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シリーズ:Work From Anywhere

シリーズ:Work From Anywhere

教育も仕事も生活も、2020年はあらゆる人の活動が「離れて」できるかどうかの壮大な実験の年となった。できることには制約もある一方、新しい価値の発見もある。リモートで何が生まれるのか。関連するチャレンジを追う

MUGENLABO Magazine

シリーズ:Work From Anywhereの話題

ソフトウェア系特化ファンドのMIRAISE、リモート常時接続「Remotehour」を使ったアポ無しオフィスアワーを開始

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シード期のソフトウェア系スタートアップに特化したファンド MIRAISE は7日、リモート接続ツールの「Remotehour」を使ったオフィスアワー「MIRAISE HOUR」を始めることを明らかにした。MIRAISE の投資先でもある Remotehour は、Zoom と異なり、事前に話し相手とのスケジューリングする必要がなく、相手が話したい時にすぐ話しかけられるのが特徴のビデオチャットツール…

Image credit: Miraise

シード期のソフトウェア系スタートアップに特化したファンド MIRAISE は7日、リモート接続ツールの「Remotehour」を使ったオフィスアワー「MIRAISE HOUR」を始めることを明らかにした。MIRAISE の投資先でもある Remotehour は、Zoom と異なり、事前に話し相手とのスケジューリングする必要がなく、相手が話したい時にすぐ話しかけられるのが特徴のビデオチャットツール。MIRAISE ではアポ無しで相談を受け付ける。

コロナ禍で直接の対面が避けられる中、スタートアップの資金調達においては、ピッチ(VC にとってはディールソース)→ デューデリジェンス → 投資契約までの一連のプロセスをオンラインで完結する「完全非接触資金調達」の事例が増えつつある。面談をビデオチャット、タームシートのやりとりを DocuSign などで行い、投資家と起業家が実際には対面したことがない事例も出てきた。

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MIRAISE ではこれまでに26社に投資を実行しているが、このうちの約3割以上は実際に起業家と対面したことがない、完全非接触での資金調達に至っているという。オフィスアワーを完全オンライン化し、事前のスケジューリングをせずに、いきなり訪問できる感覚を提供することで、コロナ禍の影響を受けにくく、時間や距離の制約にとらわれない投資機会・資金調達機会の創出を狙う。

MIRAISE HOUR は、今日を皮切りに毎週水曜日の午後3時から午後5時の間に提供。MIRAISE パートナーの岩田真一氏と、CTO の布田隆介氏が対応する。起業に興味のあるエンジニアが対象。

アメリカでは資金調達のオンライン化が進んでおり、素早い資金調達プロセスを提唱するシード VC の  ​NFX ​は9日以内の投資判断を約束している。また、複数のマイクロファンドが参加する「​Fundraise From Home​」という仕組みも始まっている。

<参考文献>

コロナ後、会議はどうかわる:在宅とオフィス勤務をハイブリッドにする「ホテリング」(1/2)

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(前回からのつづき)Microsoftのイベント「Ignite2020」に関連して、会議や働き方の近未来についてACALL、⻑沼⻫寿氏のショート・インタビューをお送りしている。後半では実際のケーススタディについてだ。在宅とオフィス勤務を混在させる場合、何から手をつけたらよいのだろうか。働き方とセットともなると右往左往してしまうかもしれない。(太字の質問は全て筆者、回答は長沼氏) 在宅とオフィス勤務…

在宅とオフィス混在で、会議室はどうなる(画像提供:ACALL)

(前回からのつづき)Microsoftのイベント「Ignite2020」に関連して、会議や働き方の近未来についてACALL、⻑沼⻫寿氏のショート・インタビューをお送りしている。後半では実際のケーススタディについてだ。在宅とオフィス勤務を混在させる場合、何から手をつけたらよいのだろうか。働き方とセットともなると右往左往してしまうかもしれない。(太字の質問は全て筆者、回答は長沼氏)

在宅とオフィス勤務をハイブリッドにする場合、各社どういう課題を抱えているケースが多いですか

長沼:(自分たちのケーススタディの範囲で)生産性向上の観点で在宅勤務とオフィス勤務のバランスをどう設計すればいいのか、まだ各社手探りの状況です。オフィス出社率の計画とその可視化、改善に課題を抱えています。ワーカーとワークスペースを最適に割当てるための計画と実績をうまくマネジメントする仕組みがないため、恣意的な判断になりやすいのが現状の課題かもしれません。また、在宅勤務時の社員のケアを効果的に行う方法が確立されておらず苦心するケースがあります。

Microsoftの提唱した「リモート通勤」の必要性、という調査結果は面白いものだった。人は通勤時間に今日やるべきこと、やったことの振り返りをすることでリフレッシュし、次の仕事に備えることができる、というものだ。メンタルヘルスの問題は以前から伝えられていたが、通勤時間がなくなって働きすぎになる、という課題もある。

Teamsでは働きすぎ問題が提示されていました。この件についてどのように思われますか

長沼:商談を中心にオンライン主体のスケジュールが可能になったことで、生産性は上がっているように思えます。一方で、スケジュールを詰め込みやすくなったことで、働き過ぎの問題は顕在化しています。また、リモートワーク主体の働き方は「孤独感」を誘発しやすいため、メンタル面でのケアも考えていく必要があります。

たとえば、個人単位、チーム単位であらかじめ時間割のような予定を作成共有して、合間には必ず休憩を挟むようにプログラムし、一定の「余白」を促す仕組みや、チームメンバーがオフィスに集まる予定を自動的にシステムが理解して、次の日はオフィスへの出社をレコメンドするような仕組みがあると良いかもしれません。リモートワークとはセルフマネジメントを高めていく取り組みではありますが、組織としてエンパワーメントする仕組みの構築が早期に望まれていると思います。

いずれにせよ今は各社、新たな課題と向き合う時間になっているようだ。話を物理的なオフィスに戻そう。

話を戻します。在宅とオフィスを混在させることで、話し声問題やプライバシー、機密情報の扱いなど場所に起因する課題が増えていますよね

長沼:在宅勤務の増加によって未稼働のオフィススペースを最適化する動きがあります。具体的には、社員一人一人に割当てていた固定席をなくして予約制のフリーアドレス席や個室ブースを設けるというものです。一方、フリーアドレス型のワークスタイルはオンライン会議におけるハウリングの問題やソーシャルディスタンスを考慮した場合の最適なスペース確保が難しい課題としてあります。

