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特集:マイクロツーリズムの世界

特集:マイクロツーリズムの世界

宿泊=ホテルの方程式をを破壊し、Airbnbが創り上げた「民泊」という新世界。しかし、2020年のパンデミックに伴に、市場が求めるバケーションレンタルの姿が変化し始めている。マイクロツーリズムという新しい休暇の過ごし方も提唱される中、民泊事業者が進む次の道は果たして。

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特集:マイクロツーリズムの世界の話題

生まれ変わったAirbnbのNPO活動「Airbnb.org」、医療従事者などに向けて無料で宿泊場所を提供

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ピックアップ:Introducing Airbnb.org ニュースサマリー:新規上場を果たしたAirbnbは新たなNPO「Airbnb.org」の立ち上げを発表している。これは、難民や災害の被害者、特にCOVID-19に携わる医療従事者に向けて無料で宿泊場所を提供する取り組み。非営利団体の運営に対して40万株の同社株式をコミットし、さらに共同創業者のBrian Chesky氏、Joe Gebbi…

ピックアップ:Introducing Airbnb.org

ニュースサマリー:新規上場を果たしたAirbnbは新たなNPO「Airbnb.org」の立ち上げを発表している。これは、難民や災害の被害者、特にCOVID-19に携わる医療従事者に向けて無料で宿泊場所を提供する取り組み。非営利団体の運営に対して40万株の同社株式をコミットし、さらに共同創業者のBrian Chesky氏、Joe Gebbia氏、Nate Blecharczyk氏が600万ドルを寄付するという。

Airbnb.orgを通して無償開放に賛同するホストは、施設のプロフィール欄に特別なバッジを得られる。

話題のポイント:先日、無事に上場を迎えたAirbnb。初日で、トラベル市場の代表格Booking.comやExpediaなどOTA企業の時価総額を上回り、好調な滑り出しを見せています。今回、同社が公開したNPOは以前より進めていた「Airbnb Open Homes」を新しい形で正式に非営利組織化したものです。2012年にNYを襲ったハリケーン・サンディーの被災者に向けてホストが自宅を無償で解放したのが始まりだと言われています

特に、COVID-19の際には医療従事者向けにも同プログラムを適応しキャンセル手続きへの返金に追われていたにもかかわらず、約10万の施設を無償開放するなどAirbnbの社会的貢献活動でも評判高いものでした。

Airbnb.org運営において重要視するのは「平等性とインクルーシブ」な環境構築。難民や被災者が、平等かつ積極的に同プログラムを利用できるよう、運営ボードメンバーも多様なチームで構成されているとのこと。リリースによれば、80%が女性、40%がマイノリティーで構成されているとしています。

Airbnbのプラットフォーム自体はCOVID-19以前/以降で様相が多少変わりつつありますが、時価総額が示しているように民泊プラットフォームとしての市場期待は非常に高くあります。2021年以降、NPO含みどのような成長戦略を取るのか楽しみです。

Airbnbのホストたちが鳴らす、新たな始まりのベル

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ピックアップ:Airbnb Hosts Ring Our Opening Bell | Airbnb ニュースサマリー:Airbnbは10日、NASDAQへの上場を無事完了した。初日の取引開始額は1株当たり146ドルとなり、IPO時の価格68ドルを大幅に上回る結果となった。現段階におけるAirbnb時価総額は約865億ドルとなり、IPO時の評価額から約2倍にまで膨れ上がっている。ティッカーシンボル…

Airbnb Hosts Ring Our Opening Bell | Airbnb

ピックアップ:Airbnb Hosts Ring Our Opening Bell | Airbnb

ニュースサマリー:Airbnbは10日、NASDAQへの上場を無事完了した。初日の取引開始額は1株当たり146ドルとなり、IPO時の価格68ドルを大幅に上回る結果となった。現段階におけるAirbnb時価総額は約865億ドルとなり、IPO時の評価額から約2倍にまで膨れ上がっている。ティッカーシンボルは「ABNB」。

