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シリーズ:リープフロッグ

シリーズ:リープフロッグ

ここ数年、アフリカなどで発生しているテクノロジーの「リープフロッグ」現象。いわゆるタイムマシンモデルで、各国で発生したインターネット・テクノロジーが一気に新興市場で花開く状況を指す。カーシェアやEC、フィンテックなど、一足飛びに進化したモデルはどのような市場を生み出すのか。関連するケーススタディをお届けする

MUGENLABO Magazine

シリーズ:リープフロッグの話題

クラウドファンディングで金融包摂を目指すナイジェリアの「Owoafara」

重要なポイント:ナイジェリアで中小企業の持続的な成長と拡大を支援するフィンテックスタートアップOwoafaraは、これまで資金調達のために中小企業と金融機関をマッチングさせるサービスを展開していたが、中小企業の多くは金融サービスへのアクセスそのものが制限されているという問題点に着目し、既存のクレジットスコアリングを活用した資金調達のためのクラウドファンディングサービスを新たに開始。約半年で50億ナ…

重要なポイント:ナイジェリアで中小企業の持続的な成長と拡大を支援するフィンテックスタートアップOwoafaraは、これまで資金調達のために中小企業と金融機関をマッチングさせるサービスを展開していたが、中小企業の多くは金融サービスへのアクセスそのものが制限されているという問題点に着目し、既存のクレジットスコアリングを活用した資金調達のためのクラウドファンディングサービスを新たに開始。約半年で50億ナイラ(約1,300万ドル)を上回る取引が行われている。

詳細な情報:Owoafaraの設立は2019年1月。サービスの行き届いていない5,000万を超える中小企業の金融サービスへのアクセスをサポートすることを目的として立ち上げられた。中小企業と金融サービスを結び付けることで、中小企業の持続的な成長と拡大を支援することをミッションとしている。

  • Owoafaraは当初、中小企業にクレジットスコアを付与し、それを元に金融機関や信用機関の金融サービスを提案するクレジットスコアリングとファンドマッチングのプラットフォームを提供していた。15を超える金融機関の登録と10万ドルを超える取引が発生したが、ナイジェリアではほとんどの中小企業が、既存の金融機関のサービスを受ける基準を満たしていないため、この事業では同社のミッションである中小企業の持続的な成長と拡大の支援にはならないということが判明した。
  • ナイジェリアでは、中小企業は金融機関や信用機関から非常にリスクが高いと認識されているため、融資には非常に消極的でそもそも中小企業やスタートアップ向けの金融商品を持っていない金融機関も多い。一方ナイジェリアの中小企業の約79%は事業成長の主な制約として、資金不足と資金調達へのアクセスを挙げている(ナイジェリアでは雇用者が200人以下の企業を中小企業と定義する)。
  • 今年5月、Owoafaraは新たにRouzoというサービスをローンチ。これは、Owoafaraのクレジットスコアリングアルゴリズムを使用して中小企業の信用情報を検証し、個人や企業がプラットフォーム上に投資した資金から融資を受ける、中小企業の資金調達を目的とするクラウドファンディングプラットフォームだ。また、併せてSuppotrという資金調達の前段階にある企業を支援するサービスも展開している。
  • 同社HPによるとRouzoプラットフォーム上では既に24カ国15万回以上の取引によって、50億ナイラ(約1,300万ドル)を上回る資金が取引されている。
  • 同社はナイジェリアのラゴスでサービスを展開しているが、今後12カ月以内にナイジェリア内の5つの主要都市にサービス提供範囲を拡大する予定で、その後はアフリカ他国への展開も視野に入れている。また、創業者の性別によって資金調達の額や難易度に大きな差があるという問題は東南アジア同様ナイジェリアを含む西アフリカにもあり、Rouzoでは女性起業家の資金調達の支援も積極的にサポートしている。

背景:ナイジェリアの中小企業の金融サービスへのアクセスに関する問題点は、Owoafara共同創業者の一人Sally Ann氏自身が、運営していた消費者向けファッションブランドの生産と流通を拡大するための融資が受けられずに事業を失ったことがきっかけ。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志

