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特集:食への挑戦

特集:食への挑戦

世界的に食糧や環境の問題意識が高まっている。代替・人工肉などを手掛けるImpossible Foodsは牛肉だけでなく、牛乳や魚、鶏肉などの開発を急ぐため、研究開発人員を倍増させる。一方の日本も農業就業人口の激減など、テクノロジーによる改革が待ったなしの状態だ。シリーズで関連する話題をお届けする

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特集:食への挑戦の話題

マメからできた代替卵の「JUST Egg」、中国ファーストフード大手が採用

ピックアップ:California vegan egg startup Eat Just yokes itself to China’s fast food chain ニュースサマリ:植物性の卵「JUST Egg」を提供するサンフランシスコの食品スタートアップEat Justは、中国のファーストフードDicosに代替卵を供給することを1月に発表した。同社が開発する代替卵「JUST E…

画像出典:Eat Just 公式ウェブサイト

ピックアップ:California vegan egg startup Eat Just yokes itself to China’s fast food chain

ニュースサマリ:植物性の卵「JUST Egg」を提供するサンフランシスコの食品スタートアップEat Justは、中国のファーストフードDicosに代替卵を供給することを1月に発表した。同社が開発する代替卵「JUST Egg」は緑豆というマメ科の植物から作られている。同社公式サイトによると、JUST Eggはコレステロールフリー、抗生物質フリーで遺伝子組み換えも行っておらず、タンパク質含有量は卵1個分に匹敵するという。

詳細:Eat Justは2011年、Hampton Creekという社名でJosh Tetrick氏とJosh Balk氏により創業。同社はLi Ka-Shing氏、Peter Thiel氏、Bill Gates氏、Khosla Venturesなどの著名投資家から3億ドル以上を調達し、最新の評価額は12億ドルだった。

  • 同社はすでに2019年からアリババグループが運営するTmallやJD.comなどを通じて中国でのオンライン販売を行っており、同社の中国事業は前年比70%の成長を遂げているという。
  • 同社グローバルコミュニケーション担当責任者・Andrew Noyes氏は、「植物ベースの食品は中国の消費者の間で人気が高まっており、持続可能な食生活は、将来的な国の食料調達に関する国民的な話題の一つになりつつある」とコメントしている。
  • 今回代替卵を提供することになったDicosはハンバーガーやフライドチキンなどを提供する中国最大級のフードサービス企業で、同社プレスリリースによると32の省と自治区で計2,600店舗を運営し、年間6億人の顧客にサービスを提供している。

背景:Euromonitorによると、世界最大の食肉消費国である中国において、代替肉の市場規模が2018年の100億ドルから2023年には120億ドルに成長すると予測されている。

執筆:平理沙子(Risako Taira)/編集:岩切絹代

日米を股にかける連続起業家・吉川欣也氏が次に賭けるのはギョーザ——ポストコロナ、東京五輪に照準

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1997年、シベリアからの日食の生中継プロジェクトに関わっていた筆者は、その関係で恵比寿駅前にあった吉川欣也氏のオフィスで彼に初めて出会った。あれから20年以上の歳月が過ぎたが、その間に吉川氏はさまざまな事業を立ち上げた。ウェブ制作会社の草分け的存在デジタル・マジック・ラボに始まり、IP 技術に特化したソフトウェア開発会社 IP Infusion をシリコンバレーで立ち上げ(2006年に ACCE…

吉川欣也氏

1997年、シベリアからの日食の生中継プロジェクトに関わっていた筆者は、その関係で恵比寿駅前にあった吉川欣也氏のオフィスで彼に初めて出会った。あれから20年以上の歳月が過ぎたが、その間に吉川氏はさまざまな事業を立ち上げた。ウェブ制作会社の草分け的存在デジタル・マジック・ラボに始まり、IP 技術に特化したソフトウェア開発会社 IP Infusion をシリコンバレーで立ち上げ(2006年に ACCESS へ5,000万米ドルで売却)、ソーシャル楽器スタートアップ Miselu でも名を馳せた。

