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シリーズ:スタートアップと地方都市

シリーズ:スタートアップと地方都市

福岡市は9月、スタートアップ支援の一環で「福岡市新規創業促進補助金」を創設し、株式会社設立時の創業者の実質的負担額を無料にすると発表した。Fukuoka Growth Nextを中心に、スタートアップとの関わりを強める福岡を筆頭に、地方都市が起業支援する意味とは

MUGENLABO Magazine

シリーズ:スタートアップと地方都市の話題

北の大地から世界を狙う、道産子スタートアップ9社をご紹介〜NoMaps Dream Pitch 2020から

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10月第2週〜3週にかけて、札幌を舞台にテクノロジー・音楽・映像のフェスティバル「NoMaps(ノーマップス)」が開催された。今年は新型コロナウイルス拡大の影響で、NoMaps で開催される多くのイベントがオンラインに移行した。 例年、経済産業省らが開催する「NoMaps Dream Pitch」もそんなイベントの一つだ。技術やビジネスモデルが評価され表彰を受けた北海道を中心とするスタートアップ9…

10月第2週〜3週にかけて、札幌を舞台にテクノロジー・音楽・映像のフェスティバル「NoMaps(ノーマップス)」が開催された。今年は新型コロナウイルス拡大の影響で、NoMaps で開催される多くのイベントがオンラインに移行した。

例年、経済産業省らが開催する「NoMaps Dream Pitch」もそんなイベントの一つだ。技術やビジネスモデルが評価され表彰を受けた北海道を中心とするスタートアップ9チームを紹介しておきたい。

審査員を務めたのは次の方々。

  • 伊藤博之氏(クリプトン・フューチャー・メディア 代表取締役、NoMaps実行委員長)
  • 小笠原治氏 (ABBALab 代表取締役、さくらインターネットフェロー、京都造形芸術大学教授)
  • 各務茂夫氏(東京大学大学院工学系研究科 教授、産学協創推進本部 副本部長)
  • 里見英樹氏(メディア・マジック 代表取締役)
  • 田中慎也氏(BIJIN & Co. 代表取締役社長)
  • 廣川克也氏(SFC フォーラム 事務局長、SFC フォーラムファンド ファンドマネージャー)

Haratte by AmbiRise(北海道札幌市)【最優秀賞・北海道経済産業局長賞】

行政機関では、受け付けた請求書の内容をシステムに入力する時間が1団体あたり年間8,000時間、全国合計で年間40万時間費やされているという。請求受付業務の自動化や省力化は以前からの課題だが、会計システムと自動連携するには困難を伴う。会計システムはネットワーク的に閉じられた位置にあり外部との直接連携が難しく、そのシステム改修のコストが捻出しづらいなどの理由からだ。

今年まで18年間にわたり行政に勤務していた創業者が AmbiRise を設立。同社の最初のプロダクトとして立ち上げたのが行政宛請求プラットフォーム「Haratte」だ。Haratte では、請求元で請求情報の入った QR コードを請求書に印刷してもらい、それを行政側で読み取ることで入力業務を簡素化する。行政の作業効率化に寄与する ことから、料金は行政がサブスクモデルで支払う。

Pickles by Horizon Illumination Lab Optics(北海道札幌市)【優秀賞・NoMaps 実行委員長賞】【特別賞:NEDO TCP(Technology Commercialization Program)賞】

国内で1万症例、世界に患者が7万人いるとされる慢性骨髄性白血病(CML)は、異常な遺伝子(BCR-ABL 融合遺伝子)からつくられるタンパク質が白血病細胞を増殖させて生じることがわかっている。一般的に、この種類の白血病の治療には当該のタンパク質の生成を抑える分子標的治療目的でダサチニブ、ニロチニブ、イマチニブなどの5種類の抑制薬が存在するが、どのような患者や症状にどの薬を処方すべきか効能が期待できるか明確な基準が無い。この状況には CML 患者も血液内科医からも不満の声が上がっている。

Horizon Illumination Lab Optics の開発した光診断薬「Pickles」は、BCR-ABL 活性を測定できるバイオセンサーだ。Pickles 遺伝子を導入した検体に候補となる抑制薬で処理を行うと、顕微鏡で見た際に赤く見える検体が青く変化し薬剤応答が確認できる(薬剤の効果がない場合は青く変化しない)。CML 細胞一つひとつの薬剤応答を見える化することができ、薬を処方する前の段階での効果の予測、副作用による薬の変更、休薬やジェネリック薬への変更などを医師が判断しやすくする。癌治療への応用も可。

<参考文献>

エアシェア(北海道帯広市)【優秀賞・NoMaps 実行委員長賞】【特別賞:NICT 賞(起業家万博全国イベント、北海道地区代表)】

エアシェアは、旅行者と航空機オーナーとパイロットを Web 上でマッチングするサービスだ。旅行者は、完全オーダーメードの遊覧飛行や区間を直接結ぶ移動手段、オーナーにとっては遊休時の資産運用や節税対策、パイロットにとっては官公庁や航空会社に勤める以外でのプロとしての収入確保の手段が獲得できる。

パイロットとオーナーはそれぞれ、自由に金額を設定・提示することができる。旅行者からのオファーがマッチングすると、パイロットとの間でチャットボックスが開設され、例えば「自分の家の上を飛んでほしい」といった詳細なオーダーも可能だ。10月現在、飛行機8機、ヘリコプタ15機、パイロット27人が登録している。国土交通省から、適法性と安全対策を認めた承認を受けている。

類似したサービスとしては、アメリカの AeroBlackBird(今年2月、Surf Air により買収)、国内では「Tokyo Startup Gateway」第4期に採択されデモデイで最優秀賞を獲得した「OpenSky」などがある。

<関連記事>

MIJ labo(北海道帯広市)【審査員特別賞】

環太平洋地域においては、牛肉は切開され枝肉の形で格付けされ取引されている。この格付け作業は目視で行うため格付けする人によって個人差があり、格付けデータは紙に記され画像を伴わないため、整理をするには必ず現場に出向く必要がある。また、データが紙であるため、格付け・取引後の流通業への仕分け作業にも時間がかかっているのが現状だ。

帯広畜産大学発のスタートアップ MIJ Labo では、枝肉の撮影画像をクラウドへアップロード、画像解析により 牛肉の質を客観的に評価するシステムを開発した。ホクレンらとリモート競りシステムを試験運用中で、国内の 県畜産研究所や海外の格付認定機関でも利用されている。将来はブロックチェーンを活用した、輸出拡大につながるEC プラットフォームへの応用にも期待される。

