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YJ Capital

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YJキャピタルはヤフー株式会社のCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)として、インターネット領域において将来性のあるスタートアップの支援を行っています。また、Zホールディングスのグループ企業のもつインターネットビジネスに関する国内最大のユーザーベース、包括的な事業領域とネットワーク、そして豊富なノウハウなど、単に資金提供だけではなく、グループのリソースを最大限活用した投資と支援を行うことで、組織のミッションでもある『UPDATE INDUSTRY』を実現して参ります。

YJ Capitalの話題

インターネット最強は生まれるかーーYJキャピタルが「Zピッチ」開始、グループ各社連携を加速

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ニュースサマリ:ヤフーのCVC、YJキャピタルは9月16日、グループ企業との連携強化を目的とした取り組み「Zピッチ」の開始を伝えている。ヤフーやソフトバンク、Zホールディングスのグループ企業各社とスタートアップの協業を模索するもので、事業部の責任者や現場メンバーを対象に事業プレゼンテーションの機会を提供する。開催は非公開形式で隔週での実施が予定されている。応募は無料。事業との関連を考慮して応募内容…

YJキャピタルが以前開催していた事業提携ピッチの様子(素材提供:YJキャピタル)

ニュースサマリ:ヤフーのCVC、YJキャピタルは9月16日、グループ企業との連携強化を目的とした取り組み「Zピッチ」の開始を伝えている。ヤフーやソフトバンク、Zホールディングスのグループ企業各社とスタートアップの協業を模索するもので、事業部の責任者や現場メンバーを対象に事業プレゼンテーションの機会を提供する。開催は非公開形式で隔週での実施が予定されている。応募は無料。事業との関連を考慮して応募内容から選考される。

YJキャピタルではこれまでdelyやビジョナル(旧ビズリーチ)などへの出資を通じてグループ企業・サービスとの連携を進めてきた実績がある。選出されたスタートアップについては、具体的な事業連携の検討やYJキャピタルを通じた出資検討が実施される見込み。

話題のポイント:ここ1、2年、スタートアップエコシステムにおける投資サイドのアップデートが進んでいる印象です。独立系ベンチャーキャピタルについてはこちらの記事にまとめたように、各社ハンズオンを組織化したり、リブランディングすることでそれぞれのカラーを出すようになっています。

一方、事業系の投資を担うコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)についても同様の差別化が始まっています。KDDIは2011年からインキュベーションのプログラム「KDDI ∞ Labo」を軸にCVCファンドと直接投資をうまく使い分け、買収したソラコムを上場に向かわせる「スウィングバイ・IPO」を話題にしました。

サイバーエージェントのCVC、サイバーエージェント・キャピタル(CAC)もまた、グループのノウハウを提供する支援体制を公表したばかりですが、今回のYJキャピタルも同様の流れとみてよいでしょう。KDDIがパートナーを組む複数企業との共創、CACがグループシナジーを中心とした支援を打ち出しているのに対して、YJキャピタルはグループ会社との直接的な連携を提案しているのも差別化ポイントです。

特にヤフーは国内インターネットを牽引してきた一丁目一番地です。

PayPayを始めとするフィンテック、ヤフオク中心のコマース、メディアとしての「Yahoo! JAPAN」以外の領域も存在感を示しており、例えばグループ企業の一休(トラベル)、鳴り物入りで傘下となったZOZO(ファッション)、アスクル(小売流通)など、「無い物はない」状態を保ちつつあります。

もう一つ忘れてはならないのがLINEとの統合です。まだ詳しい時期は未定ながら、これまで弱かったコミュニケーション領域が補完されることで、領域の抜け漏れはもちろん、東・東南アジアでの展開も視野に入ってきます。アジア圏にはBAT(中国)やGrab・Gojec(東南アジア)などの強豪が力を示しており、ここにZHD・LINE連合がどのように食い込んで世界のポジションを獲得するかに注目が集まっています。

今回のZピッチは名称からもわかるように、YJキャピタル単体のピッチイベントというよりは、こういった広義でのアジア・インターネット戦争における参加窓口と考えた方がよさそうです。今日時点でのZホールディングスの時価総額は約3.2兆円で、インターネット・カンパニーとしてはエムスリー(約4.1兆円)に次ぐ規模となっています。ここを超え、アジアの巨頭たちと競り合うスタートアップが出てくるかどうか。久々に楽しみなステージが出てきました。

コロナ禍でどうなる「Y Combinator 2020」ここが注目【Podcast:Code Republic・松山さん】

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史上初めて完全オンライン上にて開催された「Y Combinator 2020年度夏季アクセラレータープログラム」。8月31日より2日に分けて、総参加企業198社がオンライン上でプレゼンテーションを披露しました。 参加企業のほぼ半分である48%はB2Bソフトウェア開発スタートアップが占め、それに続けてヘルスケア関連が16%、コンシューマー関連が13%、フィンテック関連が11%を占める結果となっていま…

史上初めて完全オンライン上にて開催された「Y Combinator 2020年度夏季アクセラレータープログラム」。8月31日より2日に分けて、総参加企業198社がオンライン上でプレゼンテーションを披露しました。

参加企業のほぼ半分である48%はB2Bソフトウェア開発スタートアップが占め、それに続けてヘルスケア関連が16%、コンシューマー関連が13%、フィンテック関連が11%を占める結果となっています。本稿ではスタートアップアクセラレータープログラム「Code Republic(コードリパブリック)」の松山馨太さんがstand.fmで語った、デモデイ参加企業のトレンドについて印象に残ったポイントをまとめてみました(文中の発言箇所はすべて松山さんの音声からの書き起こしです)。

音声はこちらから

松山さんは今回のプログラムを三つのトレンドに整理しています。

  • 新興国のタイムマシン経営
  • withコロナ型のビジネス
  • データ業務の効率化

まず、「新興国のタイムマシン経営」について。

「アメリカでの成功モデルをインドやアフリカ・南米などの新興国で展開するビジネスです。採択社数を増加させた2019年冬プログラムも多く存在していましたが、今回は前回に比べても増加している印象です。それだけ単純なインターネットサービスによるイノベーションが難しくなっているのかもしれません」。

では、今回のバッチで目立っていた「新興国のタイムマシン経営」を軸に持つスタートアップはどういったものが挙げられるのでしょうか。松山氏は、約10社の同領域へ挑むスタートアップを取り上げています。

