービス形態が一般的である。主要なサービスは次のようなものがある。

Revolt、Monzo、N26:欧州で産声をあげたこの3社(RevolutとMonzoは英国、N26は独)が特に注目されることが多い。EU圏内の移住などでやってきたユーザーが手軽に銀行口座を開設し、複数の通貨をまたいで送金ができることからユーザーを伸ばしている。参考までに、Sensor Twoerのデータを元にしたこちらのインフォグラフィックによると、2019年末のそれぞれのダウンロード数はトップがRevolutで、Monzo、N26にダブルスコアをつけている状況だ。

Square、Venmo:やや議論があるのがこの「ウォレット」サービスだ。通常、これらはチャンレンジャーバンクのカテゴリではなかったのだが、特に米国でSquareとVenmoの獲得口座の数が非常に大きく、実は全ての銀行と比べてもウォレットの数の方が多いという調査結果もあって本命視する向きもあるぐらいだ。また、アカウント数が大量にあるだけでなく顧客獲得コスト(CAC)が安いのも特徴で、機能面での差別化が難しくなる中、金融商品におけるCACを下げる目的で注目が集まっている。

参考情報:Ark Investmentレポート

Varo Money:チャレンジャーバンクから免許を取得して正式な銀行に「鞍替え」した例がVaro Moneyだ。チャレンジャーバンクは通常、認可を受けている銀行と提携してサービスを提供する。しかし彼らは今年7月末にOCC(米通貨監督庁)から米国全土で銀行業務を実施できる認可を取得し、正式な国法銀行となった。オール・モバイルの正式な銀行の誕生で、これにより送金や家計簿管理だけでなく、貸付やクレジットカードなどのサービスを提供できるようになった。

日本におけるチャレンジャーバンクの可能性

Revolutの大型調達やウォレットの躍進、Varo Moneyの国法銀行化などを通じてチャレンジャーバンクの可能性について考察してきた。最後に日本における未来像も少し触れておきたい。

日本ではよく、チャレンジャーバンクの得意とする「送金」バリューが発揮できないのでは、などの指摘をされるケースがある。特に日本は一世代前の金融機関が発達しすぎてイノベーションが起こし辛い現象「Overbank」が起きている。街を歩けばコンビニで現金が下ろせる。すごく便利な国だ。

ただ、ここのブレイクスルーは必ず起こると考えている。その転機と考えられるのが、現在厚生労働省内で検討されている「デジタルマネーよる賃金払いの解禁」である。この解禁によって資金移動業者が発行するプリペードカードの利用が劇的に増える可能性がある。

つまり今まで銀行が独占的に給与受取口座を取り扱うことにより個人のお財布を握ってきたわけだが、今後は銀行口座を持たなくても給料を受けとることができるようになるのだ。

個人は銀行の支店に行くことなくeKYC1でデジタルマネーの口座を開設し、給料の受取口座として指定してしまえばプリペイドカードで各種支払いをし、生活資金が足りなければ借り入れもできるし、送金や運用も家計簿としても活用することができる。

しかもすべてスマートフォン1台あれば完結。たとえ銀行の給与受取口座をすぐに変えることができなくても、生活資金分をデジタルマネーに資金を移せば快適なマネーライフを享受することができる。

日本版チャレンジャーバンクは、非接触型経済社会の目玉となり個人の生活は一変する。そういう世界が日本でも間近に迫っているのだ。

確かに商習慣では現金がまだまだ強いが、経済合理性の面ではデジタル通貨の方が管理コストも安く、いつかはシフトしていくことになるだろう。資産管理の面でも老後2000万円問題が指摘されたのは記憶に新しいが、では、どうやってその資産形成をする?という点で明確な答えはまだない。暗号資産や投資を促すソリューションには十分なチャンスがあるだろう。

1:eKYC: electronic Know Your Customer…電子的に本人確認を実施すること

オンライン採用・研修プラットフォーム「playse.」展開のmanebi、グローバル・ブレインとSBIなどから4.8億円調達

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派遣事業者にeラーニングソリューションを提供する manebi(マネビ) は8月31日、第三者割当増資の実施を公表している。引受先となったのはグローバル・ブレイン、SBIインベストメントの2社。これに複数金融機関からの融資を含め、調達した資金は合計で4億8,000万円。昨年10月に実施した個人投資家を中心とする増資に続くもの。 参考記事:eラーニング「派遣のミカタ」運営のmanebi(マネビ)が小…

playse. web面接ウェブサイト

派遣事業者にeラーニングソリューションを提供する manebi(マネビ) は8月31日、第三者割当増資の実施を公表している。引受先となったのはグローバル・ブレイン、SBIインベストメントの2社。これに複数金融機関からの融資を含め、調達した資金は合計で4億8,000万円。昨年10月に実施した個人投資家を中心とする増資に続くもの。