夢と野心のとどまることを知らない吉川氏から次に届いたプロダクトは餃子だ。確かに、日本で(いや世界でも)餃子が嫌いな人を見つけることの方が難しいだろうし、市場は小さくないだろう。しかし、街の中華店であれ、料理手間要らずの冷凍食品であれ、美味しい餃子はそこらじゅうにあふれているわけで、今さらスタートアップがディスラプトまたはイノベートすべき領域なのだろうか? そしてテクノロジーを追いかけてきた吉川氏がなぜ餃子なのか? 素朴な疑問に、吉川氏からは次のような答えが返ってきた。

餃子はパケットなので、IP Infusion と同じ(編注:IP Infusion はルータやスイッチ向けの OS を開発してきた)。Miselu では、音楽で世界をつないできた。餃子で、家族を繋いで世界を笑顔で包みたい。(吉川氏)

餃子は食べ物であると共に、美味しさや食のサイエンスを届けるメディアだというのだ。確かに、あの一口サイズの最小単位は、製造工程のベルトコンベアを流れている姿を想像すると、なんとなく LAN ケーブルや光ファイバーの中を流れるデータパケットに形容したい気持ちはわからないでもない。世界中に餃子や餃子から派生した食べ物が伝播したことを考えると、音楽にも似た人類の叡智の一つの象徴と見ることもできるだろう。吉川氏の新たな取り組みについて話を聞いてみた。

餃子を科学して、東京から世界に発信

Image credit: Republi9

餃子の歴史は古く、中国の東漢(後漢)時代(西暦200年頃)に由来し、当時の名医 Zhang Zhongjing(張仲景)氏が創案した「嬌耳」が起源とされる。寒い中国の東北部では凍傷に悩まされる人が多く、Zhang 氏がラム肉や唐辛子と一緒に生薬を釜で煮込んだ薬膳餃子を作り配ったところ、人々の凍傷の症状が改善されたという。実に長い歴史を持つ医食同源の象徴的な食べ物だが、1800年が経ち、医療や食生活や科学技術は当時と比にならないほどの進化を遂げた今、吉川氏は餃子が科学されていない、と憂う。

日本にも、美味しい餃子を食べ歩く人たちとか、それを作り出す人たちは多くいる。しかし、餃子を科学しよう、という人はあまりいないのではないか。餃子には五大栄養素が入っているし、食材が無駄になりにくい。サステナブルで理想的な食べ物だ。

冷凍でも、焼いても蒸しても、フォーマットが変わっても美味しい。だから1800年かけて世界中に広がっていった。しかし、次の1800年後を見据えて、次の餃子の形を作り出して考えてもいいのではないか、と思った。(吉川氏)

食欲を掻き立てる餃子だが、どうしても気になるのが食べた後の口臭だ。ニンニクやニラ抜きの餃子を提供する中華料理屋もあるが、特に女性の中には、昼間から餃子を食べることを躊躇する人も少なくないだろう。一方で、21世紀になって顕著になってきているトレンドとして、ヴィーガン(菜食主義者)の増加とグローバル化に伴ってハラール料理が求められるようになっている現状がある。餃子の美味しさは、ムスリムの友人や同僚とも共有したいと思うのが人情だ。

東京・二子玉川駅前でのテスト販売
Image credit: Republi9

吉川氏は、ニンニクやニラを使わず、また、ひき肉の代わりに大豆ミートを使った「東京ヴィーガン餃子」を考案。東京・二子玉川駅前にキッチントレーラーを出してテスト販売を行ったところ、30代後半から40代半ばの女性を中心に好評を得た。今秋からは関東甲信越を中心に冷凍宅配による D2C 販売を始めており、現在は PMF と合わせて、どんなユーザがどういう買い方をしているのか、データを取っているところ。世田谷区・港区・目黒区などにリピーターが多く、医師、ヨガ愛好家、IT 企業の社長などに人気のようだ。

玉ねぎ、キャベツ、生姜を主体に使っている。臭いをあまり気にしなくて済むので、医療従事者、舞妓さん、銀座のクラブのママさん、それに、臭いの滞留が気になる飛行機などでも安心して食べてもらえる。(吉川氏)

