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特集:2019年総決算

特集:2019年総決算

国内外のスタートアップシーンも残すところあとわずか。2019年を振り返るまとめの特集コーナーです。

MUGENLABO Magazine

特集:2019年総決算の話題

2019年のAIスタートアップは266億ドル(約2.9兆円)調達、過去最高に

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CB Insightsは1月22日、世界のAI投資動向の年次調査データを発表。AIスタートアップは2019年に266億ドル(日本円で約2.9兆円)を調達し、世界中で2,200件を超える取引を行ったと報告している。 2018年の投資実績は約1,900件の取引に対して約221億ドル、2017年には合計で約168億ドルを約1,700件に対して投じているので、これらの実績と比較して記録的なものとなったこと…

AIStartupFunding

CB Insightsは1月22日、世界のAI投資動向の年次調査データを発表。AIスタートアップは2019年に266億ドル(日本円で約2.9兆円)を調達し、世界中で2,200件を超える取引を行ったと報告している。

2018年の投資実績は約1,900件の取引に対して約221億ドル、2017年には合計で約168億ドルを約1,700件に対して投じているので、これらの実績と比較して記録的なものとなったことがわかる。

CB Insightsのレポート「AI Numbers」の報告は、AIエコシステムへの投資に注目している他企業による分析と一致している。全米ベンチャーキャピタル協会は今月初め、全体的なベンチャーキャピタルの支出は昨年落ち込んだが、投資家は2019年に米国のAIスタートアップに記録的な184億ドルを費やしたと述べている。

自動運転、薬物研究、金融、顔認識技術などの分野で最高額の投資が行われており、民間投資額は700億ドルを超える。これは先月発表された「AIインデックス2019レポート」で報告されたものだ。

また「Crunchbase」は2019年のAIスタートアップの投資動向を振り返り、2019年比で投資が増加していることを同じく指摘している。一方、「Pitchbook」は2018年から2019年の間に取引規模と数の両方が減少したと報告している。

AIスタートアップ・ユニコーン数も2019年に増加した。新しいユニコーンには自動配達サービス「Nuro」とビジネス分析会社「DataRobot」が含まれる。下記はCB Insghtsのレポート内容となる。

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  • アーリーステージの取引が引き続き堅調で、取引の70%以上がアーリーステージまたはシリーズAの資金調達ラウンドに進む。
  • UiPathMegviiNuroを含む10社が1億ドルを超える資金調達ラウンドを達成。 10社すべてが中国、英国、または米国に拠点を置いている。
  • 266億ドルのうち40億ドルを占めるヘルスケアは、AIスタートアップのディールをリードしており、金融(22億ドル)、小売(15億ドル)、販売、サイバーセキュリティなどの業界がそれに続く。
  • M&Aはヘルスケア、販売、小売業界で歴代最高となった。

Plug and Play Ventures、Accel、Lightspeed Venturesなどのベンチャーキャピタル企業は、2019年に最も多くの調達取引を扱ったVCであった。コーポレートベンチャーキャピタルでは、Intel CapitalとGoogle Venturesが多くの取引を扱い、日本のSBI Investmentがそれに続いた。中国のBaidu Venturesがリストの8位にランクされ、続いてSalesforce Venturesが続く。

コーポレートベンチャーキャピタルの取引数は、近年4倍に増加。 2014年には、コーポレートベンチャーキャピタルが99件の調達案件に参加し、2019年にはGoogleやIntelなどの企業のVCが435件に参加した。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

2019年投資額は1250億円規模、中国がブロックチェーンファイナンスでトップ市場に

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1月16日に発表された報告書によると、2019年のブロックチェーン関連ファイナンスは中国と米国で活発であり、業界の取引全体の約60%を占めていたと発表された。 重視すべき理由: 昨年のグローバル市場におけるブロックチェーン関連ファイナンスの傾向は、中国市場の変化に大きく影響された。 詳細: メディアおよびコンサルタント会社「PANews」のレポートによると、昨年には653件のブロックチェーン関連の…

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Photo by Launchpresso on Pexels.com

1月16日に発表された報告書によると、2019年のブロックチェーン関連ファイナンスは中国と米国で活発であり、業界の取引全体の約60%を占めていたと発表された。

重視すべき理由: 昨年のグローバル市場におけるブロックチェーン関連ファイナンスの傾向は、中国市場の変化に大きく影響された。

詳細: メディアおよびコンサルタント会社「PANews」のレポートによると、昨年には653件のブロックチェーン関連の調達取引が行われ、約47億ドル相当の価値が新たに市場へ流れ込んだ。

  • 中国では合計191件の調達取引が発生し、ブロックチェーン関連事業への投資は11億5,000万ドル以上を占めた。なかでも中国・北京周辺の渤海地域では、96件の取引が発生し、最も多くの資金を集めた。北京は取引数が最も多く、調達規模でチャートを上回った。
  • シンガポールでは47件、インドでは19件、韓国では9件、日本では3件のブロックチェーン関連の資金調達が発生している。
  • しかし10月以降、中国当局はデジタル通貨交換を対象とした業界動向の監視を強化。これにより、同セクターへの資本増加が抑制され、2019年の第4四半期に資金の凍結が発生したと報告書は述べている。
  • 2019年後半に中国中央銀行が独自のデジタル通貨の開発を強化することを発表すると、関連企業は勢いを増した。

背景:中国・習近平国家主席は10月、ブロックチェーン開発の重要性について発言し、即座に多数の企業がブロックチェーン市場へ参入。ビットコインが増加した。 ところが、市場の急成長は、ブロックチェーン関連の違法および詐欺活動の取り締まり強化につながった。

  • 中国政府は全国的に人材採用を積極化するための政策を展開。 最近の調査では、4つの主要なブロックチェーンハブとして、渤海地域、長江デルタ地域、湖南-貴州-重慶地域、珠江デルタ地域を挙げた。

【via TechNode】 @technodechina

【原文】

 

App Storeの2019年売上387億ドル突破、Apple Newsは1億ユーザーへ

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Appleがサービス領域拡大に注力している中、同社が各種数値情報を発表した。 2019年、AppleにとってApple News +、Apple Card、Apple Arcade、Apple TV +を含む、一連の新サービス提供を開始した1年であった。「Appleの歴史におけるサービスにとって最大の年」であったと、ソフトウェアおよびサービス部門副社長のEddy Cue氏は語っている。 「私たちは…

CC BY-NC-ND 2.0: atmtx via Flickr

Appleがサービス領域拡大に注力している中、同社が各種数値情報を発表した。

2019年、AppleにとってApple News +、Apple Card、Apple Arcade、Apple TV +を含む、一連の新サービス提供を開始した1年であった。「Appleの歴史におけるサービスにとって最大の年」であったと、ソフトウェアおよびサービス部門副社長のEddy Cue氏は語っている。

「私たちは全サービスの熱狂的な顧客に対し、勢いと感謝をもってこれからの新しい10年を始めます。世界最高のクリエイター、ストーリーテラー、ジャーナリスト、開発者の仕事を称え続けていきます」とCue氏は続けた。

恒例のように、AppleはApp Storeの年間売上データを発表。iOS開発者は2008年のApp Store立ち上げ以来、1550億ドル以上を稼いでいることを明らかにした。

そのうち4分の1に相当する387.5億ドルの売上は昨年だけで発生したもの。また、ホリデー期間はApp Storeで記録的な売上を計上し、クリスマスと新年休暇の間に14億2,000万ドル、昨年より16%増加した売上を達成した。最も注目すべき点として、元日にはApp Storeで3億8,600万ドルを売り上げたことを発表している。これは昨年より20%多く、1日で売上の新記録を達成した。

加えて、AppleNewsが4つの市場 – 米国、英国、カナダ、オーストラリア – で月間1億人のユーザーを超えたことも発表。1年前の2019年第1四半期の収支報告書で発表した8,500万を大幅に上回っている。この成長の主要因は、昨年3月にカナダでApple Newsが発売されたことに起因すると言える。 なお、Appleは3月のApple Newsとサブスクリプションサービスを立ち上げているが、サブスクリプション数は発表していない。

Appleは6月にiOS 13の一部としてリリースされたApple Musicの曲合わせた歌詞表示機能が、リスナーの50%によって使用されていることを明らかにした。そして、2020年に向けてApple CardとApple Payの顧客は、ワシントンDC、深セン、広州、中国の仏山など、より多くの都市で公共交通機関の乗車料金を支払うことができるようになると発表。Apple TVアプリはLG、SonyおよびVizioスマートテレビでも利用できるようなるとも発表している。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

2019年にIPOしたスタートアップたち、利益を出せずに市場からは苦言

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スタートアップの上場に関して、2019年はそれほど悪いニュースばかりではなかった。ただ、非常にアグレッシブな上場評価が目立った一方、2018年度比で少し下降気味なのは否めない。 「Renaissance Capital」のIPOレポートによると、米国市場におけるスタートアップIPO数は、2018年の192から159に減少した。また、カテゴリー数は2018年の52から42に減少し、大半がテクノロジー…

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Above: Pinterest cofounders Ben Silbermann and Evan Sharp at the New York Stock Exchange (NYSE) in 2019. REUTERS/Brendan McDermid

スタートアップの上場に関して、2019年はそれほど悪いニュースばかりではなかった。ただ、非常にアグレッシブな上場評価が目立った一方、2018年度比で少し下降気味なのは否めない。

「Renaissance Capital」のIPOレポートによると、米国市場におけるスタートアップIPO数は、2018年の192から159に減少した。また、カテゴリー数は2018年の52から42に減少し、大半がテクノロジー部門からの上場だった。

テクノロジー部門から登場したユニコーン企業のおかげで、調達額は2018年とほぼ同じ。ハイテクIPOカテゴリでは、2018年の183億ドルに対し、2019年には219億ドルを調達した。Slackが直接上場(ダイレクトリスティング)したため、資金調達額に関しては悪くない結果と言える。

一方、大型ユニコーンらの上場が必ずしも2019年を良い年にしたわけではない。

前述の同レポートによれば、IPOトップ10位が全IPO企業の調達額460億の約半分に当たる220億ドルを調達したそうだ。しかし、こうした大型上場企業の株は市場評価で苦しんでいる。

10社のうち7社は、数十億の売り上げと大きな損失を抱えるコンシューマー向け企業でした。最終的に投資家は、非常に競争の激しい市場で実績のないビジネスモデルを持つ企業にプレミアム評価を与えることを嫌がり、10社の平均投資リターンはわずか2%でした(同レポートより)

Uber、Lyft、Slack、Pinterestなどのユニコーンが失敗したとしても、2019年のIPOは全体で20%底上げされている。これは主に業績別IPO上位10社の大半を占めている、ヘルスケアと金融IPOが牽引したおかげだ。

また、小中規模のテック企業はユニコーンよりも優れていたにも関わらず、多くの場合、バランス感に欠けたパフォーマンスが理由で、ウォールストリートからの信頼を獲得できなかった。たとえば、ハイテク株の「Motley Fool」はIPOの価格を1株当たり36ドルとし、取引の初日に72%も上昇させた後、6月に1株当たり102.30ドルに達した。ただ、そのあとは1株当たり66.64ドルで取引を終えている。

サイバーセキュリティ企業「Crowdstrike」も同様の軌跡をたどっている。 同社は、6月に1株当たり34ドルでIPOの価格を設定し、取引初日に1株当たり58ドルで取引を終了。 8月に1株当たり99.39ドルに達し、その後49.92ドルで取引を終えている。この2社は、今年デビューしたハイテク株の中でも「ジェットコースター株」の代表格だった。

Nasdaqが1年で35%以上も上昇し、Dowが約22.6%上昇していることを考慮すると、ハイテク株は2019年度、必ずしも良い結果をもたらせていない。

さて、ハイテク株のIPOはVCファンドに大きな利益をもたらしている。一方、一般の投資家らは利益を享受していない。こうした背景から、Airbnbのような注目を集める2020年のIPO予定企業に対して損失を積み重ねるだけでなく、利益を確立させる信頼が求められるようになっている。

テック企業に対する信頼の欠如を理由に、市場からの支援が滞り始めており、今後のスタートアップの上場に関して向かい風が吹いている状況が起きつつあるのだ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

 

 

ミレニアル世代の住体験にコンサルコマース、注目あつまる「世界の250社」まとめ(4/4)

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1編ではエンタープライズ、フード領域、2編ではフィンテック、教育、ギグ経済領域を見てきました。3編ではヘルスケア、メディア、トラベル市場で起きている変化を紹介しました。最終編となる本記事では、不動産、小売、モビリティに触れて、連載を締めくくりたいと思います。 エンタープライズ(1編) フード(1編) フィンテック(2編) 教育(2編) ギグ経済(2編) ヘルスケア(3編) メディア(3編) トラベ…

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1編ではエンタープライズ、フード領域、2編ではフィンテック、教育、ギグ経済領域を見てきました。3編ではヘルスケア、メディア、トラベル市場で起きている変化を紹介しました。最終編となる本記事では、不動産、小売、モビリティに触れて、連載を締めくくりたいと思います。

  • エンタープライズ(1編)
  • フード(1編)
  • フィンテック(2編)
  • 教育(2編)
  • ギグ経済(2編)
  • ヘルスケア(3編)
  • メディア(3編)
  • トラベル(3編)
  • 不動産(本編)
  • 小売(本編)
  • モビリティ(本編)

ローリスク住宅購入

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Image Credit: ZeroDown
  • Divvy」は頭金2%から自宅を購入できるサービスを提供。2017年にサンフランシスコで創業し、9月に4,300万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Singaporean sovereign wealth fund GICとLennarがラウンドに参加。
  • FlatFair」は敷金なしの会員制入居サービスを提供。2016年にロンドンで創業し、8月に1,100万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Index Venturesがリード投資を務めた。
  • Haus」は住宅の共同所有プラットフォームを運営。2015年にサンフランシスコで創業し、7月に410万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Montage Ventures、RIT Capital Partners、Tim Ferrissがラウンドに参加。
  • Landed」は教職員向け頭金レンディングサービスを提供。2015年にサンフランシスコで創業し、4月に750万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Initialized Capitalがラウンドに参加。
  • ZeroDown」は頭金なし・数年住み込み体験をして高級住宅購入できるサービスを提供。2018年にサンフランシスコで創業し、8月に1億ドルの資金調達をデッドファイナンスで実施。Goodwater Capitalがリード投資を務めた。

一軒家を購入するには多額の頭金が必要となります。そこで登場したのがイギリス発の共同オーナーシップ不動産購入サービス低所得者向け住宅ローンサービス「Divvy」。同社はクレジットスコアが著しく低い550以下の顧客を対象に、物件購入をサポート。約5万ドルから20万ドルの価格帯の物件を取り扱います。

顧客が購入希望物件の2%以上の支払いを済ませ、残りの最大98%をDivvy Homes側が負担。同社負担額は顧客が毎月返済し、最大3年をかけて物件所有権の10%に当たるまで支払いが続きます。支払い終了時には、顧客のクレジットスコアが580にまで上昇している目算で、それを超えると金融機関などからローンを組むことができます。ローン借り入れが決まれば、借り入れ額がそのままDivvyへ支払われる仕組みです。住宅購入から住宅ローン借り入れまでの橋渡しをしているのがDivvyというわけです。

似たようなコンセプトとして、イギリス発の共同オーナーシップ不動産購入サービス「Unmortgage」が挙げられます。顧客は購入金額の最低5%を支払うだけでUnmortgageと共同して住宅を購入することができます。居住者は毎月一定の賃貸料を支払い続けることで住み続けられます。賃貸に加え、Unmortgage側が負担した最大95%の住宅購入額を毎年一定額ずつ買い戻していきます。顧客の所有オーナーシップ率が100%になり次第、物件が自分のものなります。

仮に何年か住み続けた後に転居を決めた場合、所有オーナーシップ率を買い戻してもらえるのでキャッシュバックが発生します。月額賃料を支払いながら住み続けられ、気に入ったらオーナーシップを買っていく、「所有」と「共有」を橋渡しするビジネスモデルです。Unmortgageの場合はDivvyとは違い、住宅体験をサブスク化させ、かつ一軒家購入までの検討期間を顧客に持たせています。類似事例として全米トップクラスに住宅価格が高騰するサンフランシスコでの住宅購入に特化した「ZeroDown」がいます。

Divvy、Unmortgage、ZeroDownは高級商材を購入するためのブリッジとなるサービスで急成長しています。ここで注目すべき点は、なんでもレンタル/共有する時代になっていると思われがちですが、未だに「所有ニーズ」が多いに存在する点です。おそらく今後も一定の所有ニーズ層が存在し続けるはずです。こうした顧客に対し、所有のハードルを下げるような価値提供のできる、本項で紹介したようなスタートアップが活躍できるでしょう。

ミレニアル世代が求める住体験

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Image Credit: Lyric
  • Bungalow」はコリビングサービスを提供。2016年にサンフランシスコで創業し、11月に3,200万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Founders FundとCoatueが共同でリードを務め、Khosla Ventures、A-Rod Corp、Atomic VC、CAA Ventures、Cherubic Ventures、Maverick Capital、Nine Four Ventures、Wing Venturesがラウンドに参加。
  • Domio」はグループ旅行者向けにアパートホテルを提供。2016年にニューヨークで創業し、12月に1億ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。GGV Capitalがリード投資を務めた。
  • Life House」はローカルかつソーシャル志向のブランドホテルを運営。2017年にニューヨークで創業し、7月に1億ドルの資金調達をプライベートエクイティラウンドで実施。Blue Flag Partnersがラウンドに参加。
  • Lyric」はアパートのワンルームを貸し出す高級民泊サービスを提供。2014年にサンフランシスコで創業し、4月に1.6億ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Airbnbがリードを務め、Tishman Speyer、RXR Realty、Obvious Ventures、SineWave、Dick Costolo、Adam Bain、Barry Sternlicht、NEA、SignalFire、Fifth Wall Ventures、Tusk Venturesがラウンドに参加。
  • Mint House」はビジネス旅行者向けのアパート民泊サービスを提供。2017年にニューヨークで創業し、5月に1,500万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Revolution Venturesがリード投資を実施。
  • Quarters」は欧州でコリビングサービスを提供。2016年にベルリンで創業し、1月に3億ドルの資金調達を実施。Medici LivingとW5 Groupがラウンドに参加。
  • Selina」はラテンアメリカ地域を中心に若い旅行者向けの滞在拠点およびコワーキングスペースを提供。2012年にロンドンで創業し、4月に1億ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Access Industriesがリードを務め、Grupo WieseとColony Latam Partnersがラウンドに参加。
  • Sonder」は自社所有の民泊サービスを提供。2012年にサンフランシスコで創業し、7月に2.25億ドルの資金調達をシリーズDラウンドで実施。WestCap、Valor Equity Partners、Tao Capital Partnersがラウンドに参加。
  • Tripalink」は学生や若手ビジネスマン向けコリビング住居を提供。2016年にロサンゼルスで創業し、8月に1,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Calin SJG Fund、K2VC、Tekton Ventures、Oriza Venturesがラウンドに参加。
  • WhyHotel」は新築マンションを民泊として貸し出すサービスを提供。2017年にワシントンD.C.で創業し、12月に2,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Harbert Growth Partnersがリードを務め、Camber Creek、Highland Capital Partners、Working Lab Capital、Geolo Capital、Revolution’s Rise of the Rest Seed Fundがラウンドに参加。
  • Zeus」は社宅やビジネス旅行向けの民泊サービスを提供。2015年にサンフランシスコで創業し、12月に5,500万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Airbnb、Spike Ventures、Picus Captail、NFX、Initialized Capital、CEAS Investments、Alumni Ventures Groupがラウンドに参加。
  • 2nd Address」はビジネス旅行向け民泊サービスを提供。2014年にサンフランシスコで創業し、2月に1,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。GVがリードを務め、Foundation Capital とAmicus Capitalがラウンドに参加。