参考記事:eラーニング「派遣のミカタ」運営のmanebi(マネビ)が小泉文明氏らエンジェルからシード資金調達、導入社数はすでに1000社に

同社は派遣事業者向けに2015年から義務化された、キャリア形成支援制度に対応した派遣スタッフ向けの研修コンテンツを手がける。定められている業務報告書などの自動生成に対応しており、対応を迫られる事業者の効率化を支援している。

また、これに合わせて、オンライン採用・研修プラットフォーム「playse.」も展開。3,000レッスンの研修コンテンツに加え、採用支援として昨年11月にはウェブ面接ツールを公開し、公開後8カ月で1,100社が導入した。調達した資金はオンライン採用・研修プラットフォーム、派遣業界特化型のeラーニング事業へ投資する予定。

via PR TIMES

AI英語学習のスピークバディ、グローバル・ブレインらが3億円出資

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AIを使った英語学習サービスを展開するスピークバディは8月20日、シリーズBにて第三者割当増資の実施を公表している。リード投資家はグローバル・ブレインが務め、31VENTURESも同ラウンドに参加している。調達した資金は総額3億円で、事業開発の強化、人材の獲得・育成、マーケティング施策に利用されるという。 スピークバディの創業は2013月5月(旧社名はAppArray)。同社が展開するのはAIを活…

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AIを使った英語学習サービスを展開するスピークバディは8月20日、シリーズBにて第三者割当増資の実施を公表している。リード投資家はグローバル・ブレインが務め、31VENTURESも同ラウンドに参加している。調達した資金は総額3億円で、事業開発の強化、人材の獲得・育成、マーケティング施策に利用されるという。

スピークバディの創業は2013月5月(旧社名はAppArray)。同社が展開するのはAIを活用した対話型の英語学習アプリ「スピークバディ」と、オンラインの英語コーチング「スパルタバディ」の二つ。

スパルタバディ

スピークバディでは音声認識や自然言語処理などのAI技術を活用することで、アプリの中に出演するキャラクターとの自然な英会話を可能にしている。実際の人物を相手にするオンライン英会話スクール、プログラムに比較して特に初心者の心理的な障壁を下げているのが特徴。2019年5月にはApp Store教育ランキングで1位を獲得した。

また、スパルタバディでは、審査を経た専属の英語コーチが単語や文法、発音、リスニング、会話などの項目を3カ月に渡って個別指導してくれる。スピークバディも使いながら、最適な学習方法や進捗管理を実施し、総合的な英語力の獲得をサポートする。利用料金はスピークバディが月額1950円。スパルタバディは3カ月のオンラインコースで12万8000円となっている。

物流テクノロジーの夜明け、注目すべきサプライチェーン・テクノロジーとは

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本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社のInvestment Group Partnerの深山和彦氏が共同執筆した。 調査会社ガートナーは今年7月に注目すべきサプライチェーンテクノロジーについての考察を公開している。同社調査によると、サプライチェーンに関わる企業の8割は新たな技術、特に…

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Photo by Tiger Lily from Pexels

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社のInvestment Group Partnerの深山和彦氏が共同執筆した。

調査会社ガートナーは今年7月に注目すべきサプライチェーンテクノロジーについての考察を公開している。同社調査によると、サプライチェーンに関わる企業の8割は新たな技術、特にアーリーステージのテクノロジーの採用に及び腰だという。サプライチェーンに関する技術は次の8つに分類できるという。

  1. 超自動化(Hyperautomation)
  2. デジタル・サプライチェーン・ツイン(DSCT)
  3. 継続的インテリジェンス(Continuous Intelligence、CI)
  4. サプライチェーンガバナンスとセキュリティ
  5. エッジコンピューティングと分析
  6. 人工知能(AI)
  7. 5Gネットワーク
  8. 没入型の体験

参考情報:Gartner Identifies the Top Supply Chain Technology Trends in 2020

では、国内は今後の物流・サプライチェーンテクノロジーをどのように考えればよいだろうか?私たちグローバル・ブレインは今年4月にヤマトホールディングスと共同で50億円規模の「KURONEKO Innovation Fund(YMT-GB 投資事業有限責任組合)」を立ち上げている。それぞれのテクノロジートレンドについて私たちの見解と共に掘り下げてみたい。