「今回のバッチでは、チャレンジャーバンクを展開するインド版PlaidのDecentro、決済システムを提供するパキスタン版StripeのSafepay、コーポレートカードを提供する東南アジア版BrexのVoloPay、手数料無料の株取引PFを提供する中東版ロビンフッドのThndrが大きく印象に残っています。不動産領域ではメキシコ版OpenDoorのFlat、エジプト版ZillowのSakneen、他にも飲食店のクラウドPOSを提供する南米版TOASTのParrot Software、卒業後に学費を支払うISAモデルのヨーロッパ版ラムダスクール、南米版ラムダスクールなど多くのサービスが発表されていました」。

中東版ロビンフッド「Thndr」

withコロナ型のビジネス

またCOVID-19真っ只中ということで、例年にはない特徴を次のように指摘されています。

「コロナウイルスの流れの中でヘルスケア領域はもちろんのこと、デリバリーサービスだけで9社、教育やフィットネスなどオンラインを通じたイベント・レッスンを販売するサービスが11社、リモートワークやリモートのコミュニケーションを支援するサービスが13社となっています。こうした動きは例年とは大きく異なっており、コロナによる環境変化を意識したビジネスが多く選定されていると感じました」。

具体的な選出スタートアップは次のようなものです。

「デリバリーでは中小規模のリアル店舗やEC事業者に対して、オンデマンドで即日配達サービスを提供するTyltGoのようなサービスがあり、複数事業者からの集荷、ルートの最適化、ドライバーのクラウドソーシングにより低コストで即日配達できる配送ネットワークを提供しています。

またIn Stockは、Amazon Primeより低価格で同日配達してくれるECプラットフォームを目指しており、消費者は、郵便番号と製品名を入力すると、即日配達もしくは持ち帰り可能な商品を表示、そのまま購入できるECサービスになっています。このサービスは小売店が登録すると、POSから在庫情報を読み取り、自動的に出品〜販売され、リアル店舗の小売業者の販売支援という一面もになっています。オンラインイベントやレッスンの販売では、サービス版Shopifyのようなサービスが多く登場しています。

Sutraは、フィットネスに特化したオンラインレッスンコンテンツの販売プラットフォームで、各ショップページ、ライブコンテンツ・オンデマンドコンテンツの販売、予約・決済システムを提供しています。同じくPolyOpsはWhatsapp・Telegramでオンラインレッスンを販売するために必要な機能を提供するサービスとなっており、月額支払・単発支払・アフィリエイトプログラム・会員管理等のツールを提供しています」。

この「ソーシャル・ディスタンス」におけるトレンドの中で特徴的な動きは次のようなものだそうです。

「このようなソーシャルを販売チャネルに変化する動きは、サービスだけでなく物販のECにおいても見られました。たとえば、インドのBikayiは、WhatsApp版Shopifyを標榜しており、インドでは個人商店がWhatsAppで注文をもらい配達するケースが多いそうで、WhatsAppと連携したオンラインショップを簡単に開設できるサービスを提供しています。同社はデモデイ終了5日後には約2億円の調達を実施しています。

リモートワークの領域では、常時接続のビデオチャットサービスとハードウェアを提供するSidekickのようなサービスがありました。また、TellaやQueueのような動画の共同編集サービスも登場しています。プライベートのリモートコミュニケーションでは、ZoomやLINEでのビデオを通話が一般化していますが、新たなフォーマットを提供するサービスも生まれてきています。

たとえば、Hereは、他のビデオチャットとは異なり自由にビデオチャットルームを作成できるサービスで、ルーム上に友人を招待したり、パワポ感覚でGIF、画像、メモなどを貼り付けて自由にカスタマイズできるサービスになっています。また、Piepackerはゲームをしながらビデオチャットできるクラウドゲームプラットフォームとなっており、ゲームをしながら話すだけでなく、ゲームキャラに自分を加工したり、ゲームに最適化したコミュニケーションで盛り上がれるサービスとなっています。

このようにデリバリー、オンラインイベント・レッスンの販売、リモートワーク・リモートコミュニケーションツールのようにWithコロナを意識したビジネスが多く登場していることが分かります」。

データ業務の効率化

最後のトレンドは「データ業務の効率化」です。SaaSなどの発展で、一般企業が膨大な利用データを抱える中、それを効率的利用へ導くためのサービスということでしょう。具体的に、デモデイではどのような課題解決を目指すスタートアップが選定されたのでしょうか。

「データのエラーや欠損を自動的に追跡・確認するシステムを提供するHubbleはデータの加工・変種における非効率を軽減しています。また、Aquarium LearningやKeyDBのように機械学習やデータベースの処理速度自体を向上させるサービスもあります。さらに非エンジニアのデータ分析では、Salesforce等のSaaSやShopify、Stripe等の決済情報、ソーシャルメディアに至るまで自社の様々なたデータ一元管理できシステムを提供するMozart Data、SQLを記述せずノーコードでデータベース上の分析・管理できるツールを提供するAchoが選定されています。」

今回のバッチは、YCにとってもその運営方法や選出するスタートアップのトレンドなど大きな変更が起きる年になったと言えるでしょう。松山さんが取り上げているように、COVID-19で求められている「withコロナ型のビジネス」は確実に増えたことは間違いありません。また、withコロナに関わらず今まで通りビッグデータ解析系スタートアップや、タイムマシン経営を先進国で目指すスタートアップも順調に需要を集め続けていることが伺えます。

ある意味、今年はコロナ禍でYCがどういった系統のスタートアップを選出するのか、例年以上に注目が集まっていたと思います。結果だけを見れば、コロナ関連の新市場が誕生し総合的な割合を増やしつつも、大半は既存テクノロジーにイノベーティブな磨きをかけていく、そうしたスタートアップが占めていたと感じます。

VC界をリードするY Combinatoがパンデミック以降、初めて選出したスタートアップにwithコロナ型のビジネスが組み込まれていたことはこれからのスタートアップ・VCの方向性を見極めていく上で重要なターニングポイントとなりそうです。

編集部よりお知らせ:松山さんが共同代表を務めるアクセラレータープログラム「Code Republic」では随時参加企業を募集中です。参加希望される方は公式サイトをご覧ください。

ノーコードで世界は変わる

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本稿はスタートアップ自身がストーリーを投稿する「POST」記事です ノーコードという言葉をご存知でしょうか。 言葉の通り、ノーコード(プログラミング不要)でアプリケーション開発のハードルを下げることを指します。今、このノーコードが様々な業界のビジネスや仕組みに影響を与えはじめています。私たちヤプリもまた、数多くの事例を手がけることでその効果を企業のみなさんと分かち合ってきた一社です。 見えてきた世…

