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CVC/YJ Capital

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YJキャピタルはヤフー株式会社のCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)として、インターネット領域において将来性のあるスタートアップの支援を行っています。また、Zホールディングスのグループ企業のもつインターネットビジネスに関する国内最大のユーザーベース、包括的な事業領域とネットワーク、そして豊富なノウハウなど、単に資金提供だけではなく、グループのリソースを最大限活用した投資と支援を行うことで、組織のミッションでもある『UPDATE INDUSTRY』を実現して参ります。

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人員整理にブリッジファイナンスーー緊急事態宣言、その時支援先はどう動いた【Podcast:YJC・堀新一郎さん】

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スタートアップメディア「BRIDGE」のPodcast、共同シニアエディターの平野です。私が担当する記念すべき第一回目のゲストとして、YJキャピタル代表取締役社長の堀新一郎さんにお越しいただきました。 新しいスタートアップ本を出版されるなど精力的に活動されていますが、今回は堀さんに気になる新型コロナウィルスの影響について、支援先との連携のお話をお伺いしました。本稿では配信する音声コンテンツで特に印…

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スタートアップメディア「BRIDGE」のPodcast、共同シニアエディターの平野です。私が担当する記念すべき第一回目のゲストとして、YJキャピタル代表取締役社長の堀新一郎さんにお越しいただきました。

新しいスタートアップ本を出版されるなど精力的に活動されていますが、今回は堀さんに気になる新型コロナウィルスの影響について、支援先との連携のお話をお伺いしました。本稿では配信する音声コンテンツで特に印象に残った言葉をまとめてみました。

緊急事態宣言、その時支援先はどう動いた

アクションがめちゃくちゃ早かった人と、なんか緊急事態宣言が出て2週間ぐらいの4月末から動き始めた人とではやっぱり明らかに違ってましたよね。オフィスの解約でもね、やっぱりパッと動いた人となんかまあちょっと来週ぐらいに不動産会社とやってみます、みたいな人では本当に分かれました。

厳しい経営判断

何十人もいる会社さんですけど、絶対に残って欲しい人、できれば残って欲しい人、またその次があって…ある(一定水準を下回る)ランクの人には休職してもらって、この状況が何月何日まで続いたら、という人事のリストラプランを本当に4月の上旬とかに持ってきた人がいましたね。基本的に支援先の企業の考えることは応援する立場で反対などはしなかったです。ぶっちゃけ、ここ数年は資金調達の額が二桁億円がものすごく増えたじゃないですか。

これで何が起きたかというと、採用に効くからということでかっこいいオフィス作ったりしたわけです。これに冷や水じゃないけど、よく考えたら別にこれって必要なんだったっけ?という。もちろんこの状況で苦しんでいる方もいらっしゃいますけど、ベンチャー企業の経営という観点で言えば、冷静に見返してみると(今回の件で)組織の見直しが健全に行われるようになったんじゃないかなと。

4月は「ブリッジファイナンス」で過去最多の投資件数に

4月はとにかく支援先の資金ショートがもう目の前に見えている会社に対するブリッジファイナンスばっかりやってましたね。次の資金調達がいつ正確に実施されるかわからないような状況だったので、本来であればコンパーチブルノート(※株式への転換が可能な社債方式)を発行して次のラウンドの15%や20%のディスカウントという形式なんですが、それすら読めないので、もう前回ラウンドのフラットバリュエーション、場合によってはダウンラウンドで投資を実施してました。

その他、堀さんとのエピソードはPodcast本編でぜひお聞きください。なお、現在堀さんは今月末に発売予定の書籍「STARTUP 優れた起業家は何を考え、どう行動したか」(著: 堀新一郎、琴坂将広、井上大智)に関するオンライントークイベントを開催予定です。書籍に登場する起業家や個人投資家のみなさんと対談される予定ですので、ご興味ある方はこちらをチェックしてみてください。