<参考文献>

DeVine(北海道札幌市)【審査員特別賞】

犬や猫を飼う世帯が増えるにつれ、その周辺のペット関連市場にも変化が現れ始めている。こうした中で、特に伸びを示しているのが動物医療や保険の分野だ。一方、動物が長生きする中で3歳以上の犬・猫の8割以上が歯周病に罹患しているとのデータがあり、中でも重症の場合は、歯根と鼻腔の間に穴ができてつながってしまう口腔鼻腔瘻になってしまう。

口腔鼻腔瘻になると口臭がひどくなり、犬・猫は呼吸が苦しくなるので治療することになるが、治療の際の抜歯後にで聞いた抜歯窩(歯茎の穴)に、人間の場合と違って、犬・猫の場合は充填剤を入れずに上皮を縫合することが多いという。これは薬事法で認められた充填剤が動物用には存在していないからだが、DeVine では北海道の未利用資源を使って、動物の歯再生医療の開発を目指す。

Fant(北海道帯広市)【審査員特別賞】

近年、日本では20代〜30代の若手ハンターは増加傾向にある。ジビエの人気もその追い風となっている。しかし、ハンターのスキルを習得するには、狩猟会などに所属し狩猟を教えて食える人を身近で見つけ実地で学ぶしかない。若手のハンターが参入する一方で、ベテランハンターが高齢などを理由に引退しており、若手とベテランの間での情報や技術の伝達は不十分な状態だ。

Fant は、ハンターのためのオンライン・オフラインコミュニティだ。いつ、どこで、何を獲ったかを他のハンターとシェアができる。狩場を知られたくないと感じるハンターがいることも事実だが、野生生物の繁殖の方が早いため、情報の共有をためらうハンターは少ないとのこと。4月にオンラインコミュニティを開設し200人以上が参加、11月からはハンターによる狩猟ガイドツアーも計画。

足うらスキャンLab(北海道札幌市)【特別賞:NEDO TCP(Technology Commercialization Program)賞】

高齢者社会において、転倒は大きな社会課題になりつつある。転倒がもたらす弊害により直接的には8,000億円、寝たきりや介護などの間接的な影響も加えると医療費は1.4兆円に達する。従来、転倒の原因は高齢化に伴う筋力の低下と考えられていたが、実際には身体の揺れに大して、足の指、特に、親指をうまく使えない調整機能の低下が大きく関係していることがわかったという。

転倒経験者は非経験者に比べ4倍再転倒しやすい。高齢者施設やジムでは、適切な対応のために、入所者や会員の将来転倒する可能性を知りたいというニーズがあったが、これまで足指の機能を客観的に評価する手段がなかった。同社の足圧測定機器を使えば、定量的定性的に足指の機能を評価できる。点数化しスマートフォンで結果を把握、適切な運動諸法につなげ転倒予防することも可能だ。

<参考文献>

MJOLNIR SPACEWORKS(北海道札幌市)【特別賞:NoMaps 賞】

衛星需要が伸びているが、一方で、これを打ち上げるロケットが少ない。2030年には、衛星の打ち上げ需要は17,000基に達すると見られるが、実際の打上げ能力は2,500基分にしか届かないと見られている。ロケットは同じ工業製品である自動車や飛行機と比べ、現在のものは大量生産に向かず、生産工程の分業化が進んでおらず、また、水素と酸素を爆発させる従来タイプのエンジンは失敗のリスクが高いためスタートアップなどの新規参入も見られにくい。

北海道大学発の MJOLNIR SPACEWORKS は、固体燃料(プラスチック)と液体酸素を使ったハイブリッドエンジンを開発。構造が簡単で原理的に爆発しないため取扱が容易で、同社では年間1万基程度を生産できるだろうと見積もる。冷戦時の軍事技術をベースとした従来型のロケットと対照的に、戦争に参加しなかった日本は、ハイブリッドエンジンの開発に長けているという。同社はハイブリッドエンジン開発に特化し、ロケット業界全体の分業徹底により業務効率化やコモディティ化を狙う。

R-Make by チームデジコン(北海道札幌市)【特別賞:NoMaps 賞】

ボルダリングにおいてはいくつかの課題がある。クライミングコースを作るセッターが不足しており、スペース やコストの問題から子供を含むさまざまな体格の人に合ったコースを用意できないこと、難易度がコース制作者 の感覚で定められるため指標が曖昧であること、配置されたクライミングホールドのうち、どのホールドが非効 率か(コースとして使われていないか)を判定しづらいなどだ。

R-Make は、クライミングコースを自動生成してくれるアプリ。コースの難易度と身長を入力すると、誰でも簡 単にコースを作成することができる。作ったコースはプロジェクターでウォールに投影し事前確認することも可 能だ。使われたホールドを記録できるので、よく使われるホールドをヒートマップ表示し効率的な運用もでき る。クライミング施設から費用を徴収する B2B2C モデルを想定。

沖縄のオープンイノベーション活性化へ、地元企業ら36組織がベンチャーフレンドリー宣言を発表

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沖縄県の官民連携産業支援機関である沖縄 IT イノベーション戦略センター(ISCO)は13日、那覇市内で記者会見を開き、沖縄ベンチャーフレンドリー宣言を発表した。13日現在、沖縄に本拠を置く地場企業を中心に36の企業や団体が賛同を表明している。大企業や既存企業とスタートアップとの連携を深化させ、オープンイノベーションの取り組みがより盛んになることを狙う。 これより先、2018年には、関西経済同友会…

「沖縄ベンチャーフレンドリー宣言」を発表する ISCO 理事長の稲垣純一氏
Image credit: ISCO

沖縄県の官民連携産業支援機関である沖縄 IT イノベーション戦略センター(ISCO)は13日、那覇市内で記者会見を開き、沖縄ベンチャーフレンドリー宣言を発表した。13日現在、沖縄に本拠を置く地場企業を中心に36の企業や団体が賛同を表明している。大企業や既存企業とスタートアップとの連携を深化させ、オープンイノベーションの取り組みがより盛んになることを狙う。

これより先、2018年には、関西経済同友会が「関西ベンチャーフレンドリー宣言」を発表。発表から2年余りが経過した現在、61の企業や団体が賛同を表明している。沖縄ベンチャーフレンドリー宣言の骨子やスキームは、先行する関西ベンチャーフレンドリー宣言のそれらと似ていて、国内のこの種の取り組みとしては二例目となる。

Image credit: ISCO

このベンチャー宣言には、オープンイノベーションに積極的であることを表明した企業や団体が一覧されており、取引・協業などの目的でこれらの企業にコンタクトしたいスタートアップは ISCO 経由で連絡を取ることができる。

ISCO では、沖縄の主力産業である「観光産業」と「情報通信産業」を掛け合わせた「リゾテック(ResorTech = Resort × Technology)」をテーマに、世界各地から先進的 IT ソリューションを集積する目的で大規模国際 IT 見本市の継続開催を計画しており、その足がかりとして今年から「ResorTech Okinawa」を開催、また「Okinawa Startup Festa」を併催している

