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シリーズ:進化するベンチャーキャピタル

シリーズ:進化するベンチャーキャピタル

ここ数年、スタートアップエコシステムの中におけるベンチャーキャピタルの役割が変化している。いかに資金を集め、有望な起業家を発掘するかが重要だった時代から、起業家育成や事業成長などグロース重視のフェーズへ移行しつつある。このシリーズではそのシーンを切り取ってお伝えする

MUGENLABO Magazine

シリーズ:進化するベンチャーキャピタルの話題

VCがSDGsと社会貢献に取り組むワケーー鍵はソーシャルスタートアップとの“繋がり”に

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事(前半、後半)からの要約転載。Universe編集部と同社のSDGsおよび社会貢献活動チームが共同執筆した。 グローバル・ブレイン(以下、GB)はSDGs達成・社会貢献に取り組むべく、本格的な活動を開始しました。なぜ我々ベンチャーキャピタルが取り組むのか、そしてどのように社会に貢献してい…

画像提供:ヘラルボニー・写真左から共に代表取締役の松田崇弥氏(CEO)、松田文登氏(COO)

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事(前半後半)からの要約転載。Universe編集部と同社のSDGsおよび社会貢献活動チームが共同執筆した。

グローバル・ブレイン(以下、GB)はSDGs達成・社会貢献に取り組むべく、本格的な活動を開始しました。なぜ我々ベンチャーキャピタルが取り組むのか、そしてどのように社会に貢献していくのか、これまでの活動を振り返りながら未来を語ってみたいと思います。

ヘラルボニーをご存知ですか?

ヘラルボニーは「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、福祉を起点に新たな文化を作ることを目指すソーシャルスタートアップです。

自閉症という先天性の障害のある兄を持つ双子の経営者が2018年に創業しました。経営者の二人は幼いころから兄に対する社会からの目線に疑問を抱いており、障害を敢えて個性と言い切ることで、違う視界から、違う世界を、社会に向けてプレゼンテーションするために事業を営んでいます。社会のために障害のある方を順応させるのではなく、彼等の個性のために社会が順応していく世界を目指すのがヘラルボニーの使命です。

画像提供:ヘラルボニー

現在、ヘラルボニーは約1,000点以上の知的障害のあるアーティストが描く作品と消費者を繋ぐキュレーター事業を行っています。慈善活動ではなくビジネスを通して、事業パートナーである福祉施設やアーティストの方へ対価をお支払し、互いにサステナブルな関係を構築しています。

GBの取組み

GBがソーシャル・スタートアップの支援活動を本格的に開始し始めたのは2018年からです。

当時、ソーシャルスタートアップへの面会を開始し、2019年2月にはソーシャルスタートアップや彼らを支援する方を集めたイベントを開催し、約140名の皆様にご参加いただきました。それを皮切りに、社内でも社会課題に対する認識を高めるためLGBTQに関する研修を開催するなどしていましたが、その経緯の中でヘラルボニーのみなさんともお会いしています。

ヘラルボニーの活動をお手伝いするため、昨年主催したGBAF(※)の会場でヘラルボニーの展示会を開催し、ご来場者の皆様に作品をご覧いただいたり、一部の絵画はGBでも購入しました。今後はオフィスでもお越しいただく皆様に作品をご覧いただけるよう展示する予定です(※年次開催のイベント「グローバル・ブレイン・アライアンスフォーラム」)。

ヘラルボニーの展示会の様子

社会課題を解決する「繋がりを生み出すハブ」

これまでのソーシャルスタートアップの支援活動を通じて、具体的にこの領域で必要とされていると感じるのはやはり「繋がり」です。

端的に言えば、ソーシャルスタートアップを大企業の方にご紹介して、そこで生まれる協業をひとつずつ丁寧に積み重ねていく。ステージが早いソーシャルスタートアップは信用や成長支援を必要とされています。GBはスタートアップへの投資と大企業とのオープンイノベーションの推進を長年実施してきた強みがあります。

例えば福祉施設への支援という観点では直接福祉施設に寄付をする方法もあります。しかし、GBが敢えてヘラルボニーが実施されているビジネスに沿って協業支援を行ったのは、彼らのようなスタートアップが成長し、より多くの福祉施設とのお取引が増えることこそ、エコシステム全体を持続的な活動にし得ると考えたからです。

このように今後もイベント等を通じてソーシャルスタートアップの方を支援していきたいと考えています。

私たちのネットワークやノウハウを活かし、かつ大企業のお力をお借りしながらステージの早いソーシャルスタートアップの認知度や信用度の向上、そしてソーシャルスタートアップが大企業との協業の機会を得ることが、このエコシステムを正しく継続的に維持することに繋がると考えています。

画像提供:ヘラルボニー

また、GBの社内では定期的にSDGsやそれぞれの社会課題について学ぶ機会を今後設けることで、社内でのより活発な啓蒙活動を実施していきます。その活動の中では、日々接しているスタートアップの方々のうち社会課題の解決に取り組んでいる方をお呼びし、知見の共有をしていただくことで社員の視野を広げることも計画中です。

日本のいま

世界の社会起業家900人に聞いた「社会起業家にとって最も良い国」調査(2016年)では日本は第40位です。評価項目は「政府支援」「人材確保」「事業投資の機会」「社会起業家の生活力の確保」の4点ですが、世界のGDPランキングから考えるとやはり低水準と言わざるを得ません。

GBだからできることをやる。

投資という新たなアイデアと資本をつなぎ、事業を生み出すことを手掛けてきたGBだからこそ、社会と企業、消費者、関心、こういったものをつなぎ合わせる「ハブ的役割」を担えるのではないかと考えています。次回は企業がSDGsにどう向き合うべきか、その基本的な考え方と、GBの役割をもう少し掘り下げてお伝えしたいと思います。

企業がSDGsに取り組むべき理由

池田 真隆氏:株式会社オルタナ取締役 オルタナS編集長

ベンチャーキャピタルがSDGsの達成や社会貢献を目指すとどうなるのでしょうか。その活動の方向性を語るために、先日開催したGB社内でのワークショップの様子を紹介させていただきます。