インシュアテック隆盛のシンガポールから東南アジア保険市場の変革に挑む「Igloo」

ピックアップ:Why insurtech startup Igloo is eyeing Vietnam for expansion ニュースサマリー:フルスタック保険会社IglooはシリーズA追加ラウンドにて、1,600万ドルの資金調達を実施したと発表している。同社は東南アジアで成長中のインシュアテック(保険関連テクノロジー)市場のハブとなるシンガポールを拠点とするスタートアップ。フィリピン、ア…

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ピックアップ:Why insurtech startup Igloo is eyeing Vietnam for expansion

ニュースサマリー:フルスタック保険会社IglooはシリーズA追加ラウンドにて、1,600万ドルの資金調達を実施したと発表している。同社は東南アジアで成長中のインシュアテック(保険関連テクノロジー)市場のハブとなるシンガポールを拠点とするスタートアップ。フィリピン、アジア、ベトナムなど海外展開を強化、各国市場の状況や需要に即した保険を提供する。

詳細な情報:シンガポールのフィンテック協会のデータによれば現在80社以上のインシュアテック・スタートアップがシンガポールに集まっている。シンガポールから誕生した最初のフルスタック保険会社ともいわれるIglooは、以前はAxinanという社名でサービスを展開していた。

  • Iglooは、AIやビッグデータ、リアルタイムなリスク評価やエンドツーエンドの自動請求管理などを活用し、カスタマイズされた保険ソリューションに消費者がアクセスできるサービスを提供。扱う保険は病気や事故から電子機器などの身の回り品を対象としたものまで多岐に渡る。
  • 今後はフィリピンとタイにおける保険市場でのプレゼンス強化へ動き出すとともに、ベトナム市場への進出も計画している。Iglooは現段階で既に、インドネシア、マレーシア、オーストラリアでも保険商品を販売、同社によれば創業以来1,500万人以上の顧客にサービスを提供している。各国の市場環境は以下の通りだ。

フィリピン

  • 2020年8月にフィリピンのUnionBankとパートナーシップを締結、低所得者層向け事故保険の提供を予定。手頃な価格とUnionBankのAPIマーケットプレイスを通してサービスを提供することで全ての低所得者層の保険加入を目標に掲げる。
  • 世界で最も保険格差のある国の一つであるフィリピンの2018年度保険普及率は1%未満であり、保険ギャップ(保障ギャップ)の相対コストはGDPの1.3%(42億ドル)に相当する。
  • 現在このギャップを埋めるべくマイクロ保険商品市場が急成長している。 フィリピンでのマイクロ保険の普及率は世界で最も高く昨年は人口の25%を占め、2022年までに48%に達すると予想されている。

タイ

  • 2020年9月にFoodpanda Thailandとのパートナーシップを締結、配達ライダーにPandaCareと呼ばれる包括的な保険補償プランの提供を開始する。Pandacareの保険には MSIG Insurance (Thailand)の自動車保険、Cigna Insuranceの個人傷害保険、TuneInsurance の入院時の収入保障が含まれ、デリバリーを行なうライダーに特化した内容となっている。
  • Kasikorn Research Centerによれば新型コロナウィルスの影響によりフードデリバリー需要は前年比で最高84%増加するとの予測が示されており、この需要を受け増加の見込まれるライダーが安全に仕事に取り組み必要な保険やサポートが受けられるようIglooが支援をしていく。
  • 同国の保険普及率は1.7%で、保険ギャップ(保障ギャップ)の相対コストはGDPの0.3%(15億米ドル)に相当、ギャップ額が最も大きい国の上位25か国に含まれる。

ベトナム

  • ベトナムでの具体的な動きはまだ伝えられていないが、現在若年層の人口の多いベトナムはデジタル普及率も高く、中産階級が急成長しているため、デジタル保険サービスの需要があり今後さらなる増加が見込める。

背景:アジア太平洋地域(APAC)の保険市場は2029年までに世界の保険料の42%を占め、2030年半ばまでには世界最大の市場になると大手保険グループSwiss Reは予測している。また、accentureのレポートによると、2019年1月から9月の間に、シンガポールのインシュアテックの資金調達は2018年の同時期の3,500万ドルから1億2,800万ドルにほぼ4倍となり、シンガポールのフィンテック企業の資金調達額総額の中で保険会社の占める割合は前年度8%から17%に増加した。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志