賛同を表明した地元企業や組織の皆さん
Image credit: ISCO

「リゾテック沖縄2020」がハイブリッド開催、国内外から企業やスタートアップが集結——台湾のスタートアップハブとも連携

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沖縄県宜野湾市にある沖縄コンベンションセンターでは、10月29日〜11月1日の4日間にわたり、ResorTech Okinawa(おきなわ国際見本市)2020 と Okinawa Startup Festa 2020 が開催された。今年2月に開催されたプレ開催イベントに続き、今回は初の正式開催となり通算2回目。新型コロナウイルスの影響で、現地会場に参加するオフラインと、ネット越しにさまざまなコンテ…

Image credit: IT Innovation and Strategy Center Okinawa

沖縄県宜野湾市にある沖縄コンベンションセンターでは、10月29日〜11月1日の4日間にわたり、ResorTech Okinawa(おきなわ国際見本市)2020Okinawa Startup Festa 2020 が開催された。今年2月に開催されたプレ開催イベントに続き、今回は初の正式開催となり通算2回目。新型コロナウイルスの影響で、現地会場に参加するオフラインと、ネット越しにさまざまなコンテンツをたのしめるオンラインのハイブリッド開催となった。

Image credit: IT Innovation and Strategy Center Okinawa

ResorTech Okinawa 2020には沖縄県下はもとより本土からも42社が参加した。また、Okinawa Startup Festa 2020 は、台湾の不動産デベロッパが運営する、台北市のスタートアップハブ「Terminal C(兆基国際新創衆落)」にサブ会場を設け、台湾スタートアップも招く形でイベント運営された。ピッチイベントに参加したスタートアップは、日本国内とアジア各国からをあわせて30社。なお、ResorTech Okinawa のオンライン展示会については、11月30日まで開催されている。

Image credit: IT Innovation and Strategy Center Okinawa

ResorTech Okinawa が開催されることになった経緯については、プレ開催の際の拙稿に記してあるので、本稿では今回イベントのハイライトをお伝えする。

ResorTech Award

ResorTech Okinawa では、参加した企業やスタートアップの中から、有益性・市場性・将来性などからイノベーション度が高い技術、製品、サービスを選び表彰する ResorTech Award が授与された。

Image credit: IT Innovation and Strategy Center Okinawa

【総合グランプリ】「MujInn(ムジン)」 by ユナイテッドコーポレーションとゴールドバリュークリエーション

MujInn は、さまざまな宿泊施設でセルフチェックインができるようにするシステム。フロント業務の無人化・省人化を支援する。不動産事業部や宿泊事業部を営むユナイテッドコーポレーションと、システム開発会社であるゴールドバリュークリエーションが共同で開発した。

Image credit: United Corporation / Gold Value Creation

宿泊客には、24時間対応、現地精算、スマートロック連携、多言語チャットのほか、エントランスが無いタイプの宿泊施設にはファミリーマートでカギに相当するキーナンバーを受け渡すサービスを提供。また、運営会社に対しては、宿泊在庫を管理するサイトコントローラとの連携、宿泊施設を遠隔監視する騒音センサーとの連携、部屋割当、宿泊台帳記入、パスポート情報登録自動化を提供。

【イノベーション部門グランプリ】「ミラーコンシェルジュ」 by パシフィックハイウェイジャパンとハナムラ

コンサルファームのパシフィックハイウェイジャパンとインテリアメーカーのハナムラは、鏡にコンシェルジュを配信するクラウド対応人材配信サービス「ミラーコンシェルジュ」を開発。人が近づくと自動で顔を感知し、鏡に等身大のアバターが現れ話しかける。顔認証に加え、音声認識・言語理解・多言語対応、TV 電話機能により、あらゆる場所にコンシェルジュを配信し遠隔会話を実現。

Image credit: Pacific Highway Japan / Hanamura

プラットフォーム開発をパシフィックハイウェイジャパンが、コンテンツ制作をハナムラが担っている。住宅のインテリア空間、オフィス空間、商業建築空間、ホテル、公共施設等に多くのカスタマイズした商品を導入。男性・女性のアバターによる人に近い自然な音声で、日本語・英語・中国語に加え、オプションにより15カ国語での応対が可能。

Okinawa Startup Festa 2020: Startup Pitch Awards【JSSA 賞】

受賞チームに、日本スタートアップ支援協会(JSSA)が次回、東京や大阪で開催するミートアップへのファイナリスト参加できる賞が授与された。ミートアップでの優勝者は、JSSA が運営するファンドから2,000万円の出資を受ける権利が得られる。

Alpaca.Lab(日本・沖縄)

Alpaca.Lab は、琉球大学との共同研究により運転代行業界の最適化を図ろうとするスタートアップだ。運転代行を営む業者は全国に8,850あり、なかでも交通事情から沖縄が国内最多の数を誇る県だ。一方で、運転代行は料金が不明瞭だったり、飲食店などで呼び出してから到着するまでに30分から2時間程度を擁したり、違反行為の前歴のある業者を見つけるのが難しかったりするなど、多くの課題がある。

Image credit: IT Innovation and Strategy Center Okinawa

Alpaca.Lab の「AIRCLE(エアクル)」では、ユーザが自分の車の特徴をアプリに入力しておくことで、その車の運転に適した最適なドライバーを付近からマッチング。運転代行業者に対しては、いつどこでどのように運転代行が実施されているか、どのように売上が立っているかをもとに AI で最適なドライバー配置を提案できる仕組みを提供する。政、警察、運転代行業者などと連携し、社会的摩擦を生まないモデルを目指す。

<関連記事>

Okinawa Startup Festa 2020: Startup Pitch Awards【OIH 賞】

受賞チームに、大阪イノベーションハブ(OIH)のスタートアップ海外展開支援プログラム「OIH グローバルゲートウェイ」や OSAP(OIH Seed Acceleration Program)を通じた大企業とのマッチング機会、ピッチイベント出場の機会を提供する。

QueQ(タイ)

レストランや病院での混雑時や、遊戯施設でのアトラクション開始時刻待ちで行列を作って待つことを余儀なくされる状況の代替ソリューションとして開発された「QueQ」。事前に時間を予約する代わりに、QueQ はある場所に来て順番待ちの列を目にする人を対象に、アプリを使って「場所取りできる」ようにしている。待ち時間の間その場所を離れてアクティビティを楽しんだりできるのだ。

Image credit: IT Innovation and Strategy Center Okinawa

新型コロナウイルスの感染拡大から、さまざまなシーンで密を避けるソリューションとして、観光客への事前予約機能提供、大使館のビザ延長の対応待ちなどにも活用されるようになった。アクアビットスパイラルズのマルチペイメント機能「PayChoiice(ペイチョイス)」とも連携している。