今回ご講演いただいたのは、若者による社会変革を応援するソーシャルメディア「オルタナS」池田編集長です。池田編集長の講演内容を元に、企業の社会貢献やSDGsの取り組みの潮流・将来について本記事でお伝えします。

そもそもの企業における社会貢献活動は主にCSR(Corporate Social Responsibility / 企業の社会的責任)として位置付けられてきました。最近では国連の提唱するSDGsとも結びつけられているケースも多いですが、その違いは何でしょうか。

まず、企業のCSRの歴史は古く、1920年頃に遡ります。経営管理の哲学を提唱したオリバー・シェルドン氏によりCSRの概念が生まれ、公害や労働など問題を抱えることもある企業が社会とどう向き合うべきなのか、というコンプライアンス遵守、企業活動の「ガバナンス(企業統治)」強化の一環として広がっていきました。これらはネガティブ・インパクトの最小化が目的です。また、社会貢献活動やフィランソロピーなどのポジティブ・インパクトの最大化を目的とした企業活動も行われてきました。

しかし、現在では深刻化する社会課題の解決や企業の社会責任はますます重要になり、金融庁と東証の定める「コーポレート・ガバナンス・コード」に社会・環境問題に関する持続的な活動が盛り込まれるなど、多くの企業が対応が求められるようになっています。

そこで、これからの企業のCSRは、企業価値創造を目的としたサプライチェーンを含むリスクマネジメントや行動規範などのコンプライアンス遵守の拡大や、価値創造型CSRあるいはCSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)と呼ばれる経営手法が注目されています。

資料提供:株式会社オルタナ

さて、企業への社会要請から広まったのがCSRであるのに対して、産業革命以降急激に活発化した人間活動によりリスクが増した地球環境の持続可能性のために、国際目標として生まれたのがSDGs(Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標)です。

SDGsは2001年に策定されたMDGs(ミレニアム開発目標)の後継として2015年9月の国連総会で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」における2016年から2030年までの国際目標であり、17の目標と169のターゲットで構成されています。

資料提供:株式会社オルタナ

それでは、企業は具体的にどのようにCSRやSDGsに取り掛かればよいでしょうか。近年注目を集めているのは、先ほどの価値創造型CSRに位置付けられている「アウトサイド・イン(社会課題の解決を起点にしたビジネス創出)」と呼ばれるアプローチです。つまり、今までの顧客ニーズからのマーケットインや技術シーズからのプロダクトアウト型の開発ではなく、視座をあげて社会課題やニーズから新規ビジネスを作る、という開発手法です。

資料提供:株式会社オルタナ

では、例えば環境問題に対して企業がアウトサイド・イン・アプローチを取り入れるとどのようになるのでしょうか。

近年、海をはじめとする自然環境にプラスチックが悪影響を及ぼすというニュースをしばしば目にするようになりました。私たちの身近でもゴミ袋の有料化や、ストローが再生利用可能な素材に変化するなど、社会的課題としてプラスチックの利用方法が急速に見直されています。

例えば、この領域でも先導的な活動をしているユニリーバは、2025年までにプラスチックパッケージを100%再利用可能・リサイクル可能・堆肥化可能にすることなどを含んだ「ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン」を宣言しています。

アウトサイド・イン・アプローチを通じて、パッケージ原材料を持続可能なものに切り替えるための新たな素材開発やより環境にやさしい製造工程、販売網が構築されるなど、社会課題解決そのものが新規ビジネスに繋がる可能性があります。

未来のために現在を見直すことで、社会的課題の解決に取り組むとともに新たなビジネスの創造や発展に貢献していく・・・こうした姿勢が「未来の顧客」に対する新しい商品・サービスの提供を可能にし、結果的に企業の持続的な成長に結びつくのではないでしょうか。

最後に、金融の世界でもESG投資の普及が進んでいます。ESG投資とは、財務指標に偏らず、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)を考慮した投資活動を指し、投資先である企業に対してより一層社会との対話を求める取り組みです。国内外で浸透に向けた官民の活動が加速しています。

ここまでオルタナS池田編集長のご講演を参考に、SDGsやCSR・企業の社会貢献についてまとめてきました。事業開発に取り組む大企業やスタートアップの皆さんも、未来のために現在を見直すことで、社会的課題の解決に取り組むとともに新たなビジネスの創造や発展に貢献していくことができるかもしれません。こうした姿勢を取り入れることで未来の顧客や将来世代に対する新しい商品・サービスの提供が可能となり、結果的に企業の持続的な成長や社会的インパクトにも結びつくのではないでしょうか。

GBが取り組むSDGs達成と社会貢献の考え方

最後にGBの具体的な活動内容についてご紹介します。

ベンチャーキャピタルであるGBは、起業家支援とイノベーション促進を通して、社会課題の解決と社会の発展に貢献できるよう努めてきました。ソーシャルスタートアップであるヘラルボニーとの協業では、主催イベントでの情報発信、同社の事業拡大に向けた大企業ネットワークのご紹介、GB主催のヘラルボニ―作品展示会開催等を通じて、ご支援に努めてきました。

そしてこの度、新たに「SDGs・社会貢献方針」を策定し、下記3つのテーマに関する活動を通して、SDGsの達成と社会の持続可能な成長に貢献していくことを目指していきます。

  • 社会福祉・コミュニティ支援:地域や世界が抱える問題を当事者として直視し、社会課題の解決とコミュニティの繁栄に繋がる活動を推進します。
  • 次世代育成:多様性のある将来を切り開くために、次世代を担う青少年たちのスタートアップマインド育成と成長に貢献する活動を推進します。
  • 地球環境保全:持続可能な社会実現のため、事業活動と経済活動の両立を目指し、自然環境や生物多様性の保全を支援する活動を推進します。

GBは投資家、金融エコシステムの一部という立場を活かしつつ、SDGsの視点で社会課題の解決・発展に寄与する活動を推進しています。最近では、活動を推進する社内チームも発足させ、より一層効果的に活動できるよう日々取り組んでいます。

