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シリーズ:食への挑戦

シリーズ:食への挑戦

世界的に食糧や環境の問題意識が高まっている。代替・人工肉などを手掛けるImpossible Foodsは牛肉だけでなく、牛乳や魚、鶏肉などの開発を急ぐため、研究開発人員を倍増させる。一方の日本も農業就業人口の激減など、テクノロジーによる改革が待ったなしの状態だ。シリーズで関連する話題をお届けする

MUGENLABO Magazine

シリーズ:食への挑戦の話題

マーケから宅配までノーコードで、レストランをデジタル化する「Lunchbox」

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ピックアップ:Lunchbox raises $20M to help restaurants build their own ordering experiences ニュースサマリー:レストラン向け配達プラットフォーム「Lunchbox」は10月、シリーズAにて2,000万ドルの資金調達を発表している。リード投資家にはCoatueが参加し、著名シェフのTom Colicchio氏、Bryan …

Image Credit : Lunchbox

ピックアップ:Lunchbox raises $20M to help restaurants build their own ordering experiences

ニュースサマリー:レストラン向け配達プラットフォーム「Lunchbox」は10月、シリーズAにて2,000万ドルの資金調達を発表している。リード投資家にはCoatueが参加し、著名シェフのTom Colicchio氏、Bryan Ciambella氏やRobert Earl氏も同ラウンドに参加している。

話題のポイント:Luchboxは創業1年半ほどしか経過していませんが、今回の調達で合計2,300万ドルの資金の調達に成功しています。同社の特徴はレストラン事業者が自社でフード配達用のウェブサイトおよびアプリをノーコードで開発することができる点です。Lunchboxを利用すれば、レストランをウェブ・SNS・テキストメッセージ・アプリ注文などあらゆるデジタルオーダーに対応させることができます。

Lunchbox

もちろん、UberEatsでもレストランのデジタル注文対応は可能になりますが、多額の手数料であったりオンラインに特化したメニューの作成など、いくつか店舗側がプラットフォームに合わせる必要がありました。

その点においてLunchboxの最大の強みは、上述したデジタル注文プラットフォームを手軽に開発できることに加え、DoordashやPostmatesなど、30以上の外部サービスとの連携が手軽にできる点にあります。Stripeは決済市場で銀行と事業者を結びつける連携プラットフォームとして高い価値を発揮しましたが、Lunchboxは配達事業者とレストランを結びつけることで、フード市場版Stripeとしてのポジションを取ろうとしています。

また、Lunchboxではプラットフォームの提供に加え、例えばアプリを通したプッシュ通知などのマーケティングツールもセットで提供しており、店舗側は半永久的にLunchboxのサポートを受けることができるようになります。

UberEatsの登場や感染症拡大でデリバリーは一気に加速しましたが、レストランのデジタル化もこういった依存型のものから独自での手法に移りつつあり、今後はローカルなレストラン・カフェであればあるほどLunchboxのようなモデルを通したデジタル対応が進むことになりそうな予感がします。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

Nestle、ミールキットのFreshlyを9億5000万ドルで買収

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ピックアップ:Nestlé To Acquire Subscription Meal Service Freshly For $950M ニュースサマリー:食品大手「Nestle」がミールキットサービス「Freshly」を9億5000万ドルで買収したことを発表している。リリースによれば、将来的に事業成長が見られた場合は買収額に最大で5億5000万ドルが上乗せされるという。 話題のポイント:Fres…

Image Credit : Fleshly

ピックアップ:Nestlé To Acquire Subscription Meal Service Freshly For $950M

ニュースサマリー:食品大手「Nestle」がミールキットサービス「Freshly」を9億5000万ドルで買収したことを発表している。リリースによれば、将来的に事業成長が見られた場合は買収額に最大で5億5000万ドルが上乗せされるという。

話題のポイント:Freshlyは1週間分の健康的かつ調理不要な食事をデリバリーしてくれるサービスです。Nestleは以前からFreshlyに出資をしていて、高いシナジー効果が見込めることから今回の買収に至ったのでしょう。Freshlyのミールプランは至ってシンプルで、1週間分の食事プランを個数に合わせオーダーすることができます。オーダーする数によって1食分の値段は異なりますが、最も安くて1食につき8.49ドル、最大で11.49ドルの価格帯となっています。

