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特集:Work From Anywhere

特集:Work From Anywhere

教育も仕事も生活も、2020年はあらゆる人の活動が「離れて」できるかどうかの壮大な実験の年となった。できることには制約もある一方、新しい価値の発見もある。リモートで何が生まれるのか。関連するチャレンジを追う

MUGENLABO Magazine

特集:Work From Anywhereの話題

リモートワークで従業員研修:COVID-19教育にも活用(2/2)

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(前回からのつづき)Sana Labsはスウェーデンのストックホルムを拠点とするスタートアップ。同社によれば金融業界や製薬・ヘルスケアなどを中心に、Novartis、PepsiCo、Mount Sinaiなどが顧客として挙げられている。 Sana Labsによれば、パンデミック発生以降、同社プラットフォームは2,000以上の病院に採用され、COVID-19に対する治療と予防を適切に扱う教育コンテン…

Sana Labs

(前回からのつづき)Sana Labsはスウェーデンのストックホルムを拠点とするスタートアップ。同社によれば金融業界や製薬・ヘルスケアなどを中心に、Novartis、PepsiCo、Mount Sinaiなどが顧客として挙げられている。

Sana Labsによれば、パンデミック発生以降、同社プラットフォームは2,000以上の病院に採用され、COVID-19に対する治療と予防を適切に扱う教育コンテンツを8万人以上の医療従事者に向け提供したそうだ。初期段階の医療従事者の知識レベルに応じて、そのギャップを埋めることを目的とするプログラムが自動生成されるという流れになっている。

1つ課題として挙げるなら、本来オフラインであれば受けられる人によるコーチングや意欲を得られない点にあるだろう。例えば、教室という環境があれば教師はひとり一人の進捗を見て、課題を終わらすことを促すことができる。同社では、こうした課題を解消するため科学的根拠に基づく教育学的介入をナッジングと呼ばれる手法で取り組んでいるという。

「適切なナッジングは、コースの終了率を高めるための介入手段として一つの大きな要素と考えています。AIを利用し学習者のデータをパターン化し、パーソナライズされたインサイトをリアルタイムに提供することで、学習意欲向上を図っています」。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

リモートワークで従業員研修:AIで学習コンテンツを最適化するSana Lab(1/2)

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機械学習を活用し各種専門家向けのパーソナライズされたトレーニングコースを体験できるスタートアップSana LabsはシリーズAにて1,800万ドルの資金調達を発表している。同ラウンドはEQT Venturesがリードした。 パンデミックの最中に、オンライントレーニングと教育領域は大きく成長し、学校や大学でもリモート学習の導入を余儀なくされている状況だ。企業においてもリモートワークが進んでおり、リモ…

Sana Labs

機械学習を活用し各種専門家向けのパーソナライズされたトレーニングコースを体験できるスタートアップSana LabsはシリーズAにて1,800万ドルの資金調達を発表している。同ラウンドはEQT Venturesがリードした。

パンデミックの最中に、オンライントレーニングと教育領域は大きく成長し、学校や大学でもリモート学習の導入を余儀なくされている状況だ。企業においてもリモートワークが進んでおり、リモートで従業員をコーチングしスキル教育を図る方法が模索されている。

世界経済フォーラムによれば、第四次産業革命により既存のコアスキルとされるものの40%以上が2022年までに変化するだろうという予測が出ている。Sana Labsではそうした動きを分析し、スキルのギャップを自動的に調整する「Adaptive Learning Platform」を目指しているとする。

Sana Labsを通して教育コンテンツをアップロードすることで、機械学習により学習プログラムがデザインされる仕組みになっている。

「自動化する学習のアシスタント技術は、個人のスキルに対してどこにギャップがあるのかを簡単に理解することができるようになります。個々のニーズに合わせた学習をパーソナライズさせ、それが必要とされるときに必要なものだけを提示します」。

(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

リモートワークの功罪:分散型労働が当たり前になる日(5/5)