吉川氏が率いるスタートアップ Republi9(リパブリック)では今年10月、新型コロナウイルス患者の治療に臨む医療従事者に対して、東京ヴィーガン餃子の無償提供を実施した。患者と近い距離で接する機会の多い医師や看護師は勤務時、臭いの強い食べ物を敬遠する傾向にあるが、そういった現場で餃子が受け入れられたという事実は興味深い。餃子という食品の扱いやすさや調理のしやすさから、自然災害が起こった際の被災者への非常食として、赤十字などへ寄付することもできるだろう、と吉川氏は言う。

ポストコロナ・東京五輪を念頭に事業を加速、シリーズ A ラウンドへ

筆者宅に届いた「東京ヴィーガン餃子」。 冷凍宅配便で届く。
Image credit: Masaru Ikeda

吉川氏はインタビューの中で、Republi9 がエンジェルラウンドで3,800万円を調達していたことを明らかにした。シリコンバレーに拠点を構え、日米を股にかける連続起業家の吉川氏ならではの人脈の豊富さを反映した錚々たる投資家の顔ぶれとなっている。このラウンドに参加した投資家は次の通り(名前非開示の投資家を除く)。

  • 旺文社ベンチャーズ
  • 信金キャピタル
  • DG ベンチャーズ
  • 石塚亮氏(メルカリ 共同創業者)
  • 柴田尚樹氏(SearchMan 共同創業者)
  • 松尾豊氏(東京大学大学院工学系研究科 教授)
  • 松本均氏(元米国富士通研究所 社長)
  • 原田明典氏(ディー・エヌ・エー常務執行役員)
  • 安川健太氏(ソラコム CTO 兼共同創業者)
  • 芳川裕誠氏(トレジャーデータ共同創業者)

Republi9 では今後、ポストコロナ、そして2021年に開催が延期された東京オリンピックを見据え、生産販売体制の拡充を図る考えだ。それに向けて、シリーズ A ラウンドでの資金調達への着手を始めた。吉川氏の旧来からの友人が多かったエンジェルラウンドと対照的に、シリーズ A ラウンドでは VC の他、東京ヴィーガン餃子の商品拡販や流通チャネル拡大にシナジーのある、さまざまな事業会社の参画が期待できるだろう。

オリンピックには世界中からさまざまな人々がやってくる。世界中でヴィーガンアスリートも増えている。いろんなメニューを作って、ホテルとか、飛行機とか、選手村とかで提供できるようにしたい。コロナが明けた頃に、日本で街で買えるように、(来年の)春か夏くらいまでに仕込みができればいいな、と思っている。

90年代くらいからヴィーガンが増えてきて、そろそろ、彼らの子供たち、ヴィーガンの第二世代が20代〜30代になってくる頃。今では、クジラをわざわざ食べようとする人もあまりいないように、動物肉をそこまでして食べなくてもいいかな、という時代がくるんじゃないかな。(吉川氏)

Image credit: Republi9

世の中の常識とは常に変化するものだ。一昔前なら、喫煙は社会人の一つのステータスみたいな風潮さえあったが、今では愛煙家は社会の隅に追いやられてしまった。誰が悪いというわけでもないが、それが世の中の変化である。地球温暖化や食料問題を近因として世界中のフードテックスタートアップが代替肉の開発に勤しんでいることも手伝って、ヴィーガン人口が増えていくことは自然な流れとも言える。

ヴィーガンの料理というと、とかく味が淡白だったりメニューが多様でなかったりと思われがちだが、餃子という我々が受け入れやすい日常食でこれを実現しようとしているところも興味深い。名前やデザインから想像に難くないが、Republi9 では東京ヴィーガン餃子を日本初のヘルシーブランドと位置づけ、将来は世界展開も視野に入れているようだ。

香港の魚培養肉スタートアップAvant、商品の市場投入に向け310万米ドルを調達

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Tech in Asia では、有料購読サービスを提供。有料記事の閲読、全記事への回数無制限閲読、5万社を超える企業データベースへの無制限アクセス、カンファレンスへの限定割引などの特典があります。詳しくはこちらから