メニューも現段階で、30〜40個とバラエティー多く、またひとつ一つの料理にはカロリー表記やグルテンフリーなのかなど健康意識高いユーザーに配慮した見せ方をしています。こうした健康意識高いミールキットの販売は、実店舗でいえばWhole FoodsやTrader’s Joeとコンセプトやターゲット層が似ていると思います。

Image Credit : Freshly

Nestleとしては食品顧客体験が自宅で手軽に調理するミールキットへ変わったことから、非上場のFreshlyを買収し、自社製品をリーチさせるネットワークを手に入れたかったのだと考えられます。つまり、今回の買収は自社商品流通のサブスクライバーを買ったとも言えますね。そのため今後は、Nestle商品や食材がミールキットに導入されていくことが予想されます。

ミールキットは「Hellofresh」と「BlueApron」の2社が市場を寡占している状態で、いずれも既に上場しています。ミールキット事業はメディア事業と似ており、いかに先にプロダクトを完成させ、広告経由で顧客を先に囲い込んだ方が勝つかのゲームです。もちろんサプライチェーンなどのとても複雑な工程が必要となりますが、最終的には資本力が勝負となります。この点、上場した2社は先行して逃げ切りました。

食品顧客体験が自宅で手軽に調理するミールキットのネットワークは、今後Nestleを含む商品会社にとって重要なポイントになりそうです。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

米フードテックスタートアップEat Just、アジア市場進出でシンガポールに代替タンパク質工場を建設へ

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Tech in Asia では、有料購読サービスを提供。有料記事の閲読、全記事への回数無制限閲読、5万社を超える企業データベースへの無制限アクセス、カンファレンスへの限定割引などの特典があります。詳しくはこちらから。 アメリカに本社を置くフードテックスタートアップ Eat Just は、アジア初の工場建設に向けて、Proterra Investment Partners Asia が率いるコンソー…

Tech in Asia では、有料購読サービスを提供。有料記事の閲読、全記事への回数無制限閲読、5万社を超える企業データベースへの無制限アクセス、カンファレンスへの限定割引などの特典があります。詳しくはこちらから


アメリカに本社を置くフードテックスタートアップ Eat Just は、アジア初の工場建設に向けて、Proterra Investment Partners Asia が率いるコンソーシアムとの提携を発表した。

ウコンと緑豆のタンパク質を使った植物性代替卵「Just Egg」で作ったスクランブルエッグ
Image credit: Eat Just

声明によると、コンソーシアムは最大1億米ドルを投資し、Eat Just は2,000万米ドルを投じてシンガポールに植物由来のタンパク質生産施設を建設するという。シンガポール経済開発庁の支援により、シンガポールはすでにプロジェクトを促進する環境を提供していると同社は述べている。

EDB のエグゼクティブ・バイスプレジデント Damian Chan 氏は、声明の中で次のように述べている。

世界の食糧と栄養に対する将来のニーズを満たすために、代替タンパク質などの新しい持続可能なアグリフード技術に投資することがますます重要になってきている。これにより、アジア市場のニーズに対応し、シンガポールにも刺激的な機会を提供することができる。

2011年に設立された Eat Just は、ウコンと緑豆のタンパク質を使った植物性代替卵「Just Egg」を開発したスタートアップ。今回新たに設立された子会社「Eat Just Asia」は、アジア全域の製造・販売パートナーや旗艦製品を提供するサプライチェーンを構築している。

Eat Just のアジアの流通パートナーには韓国の SPC Samlip(SPC삼립)、タイの Betagro がいて、中国本土での提携についてはまだ発表されていない。初のアジア工場が建設されれば、北米とドイツにある同社の大規模なタンパク質工場に続くものとなる。Eat Just によると、アジアのタンパク質需要の増加に伴い、この地域に他の工場も建設する予定だという。