今後は、オープンイノベーションを通じたソーシャルスタートアップ支援、次世代育成プロジェクト、環境関連の社内活動、SDGsに関わる情報発信や啓蒙活動を予定しています。こうした様々な活動を通して持続可能な社会と企業の成長の両立を目指し、一歩一歩着実に前進していきたいと思っています。

今後も引き続き、具体的な活動をお伝えしていきますので、ご覧いただければ幸いです。

ソニーがスタートアップのデザイン支援をする理由

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本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社の重富渚氏、木塚健太氏が共同執筆した。 テクノロジー系スタートアップにとって、ブランドやPR活動の重要性は年々高まっています。例えば日経BPコンサルティングが毎年実施している一般消費者6万人を対象にしたブランド価値調査「ブランド・ジャパン」の最新結…

左からソニーデザインコンサルティング福原寛重氏とグローバル・ブレイン代表取締役の百合本安彦

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社の重富渚氏、木塚健太氏が共同執筆した。

テクノロジー系スタートアップにとって、ブランドやPR活動の重要性は年々高まっています。例えば日経BPコンサルティングが毎年実施している一般消費者6万人を対象にしたブランド価値調査「ブランド・ジャパン」の最新結果によると、総合でトップを取ったのは「YouTube」、次点が「LINE」(※昨年トップはAmazon)で、インターネット・サービスが消費者の脳裏に深く焼き付いていることがわかります。

ブランドに期待される効果のひとつに「第一想起」というものがあります。ある分野のサービスを使おうとした時、消費者が真っ先に思い浮かべる認知順位のことです。PRの手法では「ソートリーダーシップ」などと呼ばれ、各社の露出戦略やストーリーづくりなどに大きく影響を与えています。

グローバル・ブレインでは、先日公表させていただいたValue Up Teamと連携した形で、スタートアップのデザインやPRを支援するプロジェクトが進んでいます。今回は2回に渡り、この活動にフォーカスしてご紹介させていただきます。

デザイン視点での経営戦略

グローバル・ブレインではソニーデザインコンサルティングと協業し、デザイン視点での経営戦略の可視化からデザイン組織のマネジメント、量産に耐えられる製品デザインまで幅広い範囲を支援する体制を構築しています。内部だけでは支援が難しい場合、外部のスペシャリストや企業と連携して事業の価値向上に貢献するケースとなります。

ブランディングやクリエイティブは会社や製品の価値を正しく伝えるための重要な手段です。具体的には(1) デザインコンサルティング、(2) デザインマネジメント、(3) デザインサービスの3テーマで支援を実施します。

まず、デザインコンサルティングです。これはデザイン視点で経営戦略の可視化を行い、デザインによる事業課題の解決・価値創造を狙うアプローチになります。目的や目標を共有可能なものとして可視化し、事業効率や意思決定を効率化させるために、ブランドコミュニケーションやクリエイティブディレクションなどを支援します。

次のデザインマネジメントでは、デザイン組織のマネジメント、デザイン評価やKPIなどのツール提供やコンサルティング、クリエイティブ人材の教育といった点を手がけます。

最後のデザインサービスはより制作現場に近いプロダクトデザインやユーザーインターフェイス、コミュニケーションデザインやグラフィックデザイン、その他デザイン業務に携わります。デザイン支援と聞くと最後の「デザインサービス」をイメージされるかもしれませんが、実際はより根源的な経営課題の解決まで伴走するのが特徴です。

ソニーデザインコンサルティングのクリエイティブディレクター福原さんは、なぜソニーがスタートアップを支援する理由について下記のように語っています。

弊社がスタートアップ支援する理由は様々ですが、事業の早い段階で『デザイン』というものが事業に対して提供できる『効用』を理解いただくことが最も重要だと考えています。デザインとは単なる表現やお絵かきではありません。ある意味では事業そのものもデザインとも言えるものだと思います。そのような視点からデザインを改めて考察いただいたり、クリエイティブに関する理解、表現の整理、こだわるべき点と力を抜くポイントなどを議論することで、事業にとってデザインが有益な効果を発揮すると考えているからです。

ファーメンステーションのケース

プログラムで手掛けた除菌ウェットティッシュのパッケージ

具体的にこの支援プログラムを受けたケースをご紹介します。ファーメンステーションは独自の発酵技術を使って未利用資源からエタノールを精製し持続可能なプロダクトを企画・開発するスタートアップです。グローバル・ブレインは2018年に投資を実行し、彼らの事業成長を支援しています。

昨今、社会におけるSDGsの気運が高まり、循環型事業を手掛けるファーメンステーションの注目度も増してきました。

そのような背景も後押しし、大手企業とのコラボレーション製品(除菌ウェットティッシュ)の開発が計画として持ち上がりました。この製品には非食用米やリンゴの搾りかすといった本来であれば捨てられてしまう「未利用資源」を活用して精製したエタノールを使用していることが特徴です。

ラボでの製造の様子

また、昨今の感染症対策の流れもあり、アルコール消毒関連製品が一般消費者にも身近な存在となっている中、事業会社などがノベルティとして除菌ウェットティッシュを配布する場面も増えてきました。そこで今回の製品にはノベルティとして配布する際に、メッセージを沿えて提供できるアイデアを盛り込むことになりました。

リンゴの搾りかす

単なる「無料の配布物」ではなく、これを企業が消費者とのコミュニケーション手段として使うことで、感染症拡大への対策であると同時に、持続可能な社会を目指すというメッセージも込めることが可能になりました。

コーポレートカルチャーにまで遡る

デザイン・プロジェクトは開始から約2カ月で成果となりました。

今回、ファーメンステーションにとっては初めてのマス向け製品のためデザインにも力を入れたく、グローバル・ブレインに相談を持ち込まれたのがはじまりです。

最初に取り組んだのはメッセージの整理です。除菌ウェットティッシュのデザインを作るにあたり、コンセプトや伝えたいことなど製品が生まれるまでの経緯をソニーデザインコンサルティングチームに共有します。