中国の食肉バイオテックスタートアップ Avant は、研究開発部門を強化し、製品の商業化を支援するため、シードラウンドで310万米ドルを調達してシード調達ラウンドをクローズした。このラウンドには、China Venture Capital(中国風険投資)、AngelHub、ParticleX(粒子創投)、Lever VC、CPT Capital、Loyal VC、Artesian、208 Seed Ventures、PTG Food(太寅食品)、Regal Springs の会長である Markus Haefeli 氏らが参加した。

Avant の魚培養肉のミンチで作られたフライ
Image credit: Avant

香港を拠点とする Avant は、特許出願中の独自技術により、完全に密閉されたバイオプロセスを経て、魚の細胞から動物性タンパク質を直接製造している。このタンパク質は、食品やスキンケアなどの用途を想定している。Avant が2021年に製品を市場に投入することを目指す中で、今回のラウンドで調達した資金は製造コストの削減に使用される。

サステナブルな水産物や機能性タンパク質業界との連携を加速させ、既存のグローバルなサプライチェーンへの当社製品の採用を加速させていく。(Avant CEO の Carrie Chan 氏)

バークレイズのアナリストらによると、代替肉市場は今後10年間で1,400億米ドルに達する可能性があるという。彼らによると、この急速な成長のペースは、アニマルフリー(動物を犠牲にしない食肉調達)の業界が、その頃には世界の食肉市場1.4兆米ドルの約10%を占めるようになるとも言われている

我々の投資家の間では、培養肉の消費と投資に対する意欲が高まっていると見ている。(AngelHub 共同創業者 Karen Contet 氏)

現在、さまざまな企業がサステナブルなタンパク質の課題に取り組んでいる。Aleph Farms、Clara Foods、Ecovative Design、GoodDot などは、Avant の世界における競合のほんの一例だ。もう一つの競合はシンガポールの Eat Just で、同社は最近、シンガポールの規制当局からラボで育てた鶏肉を販売する承認を得た

(編注:Avant に関する以下の記述は、アメリカを拠点とする同名のオンラインレンディングプラットフォームについての情報を誤引用したものと見られる。原記事尊重の観点から、そのまま掲載する。)

Avant はこれまでに、9回のラウンドで合計16億米ドルの資金調達を行っている。2015年9月のシリーズ E ラウンドからの最新の調達までで、3億2,500万米ドルを調達した。

【via Tech in Asia】 @Techinasia

【原文】

マーケから宅配までノーコードで、レストランをデジタル化する「Lunchbox」

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ピックアップ:Lunchbox raises $20M to help restaurants build their own ordering experiences ニュースサマリー:レストラン向け配達プラットフォーム「Lunchbox」は10月、シリーズAにて2,000万ドルの資金調達を発表している。リード投資家にはCoatueが参加し、著名シェフのTom Colicchio氏、Bryan …

Image Credit : Lunchbox

ピックアップ:Lunchbox raises $20M to help restaurants build their own ordering experiences

ニュースサマリー:レストラン向け配達プラットフォーム「Lunchbox」は10月、シリーズAにて2,000万ドルの資金調達を発表している。リード投資家にはCoatueが参加し、著名シェフのTom Colicchio氏、Bryan Ciambella氏やRobert Earl氏も同ラウンドに参加している。

話題のポイント:Luchboxは創業1年半ほどしか経過していませんが、今回の調達で合計2,300万ドルの資金の調達に成功しています。同社の特徴はレストラン事業者が自社でフード配達用のウェブサイトおよびアプリをノーコードで開発することができる点です。Lunchboxを利用すれば、レストランをウェブ・SNS・テキストメッセージ・アプリ注文などあらゆるデジタルオーダーに対応させることができます。

Lunchbox

もちろん、UberEatsでもレストランのデジタル注文対応は可能になりますが、多額の手数料であったりオンラインに特化したメニューの作成など、いくつか店舗側がプラットフォームに合わせる必要がありました。

その点においてLunchboxの最大の強みは、上述したデジタル注文プラットフォームを手軽に開発できることに加え、DoordashやPostmatesなど、30以上の外部サービスとの連携が手軽にできる点にあります。Stripeは決済市場で銀行と事業者を結びつける連携プラットフォームとして高い価値を発揮しましたが、Lunchboxは配達事業者とレストランを結びつけることで、フード市場版Stripeとしてのポジションを取ろうとしています。