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ヤプリCTO 佐野将史

本稿はスタートアップ自身がストーリーを投稿する「POST」記事です

ノーコードという言葉をご存知でしょうか。

言葉の通り、ノーコード(プログラミング不要)でアプリケーション開発のハードルを下げることを指します。今、このノーコードが様々な業界のビジネスや仕組みに影響を与えはじめています。私たちヤプリもまた、数多くの事例を手がけることでその効果を企業のみなさんと分かち合ってきた一社です。

見えてきた世界観は次のようなものです。

  • 非エンジニアの能力を拡張し、想像力を高め、アイデアを実現させることができる
  • 組織にスピードを与え、ユーザードリブンなプロジェクト推進を可能にする

本稿ではノーコードがもたらす変化、この先にある世界についてみなさんと共有できればと思っています。

広がるノーコードの世界

※動画は2015年当時のYappli

改めて、ヤプリで開発を担当している佐野将史と申します。創業からずっとアプリプラットフォーム「Yappli」の開発に携わってきました。7年近く経過した今、大手ブランド中心に導入社数は400社を超えて今も伸びています。

現状では「マーケティング支援」と我々が呼んでいるジャンルが顧客の大半を占めている状況です。背景としては、企業のモバイルマーケティング強化の文脈で自社アプリ利用が進んでおり、具体的にはアパレルや通販、商業施設、飲食などの業界(インダストリー)がアプリを通じて集客強化をしているケースが多いです。

ポイントカードやスタンプ、クーポン、ECがよく使われる機能で、オンラインのみならず、オフライン店舗への誘導などにも貢献し、利用企業の売上や集客に一定の効果が認められるようになりました。顧客の成長がそのまま私たちの成長につながっています。

一方、利用シーンにも広がりがあります。

例えば商品カタログや研修動画です。社内や取引先に配布するB2Bアプリで大手のメーカーさんに採用いただいてます。また、ユニークな例では青山学院大学さんが大学と学生間でのコミュニケーションを目的に利用されているケースもあります。

従来のオフライン(紙媒体など)や、ウェブで管理や共有していたものが、より接点の近いアプリに置き換わっているわけです。このようにインダストリーを問わない形で企業のモバイル投資が進んでおり、大きなチャンスが広がっているのがこの、ノーコードの市場になります。

ノーコードで社会はどう変わるのか?

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Photo by Simon Matzinger on Pexels.com

では、本題です。ノーコードは世界をどう変えるのでしょうか。アプリが簡単に作れるだけ、今までのコストが圧縮できて利益が出るようになったーー。もちろん即時的な効果は前述した通りです。

しかし、私たちはもっと幅広い可能性があることに気がつきました。

例えばノーコードの世界観ではエンジニアや外注するベンダーのスキルは各社平等になります。各社(特に非情報産業系の企業)エンジニアリングのレベルは極めて平坦になります。一方、特色が出るのがデータです。価値のあるコンテンツやデータはそれぞれの企業の特色を表現し、よりこれら魅力的なデータをどうやって集めるか、という点が重要になってきます。

これまでは腕のよいエンジニアを雇い、より良い見せ方、より個性的な表現に高いコストを支払っていたわけですが、ノーコードの世界ではより企業のブランドの保有する資産(データ)という、本質的な競争環境が生まれると予想されます。

ではエンジニアは不要かというともちろんそんなことはありません。

ノーコードの世界では、量産可能なアプリを作る技術はどんどん不要とされていきます。反面、オリジナリティ(尖った・面白いもの)のあるエンジニアはより高い評価を受けることになります。言い換えれば、量産っぽいつまらない仕事が減り、クリエイティブな仕事ができるので優秀な人はどんどん活躍できるわけです。もちろんですが、エンジニアの知識があれば、ノーコードツールを活用する方法も、そして企業がどのようなデータを集めればより競争力が付くかも想像しやすくなります。

つまり、企業はより資産となるデータやコンテンツの独創性が競争力となり、かつ、エンジニアもより高い次元で企業と仕事ができるようになる。そんな世界観が今、実際にやってきていると考えています。

ノーコードの思想

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現在提供しているYappliは今年7月にCMS刷新した

当然ですが、まだまだ道は半ばです。

エンジニアの方であれば理解いただけると思うのですが、400以上の様々な活用をされるアプリが、同じ言語で作られていて、同じプラットフォーム上で動いていることは、非エンジニアが想像する100倍くらいとんでもないことです。ある特定のアプリに対して、誰でも運用できるCMS(管理画面)があるのとは訳が違います。だから当初から「Yappli」を「アプリのCMS」とは言いたくありませんでした。

本当にこの世界を創るには強い信念と思想が必要です。便利なものを作ればいい、儲かるものを用意すればよい、投資が集まる聞こえの良い美辞麗句を並べれば良い、ではすぐに挫折します。

例えば、アプリ開発だけでよければ、カスタマイズをした方がいろんなアプリを作れるし、販促アプリ開発ツール、社内共有アプリ開発ツール、など、使用用途によってCMSを分けた方が売りやすいかもしれません。

しかし、1つの課題に対して1つのピースで解決していては絶対に生まれないアイデアや発見があるはずです。この7年間でどんどん変わっていく世界はそれを教えてくれました。なので、ヤプリとして活用方法を提案することはあっても、使用用途を決めることはしません。余白を残していることは重要なのです。

そして何よりノーコードが果たす役割として大切なのが「人の成長」です。

実際にYappliを最大に活用しているデザイナーさんや、導入担当者と近いCS(カスタマーサクセス)の担当者さんの言葉にヒントがありました。

そこにどんな人でも運用可能な管理画面があり、MAのようなプッシュ通知を打つことができたり、誰がみてもわかるダッシュボードがあったり、CDPと連携しデータを活用したり。サイロ化された組織を横断し、いくつものツールを連携することで実現可能だったことが、プラットフォーム上で実現できるようになれば、担当者の能力の拡張につながるはずです。

短期間でPDCAが回せる環境があれば、そこでの発見や経験は確実に人の成長に寄与します。またさらにそれを横に展開することで、その成長は加速されるはずです。私たちも導入企業の担当者さんと一緒に、アプリの運用についてワークをするようなミートアップも開催してます。ノーコードを合言葉に、業界や職種を超えて、人と人との交流を促進させるきっかけになれば、よりよい世界が広がると信じています。

本稿はノーコードのアプリプラットフォーム「Yappli」を開発・提供する株式会社ヤプリCTO、佐野将史氏によるもの。Facebookアカウントはmasafumi.sano。彼らの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトください。