Ubestream/環球睿視(台湾)

Ubestream(環球睿視、台湾証取:7587)は、セマンテックナレッジソリューションに基づいた AI チャットボットサービスを SaaS で提供してる。応用範囲は、バーチャル観光客ガイド、企業が問合せを受ける AI コールセンターなど多数。新型コロナウイルス感染拡大を受け、飲食業向けのインテリジェントソリューション「OMO Smart Store(智慧商店)」を開発。

Image credit: IT Innovation and Strategy Center Okinawa

OMO Smart Store の機能の一つ「非接触料理注文サービス(零接触点餐服務)」では、ユーザはモバイルや PC からオンライン注文でき、店頭でのピックアップやテイクアウトが可能になる。飲食店にとっては、仕込み作業の効率化が図られ、店舗の収益率向上にも繋がる。2019年8月に日台韓で開催された「Asia Open Data Challenge」で最優秀人気賞を受賞。

Okinawa Startup Festa 2020: Startup Pitch Awards【Fukuoka Growth Next 賞】

受賞チームに、FGN(Fukuoka Growth Next)のコワーキングスペース1年間無料権を提供。また、官民共同型スタートアップ支援施設の位置づけを生かし、福岡の行政や財界をからめた社会実装の支援を提供する。

TravelTech Lab(日本・大阪)

外国から訪日した観光客は所定の手続をすることで買い物の消費税10%相当が免税となるが、実に彼らの72.1%は免税措置を受けないまま日本を後にしている。彼らに免税措置を受けない理由を聞いてみたところ、免税手続が面倒、買い物が複数店舗に分散(1店舗で5,000円以上購入しないと免税にならない)、免税対象以外の店舗で商品を購入していることがわかったという。これらの問題を解決すべく、TravelTech Lab は、訪日外国人向けオンライン免税 IoT 宅配ロッカー「JaFun(ジャファン)」を開発した。

Image credit: IT Innovation and Strategy Center Okinawa

観光客が JaFun のモバイルアプリを使って商品を注文すると、空港やホテルに設置されたロッカーに、販売者から直接商品が届く。観光客はユーザ登録時にパスポート情報を登録しており、商品ピックアップ時に顔認証で本人確認する。すでに免税手続済であるため、観光客の追加手続は不要。免税となる消費税10%の半分に相当する5%を TravelTech Lab が受け取るビジネスモデルだ。手ぶら観光が可能になり、コロナ禍での防疫ツーリズムに貢献するとしている。

Okinawa Startup Festa 2020: Startup Pitch Awards【沖縄銀行賞】

受賞チームに、全国の地方銀行8行が毎年開催するビジネスコンテスト「X-Tech Innovation」の2020年の回において、沖縄銀行主催の沖縄地区予選への出場権を提供。

Attic Start(日本・沖縄)

Attic Start は、世界中の人々が共通の関心事や好きなことを軸に繋がることができるサービス「Paike」を開発。3月28日に仮リリースし、まもなくモバイルのネイティブアプリがリリースされる予定。世界中の人を対象にしているため UI は全て英語となっていて、ユーザが好きなことの写真をシェアし世界中から「いいね」がもらえると、どこからもらえたか世界地図上に表示される。

Image credit: IT Innovation and Strategy Center Okinawa

UC Berkeley 出身で弁護士だった創業者が、言語障壁があっても好きなことを共有できればコミュニケーションを図れることか思いたったサービス。ユーザ同士が好きなことを軸にチャットで繋がることができたり、場所や好きなことをキーに別のユーザを検索し繋がることができる。旅を促進する機能も持つが、コロナ禍であるため、現在は「好き」をテーマにオンラインミートアップを開催。

パネルセッション

イベント期間中、いくつかのパネルセッションも行われた。沖縄県知事の玉城デニー氏と台湾のデジタル担当大臣 Audrey Tang(唐鳳)氏とのセッションで、Tang 氏は「市民を信じることで、市民は信頼される行動をとる。トップダウンではなく、行政には徹底的な透明性が求められる」と語った。

Image credit: IT Innovation and Strategy Center Okinawa

星野リゾート代表取締役の星野佳路氏を招いてのセッションでは、コロナ禍において、テクノロジーを活用して観光産業がどのようにニューノーマルに適応していくべきかが論じられた。

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「Okinawa Startup Program 2020-2021」が発表、大同火災・JTB沖縄・琉球放送が加わり全8社でスタートアップ支援

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沖縄を代表する大企業が共同でスタートアップを支援するプログラム「Okinawa Startup Program」は今週、今年から来年にかけて運営・開催されるプログラムの要旨を明らかにし、参加スタートアップの募集を開始した。 2016年に琉球銀行(東証:8399)が始めたこのプログラムは、主催者に2017年から沖縄タイムス、2018年から沖縄セルラー(東証:9436)、沖縄電力(東証:9511)、日…

沖縄を代表する大企業が共同でスタートアップを支援するプログラム「Okinawa Startup Program」は今週、今年から来年にかけて運営・開催されるプログラムの要旨を明らかにし、参加スタートアップの募集を開始した。

2016年に琉球銀行(東証:8399)が始めたこのプログラムは、主催者に2017年から沖縄タイムス、2018年から沖縄セルラー(東証:9436)、沖縄電力(東証:9511)、日本トランスオーシャン航空が加わった。今年からは、沖縄の損害保険会社である大同火災JTB 沖縄琉球放送(RBC)も加わり、沖縄を代表する大企業8社が力を合わせることで、各社が持つリソースとネットワークを相互活用し、スタートアップの事業拡大に向けた支援を強化する。

このプログラムには例年、沖縄県内外はもとより、近接する韓国や台湾から日本市場進出を試みるスタートアップが参加してきた。参加スタートアップのソーシングにあたっては、STARTUP Lab LagoonFROGSアントレプレナーシップラボ沖縄の各起業家支援機関に加え、今年は韓国チェジュ革新成長センターの協力を得る(昨年は、台湾科技部が運営するスタートアップハブ Taiwan Tech Arena=台湾科技新創基地の協力を得ていた)。

このプログラムに参加するスタートアップの募集は、10月1日〜31日の間、Okinawa Startup Program の Web サイトで受け付けられ、プログラム期間中の成果を披露するデモデイは、来年2月27日に開催される予定(例年は、沖縄県恩納村の沖縄科学技術大学院大学(OIST)で開催されるが、今回はオンライン開催かオフライン開催かは未定。2019-2020 のプログラムでは、デモデイは無観客のオフライン開催となった)。