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ハブ&スポークという考え方 (前回からのつづき)COVID-19が半永久的なリモートワーク環境を作り上げると多くが予測していたにもかかわらず、実際は異なったアウトプットが見えてくる可能性は高い。確かにパンデミックは多くの痕跡を残すだろうが、労働の形としてはハイブリッドになる可能性が高いだろう。物理的なオフィスがなくなることは考えにくいが、企業は都市部に小規模なローカルオフィスを持ち従業員の需要によ…

Photo by Andre Furtado from Pexels

ハブ&スポークという考え方

(前回からのつづき)COVID-19が半永久的なリモートワーク環境を作り上げると多くが予測していたにもかかわらず、実際は異なったアウトプットが見えてくる可能性は高い。確かにパンデミックは多くの痕跡を残すだろうが、労働の形としてはハイブリッドになる可能性が高いだろう。物理的なオフィスがなくなることは考えにくいが、企業は都市部に小規模なローカルオフィスを持ち従業員の需要によって本社と並行して利用することができるような環境になるのではないかと思う。このハブ&スポーク的な考えは、住んでいる場所に関わらず人材を柔軟に獲得できるという点で、好まれるスタイルになるでしょう。

ハイブリッドな形式は主に大企業かつオフィスとリモートワークの中間地点を見つけ出そうとしている企業に最も適していると言える。とはいえ、当初は都市や州、タイムゾーンなど様々な問題に適応するために時間を要することが予期される。

一方で、Automattic、GitLab、Basecampのように最初からリモート形式を採用するスタートアップ増え続けている。こういったスタートアップたちが成長することで、分散型労働が当たり前となる日も近いかもしれない。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

リモートワークの功罪:リモートワークの民主化は人材の獲得と採用に大きな変化をもたらす(4/5)

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競争の優位性 (前回からのつづき)Devopsで有名なGitLabは世界最大のフルリモートワーク企業の1つであり、69の国と地域から1,300人の社員が働いている。興味深いのは、同社のオンラインハンドブックにはこのフルリモートワークのポリシーには「明確な競争上の優位性」をもたらすと明記される一方、たとえ今後、求職者にとっては他の企業の方が魅力的になったとしても、彼らがこのような全社員のフルリモート…

Photo by olia danilevich from Pexels

競争の優位性

(前回からのつづき)Devopsで有名なGitLabは世界最大のフルリモートワーク企業の1つであり、69の国と地域から1,300人の社員が働いている。興味深いのは、同社のオンラインハンドブックにはこのフルリモートワークのポリシーには「明確な競争上の優位性」をもたらすと明記される一方、たとえ今後、求職者にとっては他の企業の方が魅力的になったとしても、彼らがこのような全社員のフルリモートワークを推進することで「雇用上の優位性は時間の経過とともに減少する」ことを望んでいる、という点だ。GitLabのリモート統括責任者Darren Murph氏はVentureBeatにこのように考えを述べている。

「現在、有能なリモートワーカーをめぐる競争は激化していますが、私たちはそれが労働市場にとってプラスになると考えています。より多くの企業がフルリモートで仕事をしたり、オプションとしてリモートワークをサポートするようになると、大都市に住む人々に限らず世界中の人々を見つけることができる、より柔軟な機会が訪れます。リモートワークの民主化は、新たにリモートワーク組織が学ばなくてはいけないこととして、人材の獲得と採用に大きな変化をもたらすでしょう」。

この点では、リモートワークの知見をまだ持っていない組織と比較すると、GitLabや類似の企業には明確な優位性がある。リモートワークを成功させるには、リモートで仕事をすることがクールだと人々に伝えるだけでは不十分で、リモートワークネイティブな企業にならなくてはいけない。それは単にリモートワークを許可さえすれば良いということではなく、奨励しサポートすることにほかならない。