小売デジタル化のhey、米Bain Capitalが70億円出資ーー予約集客のクービックを買収【報道・追記】

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STORESなどのコマース、決済プラットフォーム企業を傘下に運営するヘイ(hey)は8月4日、シリーズEラウンドの第三者割当増資の実施を公表する。 下記の通り、同社から今回の買収と増資について正式な発表があったので追記する。 参考情報:hey がクービックをグループ化 お商売のデジタル化促進に向け、サービスを統合し、個人事業者、中小企業のデジタルインフラを目指す また、今回の大型増資にあたり、ヘイ…

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ヘイウェブサイト

STORESなどのコマース、決済プラットフォーム企業を傘下に運営するヘイ(hey)は8月4日、シリーズEラウンドの第三者割当増資の実施を公表する。

下記の通り、同社から今回の買収と増資について正式な発表があったので追記する。

また、今回の大型増資にあたり、ヘイ代表取締役の佐藤裕介氏のリリースコメントを全文掲載する。

先日お客さまからいただいた言葉が忘れられません。STORES をご利用いただき、旅館の名物である金目鯛の煮付けをネットで販売開始した浜の湯の鈴木社長のひとことです。

「宿泊客がゼロで暇になってしまった厨房に、煮付けのオーダーが全国から続々と入り活気が戻った。自分たちを求めてくれるお客さまがいることにスタッフみんなが勇気づけられ、いつか泊まりにきたいとメッセージをくださるお客さまのためにも、みんなで踏ん張らないといけないとネット販売をしてみてあらためて感じた」

私たちができることは、大きな災害を前にして小さなものですが、とはいえ、このように大変な状況にある方々の希望や活力の源になれるかもしれないと再認識しました。 今回の資金調達とクービックのグループ化を通じて、コロナウイルスの感染拡大と事業者のみなさまの営業自粛にまつわる課題を解決するためにリリースしてきた、売上金の早期出金やオンラインストア開設サポート、ビデオ会議サービス「Zoom」との連携によるオンラインレッスン予約の簡易化などのニューノーマルに対応した個人、中小事業者向け機能の展開をより加速していきます。

hey とクービックの仲間、そして、今後入社する仲間と共に、単なる利益と規模の追求だけでなく、こだわりや情熱、たのしみによって駆動される経済に支えられた社会となることに貢献していきたいと思います(ヘイ公式発表より)。

引受先となるのは米投資会社のBain Capital、香港投資会社のAnatole、ゴールドマン・サックス、PayPal、YJキャピタル、既存投資家としてWiLが参加する。シリーズE全体で調達した資金は非公開だが、同社の説明によるとBain Capital単体での出資額だけで70億円が投じられる模様。また、一部報道にもあった通り、これまでの既存株主からの買取もこの中に含まれる。増資に合わせ、開発などの体制を現在の200名から倍増の400名にまで引き上げる計画。

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ヘイが運営するサービス

また、これに合わせて集客・予約システムのクービックの発行済み全株式を取得し、グループ化する。運営するCoubicは先日、Google検索などでで店やサービスを見つけ、そこから予約までをGoogle上で完結できる「Googleで予約」の本運用を開始したと発表したばかり。

また、新型コロナウイルスへの対応などから、先日発表された Zoom 連携の実装を優先させるなど、新しい環境下でのお店予約のあり方を推進してきた。

クービックは2013年10月、グーグルの検索プロダクトマネージャーなどを歴任した倉岡寛氏(現在、クービック代表取締役)により設立された企業で、月間利用ユーザは250万人、180を超える業種に対応しており、8万社以上(個人事業者を含む)が利用している。

本件については追加の情報が届いたら追記する。なお、参考記事としてheyに関する情報をこちらにまとめた

11億円調達「TANP」が見出した、ギフトEC市場デジタル化のチャンス

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ニュースサマリ:ギフトショップ「TANP」を運営するGraciaは7月29日、第三者割当増資の実施を公表した。投資ラウンドはシリーズCで、増資を引き受けたのは既存投資家のグロービス・キャピタル・パートナーズ、SMBCベンチャーキャピタル、 ユナイテッド、個人投資家として有安伸宏氏(出資額は7000万円)。新規株主としてYJキャピタルが今回のラウンドから新たに参加している。 調達した資金は11億円で…

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8月移転予定の倉庫にて/Gracia代表取締役の斎藤拓泰氏(素材提供:Gracia)

ニュースサマリ:ギフトショップ「TANP」を運営するGraciaは7月29日、第三者割当増資の実施を公表した。投資ラウンドはシリーズCで、増資を引き受けたのは既存投資家のグロービス・キャピタル・パートナーズ、SMBCベンチャーキャピタル、 ユナイテッド、個人投資家として有安伸宏氏(出資額は7000万円)。新規株主としてYJキャピタルが今回のラウンドから新たに参加している。

調達した資金は11億円で、今回の増資で累計の調達額は17億円となった。株価などの詳細は非公開。前回ラウンドは2019年8月で5億円の増資を実施しており、人員体制の強化やロジスティクスの管理システムを改善した結果、1日あたりのギフト発送可能件数を1200件から2300件まで伸ばすことに成功している。今年6月の売上成長率は前年同月比で3倍になっている。

調達した資金で自社契約の倉庫を拡大(記事冒頭の写真)し、基幹業務システムの開発もさらに進めるための人材投資を中心に実施する。

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TANPウェブサイト

話題のポイント:ギフトECのTANP運営が1年で順調に成長してラウンドを次に進めました。前回の取材でも代表の斎藤さんにお聞きしていますが、気になるのはギフト市場におけるTANPのポジショニング、ビジネス戦略です。物理的なモノを発送するというフィジカルな限界点や、ビジネス的なスケールの方向性など、いくつかポイントを斎藤さんにお聞きしました。

まず、彼らがひとつ打ち出した方向性として、ギフト配送システムの将来的なビジネス向けOEMがあります。ギフトにはラッピングなどのオプション対応といった、通常のECサプライチェーンとは異なる点があります。EC市場の伸びしろを考えると事業者がこのオプションを求める可能性は大いにあり、Graciaとしてそこにビジネスチャンスを見出そうとしているというわけです。

これら倉庫管理のテクノロジー市場は「Warehouse Management System(WMS)」と呼ばれ、米調査会社のリサーチによると2020年時点での市場規模は24億ドル相当で、これが2025年には51億ドル規模にまで成長するという試算も発表しています。