民泊市場では「高級ブランド志向」と「ソーシャルライフ」がキーワードになっていると感じた1年でした。まずは高級ブランド志向からお話しします。

Airbnbを筆頭に大手サービスに市場はほぼ取られてしまい、各社が次に攻めたのがアパート部屋の賃貸や自社運営の民泊拠点の貸し出しです。たとえば、Airbnbが巨額投資をしている「Lyric」が挙げられます。同社はアメニティが完備され、アプリを通じた24時間カスタマー対応付きのアパート民泊を運営。また、「WhyHotel」は空き部屋の多い新築マンションを高級アパート民泊サービスとして貸し出しています。「Sonder」は自社で物件を所有し、ネットワーク全ての部屋を自社ブランドに統一して貸し出しています。

それぞれAirbnbより比較的割高な価格帯でサービスを提供。その裏には、「高いキュレーション」が求められる市場需要が伺い知れます。部屋の管理からインテリアデザインまで、各社とも高い質を提供しています。キュレーションが求められる理由として、ネットワークビジネスでしばしば発生する、質の悪いサービス提供者に嫌気が差している一定層が存在している点が挙げられます。

この点、AirbnbはLyricに投資することで、民泊市場の低価格層から高級層まで、ほぼ全ての顧客の需要に応えようとする戦略を持っていると想像できます。ちなみに、ホテルと同等の質を求めるビジネスマンからの需要は高く、「Zeus」や「2nd Address」がビジネス層をターゲットにしています。

中長期の住居を提供するコリビングサービスでは、同世代の若者が集まる「ソーシャル要素」が鍵となっています。ブランディングの一環として、旅行者や居住者との交流は欠かせない要素となっています。しかし、コリビングスタートアップの多くがSonder同様に自社ブランドとして場所を提供しているため、Airbnbのようなネットワークモデルではなく、住宅やホテルを又貸しするWeWorkに似たビジネスモデルを採用。ただ、このモデルでは巨額のコストがのしかかるでしょう。たとえば、「Life House」のようなホテル事業者が事業者が挙げられます。

今回リスティングした企業の大半が、WeWorkの上場撤回事件が発生するまでに資金調達を完了しています。WeWorkのようにユニットエコノミクスが成立していなくとも、ミレニアル世代が求めるソーシャルやコラボレーション価値を前面に押し出すことで成長を続けられてきた、言わば“バブル勢”と捉えられます。

今後は“WeWork後”の正念場を試される立場になることは必至でしょう。又貸しモデルで調達を続けてきた民泊およびコリビング勢は、2020年以降、投資家からの厳しいファイナンスチェックが入ることは容易に想像がつきます。

リセール市場は堅調

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Image Credit: Bump
  • Bump」はストリートウェア特化のP2Pソーシャルマーケットプレイスを運営。2017年にロンドンで創業し、4月に750万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。e.venturesがリードを務め、Kleiner Perkins、Y Combinatorらがラウンドに参加。
  • Depop」は中古ファッション商品マーケットプレイスを運営。2011年にロンドンで創業し、6月に6,200万ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。General Atlanticがリードを務め、HV Holtzbrinck Ventures、Balderton Capital、Creandum、Octopus Ventures、TempoCap、KlarnaのCEO Sebastian Siemiatkowski氏がラウンドに参加。
  • Medinas」は医療機器製品の中古マーケットプレイスを運営。2017年にバークレーで創業し、10月に500万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。NFXがリードを務め、Precursor Ventures、Sound Ventures、FJ Labs、Bryan Fristがラウンドに参加。
  • thredUp」は中古服マーケットプレイスを運営。2009年にサンフランシスコで創業し、8月に1.75億ドルの資金調達をシリーズFラウンドで実施。Park West Asset Management、Irving Investors、Goldman Sachs Investment Partners、Upfront Ventures、Highland Capital Partners、Redpoint Venturesがラウンドに参加。
  • Vinted」は手数料無料の中古ファッション商品マーケットプレイスを運営。2008年にリトアニアで創業し、11月に1.28億ユーロの資金調達をシリーズEラウンドで実施。Lightspeed Venture Partnersがリードを務め、Sprints Capitalらがラウンドに参加。

thredUp」の2019年レポートによると、米国中古アパレル市場は2023年に510億ドルにまで成長すると予測されています。これは2018年の240億ドルの2倍強の規模です。また、アパレル市場と比べて中古市場は21倍も早い速度で成長しているとのこと。なかでも女性層の成長は強く、2018年に5,600万人が中古アパレル商品を購入した経験があると分析。前年度比4,400万人から大きく前進しています。市場の16%を占めるZ世代購買者は、3人に1人が今後中古品を購入したいと希望していることから、各社とも次のターゲット市場として狙いを定めています。

今回リスト入りしている中でも、「Bump」や「Depop」などのストリートファッション商品を展開するサービスはZ世代を取り込んでいる模様です。「thredUp」「TheRealReal」「Poshmark」はミレニアル世代には人気である一方、Z世代の取り込みはまだ不十分な印象です。この点、Z世代から爆発的な人気を誇る、次のアパレルリセール市場で急成長を遂げられる可能性がスタートアップに残っています。既存サービスの体験を次世代向けにアップデートするスタートアップに商機が訪れるでしょう。

レポートの中で興味深い動向として指摘されているのが、コンマリメソッドの普及。部屋を掃除して、本当に大切なものだけを残し大切に使う“Konmari”の考えがリセール市場にも広がりつつあります。コンマリした人は不用品を2次流通を利用するため市場を活性化させます。実際、Netflixでコンマリ番組が配信された直後は、要らない洋服を詰めてそのままthredUpに出品できる「Clean Out Kit」の提供数が80%上昇したとのこと。Konmariに代表される新しいコンセプトが市場を底上げしている動きは覚えておくべきかもしれません。デジタルコンテンツとリセール市場に強い導線が出来ていることがClean Out Kitの実績からわかるため、メディアの視点からもリセール市場参入を検討できそうです。

リセール市場向けプライベードブランド化の動きもあります。「Rent The Runway」は自社貸し出しサービス専用のブランドを作っており、thredUpもリセール向けの洋服ラインを構築。新しいものではなく、長くいろんな人の手に渡ることを想定して作られたファッションブランドが市場で出来つつある点が見逃せません。多くのブランドが生まれていますが、プラットフォームと連携して洋服を卸す、リセール特化ブランドが誕生してもおかしくないでしょう。

越境 × ライブコマース

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Image Credit: NTWRK
  • ShopShops」は米国の小売店舗から中国へ配信するライブコマースアプリを開発。2016年にニューヨークで創業し、7月に1,400万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Axios、Union Square Ventures、Forerunner Ventures、TCG Capitalがラウンドに参加。
  • THE NTWRK」はライブコマースアプリを開発。2018年にロサンゼルスで創業し、9月に1,000万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Foot Lockerがラウンドに参加。

単独アプリやWebサービスが欧米ライブコマース市場を制するのは厳しい印象です。大きな理由としてGAFAが本格的に動き始めたことが挙げられます。Facebookは、12月20日、ローカルコミュニティ内で中古品を売買できるフリマ機能「Marketplace」にライブコマースを実装するため、動画ショッピング機能を開発するスタートアップ「Packagd」を買収したと報じられました。Facebookは2018年、タイでライブコマース機能を試験投入していることから、米国市場で同機能を再現するとされています。

ライブコマースは中国市場で爆発的に普及しています。独身の日セールでは、AlibabaやTencent傘下のEコマースサービスで28億ドル規模のライブコマース経由の購買が行われています。一方、米国市場では中国ほどの売上を上げている印象はありません。たとえば、今では米国世帯の半数がPrime会員に加入しているとはいえ、Amazon Prime Dayにライブコマースが売上を伸ばしているといった話は聞きません。

そこで登場するのがFacebook。従来、Marketplaceはローカル特化のフリマとして成立していましたが、もしライブコマース機能が実装されれば、国が離れていたとしても個人間売買を促進できます。つまり、これまでローカルだった場所が、急にグローバルなネットワークへと成長するとっかかりを得るのです。ちなみにInstagram Liveが自社プロダクト内で競合になってしまうかと思われますが、Facebook MarketplaceとInstagramは利用シーンが大きく違うため、ユーザーの共食いをすることはないでしょう。

しかしFacebookは大きな商機を逃しています。というのも、最もライブコマースがホットな中国市場に参入しようとしても出来ないのです。このGAFAの参入障壁を狙っているのが欧米のスタートアップたち。たとえば米中をライブコマースで繋ぐ「ShopShops」や、インフルエンサーが店舗からライブ動画配信する「roctona」が挙げられます。彼らは中国市場向けに越境ビジネスを仕掛け、ライブ配信者ネットワークを構築しています。

GAFA勢の穴を埋めるように、スタートアップは成長を遂げています。日本でも「Live Shop!」などが人気ですが、仮に中国市場向けにアパレル・医薬品商品を販売するライブコマースアプリへと方向性を変えれば成長が狙えるかもしれません。ここで覚えておくべきことは、GAFAが取りこぼした大きな商機が中国顧客を前提とした越境市場に潜んでいる点です。この点を見逃さず、配信者ネットワークを世界規模で展開できた企業は、ライブコマース市場で勝ち抜けられるはずと感じます。

コンサル・コマースに注目

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Image Credit: Curated
  • Curated」はオンラインショッピングする際にアドバイスをくれる専門家とのマッチングプラットフォームを提供。2017年にサンフランシスコで創業し、10月に2,200万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Forerunnerがリード投資を務めた。
  • DesireList」はプロの意見をもとに買い物をするEコマースを運営。2015年にアトランタで創業し、3月に300万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。前McDonalds CEOのDon Thompson氏がラウンドに参加。

専門家の意見を聞きながら、最適な商品を購入するパーソナライズ体験は見逃せない動きでしょう。購買活動において、コンサルタントを雇う体験が人気です。このコンセプトは2編で紹介したパッションエコノミーと強く結び付いています。「Curated」は専門知識のある人が、お客さんと一緒に商品を選ぶ体験を提供。これは個々の強みを活かしてサービス化させるトレンドを掴んで生まれたサービスと言えます。小売市場swhパーソナライズ体験の重要性が叫ばれて久しいですが、コンサル・コマースはその解の1つを指し示しています。

シェアリング店舗の行方

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Image Credit: Neighborhood Goods
  • Bulletin」はEC事業者向けに実店舗の販売スペースをブース貸しするサービスを提供。2015年にニューヨークで創業し、7月に700万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Foundation Capital、Kleiner Perkinsらがラウンドに参加。
  • Neighborhood Goods」はブース貸しモデルのデパートを運営。2017年にダラスで創業し、9月に1,100万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Global Founders Capitalがリードを務め、Forerunner Ventures、Serena Ventures、NextGen Venture Partners、Allen Exploration、Capital Factoryらがラウンドに参加。
  • Showfields」はブース貸しモデルの体験型デパートを運営。2017年にニューヨークで創業し、2月に900万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Hanaco Venturesがリード投資を務めた。

米国スタートアップ界隈では店舗業態を販売から不動産へシフトさせる動きが始まっています。代表的な企業に「Bulletin」が挙げられます。月額2,000〜3,000ドルで店舗一画を各ブランドの販売商品の展示スペースとして割り当てる不動産事業を展開。EC事業者が手軽に一等地店舗に商品を並べる機会提供を行っています。店舗側は場所を貸し出すだけのモデルであるため、あとは簡単な商品在庫スペースだけあれば十分です。

売り場だけ確保できれば良いため、従来型の店舗と比べて1坪当たりの売上上昇に注力できます。さらに月額サブスクリプションモデルのため店舗側は一定売上が担保されます。販売売上に左右されずに一定の売上予測が可能になるのです。出店ブランド側も多額の出店費用リスクを負う必要がなくなるWin-Winの関係構築をしました。

最近では「Neighborhood Goods」や「Showfields」のように、デパート規模の大きなハコでBulletinのようなシェアリング店舗事業を展開する事例が目立ちます。また、お客さん同士の交流や、イベントにも注力した新しい娯楽施設としての側面を持たせる動きもあります。こうした動向から、ポスト2019年の店舗はシェアリング不動産事業をベースに、顧客体験を最大化させるエンタメ化が加速するように思えます。先述したデパートスタートアップが提供する体験コンテンツが、どの程度客単価を引き上げるかは未だ実験段階であるため、今後何かしらのソリューションが登場してくることが望まれます。

物流アクセス向上

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Image Credit: Darkstore
  • Darkstore」は当日配達物流サービスを小売企業に提供。2017年にサンフランシスコで創業し、9月に2,100万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。EQT Venturesがリード投資を務めた。
  • FLEXE」はオンデマンド物流サービスを提供。2013年にシアトルで創業し、5月に4,300万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Activate CapitalとTiger Global Managementが共同でリードを務め、Madrona Venture Group、Redpoint Ventures、Prologis Venturesがラウンドに参加。
  • Flowspace」はオンデマンド物流サービスを提供。2017年にロサンゼルスで創業し、4月に1,200万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Canvas Venturesがリードを務め、Moment Ventures、1984 Ventures、Y Combinatorがラウンドに参加。
  • Happy Returns」はオフライン返品ネットワークを小売業者に提供。2015年にサンタモニカで創業し、4月に1,100万ドルの資金調達を実施。PayPalがリードを務め、USVPとUpfront Venturesがラウンドに参加。
  • Saltbox」は物流倉庫付きコワーキングスペースを提供。2019年にアトランタで創業し、9月に320万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Village Globalがリード投資を務めた。
  • what3words」は郵便配達の困難な地域向けに特定3用語で配達先を定義するサービスを提供。2013年にロンドンで創業し、4月に非公開ラウンドを実施。

物流市場では対Amazonをサポートするサービスが登場しています。Amazon Primeの登場以来、即日配達サービスが当たり前になってしまいました。しかし、既存小売店がすぐに即日対応できる物流網を準備できるはずがありません。そこで登場したのが「Darkstore」。都市部に特化したフルフィルメントサービスを展開しています。利用企業は当日配達サービスを手軽に展開できるようになります。物流面でAmazonに対抗する武器を、高速で販売店が実装できるサービスとして実績を伸ばしています。

また、Amazonでは返品できるのが当たり前。欧米では日本と比べて返品率が高いため、どの小売店も返品サービスを付けておかなければAmazonに客が取られてしまいます。ただ、当日配達同様に、サービス実装には多大のコストが必要。この課題を解決するのが「Happy Returns」です。提携ECブランド商品であれば、顧客は最寄りのショッピングモールに開設してあるHappy Returnsのブースで返品作業を行えるサービスを提供します。顧客は箱詰めして送り返す手間暇を省け、返品対象品を手渡しするだけで即金でお金を得られるメリットがあります。

同社は各ブランドへの返品数が一定数以上集まってから返送・配達を行います。返品物流を小分けではなくまとめ配達の物流手法へと変えたのです。1品ずつ返品するのでは、EC事業側の管理コストがかかり過ぎますし、物流業者の仕事が増えてしまいます。この課題を解決したのがHappy Returnsなわけです。このようにAmazonが得意とするサービス領域を自社で作り出し、パートナー企業へ提供するアドオン事業が物流市場で成長しているのが印象的です。日本では運送業者の過剰労働が社会問題になったことから、本項で紹介したスタートアップを模倣した事業に支持が集まるかもしれません。

業界再編が進む小売ブランド

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Image Credit: Le Tote

洋服サブスクスタートアップ「Le Tote」が老舗デパート「Lord & Taylor」を買収したニュースは衝撃でした。この買収劇から予想できるのは個客管理の可能性です。たとえばデパート入り口で、Le Toteのユーザーアカウント認証を行うタブレット導線を用意した場合、オンラインアカウント情報と店舗内で購入した商品データとの連携に成功します。データ連携の最大のメリットは、Le Toteのオンライン店舗とLord & Taylor内の購買データを統合させることで、オンラインとオフラインのどちらのチャネルから顧客が流入しても、最適な商品提案が可能となる「オムニチャネル戦略」を採用できる点にあります。

Amazonが成功している点もまさにここ。無人店舗「Amazon Go」の来客は入り口でアカウント認証が必要です。これは店舗内購買データをAmazon Marketplaceでも活かして、最適な商品レコメンドをするための導線を確保するためのものです。つまり実店舗顧客はオンライン・マーケットプレイスに来てもAmazonにターゲティングされ、高い精度のパーソナライズ商品提案される対象になるのです。

Le ToteはもともとEコマース企業。デパート体験をオムニチャネル戦略を採れるように最適化させることは想像に難くありません。改めてリストを見てみると、2019年は大型倒産や買収が相次ぎましたが、オムニチャネル戦略を匂わせるディールはAmazonの生鮮食品ブランド店舗のニュースのみ。たとえば、Old Navyが単に店舗を増やしたとしても、提供価値や戦略上の甘さで、Le Toteのようなスタートアップに買収される対象になってしまうかもしれません。また、Forever 21に代表される大手アパレル企業がドミノ倒しに破産申請していく可能性も否めません。顧客体験を最大化させる新業態や戦略採用が急務となりそうです。こうした流れは、ゆくゆく日本の小売市場でも顕著になってくるはずでしょう。