Okinawa Startup Program の過去のプログラムに参加したスタートアップ35社のうち、人材管理クラウド開発のサイダス、ソーシャル EC プラットフォーム「temite(テミテ)」を運営する EC-GAIN、貨物車両と荷主をつなぐマッチングプラットフォーム「PickGo(ピックゴー)」を運営する CBcloud、沖縄発の運転代行マッチングプラットフォーム「AIRCLE(エアクル)」を運営する Alpaca.Lab は、琉球銀行の「BOR ベンチャーファンド」から、それぞれ資金調達したことが明らかになっている。

STARTUP CITY SAPPORO、札幌周辺自治体とスタートアップをつなぐオープンイノベーションプロジェクトを開始

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「STARTUP CITY SAPPORO」は今週、さっぽろ連携中枢都市圏(札幌市、小樽市、岩見沢市、江別市、千歳市、恵庭市、北広島市、石狩市、当別町、新篠津村、南幌町、長沼町)と連携し、With/After コロナ時代の地域、行政課題をスタートアップと協働して解決するプロジェクト「Local Innovation Challenge HOKKAIDO」開始すると発表した。 募集が開始された第1期…

Image credit: Startup City Sapporo

STARTUP CITY SAPPORO」は今週、さっぽろ連携中枢都市圏(札幌市、小樽市、岩見沢市、江別市、千歳市、恵庭市、北広島市、石狩市、当別町、新篠津村、南幌町、長沼町)と連携し、With/After コロナ時代の地域、行政課題をスタートアップと協働して解決するプロジェクト「Local Innovation Challenge HOKKAIDO」開始すると発表した。

募集が開始された第1期では「ニューノーマル時代の新しい観光サービス」や「行政 DX の推進」など14の課題テーマへの解決策を募集。スタートアップとのマッチングや実証実験は、START UP CITY SAPPORO 事務局が支援し、国内外のスタートアップがフルオンラインでの参加することも可能だ。第1期は10月末まで募集され、審査を経て2〜3社を採択、2020年11月〜2021年3月の実施を予定している。

採択されたスタートアップには、プロジェクト支援金として最大50万円が支給されるほか、STARTUP CITY SAPPORO 事務局による実証実験のハンズオンフォロー、札幌連携中枢都市圏の関係機関との調整支援が提供される。

STARTUP CITY SAPPORO は、札幌市、さっぽろ産業振興財団、D2Garage(デジタルガレージと北海道新聞社のジョイントベンチャー)が昨年設立した、国内外のスタートアップと社会をつなぐことを目的に昨年設立されたプロジェクト。アクセラレータプログラムの「Open Network Lab HOKKAIDO」と連携するほか、札幌を舞台に開催される年次イベント「NoMaps」らも協力している。

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via STARTUP CITY SAPPORO

福岡市、スタートアップ支援で会社登記の実質完全無料化を発表

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福岡市は24日、スタートアップ支援の一環で「福岡市新規創業促進補助金」を創設したことを明らかにした。株式会社設立時に75,000円、または、合同・合名・合資会社設立時に30,000円必要となる登録免許税を補助することで、創業者の実質的負担額を無料にする。なお、会社設立に必要な定款作成や登記申請については、福岡市のスタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next」内のスタートアップカフ…

福岡市のスタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next」
Image credit: Masanori Hashimoto

福岡市は24日、スタートアップ支援の一環で「福岡市新規創業促進補助金」を創設したことを明らかにした。株式会社設立時に75,000円、または、合同・合名・合資会社設立時に30,000円必要となる登録免許税を補助することで、創業者の実質的負担額を無料にする。なお、会社設立に必要な定款作成や登記申請については、福岡市のスタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next」内のスタートアップカフェで行政書士や司法書士が無料でアドバイスに応じる。

この支援制度は、創業者が創業に必要な4つの知識(経営、財務、販路拡大、人材育成)について約1ヶ月かけて学ぶことで、登録免許税の軽減などが受けられる特定創業支援等事業を活用したもの。特定創業支援等事業では創業者が前出の登録免許税の半額軽減を受けられるが、福岡市が残りの半額をさらに補助することで実質負担額の完全無料化を実現した。募集期間は今年9月25日から来年3月31日まで。

また、福岡市は同日、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫が提供する資本性劣後ローンに対し、実質的に貸付利率の引き下げとなる利子補給事業の開始も発表している。

福岡市によれば、コロナ禍で Fukuoka Growth Next のイベントやスタートアップカフェでの創業相談がオンライン化され、創業相談の数が以前よりも4割増えた。「コロナをきっかけに、これまで温めていた Web プラットフォームサービスを事業化したい」「コロナで大学に行けないのでアプリ作りにチャレンジしたい」など、時世を反映した相談が多数寄せられるようになったという。この難局を勝機に転じるべく、起業家を後押ししようというのが福岡市の狙いだ。

竹内啓人氏

九州大学大学院システム生命学府に在籍し、九州大学起業部のメンバーでもある竹内啓人氏は、今回の支援制度を活用して会社設立する起業家の一人だ。仲間ら3人で脳波計を使った注意や集中の改善トレーニング事業を計画しており、前出の特定創業支援等事業を修了したところだ。現在は被験者からフィードバックをもらいつつ実証実験を重ねているフェーズにあり、今回、支援制度を活用して会社設立する意味を次のように語ってくれた。

現在は検証フェーズなので、今すぐに大きなお金が必要というフェーズではない。ただ、いろんな方に協力してもらって事業を動かし始めているので、自分たちで明確に責任を取れるようにする、という意味でも会社は必要だった。覚悟を決めてスタートしたい、というところもある。(中略)

脳科学という分野に特化しているので、すごくスケールするビジネスになるかというと難しいかもしれない。しかし、ビジネスコンテストへの出場を通じて、B 向けサービスにするとよいのではないか、など意見をもらっており、企業と組んで事業を進める機会は増えると思う。このタイミングで会社設立する意義は大きい。

新型コロナウイルスの感染拡大後、福岡市では、Withコロナ、アフターコロナを見据えたスタートアップ周辺の動きが活発化している。7月には、新型コロナがもたらす社会課題の解決を目指す実証実験「Beyond Coronavirus」採択7プロジェクトを発表。先週には、シェアサイクル「Charichari」とシェア電動キックボード「mobby」が提携し、福岡市でモビリティ事業を共同で推進することが明らかにされた。

シェアサイクル「Charichari」とシェア電動キックボード「mobby」が提携、福岡市でモビリティ事業を共同で推進

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<21日17時更新> マイクロモビリティ推進協議会に glafit は参加していないことが判明したため該当箇所削除。 シェアサイクルサービス「Charichari(チャリチャリ)」を提供する neuet と電動キックボードのシェアリングサービス「mobby(モビー)」を提供する mobby ride は18日福岡市内で記者会見を行い、福岡市を中心に共同でシェアリングモビリティ事業を推進するため提携…