「GitLabの人材獲得と採用を行うチームは、世界中で最高の人材を見つけるためのトレーニングを受けているエキスパートで、入社時の研修の厳しさはワールドクラスです」とMurph氏は付け加える。 「企業の根底にある規範が同一の環境下での労働を前提としている場合には、優れた採用体験を提供するまでにはタイムラグを要するでしょう」。

GitLabは最近、「非同期コミュニケーションをより明確に定義し運用する」または「より包括的で詳細なワークフローを作成する」ことを目指す非同期 3.0構想が完成した。最終的には、対面での会議をZoomのビデオ会議に置き換えるのではなく、世界各国にいる社員が対応できるように組織を構築することを目指す。

「これらの先進的な取り組みは、働き手に非効率な負担をかけたり、ワークフローがドキュメント化されていないためにエンドレスに繰り返される大して意味のない会議などをそのままリモートワークへと移行する、スキューモーフィック(※)な移行に対して大きな競争上の優位性を発揮します。」とMurph氏は説明した。

※訳注:スキューモーフィックとは他の物質に似せることを指すデザイン用語で、例えば実際の紙製のカレンダーに見た目や質感を似せたウェブデザインといったものがスキューモーフィックと呼ばれる。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

リモートワークの功罪:必ずしも「在宅ワーク」と同じ意味ではないリモートワーク(3/5)

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Automaticのケース (前回からのつづき)WordPress.comを開発するAutomatticは、2005 年の設立以来、分散型の働き方を実践し、現在では 77カ国にまたがる1,200人以上の従業員に、選択制でどこからでも仕事ができる環境を提供している。過去10年間、同社のグローバル人事部長を務めたLori McLeese氏は、分散型ワークフォースを成功させるためにはリモートワークを会社…

Automaticのケース

(前回からのつづき)WordPress.comを開発するAutomatticは、2005 年の設立以来、分散型の働き方を実践し、現在では 77カ国にまたがる1,200人以上の従業員に、選択制でどこからでも仕事ができる環境を提供している。過去10年間、同社のグローバル人事部長を務めたLori McLeese氏は、分散型ワークフォースを成功させるためにはリモートワークを会社の構造に組み込む必要があると指摘する。彼女によると、このリモート構造はコミュニケーションと無数の場所で人々をつなぐために企業が使用するすべてのツールにまたがる必要性があると指摘する。

「分散型ワークプレイスの初期のパイオニアの一人として、この種の環境を成功させる要因について多くのことを学びました。私たちには分散型ワークに対する哲学と文化があり、結果的にプロジェクト管理や計画のようなものに対する私たちのアプローチが結果的に異なるものになったのです」。

例えばオフィス以外の場所で働くことを表現するために使用される用語の多くは同じように使用されているが、それらを区別することが重要だ。例えば、「リモートワーク」は必ずしも「在宅ワーク」と同じ意味ではない(もちろん、同じ意味になることもあるが)。今、企業が分散型チームを構築するための支援をする企業が増えている。彼らは世界中の戦略的な採用拠点に共有のワークスペースを作り、そこに採用やオフィスレイアウト、人事などの実務上のあらゆる機能を集めて提供している。

一方で「リモートワーク」と 「在宅ワーク」は、どちらも会社全体の理念というよりは、個人的な実践方法を示す傾向がある。McLeese氏も「結局のところ分散型の働き方は在宅勤務と同等のものではありませんし、パンデミック時の在宅勤務と同じものでもないのです。私たちはこの環境をナビゲートするために、無数のツールやテクニックを使っています」と指摘する。

AutomatticはSlackやZoomといったサードパーティ製品に依存しているが、分散型ワークフォースを念頭に置いた社内ツールも開発している。リモートワークの導入を検討している他の企業のために、AutomatticはHappy Toolsリモートチーム向けの「P2」などのツールをサブスクリプションとして利用できるようにもしている。

「私たちは社員に柔軟性を持たせるために、非同期のコミュニケーションを大切にしています。また、私たちには経験したことを常に改善するために、起案し反復するという文化があるのです。これは製品開発だけでなく、業務プロセスにも当てはまります」とMcLeese氏は付け加える。(次につづく)