農業のデジタル化でケニア女性の自立を模索する「Farmers Pride」の取り組み

ピックアップ:Kenyan agri-tech startup Farmers Pride raises $220k funding from Gray Matters Capital’s coLABS 重要なポイント:11月初めに22万ドルの資金調達を行ったケニアのアグリテック・スタートアップFarmers Prideは国内の小規模農家や農業製品・農産物販売を行う女性に焦点をあて、ワンストップの…

ピックアップ:Kenyan agri-tech startup Farmers Pride raises $220k funding from Gray Matters Capital’s coLABS

重要なポイント:11月初めに22万ドルの資金調達を行ったケニアのアグリテック・スタートアップFarmers Prideは国内の小規模農家や農業製品・農産物販売を行う女性に焦点をあて、ワンストップのECプラットフォームを展開して女性の収入向上を支援している。

詳細な情報:出資したcoLABSは世界中の女性と少女が直面する重大な問題に取り組んでいる革新的でスケーラブルな企業に投資するために、2017年初めにGray Matters Capitalによって立ち上げられたグローバル投資ポートフォリオ。

  • Farmers Prideはテクノロジーとフランチャイズを活用し、農家の生産性や農産物販売の売り上げ向上など、農家が成功するのに必要なすべてのものをつなぐラストワンマイルのオンラインとオフラインをつなぐECプラットフォームを提供している。中でも小規模な女性農家や女性の農産物販売者のエンパワーメントに積極的に取り組んでいる。
  • 同社は既に1万人を超える農家と約300の農業製品や農産物を販売する小売業者のユーザーを獲得している。
  • 今回調達した資金は、主には女性農家を対象とする農村部約50万人の農家を対象に、同社のワンストップECプラットフォームを介した保険サービスや金融サービスへのアクセス、市場との連携、農業の機械化などによる収入向上を支援することに使われる。資金の一部はその他、テクノロジーを活用した農業関連製品及び農産物販売所の立ち上げや、2022年までに3万人の農家を支援することを目的とした教育プログラムの作成にも使われる。
  • オンラインベースの小規模農家のサプライチェーンを構築し、それぞれ独立していた小規模でインフォーマルな各農村の農業製品や農産物の販売所をマイクロフランチャイズに変えることで価格の透明性や公平性が高くなる。また、製品のトレースが可能になることで種子や農薬などの製品の期限切れや質の悪い偽造製品が流通することを防げる。

背景:ケニアは、2006年には性的犯罪法、2015年に家庭内暴力防止法、2019年はFGM撲滅政策とジェンダー開発に関する政策と女性の平等を高めるための措置を講じているため、依然としてジェンダーギャップはあるものの徐々に改善傾向にある。(2020年のグローバルジェンダーインデックスは0.671で153カ国中109位)

また、ケニア国立統計局は国連やユニセフ等と協力し、ケニアにおける女性と女児のエンパワーメントのための初の包括的かつ体系的な指標となるWEI(Woman Enpowement Index)を作成し今年8月に最初の調査を行った。結果として都市部と農村部、教育水準、貧困の度合いなど国内の中でも置かれている環境により、女性に与えられた権利や権限の差が数倍にのぼるケースもあり国内での女性の立場による格差が明らかとなった。同調査によれば都市部に住む女性の40%には権限が与えられており、これは農村部の割合の約2倍となる。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志

クレカを持たない市場を狙え、メキシコのデジタルバンク「Klar」

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ピックアップ: Leading a $15 million round, Prosus Ventures makes the challenger bank Klar its first bet in Mexico ニュースサマリー:オンラインバンクの「Klar」はシリーズAにて1500万ドルの資金調達を発表している。リード投資家にはProsus Venturesが務め、International…

Image Credit : Klar

ピックアップ: Leading a $15 million round, Prosus Ventures makes the challenger bank Klar its first bet in Mexico

ニュースサマリー:オンラインバンクの「Klar」はシリーズAにて1500万ドルの資金調達を発表している。リード投資家にはProsus Venturesが務め、International Finance Corporation、Quona Capital、Mouro Capital、またaCrewも同ラウンドに参加している。

話題のポイント:今回調達を発表したKlarは、メキシコ市場に特化したオンラインバンクを提供しています。南米市場では、フィンテックスタートアップの成長が目まぐるしい状況です。Finovista(フィノビスタ)が公開した資料「Fintech Radar Mexico 2018」によれば、2017年におけるメキシコのフィンテックスタートアップは238社存在し、年次で約50%の成長を記録しています。また、さらに2018年最新のデータでは334社まで増加し、南米ではブラジルに次いでフィンテック大国に進化しています。