新しいワークスタイルを支えるうえで、個室ブースや少人数のプライベートブースをうまく組み合わせることで、フリーアドレスのデメリットを解決していく必要があります。

またリモートワークで社員一人一人のつながりが見えづらくなっている中で、物理的なオフィスに帰属意識や仲間意識といった情緒的な価値を求める動きもあります。オンライン空間だけでは困難なカルチャー、ビジョン共有といった組織内の暗黙知を内面化していく「場づくり」の取り組みは、物理的なオフィスの方が適しているため、各社のカルチャーやビジョンをオフィスレイアウトや内装などに反映するケースが増えていくのではと思います。

長沼氏はこういった場所にまつわる課題について、新たなアイデアとなるホテリングの考え方を教えてくれた。

ホテリングについてもう少し詳しくおしえてください

長沼:ワーカーに対してワークスペースを最適に割当てる仕組みのことです。飛行機や新幹線の座席予約のようにオフィスのワークスペースをモバイル等から事前予約し、チェックインして利用するというものです。このコンセプトをワークスペース内のソーシャルディスタンス、ビデオ会議時のハウリングを防ぐための座席の割り振りなどの共通ルールを反映させる方法として、執務室、会議室などのワークスペース全体に取り入れる動きが広がっています。

固定席でもフリーアドレスでもない第3のワークスペースマネジメントのあり方として注目されています。特にリモートワークの広がりによって、ワークスペースの選択肢が広がったことで、ワークスペース利用の流動的な変化をとらえることができるホテリングのコンセプトは、新しいワークスタイルによって直面する各種の課題解決に貢献すると考えられています。

ワークスペースを改善するにあたり、どういった費用を考えなければならいのでしょうか

長沼:個室ブースを導入する費用に加えて、ワークスペースとワーカーを最適に割当てるためのルールをシステム化するための費用、またオンライン会議をストレスフリーに行うためのネットワーク環境の見直しも必要となります。執務室や会議室にはオンラインワーカーとオフラインワーカーをつなぐ接点として、大型モニターやロボットアバターを活用する費用も見ておくといいかもしれません。

これらのデバイスを組み合わせることによって、オンラインとオフラインの継ぎ目をなくすワークスペース体験が得られそうです。すでに顧客の中には複数の拠点とリモートワークを組み合わせて、オフィス分散型のワークスタイルを実現されているところがありますが、オンラインとオフライン空間の接点として会議室をうまく活用しており、各拠点の状況を集約表示する大型モニターなどの設備投資にも積極的です。

Teamsの発表でもあったが大型のSurface Hub 2Sのように、デバイスとソフトウェア、そしてオフィススペース・在宅スペースというのは地続きになる必要があるのだろう。上で働く人々の変動要素が多くなる分、下を支えるインフラが一緒になって動くと混乱が激しくなる。

今回は会議というテーマでその場所となるオフィス、働き方の変化について長沼氏の話を元に辿ってみた。感染症拡大を一過性のものと考えるのは、かつてガラケー時代にスマートフォンなんてこないと決めてかかった考え方に近いかもしれない。ここでどのような想像力を働かせ、情報収集をし、具体的にアクションするかを各社求められているように思う。

オンライン体験の最適解を目指す、国産テレカン&ネットワーキングツール「エリンギ」がローンチ

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Zoom、Microsoft Teams、Google Meet、Cisco WebEx、Skype、V-CUBE などなど、テレカンツールは枚挙にいとまが無い。テレカンツールを支援する周辺ツール—— Evernote 創業者 Phil Libin 氏が作った mmhmm や 先日紹介した「xpression camera」など——もにぎわいを見せ、まさにコロナ禍の会議オンライン化が生み出した特需…

「eryngii」
Image credit: Tsam

Zoom、Microsoft Teams、Google Meet、Cisco WebEx、Skype、V-CUBE などなど、テレカンツールは枚挙にいとまが無い。テレカンツールを支援する周辺ツール—— Evernote 創業者 Phil Libin 氏が作った mmhmm や 先日紹介した「xpression camera」など——もにぎわいを見せ、まさにコロナ禍の会議オンライン化が生み出した特需と言ってもいいだろう。

一方で、参加者が予め定められたフォーマルな会議のオンラインとは別に、イベントをオンライン化したときの課題となるネットワーキングのためのツールも増えつつある。ロサンゼルス郊外に本拠を置くスタートアップが作った Remo や、東京に拠点を置く Nimaru Technology が開発する OVICE などは最近人気を博している。

しかし、いずれのツールも一長一短である。時を経て、便利な機能は追加され、使われない UI は削ぎ落とされていくのだろうが、どのツールが最良かという解にはまだ誰しもたどり着いておらず、レッドオーシャンながらも、ただ一つの正解が出せてない(つまりドミナントプレーヤーがいない)領域にはビジネスチャンスがある。

シリアルアントレプレナーの池森裕毅氏も、この領域に可能性を見出した一人だ。これまでに複数の事業を創業・バイアウトし、最近は他の起業家の事業をインキュベートする側に立つ池森氏だが、オンライン交流会でツールをいくつも試しつつ、その使い勝手の悪さから自らツールを開発することを思い立ち、個人プロジェクトとして公開したのが「eryngii(エリンギ)」だ。

もともと個人的に使うことを想定していたため、「パスタを作りながら、たまたま思いついた名前(池森氏)」を冠したツールだが、さらに数百万円の私財を投じてブラッシュアップし、本日それをローンチすることとなった。オンライン会議や交流会が、オフラインのそれの代替ではなく、オンラインにはオンラインの良さがあるはずで、そのメリットを最大限に引き出せるシステムづくりに注力したという。

「eryngii」でインタビューに答えてくれた池森裕毅氏
Image credit: Tsam

eryngii では、会議主催者が部屋を自由自在に増やせるようになっているのが特徴。また、各部屋の収容人数も自在にコントロールできる。一部屋あたり最大で200人まで収容可能で、一つのイベントでは理論上、最大で1万人までを収容できる。ある部屋にいながら他の部屋に誰がいるかを確認できたり、他の部屋から誰かを自分の部屋に呼び込んだり、複数の部屋を横断して往来できる UI も丹念に作り込まれている。