 

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

リモートワークの功罪:賃金格差の落とし穴、その場しのぎのZoom会議(2/5)

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Basecampのケーススタディ (前回からのつづき)ところで多くの成長企業にとって、リモートワークは何も新しいことではない。Ruby on Railsの生みの親であるDavid Heinemeier Hansson氏は、プロジェクト管理とチームコラボレーションプラットフォームで最もよく知られているBasecamp(旧37Signals)のCTOであり共同設立者である。Basecampは長い間リモ…

Basecampのケーススタディ

(前回からのつづき)ところで多くの成長企業にとって、リモートワークは何も新しいことではない。Ruby on Railsの生みの親であるDavid Heinemeier Hansson氏は、プロジェクト管理とチームコラボレーションプラットフォームで最もよく知られているBasecamp旧37Signals)のCTOであり共同設立者である。Basecampは長い間リモートワークを採用しており、Hansson氏はBasecampの共同開発者であるJason Fried氏と一緒にリモートワークについての本も書いているほどだ。

昨今広がりを見せる世界的なリモートワークの加速は優秀な人材を惹きつけて維持するという点において、Basecampの優位性が揺るぐことはあるのだろうか。答えは「No」だとHansson氏は言う。というのもBasecampがこれまで過去20年間で培ってきた文化と哲学こそが、その地位を維持するのに役立と考えているからだ。彼はまた、他の企業の疑わしい動きについても指摘している。例えば 生活費が安い地域に移転した場合賃金も安くなるという件だ。Hansson氏は本誌取材にこう回答してくれた。

「管理職の大多数はこれが終わったら世界はオフィスに戻るとまだ想像しています。そして、リモート環境に一気に移行している企業の数多くは、従業員の努力を賃金格差のようなどうしようもないやり方で台無しにしようとしています。というのもシリコンバレー以外の場所に移動したいと思っている人は誰でも大幅な減給を受けなければならないのです。Basecampのオープンポジションには何百人、場合によっては何千人もの応募があります。それは変わっていません」。

Above: David Heinemeier Hansson in Malibu, California, 2018. Image Credit: David Heinemeier Hansson

またHansson氏企業がリモートワークへ移行するには文化の見直しが必要と語る。

「真のリモートワークへの移行には非同期コミュニケーションを重視した、日常的なビジネスの進め方を根本から見直す必要があります。これは、会議優先からライティングへのカルチャー移行の際に企業が直面する最も困難な点です。ほとんどの新規のリモート企業は、リモートとはZoomを使った会議への移行のことだと思っていました。そしてそれは一般的な会議よりもさらに悲惨な結果をもたらしたのです。リモート企業として成功するためには、非同期のライティング文化に移行する必要があるのです」。

業務の効率化以外にもリモートワークにはメリットがある。例えば環境だ。これは世界的なロックダウンの初期段階で明らかになったことなのだが、NASAの衛星画像を見ると、中国の汚染は最初は減少しており、徐々に通常の業務が再開されるにつれて、汚染レベルが上昇していった。この変化の多くは交通量に起因しているのだがHansson氏はリモートワークが人々の精神衛生を向上させながら地球を救う一つの方法であると考えている。

「私は企業としてどのように利益を得るかではなく、世界が全体としてどのように利益を得るかに興味があります。リモートワークの増加は通勤時間の短縮を意味します。そして、多くの人々にとっては、より良い、よりストレスの少ない生活が送れるようになります。これは地球とそこに住む人々にとって大きな前進なのです」(Hansson氏)。

(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

リモートワークの功罪:「なんのプラスにもならない」と「採用メリット」で揺れ動く企業判断(1/5)

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パンデミックの影響で世界中の社員たちはその場しのぎのリモートワークを余儀なくされた。 確かに創業時から「Work From Anywhere(どこでも働ける)」という理念を採用している企業も一部にはあったのだが、1週間のうち少なくとも数日を自宅で仕事をしている人の割合は増えてきているようだ。2020年にバーチャルイベントが急速に人気を博したように、FacebookやTwitterといったテック大手…