また、Lunchboxではプラットフォームの提供に加え、例えばアプリを通したプッシュ通知などのマーケティングツールもセットで提供しており、店舗側は半永久的にLunchboxのサポートを受けることができるようになります。

UberEatsの登場や感染症拡大でデリバリーは一気に加速しましたが、レストランのデジタル化もこういった依存型のものから独自での手法に移りつつあり、今後はローカルなレストラン・カフェであればあるほどLunchboxのようなモデルを通したデジタル対応が進むことになりそうな予感がします。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

Nestle、ミールキットのFreshlyを9億5000万ドルで買収

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ピックアップ:Nestlé To Acquire Subscription Meal Service Freshly For $950M ニュースサマリー:食品大手「Nestle」がミールキットサービス「Freshly」を9億5000万ドルで買収したことを発表している。リリースによれば、将来的に事業成長が見られた場合は買収額に最大で5億5000万ドルが上乗せされるという。 話題のポイント:Fres…

Image Credit : Fleshly

ピックアップ:Nestlé To Acquire Subscription Meal Service Freshly For $950M

ニュースサマリー:食品大手「Nestle」がミールキットサービス「Freshly」を9億5000万ドルで買収したことを発表している。リリースによれば、将来的に事業成長が見られた場合は買収額に最大で5億5000万ドルが上乗せされるという。

話題のポイント:Freshlyは1週間分の健康的かつ調理不要な食事をデリバリーしてくれるサービスです。Nestleは以前からFreshlyに出資をしていて、高いシナジー効果が見込めることから今回の買収に至ったのでしょう。Freshlyのミールプランは至ってシンプルで、1週間分の食事プランを個数に合わせオーダーすることができます。オーダーする数によって1食分の値段は異なりますが、最も安くて1食につき8.49ドル、最大で11.49ドルの価格帯となっています。

メニューも現段階で、30〜40個とバラエティー多く、またひとつ一つの料理にはカロリー表記やグルテンフリーなのかなど健康意識高いユーザーに配慮した見せ方をしています。こうした健康意識高いミールキットの販売は、実店舗でいえばWhole FoodsやTrader’s Joeとコンセプトやターゲット層が似ていると思います。

Image Credit : Freshly

Nestleとしては食品顧客体験が自宅で手軽に調理するミールキットへ変わったことから、非上場のFreshlyを買収し、自社製品をリーチさせるネットワークを手に入れたかったのだと考えられます。つまり、今回の買収は自社商品流通のサブスクライバーを買ったとも言えますね。そのため今後は、Nestle商品や食材がミールキットに導入されていくことが予想されます。

ミールキットは「Hellofresh」と「BlueApron」の2社が市場を寡占している状態で、いずれも既に上場しています。ミールキット事業はメディア事業と似ており、いかに先にプロダクトを完成させ、広告経由で顧客を先に囲い込んだ方が勝つかのゲームです。もちろんサプライチェーンなどのとても複雑な工程が必要となりますが、最終的には資本力が勝負となります。この点、上場した2社は先行して逃げ切りました。

食品顧客体験が自宅で手軽に調理するミールキットのネットワークは、今後Nestleを含む商品会社にとって重要なポイントになりそうです。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

米フードテックスタートアップEat Just、アジア市場進出でシンガポールに代替タンパク質工場を建設へ

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アメリカに本社を置くフードテックスタートアップ Eat Just は、アジア初の工場建設に向けて、Proterra Investment Partners Asia が率いるコンソーシアムとの提携を発表した。

ウコンと緑豆のタンパク質を使った植物性代替卵「Just Egg」で作ったスクランブルエッグ
Image credit: Eat Just

声明によると、コンソーシアムは最大1億米ドルを投資し、Eat Just は2,000万米ドルを投じてシンガポールに植物由来のタンパク質生産施設を建設するという。シンガポール経済開発庁の支援により、シンガポールはすでにプロジェクトを促進する環境を提供していると同社は述べている。

EDB のエグゼクティブ・バイスプレジデント Damian Chan 氏は、声明の中で次のように述べている。

世界の食糧と栄養に対する将来のニーズを満たすために、代替タンパク質などの新しい持続可能なアグリフード技術に投資することがますます重要になってきている。これにより、アジア市場のニーズに対応し、シンガポールにも刺激的な機会を提供することができる。