個人プロジェクトとして公開したところ、複数の企業から共同運営したいなどのオファーをもらったので、可能性を感じ事業として立ち上げることにした。まずはアーリーアダプターの人たちに使ってもらい、キャズムを越えられたら、マスに受け入れられるようにさらにブラッシュアップしていきたい。(池森氏)

eryngii はデスクトップだけでなくモバイルでも使えるが、今のところ、推奨ブラウザは Safari と Chrome に限定されている。実際、筆者は池森氏へのインタビューする際、普段常用している FireFox で eryngii への接続を試みたが、画面がうまく表示されなかった。こういった問題は今後、マスのへの対応を進めていく中で解決していくようだ。

eryngii は料金にも工夫をしている。他の一般的なネットワーキングツールは月単位課金制が多く、例えば、たまにしかオンラインイベントを開かない組織にとって、この費用体系は割高感は強い。eryngii では収容人数毎にイベント1回の単体で料金を設定し、ヘビーユーザではないオンラインイベントの主催者にも手を出しやす区している。

池森氏は、日本人ならではの細かいところにこだわった UX や機能を追求し、レッドオーシャンな領域ながらも、eryngii を国産ツールとして世界市場でプレゼンスを出せるようなプロダクトにしていきたいと今後の意気込みを語った。

Microsoft、85インチ「Surface Hub 2S」発表:大画面でオフィスのソーシャルディスタンスを実現(1/2)

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昨年4月に発売された「Surface Hub 2S」に続き、Microsoftは2021年1月からより大型の21,999ドルの85インチモデルを出荷する計画であることを発表した。同社が本日開催したIgnite 2020イベントで明らかになったもので、Microsoftは、Windows 10 Pro、Windows 10 Enterprise、ファームウェアアップデート(Windows 10 Te…

Image Credit: Microsoft

昨年4月に発売された「Surface Hub 2S」に続き、Microsoftは2021年1月からより大型の21,999ドルの85インチモデルを出荷する計画であることを発表した。同社が本日開催したIgnite 2020イベントで明らかになったもので、Microsoftは、Windows 10 Pro、Windows 10 Enterprise、ファームウェアアップデート(Windows 10 Team 2020 Update)を、すべてのSurface Hub顧客に無料で提供するとしている。

パンデミックによって世界中でオフィス閉鎖が続く中、CEOの3分の2以上(68%)がフロアスペースの縮小を計画しているのに、なぜエンタープライズ向けのデジタルホワイトボードに注目するのだろうか(KPMGによると)。MicrosoftはSurface Hub製品だからこそ、ソーシャル・ディスタンスを必要とする空間計画を考慮し、オフィスへ戻る「移行を容易にする」ことができるとしている。

MicrosoftのコーポレートバイスプレジデントのRobin Seiler氏はブログ記事で「Hubが提供するより大きな画面の利点の1つは、人々が一緒に仕事をしながら6フィート離れて滞在するためのソーシャル・ディスタンスを保つことができる点にあります」と伝えている。

この点を強調するためか、MicrosoftはSurface Hub 2Sの85インチモデル(米国では本日から予約販売開始)を、シンプルにSurface Hub 2Sの拡大版であると説明している。ベゼルが45%小さくなり、ディスプレイが20%薄くなり、本体が30%軽くなっている。Microsoftと長年の協力関係にあるSteelcaseは、Surface Hub 2Sの85インチモデルのために、フローティングウォールマウント、フロアサポートウォールマウント、モバイルカートなど、一連のマウントソリューションを共同でデザインした。

一方、オリジナルのSurface Hub 2Sがなくなるわけではない。実際、Microsoft Teamsの統合、ワンタッチ会議参加、Microsoft Whiteboardのサポートなどの機能を備えたSurface Hub 2Sは、今年後半に中国で発売される予定だ。

既存のSurfaceデバイスでは、Windows 10 ProとWindows 10 Enterpriseのフルインストールが可能になった。Surface HubシリーズのWindowsは、タスクバーやスタートメニュー、Windowsアプリなどのおなじみの機能や要素を備えて自由な体験を実現する。Windows Helloログインも可能になったが、これは指紋リーダーを搭載したSurface Hub 2のみが対象となる。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

Microsoft「Teams」新機能発表:リモートワークの鍵「バーチャル通勤とメンタルヘルス」(1/3)

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Microsoftは本日、多くのTeamsにおける新機能を発表した。とりわけバーチャル通勤、瞑想休憩、仕事習慣など、メンタルヘルスに焦点を当てた機能が特徴的だ。その他の新機能としては、Together Mode、Dynamic View、Breakout Rooms、リキャップ、プレゼンテーション、通話、新デバイスなどが追加されている。 Microsoftは5月に開催された開発者向けカンファレンス…

Microsoftは本日、多くのTeamsにおける新機能を発表した。とりわけバーチャル通勤、瞑想休憩、仕事習慣など、メンタルヘルスに焦点を当てた機能が特徴的だ。その他の新機能としては、Together Mode、Dynamic View、Breakout Rooms、リキャップ、プレゼンテーション、通話、新デバイスなどが追加されている。

Microsoftは5月に開催された開発者向けカンファレンス「Build 2020」で、開発者にTeamsアプリを構築するための新たなツールを提供開始した。7月に開催された「Inspire 2020パートナーカンファレンス」では、企業のハイブリッドリモートワークアプローチへの移行支援を倍増させたことを明かしている。そして今週開催された「Ignite 2020 IT Prosカンファレンス」ではメンタルヘルスについて言及した。

2018年以降、Microsoft Teamsはロックダウンがリモートワークを加速させることになるずっと前から、同社ビジネスアプリとしては史上最速の成長を遂げてきた。4月にはTeamsのデイリーアクティブユーザー数が7500万人を突破し、5月にはMicrosoftのJeff Teper氏がVentureBeatにTeamsは 「Windowsよりもさらに大きくなるだろう」と語っている。

パンデミックの影響で目覚ましい成長を遂げる一方、Microsoftは、WFH(Word From Home)やリモートワーク環境で同社のプラットフォームを利用している企業がメンタルヘルスツールを提供する責任があることを認めている。