Photo by Ken Tomita from Pexels

パンデミックの影響で世界中の社員たちはその場しのぎのリモートワークを余儀なくされた。

確かに創業時から「Work From Anywhere(どこでも働ける)」という理念を採用している企業も一部にはあったのだが、1週間のうち少なくとも数日を自宅で仕事をしている人の割合は増えてきているようだ。2020年にバーチャルイベントが急速に人気を博したように、FacebookやTwitterといったテック大手が恒久的なリモートワークの導入に踏み切るなど、この大流行は世界全体で場所にとらわれない働き方を加速させた。

しかし、誰もがこの働き方の変化に満足しているわけではない。Netflixの共同創立者で共同CEOのReed Hastings氏は、最も声高に反対する者の一人だろう。Wall Street Journalでのインタビューで彼は「何のプラスにもならない」と切って捨てた上で「特に国際的に、また対面で集まることができないというのは純粋にネガティブ」だと言い切る。

Hastings氏は、社会がゆっくりと正常な状態に戻るにつれて多くの企業がリモートワークにある程度の譲歩をするかもしれないが、ほとんどの企業は通常通りのビジネスに戻るだろうと予測している。

「もし私が推測するとすれば、週5日の労働時間は4日間のオフィス勤務になり、1日は自宅でのバーチャル勤務になるだろう。(やや皮肉を込めて)Netflixの社員たちはワクチンが承認されてから12時間後にはオフィスに戻ってくるだろう」(Hastings氏)。

ただ多くの企業にとってリモートワークのメリットはあまりにも多く、中でも人材に関わる拡大は無視できないものになっている。フィンテック大手のStripeは、既存の固定オフィスを補完するために「リモートエンジニアリングハブ」と呼ばれるものを立ち上げている。

そもそもStripeは10年前の創業以来リモートワーカーを雇用しているのだが、これらのワーカーは従来のオフィスの仕組みに従ったもので、物理的なオフィスを拠点とするマネージャーやチームへの報告が必要だった。

リモートエンジニアリングハブは、リモートワークを物理拠点と対等なものとして捉え、「自社の4拠点がある都市圏外に住んでいる99.74%の有能なエンジニア人材の活用」を狙う。

さて、この件は多くの企業にとっていくつかの「コンフリクト」を浮き彫りにする。というのも企業は競争力を維持しつつ、かつ働き手から勤務地の柔軟性を求められることで再編成を考えなければならないからだ。この移行には大きな課題が伴うことになるだろう。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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1.38億ドル調達「Bizzabo」:バーチャルイベントの躍進、数々の調達(2/2)

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バーチャルの躍進 (前回からのつづき)2020年には、おびただしい数のバーチャルイベントスタートアップが大きなトラクションを得た。ロンドンを拠点として設立からまだ1年ほどのHopinは、従業員数8人・ユーザー数5,000人から、8カ月のパンデミック中に従業員数200人・ユーザー数350万人に成長し、21億ドルという驚異的な評価額で1億2,500万ドルを調達した。カリフォルニア州マウンテンビューを拠…

バーチャルイベントに転向した「Bizzabo」

バーチャルの躍進

(前回からのつづき)2020年には、おびただしい数のバーチャルイベントスタートアップが大きなトラクションを得た。ロンドンを拠点として設立からまだ1年ほどのHopinは、従業員数8人・ユーザー数5,000人から、8カ月のパンデミック中に従業員数200人・ユーザー数350万人に成長し、21億ドルという驚異的な評価額で1億2,500万ドルを調達した。カリフォルニア州マウンテンビューを拠点とするRun The Worldは今年、世界的なロックダウンの最中に行われた1,080万ドルのシリーズAラウンドを含め、2回の資金調達を実施した。インドのAirmeetは3月にシードラウンドを終え、ほどなくしてシリーズAラウンドで1,200万ドルを調達している

