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特集:はじまるシン・副業

特集:はじまるシン・副業

ここ数カ月で大きく注目されるようになったある働き方がある。「副(複)業」だ。どうやら感染症拡大をきっかけに仕事を出す側・する側双方の理屈に変換があったことが主な理由のように思える。ちょっとしたお小遣い稼ぎ的な副業がどのようにポジションを変えるのか、その今を追ってみることにした。

特集:はじまるシン・副業の話題

始まるチームのSaaS化、世界のフリーランス採用3業態から見えた「チーム拡張」の手法

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載 リモートワーク社会になって1〜2か月ほど経ちました。「直接会わないと仕事しづらい」といったオフラインワークを尊重する人も、昨今の影響からZoomやSkypeを通じたオンラインワークを主体に仕事をする必要が出てきました。 物理的な距離の制約を受けなくなったことから、リモートワーカーを雇う心理的な障…

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載

リモートワーク社会になって1〜2か月ほど経ちました。「直接会わないと仕事しづらい」といったオフラインワークを尊重する人も、昨今の影響からZoomやSkypeを通じたオンラインワークを主体に仕事をする必要が出てきました。

物理的な距離の制約を受けなくなったことから、リモートワーカーを雇う心理的な障壁が下がった印象もあります。これを機に開発を外部のエンジニアに外注してみようと試みている企業さんも少なくないでしょう。

フリーランス採用プラットフォームとして利用される企業に、日本の「ランサーズ」や「クラウドワークス」、米国の「Upwork」や「Fiverr」が代表的なものとして挙げられます。彼らはいずれも企業と個人を繋ぐサービスです。

ただ、従来のフリーランス採用市場は徐々に変わりつつあります。現在までに登場した業態は大きく3つあります。

リモートで現地法人立ち上げ

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Remote」は世界中の優秀な開発者を正社員や契約社員として採用できるグローバルプラットフォームを提供。同社は2019年にサンフランシスコで創業し、4月22日には1,100万ドルを調達しています。

従来、企業が海外人材を雇用するプロセスは面倒なものでした。給与計算、福利厚生の提供、現地の雇用法や規制への準拠は、ほとんどの新興企業や組織にとってリスクが高すぎたり、負担が大きすぎたりします。この問題をグローバルに解決し、どの国でも誰でも雇用できるようにしたのがRemoteです。同社は給与計算、福利厚生、コンプライアンス、税金などの業務を1つのパッケージソリューションとして提供しています。

他国で合法的に人を雇用するためには、現地法人を設立し、現地の労働法を学び、現地の給与計算を行い、現地の弁護士を探して、各国法に準拠した雇用契約書を作成しなければなりません。こうしたプロセスは、リソースのある大企業しか出来ませんでしたが、リモートワークが当たり前になった今、スタートアップも手軽に仮想的な意味で現地法人を立ち上げられるプラットフォーム開発を目指しています。

グローバル人材採用市場をベースに「チーム拡張」を行えるメリットは非常に大きい印象です。Remoteは海外法人立ち上げのSaaS化に取り組んでいるとも言えるでしょう。

代理店ネットワーク

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2018年にY Combinatorのアクセラレータプログラムを卒業した「YouTeam」は、オフショア人材のマーケットプレイスを提供。同社プラットフォームは、代理店に登録している個人の開発者(および開発者に余力のある大企業)と、アウトソーシングによって自社の開発チームを追加したい企業をマッチングさせます。

YouTeamマーケットプレイスでは、代理店の開発者のプロフィールを掲載。単に代理店を通して、誰が外注チームの一員になるかという点で勝負に出るのではなく、代理店の名前のある個人と契約し、一定の期間、またはより長期のプロジェクトを契約する流れです。

代理店に登録する開発者にとっては、わざわざ次の仕事を探しながら毎回価格設定をする手間をかけずに、信頼性の高い、より面白い仕事の流れを手に入れることができます。開発業務をアウトソースしようとしている企業にとっては、評判の良いエージェンシーが提供する審査や支払い、揉め事仲介処理サービスを受けられ、極力採用リスクを減らせるようになります。