高速移動社会の立ち上がり

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Image Credit: Boom Supersonic
  • BlackBird」はプライベートジェット手配サービスを提供。2016年にサンフランシスコで創業し、6月に1,000万ドルの資金調達をシリーズAで実施。New Enterprise Associatesがリード投資を務めた。
  • Boom Supersonic」は超音速航空機を開発する企業。2014年にコロラド州で創業。Emerson Capitalがリードを務め、Y Combinator Continuity、Caffeinated Capital、SV Angel、Sam Altman、Paul Graham、Ron Conway、Michael Marks、Greg McAdooが参加。
  • Karem Aircraft」は空飛ぶタクシーを開発する企業。2004年にカリフォルニア州で創業し、7月に2,500万ドルの資金調達をシリーズAで実施。Korea’s Hanwha Systemsがリード投資を務めた。
  • Hermeus」は超音速航空機を開発する企業。2018年にアトランタで創業。Khosla Venturesがリード投資を務めた非公開ラウンドを実施。
  • Isar Aerospace」は小型ロケットを開発する企業。2018年にドイツで創業し、12月に1,500万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。 Earlybird Venture CapitalとAirbus Venturesが共同でリードを務め、UVC PartnersとVito Venturesがラウンドに参加。
  • Jet Edge International」はプライベートジェット手配サービスを提供。2007年にカリフォルニア州で創業し、3月に6,000万ドルの資金調達をプライベートエクイティラウンドで実施。Solace Capital Partnersがリード投資を務めた。
  • JetPack Aviation」は空飛ぶモーターバイクを開発する企業。サンフランシスコで創業し、Draper Associates、YC、Cathexis Venturesらから200万ドルの資金調達を実施。
  • Loft Orbital」は小型衛星に利用企業のセンサーを複数載せて打ち上げるライドシェアサービスを提供。2017年にサンフランシスコで創業し、11月に1,300万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Foundation Capitalがリードを務め、Ubiquity VC、Uncork Capital、Cendana Capital、Swell VC、GFA Venturesがラウンドに参加。
  • Relativity Space」は3Dプリント技術を使ったロケット製造企業。2016年にカリフォルニア州で創業し、10月に1.4億ドルの資金調達をシリーズCで実施。BondとTribe Capitalが共同でリード投資を務めた。
  • Skyports」は空飛ぶタクシー向けの着陸パッド(ミニ空港)を建設する企業。2017年にロンドンで創業し、12月に5,35万ユーロの資金調達をシリーズAで実施。Deutsche Bahn Digital VenturesとGroupe ADPがリードを務め、Levitate Capitalが参加した。
  • Virgin Hyperloop One」は真空チューブを利用した輸送システムを開発する企業。2014年にロサンゼルスで創業し、5月に1.72億ドルの資金調達を実施。
  • Volocopter」は都市内移動向け電動ヘリコプターを製造。2011年にドイツで創業し、9月に5,000万ユーロの資金調達をシリーズCで実施。Zhejiang Geelyがリード投資を務めた。
  • Wheels Up」は会員制のプライベートジェットサービスを提供。2013年にニューヨークで創業し、8月に1.28億ドルの資金調達をシリーズDで実施。Franklin TempletonとT. Rowe Priceらがラウンドに参加。

空飛ぶタクシーはいよいよ実用化に向けて本格始動。欧州ドイツや米国カリフォルニア州を中心にスタートアップが活躍している印象です。上記のリストには入っていませんが、ドイツ拠点の電動空飛ぶタクシー企業「Lilium」も数億ドル単位で資金調達を模索しています。市場の動きを見ていると、3-5年以内に高価格ながら商用化されそうです。

注目なのは空飛ぶタクシー時代の“プロバイダー”の市場ポジションを狙う企業が出てきている点です。具体的にはタクシーが離着陸するための「ミニ空港」を作り上げる企業たちが挙げられます。「Skyports」のようにビルの屋上に滑走路を作ったり、都市部の空きスペースに専用小型空港を建てて、次世代の“管制塔”を目指しています。

機体開発と空港整備の両方が進み、いずれ空飛ぶタクシーの輸送は地域間の新たな移動手段として確立されるはずです。ここで真剣に考える必要があるのがディスラプト。空飛ぶタクシーが飛び始めると、中距離移動手段がディスラプトされる可能性を考える必要があります。たとえば高速バス移動手段の優位性が揺らぐかもしれません。また、郵便物輸送などの簡易な物流に変化が訪れるかもしれません。都市部とベッドタウン、もしくは地方間における輸送や物流は大きく前進することが予想されます。

さらに、ロケットの高速生産が始まる動きも見逃せません。機体数が増えれば、打ち上げ需要も自ずと増えてきます。こうした需要に対して、打ち上げ拠点の供給は間に合っていないでしょう。そこで、基地ビジネスやライドシェアに注目が集まるはずです。たとえば北海道などで広大な土地所有権を持つ人が、簡単な打ち上げ基地を作りあげられるサービスや、時間別にスムーズに打ち上げができるオンデマンド型の打ち上げ事業が生まれてくるはずです。実際、Sequioa Capitalが投資をした「Vector」が打ち上げ基地ビジネスに着手していました。また、「Loft Orbital」が小型衛星のライドシェア事業に取り組んでいます。こうした次世代の宇宙ビジネスに注目が集まるでしょう。

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Photo by Francesco Ungaro on Pexels.com

さて、250社のまとめ紹介はここまでです。1編から最後まで読んでくださった方は、最新欧米スタートアップ事情にかなり精通できるまで事例がインプットされていると思います。その上で、新しい事業構想を考える上で参考になる企業が1社でも見つかれば幸いです。

ただ、1点伝えなければいけないのは、4編を通じて紹介した30のキーワードは全て市場で十分に裏付けをされたもの。日本で起業や新規事業立ち上げをする上では通じるかもしれませんが、世界で戦うアイデアを探す上では、そのまま真似しても勝てません。3-5年は遅れをとってしまっていると言って過言ではないでしょう。

トレンド情報はメディアで消費されやすいものですが、事業の急成長性には欠けてしまいます。そのため、単にキワード情報をインプットするのではなく、全く市場からキーワードを引っ張ってきて掛け合わさせる思考法をおすすめします。新しいアイデアは必ず異業界のコンセプトを移植させ、化学反応を起こすことで誕生することがしばしばあります。この点は『模倣の経営学』に詳しく書かれているため、時間を取って読まれることをおすすめます。

また、第1編の冒頭でもお伝えしましたが、「Accessibility」が鍵になっています。各企業が既存概念をどのように民主化させ、私たちの共感を得られる体験にまで最適化させているかを考えれば、いろいろと発見があるはずです。

改めて、最後まで読んでいただいてありがとうございました。本連載がみなさんにとって実りある“ポスト2019年”を迎える一助になれたらありがたい限りです。

薬局のディスラプトに対TikTokから始まる次の動画メディア、注目あつまる「世界の250社」まとめ(3/4)

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1編ではエンタープライズ、フード領域、2編ではフィンテック、教育、ギグ経済領域を見てきました。本編ではヘルスケア、メディア、トラベル市場で起きている変化を紹介していきます。 エンタープライズ(1編) フード(1編) フィンテック(2編) 教育(2編) ギグ経済(2編) ヘルスケア(本編) メディア(本編) トラベル(本編) 不動産(4編) 小売(4編) モビリティ(4編) 分野特化で登場する病院 …

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1編ではエンタープライズ、フード領域、2編ではフィンテック、教育、ギグ経済領域を見てきました。本編ではヘルスケア、メディア、トラベル市場で起きている変化を紹介していきます。

  • エンタープライズ(1編)
  • フード(1編)
  • フィンテック(2編)
  • 教育(2編)
  • ギグ経済(2編)
  • ヘルスケア(本編)
  • メディア(本編)
  • トラベル(本編)
  • 不動産(4編)
  • 小売(4編)
  • モビリティ(4編)

分野特化で登場する病院

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Image Credit: Modern Animal
  • Brave Care」は小児科特化の救急病院を運営。2019年にポートランドで創業し、9月に500万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Sesame Street、Greycroftらがラウンドに参加。
  • FirstVet」はオンライン診療ベースの動物病院を運営。2016年にストックホルムで創業し、11月に1,850万ユーロの資金調達をシリーズBラウンドで実施。OMERS Venturesがリードを務め、Creandumがラウンドに参加。
  • Modern Animal」はオンライン診療ベースの動物病院を運営。2019年にロサンゼルスで創業し、10月に1,350万ユーロの資金調達をシードラウンドで実施。Founders Fundがリードを務め、Wonder Ventures、Upfront Ventures、Susa Ventures、DCM Ventures、Box Group、BAM Venturesがラウンドに参加。
  • Parsley Health」は会員制の病院を運営。2016年にニューヨークで創業し、10月に2,600万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。White Star Capitalがリードを務め、FirstMark Capital、Amplo、Alpha Edison Partners、Arkitekt Ventures、Galaxy Digital、One Medical創業者のTom Lee氏、Flatiron Health共同創業者のNat Turner氏がラウンドに参加。
  • Two Chairs」はメンタルヘルス特化の精神病院を運営。2017年にサンフランシスコで創業し、8月に2,100万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Amploがリードを務め、GoldcrestとMaveronがラウンドに参加。
  • Tyto Care」は自宅で使える専用診療IoTを通じたオンライン診療サービスを提供。2012年にニューヨークで創業し、1月に900万ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Sanford Health、Itochu 、Shenzhen Capital Groupがラウンドに参加。

テクノロジーを使って病院体験を最適化する流れが10年前から来ています。たとえば、筆者も利用していた会員制の病院「One Medical」。同社のターゲット顧客は都市圏の忙しいビジネスパーソン。専用アプリかウェブサイトで手軽に診療予約手続きを完了できます。

医師とフォローアップのチャット機能も実装。基本的に直前の予約であってもすぐに受け入れ対応できるように、1都市に5〜6つほどの拠点を構えます。医師の性格や診療の質が高く、必ず専属の医師が付いてくれるため、毎回体調のキャッチアップをしてくれる点が高評価です。One MedicalはIPOの準備をしており、業界にとっては良い指標になっています。

オフライン事業を立ち上げるのは非常にコストがかかりますが、サービス領域を特化させて差別化を図り、次のOne Medicalを目指す動きが目立ちます。なかでも注目したいのは「Modern Animal」。動物病院版One Medicalといっても良いでしょう。米国では獣医サービスの市場規模は約500億ドルもあり、十分な成長余地があります。競合には「FirstVet」が挙げられますが、同社は欧州展開であるため直近で直接競合になることはありません。

日本でもスマホからすぐにオンライン予約できる便利な機能を備えた病院を見受けられますが、未だに医療機関はモバイル時代に合わせた体験を提供できていません。One MedicalやModern Animalのように、大きなイノベーションを起こすというよりは、私たちが当たり前に持つ現代の価値観や利用シーンに最適化させた病院の登場が待望されます。

歯科体験の前進

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Image Credit: Tend
  • Candid」は自宅矯正歯科ブランドを開発。2017年にニューヨークで創業し、4月に6,340万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Greycroft、Bessemer、e.ventures、RiverPark Funds、blisce/、Redesign Health’s limited partners、Mousse Partnersがラウンドに参加。
  • Henry The Dentist」は移動車型の歯科病院を運営。2017年にトリニダード・トバゴで創業し、3月に1,000万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Forerunner Venturesがリードを務め、Brand FoundryとTrail Mix Venturesがラウンドに参加。
  • Uniform Teeth」は矯正歯科病院を運営。2015年にサンフランシスコで創業し、12月に1,000万ドルの資金調達をシリーズAラウンドに実施。Canaanがリードを務め、Lerer Hippeau、Refactor、Slow Venturesがラウンドに参加。
  • Tend」は歯科医療ブランドを運営。2018年にニューヨークで創業し、10月に3,600万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Redpoint Venturesがリードを務め、One MedicalからTom Lee氏、Neil Blumenthal氏、Warby ParkerからDave Gilboa氏、Flatiron HealthからZach Weinberg氏、 Tusk VenturesからBradley Tusk氏がラウンドに参加。

歯科医療分野にはブランドサービスが多数登場。自宅矯正歯科サービス「SmileDirectClub」がIPOをしたことから市場に勢いがあります。“自宅矯正”という言葉に注目が集まっていますが、顧客を来院させてケアをする、オフライン接点を持つ必要は各社とも感じているようです。専属スタッフが来院時にケアすることで、顧客満足度と継続率を上げる施策に取り組んでいます。

たとえば「Uniform Teeth」も来院を必須としています。また、「SmileDirectClub」も実店舗「SmileShop」を用意してチェックアップする機会を提供。さながら歯科医療版ジーニアスバーのサービスを提供しています。自宅のみで完結する矯正歯科医療が求められていますが、やはり顧客に任せているだけでは、ベストな矯正ソリューションを提供できないのかと思われます。この点、オンラインとオフラインのどちらのチャネルに顧客が訪問したとしても、最適なサービスを提供する小売市場で使われるオムニチャネル戦略が重要となりそうです。

動画が鍵を握る自宅ヘルスケア市場

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Image Credit: Mirror
  • Future」は無料配布されるApple Watchを通じたオンラインパーソナル・コーチングサービスを提供。2017年にサンフランシスコで創業し、5月に850万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Kleiner Perkinsがリードを務め、Mike Krieger、Khosla Ventures、Founders Fund、Caffeinated Capitalがラウンドに参加。
  • Hydrow」はボード式フィットネスIoTを開発。2017年にマサチューセッツ州で創業し、5月に700万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Rx3 Ventures、Wheelhouse、The Raptor Group 、The Yard Venturesがラウンドに参加。
  • Journey Meditation」はグループ瞑想動画サービスを提供。2015年にニューヨークで創業し、5月に240万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Canaanがリード投資を務めた。
  • Livekick」は週32ドルからパーソナルトレーナーのコーチングを受けられる動画サービスを提供。2018年にニューヨークで創業し、5月に300万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Firstime VCがリード投資を実施。
  • Meditation.live」はライブ瞑想コーチングサービスを提供。2018年にマイアミで創業し、9月に300万ドルの資金調達を実施。SoftBank Capital NYがラウンドに参加。
  • Mirror」は鏡を使った室内向けフィットネスマシーンを開発。2016年にニューヨークで創業し、10月に3,400万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Point72がリードを務め、Lululemonらがラウンドに参加。

フィットネス市場では室内エアロバイク「Peloton」がIPOを果たしました。バイク本体料金は2,000ドルもする高級価格帯であり、購入後はフィットネス動画コンテンツを視聴するために、月額39ドルの利用料金を支払う必要があります。筆者は何度か試乗したことがありますが、「自宅フィットネス体験」と「高い動画コンテンツ体験」の2つを軸に、高い提供価値を持ち合わせていると感じました。

Pelotonの登場により、体験クオリティが著しく高い製品であれば、高価格であっても自宅に置かれるという認識が市場に広まりました。そこで登場して大きく注目を集めているのが、ミラー型の動画フィットネスIoT「Mirror」や、ボート版Pelotonの「Hydrow」です。いずれも2,000ドル前後の価格帯商品。動画を視聴しながら毎日自宅でフィットネスをして、他のユーザーと競いながら、さながらグループレッスンを受けている体験を得られます。

こうした自宅でライブ感を得ながら楽しくフィットネスをする利用シーンが増えてきました。「Journey Meditation」や「Meditation.live」はモバイルアプリを通じたライブ動画サービスですが、Peloton、Mirror、Hudrowとサービス提供価値が共通しています。日本では自宅フィットネスや、動画を通じたソーシャルフィットネス志向がどこまで刺さるかわかりませんが、ユーザー体験のトレンドとして知っておいて損はないはずです。

薬局のディスラプト

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Image Credit: Truepill
  • Apostrophe」はオンライン皮膚科診療および処方箋配達サービスを提供。2014年にオークランドで創業し、12月に600万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。SignalFireがリードを務め、FJ Labsがラウンドに参加。
  • Medly」は処方箋の当日配達サービスを提供。2017年にニューヨーク・ブルックリンで創業し、シリーズAラウンドを実施。Greycroftがリード投資を実施。
  • Nurx」はオンデマンド避妊薬配達サービスを提供。2014年にサンフランシスコで創業し、8月に5,200万ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Kleiner Perkins Digital Growth Fund、Union Square Venturesが共同でリードを務め、Reproductive Health Investors Alliance、Dreamers VC、Lowercase Capital、Y Combinator、Triple Point Capitalがラウンドに参加。
  • Truepill」はオンライン薬局サービス向けの配達フルフィルメントを提供。2016年にサンマテオで創業し、3月に1,000万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Initialized Capitalがリードを務め、Y Combinator、Sound Ventures、Tuesday Capitalらがラウンドに参加。
  • The Pill Club」はオンデマンド避妊薬配達サービスを提供。2014年にレッドウッドシティで創業し、1月に5,100万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。VMGがリードを務め、GV、ACME Capital、Base10、Shasta Venturesがラウンドに参加。

今や処方箋を自宅に届けてもらう体験は、日常の一部になりつつあります。実際、筆者がサンフランシスコに住んでいた際には「Alto Pharmacy」を利用して自宅配達を頼んでいました。今では避妊薬などの処方箋分野にも配達サービスが広がりを見せています。「Nurx」や「The Pill Club」の大型調達に、市場多角化の勢いが見て取れます。

欧米ではオンライン診療と配達サービスが合わさり、自宅で全ての病院体験が完結する時代になりました。これは前項で紹介したフィットネス市場の自宅体験にも共通する価値観です。医療機関は専門医に症状を相談するコンサルティングサービスの場へとなり、簡単な診察と処方箋注文・受け取りはオンラインを通じて自宅で終わらせるといった区分けが完成しています。リストで紹介している薬局スタートアップの大変が、この自宅診療体験を再現しています。

各医療機関は自宅体験のトレンドを掴み、配達サービスを実装しつつあります。そこで登場するのがAPIやSaaSの考えです。「Truepill」はオンライン診療や配達サービスなど、患者のジャーニーマップ上で必要となる各種サービスを、事業者が手軽に実装できる処方箋配達版AWSを提供します。必要な機能を実装して、フルフィルメントを簡単に構築できるサービスとなっています。これは1編で紹介した“API化が続く世界”や“ソフトウェアが飲み込む多領域”にも通じるコンセプトです。医療市場における顧客体験に対して、API市場の盛り上がりを掛け合わせることで大きな商機を得られる証拠です。薬局のディスラプトからは、自宅体験と他市場トレンドであるAPIやSaaSコンセプトを繋ぎ合わせて、新たな提供価値を確立できることがわかります。