バーチャル通勤、瞑想休憩、仕事の習慣化

交通渋滞や通勤という無駄な習慣から逃れることができる人はいない。しかし、Microsoft Researchの研究によると「この時間帯によくやる1日の予定や振り返りは生産性を12~15%向上させることができる」という結果が出ているそうだ。そこで2021年の前半には、Microsoft Teamsで1日の始まりと終わりに「仮想的な」通勤を設定できるようになった。

「私たちが発見したのは通勤の経験がーーもちろんこれは長すぎないのがよいに決まってるのですがーー頭をスッキリさせるのに役立つ役割を果たす、ということでした。1日のうちに何に向かっているのかを考え、1日のうちに何が出てくるのかをスッキリさせることを考えてみてください。このバーチャル通勤の体験は、ちょっと立ち止まって一日の始まりと終わりの時間に自分の考えを整理し、仕事の前処理と後処理をして、本当に処理しているかどうかを確認することを可能にします。調査の結果、それが非常に役立つことが判明したのです」(Microsoft 365コーポレートバイスプレジデントのJared Spataro氏、プレスブリーフィングにて)。

また、MicrosoftはHeadspaceと提携し、マインドフルネス体験と科学的根拠に基づいた瞑想を Teamsに導入する。Microsoftはこれらを使って、従業員が大きなプレゼンテーションの前に集中したり、長時間の仕事の後のストレスを解消したりできるようにすることを想定している。

「バーチャル通勤の一部として瞑想をスケジュールすることもできますし、一日中マインドフルネスの休憩として瞑想を予約することもできます。これは本当に強力なものになると思います。Headspaceアプリを使った、たった4回のセッションの後、ある医療従事者のグループでは燃え尽き症候群が14%減少したと報告しています。また、より幅広い層を対象とした別の研究では ヘッドスペースを30日間使用した結果、ストレスが32%減少したという結果が出ました。このように本当に大きな違いをもたらすことができることを明確に示しています」(前出のSpataro氏)。

(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

在宅ではなく「Working From Anywhere」の重要性とオフィス空間の両立

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Working From Home(WFH)を企業または個人が導入するかは、つい先日まで二極化するテーマだった。しかしパンデミック以降、WFHの状態でも生産性高い労働環境を作れることを多くの人たちが感じ始めている。 さて、現段階におけるリモートワークへの動きは、企業運営の安定や従業員の短中期的な雇用維持を目的としたものだった。つまり、企業は環境変化に対応しているようで、実際の多くの企業は新しい環境…

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Photo by Vlada Karpovich on Pexels.com

Working From Home(WFH)を企業または個人が導入するかは、つい先日まで二極化するテーマだった。しかしパンデミック以降、WFHの状態でも生産性高い労働環境を作れることを多くの人たちが感じ始めている。

さて、現段階におけるリモートワークへの動きは、企業運営の安定や従業員の短中期的な雇用維持を目的としたものだった。つまり、企業は環境変化に対応しているようで、実際の多くの企業は新しい環境における事業継続プランを考えぬけていない状況にある。

一部の従業員はリモートワークを自然と受け入れられているものの、それまでの役割や責任によっては、自宅で生産性維持を図るのに苦労しているのも事実だ。COVID-19が表沙汰になるまでは、全労働者の内半分以上を在宅で作業している割合はわずか3.6%であった。ある調査によれば、オフィスワーカーの67%はミーティングなど第三者とコラボレーションが必要とされるとされ、オフィス空間は今でも貴重であることが分かる。

しかし、Global Workplace Analyticsによれば、2021年の終わりまでに全体の25~30%は在宅作業になると予想している。

2020年も半分が過ぎようとしているが、徐々にオフィスへ人を戻し始めている企業も少なくないだろう。しかし、それでも多くの国では未だソーシャルディスタンスの重要性が説かれ、企業に属するものとしての労働の真価が問われ出している段階だと言える。

どこでも生産性を高めるために

Work From Home自体が世界の経済的仕組みを大きく変えるものになるのではないことは明らかだ。次のニューノーマルにおいては「Working From Anywhere」的概念が重要となるだろう。

また企業のリーダーたちは、今後ソーシャルディスタンスを意識したオフィススペースの設計が必要不可欠になるはずだ。例えばオフィスのパントリーを廃止したり、ビデオ会議用の小さなスペースを設置することなどが挙げられる。

つまり企業側はオフィスからでも、またそれ以外からの環境からでもフレキシブルに作業に集中できるツール提供が求められるようになる。さらに外部環境からの労働者が増えれば、それだけセキュリティーの要件を満たす必要性も今まで以上に求められるだろう。

中長期的なプラン

将来の業績を考えると、企業が現段階でいかに中長期的目線で投資することができるかが重要なファクターになることは間違いない。GlobalDataの調査によれば、APACにおける雇用者の57%がテクノロジー投資を増やしたい意向を持っていると明らかにしている。こうした投資は、クラウドをベースとしたコラボレーションプラットフォームが主となっており、中長期的な企業運営のオンラインシフトを伺うことができる。

マクロ的視点では、オフィスに対してより健康に特化した投資が求められるため、スマートビルディングへの需要が進むことになるはずだ。体温を自動的に測定する赤外線カメラや、空気の入れ替えをするスマート空気清浄機、エレベーターのタッチレスシステムなど、急激な入れ替えが迫られているかもしれない。

ニューノーマルに備えて

あらゆる欠点はあるにせよ、これからもオフィスがある程度チームコラボレーションのために利用され続けることは間違いない。重要なプロジェクトや提案書作成のため徹夜したり、エレベーターの中でCEOと偶然鉢合わせて気まずくなるなど、実はオフィスでしか得られない貴重な経験も数多くある。

つまり、COVID-19はオフィスを廃止したのではなくリモートワークでも効率的かつフレキシブルな労働環境を創り出せることを証明したと言える。一つはっきりしているのは、リモートワークを許容することが組織を中長期的に存続させるために必要であるということだ。

リモートワークが数多く始まり、私たちは改めて労働環境におけるコミュニケーションとコラボレーションを同時に体感できる環境を求めていることに気が付かされた。確かにこれからは、会社の全員が同じ場所に集まることはないかもしれないが、こうした繋がりの感覚をいかに生み出すかが企業運営にとって重要な観点となってくるのだろう。