話題のポイント:Airbnb上場の日がついにやってきました。2020年はAirbnbにとって、良くも悪くも本当に色々な変化が訪れた1年になったことは間違いありません。COVID-19の拡大により、3月頃より世界各地でロックダウンや国境が閉ざされ、日常から「旅」の1文字が消失。結果的に、Airbnbは予約済みの宿泊予約すべてに対し(COVID-19を理由とする)返金を実施し、総額は10億ドルに達したと言われています。

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その後、4月にはSilver Lakeから10億ドルのデッドファイナンスで資金を調達、5月には総従業員25%のレイオフを実施して経営体制を整えてきました。Silver Lakeからのデッドファイナンス時はバリュエーションを260億ドルと算定されていたので、上場した今日までに約3.5倍の評価を勝ち得たというのは本当に驚きです。

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ここからは、AirbnbのIPO申請時のS1を振り返っていきます。まず四半期ごとの宿泊・エクスペリエンス予約総数の変遷です。2020年Q1~Q3でマイナス成長を遂げており、特にQ2ではYoY比でマイナス68%を記録。ただ、Q3ではYoY比ではマイナス成長なものの、2018年初頭程度のボリュームには回復しています。

Airbnb Form S1、2020年Q1、Q2がマイナス成長に

では、何をフックに回復傾向に持ち込むことができたのか。これは、ドメスティックトラベルの需要が大きく回復したことに起因しているのは間違いなさそうです。4月・5月時点では、国内・国外どちらもYoY比マイナス成長ですが、6月にはドメスティックトラベルに限りYoY比でプラスの成長を遂げています。国内旅行需要の中でも、自宅から50-500マイル圏内に大きく予約が集まっていることはAirbnbがロングタームの予約にシフトしリモートワークなどのユースケースを作り出そうとしていることからも納得のデータです。

Airbnb Form S1

上場に際して株価がIPO時を大きく上回ったAirbnb。ここまで見てきたようにトラベル市場が非常に苦しい状況に陥っている中でも、確実に成長を期待できる施策を取ってきたことの答えがマーケットに反映されたのでしょう。トラベル市場でみれば、Expediaの時価総額は約180億ドルで、Booling.comは約860億ドル。現時点でAirbnbの方が上回っているのは、そうした確実な将来性が反映されている結果です。

ベルリン発、テイラーメイドの旅程「Tourlane」が資金調達、Sequoia Capitalなどが支援

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ピックアップ:Berlin travel platform Tourlane gets $20 mln lifeline from investors ニュースサマリー:ベルリンを拠点とするトラベルスタートアップ「Tourlane」は11月18日、シリーズCエクステンションラウンドにて2,000万ドルの資金調達を公表している。同ラウンドにはSequoia Capitalをはじめ、 Spark Ca…

Image Credit : Tourlane

ピックアップ:Berlin travel platform Tourlane gets $20 mln lifeline from investors

ニュースサマリー:ベルリンを拠点とするトラベルスタートアップ「Tourlane」は11月18日、シリーズCエクステンションラウンドにて2,000万ドルの資金調達を公表している。同ラウンドにはSequoia Capitalをはじめ、 Spark Capital、 DN Capital、HV Capitalが参加している。

同社は旅程の計画から予約をシームレスにすることを目指すスタートアップ。目的地や日程などの簡単な質問に回答するだけで、最適な専用オペレーターによるテイラーメイドな旅程を作成することができる。

話題のポイント:欧州圏におけるトラベルスタートアップの調達ニュースです。ドイツを本拠地とするトラベル系といえば、Get Your Guideが有名ですが、同社もつい先日1億ドル規模の資金調達を実施したことを発表していました。今回2,000万ドルを無事調達したTourlaneですが、実は今までに合計1億ドル規模の資金調達を実施しており、今回もラウンドに参加したSequoiaがリード投資家として出資を続けていました。また、Airbnbの共同創設者として著名なNate Blecharczyk氏も出資者として名を連ねるなど、期待を集めているスタートアップです。