パンデミックで加速する国内物流業界のデジタル化

まず国内事情から。大きな動き、変化の全体感を示す指標としてはやはりEC化率が挙げられる。経済産業省の年次報告を見ると、ざっと次のような状況だ。

令和元年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、19.4兆円(前年18.0兆円、前年比7.65%増)に拡大しています。また、令和元年の日本国内のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は353.0兆円(前年344.2兆円、前年比2.5%増)に拡大しています。また、EC化率※1は、BtoC-ECで6.76%(前年比0.54ポイント増)、BtoB-ECで31.7%(前年比1.5ポイント増)と増加傾向にあり、商取引の電子化が引き続き進展しています。引用:電子商取引に関する市場調査の結果

消費者向け、事業者向け共に順調に拡大をつづけており、パンデミックによる「接触制限」によってこの流れはさらに加速すると予想される。つまり取引の多様化はさらに進む。

一方、物流業界はこれら「産業のEC化」に対する需要増、多様化に素早く対応し、多種多様な配送を提供できるかというとなかなか難しい。要因としてはやはり中小レイヤーにプレーヤーが多数存在しており、担い手の高齢化についても長らく指摘されていることが挙げられる。一言でデジタル化と言っても「はいそうですか」とはいかない。

需要増に対する配送のデジタル化・多様化への構造的な遅れ。これがざっくりとした国内の物流テクノロジーを取り巻く環境と言える。

何が求められているのか

調査会社ガートナーが公表しているサプライチェーン・テクノロジーの全てが日本市場で今すぐレディの状態かというとやはり最適化は発生する。現在、私たちグローバル・ブレインが注目している動きはマーケットのトレンドも含めて次のようなものだ。

  1. AI・ビッグデータ:配送網・ルート最適化の流れが燃料や人手不足の解消に繋がる(生産工程など異なるバリューチェーンとのデータ連携で配送のさらなる進化)
  2. 超自動化:自動運転やドローンを使った超自動化。人手問題を解決
  3. ラストワンマイル:置き配にみられるラストワンマイルの多様化、体験の変化
  4. 環境問題:エコシステム全体としての取り組み、CO2削減
  5. ギグワーカー:新しい労働力により配送の体験が変わる

動きはもう始まっている。例えばラストワンマイルについては、ヤマト運輸が開始した「EAZY」がある。「ZOZO TOWN」で先行しているが、このサービスを利用すれば、ユーザーは自転車のカゴに荷物を配達してもらうことも可能だ。

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国内初!ヤマト運輸提供の「EAZY」導入により 6月24日(水)からZOZOTOWNでの商品購入後、「非対面受け取り」指定が可能に(2020年06月16日・株式会社ZOZOリリースより)

しかし、こういったラストワンマイル、配送の体験は1社で作れるものではない。今回の「KURONEKO Innovation Fund」はこういった体験をバリューチェーン全体でスタートアップと一緒に作り上げていく、いわば「新物流エコシステム」として考えている。

社会はどう変わるのか

国内のマーケットについてざっくりとした俯瞰から、特に私たちが注目する物流テクノロジー、マーケットトレンドについて紐解いてみた。では、これによって社会はどう変わるのだろうか?本稿の最後に先行している米国などでの事例を紹介して締め括りたいと思う。

先述したAIによるルート最適化の流れはすでに到来している。

UberEatsを代表とする配達プラットフォームではギグワーカーが配達業務を担っているが、随時何百もの要素に基づいて配達ルートをシミュレーション・選定・指示する必要がある。たとえば雨の日、高確率で晴れの日に使っている道が混むと分かっているのであれば、別のルートを指定する必要がある。

そこで登場したのが、膨大なシミュレーションをA/Bテストの要領でこなし、フード配達事業者にルート最適化のシステムを卸す「nextmv」である。同社は米国版セブンイレブンと称される「goPuff」に利用されている。

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Image Credit: nextmvウェブサイトより

配達ルートの最適化は物流の効率化に貢献し、商品の到着時間の精度を高め、従来は午前中や午後と指定されていた配達予定時間が、分単位で指定できる可能性を秘めている。

物流網の最適化とは違い、配達プロセスそのものをなくそうとする動きもある。Amazonだ。

2019年、Amazon Go事業担当者はオフィス従業員向けではなく、アパート居住者向けに出店展開していくと発言している。実際、シアトル市内のアパートに出店する試験は行っているようだ。

奇しくもこの出店戦略はパンデミック禍では特に理にかなう形になるだろう。つまり、AmazonGo店舗が、アパートおよび近隣住宅街へのラストマイル配達拠点になるのだ。近隣住人が欲する食料品を、実際に需要が発生する前に事前予測して店舗に備蓄しておく。