対TikTokから始まる次の動画メディア

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Image Credit: Yubo
  • Brut」は短尺動画メディアを運営。2016年にパリで創業し、10月に4,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Red River Westがリードを務め、blisceがラウンドに参加。
  • Imgur」はミームコンテンツプラットフォームを運営。2009年にサンフランシスコで創業し、6月に2,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Coilがラウンドに参加。
  • OneDay」は高齢者の人生ストーリーを動画撮影し、トピックごとに地元の人が閲覧できる記録メディアを運営。2012年にダラスで創業し、12月に520万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Silverton Partnersがリードを務め、Spieker PartnersとGreen Park & Golf Venturesがラウンドに参加。
  • Triller」は誰もがプロ風動画を作れるソーシャル音楽動画プラットフォームを運営。2015年にニューヨークで創業し、10月に2,800万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Proxima Mediaがリード投資を実施。
  • Yubo」はライブストリーム特化の若者向けSNSを運営。2015年にフランスで創業し、12月に1,230万ドルの資金調達を実施。 Iris CapitalとIdinvest Partnersがリードを務め、 Alven、Sweet Capital 、Village Globalがラウンドに参加。

10月、Googleが30秒ほどの短尺動画をシェアできる「Firework」の買収を検討していたことが報道されました。同社は対TikTokアプリとしてユーザー数を伸ばして注目を集めています。

Googleにとって今回の買収検討は、長尺動画をYouTubeに投稿し、その他の動画をFireworkに投稿させる導線を確保することで、米国の動画コンテンツ市場で覇権を握ろうとした戦略の一環だったと考えられます。ユーザー投稿型サービスの動画プラットフォームを抑え、動画広告市場で幅広く広告出稿者の意向に応えたかったと想像できます。

Fireworkは音楽を使った動画コンテンツプラットフォームではありませんが、「Triller」は音楽PV風の動画を投稿できるサービスとして成長。TikTokとはまさに直接対峙する市場ポジションにいます。いずれのスタートアップもGAFA勢に買収される可能性の高い企業として注目でしょう。一方、最近ではMEMEコンテンツの人気に火が付き、「Imgur」のような新しいコンテンツプラットフォームが大型調達を果たしています。ただ、この分野では未だ広告ソリューションが確立しているわけではないため、大手に買収されるほど市場が成長するにはもう少し時間がかかる印象です。

さて、動画市場での注目動向の1つとして「共同体験/コラボレーション」が挙げられます。たとえば、リストにある「Yubo」はまさにZ世代向けのSNSとして好例。また、「Kast」は最大100名の友人と一緒に動画を楽しめるソーシャルプラットフォームを運営。同じ映像コンテンツを視聴しながらコメントをし合い、体験を共有できます。こうしたコラボを切り口にしたメディア体験は他分野でも起きており、音声SNS「TTYL」にも見られます。現在はTikTokが話題を独り占めするメディア市場ですが、おそらく今後はコラボ体験を制するメディアに大きな注目が集まると予想しています。

特化型新興メディア

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Image Credit: IRL
  • Academia.edu」は学術論文に特化したソーシャルシェアサービスを運営。2007年にサンフランシスコで創業し、3月に1,600万ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Tencentがリードを務め、 Social Discovery Venturesがラウンドに参加。
  • Cailu」はブロックチェーン特化の中国メディア。2018年に上海で創業し、7月に1,000万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。GBCI Venturesがリード投資を務めた。
  • Everdays」は故人情報特化のSNSを運営。2017年にミシガン州で創業し、1月に1,200万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Gordy Companiesがリード投資を務めた。
  • Holloway」は専門家監修のオンラインビジネス誌を刊行。2016年にサンフランシスコで創業し、8月に460万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。NEA、The New York Times、South Park Commonsがラウンドに参加。
  • IRL」はオフラインイベント特化のSNSを運営。2017年にサンフランシスコで創業し、6月に800万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Goodwater Capital、Founders Fund、Kleiner Perkinsがラウンドに参加。
  • Overtime」は中高生スポーツに特化したメディアを運営。2008年にニューヨークで創業し、2月に2,300万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Spark Capitalがリード投資を務めた。

FacebookやTwitterの手の届かない、特化型メディアの成長が印象的な1年でした。注目のスタートアップは「IRL」。“in real life”の省略語であるIRLは、カレンダーSNSを提供。友人や気になるイベントをフォローして、地元で飲み会やミートアップが開催されると通知が来る“ソーシャル・カレンダー”という新たな分野を開拓しました。

従来、カレンダーは単なるリマインドツールでしかありませんでしたが、SNSの切り口で提供価値を再定義したのがIRLです。近くにいる人気のイベント開催者をフォローする体験は、普段Google Calendarを通じて感じる価値と違いはないため、ユーザーにとってはしっくりと来る導線なはずです。コミュニティを活性化させる新たなカレンダーメディアといえます。

また、「Holloway」も面白い事例です。同社は専門家がキュレートしたPDF雑誌を刊行するニッチメディアを運営します。たとえば、資金調達のノウハウが詰まったPDF資料を100ドルで販売しています。内容は随時更新されることから、常に最新の情報をキャッチアップすることができます。Hollowayがディスラプトするのは業界雑誌といえます。専門性の高いニッチ情報を発信することで、通の人に親しまれるメディアを目指していることが伺えます。

投資家にはNew York Timesも名を連ねていることから、新しいメディア収益源として注目されていることがわかります。New York Timesは専門家がキュレートした製品レビューメディア「Wirecutter」を買収していることから、バーティカル特化メディアの買収に積極的だと予想がつきます。あと2-3年ほどしてHollowayが実績を積み重ねれば、New York Times傘下になることも夢ではないでしょう。日本の大手メディアもこうしたニッチメディア買収トレンドに迎合する可能性があるかもしれません。

“専門化”するコミュニティ

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Image Credit: Winnie
  • Brainly」はP2Pラーニング型の質問サイトを運営。2009年にポーランドで創業し、7月に3,000万ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Naspersがリードを務め、Runa Capital、Manta Rayがラウンドに参加。
  • Chief」は女性特化のコミュニティを運営。2018年にニューヨークで創業し、6月に2,200万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。General CatalystとInspired Capitalが共同でリード投資を務めた。
  • Cocoon」は親族や近しい友達に特化したSNSを運営。2018年にサンフランシスコで創業し、6月に300万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Lerer Hippeauがリードを務め、Y Combinator、Susa Ventures、Norwest Venture Partners、Advancit Capital、Foundation Capital、iNovia、Shrug Capital、SV Angelがラウンドに参加。
  • DEV」はソフトウェアエンジニア特化のSNSを運営。11月に1,150万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Mayfieldがリードを務め、OSS CapitalとCharge VCがラウンドに参加。
  • Freeda」は女性特化メディアを運営。2016年にミラノで創業し、9月に1,300万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Alvenがリードを務め、Endeavor Catalystらがラウンドに参加。
  • Glitch」はピアコーディング・プラットフォームを運営。2000年にニューヨークで創業し、7月に3,000万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Tiger Global Managementがラウンドに参加。
  • Homie」は外国生まれおよび海外駐在者向けオンラインコミュニティを運営。2014年にソルトレイクシティーで創業し、1月に2,254万ドルの資金調達を実施。Canaan PartnersとSpark Capitalが共同でリード投資を務めた。
  • Mawdoo3」はアラブ語特化のWikipediaを運営。2010年にジョーダンで創業し、5月に1,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Kingsway Capital、Endure Capital、Endeavor Catalyst、Equitrust、AdamTech Venturesがラウンドに参加。
  • NewtonX」は世界中の専門家に繋がるQ&Aマーケットプレイスを運営。2016年にニューヨークで創業し、6月に1,200万ドルの資金調達を実施。Two Sigma Venturesがリードを務め、Third Prime Capital and Xfundがラウンドに参加。
  • Part&Parcel」はプラスサイズ女性服特化のコミュニティコマースを運営。2016年にサンフランシスコで創業し、5月に400万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Lightspeed Venture Partnersがリードを務め、Peterson Ventures、Village Global、Poshmarkの創業者Manish Chandra氏がラウンドに参加。
  • Peanut」は母親向けSNSを運営。2016年にロンドンで創業し、11月に500万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Index Venturesがリード投資を務めた。
  • SurvivorNet」はガン研究者と患者を繋ぐメディアプラットフォームを運営。ニューヨークで創業し、350万ドルの資金調達を実施。Gatemore Venturesらがラウンドに参加。
  • Tempest」はアルコール依存症改善オンラインプログラムおよびコミュニティを運営。2014年にニューヨークで創業し、10月に1,000万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Slow Ventures、Female Founders Fund、AlleyCorp、Refactor、Green D Venturesがラウンドに参加。
  • Valence」は黒人特化のコミュニティを運営。2019年にロサンゼルスで創業し、11月に250万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Upfront Venturesがリードを務め、Sinai Ventures、Human Ventures、High Alphaがラウンドに参加。
  • Winnie」は母親向けYelpを運営。2016年にサンフランシスコで創業し、10月に900万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Rethink Impactがリード投資を務めた。

コンテンツにエッジを持たせて、特化型のコミュニティを作るメディア戦略が市場の主流になってきています。様々な角度でメディア運営が行われていますが、特徴的なのが2つ。1つはデモグラフィック特化型メディアの台頭。「Chief」や「Freeda」などの女性特化メディアが急成長を遂げています。女性の権利尊重やダイバーシティの機運を追い風に、様々な人たちが力強いコミュニティを作り上げている印象です。黒人特化のコミュニティ「Valence」のように、女性向けから他分野へと、ダイバーシティ・メディアの考えが広まりつつあります。

もう1つは母親向けメディア。「Winnie」は好例です。同社は母親版食べログのようなサービスを展開。母親ユーザーが投稿した詳細なコメントを参考にして近場の子連れに優しい遊び場やレストランを検索できます。熱量の高いコメントが多く、特化型市場を押さえることでコアファンの獲得に成功しています。元々は子供連れに優しい場所情報を提供する地図アプリとして始まり、領域特化型Google Mapとして立ち上がりました。今では口コミ情報サイトにまでサービスの多角化を果たしていますが、地図メディアとしても面白い事業展開が今後見込めるかもしれません。

制作集団・ツール

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Image Credit: Superplastic
  • Brud」はバーチャルインフルエンサーLil Miquelaを制作。2,000万ドルの資金調達を実施。Spark Capital、Sequoia Capitalらがラウンドに参加。
  • Frame.io」は動画編集ツールを提供。2014年にニューヨークで創業し、11月に5,000万ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Insight Partnersがリードを務め、Accel、FirstMark、SignalFire、Shasta Venturesがラウンドに参加。
  • Kapwing」はミームコンテンツ作成ツールを提供。2017年にサンフランシスコで創業し、9月に1,100万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。CRVがリード投資を務めた。
  • Superplastic」はSNS向けのCGマスコットキャラを制作。2017年にバーリントンで創業し、7月に1,000万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Craft Venturesがリードを務め、Global Village、Betaworks、Canaan Partners、Shrug Capital、Cyan Bannister氏、Scott Belsky氏、Scooter Braun氏がラウンドに参加。

筆者がサンフランシスコで動画メディア企業にいた際から使っていたのが「Frame.io」。当時は創業から1年ほどしか経っていませんでしたが、すでに美大生の間でも使われていました。Adobeが手を出せていない機能を備えた領域特化の制作ツールには、成長可能性が大いにあると感じさせられました。今では5,000万ドルもの資金調達をして、動画コラボ編集ツールとして不動の地位を得ています。

同じ流れがMEME市場でも起きています。「Kapwing」はその代表格になりつつあると言えるかもしれません。また、WebAR作成プラットフォーム「8th Wall」など、時代によって多様化するメディア編集の分野で活躍するスタートアップが多数登場しています。

また、バーチャルインフルエンサーが台頭した年でもありました。代表的なものが「Brud」と「Superplastic」。どちらもInstagramで大人気ですが、クリエティブ要素が非常に高く、同じようなサービスを立ち上げるには非常に難易度の高くて再現性の低い印象です。参入障壁の高い領域だからこそ、Sequioa Capitalなども投資する大型スタートアップにまで成長しています。

旅行体験に新たな価値を

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Image Credit: Remote Year

 

  • AmazingCo」はマニアック体験旅行サービスを提供。2016年にオーストラリアで創業し、9月に510万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Rampersand VCがリードを務め、Artesian and Macdoch Venturesがラウンドに参加。
  • Atlas Obscura」は体験型メディアおよび旅行サービスを運営。2009年にニューヨークで創業し、9月に2,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Airbnbがリードを務め、A+E Networks とNew Atlantic Venturesがラウンドに参加。
  • GetYourGuide」はローカル旅行ガイドのニッチな旅行サービスマーケットプレイスを運営。2009年にベルリンで創業し、5月に4,840万ドルをシリーズEラウンドで実施。SoftBank Vision Fundがリードを務め、Temasek、Lakestar、Korelya Capital、Heartcore Capital、Swisscanto Investがラウンドに参加。
  • Leavy.co」は旅行中に空き部屋を貸し出せば定額収入を得られる民泊サービス。2017年にパリで創業し、11月に1,400万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Prime Venturesがリードを務め、Dominique Vidal、Index Venturesがラウンドに参加。
  • Nowaday」はシティツアーサービスを提供。ニューヨークで創業し、11月に350万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Greycroft、Pritzker Group VC、Raine Groupがラウンドに参加。
  • Remote Year」は月2,000ドルから始めるリモートワーカー同士のグループ旅行サービスを提供。2014年にイリノイ州で創業し、10月に500万ドルの資金調達をシリーズBラウンドを実施。Lightbankがリード投資を務めた。
  • Stride」は専門家が選ぶツアー旅行体験マーケットプレイスを運営。2014年にサンフランシスコで創業し、6月に250万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。JetBlue VenturesとNFXがラウンドに参加。

旅行市場の業態が変わろうとしています。簡単に2つほど事例を紹介します。1つは「Leavy.co」。同社はミレニアル世代のホスト向け民泊プラットフォームを提供。ホストは旅行期間中に部屋を貸し出すだけで収益を上げられます。地元でローカルマネージャーとして働くユーザーが物件を管理してくれるため、最低限の収益が担保された形で旅行に手軽に出掛けられるプラットフォームとなっています。

Leavy.co側は又貸しモデルでマージンから収益を得るため、民泊市場版WeWorkビジネスモデルと言えるでしょう。ホストにとっては旅行コストをある程度カバーできる収入源を得られるため、旅行ハードルを下げられるようになりました。これは2編で話した“金回りの改善”にも繋がる考えです。売上が必ず発生するのかわからない、自宅にいないと民泊を運営できない面倒くささがあるといった課題点を解決し、自由に旅行できるサービスを確立したのがLeavy.coです。

もう1つのは「Remote Year」。リモートワークで働く人の中には、世界中を旅しながら仕事をしたいといった需要を持っている人が多数いるはずです。そこでRemote Yearは4か月の期間から、リモートワーカー同士で旅をしながら仕事ができる旅行パッケージを提供。日本で10年ほど前に登場した旅行マッチングサービス「トリッピース」にも通じる体験性を提供しているのがRemote Yearと感じます。見知らぬ人と世界を旅する提供価値には、世界共通でニーズがあるように思えます。

上記のリストには登場していませんが、いずれパッションエコノミー文脈から、ローカル案内人が自分の旅行プランを売り出せるプラットフォームも登場するかと思います。旅行代理店免許を取得する必要性がありそうですが、この点をハックするスタートアップが訪れる予感がしています。たとえば「Evaneos」などは最も近しい事例として当てはまります。

3編はここまでです。最終4編では不動産や小売を中心に見ていきます。

サブスク銀行からパッション・エコノミー、注目あつまる「世界の250社」まとめ(2/4)

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1編ではエンタープライズ、フード領域を見てきました。2編では銀行業界を中心に起きている欧米市場の動きや、教育市場で起きている金銭ハードルをなくす動向を見ていきます。 エンタープライズ(1編) フード(1編) フィンテック(本編) 教育(本編) ギグ経済(本編) ヘルスケア(3編) メディア(3編) トラベル(3編) 不動産(4編) 小売(4編) モビリティ(4編) 新興“バンク”の立ち上がり 「A…

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1編ではエンタープライズ、フード領域を見てきました。2編では銀行業界を中心に起きている欧米市場の動きや、教育市場で起きている金銭ハードルをなくす動向を見ていきます。

  • エンタープライズ(1編)
  • フード(1編)
  • フィンテック(本編)
  • 教育(本編)
  • ギグ経済(本編)
  • ヘルスケア(3編)
  • メディア(3編)
  • トラベル(3編)
  • 不動産(4編)
  • 小売(4編)
  • モビリティ(4編)