しかし、パンデミック発生以降は、当然ですが国境閉鎖やロックダウンなどで利用者は激減。また、Airbnb同様にキャンセルの全額返金に対応しており、そうしたオペレーションの面でもネガティブな状態が続いたことは間違いないでしょう。トラベルスタートアップでは、Airbnbに始まり、TripActionやZeus Livingなどはレイオフを繰り返すことで何とか事業を継続させている状態が続いており、Tourlaneも40人程度のレイオフを余儀なくされたことを明らかにしています

Image Credit : Tourlane

同社のサービスは至ってシンプルです。ユーザーの希望する旅行の形態(国、人数や経験したいものなど)をクリックしていくと、その選択に応じたエキスパートがテイラーメイドの旅程を提案してくれるというものです。計画から予約までのシームレスな体験が人気を集めていました。

パンデミック以降、例えばAirbnbなどは、ロングタームの宿泊にプライオリティーを切り替えるなどの対応を行っていますが、Tourlaneの場合は、国内のユーザー向けにターゲットを切り替えローカルのテイラーメイドな旅を提供していくという道が考えられるかもしれません。

いずれにしても旅行関連のスタートアップは厳しい冬の時代となりました。早期の越冬が待ち望まれます。

旅行予約大手ExpediaがQ3決算公開、Vrboが救世主になるも本体事業は大幅回復見えず

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ピックアップ:Expedia Group Reports Third Quarter 2020 Results ニュースサマリー:Expediaは11月、2020年度第3四半期における決算報告書を公開している。報告書によれば、売り上げ高は昨年比で58%減少の約15億ドルを計上した。また、同プラットフォームにおける予約数は昨年比で68%の減少を報告している。 話題のポイント:Expediaは、COV…

Expedia子会社の民泊事業を営むVrboは決算に貢献

ピックアップ:Expedia Group Reports Third Quarter 2020 Results

ニュースサマリー:Expediaは11月、2020年度第3四半期における決算報告書を公開している。報告書によれば、売り上げ高は昨年比で58%減少の約15億ドルを計上した。また、同プラットフォームにおける予約数は昨年比で68%の減少を報告している。

話題のポイント:Expediaは、COVID-19の深刻さがちょうど重なった第1四半期レポートにおいて、他OTAプラットフォーマーと同様に宿泊予約のキャンセル手続きに追われていることを明らかにしていました。特に、月間のキャンセル手続きが総予約数を上回ったことは衝撃的な事実でした

その後の第2四半期においても売り上げ高の前年度比82%減、さらには予約数90%減を報告しており苦しい状況が続いていました。世界の国境が閉鎖していたことを考えれば、OTAであるExpediaの減益は当然だったといえます。

Expediaは4月ごろに、総額39.5億ドルに渡る大型の優先株を利用した資金調達を実施しています。しかし、終わりの見えないトラベル市場の縮小に対して特別何かソリューションを示すことができずに第3四半期を迎えたという状況ではないでしょうか。第2四半期のレポートでは、ショートターム需要の減少はもはや歯止めがきかないものであり、長期的な経営戦略を考えなおす時期になっているのは明らかだ、という見解を示しています

同じくトラベル市場の象徴的存在であるAirbnbは、ロングタームステイへのコンセプトシフトを図り、夏場にはパンデミック後初となる宿泊予約100万を記録することに成功しています。Expediaは、Airbnbと同様の民泊事業を営むVrboを子会社に保有しており、第3四半期では売り上げ高・予約数共に大きく全体に貢献したと言及しています。

しかし、Expediaが完全にロングタームへ軌道変更することはプラットフォームのモデル的にも難しい(フライトや宿泊をセットととした典型的な型なため)ことに加え、ビジネストラベラーの絶対数が減少していることも今後同社が指針を示していく上で重要となるファクターでしょう。いずれにしろ、Expediaを含む多くのOTAがAirbnbのようにダイナミックなプラットフォームのコンセプト変更が求められている時期なのは間違いなさそうです。