WMSは複雑な倉庫や物流ネットワークの効率的な処理、拡張、生成される大量のデータを迅速に処理するテクノロジーを提供します。これを導入することで事業者は在庫ストックや従業員の効率化に関する意思決定がやりやすくなり、さらにTANPはここに自社サービスで培ったギフトラッピングなどのオプションノウハウを追加し、他社にOEM展開することを見込んでいるのです。

では、ポイントとなるギフトオプションはどのような難しさがあるのでしょうか。ここからは斎藤さんの回答を交えて説明したいと思います(太字の質問は全て筆者)。

ーーギフト加工部分の難易度が高い、ということでしたが、主に注目している工程の課題と解決方法についてTANPの取り組みを教えてください

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資料提供:Gracia

ギフト加工とGraciaで呼んでいる作業は、一般的な倉庫業の中では「流通加工」と呼ばれる業務の一つです。ギフト以外の例で行きますと「値札つけ」、「輸入製品のタグの張り替え」などもこれに当てはまります。いわゆる3PL(サードパーティーロジスティクス)などの倉庫委託業社でもこれらのギフトラッピングは一部請け負っているところはありますが、対応している業者が未だ少ない、対応していたとしても少量多品種だと対応不可という課題があります。

ーー具体的にどこが難しい?

ギフト対応を実現するためにはユーザーインターフェイス側と基幹業務システム側を一気通貫して設計をしないといけない、という背景があります。当社ではECパッケージなどを使わずにこれらのシステムをフルスクラッチで開発してきましたので、少量多品種で豊富なギフトラッピングをスケーラブルに実現ができました。

ーー既存のWMSに独自に付け足すというよりは、ギフト対応用にイチから全て作らないとスケールに問題がでる

ただ弊社のシステムもまだ未完成でありますので、よりお客様へのサービス価値を上げながら、商品点数を増大し、スケーラビリティを担保することが今後の最大の課題です。今後は根本的なデータベースの見直し、IoT機器の倉庫への導入を含め解決に向けて地道に取り組んでまいります。

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資料提供:Gracia

ーー話を変えてギフト市場について。前回に引き続いての質問ですが、1年事業を継続してみて掴んだ世界観を教えてください

ギフト市場は全体で10兆円の市場と言われております。当社はその中で「ギフト×EC」というドメインが主戦場です。その中で他の主なプレイヤーとしては総合ECのギフト部門、百貨店のEC部門などが当社の競合にあたります。現状日本のEC化率というものが2019年時点でおよそ7%だと仮定すると、現状でおよそ7000億円の市場、ここから10年以上かけて20%ほどになると仮定するとおよそ2兆円の市場になると考えております。

ーーこの中でのWMSに関連する領域を攻める、というわけですね

この市場において、ことECにおいてはギフト対応が各社まちまちとなっております。実店舗においては店員さんが個別のマニュアルに従って対応できますが、ECでは画一的に、効率的に対応することが求められます。ここの物流におけるDXが進んでいないこと、当社がギフトに特化したロジスティクスを構築できつつあることに鑑みて、将来的に他社ECでのギフト対応の出荷機能を請け負うことも視野に入れております。

ありがとうございました。

ecmarket
国内電子商取引市場規模(BtoC及びBtoB)・経済産業省

2019年における国内のEC市場は約20兆円で前年比で7.6%の成長、EC化率についても消費者向けで約6.8%、ビジネス向けで約32%とまだまだ伸びる市場です。さらに言えば、感染症拡大の問題で人々のオンライン化は加速することになりました。

TANP自体の成長もそうですが、そこで得たノウハウを元に全てのEC事業者のギフトプラットフォームとして次のスケールを狙うというGraciaの戦略は正しいもののように思えます。

エンタメテック「THECOO」がソニー・ミュージックなどから7.1億円調達

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エンターテインメント関連のテクノロジーを手掛ける「THECOO」は7月20日、ソニー・ミュージックエンタテインメント、i-nest capital、YJキャピタル、ドラキア・オラシイタ、ダ・ヴィンチ・プロジェクトの合計5社から出資を受けたことを公表している。 今年6月に実施した増資(3億8000万円)に続くもので、これと合わせて調達した金額は7億1000万円となった。YJキャピタルは6月に続いて今…

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エンターテインメント関連のテクノロジーを手掛ける「THECOO」は7月20日、ソニー・ミュージックエンタテインメント、i-nest capital、YJキャピタル、ドラキア・オラシイタ、ダ・ヴィンチ・プロジェクトの合計5社から出資を受けたことを公表している。

今年6月に実施した増資(3億8000万円)に続くもので、これと合わせて調達した金額は7億1000万円となった。YJキャピタルは6月に続いて今回も参加している。

THECOOは、会員制ファンコミュニティアプリ「Fanicon」をはじめ、インフルエンサーマーケティングをサービスとして提供している。Faniconには、アーティストや俳優、アニメコンテンツやテレビ番組企画など1700のコミュニティが立ち上がっている。また、感染拡大防止の影響を受けたライブエンタテインメントの新たな収入源の創出を目的としたチケット制ライブ配信サービス「Fanistream」を今年3月から開始している。

調達した資金で採用と人材強化、海外展開を見据えたサービス認知向上の為のマーケティング投資を進める。また、本格的なライブ配信が可能なスタジオ建設なども予定している。

via PR TIMES

2020年・エコシステムはどう変わる(1)スタートアップの投資判断

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まるで5年、いや10年という時を飛び越したかのような気持ちになる。 今年のはじめ、私は2030年までの10年間を占うために幾つかの記事を公開した。投資家たちの言葉に耳を傾けた「次の『10年パラダイムシフト』を探る旅、投資家たちが語るスタートアップ・2030」がそれだ。 この中で語られるデジタルシフト、働き方の変革、お金の概念、ロボットたちとの共存。テクノロジーが私たちの世界を徐々に浸透し、10年た…

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Photo by Josh Sorenson on Pexels.com

まるで5年、いや10年という時を飛び越したかのような気持ちになる。

今年のはじめ、私は2030年までの10年間を占うために幾つかの記事を公開した。投資家たちの言葉に耳を傾けた「次の『10年パラダイムシフト』を探る旅、投資家たちが語るスタートアップ・2030」がそれだ。

この中で語られるデジタルシフト、働き方の変革、お金の概念、ロボットたちとの共存。テクノロジーが私たちの世界を徐々に浸透し、10年たった2030年に「さて、実際はどうなったのか」と答え合わせをするはずだった。

しかし全ての予定は変わってしまった。いや、まさかと思ったが、世界の方から変化を求めて「やってくる」とは思っていなかった。

感染症はもちろん怖い。自分の大切な人を奪っていくからだ。疲弊している人たちもいる。だから手放しに喜ぶことではない。けど、それでも変わる世界に、希望を持って進んでいくのがスタートアップの使命だ。