その反面、メキシコを含む南米では銀行口座そのものやクレジットカードを持っていない人口割合も非常に多い傾向にあります。Klar創業者のStefan Moller氏によれば、メキシコにおける成人のクレジットカード保有率は10%程で、2018年における日本でのクレジットカード保有率84%と比較すると歴然の差があることが分かります。

メキシコにおけるクレジットカード普及率の低さの一つの要因には、Eコマースがそこまで浸透していないという背景にあると考えます。Import Export Solutionsの公開したデータによれば、2017年におけるメキシコのEコマースが占めた小売店の売り上げはわずか2%と極度に低いことを表しています。ただ、Statistaのデータによれば、Eコマース売り上げ・ユーザー数は右肩上がりにあり、需要とインフラが整備されていることが読み取れます。

このように、Eコマースやその他オンラインでの決済需要が増えれば相対的にKlarのようなデジタルバンクへの需要も高まることは間違いないでしょう。また、最近ではスマホの利用状況から融資する金融手法が発展途上国で普及して始めていることから、北米や欧州とは違うアプローチで金融サービスが普及する可能性を秘めています。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

家賃問題を解決する「Kwaba」にみる、アフリカの“意外な商習慣”とは

重要なポイント:中低所得者層をターゲットに賃料の分割払いサービスを開始したKwabaは、今年2度目となる資金調達を実施している。同社がサービスを提供するナイジェリアでは、賃貸物件の支払いを長期間分一括前払いする慣例があり、新型コロナウィルスの影響で賃料の支払いが困難になった人により多く利用してもらえるよう、獲得した資金でサービスを拡大する狙いだ。 Kwabaは今年1月の設立。ナイジェリア拠点のAR…

Image Credit : Kwaba

重要なポイント:中低所得者層をターゲットに賃料の分割払いサービスを開始したKwabaは、今年2度目となる資金調達を実施している。同社がサービスを提供するナイジェリアでは、賃貸物件の支払いを長期間分一括前払いする慣例があり、新型コロナウィルスの影響で賃料の支払いが困難になった人により多く利用してもらえるよう、獲得した資金でサービスを拡大する狙いだ。

Kwabaは今年1月の設立。ナイジェリア拠点のARMが実施する、金融業界の問題を解決するスタートアップを対象としたアクセラレータープログラムLABS by ARMに選出され、2万ドルの資金調達を含む事業支援を受けた。今月にはアフリカ・サブサハラ地域のスタートアップを対象とするVCファンドIngressive Capitalから2回目となる資金調達を実施した。金額は非公開。

詳細な情報:ナイジェリアのラゴスで賃貸物件を借りる際には、エージェントを通して手続きを実施し、半年や1年、場合によっては2年分もの家賃を一括で前払いする慣例がある。加えて物件の持ち主やエージェントによっては更に同期間分の光熱費や頭金、手数料など更なる費用を前払いで求めてくるケースもあり、中低所得者層が家を借りるハードルが非常に高い。

  • 今年の8月にサービスを開始したKwabaでは、不要な支払いは排除した上で、一括で払う必要のある高額な費用を分割支払いできるソリューションを提供する。Kwabaプラットフォーム上にある物件には費用内訳が明記され、賃貸期間と支払いサイクルを毎日、毎週、毎月、四半期、毎年、といった単位で指定して借りる。
  • 同国には既にオンラインでの仲介サービスを始めとするPropTech(不動産テック)サービス自体は復数存在しているが、貸し手・借り手のマッチングや物件の使用に際しての費用から収益を上げているためサービスのほとんどが富裕層向けで、中低所得者層をターゲットにしたサービス及び高額な前払い一括支払いの負担軽減にフォーカスしているサービスはないに等しい。
  • Kwabaのサービスは同社が顧客に代わりに一括で家賃の前払いをし、その費用を低金利で顧客から回収するスキームのため、高額な一括払いの慣例をなくす類のものではない。

背景:ナイジェリアでは現在既に1,700〜2,200万戸の住宅不足に直面しており、政府は約1億800万人がホームレス状態で暮らしていると推定している。現在推定では60%の借り主が賃料の支払いが困難な状態に陥っているといわれており、この問題解決に向けて不動産開発は進んでいるものの、富裕層向け不動産の開発ばかりが進んで高級物件が供給過剰になる一方、多くの貧困層を取り巻く環境は改善されていない。