“Go Near”上場控えるAirbnb、パンデミックで大きく変化した客層と利用方法

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Airbnbが年内を目途とした上場手続きを進めていると報道されています。しかし、思い返せばパンデミック以降AirbnbはまさにCOVID-19の逆風を正面から受ける形となっていました。 例えば世界各国でロックダウンや渡航の規制が見られ始めた3月下旬ごろ、AirbnbはCOVID-19に伴う宿泊予約のキャンセルを一定ポリシーに基づき無料としました。この対応による返金総額は10億ドル超えともいわれてお…

Image Credit : Airbnb

Airbnbが年内を目途とした上場手続きを進めていると報道されています。しかし、思い返せばパンデミック以降AirbnbはまさにCOVID-19の逆風を正面から受ける形となっていました。

例えば世界各国でロックダウンや渡航の規制が見られ始めた3月下旬ごろ、AirbnbはCOVID-19に伴う宿泊予約のキャンセルを一定ポリシーに基づき無料としました。この対応による返金総額は10億ドル超えともいわれており、同社のキャッシュフローに想定外かつ圧倒的な圧迫が加わることになりました。

そうした終わりの見えない膨大な額のキャンセル手続きや実質的な移動制限が続く中でも、Airbnbは社会貢献活動を忘れず取り組んでいました。一例を挙げると、以前から災害時や難民の「一時避難場所」として無償で住宅を提供していたプログラムOpen Homes PlatformをCOVID-19に携わる医療従事者向けに数万件の無償開放を実施したのです。

しかし、主要事業の低迷はAirbnb本体を徐々に苦しめていました。

4月中旬には、デッドファイナンスで10億ドルを新たに調達することに成功するも、プラットフォームの絶対的な利用者数減少には耐えきれず、5月に当時の従業員7500名の約25%にあたる1900名のレイオフ実施へと踏み切る結果となりました。

それと同時に、Airbnbは同社プラットフォームのコンセプトを大幅に切り替える決断を発表。今までのシェアリングエコノミーで培ってきたショートステイをプライオリティーから外し、ロングターム型民泊のコンセプト打ち出しを始めたのです。(28日以上の宿泊を長期滞在と定義)

この背景には、終わりの見えない移動制限による旅人やビジネストラベラーの絶対数の減少があったことは明白です。そのため、リモートワーカーなどの長期利用を前提としたターゲティングへの変更は当然の流れだと思えます。

このコンセプト変更は徐々に効果が見え始め、夏休みが差し掛かった7月頃には4か月ぶりに100万以上の宿泊予約を記録するなど、ワーケーションスペースや長期休暇での需要が形となってきました。その後8月には、Airbnb創業者でCEOのBrian Chesky氏がTwitterにて同社が年内上場予定で動いていることを公表。こうした動きは新しい時代における、新しいAirbnbのコンセプトが形作られてきた証でもあるのでしょう。

同社が今月に入り改めて公開したデータによれば、過去3か月におけるAirbnb利用者の内54%がロングタームでの利用になっているそうです。そうした新時代におけるAirbnbの利用者層の特徴は以下の通りです。

  • 80%のゲストが1人または2人での長期滞在を利用。20%がそれ以上の人数での利用
  • 46%のゲストが過去に3回以上訪れたことのある場所、以前住んでいた場所、または自宅の近場での利用
  • 54%のゲストが少なくとも1人の知人がいる場所を旅先に選んでおり、友人(26%)や家族(24%)のケースも見られた
  • 60%のゲストが長期滞在をリモートワーク、またはリモート学習の場として利用していた。その内、65%がCOVID-19をきっかけにAirbnbをワーキングスペースとして利用し始めたと解答