製品のデザインは会社のミッションと関連するため、会社全体のミッション、ビジョン、バリューの整理と言語化から各事業を通して伝えたいことの整理・言語化までサポートを行っていただきました。ファーメンステーションではこれらの一連のサポートをコーポレートカルチャーを見直すよい機会として取り組まれました。

ファーメンステーションでプロジェクトに参加した酒井里奈さんは今回の取り組みをこう振り返ります。

「ファーメンステーションにとって初のマス向け製品でした。未利用資源から生まれた製品、という背景をどこまで積極的に伝えるパッケージにするか、何度も議論を繰り返し、デザイン案を複数いただき完成しました。こういったコンセプトの製品がこれからの時代の常識になるといいなと思っていますし、この製品が、そのきっかけになることを願っています。販売も予定しているので、是非多くの方に長く使っていただける製品にしたいと思います」。

次回はグローバル・ブレインで実施しているもうひとつのコミュニケーション戦略支援、「PR」についてお伝えします。

立ち上げ10カ月で2つの米アクセラレータ卒業ーー完全オンライン起業で学んだこと

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2020年、怒涛の勢いでサンフランシスコ・シリコンバレーで活躍し、現地でノウハウを溜めているスタートアップがいる。山田俊輔氏が率いる「Remotehour」がそれだ。 1月にサービスを立ち上げて3月にはY Combinatorの元パートナーであるDaniel Gross氏によって設立されたアクセラレータ「Pioneer」に採択。10月にはUberやRobinhoodへ出資したエンジェル投資家、Ja…

2020年、怒涛の勢いでサンフランシスコ・シリコンバレーで活躍し、現地でノウハウを溜めているスタートアップがいる。山田俊輔氏が率いる「Remotehour」がそれだ。

1月にサービスを立ち上げて3月にはY Combinatorの元パートナーであるDaniel Gross氏によって設立されたアクセラレータ「Pioneer」に採択。10月にはUberやRobinhoodへ出資したエンジェル投資家、Jason Calacanis氏が運営するアクセラレータ「LAUNCH」を卒業。

Remotehourはオープンドアな動画チャットルームサービスで、ホストはZoomのようにライブ動画ルームを持つことができ、訪問ユーザーは発行されたURLをクリックするだけで話しかけることができる。Zoomとは違い、1on1で15分ほど話すシチュエーションを想定している。現在は投資家と起業家が動画を通じて短時間チャットするシーンで活用されている。

今回は直近に卒業したLAUNCHでの経験を中心に、どんな学びがあったのかをショートインタビュー形式で聞いたのでまとめていきたい。(太字の質問は全て筆者、回答は山田氏)

Remotehour

つい先日、Jasonがやっているアクセラレータ「LAUNCH」を卒業したとお聞きしました。どうでした?

山田:コロナ禍ということもあって、全てオンライン。プログラムのオンライン化に伴って世界中から起業家が参加できるきっかけになっていたようですね。オーストラリアから参加していたり、全部で7社が参加していました。で、個人的には冗談抜きにお腹が痛くなる日々が続きましたね(笑。

具体的には?

山田:毎週木曜日に10〜20名くらいの投資家にピッチをするんですが、これがなかなかきつかったです。

緊張しそうですね、、、

山田:特にプログラム当初は全く投資家に製品の説明が刺さらないし、英語の拙さに関してはSlack経由でJasonからこっぴどく怒られてたりしていました。

ピッチはどう工夫して乗り越えたんですか?

山田:まず機能寄りの説明をやめました。LAUNCHでは「フィーチャー(特徴)ドリブン」のプレゼンは敬遠されてしまいます。ストーリーベースで説明しないと伝わりません。スタートアップの参考デックにあるような、課題解決や機能を淡々と述べる形は解像度が低いと指摘されましたね。そのため、ユーザーの物語を作るように努めました。

なるほど

山田:ピッチ動画観ていただくとわかりますが38分頃)、ユーザーがRemotehourを使う前と後で具体的にどう変化をもたらせているのかを説明しています。

確かにどの参加企業もストーリー重視ですね。

山田:良くも悪くも僕たちはメーカー(エンジニア起業家)。どうしても機能重視で考えてしまうことがあります。Jasonはユーザーからのフィードバックを受けて高速で実装できるエンジニアを好みます。LAUNCHの前に入ったアクセラレータ「Pioneer」でもそうでした。ただ、ピッチとなると話は別です。機能てんこ盛りじゃ何も伝わりません。

たとえばどんな内容を削ったりしたんですか?

山田:最初はStripeと連携させて課金機能もあるよといった説明を入れてましたが全て省きました。アピールできるほどの高いトラクションがなければ、なおさらストーリテラーになることが大事ですね。

英語に関しては?

山田:特にピッチのQ&Aがきつかったです。プログラムの後半近くまで1人でこなしていたんです。けどJasonに「デモデイまでに英語を完璧にするか、通訳を入れるかどちらかにしろ」と言われまして。。。

それは辛い、、、

山田:正直恥ずかしい意識があったんですね、通訳を入れることに関して。一人前ではないな、と。一方、Jasonはその点はかなりオープンで、通訳を入れるのは個人の問題ではなく会社のリソースと割り切っています。手配するのも創業者の力量によるものだと。自分で用意するのも能力の一つだと言われて吹っ切れたところはあります。

ある種、合理的な考えですね

山田:最終的にデモデイではQ&Aの部分だけ通訳を入れたんですが、ちゃんと手配したところは評価してくれていたようです。リソースを上手く使うのも経営者の仕事の1つなので。

Jason Calacanis氏

現地にいながらオンラインでのやりとり。正直どうですか?

山田:確かに、起業に挑戦するとしても無理してシリコンバレーに来なくても良いかなとは時々感じます。実際Remotehourはチーム運営も資金調達も全てオンラインです。他のプログラム参加企業も海外から参加していますし。現地に必ずしもいる必要のない環境にはなりつつあります。それでもここにいる価値はありますね。

というと?