一方で本当に世界は変わるのか?一時的な混乱で元に戻るのでは?と思う自分も確かに存在する。何が変わって何が変わらないのか、何がじわじわと変化するのか。

そこで本稿では年初にまとめた「次の10年パラダイムシフト」の補足版として、スタートアップ世界に何がこれから起ころうとしているのか、改めて彼らの声に耳を傾けて次の4項目にまとめてみることにした。

  • (1)スタートアップの投資判断
  • (2)激変するオフィスと働き方
  • (3)デジタル化する経済「DX」大航海時代
  • (4)エンターテインメントの未来

変わらないスタートアップの投資判断

まずなにより大切なのは「今を生きる」投資家や起業家たちの生の言葉だ。例えば企業のほぼすべてが投資をストップする、という調査結果を掲載している報道もある。本当にそこまで極端な状況なのだろうか?

グローバル・ブレインが実施した調査「 αTrackesアンケート」(事業会社・CVC21社が匿名で回答)と、独立系ベンチャーキャピタルCoral Capitalが実施した「JAPAN STARTUP LANDSCAPE(2020年版・4月〜5月に83人の起業家・18人の投資家が匿名で回答)」、そして私が5月に実施した主要なスタートアップ投資を手がけるVC・CVCアンケート(13社が記名でコメント回答)の結果を合わせて整理してみた。

投資サイドの考え方はどうだろうか。

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Image Credit : Global Brain Corporation

αTrackesのアンケートで「投資を控える」としたのは10%未満、私が実施したアンケートでも全員が基本的な投資スタンスはこれまでと変わらない、と回答していた。

一方で、今の混乱がおさまって落ち着いて投資ができるようになるには1年後、来年の春以降と考えている人も多い。また、JAPAN STARTUP LANDSCAPEの設問「資金調達環境は悪くなるか」で投資サイド全員(18社)が「悪くなる」と回答している。

投資スタンスは変えないが資金調達環境は悪く、状況が回復するまでに時間を要する。

ーーこの一見矛盾するような状況はなぜ起こるのか。私が実施したアンケートのコメントを一部紹介したい。まずはスタートアップに積極的な投資を続ける専業の独立系VCの見方だ。

「投資スタンスは基本不変ですが、B2Bではインターネットがより既存産業の根幹に入っていくことが予想されますし、B2Cではよりオンラインとオフラインのシームレスなサービス設計が重要になっていくので、これらをなし得るより強いチームへ投資していきます」(ジェネシア・ベンチャーズ代表取締役/General Partnerの田島聡一氏)。

「投資判断への影響はネガティブ、ポジティブ両方あります。まず、ネガティブな面から。シードファンドとしては起業家そのものに投資をさせていただくという側面が強いため、その起業家と直接会うことなしに投資判断をするのは難しいと感じています。今でもやはり最終的には会って、お互いの相性を含めて判断したいため(そのほうが起業家にとってもよいと思います)、その点で投資判断が以前より遅れがちな部分があります。ポジティブな面としては、オンラインで全国津々浦々、どんどん起業家の皆さんの話を聞けるようになった点です」(IDATEN Venturesの足立健太氏)。

一方、独立系VCとはややスタンスが異なるCVC各社もほぼ同様だ。ネガティブ要因として直接、出資先候補に会えない点を挙げている投資家は他にもいた。しかし、彼らも投資方針は別に変えていない。

「コロナ禍までは予測できませんでしたが、経済状況の変化は想定していたのでこのタイミングでCVCを設立しています。今回の件によってスタンスを変えることなく、攻めの姿勢は変わりません。今後、積極的に価値のあるスタートアップには投資していきます」(ヤマトホールディングス専務執行役員の牧浦真司氏)。

「31VENTURESとしては、特に新規および追加投資方針そのものには変化はありません。ただし、運転資金をどれだけ確保できているか、ならびに『Post COVID-19』を見据えて起業家がどのように自らの事業を捉えているのかについては、これまで以上に厳しく問うことになると思います。また、下降局面において起業家側に経営存続を求める以上、CVC側もその運営を継続するために一層の努力を行う必要があるとも考えています」(31VENTURESのグループ長、小玉丈氏)。

つまり各社「何も変わらない」と言ってるわけではない。

特にややバブル気味だった2010年代後半の資金調達環境に対して、筋肉質な経営を求める声は多かったのも事実だ。例に挙げるまでもないが、WeWorkとソフトバンク・ビジョン・ファンドの顛末はその象徴として語られることになるだろう。また事業についても、アップデートされた社会に対応したものが求められるのは言うまでもない。

筋肉質な経営を求められるスタートアップ環境

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Image Credit : Coral Capital

では、スタートアップ側の状況も見てみよう。JAPAN STARTUP LANDSCAPEによると、昨年、8割近くが「起業のタイミングとして適している」としていた回答が、ややトーンダウンしており、7割近くが起業すべしとする投資サイドとの食い違いを見せた。また、以降の調達ラウンドが厳しくなるか、という問いに対しては7割以上が「厳しくなる」と回答している。

つまり、市況の変化だけでなくコロナ禍によって大きく社会に変化が生まれ、このギャップにビジネスチャンスは見出せるものの、投資環境についてはここ数年のようなやや緩い状況はなく、また、数が増える分競争環境が厳しくなる、という見方が浮かび上がってくる。

少しエピソードをご紹介しよう。

YJキャピタルの堀新一郎氏とポッドキャストで公開取材した際、今回の混乱で出資先の動きが大きく分かれたと教えてくれた。不要なオフィスの解約判断、人材についてもランク分類をした上で、いつまでにこの状況が改善されなければ休職や解雇の経営判断をするなど、迅速に動いた経営者とそうでない人で1カ月ほどのタイムラグがあったそうだ。

特に人材のカットは非常に重い。しかしスタートアップ経営は本来、厳しい環境にあるもので、ここに対する考え方や準備ができていたかどうか、今回の件が期せずしてそういったリトマス試験紙になったのは注目に値することだと思う。

恐らくこれから起こることとして、シード期についてはよりチーム、創業者の経験や総合的な「能力」は問われることになるだろう。シリーズAというハードルについては、ビジネスモデルの確かさ、ユニットエコノミクスの正確性、市場規模とスケーリング、そして何より、今のこの新しい世界観・トレンドの風を捉えたものから先に選ばれることになるはずだ。