左から:mobby ride 代表取締役の日向諒氏、neuet 代表取締役の家本賢太郎氏
Image credit: mobby ride / neuet

<21日17時更新> マイクロモビリティ推進協議会に glafit は参加していないことが判明したため該当箇所削除。

シェアサイクルサービス「Charichari(チャリチャリ)」を提供する neuet と電動キックボードのシェアリングサービス「mobby(モビー)」を提供する mobby ride は18日福岡市内で記者会見を行い、福岡市を中心に共同でシェアリングモビリティ事業を推進するため提携すると発表した。福岡スマートシェアサイクル事業者である Charichari と福岡市実証実験フルサポート事業の認定を受けた mobby が手を組むことで、営業展開を効率化し、消費者に対しモビリティの選択肢を増やす。長期的にはサービスの統合も目指す。

Charichari は、福岡市内を中心に自転車を使ったシェアサイクルサービスを行うスタートアップ。Charichari の前身は、メルカリ(東証:4385)が子会社ソウゾウ(2019年6月に解散)を通じて福岡市内で展開していた「メルチャリ」だが、事業撤退に伴いクララオンラインとメルカリが手を組み、メルカリから新設分割された neuet が経営を引き継いだ名古屋市内東京23区の東部でもサービスを開始し、今週には、福岡市内のセブンイレブン店舗にドック(ポート)を開設することも明らかにされた。

mobby ride は、シェア型の電動キックボードを使ったモビリティ事業を B2B(大学キャンパスや建設現場など)、B2B2C(テーマパークや公園)、B2C(公道で使うもの)で展開。一般的な電動キックボードは道交法上、原動機付け自転車と同じ扱いになるため、車道の走行やヘルメットの着用などが求められるが、10月中には警察庁の特例措置(認定事業者の車体のみ、自転車専用通行帯の走行が可能)により福岡市内で公道実証を実施する予定だ。

記者会見に臨む日向氏と家本氏
Image credit: Masaru Ikeda

福岡市で初めて、そして、おそらく日本でも初めてバイクシェアリングが登場したのは、3年前の Mobike(摩拜単車)が日本市場に参入したときのことだ。Mobike はその後、札幌市内でサービスを展開していたが、昨年、中国国外の海外事業をすべてシャットダウン。中国の O2O 大手 Meituan-Dianping(美団-点評)の買収により、中国国内でもサービス名は Meituan Bike(美団単車)に変更された(自転車のカラーは黄色)。福岡で赤い自転車と言えば、かつての Mobike から Charichari になりつつある。

Mobike の日本市場からの撤退は中国本社の財務基盤弱体化が主因だが、日本でサービス展開が難航した理由の一つは、放置自転車問題を防ぐ観点からドック開設を前提とする日本の環境要件が作用している。クララオンラインは neuet に関わる前の2017年から、バイクシェアリングに特化した調査研究事業「ShareBike Labo」や、自転車投資事業などを通じて布石を打ってきた。地元事業者との連携でドック設置箇所の確保を早期展開できたことが功を奏し、すでに累積利用回数275万回を突破した。

mobby は AnyPay のシェアモビリティ事業として昨年6月にローンチ。福岡市の実証実験フルサポート事業に採択されているのに加え、神戸市が主催するスタートアップ提案型実証実験事業「Urban Innovation KOBE+P」にも採択されている。日本国内では、mobby ride のほか、LUUP、mymerit、glafit、Lime らがマイクロモビリティ推進協議会に加わり、政府に対する規制緩和へ向けた働きかけやサンドボックスを活用して実証実験を各地で展開している。

九大発・AI病理画像診断「PidPort」開発のメドメイン、病院グループやVC複数などから11億円を調達

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病理 AI ソリューション「PidPort」や医学生向けクラウド「Medteria」を開発・提供するメドメインは24日、戦略的スキーム SPV(Special Purpose Vehicle)を活用し、11億円を調達したと発表した。ラウンドステージは明らかにされていないが、概ね、シリーズ A ラウンドとみられる。同社にとっては、2018年8月に実施した1億円の調達に続くものとなる。累積調達金額は約…

メドメインのチーム。中央が CEO の飯塚統氏。(2019年11月撮影)
Image credit: Medmain

病理 AI ソリューション「PidPort」や医学生向けクラウド「Medteria」を開発・提供するメドメインは24日、戦略的スキーム SPV(Special Purpose Vehicle)を活用し、11億円を調達したと発表した。ラウンドステージは明らかにされていないが、概ね、シリーズ A ラウンドとみられる。同社にとっては、2018年8月に実施した1億円の調達に続くものとなる。累積調達金額は約12億円。

この SPV では、Hike Ventures がメドメインの本ラウンド専用のファンドを組成、福岡和白病院グループ、国際医療福祉大学・高邦会グループ、QTnet、Hike Ventures、みらい創造機構、ディープコア、ドーガン・ベータ、名称非開示の個人投資家が参加した。ディープコアとドーガン・ベータは、前回ラウンドに続く参加。

SPV は、スタートアップにとっては、資金調達に要する期間や労力を下げられるなどのメリットがあり、近年では SmartHR がシリーズ B ラウンド調達時に利用したのが記憶に新しい。メドメインでは今回 SPV を利用した理由として、病院経営者をはじめ複数の投資家から大型の資金調達を迅速に実現するためだったとしている。

福岡和白病院グループは全国に24の医療機関と7つの医療教育機関、国際医療福祉大学・高邦会グループは全国に約60施設を持つ医療・教育・福祉のグループ。両グループの出資参画により、医療現場を巻き込んだプロダクト開発を加速する意図があるとみられる。

「PidPort の機能」
Image credit: Medmain

メドメインは今年1月、九州大学起業部から第1号として生まれたスタートアップ。同社が開発する PidPort は、ディープラーニングとメドメイン独自の画像処理技術により、スピーティーで高精度な病理診断が実現可能だ。これまで、九州大学医学部と九州大学病院の協力のもと開発を進め、スーパーコンピュータを用いて AI への高速学習を行ってきた。2018年冬にはα版、今年2月には正式版をリリースし、全国の医療機関ら50施設以上と共同研究を進めている。

医療とコンピュータビジョン(映像解析)は相性が良いとされる。数ある医療分野への適用(例えば、他には放射線画像や内視鏡画像など)の中で、同社が病理分野にフォーカスしたのは、この分野のデジタル化が特に遅れていると判断したからだ。病理診断は、医師が患者の身体から組織からを採取し、それを病理医が顕微鏡を使って確認し行う。メドメインではこのプロセスを、画像をデジタル取り込みするなどして病理医が遠隔でも診断できる環境を提供、また、取り込まれたデータは蓄積され、学習データが増えれば増えるほど、PidPort はより精緻な診断を支援できるようになる。病理医不足から来る病理診断の遅れの解消に寄与する。