Eat Just と Proterra Investment Partners Asia は、屠殺される動物の代替として、ラボで育てられた細胞から作られる培養肉に特化して提携を拡大するための協議を行っている。

シンガポールには、持続可能な代替食品の開発を目指すバイオテクノロジースタートアップとして、細胞ベースの技術を用いて牛乳を製造する TurtleTree Labs がある。同社は、ラボ内ですべての哺乳類の母乳を再現できる世界初のバイオテクノロジー企業だと主張している。同社の主な目標は、高付加価値のヒトの母乳を生産することだ。TurtleTree Labs は今年初めにシードラウンドで320万米ドルを調達した

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【via Tech in Asia】 @Techinasia

【原文】

代替肉・Impossible Foodsの挑戦:肉の味を決定づけるもの(3/3)

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人工的に作ったヘム (前回からのつづき)Brown氏によれば、人々は食糧について「科学的イノベーション不毛の地」という印象を持っていると語る。しかし彼は、生物多様性の壊滅的な損失を食い止める最大のチャンスはここにあるとしている。 Impossibleの最初の発見の一つは、ヘムという分子が動物を食べる時の味を決定付けているということだった。動物の死体から作られた肉もImpossibleの植物から作ら…

スライダー(ミニサイズ)のImpossible Burger 2.0・Image Credit: Dean Takahashi

人工的に作ったヘム

(前回からのつづき)Brown氏によれば、人々は食糧について「科学的イノベーション不毛の地」という印象を持っていると語る。しかし彼は、生物多様性の壊滅的な損失を食い止める最大のチャンスはここにあるとしている。

Impossibleの最初の発見の一つは、ヘムという分子が動物を食べる時の味を決定付けているということだった。動物の死体から作られた肉もImpossibleの植物から作られた肉も、ヘムが豊富に含まれているからこそ美味しく食べられるのだそうだ。Brown氏によると、人々は通常の牛肉よりもImpossible Burgersの方が2対1で好まれるという。Brown氏はヘムのことを生肉のあの血の味の原因となる「魔法のような」分子と表現してこう語る。

「私たちの血液を赤くするヘムは自然界で最も偏在している、生命を構成する重要な分子です。ヘムは、血液中の酸素を運ぶ分子として最もよく知られています。動物の筋肉に含まれているだけでなくヘムは私たちが食べるほとんどすべての食品に含まれています。ヘムは食べても安全なだけでなく、生きていくために必要なものなのです」。

Impossible Foodsは、世界の食肉需要を少しでも満たすため、家畜のように環境への負荷をかける方法ではなく、持続可能で、拡張性があり、手頃な価格でヘムを作る方法を開発した。この会社は大豆レグヘモグロビンと呼ばれる植物に自然に含まれるヘムタンパク質を作るために、酵母をバイオ技術で発酵させている。Impossible Burgerに含まれるヘムは、人間が肉で摂取してきたヘムと同じものになる。牛肉の味をそのままに使用する資源を大幅に削減することに成功したのだ。

また同社によるとImpossible Burgerは従来の牛の挽肉よりも約96%少ない土地のみで、水の使用量を約87%、温室効果ガスの発生量についても約89%減少させることができるとしている。Brown氏は視聴者に「これは可能さ、みんな、方法はひとつしかないんだよ」と語りかけていた。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

代替肉・Impossible Foodsの挑戦:「最も破壊的な哺乳類は牛」代替牛乳も試作(2/3)

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(前回からのつづき)今朝のパネルでBrown氏は「我々は見かけ上は食品会社です。しかし内部では、Impossible Foodsが人類史上最も重要な科学的プロジェクトだと考えています。環境破壊から地球を救う唯一の方法は、新しい食のプラットフォームを作ることなのです」と語りかける。 Lee氏は同社ができる最大のリターンは研究開発にあるとし、ブラウン氏によると同社は牛乳以外にも、植物版の鶏肉や魚にも取…

Impossible Foodsは畜産こそが地球温暖化の要因と語る ・Image Credit: Impossible Foods

(前回からのつづき)今朝のパネルでBrown氏は「我々は見かけ上は食品会社です。しかし内部では、Impossible Foodsが人類史上最も重要な科学的プロジェクトだと考えています。環境破壊から地球を救う唯一の方法は、新しい食のプラットフォームを作ることなのです」と語りかける。