【via e27】 @e27co

【原文】

3600社利用、オフィスとリモートを融合させるACALLが5億円調達ーーその手法を聞いた

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ニュースサマリ:ワークスペース管理サービスを提供するACALLは6月29日、第三者割当増資の実施を公表する。ラウンドはシリーズAで、引き受けたのはジャフコとDBJキャピタル。増資した資金は5億円で、これまでにジェネシア・ベンチャーズとみずほキャピタルが出資した2018年4月のラウンドでの調達額(1億円)と合わせ、累計で7億円を調達している。 同社の創業は2010年。オフィスへの来客対応を管理する「…

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Image Credit : ACALL

ュースサマリ:ワークスペース管理サービスを提供するACALLは6月29日、第三者割当増資の実施を公表する。ラウンドはシリーズAで、引き受けたのはジャフコとDBJキャピタル。増資した資金は5億円で、これまでにジェネシア・ベンチャーズとみずほキャピタルが出資した2018年4月のラウンドでの調達額(1億円)と合わせ、累計で7億円を調達している。

同社の創業は2010年。オフィスへの来客対応を管理する「ACALL」を2016年に公開し、2018年3末時点で630社が導入。その後に改良を続け、会議室や入退室のチェックインと連動した総合的なワークスペース・マネジメントサービスとして拡大し、現在、エンタープライズや不動産事業者など3600社が導入している。

また、同社では新たにリモートワークでのチェックインにも対応した「ACALL WORK(β版)」の提供開始も伝えている。在宅で働く人が業務開始と終了時にチェックイン・チェックアウトできるアプリで、業務に関する情報を集めた情報基盤「WorkstyleOS」と合わせることで在宅勤務を含めた従業員の業務管理ができる。また、感染症拡大の状況をふまえ、当面の間は同サービスについては無償提供とする。

話題のポイント:国内における企業のチェックイン(受付管理)クラウドサービスは「RECEPTIONIST」と「ACALL」がここ数年成長著しいものになっています。両社共に3000社を超える導入実績があり、サービス開始も2016年からと同時期です。

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ACALLが提供するワークスペース管理ソリューション

ACALL代表取締役の⻑沼⻫寿さんの話によると、グローバルでのこの領域はワークスペースのデータをカバーするソフトウェアとして、IWMS(Integrated Workplace Management System)という市場があるそうです。プレーヤーもIBM、Oracle、SAPなどの欧米のエンタープライズ巨人が中心で、2019年では2,400億円規模の市場が、2024年には5,000億円になると予測されているというお話(※)でした。※Markets and Markets社の調査レポートより

これらは「オフィス」が前提のサービスではあるのですが、ACALLでは早くからフルリモート・フルフレックスを推進するなど、働く場所についての概念を自ら実践して拡張してきた経緯があります。

感染症拡大に伴って需要が一気に顕在化してきた「在宅」の扱い方はどうすべきなのか、サービス提供者として、また、実践してきたチームとして⻑沼さんに課題や考え方などを伺いました(太字の質問は全て筆者、回答は長沼さん)。

感染症拡大対策として企業がリモートワーク推奨にするなどの施策を公表していますが、長沼さんが感じる課題は

オフィスワークとリモートワークそれぞれの有効性について客観的な視点で評価し、それぞれの企業、個人にとって最適なワークスタイルを合理的に見出しづらい状況にあることではないでしょうか。

Zoom等のおかげで、想定よりビデオ会議を円滑に運用できることがわかり、オフィスワーカーを中心にテクノロジーの価値を享受できています。企業によっては思い切ってオフィスを閉鎖し、完全フルリモートでフレキシブルな体制を構築しているところも出てきてますよね。

一方、個人の目線では「オフィスに行く意味が見いだせないが、会社から出社を要求されている」とか、「自宅に書斎がないので集中できない。以前のようにオフィス主体で仕事をしたい」、「近隣のシェアオフィスをオフィス代わりに利用したい」といったそれぞれの意見が出ています。また企業にも迷いがあって、オフィスを完全に閉鎖してもいいのか、オフィスはどの程度縮小するのが適切なのか、ソーシャルディスタンスのためにむしろオフィス増床が必要ではないのか、など頭を悩ませている状況を耳にしています。

確かにこういった議論するコストが高すぎる、という意見もあるようです

ワークスペースの多様化によって起こるこれらの不透明感は、場所に関連づけられたワークデータの蓄積が乏しいことが要因です。そのスペースではたらくことがワーカーにとっても企業にとっても最適なのかどうか客観的な評価が難しいのですね。

例えば場所に関連付けられた広範なデータを取得できれば「あの場所はこういう仕事をするときは向いている」といったチーム間でのシェアも可能となり、働くことをより積極的で楽しいものに体験価値として高めていくことも可能になります。

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ACALL代表取締役の⻑沼⻫寿さん(筆者撮影・2018年4月)

では企業は何から取り組むべきでしょうか

完全に新型コロナが終息するためには、ワクチンの普及期間を考慮すると18カ月程度のスパンを見ておく必要があると言われています。私たちはこの期間を社会全体にとって次の新しいワークスタイルに移行するための実証実験期間と捉えたいと考えていますが、実証実験のためには、その試みが有意であるかどうかを検証するためのデータが必要になります。

新しいワークスタイルを考える上で、まず検証すべきデータは生産性です。

生産性の定義は、「インプット量(人数×時間)に対するアウトプット成果」を指します。どこでも働ける場を実現するためには、その場がどのように貢献しているのか、場所×時間×成果の軸で測定していく必要があります。

これらの測定データをもとに、その時間はどの場所で働くことが最も合理的なのか判断することができれば、個人はより多様なワークスタイルを積極的にデザインするでしょうし、生産性という共通言語をもとに、企業としてもワーカーが自由にはたらく世界を後押しする立場として、ベクトルを合わせる動機になります。

確かにこの職種であれば在宅でも十分に生産性が上がる、ということが定量化されれば、経営者としては判断しやすいです。一方で変数が多すぎてどこから手を付けるべきか難しいポイントです。最近ではSlackのコミュニケーションを分析する人も増えていますがそれだけで全体像はわからないですよね

はい、既存のソフトウェアサービスを活用することで生産性の可視化に対応できればそれに越したことはありません。例えば、グループウェアならびに勤怠管理アプリケーションやビジネスコミュニケーションプラットフォームは新しいワークスタイルを支える情報基盤として確立されている重要なインフラです。ただ、これらは物理的なワークスペースを変数として保持することを目的に作られているわけではなく、リアルの空間とインターネット空間のデータがつながっていることが重要なポイントになると思います。