競合他社は広く2に分類されます。Upworkのようなフリーランスプラットフォームは、主に短期のプロジェクトを対象。サプライヤー推薦のプラットフォームは、エージェンシーとのマッチングを支援してくれますが、適切なチームを見つける必要がある場合には効果がありません。この点、YouTeamは長期プロジェクトを志向する開発者を見つけ、リファレンスがしっかりあるオフショアチームを素早く組める点に提供価値を置いています。

サービス開発丸投げ

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2013年にサンフランシスコで創業し、累計3260万ドルの資金調達に成功している「Gigster」。同社は世界中からフリーランスのエンジニアを雇い、プロジェクトマネージャーを付けて開発チームを自社で複数所有。顧客企業はGigsterが組成した開発チームにアプリ・ウェブサイト開発を丸投げでき、進捗管理をPMから随時報告を受けるだけの外注開発サービスを提供。世界トップクラスのオフショア開発資源に、最小コミュニケーションおよび採用コストでリーチできるのがメリットとなっています。

顧客企業の期待値に添えるように品質管理を徹底。AIがプロジェクト進捗スピードおよびマイルストーン作成をサポートし、無理・無駄のない開発進行スケジュールを引きます。従来、プロジェクト開始時に決めていた工数見積もりを、顧客からの注文情報に応じて即座にFixできるのが強みです。

従来、企業の担当者は面接をする手間や、納品物を細かくチェックするプロセスする必要があり、問題があれば発注元の責任でした。あくまで監督責任者は発注元であったからです。一方、Gigsterのモデルはこうした課題を含めて全て外注することができます。利用企業はクリエイティブな意思決定に時間を投入することができるようになりました。

話をまとめます。

Remoteは採用プロセスの簡易化と法律準拠を徹底させた新たなプラットフォームとして誕生し、YouTeamは代理店を挟むことで信頼性と評判の高いチーム組成を促進させるマッチングプラットフォームを展開しています。代理店ネットワークを構築するモデルであるため、一社代理店が加入すれば多くの開発者を同時に釣り上げることができます。Gigsterは完全開発外注プラットフォームとして機能。一切の採用ストレスをかけることなく、グローバル対応したサービス開発が可能となりました。

いずれのケースにおいて、ソフトウェアを通じて限りなくグローバル採用プロセスのハードルを下げようとしているのがポイントです。タイトルにもある通り、SaaSを通じたチーム組成に注目が集まっている印象です。

これからの時代は個人ではなく、いかに手軽に世界中の開発人材を集め、“チーム”を作れるのかが提供価値になります。冒頭でご紹介した「ランサーズ」「クラウドワークス」「Upwork」「Fiverr」のような大手プラットフォームは個人と企業とのマッチングに特化しています。が、本記事で紹介したような「チームと企業のマッチング」にサービス形態を振ったスタートアップに、おそらく数年以内にディスラプトされる可能性が高いと感じています。

今回は開発エンジニアサービスに焦点を合わせてご紹介してきましたが、マーケティングやファイナンスチームにも同様のことが言えます。近い将来、会社の組織作り・チーム構成を丸ごと完全外注するサービスも登場するかもしれません。誰もがグローバル人材の集まったスタートアップやプロジェクト部門を持てる時代もやってくるはずです。未来の働き方は「仕事探し」というよりは「チーム探し」になるかもしれません。

本稿は次世代コンピューティング時代のコミュニケーションデザイン・カンパニー「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏が手掛ける「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載。Twitterアカウントは@takashifuke。同氏はBRIDGEにて長年コラムニストとして活動し、2020年に.HUMANS社を創業した