「PidPort」のビューアー画像
Image credit: Medmain

医療に関わる法律の制約上、国内では現時点で研究ベースでの利用に留まっているようだが、海外では医療機器として実際の医療診断行為に活用されている。病理医が少ない国や地域では、PidPort 経由で示された患者の組織の画像をもとに、日本の病理医が現地で診断を担当する医師にコンサルテーションやアドバイスをする、といった事例も生まれているらしい。

また、新型コロナウイルスの感染拡大により、病理医もいかんせん行動が制約を受けるが、PidPort を使うことで、複数の病院を掛け持ちしがちな病理医は、移動せずにオンラインで画面越しで診断が下せるようになるため、デジタル病理が進む上で好機になっているそうだ。

メドメインでは今回調達した資金を使って、AI アルゴリズムの強化、病理組織をスキャンニングする施設の設備費用、海外展開や 国内の PidPort の AI 以外の機能(AI 部分は国内では法律上の制約から現在は研究に用途が限定されるため、特にデジタルスキャンやクラウドストレージの機能など病理診断の遠隔化に寄与する機能)の営業職の採用強化に充てるとしている。

働き方に地域という概念をなくすーーGMOペパボに「出戻った」ある社員さんのお話

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Twitterを見ていたらある投稿に目が止まった。投稿主はGMOペパボ(以下、ペパボ)の代表取締役、佐藤健太郎さんだ。なにやら地元に戻った元社員の方の再雇用が決まったようなお話で、さらに言えば、今のコロナ禍でGMOインターネットグループはいち早く働き方の改革を進めている。 どういうことが起こっているのだろうか? 新しい採用基準になったことで卒業した仲間が再びジョインしてくれました。一緒に最高のサー…

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リモート前提の働き方になったGMOペパボのオフィス(写真提供:GMOペパボ)

Twitterを見ていたらある投稿に目が止まった。投稿主はGMOペパボ(以下、ペパボ)の代表取締役、佐藤健太郎さんだ。なにやら地元に戻った元社員の方の再雇用が決まったようなお話で、さらに言えば、今のコロナ禍でGMOインターネットグループはいち早く働き方の改革を進めている。

どういうことが起こっているのだろうか?

ということで、早速健太郎さんにチャットで経緯を聞いてみた。

ーーTwitter拝見しました。現在、GMOインターネットグループは全体としても働き方の変革を実施されようとしていますが、その一環で何かよいことが起こったのでしょうか?

健太郎さん:昨年、鹿児島にオフィス作ったのですがそこはエンジニアの採用しかしてなくて、それとは別の動きとしてペパボがリモート前提になり採用基準から地域を撤廃しました。今回再入社された方は、5年ほど前にご家族の都合で鹿児島に帰られて離職されたのですが、リモートワークで働けるということで再度応募してくれたというのが経緯です。

ーー地域という概念をなくす、いいですね。GMOインターネットグループとして新しい働き方の指針が出ていますが、ペパボとしての取り組み概要ってどのようなものなのですか

健太郎さん:GMOペパボでは6月1日より、パートナー(社員)が自身のライフスタイルに合わせてQOL(生活の質)を高めながら自律的かつ生産性高く働くことを目的として、自宅などでの勤務が可能なリモートワークを基本とした体制に変更しました。業務内容など、必要に応じて各拠点のオフィスに出社することも可能としています。

また、従来のオフィス(東京、福岡、鹿児島)は、業務を行う場としてだけでなく、社内イベント開催などによるパートナー同士のコミュニケーションや、他企業・地域とのコラボレーションなど、同じ空間で時間を共有することで生まれる体験価値をこれまで以上に提供できる「場」として活用していきたいと考えています。

ーーなるほど、じゃあ今回の件もそもそも鹿児島には支社はあるが、そこに再就職したいわゆる「I・Uターン」の話題とはやはり違っていたのですね。

健太郎さん:はい、リモートワークを原則としたことで、採用における居住地の条件がなくなりました。また、これまではご家庭の事情などで居住地が変わってしまうために退職を選択せざるを得なかったパートナーも、リモートワーク体制になったことによって勤務を継続することが可能となりました。

(今回のTwitterでやりとりしていた件は)先日、ご家族のご事情で実家に帰省するため、5年前に卒業(退職)したパートナーが再入社しました。これは、今回の体制変更により毎日の「通勤」が勤務条件から撤廃されたことで実現したことで、私たちも非常に嬉しく思っています。今後は、スキルや専門性はもちろん、GMOペパボの企業理念への共感や文化とのマッチングをより重視した基準で採用活動をしていきたいと考えています。

ーーすごくいい話。一方、リモートやオフィスのそれぞれの機能や働き方が急速に検討されることによって、一般的にリモートワークは成果主義的な傾向が強くなり、特定の職種に限定されがち、という指摘が出るようになりました。こういった課題にはどのように対応をされるのでしょうか?

健太郎さん:実は私たちは数年前からいずれ訪れるであろう「新しい働き方に備える」というテーマのもと、様々な人事施策を行ってきた経緯があります。その中の一つに評価制度の刷新があるんです。会社とパートナーが持続的に成長していくことを目的に育成方針を定め、評価制度全体を1月に改定しました。

具体的には、全職種共通の等級要件を新設し、これまでの目標達成評価から等級要件をベースにした評価に変更しました。自己評価時には「なぜこの点数にふさわしいのか」について言語化することを求めており、資料は全社公開としています。

評価資料に限らず、弊社では情報のオープン化や業務の非属人化を重視しており、リモートワーク体制ではよりその重要性を感じています。社内ツールを活用し、オンラインでもしっかりとコミュニケーションをとり、情報をオープンにすることで直接的にオフィスで同じ場所と時間を共有せずとも、協働していくことができると考えています。

ーーなるほど、与える影響(離職率の低下やQOLの向上等)はどのようなものでしたか

健太郎さん:6月に実施した社内アンケートでは、リモートワーク体制について満足しているとの回答が89%、また、QOLについては85%以上のパートナーが満足しているとの回答でした。中でも、通勤時間がなくなったことにより、家族との時間や自由に使える時間が増えたという声が多く見られました。

現状は概ね満足度の高い状況ではありますが、今後も、チーム内でのコミュニケーション量が十分か、わずかな変化にも気づける体制となっているかなどマネジメント側の見直しを行っていくほか、人事でも気軽に相談などを受け付ける窓口など、引き続き取り組んでいきます。

ーーありがとうございます。参考になりました。

いかがだっただろうか。

ペパボでの取り組みで特筆すべきはやはり地域や移動の縛りがなくなったこと、そしてそれに見合った評価制度をかねてから準備してきたことがこういった結果に繋がったのだろう。件の社員の方はご家庭の事情でやむなく地元に帰ったケースだったが、地域と通勤の問題がなくなることで復職することができた。