また、パンデミック以降に見られたゲストのAirbnb利用におけるパターンを以下4つに分類しています。

  1. 国立公園などの自然が近くにある住居を好む、レジャー旅行者
  2. WiFiなどの環境が整った住居を好む、リモートワーカー
  3. 家族向けに設計された住居を好む、大家族またはグループ
  4. 近隣の往来しやすい住居を好む、高齢

今までのAirbnbは「~という街を観光するからAirbnbを利用する」という、あくまでホテルに代わる宿泊地としてのAirbnbが選ばれていました。しかし現在はむしろ、「~という街のAirbnbに泊まりたいから、~という街に行ってみよう」と逆のフロー化しているケースが増えてきているように感じます。

もちろん、上記に挙げたように明確な目的(友人・家族に会う、リモートワークなど)が伴っていることは前提にありますが、そもそも旅に出かけられないことを考えるとこの変化は当然だといえます。既に11月に入り、あと数週間もすれば上場を予定しているAirbnb。2021年に向けて、新しい旅の形を中長期的視点で示してくれることを期待しています。

ビジョンファンド出資のGetYourGuide、コロナ禍でも約1.3億ドル調達

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ピックアップ:GetYourGuide Announces €114 Million In Convertible Note Financing ニュースサマリー:ドイツ・ベルリン発のトラベルユニコーン「GetYourGuide」は10月29日、新株予約権付ローンにて約1億3,400万ドルの資金調達を発表している。リード投資家にはプライベート投資ファンドのSearchlight Capital P…

GetYourGuide

ピックアップ:GetYourGuide Announces €114 Million In Convertible Note Financing

ニュースサマリー:ドイツ・ベルリン発のトラベルユニコーン「GetYourGuide」は10月29日、新株予約権付ローンにて約1億3,400万ドルの資金調達を発表している。リード投資家にはプライベート投資ファンドのSearchlight Capital Partnersが参加し、既存投資家のSoftbank Vision Fund、KKR、Temasek Holdingsも同ラウンドに参加している。

話題のポイント:Softbank Vision Fundの群戦略の一角をなすGetYourGuideが、1億ドル規模の資金を新たに調達しました。昨年、Softbank Vision FundがリードしたシリーズEラウンドでは4億8400万ドルを調達し、バリュエーションは優に10億ドルを超える規模と言われていました。Bloombergによれば、評価額は今回のラウンドでも変更はないとされています。

ちなみにパンデミック以降に1億ドルの資金調達を実施したAirbnbは、ラウンドをリードしたSliver Lakeのバリュエーションが180億ドル程度だったと報じられています。Reutersによれば、パンデミックが顕在化する以前の内部評価では260億ドル規模だったそうなので、COVID-19によるトラベル・ホスピタリティースタートアップの一時的なバリュエーション崩れはどうしようもなさそうです。

以前、パリに拠点を置く新しいコンセプトのトラベルスタートアップ「Leavy.co」を取り上げた際などは、2020年はポストAirbnb、つまり新しい形の民泊を起点としたスタートアップが数多く誕生するだろうと考えていました。また、今年2月頃に著名のa16zが公開した「The a16z Marketplace 100」を紹介した際にも、特に「体験」を重要視するこれからの若者世代とトラベルスタートアップの相性の良さを取り上げていました

しかし、この「体験」こそが結果的にCOVID-19によってマイナス要素になってしまったのです。

ただ、このように市場に大きな変化が訪れようとも、しっかりとネットワーク効果を持っていたプラットフォーマーはAirbnbを始め復活の兆しを見せはじめているのも事実です。例えば、a16zのリストにも含まれていたRVのシェアリングマーケットプレイスのOutdoorsyやRVShareなどは、StayHomeが長引くことで逆に需要が高まりつつあるようです。同じ文脈では、キャンピング地のシェアリングマーケットプレイスHipcampも自然との接点需要が高まったことで需要を伸ばしつつあります。