2011年に設立された Eat Just は、ウコンと緑豆のタンパク質を使った植物性代替卵「Just Egg」を開発したスタートアップ。今回新たに設立された子会社「Eat Just Asia」は、アジア全域の製造・販売パートナーや旗艦製品を提供するサプライチェーンを構築している。

Eat Just のアジアの流通パートナーには韓国の SPC Samlip(SPC삼립)、タイの Betagro がいて、中国本土での提携についてはまだ発表されていない。初のアジア工場が建設されれば、北米とドイツにある同社の大規模なタンパク質工場に続くものとなる。Eat Just によると、アジアのタンパク質需要の増加に伴い、この地域に他の工場も建設する予定だという。

Eat Just と Proterra Investment Partners Asia は、屠殺される動物の代替として、ラボで育てられた細胞から作られる培養肉に特化して提携を拡大するための協議を行っている。

シンガポールには、持続可能な代替食品の開発を目指すバイオテクノロジースタートアップとして、細胞ベースの技術を用いて牛乳を製造する TurtleTree Labs がある。同社は、ラボ内ですべての哺乳類の母乳を再現できる世界初のバイオテクノロジー企業だと主張している。同社の主な目標は、高付加価値のヒトの母乳を生産することだ。TurtleTree Labs は今年初めにシードラウンドで320万米ドルを調達した

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【via Tech in Asia】 @Techinasia

【原文】

代替肉・Impossible Foodsの挑戦:肉の味を決定づけるもの(3/3)

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人工的に作ったヘム (前回からのつづき)Brown氏によれば、人々は食糧について「科学的イノベーション不毛の地」という印象を持っていると語る。しかし彼は、生物多様性の壊滅的な損失を食い止める最大のチャンスはここにあるとしている。 Impossibleの最初の発見の一つは、ヘムという分子が動物を食べる時の味を決定付けているということだった。動物の死体から作られた肉もImpossibleの植物から作ら…

スライダー(ミニサイズ)のImpossible Burger 2.0・Image Credit: Dean Takahashi

人工的に作ったヘム

(前回からのつづき)Brown氏によれば、人々は食糧について「科学的イノベーション不毛の地」という印象を持っていると語る。しかし彼は、生物多様性の壊滅的な損失を食い止める最大のチャンスはここにあるとしている。

Impossibleの最初の発見の一つは、ヘムという分子が動物を食べる時の味を決定付けているということだった。動物の死体から作られた肉もImpossibleの植物から作られた肉も、ヘムが豊富に含まれているからこそ美味しく食べられるのだそうだ。Brown氏によると、人々は通常の牛肉よりもImpossible Burgersの方が2対1で好まれるという。Brown氏はヘムのことを生肉のあの血の味の原因となる「魔法のような」分子と表現してこう語る。

「私たちの血液を赤くするヘムは自然界で最も偏在している、生命を構成する重要な分子です。ヘムは、血液中の酸素を運ぶ分子として最もよく知られています。動物の筋肉に含まれているだけでなくヘムは私たちが食べるほとんどすべての食品に含まれています。ヘムは食べても安全なだけでなく、生きていくために必要なものなのです」。

Impossible Foodsは、世界の食肉需要を少しでも満たすため、家畜のように環境への負荷をかける方法ではなく、持続可能で、拡張性があり、手頃な価格でヘムを作る方法を開発した。この会社は大豆レグヘモグロビンと呼ばれる植物に自然に含まれるヘムタンパク質を作るために、酵母をバイオ技術で発酵させている。Impossible Burgerに含まれるヘムは、人間が肉で摂取してきたヘムと同じものになる。牛肉の味をそのままに使用する資源を大幅に削減することに成功したのだ。

また同社によるとImpossible Burgerは従来の牛の挽肉よりも約96%少ない土地のみで、水の使用量を約87%、温室効果ガスの発生量についても約89%減少させることができるとしている。Brown氏は視聴者に「これは可能さ、みんな、方法はひとつしかないんだよ」と語りかけていた。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