同国の人口は現在増加の一途をたどり、2047年までに人口が現在の約2倍、3億9千万人になると予想されているため、このままでは住宅不足問題はより一層深刻化する可能性が高いとみられている。長期間の家賃を前払い一括で支払うこの慣例は、ベナン共和国、ケニアなどナイジェリア以外の国でも行われている。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志

貧困層にキャッシュレスを広げるケニア「Digiduka」は送金手数料無料モデル

ピックアップ:Kenya’s Digiduka launches to help bring informal retailers into digital economy 重要なポイント:モバイルマネーサービスM-PESAが高い普及率を誇るケニア。しかし、貧困層やインフォーマルセクターの小売業者などの間では、現在でも現金による支払いが好まれる傾向にある。Digidukaはこれらの人々をターゲット…

ピックアップ:Kenya’s Digiduka launches to help bring informal retailers into digital economy

重要なポイント:モバイルマネーサービスM-PESAが高い普及率を誇るケニア。しかし、貧困層やインフォーマルセクターの小売業者などの間では、現在でも現金による支払いが好まれる傾向にある。Digidukaはこれらの人々をターゲットに、オンライン上での商品の販売やキャッシュレス決済の行えるプラットフォームをローンチした。

詳細な情報:同社はこのプラットフォームを「インフォーマルセクターの小売業者がFacebookショップ、Instagramショップ、WhatsAppチャットボットなど複数のソーシャルプラットフォームでデジタルストアを立ち上げ、商品を販売できるようにするソーシャルコマースプラットフォーム。在庫管理・支払い・配送を処理するエンドツーエンドのShopifyのようなソリューション」と説明している。

  • Digidukaは小売業者にモバイルアプリまたはUSSDショートコードを介し、モバイルマネーと銀行支払いされた料金の回収ができるウォレットを提供。送金手数料を無料にすることで小売業者とエンドユーザー両者のキャッシュレス化を推進する。
  • これによりインフォーマルセクターの小売業者もオンラインで商品の販売が行えるようになり、デジタル経済への参入の手助けとなる。同社によればサービス開始からの数か月で、3,500を超える小売業者や中小企業による取引がプラットフォーム上で行われている。
  • 今後3年間で、ガーナやタンザニア、ウガンダ、ルワンダ、エチオピアなど、同様の機会が見込まれる他のアフリカ諸国への拡大も計画している。

背景:ケニアではM-PESAの普及率が高く(M-PESAによる総取引額はケニアのGDPの5割弱にのぼるといわれている)社会のキャッシュレス化に成功していると言われているが、決済には最大で9.5%となる手数料がかかることが難点。

そのため、低所得者層やインフォーマルセクターの小規模な小売業者の間では、日々の生活の中での支払いの92%は依然として現金で行われている。M-PESAの支払いが積極的に行われないこの分野に着目して事業を行なうスタートアップは他にも TandaPesaKitPesaPointOpenFloat などがある。Digidukaは世界的VCのAntlerが昨年ケニアでの事業を開始した際に行った、約半年のナイロビプログラムの中で10万ドルの出資のもと設立されたスタートアップだ。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志

アフリカ最大の暗号資産市場ナイジェリア、海外送金にビットコインが使われる理由

ピックアップ:New Crypto startup, Cryptofully launches its global remittance product for the Nigerian Market. ニュースサマリー:ナイジェリア発のフィンテックスタートアップCriptofully は、国内銀行へビットコインを介した国際送金が可能なプラットフォームのβ版を9月に公開している。ナイジェリアはア…

ピックアップ:New Crypto startup, Cryptofully launches its global remittance product for the Nigerian Market.