これらの企業はたまたまオンライン専用イベントのプラットフォームで市場に入ってきたが、そうではない企業は死活問題に直面した。Bizzabo同様、Hubiloはすでに確立したイベントスタートアップだったが、20日間でビジネスモデル全体を現地型からバーチャル型へとピボットし、いくつかの著名な投資家を獲得している。Welcomeという若手スタートアップはレストラン向けソフトウェアのスタートアップとしてY Combinatorのプログラムを完了したばかりだったが、迅速に仮想イベントへとピボットする必要があった。Welcomeはその後、Kleiner Perkinsら有名な投資家から1,200万ドルを調達している。

来年以降、世の中は数年かけてゆっくりと平常を取り戻していくだろう。Bizzaboはハイブリッドイベントが受け入れられる好調な波に乗り、強力な立場を得られるかもしれない。同社はイベント分野で強固な実績を持っており、エンタープライズ分野でInbound、Gainsight、Driftなど有名企業が名を連ね、顧客にはUberや楽天のような企業もいるとしている。真にハイブリッドなイベントを運営したいと考える企業なら、オンライン/オフラインの両方のイベント用ツールを単一のプラットフォームで提供し、両形式の傾向をイベント間分析してくれるものを使いたいはずだ。

「参加者は直接参加するよりも多くのイベントにバーチャル参加することが分かりました。しかし、バーチャルでは、対面での体験で得られる自発性やつながりを完全に置き換えることはできないことも分かっています。ある種のイベントプログラムでは、ハイブリッド体験で両者の長所を提供することができます」(Ben-Shushan氏)。

Bizzaboはこれまでに5,700万ドル近くを調達している。新たな1億3,800万ドルを加えて、仮想イベントと対面イベントの最良の組み合わせを構築する予定だ。また、エンジニアリング、製品、「体験」チームを3倍に増やし、2021年前半にはヨーロッパに2つの新規オフィスを開設する予定だ。シリーズEラウンドには他にViola Growth、Next47、OurCrowdが投資家として参加した。

こうした新しいハイブリッドイベントの行方と、いつビジネス全体に浸透するかは、世界がいかに迅速かつ効果的に新型コロナウイルスワクチンを展開できるかにかかっている。それでもなお、企業が本格的な対面型ミートアップを安心して行えるようになるまでには少し時間がかかるだろう。

「2021年、主催者は小規模で地域的な対面型イベントから始め、それがバーチャルに拡大されてハイブリッド体験へと移行し、ハイブリッド体験はより大規模なフラッグシップイベントへと展開していくでしょう」(Ben-Shushan氏)。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

1.38億ドル調達「Bizzabo」:イベント業界をハイブリッドにする仕掛け(1/2)

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オンライン/オフライン混合型イベントを運営する企業を支援するプラットフォーム開発のBizzaboは、ニューヨークを拠点とするInsight Partnersが主導したシリーズEラウンドで1億3,800万ドルを調達した。 新型コロナウイルスは1兆ドル産業と言われるイベントおよびカンファレンス業界に消えない痕跡を残したようだ。2020年、多くの企業がデジタルな要素を取り入れることを余儀なくされ、それを…

ハイブリッドイベント用ソフトウェアの「Bizzabo」

オンライン/オフライン混合型イベントを運営する企業を支援するプラットフォーム開発のBizzaboは、ニューヨークを拠点とするInsight Partnersが主導したシリーズEラウンドで1億3,800万ドルを調達した。

新型コロナウイルスは1兆ドル産業と言われるイベントおよびカンファレンス業界に消えない痕跡を残したようだ。2020年、多くの企業がデジタルな要素を取り入れることを余儀なくされ、それを継続するための準備に追われている。ヨーロッパ最大のテクノロジーカンファレンスの1つ、Web Summitは、7万人の直接参加を目標に、現地開催の復活を予定していることを最近認めた