副業でフレキシブルな働き方を提案する「Offers」、運営がEVなどから1億円調達

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  ニュースサマリ:エンジニアとデザイナーに特化した副(複)業採用プラットフォーム「Offers(オファーズ)」運営するoverflowは3月3日、East Ventures、DNX Ventures、個人投資家として名村卓氏、佐久間衡氏、永見世央氏、朝倉祐介氏、胡華氏らを引受先とする第三者割当増資の実施を公表した。ラウンドはシードで、調達した資金は1億円。 Offersはハイクラスのエ…

 

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ニュースサマリ:エンジニアとデザイナーに特化した副(複)業採用プラットフォーム「Offers(オファーズ)」運営するoverflowは3月3日、East Ventures、DNX Ventures、個人投資家として名村卓氏、佐久間衡氏、永見世央氏、朝倉祐介氏、胡華氏らを引受先とする第三者割当増資の実施を公表した。ラウンドはシードで、調達した資金は1億円。

Offersはハイクラスのエンジニア・デザイナーに特化した副(複)業プラットフォーム。仕事を求める人はソーシャルメディアとサービスを連携させ、企業からのオファー(スカウトメール)を待つ。企業側は採用候補となる対象のスキルやつながり(知っている社員が社内にいるかどうか)などを参考にオファーを出すことができる。プラットフォームの利用は月額3〜5万円で、成約時に固定の成約手数料(20万円〜)を支払う。2019年5月のα版公開以降、累計50社以上が利用しており、また登録する人材は数千人にのぼる。

話題のポイント:スタートアップPRの文脈でも時折お伝えしていますが、この特殊な起業スタイルで勝敗の行方を握るのが人材です。特にエンジニアやクリエイター系のプロフェッショナルの採用は、プロダクトそのものに影響を与えるため非常に重要な鍵を握ります。

この採用戦争とも言える状況の中で叫ばれるのが「ミスマッチを減らせ」です。

採用スライドなどが顕著な例ですが、特殊な資本政策で勝負を挑んでいるスタートアップにとって、時間の浪費は大変な損失になります。採用でもしトラブルを起こしたりした場合、プロダクトの手戻りだけでなく組織全体にも悪影響を及ぼし、貴重な時間を失うことになるからです。

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そういう意味で副業人材というのは、ある意味お試し的な時間を双方取れることから、このミスマッチを大幅に減らすことが可能です。特にプロフェッショナル人材の場合は、結果が出るまでに数カ月を要するため、万が一期待値がズレていても、プロジェクト単位でそこを修正できるからです。もちろん一般的な採用における試用期間を使う方法もありますが、やはり手続き的には煩雑です。

また、クラウドソーシングと異なり、仕事を求める側が選ぶことができません。あくまでトリガーは企業側にあり、スキルやつながりを考慮した上でオファーを出せる「非対称性」もアイデアだなと思いました。仕事を求める立場的に弱い個人であっても、求められる側であれば、ある程度の交渉は可能になります。

終身雇用という神話が崩れ、個人に委ねられる「生き方の選択範囲」がどんどん広がっています。職種を大きく変えることはなくても、仕事を一緒にやる相手が変わるのはもう当たり前の時代です。そういう中で、転職以外の選択肢が大きく広がるのは双方にとって幸せなことではないでしょうか。

つながりで仕事紹介、副業と転職のキャリアSNS「YOUTRUST」が1.1億円調達

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副業と転職のキャリアSNS「YOUTRUST」は1月30日、第三者割当増資の実施を公表した。引受先となったのはW ventures、デライト・ベンチャーズ、STRIVE、TLM、個人投資家として赤坂優氏、古川健介氏、西尾健太郎氏らが参加した。調達した資金は1億1000万円で、投資ラウンドはプレシリーズA。出資比率や払込日などの詳細は非公開。調達した資金は人材採用とプロモーションに投じられる。 同社…