ニュースサマリー:ナイジェリア発のフィンテックスタートアップCriptofully は、国内銀行へビットコインを介した国際送金が可能なプラットフォームのβ版を9月に公開している。ナイジェリアはアフリカ最大の暗号資産市場であり、海外在住の国民によるナイジェリア国内への国際送金額も世界上位に位置している。

同社プラットフォームの利用方法は至ってシンプル。現地通貨ナイラで送金したい金額を入力し、自動計算で表示されるビットコインにて金額を確認後、送金先の口座情報を入力する。その後、指定されるビットコインウォレットアドレスに対し送金をすることで銀行口座へ即座に反映される仕組みだ。

詳細な情報:ナイジェリアは海外在住の国民や移民からの国内への送金が非常に多く行われ、海外から自国への送金総額がGDPに占める割合の高い国のフィリピン、インド、中国、メキシコと並び世界の上位5カ国に挙げられる。

  • しかし銀行などを経由して同国へ国際送金を行なう場合にかかる手数料の相場は世界平均よりも数%高いため、低コストかつ送金に時間もかからない暗号通貨による国際送金サービスには注目が集まっている。
  • 現在ナイジェリアはアフリカ最大の暗号資産市場となっており、国内の総取引額は月額2億ドルをはるかに超えるともいわれている
  • UsefulTulipsの統計によれば暗号通貨によるP2Pレンディング市場も非常に活況で、この分野だけで毎週800万ドルの資金移動が行われ、同市場で2位・3位を争う南アフリカとケニアの毎週200万ドルという数字を大きく上回っている。
  • そのため、同国の暗号資産市場には既に暗号資産に関するサービスを提供するスタートアップが数多く存在するが、海外からナイジェリアの銀行口座への送金サービスは国内初となる。※暗号通貨関連のサービスを提供している主要なFintechスタートアップとしてはBuyCoinsBitkoin AfricaTriplejExchangeSleekarenaCoinSwapNGCoinQusCoinexlinksCowrie ExchangeBMCToken などがある。

背景:ナイジェリアは為替管理制度 や外貨規制などを行ってきており、海外との取引を行なう際に外貨による支払いで困難に直面することが多い。そのため、海外への支払いに暗号通貨による決済が好まれるのは自然であり、暗号通貨市場拡大の大きなきっかけとなった。現在、海外在住のナイジェリア人からの国内送金は年間250億ドル程度で、これは国の年間予算の80%以上にあたり国内総生産(GDP)に占める割合は約6%。海外からの送金額は年々増加傾向にあり、PwCのレポートによると、2021年には298億ドル、2023年には348億ドルになると予想されている。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志

5ドル未満のナノクレジット「Venio」がフィリピンとメキシコで躍進するワケ

ピックアップ:Nano-Credit App Venio Expands Nationwide in the Philippines 重要なポイント:アメリカのNYに拠点を置き「ナノクレジット」サービスを提供するVenioは、7月にフィリピンのマニラ、セブ、ダバオでサービスをローンチしている。約3カ月で3万を超えるダウンロードを達成したことを背景に、10月からはフィリピン全土でのサービス提供を開始…

ピックアップ:Nano-Credit App Venio Expands Nationwide in the Philippines

重要なポイント:アメリカのNYに拠点を置き「ナノクレジット」サービスを提供するVenioは、7月にフィリピンのマニラ、セブ、ダバオでサービスをローンチしている。約3カ月で3万を超えるダウンロードを達成したことを背景に、10月からはフィリピン全土でのサービス提供を開始した。

詳細な情報:5ドル未満のナノクレジットサービスが特徴のVenioの目的は、銀行口座を持たず、金融サービスへのアクセスが不可能な人々を金融システムに引き入れ、公正かつ平等なアクセスの道を開くこと。

  • サービス利用に際しての担保等は一切不要で、銀行口座を保有していなくても1ドルから5ドルの小規模「ナノ」ローンにすぐアクセス可能。ローンの返済は3・5・7日後の3段階の期限の中からユーザーが自分で返済期限を選択する。
  • 同社HPでは、アプリをダウンロードして必要項目を入力するだけで、90秒以内には最初の1ドルから5ドル、もしくはVenio Marketplace内での各種商品やサービスの支払いに利用できる現金と同等のVenioクレジットが利用できるようになる。
  • Venioの利用を重ねて評価(クレジット)を積み上げていくことで、5ドルよりも高額なローンやVISAと提携したVenio Visa Card の発行なども可能となり、ナノローンを通じてさらに広範な金融サービスへのアクセスも期待できる。
  • フィリピンでは、1ドルで2キロの米や一般的な薬の購入、通勤のための交通費一週間分などが賄える。また、メキシコでは1.2ドルから7ドルがナノクレジットローンとして利用できる範囲で、フィリピン同様この金額で一般的な薬の購入や通勤のための交通費一週間分などを賄うことができる金額となる。
  • Venioクレジットの利用や返済は、首都圏に限らずVenioと提携する小売パートナーが運営する全国の店舗や商店でも対応しており、フィリピン全土の至るところにある当地のコンビニのような小売店サリサリストアにも対応。
  • 同社はメキシコ支社Venio Aplicaciones de Mexicoを設立し、メキシコシティ、グアダラハラ、モンテレーを足がかりに、メキシコ全土の消費者が利用できるよう事業を拡大していく。同社HP上から確認出来る限りだけでも、ASEANとその周辺諸国を含めたアジアや中南米でそれぞれ約10ヵ国、アメリカ、カナダ、EUなど、今後数十カ国でのサービス展開を視野に入れている模様。