つまり、既存のオンラインインフラと物理的なオフィスを繋ぐことが必要

更に言えば、ワークスペース対象はオフィスに限らず、シェアオフィスやサテライトオフィスなどの中間オフィス、自宅などのプライベートスペースもあります。また、オフィスに焦点を当てると、執務室、会議室、空調、照明、デスク、チェア、コピー機などさまざまな要素がありますが、これらは基本的にデータ化されていません。こういった要素を横断的に共有していくことで、あたかも仮想的なオフィス空間が展開されているかのように考えることが必要なのです。

一方でこういった過度のデータ化、可視化は成果主義への偏りに繋がるという懸念もあります

私たちはこれらの取り組みを「ワークスペース体験価値を高めるための手段」として位置づけていて、監視や単なる管理目的で利用することに明確に反対の立場を取っています。ワーカー個人も企業も生産性を高めていくことを前提としながらも、ワーカーが自由にワークスタイルをデザインすることができる仕組みとして使うと生産性が高まり、企業にとっても大きなメリットをもたらすと信じています。

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ACALLは働き方の仕組みをOSに置き換えて考える

今回、リモートワークに対応するソリューションを公表しています。どこまでが実現できる範囲なのでしょうか

多様なワークスペースを横断的に共有する基盤として「WorkstyleOS」という概念を持っていて、ここで生産性のデータを分析し、効率的なワークスタイルをレコメンドすることを考えています。現時点のサービス対象は、場所と時間に限定したデータとなっていますが、今回リリースするリモートワークチェックインアプリによって、ワーカーの成果も蓄積し、2021年にはワーカーごとに最適なワークスタイルを提案する機能をリリースする予定です。

また、オフィスにあるものをIoT化し、WorkstyleOSでデータ化していくスマートオフィスの取り組みも引き続き進めていきます。これはオフィス内に限定しても、まだ生産性を高めるための伸びしろが十分にあるからです。この点については、オフィス最適化ソリューションを提供する多くの事業パートナー様とともに推進力を高めていく予定です。

ありがとうございました。

リモートワークはやめてオフィスに戻った話

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緊急事態宣言の解除から1カ月近くが経過しようとしています。報道など見てると、観光地や商店街などに賑わいが戻りつつある様子が伝えられる一方、世界的なパンデミックは収束どころか拡大している地域もあり、ああ、結局ワクチンが出てくるまでは薄氷を踏むような状況なのだなと再認識している次第です。 気になる働き方の変化についても各社方向性が決まりつつあります。 例えばそもそも昨年からテレワークを計画していたKD…

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緊急事態宣言の解除から1カ月近くが経過しようとしています。報道など見てると、観光地や商店街などに賑わいが戻りつつある様子が伝えられる一方、世界的なパンデミックは収束どころか拡大している地域もあり、ああ、結局ワクチンが出てくるまでは薄氷を踏むような状況なのだなと再認識している次第です。

気になる働き方の変化についても各社方向性が決まりつつあります。

例えばそもそも昨年からテレワークを計画していたKDDIや、今年早々に全グループ社員をリモート推奨としたNTTグループのように、事業者自体がテレワーク関連のサービスを提供しているようなケースは妥当として、カルビーのようなメーカーまで新しい生活スタイルに合わせてきています。中でも日立製作所についてはかなり意外でしたが、記事にある通り数年前から実験を繰り返していたということで、改めて経営サイドの準備の大切さを感じるわけです。

一方、スタートアップ含め、比較的動きやすいテクノロジー系各社はどうでしょうか。

ここ数回、オフィスのあり方については各社の意見をまとめて書いてきましたが、Work From Homeのメリットで聞こえてきたのは(1)多様な生活に対応できるようになった、(2)通勤時間の無駄と同時に業務の棚卸しと効率化が議論できた、辺りに集約されるかなと。

<参考記事>

感染症拡大防止の観点で自宅に高齢者などを抱える人は、引き続き感染リスクを下げるために在宅が必要になると思いますが、それ以外にも子育てや介護など、ライフステージにおけるイベントは突然やってきます。こういったケースに働き方が柔軟に対応できるようになった結果、とあるテクノロジー系大手では離職率が下落したという話も聞いています。

また、多くの経営者、マネジメントで意見があったのが業務効率化、無駄の削除です。サイバーエージェントの意思決定が参考になりますが、原則出社に戻す一方、会議については社内であってもオンライン対応するというのが代表例です。場所の確保や移動時間もそうなのですが、オンライン・ミーティングは事前の準備等がしっかりとしていないと、かなりグダグダになります。特に会議中に発言をしないケースでは、本当に参加していたかどうか分からないため、発言責任などがより鮮明になるのも特徴です。それ以外にもハンコなくそう運動や、実は名刺いらなくね?問題など、今後もビジネスシーンにおける効率化は進むのではないでしょうか。

しかし思ったよりも「いや実は違うんじゃないか」と言われているのがコスト削減メリットです。

感染症拡大が決定的になった時、スタートアップ各社でオフィス解約の動きが活発化したのですが、やはり検討の結果、オフィスに戻るという選択をした企業もあります。LayerXもオフィス解約で話題になった1社でしたが、検討を重ねた上で、やはりチーム全員で場所に集まろうという意思決定をしたそうです。

リモートワークに関するメリット等の議論は他社のそれらと大差変わりなく、例えば採用に関する一次面接などは引き続きオンラインを継続するなど、双方の良い点を取り入れていくという意思決定になったというお話でした。しかしそれ以上に彼らが懸念したのが「新しい働き方を議論するコスト」だったそうです。これは大変興味深いコメントでした。

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完全テレワークの実施は約5割、同僚とのコミュニケーションも課題に。 ~ウィズコロナ時代テレワークの課題・工夫に関する調査結果を発表~(KDDI調査・6月11日)

KDDIが実施したリモートワークに関する調査でも、例えば雑談が少なくなる、運動不足になりがち、作業環境が悪い、といったデメリットが挙げられています。では、これらをどうやって解消するのか。この意思決定はスタートアップのような小さなチームにとっては結構な負担です。また、彼らのようにクリエイティビティや思考プロセスが求められる業務が多い分野もリモートワークが苦手とするところです。