Image Credit : The a16z Marketplace 100

GetYourGuideはといえば、そもそものコンセプトが旅先でのツアーマッチングサイトです。そのため、事実上の渡航規制と大人数を避けるべき風潮のダブルで厳しい状況になっているといえます。同社サイトを見てみると、「Small Group」などを強調し、対応策を練っているようにも見えますが絶対的な利用者数減少は確実に直面している問題でしょう。

確かにインバウンドが戻るのはまだまだ時間がかかりそうではあるものの、新しい旅の在り方としてマイクロツアリズムが提唱され始めています。簡単いえば地域の魅力を改めて知ろうというコンセプトですが、これはそうした視点やサービスがそこまで多くなかっただけでパンデミック以前から潜在的な需要自体は存在していたのではと思います。この辺りはAirbnbの公開されているデータを見ても、やはりマイクロツアリズムは少なくとも現時点でトレンドなのは確かです。

その点でいえばGetYourGuideも、既に持っているグローバルなネットワークを利用してマイクロツアリズム市場をリードする立場に生まれ変わる潜在性があります。一見、パンデミックによりトラベルスタートアップは市場から取り残された感がありますが、逆に今は市場が大幅なアップデート、過去の通例が変化しつつある時期です。「○○版Airbnb」の時代はもう終わり、これからの時代に最適された新しいコンセプトが誕生してくるはずです。

予約数は650%増加、RVカーをシェアできる「RVShare」はなぜ伸びた

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ピックアップ:Road trippers can rejoice as RVshare raises over $100 million to grow its RV rental business ニュースサマリー:RV(Recreational Vehicle、レクリエーションビークル)シェアリングのマーケットプレイスRVShareは10月、1億ドル規模の資金調達を発表している。同ラウンドには…

Image Credit : RVShare

ピックアップ:Road trippers can rejoice as RVshare raises over $100 million to grow its RV rental business

ニュースサマリー:RV(Recreational Vehicle、レクリエーションビークル)シェアリングのマーケットプレイスRVShareは10月、1億ドル規模の資金調達を発表している。同ラウンドにはHomeAwayなどへの投資も手掛けるTritium  Partners、Kohlberg Kravis Robertsが共にリード投資家として参加。2018年に5000万ドルを調達して以降、初の資金調達となった。

話題のポイント:米国におけるRVマーケットプレイスでは、今回調達を発表したRVShare、またOutdoorsyが二台巨頭となっています。両者はともに、著名VCであるAndreessen Horowitzが公開した「The a16z Marketplace 100」にてトラベルカテゴリーにリスティングされています。

パンデミック発生以降、国内トラベルに需要が集まり続けたことに加えて、Shelter-in-Place期間が長続きしたことで、自然と触れ合う需要が同時並行で増える傾向があるようです。The Driveが公開したデータによれば、RVShareの4月から5月にかけての総予約数は650%も増加したそうです。

RVShareは2020年の同市場トレンドを、国内向けのトラベル需要増加に伴い今までのキャンピングスタイルにRVが加わった年になったとの見解を述べています。以下が、同社がパンデミックを通して発見した気付きです。

  • 60%以上の顧客がRVを初めてレンタルし、次回予約の意欲を持っている
  • 31%以上の顧客は、RVにペットフレンドリーさを求めている
  • 平均して、RVレンタルにかかる一日の費用は200ドル
  • アメリカにおける最もポピュラーなRVレンタル地域:Anchorage、Los Angels、Ft.Worth、Tacoma、Portland
  • 48%以上の顧客が、RVのデリバリーサービスを求めている

Airbnbが中長期宿泊にプラットフォームコンセプトを切り替え始め、ワーケーションスペースとしての市場獲得を狙う中、RVも同様な市場の需要を満たせるサービスとなる可能性は大いにあります。

トラベル市場は2020年から2021年にかけて大きく様相を変化させていますが、徐々に求められているものが浮かびあがってきました。Airbnbは今年末にも上場が控えていますし、市場予測と共に彼らが示すタイムラインには大きく注目したいと思います。