Lee氏は同社ができる最大のリターンは研究開発にあるとし、ブラウン氏によると同社は牛乳以外にも、植物版の鶏肉や魚にも取り組んでいるという。

Impossible Investigatorプログラムではあらゆるキャリアステージの科学者に対し、Impossibleのミッションの範囲内で新たな研究プログラムを構想することも求めている。植物由来の牛乳やステーキ、魚の最適化を加速させる短期的な戦略から、植物性タンパク質やその他の素材のサプライチェーンを大幅に改善する長期的なアイデアまで、どんなことでも構わない。

Impossible Investigatorsでは、生命科学、物理科学、工学などのバックグラウンド、データアナリスト、神経生物学者、実験心理学者、食べ物に対する感覚知覚やヘドニック心理学的な知見を持っている人まで幅広い人を求める。

「このプロジェクトが与える影響に比べれば、他のどんなこともバケツの中の一滴に過ぎないということを伝えたいのです。食糧が抱えているものについて多くの人々が混乱し、困惑しています」とBrown氏は語る。

Impossible FoodsのCEO、Pat Brown氏・Image Credit: Impossible Foods

筆者は牛肉の味がするのに植物由来のImpossible Burgerを定期的に食べるようになった。毎週の習慣になっていて、週末はマクドナルドのフライドポテトと一緒にImpossible Burgerを食べた。そう、牛肉が恋しくないのだ。今はまだ高いがBrown氏によればそれは時間と共にに変わるだろうとしている。今年の初めに同社は15%の値下げを実施し、数年後の価格は動物性のものを下回ると予測している。

今年初め、同社は同じく植物から作られた「Impossible Sausage」を発売している。香港では数千店のレストランと200店舗で販売されているものだ。

消費者調査会社のNumeratorのデータによると、Impossible Burgerの売上の大部分は動物由来の肉に食い込んできている。Impossibleには250以上の特許があり、出願中の特許もある。昨年、同社は利用可能なインターンシップに3,000件の応募があったと、チーフ・コミュニケーション・オフィサーのRachel Konrad氏は述べている。

今日のイベントの中で、同社はどうすれば植物性ミルクをフォーム・ミルクに変化させ、朝のコーヒーに入れることができるのかを示していた。この牛乳は試作品の状態だ。Brown氏によると、最も破壊的な哺乳類は牛であり、その数は世界中で約17億頭に上るという。放牧や汚染物質を排出することを考えると食料生産の効率が悪い。味の悪い豆乳ではなく牛乳に代わることは非常に重要であると語っていた。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

都市で野菜を育てる垂直農法の「Infarm」が1.7億ドル調達

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ピックアップ:Infarm raises $170M in equity and debt to continue building its ‘vertical farming’ network ニュースサマリー:都市部で垂直農法を使った農作物栽培・販売をする「Infarm」は9月17日、シリーズCにて1億7,000万ドルの資金調達を公表している。リード投資家としてLGT Lightstoneが参…

Infarmウェブサイト

ピックアップ:Infarm raises $170M in equity and debt to continue building its ‘vertical farming’ network

ニュースサマリー:都市部で垂直農法を使った農作物栽培・販売をする「Infarm」は9月17日、シリーズCにて1億7,000万ドルの資金調達を公表している。リード投資家としてLGT Lightstoneが参加し、 Hanaco、 Bonnier、 Haniel and Latitudeらが新たに、また既存投資家としてAtomico、TriplePoint Capital、Mons Capital、Astanor Venturesも同ラウンドに参加している。

話題のポイント:Infarmは「100% Local」をキーワードに、都市部の屋内で通常栽培のわずか1%ほどの面積で垂直農法の栽培環境を整え、新鮮な野菜の提供を実現しています。同社によれば、既にベルリン、コペンハーゲン、シアトル、ロンドンなどの10カ国30都市での栽培・販売を開始しています。不動産価格が高い都市部で展開する事業であるため、未だ経済合理性の取れていない領域であるものの、食料問題は人間が避けては通れない点であるため、市場展望性は衰えないでしょう。