加えて最大8万人が独自に開発したプラットフォームを使用してオンライン参加する。報道機関のロイターもまた、来年のイベントにはハイブリッドモデルを採用するという。パンデミック中にこのアプローチが一定の成功を収めたことから、ローカルネットワークを使用したミートアップにオンラインでの参加も組み合わせる。

オフラインからオンラインへ

2011年にイスラエルで設立されニューヨークに拠点を置くBizzaboは、現地開催型イベント向けのテクノロジープラットフォームプロバイダとして立ち上げられた。主催者を対象として、登録やチケット発行、マーケティング、ウェブサイト構築、議題管理、ネットワーキング、イベント後の調査などのツールを提供する。今年、Bizzaboはソーシャルディスタンシングの必要性から直接参加型の需要が減少したため、移行を余儀なくされた。3月にはKalturaと提携して仮想イベントのプラットフォームを迅速に立ち上げた

BizzaboのCEO兼共同設立者のEran Ben-Shushan氏はVentureBeatに対しこう語った。

「2月半ばから3月にかけて、大手の顧客の一部が対面イベントをキャンセルしはじめ、私たちは対面イベントへの影響に気付くことになりました。その後、他社の多くも同じようにせざるを得なくなりました。迅速な行動が求められ、顧客に対してバーチャルなソリューションを提供しなければなりませんでした」。

3週間足らずでBizzaboは最初のバーチャルサービスを市場へ投入し、6月の終わりにはこれまでで最強の四半期になったと主張している。

新しい仮想コンポーネントを通して、企業は基調講演やミーティング、ネットワーク、Q&Aや投票、リアルタイムでのホワイトボードの共有などをウェブ上で行うことができる。エンゲージメント指標には登録、視聴したセッション、送信した質問やメッセージなどの参加者データが含まれ、主催者へリアルタイムに提供される。さらにBizzaboはSalesforceなどのCRMツールと統合でき、エンゲージメント指標を容易に営業に生かすことができる。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

デジタルツインへ繋がる“ハードウェア版GitHub”ーー未来の成果物を予測する世界へ

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ハードウェア・エンジニアリングの考えが大きく変わろうとしています。 会社に集まって多人数でブレストをしたり、開発進行することが難しい今、リモート、かつオンラインで意見を出し合い、ファイルのやり取りを通じて成果物を作っていく工程が必須となりました。そこで登場したのが4月に5,000万ドルの調達を果たしたオンラインホワイトボード「Miro」や、2月に630万ドルの調達を発表したデザイナー向けプロトタイ…

Image Credit:Wikifactory

ハードウェア・エンジニアリングの考えが大きく変わろうとしています。

会社に集まって多人数でブレストをしたり、開発進行することが難しい今、リモート、かつオンラインで意見を出し合い、ファイルのやり取りを通じて成果物を作っていく工程が必須となりました。そこで登場したのが4月に5,000万ドルの調達を果たしたオンラインホワイトボード「Miro」や、2月に630万ドルの調達を発表したデザイナー向けプロトタイプツール「ProtoPie」などです。

同様の流れがハードウェア分野にも起きています。注目されるキーワードは「ハードウェア版GitHub」です。

例えば240万ドルの調達を実施した「Valispace」は、宇宙衛星や航空、医療機器、原子炉といったエンタープライズ・エンジニアリング向けの開発プラットフォームを提供しています。NASAが火星探査機の打ち上げにかつて失敗した際、問題とされたのがチーム間の単純な単位表記の違いでした。ただし、当時はペーパーベースで開発資料のやりとりがされていたため、最終的に気付かれることがありませんでした。こうした失敗をGitHubのコンセプトを用いることで防ぐのがValispaceです。

また、300万ドルの調達を果たした「Wikifactory」も挙げられます。190か国以上で利用され、7万ユーザーに使われるほどの共同プラットフォームに成長しています。チャット機能付きCADツールとして、リアルタイムに世界中の開発者が制作活動を行えます。コロナ禍の環境で高い提供価値を発揮しています。