ハイエンド都市型Airbnbの「Casai」、a16zら2300万ドル出資

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ピックアップ:Investing in Casai ニュースサマリー:メキシコ発のスタートアップ「Casai」は14日、シリーズAにて2300万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家としてAndreessen Horowitzが参加し、 Cultural Leadership Fund、Kaszek Ventures、Global Founders Capital、Monashees C…

Image Credit : Casai

ピックアップ:Investing in Casai

ニュースサマリー:メキシコ発のスタートアップ「Casai」は14日、シリーズAにて2300万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家としてAndreessen Horowitzが参加し、 Cultural Leadership Fund、Kaszek Ventures、Global Founders Capital、Monashees Capital、Liquid 2 Ventures、DST Globalも同ラウンドに参加している。また、同時にTriplePoint Capitalとの間で、最大2,500万ドルの融資枠獲得に関するパートナーシップも公表している。

同社はメキシコシティーに本拠地を置くホスピタリティースタートアップ。旅行者向けにハイエンドな都市型の宿泊施設を提供する。キーレスチェックインなどテックフレンドリーな設計にするほか、アメニティを宿泊者が容易に購入できるような体験づくりを特徴としている。

話題のポイント:久しぶりにトラベルスタートアップの話題です。しかも、調達額も2300万ドルと比較的大きな規模に加え、a16zがリード投資家として参加しています。COVID-19以降、トラベルスタートアップの話題といえばAirbnbに関わるレイオフなどやや不透明なものが主でしたが、ついに息を吹き返し始めている頃合いなのかもしれません。

Image Credit : Casai

さて、今回2300万ドルを調達したCasaiは自社で物件は所有せず、オーナーとのレベニューシェアでのモデルを採用しています。Airbnbが出資するLyricと非常に近いモデルで、価格帯は60ドルから150ドルのレンジで貸し出しており、a16zによればパンデミック以降でも90%の高い入居率を保っているそうです。また、現在メキシコシティの都市を中心に200の物件を運営しており、今回調達した資金は新しくメキシコ国内・ブラジルでの物件獲得に用いられるそうです。

宿泊地のプラットフォームとして特出すべき点は特に上記以外にはありませんが、a16zも触れているようにCasaiは「Sustainable Local Tourism Economies(持続可能なローカルツアリズム市場)」に力を入れています。これは、例えば上述した地元で生産される家具などを利用して部屋をデザインし、宿泊者の購入へと繋げるなど、Casaiが提供する空間を中心に回るローカルエコノミーを意味しています。同社のホームページにも「Boutique Travel」とあるように、Casaiでは宿泊はあくまで手段であり、そこから派生するエコノミーに着目する新しいホスピタリティースタートアップと言えるのではないでしょうか。

夢の別荘は近場でーーPacasoが採用した少人数・共同所有モデル(2/2)

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(前回からのつづき)米国には約3,000万戸の別荘が存在しているそうです。しかし利用期間は年間で4〜6週間。言い換えれば11カ月ほどが使われずにいます。しかもこうした物件に飽きて、不動産を売買したいとなると未だに煩雑なプロセスが伴います。ここに共同所有の考えを用いたのがPacasoです。 まず同社は顧客需要が高そうな物件を代表して購入します。その物件を欲しい購入希望者は物件シェアの1/8(12.5…

Image Credit:Outsite co

(前回からのつづき)米国には約3,000万戸の別荘が存在しているそうです。しかし利用期間は年間で4〜6週間。言い換えれば11カ月ほどが使われずにいます。しかもこうした物件に飽きて、不動産を売買したいとなると未だに煩雑なプロセスが伴います。ここに共同所有の考えを用いたのがPacasoです。

まず同社は顧客需要が高そうな物件を代表して購入します。その物件を欲しい購入希望者は物件シェアの1/8(12.5%)〜50%を保有する必要があります。残ったシェアはPacasoが保有し続け、他の購入者を探すまで持ち続けます。最低シェアが1/8であることから、物件は最大8名の間で共有される計算となります。