また、CVCや事業会社の投資であればシナジーや本業への貢献はより正確に見積られることになるのではないだろうか。

次回は大きく変わった働き方、オフィスの考え方についてまとめてみたい。

おうちでも観光地体験をーーアソビュー!ストアが1000世帯にハーバリウム体験キットを配布、体験事業者の余剰在庫対応も

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遊びの予約サイト「アソビュー!」を運営するアソビューは6月11日、自宅でも遊びの体験ができるキットを販売する「アソビュー!ストア」の開始を伝えている。また、新型コロナウィルスの感染症拡大問題で出荷ができなかった余剰在庫の花を活用したハーバリウム体験キットを1000世帯に無料配布する取り組みも実施する。なお、実費の送料(700円)は別途必要。 アソビュー!ストアは自宅での過ごし方を広げるための体験キ…

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アソビュー!ストア

遊びの予約サイト「アソビュー!」を運営するアソビューは6月11日、自宅でも遊びの体験ができるキットを販売する「アソビュー!ストア」の開始を伝えている。また、新型コロナウィルスの感染症拡大問題で出荷ができなかった余剰在庫の花を活用したハーバリウム体験キットを1000世帯に無料配布する取り組みも実施する。なお、実費の送料(700円)は別途必要。

アソビュー!ストアは自宅での過ごし方を広げるための体験キットを販売するオンラインサイト。手作りスプーンやタイルアートなどの体験が並ぶ。提供するのはアソビューがこれまでに提携してきた全国約7000の体験提供事業者。「パラグライダー」や「ラフティング」といったアウトドアレジャーや、「陶芸体験」や「そば打ち体験」など、地域文化に関する体験を450のジャンル・2万件以上に渡って提供してきた。

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アソビュー!ストアで購入できる体験キット

一方、感染症拡大の結果、アソビューがこれまで提供してきた多くのレジャー施設や体験事業者が休業に追い込まれる事態となっている。同時に消費者も、緊急事態宣言が解除されたとは言え、引き続き接触を回避する新しい生活様式が求められている状況だ。

また、アソビューが実施した消費者調査によると、現在の自宅での生活では主にテレビやゲーム、料理などが過ごし方の上位に並ぶ一方、新たな趣味を見つけたいという声も挙がっている。

今回の展開は、同社がこれまで取り組んできたアクティビティを家庭でも楽しめるようにアレンジしたものとなる。同時に、需要減少で苦しむ体験事業者に対しても余剰在庫の対応や、事業再開への道筋になるとしている。同社の創業は2011年。2015年4月にはJTBやYJキャピタルなどを引受先とした6億円の増資も実施している。

30億円調達のLayerX、「経済活動のデジタル化」で世界を変える

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期待のスタートアップ「LayerX」が大型調達だ。 一部で報道されている通り、経済活動のデジタル化を担うLayerXは今日、増資の発表をする。(追記:正式に公表された)第三者割当増資によるもので、引き受けたのはジャフコ、 ANRI、YJキャピタルの3社。出資総額は30億円になる。評価額や出資比率、払込日などの詳細は開示されていない。 LayerXが外部資金を受け入れるのは2019年8月に実施したM…

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LayerXチーム(提供:LayerX)

期待のスタートアップ「LayerX」が大型調達だ。

一部で報道されている通り、経済活動のデジタル化を担うLayerXは今日、増資の発表をする。(追記:正式に公表された)第三者割当増資によるもので、引き受けたのはジャフコ、 ANRI、YJキャピタルの3社。出資総額は30億円になる。評価額や出資比率、払込日などの詳細は開示されていない。

LayerXが外部資金を受け入れるのは2019年8月に実施したMBO以来初。調達した資金は商用化のための事業会社設立や対応する事業、プロダクト開発、人材採用に投資される。

経済活動のデジタル化とは

LayerXを一言で表すことは難しい。設立当初こそブロックチェーン技術にフォーカスした開発集団、というイメージはあったが、わかりやすいプロダクトは持たず、企業のデジタル化に特化した支援事業を手掛けるとしたからだ。言い換えれば「受託開発企業」とも取れる。

しかし、創業者はあの福島良典氏だ。学生時代に手掛けたニュース・キュレーションサービス「Gunosy」は事業として成長し、2017年には東証一部への鞍替えも果たしている。彼が小さな受託会社を作って引っ込みたいと思う方が間違っている。

では、具体的に何が起こるのか。これまでも本誌では彼の心の内を紐解いてきた。

<参考記事>

彼らのビジョンの中心には主にブロックチェーンによってもたらされる新たな概念、プロセスの自律分散化、資産の証券化、個人がテクノロジーを活用して最大化される、そういった世界観が示されていた。

一方、ここ1年の彼らの活動は極めて現実的だ。特に提携戦略は創業間もないスタートアップの面影は一切ない王道をいくものだった。2019年11月の三菱UFJフィナンシャル・グループとの協業に始まり、今年4月には三井物産らと共同で三井物産デジタル・アセットマネジメント(三井物産 54%、LayerX 36%、SMBC日興証券 5%、三井住友信託銀行 5%)を設立。ここでは実際の資産管理事業に取り組む。

さらにブロックチェーンを活用した世界的な金融パートナーであるR3とも公式な提携を結び、GMOあおぞらネット銀行との提携で次世代金融サービスに乗り出すことも明らかにしている。

以前の取材で夢のように語っていた世界を一歩ずつ現実のもとへ近づけている。しかも世の中は未曾有の感染症拡大の結果、デジタル化をさらに進めたいと求めるようになってしまった。彼らが変えようと思っていた世界の方からもやってくる、そんな事態になってしまったのだ。

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今年3月に改訂したLayerXのミッション

では具体的に歩みを進めたLayerXはどこに向かうのだろうか。福島氏から今回の資金調達について使途や狙いについてメッセージをもらっているので全文を掲載したい。

今までのシステム会社とかコンサル会社っていうものが取れなかったリスクを取りたいと思っています。例えばDXってよく言われるんですが、それはデジタル知識をコンサルすることとか、デジタルなシステムを作ることではないと思ってるんですよね。

会社としての業務フローとかビジネスモデルとかワークフローをデジタル技術を前提に作ることだと思っていて、なので一緒にエグゼキューションしないと理想的なDXにならない気がしているんです。もちろんシステムを作る、コンサルをするっていうのは重要なステップなんですが最終的にビジネスとして、どうデジタルが活用されているのかみたいなところを頑張って作っていくことが必要なのかなと思っています。