背景:フィリピンを始めとする新興国では貯蓄がなく銀行口座を保有していない人が多くいる。こういった人々は、当月の生活費が足りなくなってしまうようなことが起こる可能性も高いが、一方で正式な金融サービスから融資を受けられる可能性は低く、結果として法外な利息を取る非合法な貸金業者からお金を借りざるを得ないことがある。 実際にフィリピンではこのような問題を解決すべく、給料の前払いサービスを提供する会社なども登場している。なお、現在フィリピンの銀行口座保有率は12.2%、メキシコは38.7%となっている。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志

パンデミックにより利用者が急増したベトナムeコマース事情と4大プラットフォーム

ピックアップ:Vietnam targets e-commerce turnover reaching $35 billion by 2025 ニュースサマリ:ベトナムは2020年始め、毎年25%ずつの成長を目指す国家電子商取引開発計画を発表している。同国によれば、2025年までに国内約9,600万人に当たる50%以上のeコマース利用者を目指し、350億ドル規模の市場創出を目指す戦略としている。新…

ピックアップ:Vietnam targets e-commerce turnover reaching $35 billion by 2025

詳細な情報:新型コロナウイルスの流行によりロックダウンなどの行動制限が課せられた多くの国で、キャッシュレス決済とeコマースの普及が進むといわれている。中でも顕著だったのがベトナムで、特に生鮮食品のオンライン販売のトラフィックは2020年前半に42%も増加した。同国内では東南アジア諸国でサービスを展開するShopeeLazada、ベトナム国内企業のTikiSendoが4大eコマースプラットフォームとなっている。各プラットフォーマーの特徴は下記の通り。

  • Shopee:シンガポール拠点でマレーシア、タイ、台湾、インドネシア、ベトナム、フィリピン、ブラジルでサービスを展開している。東南アジアで最も人気のあるeコマースプラットフォームといわれ、ベトナムでも2019年から現在まで訪問者数トップを誇る。
  • Lazada:シンガポール拠点でインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムでサービスを展開している。東南アジア各国でShopeeと人気を二分しており、現在はAlibaba(阿里馬場)傘下。ベトナム国内での人気はShopeeの方が優勢で、2019年から現在までLazadaの訪問者数は3位~5位を位置している
  • Sendo:2014年にサービスを開始したベトナムのソフトウェアコングロマリットFPT Corporationの子会社が運営するプラットフォーム。SBIグループや大和PIパートナーズなどがこれまでに資金提供を行っている。訪問者数は2019年第3四半期にShopeeに次ぐ2位となった。
  • Tiki:12のカテゴリ30万アイテム以上の商品を扱うB2Cプラットフォーム。サイバーエージェント・キャピタルや住友商事、中国のJD.com(京東商城)がこれまでに資金提供を行っている。2020年前半期の訪問者数第3位

ロックダウン中の利用者に生鮮食品の需要が高いことが判明している。そのため、4月中旬ごろにLazadaは注文から2時間以内に生鮮食品を配達するサービスを開始し、その1カ月後にはTikiも3時間以内での食料品配達サービスを開始した。ユーザーの需要に素早く対応できたことが周辺他国より利用者が急増した理由の一つと考えられる。

これらB2C向けプラットフォームに加え、小売業者の市場参入を支援する国内スタートアップ企業が以前から徐々に成長を続けていることで、ベトナム独自の大きなコマース・エコシステムが築かれつつある。