Image Credit:Wikifactory

ハードウェアに関しては、成果物がどのように動くのかを実際に試すか、もしくはデジタル空間でシミュレーションする必要性が出てきます。特にValispaceは大型で危険なモノを作り上げることを想定しているため、シミュレーション機能に強みを出している印象です。

そして「ハードウェア版GitHub」の考えは、昨今頻繁に聞くようになった「デジタルツイン」のコンセプトへと繋がります。ではデジタルツインとは何か。一言でいえば、“機能する”デジタル世界です。下記がデジタルツインのざっくりとした定義です(定義は諸説あります。あくまでも筆者の現時点での考え)。

  1. 共同プラットフォーム:オンライン上に多人数にコラボレーションをしながら制作していく
  2. 同期性:時間軸を考えず、非同期であってもその場で一緒に作業しているように制作できる。そのため履歴機能が重要となる。決してリアルタイムだけでなく、非リアルタイムでの作業に強くなければ、世界中の人材をフル活用できないため。
  3. ノーコードと事前予測:ユーザーの作りたいものを機械側が先回りで提案して制作を支援する。また、iPadアプリで雑なスケッチ手書きを綺麗な図形に自動で直してくれる機能のように、AIがユーザーの期待成果物を予想して形にしてくれる機能が必須となる。
  4. シミュレーション:デジタル空間でプロトタイピングデータを実際に動かす。その際、現実世界を限りなくリアルタイムに反映したデジタル世界で効果を確かめる。宇宙衛星の打ち上げや、都市開発シミュレーションなど。
  5. デジタルと現実世界が融合:デジタル空間での結果を基に、現実世界に操作指示を送る。もっともわかりやすい事例はエアコン。室温が一定以上(もしくは以下)になったら自動で点くようになっている。デジタルから現実に介入する。ここで仮想世界の想定成果と、現実世界の事象が重なり合い、「ツイン化」へと至る。もちろん現実世界からデジタル世界へ指示を出す逆の流れも存在する

単に現実の都市や工場に代表される大型施設の環境情報を丸ごとデジタル空間に作り出すことを「デジタルツイン」とは呼びません。それはただの「デジタル化」や「バーチャル化」です。AIをトレーニングさせるための仮想トレーニング環境の下地になるか、ユーザーが自分の行けない場所を観光するためのVRコンテンツどまりになってしまいます。

デジタルツインの真価は、現実世界とデジタル世界を“繋げる”ことです。正確には“反映”させることと言った方が正しいかもしれません。“ツイン”の文字に踊らされると、環境反映という必須条件を見落としがちです。デジタル上で作り出したモノをシミュレーションし、現実世界に反映させることで初めて成り立つのがデジタルツインです。

ちなみにデジタルツインが住宅単位で完成しているものを「スマートホーム」、都市単位で完成している「スマートシティ」と呼びます。現在のように部分的にIoTが導入されているものは未だ完全体とは言えません。そして地球規模単位で完成したものを「ミラーワールド」と呼びます。“ミラー”が指し示す“反映”しあう世界です。

さて、ValispaceやWikifactoryが紐解ける世界観はここまで説明してきたデジタルツインの先にある、スマート化された世界であり、ミラーワールドに繋がります。

遠隔で働く人同士が、AIの力も借りながらオンラインで構造物を作り上げ、仮想空間上でシミュレーションする。実際に製造してみた後も、リアルタイムに情報を取り続けてデジタル空間と現実世界の反映関係を維持し続ける。この一連の流れを実現できるのが先ほど説明した2社となります。

デジタルツインの世界を体現するスタートアップは、これから益々登場してくるはずです。今は単なるツールに過ぎないものであっても、5〜10年スパンでプロダクトの価値が最大化されるものが多く生まれると感じます。日本から世界へ、デジタルツイン文脈でどれほどのスタートアップが誕生するのかにも注目が集まるでしょう。