くらしをアップデートするホワイトプラス、GCPなどから15億円調達ーー35万人利用のLenetに続きハウスクリーニング「キレハピ」好調

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ニュースサマリ:ネットクリーニング「Lenet(リネット)」など生活関連テクノロジーを手掛けるホワイトプラスは3月27日、グロービス・キャピタル・パートナーズ、YJキャピタル、ラクスルの3社を引受先とする第三者割当増資の実施を公表した。株式による増資に加え、みずほ銀行からの融資を合わせた調達金額は15億円。この資金を使って開発エンジニア採用、マーケティング投資を進める。 ホワイトプラスの創業は20…

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写真左から:ホワイトプラス取締役の斎藤亮介氏・代表取締役社長の井下孝之氏

ニュースサマリ:ネットクリーニング「Lenet(リネット)」など生活関連テクノロジーを手掛けるホワイトプラスは3月27日、グロービス・キャピタル・パートナーズ、YJキャピタル、ラクスルの3社を引受先とする第三者割当増資の実施を公表した。株式による増資に加え、みずほ銀行からの融資を合わせた調達金額は15億円。この資金を使って開発エンジニア採用、マーケティング投資を進める。

ホワイトプラスの創業は2009年。組織は契約など含めて90名の体制で、現在主力のネットクリーニング「Lenet」や、ハウスクリーニングのマッチング「キレハピ」を展開している。Lenetのユーザー数は2019年5月時点で35万人。

Lenetは従来対面が必要だったクリーニングの依頼を完全にオンライン化したのが特徴。商品一点一点を独自のオペレーションで検品し、ネットワークする提携工場でクリーニングして宅配してくれる。一般的な他のネットクリーニングでは検品のオペレーション(店頭でシャツなどをチェックするフロー)が整っていないケースが多く、まとめて依頼する従量制の方法が多い。

また、在宅時の受け取りが難しい共働き世代などのニーズに応え、早朝深夜(朝6時から深夜0時)の集荷も独自ネットワークで可能にしている。ふとんや靴などのクリーニングもできるほか、クリーニングした後に保管するクロークサービスも提供する。

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ホワイトプラスの主力サービス「Lenet」

話題のポイント:これまでネットクリーニングLenetの一本足打法で事業成長していたホワイトプラスですが、ここにきて拡大に向けた動きをみせています。今回の調達で注目しているのが新サービスの「キレハピ」とラクスルからの出資です。

ラクスルは元々印刷の価格比較から始まり、その後、印刷工場をネットワーク化することで独自のマッチングモデルを作りあげました。注文をラクスルとしてオンラインで一元化することでユーザーにわかりやすく、かつ、リソースの空いている工場を選ぶことで印刷物を最も効率よく届けることに成功したケースです。一方、上場を手前にもうひとつの事業「ハコベル」を立ち上げたのは有名な話です。結果、現在はCM商品の好調などもあり、非常に安定感のある成長を遂げています。

ホワイトプラスも似たような状況です。足下のLenetは力強く成長していますが、2009年から約11年を経過して35万人という数字は、現在の経営陣にとってまだまだ伸び代があると感じる数字です。さらに彼らが目指しているのは、テクノロジーによる暮らし全般のアップデートを感じられる体験・サービスの提供です。クリーニング以外にも暮らしに関するテーマはごまんとあります。

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新たに開始したハウスクリーニングマッチングのキレハピ

そこでもう一つの注目点「キレハピ」が出てくるわけです。ハウスクリーニングに特化したマッチングサービスで、類似サービスには「くらしのマーケット」や「キッズライン」「CaSy」などがあります。個人というよりは小さい事業者が登録で多いのでくらしのマーケットの一部分を切り出した感じでしょうか。

特にこだわっているのが口コミ評価です。クリーニングと違ってハウスクリーニングは他人を自宅にあげるという必要性があります。事業者が多いとはいえ、大手と異なりどうしても品質にばらつきが出るのは仕方なく、マッチングサービスの宿命とも言えます。

キレハピでは他サービスに比較して利用後の評価を細かく設定しています。それにより、金額もさることながら、より自分が気持ちよく利用できる事業者とのマッチングを目指しているというお話でした。