特に同社の農法では、水の使用量を通常農法より95%削減、肥料の使用量を75%減かつ無農薬を実現しており、環境問題にも目を向けたモデルとなっています。都市部で栽培して現地で販売するため、流通コストも90%減を達成しているとする点も注目すべきポイントでしょう。

日本に目を向けると同社は、JR東日本と今年2月に提携し、紀伊国屋店舗にてInfarmプロダクトの日本導入を進めています。これらの動きにより、今後は日本においても都市部スーパーマーケットで垂直農法を用いた販売形式を見かけることも増えるかもしれません。地価の問題から高級食品として扱われることが想定されますが、一般化が進めばあらゆる場所で「100% Local」なInfarmプロダクトが見られることになりそうです。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

代替肉・Impossible Foodsの挑戦:研究開発チームを倍増へ(1/3)

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植物をベースにした「Impossible Burger」を製造するImpossible Foodsは畜産業を廃業に追い込むため、近年中に研究開発チームの規模を2倍にする予定だ。同社のミッションは植物を肉、魚、乳製品に変えることで、彼らが「世界で最も破壊的な技術」と呼ぶ“動物”の利用によって引き起こされる地球温暖化や生物の多様性崩壊を食い止めることにある。 同社は技術投資を拡大し、問題解決のために科…

植物をベースにした「Impossible Burger」を製造するImpossible Foods畜産業を廃業に追い込むため、近年中に研究開発チームの規模を2倍にする予定だ。同社のミッションは植物を肉、魚、乳製品に変えることで、彼らが「世界で最も破壊的な技術」と呼ぶ“動物”の利用によって引き起こされる地球温暖化や生物の多様性崩壊を食い止めることにある。

同社は技術投資を拡大し、問題解決のために科学者を集める「Impossible Investigator」プログラムを開始することでこれを実現しようとしている。彼らは動物性食品を「気化」させることが気候変動を止めるための最良の方法であることに変わりはないと主張している。植物性ミルクのような製品で気候変動を食い止めることを目指しているのだ。

主力商品であるImpossible Burgerは、すでに動物由来の食品の代替が進んでおり、その生産は温室効果ガスの排出と、野生動物減少を食い止める最大の要因の一つとなっている。ライバルにはBeyond Burgerなどがいる。

Impossible Foodsはシリコンバレーで現在実施しているプロジェクトに参加する科学者、エンジニア、その他のR&D専門家を約50人募集している。現在600人以上の従業員を抱えており、Impossibleは2011年の創業以来、15億ドルの資金調達を実施した。今年は2回のラウンドでは7億ドルを調達し、その資金はテクノロジープラットフォームとR&Dチームの拡大に充てられる予定だ。

Impossible Foodsが開発する「Impossible Burger 2.0」Image Credit: Impossible Foods

スタンフォード大学の生化学名誉教授であり、元ハワード・ヒューズ医学研究所の研究者でもあるPatrick Brown CEOによって創業された。彼は数々の賞を受賞したスタンフォードの生化学研究室の仕事を辞め、2011年にImpossible Foodsを立ち上げた。2016年頃には、最高財務責任者(CFO)のDavid Lee氏を迎え入れることで、事業拡大のための人材を採用するようになり、ラスベガスで開催されたビッグテックのトレードショー「CES」にも出展している。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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期待高まる「スマート農業」の要諦と「新たなビジネスチャンス」

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本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社の鈴木祐介氏・松尾壮昌氏が共同執筆した。 一次産業のデジタル化は市場も大きい分、取り組みの範囲も広い。 例えば「屋内農業」に絞って紐解くと、2017年のグローバル市場は1,066億ドルであったとのデータがある。2026年には1,700億ドル規模と予…