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副業と転職のキャリアSNS「YOUTRUST」は1月30日、第三者割当増資の実施を公表した。引受先となったのはW ventures、デライト・ベンチャーズ、STRIVE、TLM、個人投資家として赤坂優氏、古川健介氏、西尾健太郎氏らが参加した。調達した資金は1億1000万円で、投資ラウンドはプレシリーズA。出資比率や払込日などの詳細は非公開。調達した資金は人材採用とプロモーションに投じられる。

同社の創業は2017年12月。ディー・エヌ・エーで採用業務を経験した岩崎由夏氏らが手掛ける。「友人の友人」までのつながりがある人物の副業や転職意欲が可視化されるソーシャルネットワーク「YOUTRUST」を2018年4月に公開。友人からの紹介(リファラル)の仕組みで、友人、もしくは友人の友人から転職や副業のオファーが届く。口コミ中心に利用が拡大し、ユーザー数は8,000人、導入企業は累計で180社を超える。

採用を積極化させたいビジネスサイドには有料のリクルーターアカウントが用意されており、直接スカウトすることもできる。

<参考記事>

via PR TIMES

 

三井不動産とプロトスター、サラリーマンが副業で起業準備できるアクセラレータとCxO育成プログラムを開始

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三井不動産(東証:8801)とプロトスターは25日、都内で記者会見を開き、昨年9月に発表した日本橋周辺にスタートアップを集積するプロジェクト「“E.A.S.T.”構想」の一環として、新たにコミュニティを立ち上げることを明らかにした。新しいコミュニティの名前は「Swing-By」で、募集の対象となるのは企業に所属している社会人。 Swing-By は、アクセラレータプログラム「Moonshot」と …

左から:プロトスター COO 山口豪志氏、三井不動産ベンチャー共創事業部 光村圭一郎氏、プロトスター 栗島祐介氏、三井不動産ベンチャー共創事業部 塩畑友悠氏、プロトスター CEO 前川英麿氏
Image credit: Masaru Ikeda

三井不動産(東証:8801)とプロトスターは25日、都内で記者会見を開き、昨年9月に発表した日本橋周辺にスタートアップを集積するプロジェクト「“E.A.S.T.”構想」の一環として、新たにコミュニティを立ち上げることを明らかにした。新しいコミュニティの名前は「Swing-By」で、募集の対象となるのは企業に所属している社会人。

Swing-By は、アクセラレータプログラム「Moonshot」と CxO 育成プログラム「AWAKE」の2つで構成される。それぞれの内容は、以下の通り。どちらも、ディナーミーティングを中心とした場の醸成や機会創出が主な提供内容となる。

<Moonshot> 最大10プロジェクト(チーム)を募集

  • アイデアを持つ2名以上のチームであり、チームリーダーが25歳以上であること。
  • 仲間を集め、サイドプロジェクトとして開始し、軌道に乗ったら起業または事業化する意思があること。
  • プログラム期間中(1年間)参加できること。
  • 毎月2回開催するディナーミーティングに参加できること。
  • 2ヶ月ごとの進捗共有会(オフサイトミーティングなど)に参加できること。

<AWAKE> 最大40名を募集

  • 個人の参加であること。
  • アイデアを持っていないが探している。または、仲間を探している。25歳以上であること。
  • 毎月2回開催するディナーミーティングに参加できること。
  • Moonshot プログラムへ進む意思、または、挑戦者チームに参画する意思があること。
  • 基本的には、参加本人があきらめるか、何らかのチームへの参画が決まるまでは、プログラムは卒業できない。

Moonshot と AWAKE は、共に募集受付を開始しており、締切は10月末日。11月中に選考が行われ、今月12月から2020年3月末までをプレ期間として、運用するという。なお、これらのプログラムは、プロトスターが独自に運用してきたコミュニティ兼アクセラレータの「StarBurst」とは異なるとのことで、StarBurst は今後も今まで通り継続運用される予定(ただし、StarBurst は昨年8月を最後に、公開されたデモデイは開催されていない模様)。