具体的なオフィスの契約についても、完全になくしてしまうという意思決定はあまり聞こえてこなくなって、定期的に対面できる場所の必要性を訴える声や納得感の方が大きくなりつつあります。前述のサイバーエージェントは基本出社に戻って、その代わりに週に1回の「リモデイ」という原則リモートの日程を加えますし、こちらのオフィスのように曜日単位で借りられるオフィス、というものも出現してきています。

先行事例としても例えば、投資事業を手がけるミスルトゥではオフィスではなく「MISTLETOE OF TOKYO」というコミュニティスペースを運営していて、ここでは出社が目的ではなく、繋がりを作るといったセレンディピティを重視した考え方になっています。

重要なのはオフィスの考え方も多様性が一気に拡大する一方、「完全になくす」という選択肢は多くの企業にとっては難しいのだろうなということです。最終的にはオフィスの契約は残るケースが多くなり、一時的に期待されたコスト効率化(特に小さなチーム)についてはそこまで劇的なものにはならないのかもしれません。

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ミスルトゥが展開するスペースはオフィスというよりギャラリー

因みに本誌編集部では長らくWork From Anywhere(※在宅ではないので)の考え方で運営しています。シンプルに記事を書く、取材するという活動には各自の自律的な意思決定が重要で、そこに複数の判断が介在すると動きが鈍くなります。一方、事業については、企画運営などの観点からミスルトゥに似たようなコミュニティスペースを作ったりしたこともあります。

きっかけは悲しいパンデミックではありますが、場所ありきではなく、働き方や事業に合わせて場所を考えるよいきっかけであることは間違いないのではないでしょうか。

2020年・エコシステムはどう変わる(2)激変するオフィスと働き方

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私たちはどうやら簡単には元のオフィスには戻れないらしい。 We have often been in large open spaces at technology companies filled with people using laptops at standing desks while wearing headphones to tune out background noise… i…

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Photo by Sharad kachhi on Pexels.com

私たちはどうやら簡単には元のオフィスには戻れないらしい。

We have often been in large open spaces at technology companies filled with people using laptops at standing desks while wearing headphones to tune out background noise… is there a better win-win arrangement?(テクノロジー企業の多くはオープンスペースで、スタンディングデスクを使って、ノートパソコンにずっと目を向け、周りの雑音を取り除くためヘッドフォンを取り付け黙々と作業する人で埋め尽くされるだけです…なぜそうした状況が生まれてしまったのでしょう?)。

元Kleiner Perkinsのパートナーであり、毎年発行される「Internet Trend」でお馴染みの著名投資家、メアリー・ミーカー女史が発行した「Coronavirus Trends Report」にある一節だ。

感染症拡大による最も大きな変化は「人との接触を極力減らす」生活スタイルにある。特に日本の首都圏で働いているテック系スタートアップであれば、ここの満員電車だったり、足の踏み場のないオフィス環境を経験したことがあるかもしれない。緊急事態宣言が解除された今もまだ、無自覚のまま他人を感染させてしまうという恐怖もある。

元に戻れない、というのはあながち大袈裟でもないのだ。

この状況を比較的リモートワークに対応しやすい国内テック大手はどう見ているのか。感染症拡大を前に、いち早く動いたのがGMOグループだ。1月末で早々に全社リモートワークへの切り替えを実行に移し、週の1〜3日を目安に在宅勤務とする指針を公表している。

またサイバーエージェントのように、会って仕事をすることのカルチャーを重要視している企業もあるが、それでも社内会議についてはZoomを使ったミーティングを推奨するなど、接触と同時に時間の無駄を排除する動きを進めている。生産に装置を必要とする業務や、セキュリティの関係で場所に縛られるケースなど、全てが「Work From Home」に移行できるわけではないが、それでもこれを機に効率化を見直す動きはさらに進むだろう。

これだけ大きな変化だ。ビジネスチャンスがないわけがない。

変わる働き方を投資サイドはどう見る

では、投資サイドはこの状況をどう見ているのだろうか。

まだしばらくソーシャルディスタンスが必要とされることで加速しそうなのがxRと5G技術だ。KDDIの中馬和彦氏は今回の件で、仮想と現実の境界線を「融合する」ソリューションに注目するとコメントしてくれている。

「コロナ以前の注力領域は『バーチャル世界のリアル化を加速するもの』(xR等)と『リアル社会のインターネット化に寄与するもの』(AI&IoT等)でしたが、コロナ後はこれに加えて『バーチャルとリアルの融合(パラレルワールド化)を実現するソリューション』に注目していきたい」(KDDI経営戦略本部 ビジネスインキュベーション推進部長/中馬和彦氏)。

また、ソニーフィナンシャルベンチャーズで投資を担当する中村順司氏もまた、ソーシャルディスタンシングの継続で変化が訪れるとした一人だ。リモートワークが加速する中で徐々に視点はできることから品質へと移り関連する技術に注目が集まると指摘した。

「多くの分野で自宅でも仕事はできるということが確認される中、リモートコミュニケーションの品質が問われ始めていて、ここに高い品質と付加価値を実感できるソリューションの登場には注目しています。また『非接触』に対するニーズは多様化し、コスト効率の観点とともに評価の対象軸になると考えています。具体的にはセンシング技術、画像認識技術、セキュリティ、オンライン営業・業務支援ツール、エッジコンピューティング、デジタルヘルスなどがそれです」(ソニーフィナンシャルベンチャーズ取締役 投資業務部長/中村順司氏)。

ここでひとつ実例を挙げよう。米Microsoft Researchが発表しているソリューションにVROOMというものがある。職場に等身大のロボットを配置し、リモート環境からヘッドマウントディスプレイを付けたユーザーが「アバター」として遠隔のオフィスに参加する、という代物だ(詳しくはこのビデオを見て欲しい)。

まだ研究段階のものでとても実用には程遠い体験のように感じられるが、これこそ現時点で想像できるリアルとバーチャルの融合パターンと言えるだろう。使われている技術もソフトウェアのみならず、ハード、センシング、通信と幅広い。

仮想空間についてはこれまでもスタートアップによる開発が進んできた。国内で言えば、エンターテインメント文脈でのVirtural YouTuber(VTuber)開発企業の資金調達が相次いでいたし、VR空間についても、例えばClusterのようなプレーヤーがイベント空間の提供で先行しつつある。