Photo by freestocks.org from Pexels

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社の鈴木祐介氏・松尾壮昌氏が共同執筆した。

一次産業のデジタル化は市場も大きい分、取り組みの範囲も広い。

例えば「屋内農業」に絞って紐解くと、2017年のグローバル市場は1,066億ドルであったとのデータがある。2026年には1,700億ドル規模と予測されおり、年平均成長率でみれば5%以上だそうだ。この屋内農業市場は栽培品種の生育メカニズム最適化や、ロボットやAI画像認識を活用した技術革新が起こっているため注目が集まっている、いわゆる「スマート農業」の領域だ。高額な初期投資や作目品種が限られる一方、収穫不足や気候変動問題に対処できることから、近い将来の成長機会が期待されている。

では、国内ではどういうステップになるのだろうか。

グローバル・ブレインでは農林中央金庫と共同で農林中金イノベーション投資事業有限責任組合(以下、NCIF)を運営しており、直近だと7月には農業用機械の運転支援アプリ「AgriBus-Navi」を運営する農業情報設計社への出資も実施している。本稿では、それら知見から国内におけるアグリテック・スマート農業の俯瞰を試みたい。

農業の課題とスマート農業が目指す世界

この領域における主要な課題は大きく「人手不足」と「効率性」の2つに集約される。

農林水産省が公表した資料によると、1995年に414万人いた農業就業人口は20年経過した2015年には210万人と激減している。技術革新による課題解決が待ったなしの状況で期待されるのが「スマート農業」なのだ。

スマート農業では生産の自動化、生産から販売までのサプライチェーンに関わるデータ活用などがテーマとしてある。例えば生産に関するデータが細かく揃っていれば、熟練した生産者と同様に誰でも農作物を作ることができるようになる。さらにこの世界が一歩進んで生産の予測ができれば、保険や融資など金融商品の展開も広がる。革新のポイントはデータとデバイス、そしてギグワーカーなど社会的な経済構造の変化にある。では、それぞれケーススタディを元に紐解いてみたい。

農業を自動化する「次の狙い」

農業は耕うん整地や種まきから始まり耕作、生育、収穫とワークフローが流れていく。その後、出荷、消費と繋がるわけだが、それぞれに効率化できるポイントがある。例えば生育管理のところで言うとIoTデバイスを使って日照条件や温度、土壌の水分条件などの外部条件を取得する事例が増えている。また、テラスマイル社のように、異なるデバイスから取得したデータを統合的・横断的に見える化することで、営農・経営に役立てるサービスも登場している。

農薬の散布も重要だ。

出資先の農業情報設計社ではAgriBusシリーズを展開

トラクターの自動操舵を開発する農業情報設計社はGPS/GNSSを活用して耕うん、播種や農薬の散布を効率化する。汎用的なAndroidアプリとトラクターに後付けできるGPS/GNSS装置により、精度高く運転経路を記録できるため重複なく耕うん、播種や農薬の散布ができる。また、当社の自動操舵機器を組み合わせることで指定した運転経路通りに運転する自動操舵も可能となる。

収穫も自動化の波がやってきている。

「Root AI」が開発する農作物のピッキングロボット「Virgo」は、様々な種類の農作物を認識して収穫するため汎用性が高く、人手不足解消が期待されている。それ以外にも、国内外で汎用性を狙った野菜や果樹の自動収穫の試みが進み、注目を集めている。このように生産のワークフローが自動化されると、課題であった人手不足と効率性の問題が解決に向かうと同時に副次的な効果が生まれてくる。

それがデータだ。

耕作・生育・収穫までの一連の流れがスマート化すれば、出荷タイミングや、収益量や生産物の品質の予測が現実味を帯びてくる。農作物の量や品質の予測ができれば、農作物に対する保険の在り方が変わる可能性もはらむ。また、より良い質や量をもたらす土地の傾向が見えれば、農地としての担保価値算定にも影響が出るかもしれない。農業を取り巻く事業環境を大きく変える余地を内包するデータの取得に、各企業が取り組み出している。

都市型農業の可能性と壁

農業をデジタル化することで、生産販売だけでなく金融など別のビジネスモデルの可能性が見えてくることについて整理してみた。そこでもう一つ、やや消費に近い観点で「都市型農業」の件についても少しだけ触れてみたい。