一連の働き方の変化に対する記事でも書いたが、大切なのは働く人々の人生と仕事のバランスだ。これまではやや仕事の側の理屈で移動や場所が制限されてきた。結果、プライベートと仕事の二者択一という苦しい選択を強いる場面が多く発生していたのではないだろうか。インターネットはこの問題を解決できたはずなのだが、社会構造までは変えることができなかった。

感染症拡大がその最後の一押しになったことは悲しいきっかけかもしれないが、それでもこうやって笑顔になって仕事と人生をバランスさせる例が出てきたことは、やはり素直によいことなのだと思う。

Fukuoka Growth Next、新型コロナがもたらす社会課題の解決を目指す実証実験「Beyond Coronavirus」採択7プロジェクトを発表

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<本稿画像はいずれも Fukuoka Growth Next 配信のライブストリーミングから> 福岡市の官民協働型スタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next(FGN)」は1日、新型コロナウイルスがもたらす社会課題の解決を目指す実証実験「Beyond Coronavirus」の採択プロジェクトを発表した。 これは FGN が5月1日から募集していたもので、感染予防や健康管理、リモ…

左から:Fukuoka Growth Next 事務局長 内田雄一郎氏、福岡市長 高島宗一郎氏、福岡地域戦略推進協議会(FDC)事務局長 石丸修平氏

<本稿画像はいずれも Fukuoka Growth Next 配信のライブストリーミングから>

福岡市の官民協働型スタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next(FGN)」は1日、新型コロナウイルスがもたらす社会課題の解決を目指す実証実験「Beyond Coronavirus」の採択プロジェクトを発表した。

これは FGN が5月1日から募集していたもので、感染予防や健康管理、リモートワークの推進、子どもの教育環境向上、外出自粛中の日常生活を豊かにする With コロナプロジェクトなどの分野で日本内外から35件の応募があり、審査会を通じ7件が採択された。

採択されたプロジェクト(=スタートアップなど)には、税込最大で助成金50万円が進呈されるほか、実証実験期間中は FGN のコワーキングスペースを無償提供される。1日に FGN で開催された採択式には7プロジェクトのオーナー(スタートアップなど7社の代表)がオンラインまたはオフラインで招かれ、アイデアをピッチ形式で披露した。

スマートオペレーションサービス「aiPass」を活用した宿泊施設の新しいオペレーション構築 by クイッキン

予約・チェックイン~チェックアウトまでを最小限の接客で運用可能とするサービス「aiPass」の実証実験。業務効率化のみならず、コロナ禍における非対面・非接触かつ三密回避の実現を目指す。今回は、事前チェックインやフロントチェックイン等の利用率等を検証する。クイッキンは Open Network Lab 第20期採択。今年2月、DG ベンチャーズ、インキュベイトファンドからシード資金を調達

迷惑電話・コロナ詐欺や誤情報の防止情報基盤構築/Whoscall実証実験 by Gogolook(走著瞧)

スマホアプリ「Whoscall」を活用し、迷惑電話やオレオレ詐欺やコロナに関連した詐欺の防止を可能とするサービスの実証実験。今回は、福岡市内において、アプリをモニターに利用してもらい、迷惑電話防止のサポートにおける効果等を測定・検証する。(関連記事

映像制作の業務効率化/ AI多言語文字起こし&自動翻訳 by ユニゾンシステムズ

ファイル共有、大容量の映像データの高速伝送等で映像制作を効率化できる「Join-View」の実証実験。リモートでの映像制作や、AI活用の多言語の自動翻訳で、編集作業や海外とのコミュニケーションの負荷を低減する。今回は、福岡市と連携している海外都市等との相互の情報発信等において、その有用性を検証する。

デジタル身分証プラットフォーム「TRUSTDOCK」 by TRUSTDOCK

「デジタル身分証」やオンラインでの本人確認サービスを行うための実証実験。今回は、行政手続きのデジタル化・効率化に向けた検討を行うとともに、窓口業務等の実行プロセスにおける完遂度と満足度を検証する。TRUSTDOCK は昨年5月に STRIVE などから資金を調達

自律分散オフィス「TiNK Desk / TiNK VPO」 by tsumug


マンション等を無人運用可能な小型オフィスに転換する「TiNK Desk / TiNK VPO」で、遠隔体温検知、自動問診、手洗い判定システムを実証実験。今回は、各デバイスの運用フローを確認するとともに、連動運用し、利用者の健康チェック率、手洗い率向上等を検証する。(関連記事

多目的AIカメラサービス事業 by 九州電力 + オプティム

混雑検知やマスク装着の有無などを、1台のカメラで提供可能な多目的AIカメラサービスの実証実験。フィジカルディスタンス確保やマスク装着の注意喚起ができるようにするもの。さらなる技術向上やサービス向上のため、利用した機能のUI、利用状況、満足度等を検証する。

「タイミーデリバリー」を活用したフードデリバリーの効率化 by タイミー

スマホアプリ「タイミーデリバリー」を利用したフードデリバリーにおいての実証実験を実施。飲食店や購入者への配送料や手数料の負担の軽減を図る。今回は事業化に向けフードデリバリーの「同時配送」の実証を行い、時間当たりの注文件数・配送件数・リピート率等を検証する。タイミーは昨年10月、20億円を調達している。(関連記事


採択プロジェクトの発表に先立ち、福岡市市長の高島宗一郎氏のほか、地元 VC やスタートアップの経営者らを集めたパネルディスカッションも開かれた。新型コロナウイルスの社会の影響は小さくないものの、ことスタートアップに関しては、ピボットや経営努力などで倒産や廃業を余儀なくされた企業は今のところ皆無だと言う。事業を柔軟に変化させやすいスタートアップの強みがうまく作用しているのかもしれない。

高島氏らは東日本大震災の際に社会影響は大きかったものの、そのビフォーとアフターでイノベーションが起きるほどの大きな経済変革が起きなかったことを例に挙げ、欧米に比べると、新型コロナウイルスの犠牲者が比較的抑えられている日本では、ニューノーマル(新常態)への対応を促す風潮も一過性のものに終始する可能性があるとし、今回の機会を活用して、より意識的にイノベーションを起こす必要があることを強調した。

パネルディスカッションに参加した、九大発のバイオテックスタートアップ KAICO 代表取締役の大和建太氏は、他都市に活動拠点を置きつつもテレワークかつ副業形式で研究開発の一部を担う社員を今年8月から採用する予定で、コロナ禍にありながらも、雇用の選択肢を拡大することで事業拡大の可能性を追求していきたいと語った。