新興“バンク”の立ち上がり

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Image Credit: MoneyLion
  • Atom Bank」はモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2014年にイギリスで創業し、7月に5,000万ユーロの資金調達を非公開ラウンドで実施。Woodford Patient Capital Trust、BBVA、Toscafund、Perscitus LLPらがラウンドに参加。
  • Current」は若者向けモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2015年にニューヨークで創業し、10月に2,000万ユーロの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Wellington Management、Galaxy Digital EOSらがラウンドに参加。
  • Chime」はモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2013年にサンフランシスコで創業し、12月に5億ドルの資金調達をシリーズEラウンドで実施。DST Globalがリード投資を務めた。
  • Koho」はモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2014年にトロントで創業し、11月に2,500万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Portag3 Venturesがリードを務め、Greyhound Capitalらが参加。
  • Mercury」はスタートアップ向けのモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。サンフランシスコで創業し、9月に2,000万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Andreessen Horowitz、Naval Ravikantらがラウンドに参加。
  • MoneyLion」は会員制モバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2013年にニューヨークで創業し、7月に1億ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Edison PartnersとGreenspring Associatesが共同でリード投資を務めた。
  • Monzo」はモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2015年にロンドンで創業し、6月に1.13億ユーロの資金調達をシリーズFラウンドで実施。YC’s Continuity fundがリード投資を務めた。
  • Nubank」はラテンアメリカ地域にてモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2013年にブラジルで創業し、7月に4億ドルの資金調達を実施。TCVがリード投資を務めた。
  • N26」はモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2013年にベルリンで創業し、7月に1.7億ドルの資金調達をシリーズDラウンドで実施。 Insight Venture Partnersがリードを務め、GICがラウンドに参加。
  • Point」はモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2018年にサンフランシスコで創業し、1月に120万ドルの資金調達をプレシードラウンドで実施。
  • Rho Business」はスタートアップ向けのモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2018年にニューヨークで創業し、10月に490万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Inspired Capitalがリード投資を務めた。
  • Starling Bank」はモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2014年にロンドンで創業し、10月に3,000万ユーロの資金調達を実施。Merian Chrysalisがリードを務め、 JTCらがラウンドに参加。
  • Step」は若者向けモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2018年にパロアルトで創業し、7月に2,250万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Stripeがリード投資を務めた。
  • Uala」はラテンアメリカ地域にてモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2017年にアルゼンチンで創業し、11月に1.5億ドルの資金調達を実施。TencentとSoftBank’s Innovation Fundが共同でリード投資を務めた。
  • Joust Labs」は個人事業主向けのオンライン・バンキングサービス(ネオバンク)を提供。2017年にオースティンで創業し、8月に260万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。PTB Venturesがリードを務め、Accion Venture Lab、Financial Venture Studio、Techstarsがラウンドに参加。
  • Open」はインドにてモバイル・バンキングサービス(ネオバンク)を提供。2017年にバンガロールで創業し、6月に3,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Tiger Global Managementがリードを務め、Tanglin Venture Partners Advisors、3one4 Capital、Speedinvest、BetterCapital AngelList Syndicateがラウンドに参加。
  • Oxygen」は個人事業主向けのオンライン・バンキングサービス(ネオバンク)を提供。2018年にサンフランシスコで創業し、1月に550万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Y Combinator、Base Ventures、The House Fundらがラウンドに参加。
  • Starship」はモバイル・バンキングサービス(ネオバンク)を提供。2016年にニューヨークで創業し、12月に700万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Valar Venturesがリード投資を務めた。

新興バンクの調達案件が多数登場してきました。2015年前後に登場した銀行スタートアップたちは、ほぼ同じコンセプトで事業展開を始め、市場はすでにレッドオーシャン化。欧米は規制も比較的緩く、銀行ライセンスを取得し、自社で当座・普通預金口座やローン事業を展開する「チャレンジャーバンク」が急速に増えています。

一方、銀行ライセンスを持たずに、既存銀行のサービスを統合して新たなサービスとして昇華させる「ネオバンク」はやや下火な印象です。なお、ネオバンクは1編で紹介したAPIを通じて銀行サービスを引き出しています。

レッドオーシャン市場では、攻め方が2つ挙げられます。1つは地域特化。米国では先行者利益を積みつつある「Chime」が市場をリードしています。同社のような先行者利益を得るために、南米やアフリカ地域での市場シェアをいち早く獲得する動きが目立ちます。

もう1つはデモグラフィック特化。主に銀行サービスへのアクセス権を持たなかった中高生に向けた銀行サービスが成長を遂げています。こうした銀行に共通することは、1編の冒頭で触れたアクセシビリティに焦点を当てている点です。

Z世代の若者はクレジットヒストリーを持たないことから、クレジットカードを発行できなかったり、適切な年齢になるまで気軽に銀行サービスにアクセスできない課題意識を持っていました。Z世代ユーザーのユニークな課題意識は、大学を卒業したミレニアル世代以上のペインを持ちます。

この課題を解決するために動いているのが、若者向け新興バンク「Current」に代表される企業です。また、スタートアップや個人事業主向けに特化することで、利用シチュエーションを限定させて人気を得ている、「Mercury」や「Oxygen」などの銀行も登場しています。こうしたデモグラフィック特化の事業アイデアでニッチ領域を独占する銀行サービスに商機が生まれています。

リストの中で興味深い事例が、「MoneyLion」の推し進める“Netflix for banking”に関する事業コンセプト。同社は「Core」「Plus」「Instacash」の3つのプランを元に会員制度を敷き、月額9.99 – 19.99の範囲でユーザーから収益化します。

銀行サービスは一般的にレンディングビジネスで収益化をしていると考えられますが、サブスクリプションモデルを導入することで、安定した収益構造を作り上げていると想像できます。銀行サービスはスイッチコストが多くかかるため、競合へ逃げることはあまりないはずです。

そのため、事業ベースをサブスクリプションにすることで、高いLTVを収益に直結させられる算段です。ユーザーにとっては必要なサービスだけ引き出せるため、多量なサービスをどう選べば良いのかわからなくなる複雑性や、サービスの過剰供給を防げるメリットを選べます。日本でも“サブスク銀行”の業態は登場しても不思議ではなさそうです。

カードの普及

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Image Credit: Deserve
  • Deserve」は若者向けにクレジットカードを提供。2013年にメンローパークで創業し、11月に5,000万ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Goldman Sachsがリード投資を務めた。
  • Mitto」はZ世代向けにプリペイド・デビットカードを提供。バルセロナで創業し、9月に200万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。InnoCells、Athos Capitalらがラウンドに参加。
  • Petal」はクレジットヒストリーの無い人向けにクレジットカードを提供。。2016年にニューヨークで創業し、1月に3,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Valar Venturesがリード投資を務めた。
  • Ramp Financial」は法人向けカードを提供。ニューヨークで創業し、8月に700万ドルの資金調達を実施。Founders Fund、BoxGroup、Coatue Managementがラウンドに参加。
  • Tribal」は法人向けカードを提供。2016年にサンノゼで創業し、12月に550万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。BECO CapitalとGlobal Venturesが共同でリードを務め、Endure Capital、500 Startups、Valve VC、AR Ventures、Off The Grid Ventures、Rising Tide Fund、RiseUp、Tribe Capitalがラウンドに参加。

先述した銀行サービスにはカードが必ず付いてきますが、この項ではカード発行だけに特化したスタートアップを紹介します。なかでも「Deserve」の動きは注目です。同社はZ世代向けに決済カードを発行する特化型ビジネスから始まりました。若者向けという金融市場の“ラストマイル”へ参入したことから事業を急拡大させてきたのです。

なお、ユーザーの親御さんが手軽に取引を管理できるようにモバイル体験を最適化させています。カードと口座ダッシュボードをモバイル時代に適応させたのがDeserveでした。

現在は全世代向けにカードを発行し、“Credit Card as a Service”をコンセプトに掲げ、あらゆるブランドが手軽にカードとダッシュボードを利用できるオープンプラットフォームになろうとしているのです。しかし、この事業方針は1編で紹介した決済カード発行APIを提供する「Galileo」と競合になります。ユーザー基盤を着実に増やしてブランド力を上げてきたDeserveと、API事業に特化したGalileoのどちらが市場覇権を握るのかに注目が集まります。

Deserveと同じ事業コンセプトを法人向けに展開するのが「Ramp Financial」や「Tribal」です。費用立て替えなどの厄介なプロセスを省くため、各従業員にカードを発行して、マネージャーが利用状況を管理できるUXを提供します。

これは親子向けのカード利用シーンとほぼ同じ関係と言えるでしょう。Deserveに通じる業態は、課題解決ポイントを上手く突いていることから、Ramp FinancialやTribalのように他領域でも活用できますし、日本でも十分に通用するユースケースだと感じます。

金回りの改善

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Image Credit: Otis
  • Capital」は500万ドルからのデットファイナンスサービスを提供。ニューヨークで創業し、10月に500万ドルの資金調達を実施。Greycroft, Future Ventures、Wavemaker Ventures、 Disruptiveがラウンドに参加。
  • CoinList」は投資家と仮想通貨プロジェクトを繋ぐマッチングサービスを展開。2017年にサンフランシスコで創業し、10月に1,000万ドルの資金調達を非公開ラウンドで実施。Polychain Capitalがリードを務め、Jack Dorsey氏がラウンドに参加。
  • Happy Money」はクレジット債務返済サポートサービスを提供。2009年にカリフォルニア州で創業し、9月に7000万ドルの資金調達をシリーズDラウンドで実施。CMFG Venturesがリード投資を務めた。
  • Otis」は若者向けにアート作品の所有権投資プラットフォームを提供。2018年にニューヨークで創業し、12月に1,100万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Maveronがリード投資を務めた。
  • PayJoy」は途上国のモバイルユーザー向けにクレジットヒストリー構築サービスを提供。2015年にサンフランシスコで創業し、5月に2,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Greylock Partnersがリードを務め、Union Square Ventures、EchoVC、Core Innovation Capitalがラウンドに参加。
  • PTO Exchange」 は従業員の未消化有給休暇分を換金するサービスを提供。2013年にワシントン州で創業し、8月に300万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。WestRiver Groupがラウンドに参加。
  • Salaryo」はコワーキングスペースの利用者向けにオフィス敷金のレンディングサービスを提供。2017年にニューヨークで創業し、8月に550万ドルの資金調達を実施。Ruby Ventures とMichael Ullmann’s investment groupがラウンドに参加。
  • SeedLegals」はスタートアップの資金調達および資本管理向けリーガルプラットフォームを提供。2016年にロンドンで創業し、3月に400万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Index Venturesがリードを務め、Kima Ventures、The Family、Seedcampがランドに参加。
  • Uncapped」はスタートアップ向けに収益ベースの資金提供サービスを提供。2019年にロンドンで創業し、12月に1,000万ユーロをシードラウンドで実施。Global Founders Capital、White Star Capitalらがラウンドに参加。
  • Uplift」は後払い/分轄払い旅行サービスを提供。2014年にメンローパークで創業し、12月に2.5億ドルの資金調達をデッドファイナンスで実施。Madrone Capital Partnersがリードを務め、Draper Nexus、Ridge Ventures、Highgate Ventures、Barton Asset Management、PAR Capitalがラウンドに参加。
  • Zestful」はカスタマイズ可能な従業員福利厚生プログラムを提供。2016年にデンバーで創業し、9月に500万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Thrive Capitalがリードを務め、Box Group、Y Combinator、Matchstick Ventures、Third Kind Capital、Shrug Capitalがラウンドに参加。

本項ではお金との新しい接点を作り、流動性を向上させているスタートアップをまとめています。特に興味深いスタートアップは3つほど。1つはZ世代向けアート作品の投資プラットフォーム「Otis」。SNS時代に評価されるストリームグッズや、現代アート作品への投資を可能としています。若者に人気が出るであろうアート作品を、高い流動性を持つ少額投資商材として提供。

Z世代が持つ価値観に合わせて、投資商材を最適化させているのがOtisです。モバイル投資プラットフォーム「Robinhood」や「Stash」にも通じるUXを持っている点は、日本でも通用するかもしれません。

2つ目は使わなかった有給休暇期間を換金できるサービス「PTO Exchange」。日本と同様に未消化分の有給休暇が溜まれば、転職が決まったのちに消化をして、出勤しない期間が長く発生します。これは企業にとって、新規採用サイクルが滞ってしまうデメリットを背負います。そこでPTO Exchangeが登場しました。

同社は消化しきれない有給休暇を換金して、企業採用の新陳代謝を促進させるソリューションを提供。日本では無理やりにでも有給を使わされる文化が根付いていると思います。ただ、効率的に有給消化をして休みを取るマインドセットも大切ですが、現実はそうはいかないはず。“生産性革命”が叫ばれている今、PTOと同じ仕組みを日本のベンチャーが取り組んでみると面白いかもしれません。

最後は「Zestful」。企業が各従業員に支給する福利厚生額の用途を、従業員側で自由に利用できるサービスです。従来、福利厚生サービスは限定パッケージ内のコンテンツでのみ利用可能でした。しかし、マッサージや旅行割引などの型にはまったコンテンツからしか選べず、必ずしも欲しいと思える福利厚生は落ちていません。そこでZestfulは、NetflixやSpotify、Airbnbに代表されるミレニアル世代に人気のコンテンツの中から自由に選べるように、福利厚生の利用用途に柔軟性を与えました。

福利厚生を普段使うサービスに当てられることで、従業員の満足度も向上。企業側も訴求力の強い福利厚生パッケージを提示できるようになりました。

日本の福利厚生サービスは限定的、かつコンテンツが一新されていない印象であるため、日本版Zestfulには大きな商機があるかもしれません。各従業員に渡すデビットカードを発行することで、取引管理サービスとしての価値提供もできるでしょう。

多様な保険サービス

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Image Credit: Avinew
  • Avinew」は自動運転車ドライバー向けに利用量ベースの保険サービスを提供。2016年にカリフォルニア州で創業し、6月に500万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Crosscut Venturesがリードを務め、American Family Ventures、Draper Frontier、RPM Venturesがラウンドに参加。
  • Route」は配達物トラッキングおよび購入物1%の保険サービスを提供。2018年にユタ州で創業し、11月に1,200万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Album VCとPeak Venture Capitalがラウンドに参加。
  • SafetyWing」はリモートワーカー向けの医療保険サービスを提供。2017年にサンフランシスコで創業し、8月に350万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Foundersがリードを務め、Credit Ease Fintech FundとDG Incubationがラウンドに参加。
  • Thimble」は個人事業主向けに短期ビジネス保険サービスを提供。2015年にニューヨークで創業し、10月に2,200万ドルをシリーズAラウンドで実施。IACがリードを務め、Slow Ventures、AXA Venture Partners、Open Oceanがラウンドに参加。
  • Vouch Insurance」はスタートアップ向けのビジネス保険サービスを提供。サンフランシスコで創業し、11月に4,500万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Y Combinator Continuityがリード投資を務めた。
  • WorldCover」は途上国の農家向けに天候による収穫高を見込んだ安価な農業保険サービスを提供。2015年にニューヨークで創業し、5月に600万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。MS&AD Venturesがリードを務め、EchoVC、Y Combinator、Western Technology Investmentがラウンドに参加。

保険市場ではAI機械学習を使い、保険額を事前予測するケースが増えている印象です。たとえば「Avinew」は、自動運転向けの新たな保険サービスを提供。ドライバーの運転速度やルート、運転地域の天候・犯罪率などのいくつかの指標データを基に保険料を自動算出します。LiDARや車載カメラを通じて得られる運転データを溜まれば、より精度高く保険料を計算できるようになるでしょう。

このように車外環境データを膨大に収集できる時代に最適化した保険サービスが登場していますので、日本の大手保険会社もいずれは同じモデルで事業を仕掛けるのではないでしょうか。また、途上国の農家向け保険サービスの「WorldCover」も、同様にAIを用いてリスクを算出しています。

「出世払い制度」の広がり

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Image Credit: Lambda School
  • Blair Finances」はISA(収入分配契約)に基づいた学費レンディングサービスを提供。2019年にサンフランシスコで創業し、8月に15万ドルの資金調達を実施。YCombinatorがラウンドに参加。
  • Goodly」は学生ローン返済を従業員福利厚生として提供。2018年にサンフランシスコで創業し、3月に1,300万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Norwest Venture Partnersがリード投資を務めた。
  • FlexClub」はギグワーカー向けに自動車貸し出しプラットフォームを提供。2018年にアムステルダムで創業し、3月に120万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。CRE Venture Capitalがリード投資を務めた。
  • Kenzie Academy」はソフトウェアエンジニア養成プログラムを提供。2017年にインディアナポリスで創業し、11月に1億ドルの資金調達をデッドファイナンスで実施。Community Investment Managementがラウンドに参加。
  • Lambda School」はソフトウェアエンジニア養成プログラムを提供。2017年にサンフランシスコで創業し、1月に3,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Bedrock Capitalがリードを務め、Vy Capital、GGV Capital、Google Ventures、Y Combinator、Sound Venturesがラウンドに参加。

年々膨らみ続ける学生ローン問題を解決するのが“出世払い制度”を持った教育機関です。「Lambda School」に代表される教育機関では、学生はローン返済などに苦しむ必要がなくなり、ソフトウェアエンジニアになって高給な仕事を得るという明確な目的意識を持って授業を受けます。

一方、学校側は学生を就職させ、事前に契約した授業料を回収するまで学生との関係性は途切れることはありません。卒業後も続くカスタマーサクセスが大事になってくる長期サービスが同校のモデルです。

Lambda Schoolが採用する出世払い制度は、既存の大学機関では収益構造を抜本的に変える必要があるため取り入れられません。しかし、学生はLambdaのようなブートキャンプではなく、大学に通いたいとニーズを持っているのも確かそこで出世払いサービスのみに特化した金融機関も登場しています。「Blair Finances」は学費を肩代わりする代わり、卒業後に返済させるレンディングサービスを展開しました。

どの教育期間でも出世払いで通えるサービスですが、1学生当たりに貸し出す金額と、回収期間が非常に長い難しいモデルです。機関投資家から長期投資商材として資金を集めれば回せるモデルになるのではないでしょうか。

出世払いを採用したレンディングモデルは、ギグ経済にも波及しています。「FlexClub」はUberドライバー向けに自動車を貸し出す投資プラットフォームを展開。投資家は自動車を購入し、FlexClubを通じてドライバーに貸し出します。

週もしくは月単位で収益分配されるため、自動車を長期投資対象として運用できるモデルです。ドライバーも頭金0で自動車を所有できるため、双方にとってWin-Winの関係を構築できます。このように出世払いの考えは教育市場から始まり、他市場へと拡大を見せているのが2019年の大きな流れです。

専門学校の躍進

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Image Credit: Landit
  • Cloud Guru」はクラウドコンピューティングを学ぶためのオンライン学習コースを提供。2015年にロンドンで創業し、4月に3,300万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Summit Partnersがリードを務め、AirTree VenturesとElephantがラウンドに参加。
  • Empowered Education」はウェルネスコーチ育成のためのオンラインコースを提供。2015年にニューヨークで創業し、3月に800万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Rethink Educationがラウンドに参加。
  • Flockjay」はセールスマン養成向けオンラインアカデミーを運営。2018年にサンフランシスコで創業し、10月に298万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Lightspeed Venture Partners、Coatue、Y Combinator、F7、SV Angel、Index Ventures、Serena Williams氏、Will Smith氏がラウンドに参加。
  • Giblib」は医療手術に関するオンライン学習コースを提供。2015年にロサンゼルスで創業し、4月に250万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Mayo Clinic、Venture Reality Fund、Wavemaker 360、USC Marshall Venture Fund、Michelson 20MMがラウンドに参加。
  • Immersive Labs」はサイバーセキュリティに関するオンライン学習コースを提供。2017年にイギリスで創業し、11月に4,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Summit Partnersがリード投資を務めた。
  • Landit」は女性のキャリア育成のためのオンラインコースを提供。2014年にニューヨークで創業し、2月に1,300万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。WeWorkがリードを務め、New Enterprise Associates、Valo Ventures、Workday Ventures、Gingerbread Capitalがラウンドに参加。
  • Ornikar」は自動車免許取得のためのオンライン教員マッチングサービスを提供。2014年にパリで創業し、6月に4,000万ユーロの資金調達をシリーズBラウンドで実施。IdinvestとBpifranceがラウンドに参加。
  • SV Academy」はビジネスディベロッパー養成プログラムを提供。2017年にサンフランシスコで創業し、6月に950万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Owl Venturesがリード投資を務めた。