そもそも海外ではスマート農業は都市部で行われることが多い。先述したロボットやAI技術の確立により、都市部の限られたスペースと水資源を最大限活用できるためだ。無農薬作物を計画的に栽培できる。

例えば4億ドル以上を調達している「Plenty」は、一度に大量の農作物を栽培できる垂直農業を展開している。高層建築物内での栽培が可能で、土地の少ない都市部での農業を提案している。他にも「AeroFarms」「Bowery」「infarm」などが代表的だ。

都市部でのスマート農業は、生鮮食品配達市場と密接な関連性を持つ。従来の宅配網で配達される食料品は新鮮さに欠けるが、都市部で効率的に農作物を栽培・出荷できるのならば、鮮度を維持したまま配達できる。生鮮食品のECは感染症拡大の問題もあって大きく進んだトレンドのひとつだ。

フードマイレージの削減や環境負荷軽減といった文脈でも、こうした都市型農業への期待は広がっている。しかし日本では、フードマイレージ等への意識は欧州と比べ、まだ醸成途上にあるのではないか。更に都市型農業には、別の大きな壁も存在している。それが土地の価格だ。そのため、都市部の事例では企業保有遊休地の活用などが主流だろう。更に、施設への初期費用と運営コストが、最終の消費価格に転嫁される。コスト抑制、品質と売価確保のバランスが、ビジネス上は非常に重要となる。

昨今の野菜の価格高騰などをみていると、環境に影響されない安定供給性には魅力がある一方、都市型農業や植物工場を考える際は、QCD、すなわち品質、コスト(売価)、安定供給の問題をどう解決するか、そこにかかっている。

少人数でも生産を可能にし、新たなデータという武器を与えてくれるのがスマート農業の強みだ。AIの進化によりデータ活用のユースケースが増えてきたのも追い風に感じる。農業に関わる方々のデジタル理解度も進む中、ゆっくりとキャズム超えのタイミングを待っているのが今の国内状況ではないだろうか。

【EC化するコンビニ】30分配達「goPuff」は次のセブンイレブンになれるか(3/3)

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの転載。 (前回からのつづき) データ軸:goPuffは独自予測アルゴリズムを開発しており、各拠点の在庫レベルを常に把握しているため、在庫切れや代替品の必要性のリスクを軽減しています。配達員の移動速度や地域性、悪天候などの変数に基づいて配送システムを調整しているそうです。 加えて、例えば学生の顧客がどこから…

Image Credit:goPuff

※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの転載。

(前回からのつづき)

データ軸:goPuffは独自予測アルゴリズムを開発しており、各拠点の在庫レベルを常に把握しているため、在庫切れや代替品の必要性のリスクを軽減しています。配達員の移動速度や地域性、悪天候などの変数に基づいて配送システムを調整しているそうです。

加えて、例えば学生の顧客がどこから注文しているか(寮の部屋、図書館、パーティーなど)、何時に注文しているか、どのような種類の製品を注文しているかまで把握し、それに応じてマーケティングプランを調整できるようにしています。同社は今のところデータを販売する予定はないと言いますが、Amazonなども手を出せていない膨大な独自の価値を持っており、物流とマーケティング、両方に寄与するデータを保有することで垂直統合型の配達サービスを確立しています。

簡単に5つの戦略を紹介しましたが、今回の大型調達の後押しになったのは新規ユーザー層へアプローチできたことにありそうです。同社のパンデミック関連のレポートによると、「週に1回以上注文する顧客数は90%近くの増加、注文金額は55%増加(2019年3月比)」したとあります。

成長要因となったのが、これまであまり需要のなかった料理および美容商品の販売売上増加にあります。在宅時間が増え、DIYの機会が増えると同時に新しいカテゴリー需要が発生。こうしたトレンドを見逃さずに先述した予測アルゴリズムに組み込み、的確な量の在庫を揃えることで対応できたのがgoPuffです。