代替肉・Impossible Foodsの挑戦:「最も破壊的な哺乳類は牛」代替牛乳も試作(2/3)

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(前回からのつづき)今朝のパネルでBrown氏は「我々は見かけ上は食品会社です。しかし内部では、Impossible Foodsが人類史上最も重要な科学的プロジェクトだと考えています。環境破壊から地球を救う唯一の方法は、新しい食のプラットフォームを作ることなのです」と語りかける。 Lee氏は同社ができる最大のリターンは研究開発にあるとし、ブラウン氏によると同社は牛乳以外にも、植物版の鶏肉や魚にも取…

Impossible Foodsは畜産こそが地球温暖化の要因と語る ・Image Credit: Impossible Foods

(前回からのつづき)今朝のパネルでBrown氏は「我々は見かけ上は食品会社です。しかし内部では、Impossible Foodsが人類史上最も重要な科学的プロジェクトだと考えています。環境破壊から地球を救う唯一の方法は、新しい食のプラットフォームを作ることなのです」と語りかける。

Lee氏は同社ができる最大のリターンは研究開発にあるとし、ブラウン氏によると同社は牛乳以外にも、植物版の鶏肉や魚にも取り組んでいるという。

Impossible Investigatorプログラムではあらゆるキャリアステージの科学者に対し、Impossibleのミッションの範囲内で新たな研究プログラムを構想することも求めている。植物由来の牛乳やステーキ、魚の最適化を加速させる短期的な戦略から、植物性タンパク質やその他の素材のサプライチェーンを大幅に改善する長期的なアイデアまで、どんなことでも構わない。

Impossible Investigatorsでは、生命科学、物理科学、工学などのバックグラウンド、データアナリスト、神経生物学者、実験心理学者、食べ物に対する感覚知覚やヘドニック心理学的な知見を持っている人まで幅広い人を求める。

「このプロジェクトが与える影響に比べれば、他のどんなこともバケツの中の一滴に過ぎないということを伝えたいのです。食糧が抱えているものについて多くの人々が混乱し、困惑しています」とBrown氏は語る。

Impossible FoodsのCEO、Pat Brown氏・Image Credit: Impossible Foods

筆者は牛肉の味がするのに植物由来のImpossible Burgerを定期的に食べるようになった。毎週の習慣になっていて、週末はマクドナルドのフライドポテトと一緒にImpossible Burgerを食べた。そう、牛肉が恋しくないのだ。今はまだ高いがBrown氏によればそれは時間と共にに変わるだろうとしている。今年の初めに同社は15%の値下げを実施し、数年後の価格は動物性のものを下回ると予測している。

今年初め、同社は同じく植物から作られた「Impossible Sausage」を発売している。香港では数千店のレストランと200店舗で販売されているものだ。

消費者調査会社のNumeratorのデータによると、Impossible Burgerの売上の大部分は動物由来の肉に食い込んできている。Impossibleには250以上の特許があり、出願中の特許もある。昨年、同社は利用可能なインターンシップに3,000件の応募があったと、チーフ・コミュニケーション・オフィサーのRachel Konrad氏は述べている。

今日のイベントの中で、同社はどうすれば植物性ミルクをフォーム・ミルクに変化させ、朝のコーヒーに入れることができるのかを示していた。この牛乳は試作品の状態だ。Brown氏によると、最も破壊的な哺乳類は牛であり、その数は世界中で約17億頭に上るという。放牧や汚染物質を排出することを考えると食料生産の効率が悪い。味の悪い豆乳ではなく牛乳に代わることは非常に重要であると語っていた。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

都市で野菜を育てる垂直農法の「Infarm」が1.7億ドル調達

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ピックアップ:Infarm raises $170M in equity and debt to continue building its ‘vertical farming’ network ニュースサマリー:都市部で垂直農法を使った農作物栽培・販売をする「Infarm」は9月17日、シリーズCにて1億7,000万ドルの資金調達を公表している。リード投資家としてLGT Lightstoneが参…

Infarmウェブサイト

ピックアップ:Infarm raises $170M in equity and debt to continue building its ‘vertical farming’ network