インターネットを用いた大規模公開オンライン講座プラットフォーム「MOOC (Massive open online course)」が広がり、市場は寡占状態。「Coursera」「Lynda.com」「Udacity」の3社を利用すれば、必要なオンライン教育コンテンツへほぼリーチできる状態だと言えます。この市場状態で次の勝ち筋を探すには、1つの分野に特化させてユーザー満足度を圧倒的に上げる以外ありません。リストにある通り、2019年は各分野で特化型オンライン教育プロバイダーが登場しました。

いずれのスタートアップもオンライン動画サービスではなく、ブートキャンプ式を採用しています。また、Serena Williams氏やWill Smith氏も出資する「Flockjay」は出世払い制度を採用しています。

各分野のプロフェッショナルの養成機関として、入学コスト0でサービスを提供するモデルが流行っている印象です。出世払いから始まったトレンドは、ソフトウェアエンジニア養成から始まりましたが、今後は専門学校分野へと幅広く広まっていくでしょう。

パッション・エコノミー文脈

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Image Credit: Outschool
  • Mighty Networks」はオンライン学習コース向けウェブサイトビュルダーを提供。2010年にパロアルトで創業し、4月に1,100万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Intel CapitalとSierra Wasatchが共同でリード投資を務めた。
  • Outschool」は小学生教育コンテンツ向けライブ動画マーケットプレイスを提供。2015年にサンフランシスコで創業し、5月に850万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Union Square VenturesとReach Capitalが共同でリード投資を務めた。
  • Patreon」はクリエイター向け有料作品を発表するためのサブスクリプションプラットフォームを運営。2013年にサンフランシスコで創業し、7月に6,000万ドルの資金調達をシリーズDラウンドで実施。Glade Brook Capitalがリード投資を務めた。
  • Substack」は有料ニュースレターを発行できるプラットフォームを運営。2017年にサンフランシスコで創業し、7月に1,530万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Andreessen Horowitzがリード投資を務めた。
  • Tinkergarten」は幼少児向け屋外学習マーケットプレイスを提供。2014年にマサチューセッツ州で創業し、3月に2,100万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Omidyar Network、Owl Ventures、Reach Capitalがラウンドに参加。
  • Zyper」はSNSインフルエンサーがコアファンとブランドと繋がれるマーケティングプラットフォームを運営。2017年にサンフランシスコで創業し、6月に650万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Talis Capitalがリード投資を務め、 Forerunner VenturesとY Combinatorがラウンドに参加。

パッションエコノミー文脈のサービスは2019年で見逃せない動きでしょう。パッションエコノミーの大雑把な定義として、ギグワーカーが自分の個性を活かしてサービス展開できるSaaSを指します。たとえば「Outschool」はライブ動画を通じて自分の教室を持てるプラットフォームを展開。教員免許を持たない人が、手軽に高品質な動画教育サービスを提供できるSaaSです。

創造性に富んだデジタルコンテンツを世界中に発信して稼げる分野特化型SaaSが多々登場してきています。分野を問わず、自分のコンテンツを発信するためのウェブサイトを作成できる「Mighty Networks」のような業態も登場。無料のビュルダーは「Strikingly」や「Wix.com」などが有名ですが、パッションエコノミー特化のウェブサイト作成サービスに注目が集まっています。

デジタルコンテンツ提供者は大規模なオーディエンスを構築し、ニッチな趣味や特技などの情熱を効率的に収益に変えて生計を立てられます。誰もが「マイクロ起業家」になれるツールであり、私たちが現在考える「仕事」の概念を大きな変える意味合いを持ちます。このトレンドはしばらくは続くでしょう。

2編はここまでです。3編ではヘルスケアやメディアを中心に見ていきます。

スーパーフードにクラウドキッチン、注目あつまる「世界の250社」まとめ(1/4)

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節目である「2020年」以降の動きを考える時がやってきました。日本では東京オリンピックがあるため、なおさら経済や文化活動が大きく動く年でもあり、誰もが注目しているトピックでしょう。 そこで本記事では、2019年に筆者が日々ウォッチしてきた約5,000社の調達スタートアップの中から、30のキーワードにまとめた250社を見ていくことにします。みなさんの2020年にとって、1社でも参考になる企業を紹介で…

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節目である「2020年」以降の動きを考える時がやってきました。日本では東京オリンピックがあるため、なおさら経済や文化活動が大きく動く年でもあり、誰もが注目しているトピックでしょう。

そこで本記事では、2019年に筆者が日々ウォッチしてきた約5,000社の調達スタートアップの中から、30のキーワードにまとめた250社を見ていくことにします。みなさんの2020年にとって、1社でも参考になる企業を紹介できればと思います。

なお、今回取り上げているスタートアップの大半が欧米拠点の企業であり、資金調達の大きさは選出基準になっていません。あくまでも筆者の定性的な判断により選んでいます。また、創業年やラウンドなどの細かなデータはCrunchbaseの情報を引用しています。

さて、総評を先に述べると、全てのスタートアップに共通するコンセプトは「Accessibility(アクセシビリティ)」です。

「技術ブレークスルー」、「お金持ちしか得られなかった特権サービスの民主化」、「扱いづらかった旧来型の仕組みやサービスUX改善」に取り組んだスタートアップにユーザーが集まっている印象です。こうしたスピード感を持ったアクセシビリティが日本市場でも起きています。

昔のようにタイムマシン経営を楽にできるほど日本市場は未成熟のままではなくなりました。今では欧米、もしくは中国市場で見かけたスタートアップ事例をすぐに日本で再現する企業が現れています。欧米スタートアップのコンセプトは、矢継ぎ早に日本にやってくるでしょう。アクセシビリティの波が来て、あらゆる業界・業種でエンドユーザーの私たちが新しい体験を得る機会が増えるはずです。

それではここから、下記30のキーワード別にスタートアップの説明をしていきます。各スタートアップがどんなモノに対してアクセシビリティを与えているのかを考えると、何か良いアイデアが閃くかもしれません。まずはエンタープライズから紹介を始め、4編に渡り説明をしていきます。

  • エンタープライズ(本編)
  • フード(本編)
  • フィンテック(2編)
  • 教育(2編)
  • ギグ経済(2編)
  • ヘルスケア(3編)
  • メディア(3編)
  • トラベル(3編)
  • 不動産(4編)
  • 小売(4編)
  • モビリティ(4編)

まだ先がある、ワークツール新星登場

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Image Credit: Tandem
  • Gtmhub」はOKR管理に特化したワークツールを提供。2015年にサンフランシスコで創業し、2019年12月に900万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。CRVがリード投資を務めた。
  • Mattermost」はSlackに代わるチームメッセージプラットフォームを提供。2011年にパロアルトで創業し、7月に5,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Y Combinator’s Continuity Fundがリードを務め、Battery Ventures、Redpoint Ventures、S28 Capitalらがラウンドに参加。
  • Monday.com」はチームワークフロー管理ツールを提供。2012年にイスラエルで創業し、7月に1.5億ドルの資金調達をシリーズDラウンドで実施。Sapphire Venturesがリードを務め、Hamilton Lane、HarbourVest Partnersらがラウンドに参加。
  • Notion」はEvernoteに代わるチームワークステーションを提供。2016年にサンフランシスコで創業し、7月に1,000万ドルの資金調達をエンジェルラウンドで実施。
  • OpenFin」はファイナンス業界関係者向けのOSを提供。2010年にニューヨークで創業し、12月に2,200万ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。HSBCがリードを務め、 Bain Capital Ventures、Barclays、CME Ventures、DRW Venture Capital、J.P. Morgan、NYCA Partners、Pivot Investment Partners、Wells Fargoがラウンドに参加。
  • Parabol」はチーム運営手法の1つであるレトロスペクティブに特化したワークツールを提供。2015年にロサンゼルスで創業し、11月に400万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。CRVがリードを務め、HaystackやSlack Fundらがラウンドに参加。
  • Quill」はエンタープライズ向けメッセージサービスを提供。2017年にサンフランシスコで創業し、10月に1,250万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Index Venturesがリード投資を務めた。
  • Swit」は多機能ワークコラボレーションツールを提供。2017年にサンフランシスコで創業し、11月に600万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Korea Investment Partnersがリードを務め、Hyundai Venture Investment Corporation、Mirae Asset Venture Investmentがラウンドに参加した。
  • Tandem」は遠隔地に住む従業員同士を繋ぐ仮想オフィス環境を提供。2019年にサンフランシスコで創業し、8月に750万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Andreessen Horowitzがリード投資を務めた。
  • Taskade」はスタートアップチーム向けコラボレーションツールを提供。2017年にニューヨークで創業し、10月に500万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Grishin RoboticsとY Combinatorらがラウンドに参加。
  • Threads」は期限なし・緊急タスクリクエストなしをモットーに、ゆっくりと特定トピックを議論できるワークプレイスを提供。2017年にサンフランシスコで創業し、2月に1,050万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Sequoia Capitalがリード投資を務めた。
  • Workona」はクラウドワークアプリの管理プラットフォームを提供。2017年にサンマテオで創業し、12月に600万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。K9 VenturesとAugust Capitalらがラウンドに参加。
  • Glue Collaboration」はVR向けコラボレーションプラットフォームを提供。2018年にフィンランドで創業し、11月に350万ユーロ(380万ドル)の資金調達をシードラウンドで実施。Maki.vcがリードを務め、Reaktor Innovations、Bragiel Brothers、Foobar Technologiesらがラウンドに参加。
  • Emerge」はMR向けコラボレーションツールを開発。2015年にロサンゼルスで創業し11月に1,200万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。M13がリードを務め、Vulcan CapitalやLionTree Partnersらがラウンドに参加。

2019年はプロジェクト管理やメッセージツール領域が大きく動いた年でした。

大きな流れとしては2つ挙げられます。1つはリプレイス。主要ワークツール「Slack」「Evernote」を代替するサービスが急成長を見せています。「Mattermost」や「Notion」の事例を見ていると、こうした動きが顕著であることが見て取れるでしょう。

代替対象となるサービス規模が大きければ大きいほど、それほどユーザー獲得数も急速に獲得できる機会を得ています。5年・10年以上経っているようなサービス体験を変えることで、短期間にグロースできるポテンシャルを示しています。

2つ目は特化型/アドオン。「Taskade」は利用シーンをスタートアップに特化させています。また、「Gtmhub」はアジャイル開発で用いるOKR手法に、「Parabol」はレトロスペクティブの手法に特化。なかでもParbolに関しては非常にニッチな領域を抑えているといいながらも、すでに買収先を考えながら着実にユーザー数を伸ばしている印象です。

500超の企業が利用していることなので、爆発的な成長を見せてはいないものの、Slack Fundが投資していることから、いずれはSlackによる買収などが想定できるでしょう。特化型ツールは、ある程度までユーザー数を伸ばせばExitを狙えるため投資が集まっていると考えられます。

加えて、「Workona」に代表される各ワークステーションを束ねる、拡張型ツールの高い利便性に人気が集っています。同じようなツールにYコンビネータ卒業の「Station」が挙げられます。このような利便性の高いアドオン型ツールも見逃せません。

Gmailの次

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Image Credit: Superhuman
  • Consider」はスタートアップ向けのメールサービスを提供。2017年にサンフランシスコで創業し、8月に500万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Kleiner PerkinsやBedrock Capitalがラウンドに参加。
  • Superhuman」は既存メールサービスのヘビーユーザー向けに使い勝手の良い有料メールサービスを提供。2014年にサンフランシスコで創業し、5月に3,300万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Andreessen Horowitzがリード投資を務めた。
  • Loom」は企業向け動画メッセージツールを提供。2016年にサンフランシスコで創業し、11月に3,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Sequoia Capitalがリードを務め、Kleiner Perkins、Figma、Kevin Systrom、Mike Krieger、Mathilde Collinらが参加。

誰もが使うGmailを超えることは至難といえます。しかし「Superhuman」は強気の価格設定とターゲティング、圧倒的な体験提供でこれを実現させています。同社は月額30ドルで次世代メールプラットフォームを提供。ターゲットユーザーは3時間/日以上メールを利用しているヘビーユーザーのみ。豊富なショートカットが用意されており、慣れると使い勝手が良いそうですが、サービス利用時に1on1動画セッションがあるほど心構えが求められます。

ただ、著名VCであるAndreessen Horowitzが参加している点や、10万人以上がウェイトリスト入りしている市場需要から、確実にGmailの体験を超える突破ポイントを掴んでいるといえるでしょう。サービス体験は価格を裏切らないものと呼べそうです。強気な価格設定で私たちが日常的に使うサービスを一新するモデルは他業種に見られます。たとえば「Andrena」は月額25ドルから高速インターネット回線を提供しています。

注目の動きは「Loom」にも見られます。コンシューマー市場で起きている流れがエンタープライズ市場に派生しています。今やInstagram、Snapchat、Facebookに代表されるSNSでは画像や動画などのビジュアルコンテンツが主流に。SHOWROOMのようなライブ動画配信ツールも人気です。

一方、仕事で使うツールは全てテキストがメイン。普段使うコミュニケーション媒体が変わっているにも関わらず、企業でのコミュニケーションスタイルはそのまま。このギャップに切り込んだのが、動画コミュニケーションツールを開発するLoomです。ユーザー体験としても非常に自然と受け入れられるでしょうし、おそらく今後、競合が多く出てくるでしょう。

ソフトウェアが飲み込む多領域

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Image Credit: InCountry
  • Clumio」はデータバックアップ版AWSを提供。2017年にサンノゼで創業し、1.35億ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Sutter Hill VenturesとAltimeter Capitalが共同でラウンドに参加。
  • Fictiv」はハードウェア製品の製造工場ネットワークを提供。2013年にサンフランシスコで創業し、3,300万ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。G2VPがリード投資を務めた。
  • InCountry」は国際データコンプライアンスに対応するためのデータ保管プラットフォームを提供。2019年にサンフランシスコで創業し、7月に1,500万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Arbor Ventures、Global Founders Capital、Mubadala、Caffeinated Capital、Felicis Ventures、CRV、Team Builder Venturesらがラウンドに参加。
  • Submittable」は各種書類申請およびレビュープラットフォームを提供。2010年にモンタナ州で創業し、7月に1,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Next Coast Venturesがリードを務め、True Ventures、Next Frontier Capital、Flywheel Venturesらがラウンドに参加。
  • Tulip」はメーカー向けにノーコード・開発/製造プラットフォームを提供。2014年にマサチューセッツ州で創業し、9月に2,110万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。DMG MORIがリード投資を務めた。
  • ZenBusiness」は創業関連資料の申請プラットフォームを提供。2015年にオースティンで創業し、9月に1,500万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Greycroft、Lerer Hippeau、Revolution Rise of the Rest Fund、Rosecliff Venture Partners、Interlock Partners、Recruit Strategic Partnersらがラウンドに参加。

“Software is eating the world”のコンセプトが広がってから10年以上経ちました。SaaS系サービスは数多登場してきましたが、未だサービス展開先が残っています。たとえば「Clumio」のような特化型AWS業態をアジア圏で再現すれば大きく成長できるかもしれません。また、「Fictiv」のように工場への発注ラインをネットワーク化してしまう、業界特化型Airbnbのアイデアも日本市場で十分に躍進の機会が得られるはずと考えます。

時代によってSaaS進出範囲が増える点も見逃せません。「InCountry」は現在話題になっているデータ保護規則に対応するための“Data-Residency as a Service”を提供します。クラウド上にアップされているデータを規制に則った形で、物理的に世界中の任意の安全な場所に保存できるサービス。GAFAを筆頭とする大手IT企業のプライバシーデータ問題を解決できるSaaSとなっています。

データ管理の問題は10年前にはそこまで大きくはありませんでしたが、時代が進むにつれて課題意識が膨れ上がってきました。時代の境目を見定めてサービス化することで急成長が狙えることを、InCountryの事例から伺い知れます。同社の事業視点は市場の種類に関わらず、あらゆる起業家・事業家に対して良い示唆をもたらせてくれると感じます。