山田:現地にいること自体を評価してくれるんですよ。スタート地点が日本だとやっぱりガラパゴス的な印象を持たれやすい。言語の苦戦が良い例で、英語を使う環境にないのでもし英語力がないのに日本拠点ならその時点で嫌厭されてしまいます。

わざわざ現地に行く気概を認める文化はよく聞きますよね。

山田:Jasonとは対面では一度も会ったことないですが、その点は認めてくれていると感じますね。

投資家や起業家と対面で話しながら密な情報交換することもなくなったと思うんですが、この点はどうです?

山田:ノウハウは日本でも得られますよね、英語の記事とか読めば。情報は世界中どこにいてもアクセスできますよ。ただ、自分たちにとってはJasonから直接コメントもらったりする方が圧倒的に価値の高いやりとりなんです。

現地で挑戦する本質的なヒントがその辺にありそう

山田:結局はトライアンドエラーできる環境がすぐ側にあるかないか。1を聞いたら10を反映するくらいの気合は必要だと思ってます。ここで得られるフィードバックは貴重なものだと思ってるんで、あるミーティングで得られたものを、ちゃんと何かアウトプットとして出そうっていう気持ちは結構ありますね。

ネットに落ちてる二次情報に依存しない、実験できる「場の強み」を活かせている印象持ちました

山田:結局、誰かが書いた記事のノウハウを最後まで再現して自社の成功事例にまでやりきった人はどこにいるんだろうと思うんですよね。読み止まりじゃなくて、トライアンドエラーし続けることに意味があるかな、と。で、海外で挑戦するなら日本じゃなくて断然アメリカにいる方がトライしやすいし、フィードバックループも回しやすいのは確かです、たとえ環境がオンラインになったとしても。

そしてがっつり挑戦する姿勢を認めてもらうために現地にいると

山田:そうかもしれません!

Remotehour

1つ前のアクセラレータ「Pioneer」にも軽く触れてもらって良いですか?

山田:そうですね、Pionnerでもさっきお伝えしたアウトプットの意識を鍛えられました。具体的には「Talk to userの一歩手前」を意識させられましたね。

どんなものなんです?

山田:何かというとサービス登録にどうサービスを理解してもらっているのか、どう離脱してしまうのかを観察するんです。毎週金曜に参加者同士で互いのLPを観てフィードバックし合います。サービス内容がきっちりと伝わっているのかを検証しました。これはお金を払ってでも外部の人に観察してもらってフィードバックもらうほどの価値があると感じましたね。

ありがとうございます。2つのアクセラレータ卒業して、他に気付きとかありましたか?

山田:またJasonの話で恐縮ですが、彼は嘘がほんとに嫌いなんですね。

嘘?

山田:きつい数字が出ていて、たとえサービスが全然伸びていなくても、例えば週次レポートを通じて全てを伝え続けないと信用してもらえない。自慢できるような数字じゃないけど、彼がポートフォリオ企業の現状を把握できていないといけないんですね。

その点も、オンライン環境だからこその最低限のマナーかもですね

山田:何だろう、やっぱり真実をずっと言い続けなきゃいけない気持ちになりますよね。絶対この人に嘘だけはついちゃいけないな、と。

最後に、この1年を振り返って経営者としての意識変わりました?

山田:結構ネガティブに捉えられてしまうかもしれませんが、スタートアップはデフォルトで失敗していると強く感じるようになりましたね。

その真意は?

山田:99%ほどのスタートアップは死にますし、実際創業時から資金は減り続けますよね。失敗から始まるに等しい。だからどんなに有名なアクセラレータを卒業できようと、サービスが伸び始めようと、100%完全に喜べたことが一度もないんです。常に失敗の渦中にいることが事実だと思っているので、その上でどうやったら生き残れるのかをすごく意識するようにしていますね。

スタートアップはすべからく「デフォルトで死んでいる」、と。

山田:その点は変わらない真実だと感じるので、すごく怯えている部分はあります。多分この感覚はずっと続いていくんだろうなと。だからといって失敗する気はさらさらありませんよ。死にものぐるいで生存していく方法を日々探っていく意識がとても高くなりましたね。

5年ほど前に初めてお会いした時と比べ、段違いに意識が変わったのをひしひしと感じて学びが多くありました。お時間いただきありがとうございました!

「WEIN挑戦者FUND」、インキュベーションや金融の専門会社を設立——ANGEL PORTや旧ユニバーサルバンクもグループ入り

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「WEIN 挑戦者 FUND」は、プロサッカー選手で KSK Angel Fund の運営でも知られる本田圭佑氏、FiNC Technologies 創業者で元 CEO の溝口勇児氏、ネスレ日本元 CEO の高岡浩三氏が今年5月に設立した、ウェルビーイングやオープンイノベーションに特化したスタートアップファンドだ。 同ファンドを運営する WEIN Group は11日、都内で記者会見を発表し、WE…

Image credit: Wein Group

「WEIN 挑戦者 FUND」は、プロサッカー選手で KSK Angel Fund の運営でも知られる本田圭佑氏、FiNC Technologies 創業者で元 CEO の溝口勇児氏、ネスレ日本元 CEO の高岡浩三氏が今年5月に設立した、ウェルビーイングやオープンイノベーションに特化したスタートアップファンドだ。

同ファンドを運営する WEIN Group は11日、都内で記者会見を発表し、WEIN Financial GroupWEIN Incubation Group という2つの新会社を設立したことを発表した。溝口氏によれば、実業家の渋沢栄一氏の命日に因んで、発表をこの日に選んだという。また、渋沢栄一氏が設立した第一国立銀行の設立日にちなみ、WEIN Financial Group は7月20日に設立したという。

WEIN Financial Group の共同代表には、リクルートホールディングス R&D 担当執行役員や MUFG イノベーションパートナーズの取締役副社⻑兼戦略投資部⻑を務めてきた岡本彰彦氏と、Blockchain Technologies を創業しイグジットさせた武内洸太氏が就任する。

同社では、蓄積されたノウハウ、カスタマイズ可能なシステム、投資家・起業家へのアクセスを提供。これを実現するため、起業家とエンジェル投資家をつなぐコミュニティサイト「ANGEL PORT」、株式投資型クラウドファンディング「Angelbank」を運営する Angel Funding(旧ユニバーサルバンク)、飲食店の資金調達プラットフォーム「footech」を買収したことを明らかにした。