Image credit: Protostar

プロトスターの栗島祐介氏によれば、主に30代後半〜50歳前後の、レガシーなビジネスを経験した人が集まることを期待しているという。全米経済研究所(NBER)が昨年発表したレポートは、創業時にミドルエイジであった起業家のほうが若年層よりも成功を収める傾向にあるという調査結果を明らかにした。XTech Ventures のようなミドルエイジにフォーカスしたファンドも現れており、起業成功率の向上や潜在起業家層の掘り起こしという観点で、このようなアプローチには合点が行く。

“E.A.S.T.”構想のコアコンテンツになると見られたスタートアップイベント「E.A.S.T. RUSH 2019 Spring」は、準備する過程で一部資料が ICC パートナーズが作成したものに酷似しているとの追及を受け、イベントの中止と栗島氏の  CCO 退任を余儀なくされた。結果として、発表から約1年間にわたって、この構想に関連した動きは皆無に等しかったと言えるが、今回発表された Swing-By で事実上の仕切り直しを図るとみられる。

人がスコアで可視化される世界ーー評価する手法、その可能性をクラウドワークスに聞く

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ここ最近、個人的な興味もあって取材先で話題にしているテーマに「普遍的な人の定量的な評価」というものがある。評価型経済とか難しい概念を論じるつもりはないが、いくつかきっかけはある。 ・個人情報に紐づく金融与信スコア ・VALUやTIME BANKなどの個人評価額 ・インフルエンサーの台頭(フォロワー数) ・Uberやメルカリなど個人レーティングの流れ ・一方でKloutはサービスを閉じている などな…

ここ最近、個人的な興味もあって取材先で話題にしているテーマに「普遍的な人の定量的な評価」というものがある。評価型経済とか難しい概念を論じるつもりはないが、いくつかきっかけはある。

・個人情報に紐づく金融与信スコア
・VALUやTIME BANKなどの個人評価額
・インフルエンサーの台頭(フォロワー数)
・Uberやメルカリなど個人レーティングの流れ
・一方でKloutはサービスを閉じている

などなど。元々インターネットには個人間取引の文化があったが、それがスマートフォンによるネット接続人口の増加によって加速、細分化して、個人間送金や取引、役務提供などに拡大したことが個人を評価するきっかけに繋がっていると考えている。

一方、その評価自体の正当性についても、ブロックチェーン技術を筆頭とする「承認プロセスの将来的な変化」への期待感が各プレーヤーを突き動かしてる。実際、取材先などでこの「個人評価テクノロジー」について言葉を交わす際、ブロックチェーン技術に興味がないと回答した人はほぼ皆無だ。(最初から毛嫌いしてる人はたまに会うが)

ではこういった「個別のサービスに紐づく評価」が、絶対値として個人に付与されることはあるのだろうか?またこの「個人が定量的に評価される未来」があるとしてそれは誰がどうやって作るのだろうか?

個人的にこの疑問に最も近い解、もしくは情報を長年に渡って集めているであろう業界がクラウドソーシングやファンディング、オンデマンド・シェアリング分野のプレーヤーたちだ。中でもクラウドワークスは中期経営方針で個人の信用をスコア化した「クラウドスコア」構築を掲げている。

ということで私はまず、直近に具体的な話題のあったクラウドワークスに話を聞くことにした。取材にはクラウドワークス取締役の成田修造氏が応じてくれた。(太字の質問は全て筆者。回答は全て成田氏)

テクノロジーによる定量的な人の評価、というテーマで話を聞きたい。まず、この分野、特に金融与信については中国の事例が先行している感がある

「そうですね、例えばWeChatで有名なTencentには、4年目にして個人向け少額融資額14兆円規模の『WeBank』という事業があります。貸し倒れ率がほぼゼロだそうで、それを支えているのが与信スコアなんですが、WeChatでの返信レスポンスやどういう人と繋がっているか、そういった情報まで入れていると聞いてます。