確かにZoomやMicrosoft Teamsのような「オンライン・ミーティング」は便利で、現時点でのベストソリューションかもしれないが、「実際に会ったような体験」とまでは言いづらい。ソーシャルディスタンシングの制約が解除されるのがもう少し先であることを考えると、時間と空間の制約も飛び越える、xR空間での体験、特に中馬氏が指摘する「リアルとバーチャルが融合した」ソリューションはこれからも出てくるはずだ。

どうなる「地方での起業」

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THE SEEDは京都にインキュベーション施設をオープンさせている

ここ数年、スタートアップの現場で語られてきたテーマのひとつに「地方起業」というものがある。東京以外にも関西や福岡などが活動を活発化させており、それぞれ投資ファンドや独立系ベンチャーキャピタル、学生起業家といったローカルプレーヤーが根付き始めているのが今だ。

その代表的な一社である福岡拠点のF Ventures、両角将太氏は今回の件を地方起業拡大の契機と考えている。

「東京のビジネス上のメリットである人の密集が、今回ばかりは逆効果となってしまいました。コロナは容易に根絶できるわけではなく、共存していかなければならなくなる可能性は高いと思います。withコロナ時代では、地方で起業する人たちにとってチャンスが拡がるのではないでしょうか。

地方であれば家賃も安価に抑えられる分、コストを採用に回すことができます。また、オンラインで完結できるようになり、地方ではこれまでできなかった人材獲得ができるようになるのではと考えています。また、そのほかリモートで完結できる業務も増えると予想できるため、地方でのチャンスがより広がってくると思っています」(F Ventures代表パートナーの両角将太氏 )。

彼が指摘するように、地方の分かりやすいメリットは首都圏に比較して圧倒的なコストの安さにある。そもそもテック系スタートアップの多くは「持たざる経営」で競争力を高めてきた。首都圏に集まる理由は主要な投資家や事業会社、そして何より優秀な開発者たちが多く集結していたからに他ならない。しかし、今回の件で距離という制約がゼロにはならないにしても、大きく緩和されれば可能性が出てくる。

例えば海外では国境を超えたチームワークという概念がある。

37Signals(現在のBasecamp)は2010年台半ばにオフィスを持たない、新しい働き方について提唱をしていた。ここ最近のスタートアップでもAndreessen Horowitzが出資した「Deel」のように国境を超えたチームのバックオフィスを効率化する、そんなスタートアップまで出現してきている。

オフィスはオンラインにあり、働く人たちは同じ国ですらないというパターンだ。日本でも今回の件を契機に、本社機能は福岡、働く人たちは東京、アジア、欧米と分散するようなケースが出てきてもおかしくない。

次回は大きな注目が集まる企業のデジタルシフト、デジタル化する経済「DX」大航海時代についてケーススタディを掘り起こしてみたいと思う。

参考記事:2020年・エコシステムはどう変わる(1)スタートアップの投資判断

リモートワークの味方:Microsoftの「VROOM」は職場に自分のアバターを登場させる

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Microsoft Researchは5月5日、職場に自分と同じ大きさのアバターを登場させることができる技術、Virtual Robot Overlay for Online Meetings(VROOM)を発表した。これはテレプレゼンスロボットにARとVRを組み合わせたものだ。VROOMシステムについては最近の論文で詳しく説明されている。オフィスにいる人もリモートで働いている人も、まるで同じ空間…

Microsoft Researchは5月5日、職場に自分と同じ大きさのアバターを登場させることができる技術、Virtual Robot Overlay for Online Meetings(VROOM)を発表した。これはテレプレゼンスロボットにARとVRを組み合わせたものだ。VROOMシステムについては最近の論文で詳しく説明されている。オフィスにいる人もリモートで働いている人も、まるで同じ空間にいるように感じることができる。

リモートワーカーはWindows Mixed Realityヘッドセットを着用して自身の姿勢や頭の動きを追跡する。そしてテレプレゼンスロボットを介して動き回り、360°を見渡すことができる。職場にいる人はHoloLens ARヘッドセットを装着する。Unityベースのアプリでアバターがリモートワーカーの動きに応じてアニメ化される。

腕と手の動きはコントローラーに記録され、双方に表示される。このシステムは、話している時の口の動きやまばたきだけでなく、無駄な動きも追加することによってアバターをよりリアルにしている。

アバターの顔は、VROOMがリモートワーカーの顔を2D画像から3D画像に変換して作り出している。VROOMは一人称視点も提供するので、リモートワーカー側も自身の手の動きを見ることができる。リモートワーカーがロボットに移動指示を出すと、アバターは歩いているかのように動き出す。

論文の著者はBrennan Jones氏(サイモン・フレイザー大学博士号取得候補者兼Microsoft Researchのインターン)、Yaying Zhang氏(同研究所エンジニア)、Sean Rintel氏(同研究所ソーシャルコミュニケーション技術シニアリサーチャー)、Priscilla Wong氏(同研究員)だ。彼らは論文でこう述べている。

標準的なテレプレゼンスロボットとVROOMを比較するために画面付きのテレプレゼンスロボットを使用していましたが(これについては将来的に論文で報告する予定)、ローカルユーザの全員がヘッドセットを着けている場合、画面は不要です。したがって今後のイテレーションでは、リモートワーカーの頭の高さまで伸ばしたポールに360°カメラを搭載したロボットを使うことになると思います。

VROOMの技術は、同じ目線で同じ物を見たり一緒に作業したりすること、例えばホワイトボードを使った話し合いや設計に関わるような作業に最も適していると論文では期待している。テレプレゼンスロボットの使用例としては他に美術館での応用や、学術会議でのリモート発表などが挙げられる。

VROOMは今のところ1対1の対話しか検証されていない。今後、複数人への応用や、複合現実オフィスをシェアすることや、より安価なロボットでの実現が期待される。

VROOMは先行研究論文の続編として、ACM CHI Conference on Human Factors in Computing System(人と情報システムの相互作用に関する国際会議)の承認を受けている。2018年に発表された同会議の論文では複合現実下で複数のアバターを会議に参加させ対話を行う「Mini-Me」が紹介されている。

この他にも、4月にはZoomでの会議にVRで参加できるアプリ「Spaces」が発表され、HTCはVRで会議や共同作業を行えるアプリ「Vive Sync」をローンチした。

※本稿は提携するVentureBeat記事の抄訳になります

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】