Image credit: Wein Group

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WEIN Incubation Group の CEO には、ノーリツ鋼機の CEO として、同社を経営再建した⻄本博嗣氏が就任する。WEIN Incubation Group では、専門家による包括的成長支援、新規・共同事業立ち上げ支援、オープンイノベーションや DX(デジタルトランスフォーメーション)支援を提供する。

WEIN Group では、スタートアップ支援・起業家育成・協調投資などの点で、千葉道場、サイバーエージェント・キャピタル、East Ventures、STRIVE、デジタルベースキャピタルといった VC 各社と協力関係をとる。

また、イベントで登壇した本田圭佑氏は、KSK Angel Fund を WEIN 挑戦者 FUND にグループ入りさせることも明らかにした。KSK Angel として WEIN 挑戦者ファンドでは投資できないアーリーなスタートアップに対し、チケットサイズ100万円〜500万円で投資する。KSK Angel では、大学生・中高生を対象にビジネスアイデアを競うイベントを予定しており、大学生の優勝者1名には250万円、中高生の優勝者1名には100万円を出資する計画だ。

Image credit: Wein Group

KK Fund、経営共創基盤とアクセラレーションプログラム展開へ——東南アジアで大企業のオープンイノベーション支援

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Tech in Asia では、有料購読サービスを提供。有料記事の閲読、全記事への回数無制限閲読、5万社を超える企業データベースへの無制限アクセス、カンファレンスへの限定割引などの特典があります。詳しくはこちらから。 シンガポールを拠点とする VC ファーム KK Fund は、経営共創基盤のシンガポールブランドである IGPI Singapore と提携し、2021年初頭にアクセラレーションプロ…

Tech in Asia では、有料購読サービスを提供。有料記事の閲読、全記事への回数無制限閲読、5万社を超える企業データベースへの無制限アクセス、カンファレンスへの限定割引などの特典があります。詳しくはこちらから


シンガポールを拠点とする VC ファーム KK Fund は、経営共創基盤のシンガポールブランドである IGPI Singapore と提携し、2021年初頭にアクセラレーションプログラムを開始すると発表した。

Image credit: KK Fund

今回の提携では、3~6ヶ月間のプログラム「SEA Point」を実施し、大企業が東南アジアのスタートアップやコングロマリットと連携して新規事業を創出することを支援する。これを支援するため、KK Fund はスタートアップ支援やテクノロジー投資の経験を、IGPI Singapore は日本や東南アジアの大企業向けに企業変革の知見を提供する。

東南アジアにはスタートアップ向けのアクセラレータプログラムは数多くあるが、新事業に投資したい、あるいは、垂直統合を目的として自前のスタートアップを創出したいと考える大企業向けのプログラムは存在しない。(KK Fund ジェネラルパートナー 斎藤晃一氏)

KK Fund によれば、東南アジアには7,000万社以上の中小企業が存在するという。また、2025年にはインターネット経済の規模が3,000億米ドルに達すると予想されており、東南アジアは国際的なビジネス拡大の焦点になると見られる。今回のアクセラレーションプログラムは、特に社会インフラの整備や中小企業の連携強化において、異業種間連携や成長機会を提供することが期待される。

2015年に設立された KK Fund は、アーリーステージと東南アジアに特化したベンチャーキャピタルファンドだ。同社によると、フィンテック、物流、ヘルスケアなどの業界にまたがる20社以上のモビリティやインターネット関連のシードステージのスタートアップに投資してきたという。投資先には、家具オンライン販売の Fabelio、インシュアテックスタートアップ PolicyStreet、人材紹介プラットフォーム JobHopin などがある。

一方、2007年に東京で設立された経営共創基盤は、東京、シンガポール、ハノイ、メルボルン、上海にオフィスを構える経営コンサルタント会社だ。

【via Tech in Asia】 @Techinasia

【原文】

東大IPCが〝東大版ビズリーチ〟を開設、投資先の人材発掘・調達を支援

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東京大学協創プラットフォーム開発(東大 IPC)は19日、同社の投資先や支援先スタートアップの人材発掘や人材調達を支援するプラットフォームを開設したことを明らかにした。このプラットフォームは一般には公開されていないため、機能やインターフェイスの詳細は明らかになっていないが、東大 IPC 周辺の起業志望者、CxO 志望者、エンジニア、副業志望者などに自らのプロファイル情報を入力してもらい、スタートア…

東大 IPC のウェブサイト
Image credit: UTokyo IPC

東京大学協創プラットフォーム開発(東大 IPC)は19日、同社の投資先や支援先スタートアップの人材発掘や人材調達を支援するプラットフォームを開設したことを明らかにした。このプラットフォームは一般には公開されていないため、機能やインターフェイスの詳細は明らかになっていないが、東大 IPC 周辺の起業志望者、CxO 志望者、エンジニア、副業志望者などに自らのプロファイル情報を入力してもらい、スタートアップ側から人材にアプローチできることから、関係者間では〝東大版ビズリーチ〟と形容されているようだ。

プラットフォームの開発にあたっては、ソーシャルリクルーティングツール「DISCOVER」を開発した SI-er レぺリオが協力。また、東大 IPC は事業運営にあたり、東京大学産学協創推進本部のスタートアップ支援プログラム「東京大学 FoundX」のオンラインスクール「FoundX Online Startup School」未踏とも連携する。支援対象となるのは、東大 IPC が運営する起業支援プログラム「1st Round」から輩出されたスタートアップ。なお、1st Round 第4期参加を希望するスタートアップが募集されている(応募締切は11月25日)。

日本では、VC がスタートアップの人材調達を支援する動きが活発化しつつある。アマテラスは、VC 向けに出資先スタートアップのリクルーティングが可能となる新サービス「VC テラス」を提供。また、インキュベイトファンドは、投資先向けの採用支援 SaaS「TalentCloud」を活用した「IF Talent Network」を運営している。グローバル・ブレインは昨年、採用支援子会社「GBHR」を設立し、投資先の人材調達を支援している。近年、アメリカでは多くのシード VC が出資先スタートアップを支援する HR 担当者を社内に置くようになっている