API化が続く世界

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Image Credit: Bud
  • Kong」はオープンソース・APIゲートウェイを開発。2010年にサンフランシスコで創業し、3月に4,300万ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Index Venturesがリードを務め、Andreessen Horowitz、Charles Rivers Ventures、GGV Capital、World Innovation Labらがラウンドに参加。
  • Middesk」は企業間取引のバックグラウンドチェックに関するAPIを提供。2018年にサンフランシスコで創業し、9月に400万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Accelがリードを務め、Sequoia CapitalとY Combinatorがラウンドに参加。
  • RapidAPI」はAPIマーケットプレイスを運営。2014年にサンフランシスコで創業し、7月に2,500万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。M12がリードを務め、DNS Capitalや初期投資家Andreessen Horowitz、Green Bay Capitalがラウンドに参加。
  • Scale AI」はAPI経由で送られてきたコンテンツに対して、自動ソートおよびラベリング付けを行うサービスを提供。2016年にサンフランシスコで創業し、8月に1億ドルをシリーズCラウンドで調達。Index Venturesをリードを務め、AccelとFounders Fundがラウンドに参加。
  • SendBird」はチャット・メッセージングAPIサービスを提供。2012年にサンマテオで創業し、5月に1.02億ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Tiger Global Managementがリードを務め、ICONIQ Capitalらがラウンドに参加。
  • StrongSalt」はAPIを用いた暗号プラットフォームを提供。2015年にサニーベールで創業し、9月に300万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Valley Capital Partnersがラウンドに参加。
  • Bud」はオープンバンキングAPIを提供。2015年にロンドンで創業し、2月に2,000万ユーロの資金調達をシリーズAラウンドで実施。HSBC、Goldman Sachs、ANZ、InvestecのINVC Fund、InnoCellsらがラウンドに参加。
  • Even Financial」は金融機関向けに各種パートナーサービスと連携できるAPIを提供。2015年にニューヨークで創業し、9月に2,500万ドルの資金調達を実施。Citi VenturesとMassMutual Venturesがラウンドに参加。
  • Galileo」は決済カード発行APIを提供。2000年にソルトレークシティで創業し、10月に7,700万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Accelがリードを務め、Qualtricsの共同創業者兼CEOのRyan Smithらがラウンドに参加。
  • Rapyd」はオンライン決済APIプラットフォームを提供。2016年にロンドンで創業し、10月に1億ドル、12月に2,000万ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Oak HC / FTがリードを務め、Tiger Global Management、Coatue、General Catalyst、Target Global、Stripe、EntréeCapitalがラウンドに参加。
  • Synapse」は各種銀行サービスAPIを提供。2014年にサンフランシスコで創業し、6月に3,300万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Andreessen Horowitzがリードを務め、Trinity VenturesやCore Innovation Capitalらがラウンドに参加。
  • Tink」はオープンバンキングAPIを提供。2012年にストックホルムで創業し、2月に5,600万ドルの資金調達をシリーズDラウンドで実施。Insight Venture Partnersがリードを務め、Sunstoneらがラウンドに参加。
  • Yapily」は企業向けに各金融機関サービスを利用できるAPIを提供。2017年にロンドンで創業し、540万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。HV Holtzbrinck VenturesとLocalGlobeが共同でラウンドに参加。

APIのユースケースとして覚えておきたい動きは2つ。1つはフィンテックAPI領域。スタートアップがオンライン銀行を0から作り上げる際、ユーザー体験にのみに注力し、必要な金融サービスや口座情報はAPIを通じて取得する流れが出来上がっているのが印象的です。

イギリスでは銀行にAPIを開示させるオープンバンキングが義務化され、「Bud」や「Tink」に代表されるサービスが台頭。単一サービスのみをAPIを介して引き出すのではなく、多数の金融サービスを引っ張り出し、自社サービスを作り出すAPIならではのコンセプトは、他市場でも応用できるでしょう。日本では法律の問題からオープンバンキングは実現することは難しいでしょうが、概念はさまざまな市場で使えるため注目です。

次はバックグラウンドチェックAPI。欧米ではUberやAirbnbの登場によりギグワーカーの身辺調査が必ず必要となってきたため、バックグラウンドチェック市場が大きく成長してきました。「Checkr」はこの分野で躍進しています。

日本でも「back check」が登場。そして近年ではバックグラウンドチェックがB2Bへ進出しつつあります。たとえば「Middesk」は法人単位のバックグラウンドチェックサービスを提供。従来のチェック対象は個人でしたが、同社は信頼に足り得る取引先となるかを分析します。B2B向けバックグラウンドチェックは日本市場でも大きく需要を得るはずでしょうし、信頼情報を流通させて社会インフラを作り上げるビジョンは共感性が高いと感じます。

音声ユースケースの模索

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Image Credit: Gong.io
  • Airbud」は自社アプリやWebサービスに音声インターフェースを追加できるサービスを提供。2018年にニューヨークで創業し、7月に4,00万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Hanaco Venturesがリード投資を実施。
  • Descript」はPodcastコンテンツ作成のための音声データ書き起こしおよび編集ツールを提供。2017年にサンフランシスコで創業し、9月に1,500万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Andreessen HorowitzとRedpointがリード投資を務めた。
  • Gong.io」は営業部門向けに音声会話データ特化CRMを提供。2015年にサンフランシスコで創業し、2月に4,000万ドルの資金調達をシリーズBで、12月に6,500万ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Sequoia Capitalがリードを務め、Battery Ventures、Norwest Venture Partners、Shlomo Kramer、Wing Venture Capital、NextWorld Capital、Cisco Investmentsがラウンドに参加。
  • Hugging Face」は自然言語処理アプリ用のオープンソースライブラリを提供。2016年にニューヨークで創業し、12月に1,500万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Lux Capitalがリードを務め、A.Capital、Betaworks、Richard Socher、Greg Brockman、Kevin Durant氏がラウンドに参加。
  • Replica Studios」は自分の声を音声AI向けに実装できるサービスを提供。2018年にオーストラリアで創業し、12月に250万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。The Venture Reality Fundがリード投資を務め、Carthona Capital、Techstars、Mawson Venturesがラウンドに参加。
  • Robin Healthcare」は医療機関向け音声AIを提供。2017年にバークレーで創業し、9月に1,150万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Norwest Venture Partnersがリード投資を務めた。
  • Soundcheck」はスマートスピーカー向けにWebコンテンツを最適化できるパブリッシングツールを提供。2018年にミルバレーで創業し、11月に150万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。True Ventures、Resolute Ventures、Automattic、Biz Stone、Caterina Fakeらがラウンドに参加。
  • Speechly」は音声UIアプリを実装するためのAPIサービスを提供。2015年にフィンランドで創業し、12月に200万ユーロの資金調達をシードラウンドで実施。Cherry Venturesがリードを務め、 Seedcampらがラウンドに参加。

音声市場は大きく6つの領域に分かれます:「営業向け音声解析サービス」「Webコンテンツとスマートスピーカーの連携」「分野特化型音声AI」「Podcast」「音声チャット」「自然言語処理ライブラリ」。この中で最低限知っておくべきなのが、1つ目に挙げた営業サービス領域の1社「Gong.io」です。同社は次のユニコーン級スタートアップになることが確実視されている企業と言われています。

長年、SalesforceがCRMサービスの王者として君臨していましたが、時代は音声へ。昔から営業マンはテレアポなどを行い契約を取ってきますが、なぜアポが失敗したのかなどのデータ解析が不十分でした。契約成立の有無やステージをSalesforceに入力して終わり。これでは営業チームの力が底上げされません。

そこでGong.ioは音声時代のSalesforceを開発。音声データから営業トークの解析を行い、単なるCRMではなく、改善プラットフォームして機能するソフトウェアを開発しました。時代が経つにつれて音声が重視されるようになります。こうした時代の変遷とともに従来の大手サービス体験を一新させたのがGong.ioです。アジア版Gong.ioの登場も期待されるでしょう。

著名投資家であるMark Cuba氏や、マーケータのGary Vaynerchuk氏も注目する音声市場。これから徐々に頭角を見せてくるAR/VR市場との相性も非常に良く、ゆくゆくは私たちが日常的に行なっているタイピング習慣をリプレイスするかもしれません。

現在はユースケースが非常に限定的ではありますが、どこかでティッピングポイントを迎え、爆発的に普及されることが予想される音声サービス。その兆しが今年リリースされたAirPods Pro。本記事執筆時点で1か月待ちの需要は、単なるイヤホンとしてではなく、音声時代へ本格的に足を踏み入れるとっかかりと捉えてもよいかもしれません。2C向けツールの普及に押されて、様々な市場で音声スタートアップが登場するはずです。

スーパーフード革命

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Image Credit: Meatable
  • Fermented Sciences」はオーガニック昆布茶ブランドを展開。2016年にカリフォルニア州で創業し、11月に2,500万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Ecosystem Integrity FundとPowerPlant Venturesが共同でリードを務め、Blueberry VenturesやMonogram Capital Partnersらがラウンドに参加。
  • Future Meat Technologies」は遺伝子組み換えなしの動物細胞を生産する企業。2018年にイスラエルで創業し、10月に1,400万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。S2G VenturesとEmerald Technology Venturesが共同でリード投資を務めた。
  • Impossible Foods」は植物由来の人工肉を生産する企業。2011年にレッドウッドシティで創業し、5月に3億ドルの資金調達をシリーズEラウンドで実施。TemasekとHorizons Venturesが共同でリード投資を務めた。
  • Meatable」はラボ開発された人工豚肉を生産する企業。2018年にオランダで創業し、12月に1,000万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Union SquareのAlbert Wenger氏やTransferWiseの共同創業者であるTaavet Hinrikusらがラウンドに参加。
  • New Culture」は非動物由来の人工チーズを生産する企業。2018年にサンフランシスコで創業し、9月に350万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Evolv Venturesがリード投資を務めた。
  • New Wave Foods」は植物由来のエビを生産する企業。2015年にサンフランシスコで創業。Tyson Venturesから非公開調達を実施。
  • NotCo」はマヨネーズを始めとする植物由来の代替食品を生産する企業。2015年にチリで創業し、3月に3,000万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。The Craftoryがリードを務め、Kaszek VenturesとIndieBioがラウンドに参加。
  • Redefine Meat」は工業用3Dプリンターを使用した人工肉を生産する企業。2018年にイスラエルで創業し、9月に600万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。CPT Capitalがリードを務め、Hanaco VenturesやThe PHW Groupらがラウンドに参加。
  • Wild Earth」は非動物由来のペットフードを生産する企業。2017年にバークレーで創業し、5月に1,100万ドルの資金調達をシリーズAを実施。VegInvestがリードを務め、Radical Investments、Felicis Ventures、Founders Fund、Mars Petcareがラウンドに参加。

2019年は人工肉スタートアップが数多く誕生した年でした。上記一覧以外にも大型調達した企業が多数いることから、今後3〜5年の期間でファーストフード店が登場するほど供給量が増えて、人工肉しか取り扱わないレストランチェーンも登場することも想像できます。

スーパーフード領域で見逃せないのが日本食品の台頭です。たとえば英国では元バンドマンが立ち上げ、鹿児島や静岡から取り付けた抹茶をエナジードリンクとして販売する「MatchaBar」がミレニアル世代から人気を博しています。また、「Fermented Sciences」のように昆布茶をブランド商品として展開する事例も登場。

いずれも仕掛け人が日本人でないことが悔やまれます。海外では一切認知のない日本食を、若者向けにブランディングすることで一定層から人気を集められる市場性を、彼らが教えてくれています。

日本のスタートアップは地の利もありますし、いつでもこの分野で攻勢をかけられるはずです。フード領域で起業を考えられている方は、ジャパニーズフード + 越境領域は狙い所かもしれません。ちなみにスーパーフードではありませんが、日本の和牛農家から直接肉を仕入れられるサブスクサービス「Crowd Cow」は1,500万ドルもの調達をして順調に成長しています。

クラウドキッチンの台頭

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Image Credit: Virtual Kitchen Co
  • CloudKitchens」は元Uber創業者Travis Kalanickが立ち上げたクラウドキッチン事業。2016年にロサンゼルスで創業し、11月に4億ドルの資金調達を実施。Saudi Arabia’s Public Investment Fundがラウンドに参加。
  • Keatz」はドイツ拠点のクラウドキッチンを運営。2015年にベルリンで創業し、3月に1,200万ユーロの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Project A Ventures、Atlantic Labs、UStart、K Fund、JME Venturesがラウンドに参加。
  • Muy」はラテンアメリカで展開するチポトレ特化のクラウドキッチンを運営。2018年にコロンビアで創業し、10月に1,500万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。ALLVPがリード投資を務めた。
  • Nosh」は香港拠点のクラウドキッチンを運営。2015年に香港で創業し、7月に170万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。
  • Panda Selected」は中国拠点のクラウドキッチンを運営。2016年に北京で創業し、2月に5,000万ユーロの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Tiger Globalがリードを務め、DCMとGlenridge Capitalがラウンドに参加。
  • Rebel Foods」はインド拠点のクラウドキッチンを運営。2010年にインドで創業し、7月に1.25億ドルの資金調達をシリーズDラウンドで実施。Go Venturesがラウンドに参加。
  • Virtual Kitchen Co」はレストランブランド向けに最適なキッチンおよび配達拠点を提供。2018年にサンフランシスコで創業し、6月に1,500万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Andreessen HorowitzとBase10 Partnersが共同でリード投資を務めた。
  • Yummy Corp」はインドネシア拠点のクラウドキッチンを運営。10月に775万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Intudo Venturesがリード投資を務めた。
  • 2ndKitchen」は飲食施設と近隣レストラン事業者を繋げるマッチングプラットフォームを提供。2017年にシカゴで創業し、11月に300万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Hyde Park Venturesがリードを務め、MATH Venture Partners、Great North Labs、Bragiel Brothers、M25がラウンドに参加。

UberEatsに代表されるフードデリバーサービスの登場以来、実店舗を持たず、アプリ上だけで店舗展開をする“バーチャルレストラン”(ゴーストレストランとも呼ばれる)の業態に注目が集まっています。

バーチャルレストラン事業を実現するには、客席の無い、調理場と配達拠点を兼ねる“クラウドキッチン”(ゴーストキッチンとも呼ばれる)が必要となります。こうしたキッチン拠点をネットワーク化して提供するサービスが世界各地で台頭してきました。

主にキッチンを外部飲食事業者に提供する、ネットワークサービスが多数登場してきていますが、なかには「Muy」のように自社運営をするスタートアップも登場しています。同社はUberEatsなどの外部プラットフォームにデータを取られない自社事業の強みを活かし、ビックデータを駆使してAIを使った事前注文予測サービスを実装し、需要と供給のマッチングを狙います。

店舗運営コストをクラウドキッチン化を通じて削り、データを見ながら料理を作り過ぎないようにして収益分岐点を狙う事業モデルです。ちなみに過去、「SpoonRocket」がデータを駆使した弁当配達事業を興して注目を集めながら倒産をしており、難易度は比較的高いと思われます。

世界的に見てもクラウドキッチンサービスは競合が多いため、次の事業モデルが模索されています。その答えの1つが、Andreessen Horowitzが投資をした「Virtual Kitchen Co」です。同社はキッチンを提供するだけでなく、地域でどの料理が人気を集めそうか、どの場所にキッチンを置くべきか、人員はどの程度配置すれば良いのかなど、AI事前予測を使った総合ソリューションを提供。

先述したMuyが持つAIノウハウを外部へオープンにしているような事業モデルです。おそらく今後、Virtual Kitchen CoのようなAIを絡めたネットワークビジネスが注目を集めそうです。

面白いスタートアップとして「2ndKitchen」も挙げられます。自社店舗では作りきれない料理を近隣のクラウドキッチン業者に作ってもらい、店舗にまで届けてもらうサービスです。まさに“メニューの拡張”を実現しているスタートアップと言えるでしょう。従来、ユーザーの自宅に届けることを前提にバーチャルレストラン事業は考えられてきましたが、店舗に届けるコンセプトを2nd Kitchenは提案しています。他店舗から届けられた食事を好んで食べられるのかどうか、UX上の懸念点はありますが、B2Bマッチングプラットフォームとしての視点は興味深いでしょう。

1編はここまでです。2編ではフィンテック領域を中心に事例を見ていきます。

2019年「この採用スライドがすごい」11選+1 #スタートアップPR

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今年のスタートアップを「PR」という側面で振り返ると、いよいよ情報戦が激化してきたな、という印象がありました。特に優秀な人材の採用は各社奪い合いの色が濃くなり、入る側も受け入れる側も双方失敗したくない、という思いから、あの手この手でマッチング精度を上げようとされています。 そのひとつのアウトプットが「採用スライド」です。元祖はSmartHRのこちらの採用スライドで、オープン過ぎる情報発信に共感が集…

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Photo by Ylanite Koppens on Pexels.com

今年のスタートアップを「PR」という側面で振り返ると、いよいよ情報戦が激化してきたな、という印象がありました。特に優秀な人材の採用は各社奪い合いの色が濃くなり、入る側も受け入れる側も双方失敗したくない、という思いから、あの手この手でマッチング精度を上げようとされています。

そのひとつのアウトプットが「採用スライド」です。元祖はSmartHRのこちらの採用スライドで、オープン過ぎる情報発信に共感が集まりました。(今日時点でのビューは96万件!)

<参考記事>

これに続いたミラティブはここに「Whyで綴る自語り的要素」を加味し、未来の採用者へのメッセージとして昇華させたのは記憶に新しいところです。(ビューは17万件!)