また、ライバルのAlibabaが提供するAripayも消費を科学していて、誰がどれぐらい消費しているかこういったデータを与信に組み込んでいるそうです。このスコアがよければ海外ビザが取りやすくなるなど、インフラ化が進んでますね」。

金融方面についてはクラウドワークスも取り組みを始めている。どういう全体像を持っている

「お金の『入りと出』を中心に考えてます。今、クラウドワークスを通じて働いている方々が年間100億円近い『入り』を作っているのですが、一方で『出』の方は実態が把握できません。いつどこで何を買ってそれがどういう行動様式になるのか。ここを理解するために用意するのがクラウドマネーで準備中のウォレットサービスになります」。

ーーなるほど、クラウドワークスは三菱UFJフィナンシャル・グループの子会社Japan Digital Designと合弁で新会社を作っている。突然クラウドワークスがウォレットサービスを作ると聞いて意外に思っていたが、与信スコアに繋がる事業と考えれば納得感がある。

個人を評価する与信スコアに関連する『入り』の情報がクラウドワークス、『出』の方を新たに作るウォレットで獲得するとして、相互の連携はどのように考えているのか

「例えば買いたい商品や行きたい旅のためにいくら稼ぎたいという目標があった時に『この仕事をすれば買えますよ、行けますよ』というような導線ですね。もっと気軽に働くことができてそれが消費に繋がる。そういう世界観です」。

クラウドワークスではこれまでに信用情報は積み上げているものがある。具体的に活かしたサービスはあるのか

feecle(フィークル)という、請求書を買い取って即時かつ確実にフリーランスや中小企業に支払うサービスを開始したのですが、これも個人の与信管理が結構重要で、自社の取引以外に、SNSとかも含めた与信管理をする予定です」。

定量的なデータによる個人の信用スコアについては実現の可能性を感じた。特に仕事に直結するデータはその個人の活動量を測る上で大いに参考になる。株式公開企業が時価総額や利益で評価されるのに近い。一方で人間の活動は数値だけで判断できないものも多い。質問を続ける。

社会活動や芸術など、売上や消費などの経済活動だけで見えてこない定性的な評価をどのようにスコアにするのか

「2013年から感情報酬っていう考え方で『ありがとうボタン』を設置してます。数字的にも1000万回を突破したのですが、これがスコアに活かせないかというのは考えています。ただ、どうしても不正をしてこれを稼ぐ人も確かにいるのでその課題は残ります」。

成田氏の話ではこれとは別に、社内で独自のありがとうコイン的なものをSlackで発行できる仕組みを実験しているそうだ。大変な作業をしてくれた人に1コイン100円のチップを渡すことで、カジュアルな感情報酬のやりとりが実現しているという。

こういうP2P取引の不正についてはブロックチェーン周りの承認手法に注目が集まっている。新会社でこのテーマに取り組むのか

「これからCrypto Currencyを導入しながら人が「より良く行動するためのトークンインセンティブ」を働き方に導入していこうと考えていて、プロジェクト自体がPoS的な与信とインセンティブの設計で勝手に回っていくような仕組みについては検討したいと考えてます」。

volvoxが作ろうとしている世界観について成田氏に聞いたが、まだ構想段階ということで詳細は非公開だった。ただ、今回話題にしているスコアをブロックチェーンで第三者評価するような直球のアイデアではなさそうだ。

ここは曖昧で申し訳ないが「クラウドワークスを民主的に運営したらどうなるか」というテーマに近い印象がある。実現はもう少し先になるだろう。

さて、いかがだっただろうか。

ある程度は想定していたが、中国などの事例と同じく経済的な収入や消費、ソーシャルでの繋がり数といった定量情報が個人評価に大きく影響を与えることになるであろうことは理解できた。一方で、定性的な評価軸はまだまだこれからだ。

逆に言えばこれがなければ金持ちが評価されるというディストピアしか実現しない。この解はどのように見つかるのだろうか?

引き続き機会あれば取材を続けたい。