Pacasoは共同所有を実現させるため、代表して購入した物件の売却開始と同時にLLC(有限責任会社)を設立します。つまり、1つの物件を1つの会社で運営できる体制を整えるのです。シェア率に関わらず、常に会社の経営はPacasoが担うため、メンテナンス、資金調達(物件購入のローン)、法務などの面倒な作業を顧客が考える必要はありません。収益源として、1オーナー当たり10〜15%の利ざや(手数料)を求めます。加えて購入価格の1%に当たる年間運営費用を徴収することで、定期収入も獲得しています。

一見、タイムシェアモデルと似ていると感じるかもしれませんが、冒頭で紹介したように都市部から2時間ほどの移動圏内にある物件に特化し、リゾート地ではなく、アットホームな住宅体験の提供に絞っているのが特徴です。

また、よくあるタイムシェアの物件は1年以内に購入期間を利用しなければならず、かつ物件価値は徐々に下がっていく傾向にあります。1部屋に対し50人が以上が利用予約するケースもあるため期間変更も難しくなります。この点、Pacasoは最大で8名の所有者がいるのみなので利用期間の予約が取りやすく、住宅価値も上昇する可能性が残っています。

競合には大手バケーションレンタル企業「Vacasa」がいます。別荘を民泊化するため、オーナー不在でも鍵の受け渡しや物件管理などのフルサービスを提供しています。同社の収入は10億ドルほどだそうで、十分なベンチマークと言える事業規模です。別荘購入を民主化させるPacasoがどの程度市場を切り開けるのかに期待が集まります。

夢の別荘は近場でーーポストコロナの不動産購入「Pacaso」(1/2)

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2020年は顧客行動が大きく変わりました。例えばキャンプ用品市場。ソーシャルディスタンスを意識し始めた4〜5月以降、米国ではキャンプ、RV車、ドライブ旅行に関する主要製品が2桁、3桁の伸びを示したそうです。こちらの記事では、4月後半の2週間、レクリエーション・テント(30%増)、ハンモック(103%増)、キャンプセット(119%増)、キャンプファイヤー用品(42%増)などのキャンプ用品の売上が増加…

Image Credit:Pacaso

2020年は顧客行動が大きく変わりました。例えばキャンプ用品市場。ソーシャルディスタンスを意識し始めた4〜5月以降、米国ではキャンプ、RV車、ドライブ旅行に関する主要製品が2桁、3桁の伸びを示したそうです。こちらの記事では、4月後半の2週間、レクリエーション・テント(30%増)、ハンモック(103%増)、キャンプセット(119%増)、キャンプファイヤー用品(42%増)などのキャンプ用品の売上が増加したことを伝えています。

空の移動が嫌厭されリゾート地や国外旅行が控えられました。そのため、他人との接触をなるべくしない大型バンやキャンプカーをレンタルして都心から2〜3時間、遠くても4〜5時間程度の郊外で過ごす需要が高まったのだと思います。同様のトレンドが別荘市場にも発生しています。

今回紹介する「Pacaso」は、まさに手軽に別荘で時間を過ごしたい需要を抑えた不動産売買プラットフォームを展開するスタートアップです。ただし別荘の場所はリゾート地ではなく、大都市から2〜3時間にある比較的容易にアクセスできる場所です。キャンプ市場と同じく近郊需要です。

同社共同創業者は不動産情報検索サイト大手「Zillow」のグループ企業で代表を努めた経験を持つSpencer Rascoff氏で、業界を知り尽くした経験豊富な企業です。また9月30日には、シアトルのVC「Maveron」がリードする1700万ドルのシードラウンドを発表し、Crosscut、Global Founders Capital、元スターバックスCEOのHoward Schultz氏らがラウンドに参加しています。シード調達に加え、合計2億5,000万ドルのデッド調達を行いました。(次につづく)