<参考記事>

この2社を改めてみると、単なる会社紹介資料とやや違う点が見えてくると思います。スタートアップというのはアップサイドとリスクのバランスが極端な状態の企業です。ここで情報開示に誤りがあると、後々の離職やトラブルにつながります。特にスキルフィットよりもカルチャーフィットの部分で厚めの説明が求められる点は注意が必要かな、と。

この辺りについてはSmartHR、宮田さんの「そんなに甘くない、面接用スライド公開の裏側」も併せて読むと理解が深まるのでオススメです。

11社の採用スライドご紹介

ということで、昨年末から今年に発行されたスタートアップの採用スライドをまとめた企画をお送りいたします。基本的に自薦・他薦両方で、対象となるのは「外部資本を積極的に取り入れる、急成長を目指した企業」です。選定のポイントは次の3点。

  • スライドだけでミスマッチを防げそうか(情報量含)
  • 事業、文化、組織が言語化できているか
  • 情報に対してオープンか

推薦(重複一部あり)は全部で35件いただきましたが、そこから上記をふまえ編集部にて対象となる企業を11社選定させていただました(社名とサービス名が違う場合はカッコ内にサービス名を記載)。

1:カクテルメイク(動画生成ツール「RICHKA」提供)

2014年創業のカクテルメイクさんの採用スライドです。同社ではカルチャーブックと呼んで、採用に興味を持った方全てにチェックしてもらうツールとして活用されているというお話でした。

2:スマートキャンプ(SaaS比較・検索「BOXIL SaaS」提供)

こちらも2014年創業、先日マネーフォワードさんのグループ入りを公表したスマートキャンプさん。スコアリングサービスで組織状態を可視化する、というのもひとつの手ですね。

3:Lang-8(ネイティブスピーカーQ&A「HiNative」提供)

先日1000万MAUを達成したLang-8さんは創業2007年と古株です。スライドの最後にQ&Aを入れているのがらしいなと。

4:AI採用マッチングLAPRAS(ラプラス)

LAPRASさんは組織論にホラクラシーを採用していることでも有名です。オープン度合いを示すエビデンスとしてSlackデータを活用しているのは参考になります。

5:カンム(アプリ発行型プリペイド「VANDLE CARD」提供)

国内フィンテックプレーヤーで成長株のカンムさん。代表の八巻さんは卒業後すぐに起業した学生起業に近い方なんですが、その辺りの雰囲気を感じられるスライドです。最後のページも愛があります。

6:カスタマーサクセスHiCustomer

ここから2点は特化型。HiCustomerさんはまだステージも若く、求めている人材が開発に集中していることから全体の説明ではなく、開発チームに絞って作成しています。リソースが少ないスタートアップならではの手法です。

7:ミラティブ(デザイナー向け採用資料)

逆にミラティブさんは全方位採用になっているので、スライドひとつでは説明しきれず、デザイナーやエンジニア向けの世界観に合わせて情報を分ける、という新たなチャレンジをしています。(27日追記:エンジニア向けも追加されてました

8:クラウドファクタリングOLTA

爆伸び中のクラウドファクタリングOLTAさんはテキスト中心の構成でした。スライド作成にあたってキレイなビジュアルを求めなくてもきちんと説明できる事例として参考になるのでは。

9:ペイミー(給与前払い「Payme」提供)

ペイミーさんは言語化が上手なチームです。採用スライドも「まるわかりBOOK」としてコンテンツ化し、採用イベントと合わせて公開されていました。

10:COUNTERWORKS(POP-UPストアシェア「SHOPCOUNTER」提供)

COUNTERWORKSさんもやってるのですが、スライドの最後のページに検索誘導するという方法はベタですがよいと思います。

11:atamaplus(AI教材「atama+」提供)

こちらも爆伸中のatamaplusさん。カルチャーに非常に力をいれているということで、採用スライドの完成度も高いです。また、組織向け施策の勉強にもなります。

ーーーー

ということで、いかがだったでしょうか。

今回推薦いただいたにも関わらず、選に漏れてしまった方ごめんなさい。ただ、見ていただいて分かる通り、傾向として全体的に理解度や納得感のあるスライドは情報量があり(おおよそ40ページ前後)、かつ、どこを強調するのか各ページ明確です。この辺りは再現性ありそうなので各社のスタイルを参考にしてもよいのではないかなと思いました。

追記:推薦の応募には間に合わなかったのですが、この記事と同じ日に公開されたグッドパッチさんのスライドが大変参考になりましたので「+1」として追加させていただきます。

番外編:グッドパッチ

グッドパッチさんのようなデザインコンサルティング・ファームの場合、サービスにフォーカスした表現はしづらく世界観中心になるのですが、さすが本職ですね。しっかりと形にされてて参考になります。

【2019年大型調達】注目の国内フィンテック・スタートアップ10選

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2019年の国内フィンテック動向を振り返ると、キャッシュレス戦争の勃発という印象が強く残っている方は多いと思います。メルペイの立ち上げや同サービスのQRコード決済におけるLINE Payとの提携、PayPayの大規模な還元セール、これら運営企業であるLINEとヤフーの経営統合と言ったニュースも記憶に新しいと思います。 しかしこうした動向の裏で、着々とサービス拡大を行い、大幅な資金調達を成功させた魅…

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Photo by Pixabay on Pexels.com

2019年の国内フィンテック動向を振り返ると、キャッシュレス戦争の勃発という印象が強く残っている方は多いと思います。メルペイの立ち上げや同サービスのQRコード決済におけるLINE Payとの提携、PayPayの大規模な還元セール、これら運営企業であるLINEとヤフーの経営統合と言ったニュースも記憶に新しいと思います。

しかしこうした動向の裏で、着々とサービス拡大を行い、大幅な資金調達を成功させた魅力的な国内フィンテック企業が複数存在しています。本記事では2019年に大規模な資金調達を成功させた国内の金融×テクノロジー企業を10つ紹介し、今年の国内市場を振りかえってみたいと思います。

1. Paidy(後払い決済)

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Image Credit : Paidy

今年フィンテック業界にとって最も大きなニュースの一つに、後払い決済「Paidy」による156億円の資金調達が挙げられます。理由は本調達の額が国内フィンテック・スタートアップの中で過去最高であるためです。

Paidyはカードなし・事前登録なしで使えるオンラインの後払い決済サービス。同サービスを決済方法として受け入れているECサイト・ショップを利用する際、ユーザーは自身のメールアドレスと電話番号を入力するだけで、支払いを翌月にまとめて行うことができます。

支払いは一ヶ月の購入分をまとめて、銀行振込かコンビニ店頭での支払い。その簡易性によってビジター顧客の購入率を上昇させています。今後もオンライン決済に注力し、加盟店の増加を図るとしています。先日、ついにAmazon JapanがPaidyの導入を開始しました。今後のさらなる躍進に期待が高まります。

調達額:156億円
調達日:11月1日
シリーズ:Cラウンド・エクステンション
投資家:第三者割り当て増資 = PayPal VenturesやSoros Capital Managementなど
、デットファイナンス = Goldman Sachs Japanやみずほ銀行など

<参考記事>
・2019/11/29:
スペースマーケットがPaidyと連携、クレカを持たないユーザーの翌月払いに対応
・2018/07/12:
カードレスオンライン決済のPaidy、シリーズCラウンドで5,500万ドルを調達——伊藤忠商事やゴールドマン・サックスが参加、対面決済に進出へ
・2017/07/16:
カードレスオンライン決済「Paidy」提供のExCo、三菱東京UFJ銀行と資本業務提携

2. PayPay(モバイル決済)

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Image Credit : PayPay

PayPay」はヤフーとソフトバンクの合弁会社として、2018年10月にサービスを開始しました。今年5月8日には、両企業の親会社ソフトバンク・グループにより460億円の追加出資が発表されました。

※大規模な金額であるにも関わらず、関係企業による出資であるため、スタートアップとして括ることは難しいですが、国内キャッシュレス・ブームを象徴する企業及びその調達ニュースだったため、本記事にリストしています。

@DIMEによれば、同サービスは2019年11月17日に登録ユーザー数が2000万人、加盟店数は170万カ所以上、サービス開始からの累計決済回数は3億回を突破しているとのこと。同様のモバイル決済競合のLINE PAYの登録者は約3000万人に上り、未だ1000万の差があることは事実ですが、サービス開始1年と考えると、そのスピード感の凄まじさが伺えます。

調達額:460億円
調達日:5月8日(※同日に決定、それ以降に実施)
投資家:ソフトバンク・グループ

<参考記事>
・11/07:インフキュリオンデジタル、2019年の決済カオスマップとQRコード決済やキャッシュレス決済に関する動向調査結果を公開

3. Kyash(カード決済)

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Image Credit : Kyash

送金・決済システムを開発する「Kyash」は、今年7月3日、シリーズ B ラウンドで約15億円の調達を実施しています。同時に、カード印刷や決済基盤を提供する凸版印刷、クレジットカード大手の三菱 UFJ ニコスと業務提携も発表しました。

そして同社の今年の躍進の中で最も特徴的だったのは、企業向けにオリジナルVISAカードの発行(イシュイング)・決済処理(プロセッシング)・運営管理(マネジメント)を代行する「Kyash Direct」を提供開始したことです。

同サービスは、国内においてはBaaS(Banking as a Service)モデルの先駆け的存在で、国内テック企業によるバンキング・サービス参入・運営を下支えする存在として、今後大きな重要性を持つと考えられます。今年10月4日には、経費精算アプリ「クラウド・キャスト」のプリペイド・カードローンチをサポートしています。

調達額:15億円
調達日:7月3日
シリーズ:Bラウンド
投資家:Goodwater Capital、三菱 UFJ キャピタルなど

<参考記事>
・2019/10/04:
経費精算アプリ開発のクラウドキャスト、カード即時発行スキーム「Kyash Direct」を使った経費精算用Visaプリペイドカードをローンチ
・2019/07/03:
Kyash、シリーズBラウンドで米Goodwater Capitalなどから約15億円を資金調達——累計調達額は約28億円に
・2019/04/25:
Kyash、企業が自社ブランドのVisaカードを即時発行できる「Kyash Direct」をローンチへ——Fintechファストトラックプログラムにも参加

4. CAMPFIRE(クラウド・ファンディング)

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Image Credit : CAMPFIRE

女優「のん」さんのテレビCMでも話題になったクラウド・ファンディング「CAMPFIRE」。今年5月に総額22億円の資金調達を完了し、同時に東南アジア地域でのサービスも開始しました。

さらに9月には融資型クラウド・ファンディングサービス「CAMPFIRE Owners」の提供を開始し、11月には「GoAngel(ゴーエンジェル)」を買収し株式型への参入も開始しています。大型調達で得た資金を土台に、積極的にテレビ広告や新サービスを開始。新市場への参入など、いくつもの挑戦が見られた2019年は同社にとって大きな変化の年だったのではないでしょうか。

また、同じく国内の競合クラウド・ファンディングサイトである「Ready For」は今年3月末に4.2億円の調達、そして「Makuake(マクアケ)」は今月東証マザーズ上場を実施しています。以上のニュースを含め考えると、今年はクラウド・ファンディング業界全体が大きく前進した年だったと言えます。

調達額:22億円
調達日:5月6日
シリーズ:Cラウンド
投資家:KDDI Open Innovation Fund、グローバル・ブレイン、伊藤忠商事など

<参考記事>
・2019/10/28:
CM効果でCAMPFIREの累計流通額が150億円突破、100億円突破から8カ月で達成
・2019/11/06:
CAMPFIREが株式型クラウドファンディングに参入ーー「GoAngel」を買収
・2019/05/06:
22億円調達のCAMPFIRE、クラウドファンディングを「超える」次の何かへ

5. 五常・アンド・カンパニー(途上国向けローン)

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Image Credit : 五常・アンド・カンパニー

10月17日、途上国向けのマイクロファイナンス事業を展開する「五常・アンド・カンパニー」は、シリーズCラウンドにて、総額42.2億円の資金調達を完了しました。

同社の展開するサービスは、インドやカンボジア、ミャンマー、スリランカなどの途上国地域におけるマイクロ・ファイナンス事業。各地域において、新会社の設立又は既存の事業者の買収を通し、持ち株会社としてグループ事業を統括し運営しています。

同社は途上国を対象にして事業を展開する企業であるため、日本国内のユーザーからの知名度は低い印象がありますが、「民間版の世界銀行」という壮大なビジョンを掲げ、2014年当初から質の高いマイクロ・クレジットサービスを提供し続けている国内有数のフィンテック・スタートアップの一つです。

調達額:42.2億円
調達日:10月17日
シリーズ:Cラウンド
投資家:第一生命保険株式会社、SBIインベストメント株式会社など

<参考記事>
・2019/10/17:
民間版の世界銀行を目指す五常・アンド・カンパニー、42.2億円のシリーズC資金調達を完了

6. WealthNavi(ロボアドバイザー資産運用)

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Image Credit : WealthNavi

ロボアドバイザー「WealthNavi」を提供するウェルスナビは11月7日、金融機関関連ファンドを中心とした投資家らから、総額約41億円の資金調達を実施しています。累計調達額は148億円と、国内のフィンテック・スタートアップの中では、頭一つ抜けている数字です。

同社が提供するのは、「長期・積立・分散」の資産運用を全自動で行うサービスで、2016年7月の正式リリースから約3年5カ月で申込件数24万口座、預かり資産1,900億円を達成しています。高度な金融知識や手間をかけずに国際分散投資が行える利便性や、ロボ・アドバイザーによるポートフォリオ作成などのツールが人気となっています。

調達額:41億円
調達日:11月7日
シリーズ:Dラウンド
投資家:みずほキャピタル、東京大学協創プラットフォーム開発、SMBCベンチャーキャピタルなど

<参考記事>
・2019/11/07:
No.1ロボアドバイザー「WealthNavi」を提供するウェルスナビが約41億円の資金を調達
・2017/05/02:
預かり資産100億円を9カ月で突破、WealthNaviの成長を牽引した要因とは

7.トラノコ(お釣り投資・資産運用)

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Image Credit : トラノコ

Wealthnavi以外にも、資産運用アプリとして大きな注目を集め、今年20億円規模の資金調達に成功したスタートアップがあります。それがおつり投資サービス「トラノコ」を展開するTORANOTEC。同社は1月31日、セブン銀行と資本提携を発表すると同時に、同銀行から20億円の調達を実施しました。

トラノコが提供するのは、クレジットカードやAmazon・楽天のECアカウントを登録しておくだけで、カード・電子マネー決済で生じたおつりを投資運用に回すことができ、ユーザーの資産運用をサポートするサービスです。スマホアプリから操作可能で、投資ファンドは安定・バランス・リターン重視の3つから選ぶことができます。

調達額:20億円
調達日:1月31日
投資家:セブン銀行

<参考記事>
・2019/12/11:
おつりで投資「トラノコ」、友達紹介プログラムを開始
・2019/01/31:
おつり投資アプリ「トラノコ」がセブン銀行から20億円を調達、事業拡大に向けて協業加速へ

8. OLTA(ファクタリング)

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Image Credit : OLTA

OLTA」が提供するサービスは、オンライン完結型のファクタリング(請求書買取)「クラウド・ファクタリング」。同社は今年6月に25億円を、そして11月末には追加で2億円の資金調達を実施しました。

同社のクラウドファクタリングは、企業の請求書を買い取ることで、短期の運転資金需要に応えるもの。約20万社のデータに基づくAI(スコアリングモデル)を開発したことで、従来必要だった面接や書類提出などの手間を効率化したのが特徴です。創業からわずか2年半という短期間で、既に150億円以上の申請総額を達成しています。

近年はクラウド・ファンディングなどのムーブメントを中心に、中小事業者でも比較的簡単に資金調達を行える環境が整いつつあります。OLTAのクラウド・ファクタリングも、同様のオルタナティブな資金調達方法の一つとして、特に製造・建設業界のサプライチェーンやIT・ソフトウェア領域において、今後重要なポジションを担っていくことが期待されています。

調達額:1度目:25億円、2度目:2億円
調達日:1度目:6月24日、2度目:11月27日
シリーズ:A
投資家:1度目:SBIインベストメント、ジャフコ、新生銀行など
2度目:日本郵政キャピタル

<参考記事>
・2019/12/05:
半年弱で50億円積み上げたOLTA、クラウドファクタリング「3兆円市場」目指してChatworkと連携
・2019/11/28:
「クラウドファクタリング」のOLTA、日本郵政キャピタルから2億円を資金調達
・2019/6/24:
創業2年で申込100億円超「クラウドファクタリング」の衝撃ーー請求買取のOLTAが25億円調達【創業者インタビュー】

9. DeCurret(暗号通貨)

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Image Credit : DeCurret

DeCurret(ディーカレット)」は、今年3月末に開業・仮想通貨交換業者の登録を行なった、デジタル通貨の交換プラットホームです。そして7月に、第三者割当増資にて合計34億円の資金調達を実施しました。

同社は、第一に既存の暗号通貨取引所のような現物・レバレッジ取引などのサービスを提供しています。そして第二に、大きな特徴として、暗号通貨を既存の電子マネーと交換するサービスの提供を行なっています。

現時点で、暗号通貨をau wallet・楽天Edy・nanacoなどの対象ブランドのポイントへと交換できるサービスを提供しており、将来的にはSuicaへのチャージなども実施する予定だとされています。同社のサービスは、現在投機的用途に限定されている暗号通貨に、外部サービスでの利用可能性を提供し、その価値を向上させる取り組みとして、大きな期待と注目が集まっています。

調達額:34億円
調達日:7月11日
投資家:株式会社インターネットイニシアティブ、KDDI株式会社、コナミホールディングス株式会社、住友生命保険相互会社など

<参考記事>
・2019/08/21:
デジタル通貨のメインバンクDeCurret(ディーカレット) 国内初、仮想通貨から複数の電子マネーへチャージ
・2019/07/11:
デジタル通貨のメインバンクDeCurret(ディーカレット) 総額34億円の第三者割当増資による資金調達を実施
・2019/03/25:
デジタル通貨のメインバンクDeCurret仮想通貨交換業者登録と開業に関するお知らせ

10. justInCase(インシュア・テック)

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Image Credit : justInCase

12月に入って、インシュア・テック企業である「justInCase(ジャスト・イン・ケース)」による10億円の資金調達が実施されました。「新スマホ保険」やシェアリングエコノミーの概念を保険に応用したP2Pモデルのサービス「わりかん保険」を提供します。

同社は顧客チャネルを持つ企業との提携により、B2B2Cモデルを駆使しサービスを拡大を図ります。なお、本調達資金は、大企業とのパートナーシップ強化のためのインフラ構築や人材採用の拡大、新規事業開発の加速を中心に使うとされています。

日本は国内の既存保険大手がデジタル化を内製する動きが強いこともあり、インシュアテックに分類されるスタートアップが比較的少ないとされています。その意味で、日本国内のインシュア・テックエコシステムの活性化のためにも、今後の同社の躍進には大きな注目が集まっています。

調達額:10億円
調達日:12月9日
シリーズ: Aラウンド
投資家:伊藤忠商事、グローバル・ブレイン、ディー・エヌ・エーなど

<参考記事>
・2019/12/09:
インシュアテックのjustInCase、シリーズAラウンドで約10億円を資金調達——B2B2Cでの顧客獲得を狙い、事業会社連携を強化
・2018/06/29:
インシュアテックのjustInCase、少額短期保険業者登録を受けローンチへ——500 Startups Japan、GCP、LINE Venturesらから1.5億円を調達

さて、以上10のテック企業らは、大型調達をしたという点で共通だとはいえ、企業の存続年数も調達ラウンドも異なります。

今年既に市場に大きな影響を及ぼし、確かな実績を残した企業、たとえばPaidyやPayPay、OLTAなどは、既に確立した成長モデルを軸にさらなる躍進が期待できます。

一方で、CAMPFIREやDeccuret(ディー・カレット)、Kyashなどのような、新サービス・ローンチに関連した大型調達を行なった企業らには、今後の成長やビジネスモデル確立に大きな期待が集まります。

今回紹介した10の企業は、決済(Payment)・融資(Loan)・資金調達(Funding)・資産運用(Wealth Managment)・暗号通貨(Cryptocurrency)・保険(InsurTech)と、現在のフィンテック市場に存在するほぼ全ての領域を網羅しています。

こうして振り返ると2019年は、各分野で様々なイノベーション・ビジネスの成長が生まれていることが分かり、改めてフィンテックの面白さや、国内フィンテックの躍進を再確認できるような年だったのではないでしょうか。来年以降の動向にも、とても期待が高まります。

※上記10の企業の選考基準に関して:リサーチ範囲内で作成した2019年資金調達額ランキング上位に位置し、最低でも10億円以上の資金調達を実施した企業の中から、フィンテックに分類されるビジネス・ジャンルをできる限りカバーするように作成してあります