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アプリコット・ベンチャーズとSpready、創業期スタートアップのユーザヒアリングを支援

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アプリコット・ベンチャーズは1日、組織と人をつなぐ SNS を運営する Spready の協力を得て、創業準備中や創業期の起業家向けにユーザヒアリング支援プログラム「DIVE supported by Spready(以下、DIVE と略す)」を提供すると発表した。最大3社の採択社に対し、1ヶ月間のユーザヒアリング候補先の紹介とサポートプログラムを提供する。 アプリコット・ベンチャーズでは、これま…

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アプリコット・ベンチャーズは1日、組織と人をつなぐ SNS を運営する Spready の協力を得て、創業準備中や創業期の起業家向けにユーザヒアリング支援プログラム「DIVE supported by Spready(以下、DIVE と略す)」を提供すると発表した。最大3社の採択社に対し、1ヶ月間のユーザヒアリング候補先の紹介とサポートプログラムを提供する。

アプリコット・ベンチャーズでは、これまでにも「FLAP」のような起業家支援プログラムを運営しているが、同プログラムに参加する起業家などにどのような支援が欲しいかをヒアリングしたところ、ユーザのヒアリング機会の提供の声が多かった。同社では社内ネットワークに加え、3,000人の登録者を持つ Spready に協力を求め、DIVE を展開することとなった。

VC やアクセラレータのスタートアップ支援内容が多様化する中で、ユーザヒアリングの支援をメニューに加える事例は海外でも散見されるようになった。ユーザヒアリングは初期にあるスタートアップのプロダクトマーケットフィット(PMF)に重要な役割を果たすだけでなく、参加したユーザはクローズドでのβ運用期のユーザになってくれる可能性も高く貴重な存在だ。

募集の対象となるのは、法人設立後6ヶ月以内か、今後6ヶ月以内に法人設立を予定しているスタートアップで、エクイティによる資金調達をしていない IT 関連んスタートアップが対象。また、必須条件ではないが、簡易的な提案資料やサービス紹介ページ、デモプロダクトのいずれかを用意していることが望ましいとしている。今月19日まで募集され、ヒアリング実施は11月の1ヶ月間。

アプリコット・ベンチャーズは DIVE の実施にあたり、採択されたスタートアップに対して、投資を受けることの是非や他プログラムへの参加は求めない。また、アプリコット・ベンチャーズと Spready は、DIVE のサービスを採択スタートアップに対して完全無償で提供する。サービス立ち上げ時のユーザヒアリングに Spready が使われた事例としては、飲食店〜サプライヤーマッチングのクロスマートなどがある。

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ソフトウェア系特化ファンドのMIRAISE、リモート常時接続「Remotehour」を使ったアポ無しオフィスアワーを開始

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シード期のソフトウェア系スタートアップに特化したファンド MIRAISE は7日、リモート接続ツールの「Remotehour」を使ったオフィスアワー「MIRAISE HOUR」を始めることを明らかにした。MIRAISE の投資先でもある Remotehour は、Zoom と異なり、事前に話し相手とのスケジューリングする必要がなく、相手が話したい時にすぐ話しかけられるのが特徴のビデオチャットツール…

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シード期のソフトウェア系スタートアップに特化したファンド MIRAISE は7日、リモート接続ツールの「Remotehour」を使ったオフィスアワー「MIRAISE HOUR」を始めることを明らかにした。MIRAISE の投資先でもある Remotehour は、Zoom と異なり、事前に話し相手とのスケジューリングする必要がなく、相手が話したい時にすぐ話しかけられるのが特徴のビデオチャットツール。MIRAISE ではアポ無しで相談を受け付ける。

コロナ禍で直接の対面が避けられる中、スタートアップの資金調達においては、ピッチ(VC にとってはディールソース)→ デューデリジェンス → 投資契約までの一連のプロセスをオンラインで完結する「完全非接触資金調達」の事例が増えつつある。面談をビデオチャット、タームシートのやりとりを DocuSign などで行い、投資家と起業家が実際には対面したことがない事例も出てきた。

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MIRAISE ではこれまでに26社に投資を実行しているが、このうちの約3割以上は実際に起業家と対面したことがない、完全非接触での資金調達に至っているという。オフィスアワーを完全オンライン化し、事前のスケジューリングをせずに、いきなり訪問できる感覚を提供することで、コロナ禍の影響を受けにくく、時間や距離の制約にとらわれない投資機会・資金調達機会の創出を狙う。

MIRAISE HOUR は、今日を皮切りに毎週水曜日の午後3時から午後5時の間に提供。MIRAISE パートナーの岩田真一氏と、CTO の布田隆介氏が対応する。起業に興味のあるエンジニアが対象。

アメリカでは資金調達のオンライン化が進んでおり、素早い資金調達プロセスを提唱するシード VC の  ​NFX ​は9日以内の投資判断を約束している。また、複数のマイクロファンドが参加する「​Fundraise From Home​」という仕組みも始まっている。

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グローバル・ブレインが出資先グロースを支援「Value Up Team」を新設、元ピンタレスト定国氏ら牽引

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ベンチャーキャピタルのグローバル・ブレインは9月28日、支援先のグロースを目的とした支援チーム「Valu Up Team」の新設を伝えている。出資先の企業に対して、支援先のニーズに合わせる形で戦略立案・実行を手掛けるもの。テーマとしてはBiz Dev、HR、知財、PRなどの領域で支援する。支援チームには以前、ピンタレスト・ジャパンの代表取締役を努めた定国直樹氏や、メルカリでマーケティング戦略を手掛…

グローバル・ブレインが公表したValue Up Team

ベンチャーキャピタルのグローバル・ブレインは9月28日、支援先のグロースを目的とした支援チーム「Valu Up Team」の新設を伝えている。出資先の企業に対して、支援先のニーズに合わせる形で戦略立案・実行を手掛けるもの。テーマとしてはBiz Dev、HR、知財、PRなどの領域で支援する。支援チームには以前、ピンタレスト・ジャパンの代表取締役を努めた定国直樹氏や、メルカリでマーケティング戦略を手掛けた伊藤暁央氏、三陽商会で執行役員として経営戦略に携わった慎正宗氏らが牽引する。