それで、その一つの形がLayerXと三井物産さん、SMBC日興証券さん、三井住友信託銀行さんとの合弁会社で、実はLayerXとして億単位の資金を投じて資金リスクを取っているんです。単にシステムを作っていくっていうところだけでもビジネスとして回ってるんですけど、その先のビジネスをエクゼキューションするには、僕らも資金リスクを取らないといけない。

身銭を切って、自分たちのインセンティブを一致させないと本当の改善は生まれないと思っています。そのインセンティブを一致させるためのリスクの取り方として、30億円の資金を使っていこうと、そういう考え方でいます。

そう考えると1社作るのに数億円必要で、10個のソリューションってことになると、数十億円必要。そういう使い方をしていくイメージかなと。

また、LayerXでやりたいことの一つが、ソフトウェア業界の常識をトラディショナルな産業に輸出すること、これもある種のDXだと思っています。横の業界で見たら当たり前のことが、すごいイノベーションになるっていうことは世の中ですごくいっぱいあると思うんですよね。

例えばアメリカのシリコンバレーのリーンスタートアップみたいなやり方って、トヨタのカイゼン方式、かんばん方式ををスタートアップ流にしたものです。トヨタ式マネージメントを研究していた人が、ある種理論的にスタートアップの改善はこうやるべきだ、効率のよいリソース配分はこうやるべきだっていうのを提唱して、皆それに従ってやっている。

例えばデジタルなワークフローを作るという時、僕のキャリアから言うと元々メディア、ニュースアプリをやっていたと、これは違う見方をするとメディアのDXをやっていたと言えます。

僕は逆にメディアに関しては素人でした。

当然業務知識は学んでいったんですけど。その上でソフトウェア的な技術、例えばニュースの推薦はこうやればできる、スパム記事の判定は人手ではこうやっているが、ソフトウェアでやるとこうだよねとか、ニュースのKPIもこうやれば人間が勘で評価しているものをデジタルに評価できるようになるよねとか。

そういうシステムを整えていくことによって今まであり得なかった世界、アナログな世界では絶対あり得なかったようなものを作ったわけです。これは見方を変えるとメディアのDXだなと思っていまして、同じようにソフトウェアの常識を金融業界や物流業界に持ち込むとなった時に、全然違った見方ができるんじゃないかと思っているんです。

なので、すごい業務知識のあるコンサル出身者ですという人を採用したいというよりは、ソフトウェア業界で働いていたけど、こうした世界って面白いなと思ってもらえる人、今まではメディアとかコマースとかゲームとかを作ってたけど、業務のワークフローをデジタル化するとか、銀行の裏側のシステムとか、物流の裏側のシステム、人がカバーしている仕組みも僕らはシステムと呼んでいますが、そう言ったシステムをデジタルに変えて改善できるようにしていく、効率を上げていくって面白いジャンルだと思うような人に参加して欲しいと思ってます。

とはいえ業務知識は必要なので、勉強するのが楽しいという性質がある人と一緒に仕事がしたい。みなさんがイメージするITコンサルやSIerではなくて、普通のスタートアップのソフトウェアエンジニアがそういったところの改善活動に関わっているという、民族大移動を起こしていきたいと思っています。

本誌では、後ほどの正式発表を待って福島氏の手記を公開する。LayerXがはじめる、旅の物語だ。

人員整理にブリッジファイナンスーー緊急事態宣言、その時支援先はどう動いた【Podcast:YJC・堀新一郎さん】

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スタートアップメディア「BRIDGE」のPodcast、共同シニアエディターの平野です。私が担当する記念すべき第一回目のゲストとして、YJキャピタル代表取締役社長の堀新一郎さんにお越しいただきました。 新しいスタートアップ本を出版されるなど精力的に活動されていますが、今回は堀さんに気になる新型コロナウィルスの影響について、支援先との連携のお話をお伺いしました。本稿では配信する音声コンテンツで特に印…

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スタートアップメディア「BRIDGE」のPodcast、共同シニアエディターの平野です。私が担当する記念すべき第一回目のゲストとして、YJキャピタル代表取締役社長の堀新一郎さんにお越しいただきました。

新しいスタートアップ本を出版されるなど精力的に活動されていますが、今回は堀さんに気になる新型コロナウィルスの影響について、支援先との連携のお話をお伺いしました。本稿では配信する音声コンテンツで特に印象に残った言葉をまとめてみました。

緊急事態宣言、その時支援先はどう動いた

アクションがめちゃくちゃ早かった人と、なんか緊急事態宣言が出て2週間ぐらいの4月末から動き始めた人とではやっぱり明らかに違ってましたよね。オフィスの解約でもね、やっぱりパッと動いた人となんかまあちょっと来週ぐらいに不動産会社とやってみます、みたいな人では本当に分かれました。

厳しい経営判断

何十人もいる会社さんですけど、絶対に残って欲しい人、できれば残って欲しい人、またその次があって…ある(一定水準を下回る)ランクの人には休職してもらって、この状況が何月何日まで続いたら、という人事のリストラプランを本当に4月の上旬とかに持ってきた人がいましたね。基本的に支援先の企業の考えることは応援する立場で反対などはしなかったです。ぶっちゃけ、ここ数年は資金調達の額が二桁億円がものすごく増えたじゃないですか。

これで何が起きたかというと、採用に効くからということでかっこいいオフィス作ったりしたわけです。これに冷や水じゃないけど、よく考えたら別にこれって必要なんだったっけ?という。もちろんこの状況で苦しんでいる方もいらっしゃいますけど、ベンチャー企業の経営という観点で言えば、冷静に見返してみると(今回の件で)組織の見直しが健全に行われるようになったんじゃないかなと。

4月は「ブリッジファイナンス」で過去最多の投資件数に

4月はとにかく支援先の資金ショートがもう目の前に見えている会社に対するブリッジファイナンスばっかりやってましたね。次の資金調達がいつ正確に実施されるかわからないような状況だったので、本来であればコンパーチブルノート(※株式への転換が可能な社債方式)を発行して次のラウンドの15%や20%のディスカウントという形式なんですが、それすら読めないので、もう前回ラウンドのフラットバリュエーション、場合によってはダウンラウンドで投資を実施してました。

その他、堀さんとのエピソードはPodcast本編でぜひお聞きください。なお、現在堀さんは今月末に発売予定の書籍「STARTUP 優れた起業家は何を考え、どう行動したか」(著: 堀新一郎、琴坂将広、井上大智)に関するオンライントークイベントを開催予定です。書籍に登場する起業家や個人投資家のみなさんと対談される予定ですので、ご興味ある方はこちらをチェックしてみてください。