ニュースサマリー:都市部で垂直農法を使った農作物栽培・販売をする「Infarm」は9月17日、シリーズCにて1億7,000万ドルの資金調達を公表している。リード投資家としてLGT Lightstoneが参加し、 Hanaco、 Bonnier、 Haniel and Latitudeらが新たに、また既存投資家としてAtomico、TriplePoint Capital、Mons Capital、Astanor Venturesも同ラウンドに参加している。

話題のポイント:Infarmは「100% Local」をキーワードに、都市部の屋内で通常栽培のわずか1%ほどの面積で垂直農法の栽培環境を整え、新鮮な野菜の提供を実現しています。同社によれば、既にベルリン、コペンハーゲン、シアトル、ロンドンなどの10カ国30都市での栽培・販売を開始しています。不動産価格が高い都市部で展開する事業であるため、未だ経済合理性の取れていない領域であるものの、食料問題は人間が避けては通れない点であるため、市場展望性は衰えないでしょう。

特に同社の農法では、水の使用量を通常農法より95%削減、肥料の使用量を75%減かつ無農薬を実現しており、環境問題にも目を向けたモデルとなっています。都市部で栽培して現地で販売するため、流通コストも90%減を達成しているとする点も注目すべきポイントでしょう。

日本に目を向けると同社は、JR東日本と今年2月に提携し、紀伊国屋店舗にてInfarmプロダクトの日本導入を進めています。これらの動きにより、今後は日本においても都市部スーパーマーケットで垂直農法を用いた販売形式を見かけることも増えるかもしれません。地価の問題から高級食品として扱われることが想定されますが、一般化が進めばあらゆる場所で「100% Local」なInfarmプロダクトが見られることになりそうです。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

代替肉・Impossible Foodsの挑戦:研究開発チームを倍増へ(1/3)

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植物をベースにした「Impossible Burger」を製造するImpossible Foodsは畜産業を廃業に追い込むため、近年中に研究開発チームの規模を2倍にする予定だ。同社のミッションは植物を肉、魚、乳製品に変えることで、彼らが「世界で最も破壊的な技術」と呼ぶ“動物”の利用によって引き起こされる地球温暖化や生物の多様性崩壊を食い止めることにある。 同社は技術投資を拡大し、問題解決のために科…

植物をベースにした「Impossible Burger」を製造するImpossible Foods畜産業を廃業に追い込むため、近年中に研究開発チームの規模を2倍にする予定だ。同社のミッションは植物を肉、魚、乳製品に変えることで、彼らが「世界で最も破壊的な技術」と呼ぶ“動物”の利用によって引き起こされる地球温暖化や生物の多様性崩壊を食い止めることにある。

同社は技術投資を拡大し、問題解決のために科学者を集める「Impossible Investigator」プログラムを開始することでこれを実現しようとしている。彼らは動物性食品を「気化」させることが気候変動を止めるための最良の方法であることに変わりはないと主張している。植物性ミルクのような製品で気候変動を食い止めることを目指しているのだ。

主力商品であるImpossible Burgerは、すでに動物由来の食品の代替が進んでおり、その生産は温室効果ガスの排出と、野生動物減少を食い止める最大の要因の一つとなっている。ライバルにはBeyond Burgerなどがいる。

Impossible Foodsはシリコンバレーで現在実施しているプロジェクトに参加する科学者、エンジニア、その他のR&D専門家を約50人募集している。現在600人以上の従業員を抱えており、Impossibleは2011年の創業以来、15億ドルの資金調達を実施した。今年は2回のラウンドでは7億ドルを調達し、その資金はテクノロジープラットフォームとR&Dチームの拡大に充てられる予定だ。

Impossible Foodsが開発する「Impossible Burger 2.0」Image Credit: Impossible Foods

スタンフォード大学の生化学名誉教授であり、元ハワード・ヒューズ医学研究所の研究者でもあるPatrick Brown CEOによって創業された。彼は数々の賞を受賞したスタンフォードの生化学研究室の仕事を辞め、2011年にImpossible Foodsを立ち上げた。2016年頃には、最高財務責任者(CFO)のDavid Lee氏を迎え入れることで、事業拡大のための人材を採用するようになり、ラスベガスで開催されたビッグテックのトレードショー「CES」にも出展している。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】