同社代表取締役の百合本安彦氏はコメントで、再現性のある成長支援への注力とスペシャリスト登用に力を入れると語っている。

「これまでもキャピタリストが個人の知見やネットワークを活用してサポートしてきた部分はありますが、キャピタリスト自身にも得意・不得意領域があり経験も異なるため、それぞれのスタートアップが持つ課題に対して的確なサポートが必要十分にしきれないケースもありました。グローバル・ブレインでは各領域の専門性と経験を持つスペシャリストを登用し、また必要に応じて外部パートナーを活用しチームとして支援先をサポートすることで、これまでのキャピタリスト個人の支援以上の成長支援ができるようになると考えています」。

属人的ではなくプロジェクトとしてハンズオン支援するモデル(画像:グローバル・ブレイン)

複数事業の立ち上げからその営業支援、デジタルマーケティング、採用、IPO戦略、法務、知財、ファイナンス、PR、バックオフィスなど、スタートアップの成長に必要なテーマを聞き出した上で伴走する。また、採用についてはGBHRという専門法人を立ち上げており、ここと連携して支援する。

具体的な支援ケースとして同社の出資先であるアクセルスペースがあり、同社が手掛ける衛星画像提供の展開可能性のある業界や企業の特定、拡販に向けたパートナー戦略立案から提携交渉、BtoB営業実行支援などが実行された。

ここ1、2年、ベンチャーキャピタル各社は個々のキャピタリストによる属人的なハンズオンから、チーム戦に移行を続けてきた。直近でもサイバーエージェント・キャピタルやYJキャピタルがそれぞれのグループ力を活かした支援の方向性を模索したり、協業促進させるイベントを開催するなどしているし、PKSHA Technology Capitalのように、自社が持つ技術に特化した支援を展開する例も出てきている。

グローバル・ブレインの現在の体制は70名ほどで、同社によれば、これらの支援体制強化をさらに進めるほか外部のパートナーとの連携も強化するという。

インターネット最強は生まれるかーーYJキャピタルが「Zピッチ」開始、グループ各社連携を加速

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ニュースサマリ:ヤフーのCVC、YJキャピタルは9月16日、グループ企業との連携強化を目的とした取り組み「Zピッチ」の開始を伝えている。ヤフーやソフトバンク、Zホールディングスのグループ企業各社とスタートアップの協業を模索するもので、事業部の責任者や現場メンバーを対象に事業プレゼンテーションの機会を提供する。開催は非公開形式で隔週での実施が予定されている。応募は無料。事業との関連を考慮して応募内容…

YJキャピタルが以前開催していた事業提携ピッチの様子(素材提供:YJキャピタル)

ニュースサマリ:ヤフーのCVC、YJキャピタルは9月16日、グループ企業との連携強化を目的とした取り組み「Zピッチ」の開始を伝えている。ヤフーやソフトバンク、Zホールディングスのグループ企業各社とスタートアップの協業を模索するもので、事業部の責任者や現場メンバーを対象に事業プレゼンテーションの機会を提供する。開催は非公開形式で隔週での実施が予定されている。応募は無料。事業との関連を考慮して応募内容から選考される。

YJキャピタルではこれまでdelyやビジョナル(旧ビズリーチ)などへの出資を通じてグループ企業・サービスとの連携を進めてきた実績がある。選出されたスタートアップについては、具体的な事業連携の検討やYJキャピタルを通じた出資検討が実施される見込み。

話題のポイント:ここ1、2年、スタートアップエコシステムにおける投資サイドのアップデートが進んでいる印象です。独立系ベンチャーキャピタルについてはこちらの記事にまとめたように、各社ハンズオンを組織化したり、リブランディングすることでそれぞれのカラーを出すようになっています。

一方、事業系の投資を担うコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)についても同様の差別化が始まっています。KDDIは2011年からインキュベーションのプログラム「KDDI ∞ Labo」を軸にCVCファンドと直接投資をうまく使い分け、買収したソラコムを上場に向かわせる「スウィングバイ・IPO」を話題にしました。

サイバーエージェントのCVC、サイバーエージェント・キャピタル(CAC)もまた、グループのノウハウを提供する支援体制を公表したばかりですが、今回のYJキャピタルも同様の流れとみてよいでしょう。KDDIがパートナーを組む複数企業との共創、CACがグループシナジーを中心とした支援を打ち出しているのに対して、YJキャピタルはグループ会社との直接的な連携を提案しているのも差別化ポイントです。

特にヤフーは国内インターネットを牽引してきた一丁目一番地です。

PayPayを始めとするフィンテック、ヤフオク中心のコマース、メディアとしての「Yahoo! JAPAN」以外の領域も存在感を示しており、例えばグループ企業の一休(トラベル)、鳴り物入りで傘下となったZOZO(ファッション)、アスクル(小売流通)など、「無い物はない」状態を保ちつつあります。

もう一つ忘れてはならないのがLINEとの統合です。まだ詳しい時期は未定ながら、これまで弱かったコミュニケーション領域が補完されることで、領域の抜け漏れはもちろん、東・東南アジアでの展開も視野に入ってきます。アジア圏にはBAT(中国)やGrab・Gojec(東南アジア)などの強豪が力を示しており、ここにZHD・LINE連合がどのように食い込んで世界のポジションを獲得するかに注目が集まっています。

今回のZピッチは名称からもわかるように、YJキャピタル単体のピッチイベントというよりは、こういった広義でのアジア・インターネット戦争における参加窓口と考えた方がよさそうです。今日時点でのZホールディングスの時価総額は約3.2兆円で、インターネット・カンパニーとしてはエムスリー(約4.1兆円)に次ぐ規模となっています。ここを超え、アジアの巨頭たちと競り合うスタートアップが出てくるかどうか。久々に楽しみなステージが出てきました。