  • KiotViet:在庫・売り上げ管理、マーケティングツールやモバイルPOSなどクラウドベースのソフトウェアをレストラン、食料品店、ドラッグストア、スーパーマーケットなどに提供し、中小企業のデジタル化を支援する。ベトナム国内63省7万を超える中小企業に利用されている。
  • Buy2Sell:輸入製品のサプライチェーンで、12万以上のベトナムの卸売業者と小売業者に輸入製品を提供する物流プラットフォームを運営している。
  • Loship:2017年、ベトナムに設立されたLoshipはフードデリバリーや生鮮食品・医薬品の配達や配車サービスを4都市約150万人の顧客に提供している。今後はeウォレットの開発なども予定しており、東南アジアのGrabやインドネシアのGojekのような企業を目指している。これらの企業とLoshipが異なる点は、Lo-supplyというB2B向けの小売サプライチェーンも行っているところにある。ラストマイル配送に力を入れ5万人を超えるドライバーを抱えており、2019年にLo-supply加盟店は9万店を超え、Loshipの純利益の30%をLo-supplyの収益が占めるまでとなり、本事業が同社の中核をなしている。

背景:こういったB2B業者の存在が小規模小売業者のオンライン市場への参入ハードルを下げることで、ベトナムのB2Cコマース市場は今後さらに活況となっていく事が予想される。iPrice Groupと分析会社App Annieによるレポートによると、ベトナムでのショッピングアプリへの総訪問数は、第2四半期で過去最大の127億人に達し、成長率は43%、多くの東南アジア諸国を上回る数字となっている。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志

新興国の送金をチャンスに「Thunes」が狙う4つの送金ニーズ

ピックアップ:Thunes raises $60 million for cross-border payments in emerging markets ニュースサマリ:シンガポールを拠点とするBtoB向け国際送金・決済サービスを手掛けるThunesは9月、シリーズBにて6000万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家にはアフリカ事業向けのファンドを運営する英国のプライベート・エクイ…

ピックアップ:Thunes raises $60 million for cross-border payments in emerging markets

ニュースサマリ:シンガポールを拠点とするBtoB向け国際送金・決済サービスを手掛けるThunesは9月、シリーズBにて6000万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家にはアフリカ事業向けのファンドを運営する英国のプライベート・エクイティHelios Investment Partnersが参加し、Checkout.comおよび既存投資家のGGV CapitalとFuture Shapeも同ラウンドへ参加した。昨年5月にはシリーズAで1000万ドルの資金調達を行っており、これまでの資金調達額は総額で7000万ドルとなる。

同社は今回調達した資金を用いて新興国市場への参入を拡大し、銀行口座を持たない新興国の人たちでも利用しやすいサービスの開発に力を入れていく

詳細な情報:銀行、デジタルウォレットプロバイダー、送金サービス事業者などの金融会社を対象としたAPIなどを開発している同社は、既に100カ国で事業を展開し、ロンドン・上海・ニューヨーク・ドバイ・ナイロビにもオフィスを構えている。

  • 今回の資金調達を受けてアフリカ・アジア・ラテンアメリカ全土でのサービス展開を目指すほか、一部資金は、ケニア・タンザニア・ジンバブエ・エチオピアといった本格的に事業の参入や拡大を検討しているアフリカ新興国でのチームの雇用にもあてられる。
  • 同社では世界各国の金融市場を4つに分け、これまで分断されていたぞれぞれの異なるニーズ間での送金を実現しようとしている(1)現金による支払いが現在でも好まれている国(2)主要なキャッシュレス決済サービスのある国(ケニアのM-PESAなど)(3)キャッシュレス決済サービスの乱立している国(インドネシアなど)(3)銀行
  • 銀行などの既存金融機関にはSWIFTと呼ばれる標準化された金融機関を繋ぐ送金システムがあり、同システムを介すことで国際送金業務は古くから円滑に行なわれてきている。ThunesはAPIを利用して上記4つの市場間を繋ぎ、銀行口座を持たない新興国の人々も利用できるSWIFTに代わる新たな送金網システム構築を目指している。
  • 競合になり得るサービスにはTransferWise が挙げられるが、Thunesは参入障壁の高い新興国市場に特化することで差別化を図ろうとしている。そのため、TransferWiseがサービスを提供していない新興国ではThunesにとっての潜在的なクライアントにもなり得ると考えている。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志