その上で、室内配達サービス「Amazon Key」などを経由して自宅内に直接配達する体験が実現されるかもしれない。ビックデータを駆使して需要が発生してから届ける物流の業態を根本から覆し、配達体験さえも変えようとしてる。 このように物流がデジタル化すると、バリューチェーンそのものが変化する。

物流会社が外部の家政婦サービスやホテルのコンシェルジュサービスなどが連携する形は前述のAmazon Keyで始まっているし、nextmvのようなルート最適化ソリューションやギグワーカー派遣と連携することで、フード配達のサポートができる未来もあるかもしれない。

これから時代は各企業が強みを活かし、共通化できる点は仕組み化して共有するオープンプラットフォームの形になっていくはずだ。各社が様々な先進技術やDXを強みに物流市場を支えていく未来を見据えていく必要がある。

インフルエンサーマーケティングのBitStarが10億円調達、電通などと協業拡大

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ニュースサマリ:インフルエンサーマーケティングを手掛けるBitStarは8月17日、第三者割当増資の実施を公表した。引受先になったのは電通グループ、丸井グループ、フォーイット、SKIYAKI、ビーマップ、セガサミーホールディングス、コロプラネクスト、ABCドリームベンチャーズ、その他個人投資家。 株式による出資に加え、金融機関からの融資を合わせて調達した資金は約10億円。個人投資家の氏名については…

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BitStarに所属するインフルエンサー「はらぺこツインズ」

ニュースサマリ:インフルエンサーマーケティングを手掛けるBitStarは8月17日、第三者割当増資の実施を公表した。引受先になったのは電通グループ、丸井グループ、フォーイット、SKIYAKI、ビーマップ、セガサミーホールディングス、コロプラネクスト、ABCドリームベンチャーズ、その他個人投資家。

株式による出資に加え、金融機関からの融資を合わせて調達した資金は約10億円。個人投資家の氏名については非公開。各社の出資比率や株価についても開示していない。また、今回の出資に合わせ、BitStarは電通パブリックリレーションズとソーシャルブランディング領域において業務提携も実施する。

話題のポイント:インフルエンサーマーケティングで古株になりつつあるBitStarが事業会社中心に大きく調達してきました。同社代表取締役の渡邉拓さんに今回の増資意図を伺ったところ、事業としては黒字化、収益化に向けた折り返しポイントで事業成長に関連した企業からの出資にフォーカスしたという説明でした。

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提携した丸井グループではVtuber施策がヒット

この領域は上場して先行するUUUMや、ソニー・ミュージックエンタテインメントなどが出資するTHECOO、仮想化したキャラクターをインフルエンサーとして活躍させるVtuber関連のいちからやZIZAI、カバーなど、力のあるプレーヤーが増えている激戦区になっています。

参考記事

渡邉さんに改めてBitStarの勝ち筋についてお聞きしたところ、インフルエンサーの発掘、育成、マネタイズまでを一貫して実施すること、そしてテクノロジーの活用がポイントになるとお話されていました。

「エンターテインメントの世界はそれこそリアルな世界で歌舞伎のようなスターが生まれ、それが映像になり、テレビと移っていった歴史があります。テレビにはそれまでなかったスポーツなどの新たなコンテンツが生まれ、スターもその時代で変わります。スマートフォン、SNSが全盛の今も同じで、この環境に最適化されたスターやコンテンツが生まれるはずです。なので、大きな意味でエンターテインメント自体の本質は変わりません。

一方、こういったコンテンツ産業はこれまでプロダクションや放送網、広告などで分断が発生していました。インターネットの世界では、この領域が微妙に重なりあってきています。私たちはプロダクション、コンテンツ、広告という領域を一体化して考えているところに強みがあるのです」(渡邉氏)。

特にテクノロジーについては、データが取れることになったことで、従来型のプロダクションにはないスケール感や未来像が出てきているそうです。例えば新たなスターを発掘する際、従来は古典的な「声かけ(スカウト)」が想像されます。BitStarでは独自の測定方法によるランキングを持っており、ある一定のしきい値を超えるとその人物を検知して社内で発掘する仕組みがあるそうです。

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BitStarが提供するインフルエンサーの可視化ツール

 

育成についてもデータに基づいたレポートが即時で出たり、マネタイズに関しても「BitStarネットワーク」という新たな仕組みを提供し、企業とインフルエンサーを自動的にマッチングさせる仕組みを提供するそうです。今回、事業会社との提携では、こういったテクノロジーを活用した取り組みを促進させる狙いもあります。