さらに、若者世代だけでなく高齢ユーザーの流入も確認されたといいます。「新規顧客の注文額は、週7日のうち5日で既存のgoPuff顧客の注文額を上回った」とあることから、可処分所得の多い年齢層の高いユーザーがお金を多く落としていると言います。パンデミックの影響でgoPuffのCACが下がり、自然流入で顧客数を増やせています。こうした新需要に迅速に応える体制がgoPuffの魅力となっていると考えられます。

今後、膨大なデータを基に自社ブランド商品を販売することでさらなる利益率向上も狙えるかもしれません。特に消費財はブランド力が差別化要因にならないため、goPuffブランドでも十分に購入されるチャンスがあります。伸び代の高い事業モデルは次なるセブンイレブンの座を射止める可能性も踏めているでしょう。

本稿は次世代コンピューティング時代のコミュニケーションデザイン・カンパニー「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏が手掛ける「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載。Twitterアカウントは@takashifuke。同氏はBRIDGEにて長年コラムニストとして活動し、2020年に.HUMANS社を創業した

【EC化するコンビニ】30分配達「goPuff」の戦略とは(2/3)

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(前回からのつづき)goPuffのパフォーマンスは高く、新店舗領域を立ち上げると平均5.5カ月で損益分岐点を超えるそうです。これはコンビニ利用者の50%超を占めるミレニアルおよびZ世代の需要を汲み取ってることが要因となっています。それでは具体的にどのような戦略を打っているのでしょうか。5つ簡単にご紹介します。 製品軸:まず最初に挙げられるのが、衝動買い需要を抑えた製品ラインナップです。例えば深夜の…

Image Credit:goPuff

(前回からのつづき)goPuffのパフォーマンスは高く、新店舗領域を立ち上げると平均5.5カ月で損益分岐点を超えるそうです。これはコンビニ利用者の50%超を占めるミレニアルおよびZ世代の需要を汲み取ってることが要因となっています。それでは具体的にどのような戦略を打っているのでしょうか。5つ簡単にご紹介します。

製品軸:まず最初に挙げられるのが、衝動買い需要を抑えた製品ラインナップです。例えば深夜の間食や、大事な物資を切らしてしまった時など、すぐに満たしたいニーズがあります。また、生理品やピルを含む対面でもらうには恥ずかしい一方、緊急性を要する商品需要も挙げられます。Amazonプライムの配達では2日もかかるので待てないといった消費者心理を突くべく、商品ラインナップも必要性に駆られる物を中心に揃えています。

価格軸:競合他社がダイナミック・プライシングに基づき、時間帯によって配達料金を変えています。これは収益を配達料金に頼っているため、固定価格でのサービス提供ができないデメリットを抱えているからです。一方のgoPuffは配達料で稼ぐことはせず、商品販売マージンを収益源に据えることで低価格の配達料金設定を実現できています。

goPuff はサービス提供する都市において、在庫保管するために地元の倉庫施設を所有しています。注文は倉庫から直接顧客に届くため、物流の手間が省けます。パートナー企業から商品をピックアップして配達するプロセスは経ていません。物理的な流通センターを所有しているため、サプライヤーから卸売価格で製品在庫を一括購入できます。これにより、価格が低く抑えられ、利益を得るために配送料に頼る必要がなくなる仕組みです。顧客にとっては毎回配達コストを考える手間が省け、UXとしても洗練されたものとなります。

非競合軸6,478億ドルが米国のコンビニ販売高と紹介しましたが、その内3,959億ドルが燃料販売なのだそうです。ただ、利益率は比較的低く、コンビニ全体の利益額の38%しか占めません。一方の食品販売は利益率が高いのですが、フード配達となるとUberEatsを筆頭とする大手プレイヤーを敵に回す必要が出てきます。そこでgoPuffは生鮮食料品やレストランの出来立て料理の配達にウェイトを置いていません。販売するとしても長期保存可能な冷凍食品やスナック菓子がメインです。利益率の高いカテゴリーの中でも、競合を持たない戦略が功を奏しています。(次につづく)

本稿は次世代コンピューティング時代のコミュニケーションデザイン・カンパニー「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏が手掛ける「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載。Twitterアカウントは@takashifuke。同氏はBRIDGEにて長年コラムニストとして活動し、2020年に.HUMANS社を創業した