今回、CM制作依頼をきっかけにラクスルとの話が始まったそうですが、出資にまで至ったことでその上場までの経験がホワイトプラスに寄与するかどうか、注目しています。

スタートアップの評価額を上げる「プレミアム」とは何か

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YJキャピタル(ヤフーのベンチャーキャピタル)の堀です。今日のテーマは、スタートアップとバリュエーションについてです。起業家の皆さんが自社のバリュエーションをどうやって高め、その高さをどう投資家にプレゼンしたら良いか、について共有いたします。 事の発端は、2019年9月に連続投稿したTweetです。今、B2B SaaS業界でトキメイているSmart HR宮田(昇始)さんにブログ化のリクエストをいた…

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YJキャピタル(ヤフーのベンチャーキャピタル)の堀です。今日のテーマは、スタートアップとバリュエーションについてです。起業家の皆さんが自社のバリュエーションをどうやって高め、その高さをどう投資家にプレゼンしたら良いか、について共有いたします。

事の発端は、2019年9月に連続投稿したTweetです。今、B2B SaaS業界でトキメイているSmart HR宮田(昇始)さんにブログ化のリクエストをいただいたんですね。筆遅の私、ようやく腰を上げました。

突然ですが、バリュエーションが高いことって、悪なんでしょうか?

<参考記事>

昨年、ベンチャーキャピタルのCoral Capitalさんがコーポレートブログで、高すぎるバリュエーションでの資金調達に警鐘を鳴らしました。ブログによると

【メリット】
 ・希薄化を抑えた調達が可能
【デメリット】
 ・次のラウンドの資金調達の難易度が上がる
 ・M&A Exitの難易度が上がる

ということです。仰る通りでございますです。バリュエーション上げすぎると色々と問題も出ますね〜。でもでもですよ、メリットもありますよね。同じ10%の希薄化でも、バリュエーションが30億円の会社と300億円の会社では、調達額が3億円と30億円と変わってきちゃうんですから。

私のお仕事はベンチャーキャピタルといって、スタートアップに投資し、将来出資した株式を売却することで、株価の上昇分のリターン(キャピタルゲイン)で儲けるのを生業にしています。

投資家が数人集まってお茶したり、鍋つついたりすれば、二言目には「最近どう?バリュエーション高くない?」って話になります。投資家は先に書いたようにキャピタルゲインで生計を立てる商売です。キャピタルゲインは「出口の値段(売却時の株価)ー入り口(投資時の株価)の値段」で算出されます。入り口の値段を避けたいバイアスが常にかかっているので、先の発言が出てくるわけです。

極めて投資家っぽい書き方をすると、入り口の値段を可能な限り抑えて、出口の値段を可能な限り高くして売り抜けたいと考えます。そういう生き物なんです。起業家の皆さんが死ぬ思いしてプロダクト作って、必死の思いでユーザー獲得していても、投資家の頭の中は常に「入り口」「出口」です。残念なことに。どんなに綺麗なことをブログに書いていても、「入り口」と「出口」です。もう一回書きますよ。あ、もういいですね。はい、ごめんなさい。

そんな僕ら投資家でも、今から書く内容を押さえていれば、「ん?待てよ。高くないかも。投資した方が絶対良いよ」って思うポイントがあります。今日はそのポイントを書いちゃいます。みんなには内緒ですよ。

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1.プレミアムを説明しよう

バリュエーションを高くするためには、平均より高い理由、すなわちどういったプレミアムが乗っているかを説明しましょう。投資家は常に、証券市場の平均値と比較します。平均より何が優れているのか説明出来ないと「平均ですね」で片付けられてしまいます。腹落ち出来る説明がなければ、流動性の高い上場株を買った方がキャピタルゲインが望めるからです。

2.プレミアムは3種類ある

プレミアムとはなんぞや、と。平均より何が優れているとプレミアムと呼んで良いのでしょうか。未上場のスタートアップが上場企業と売上を比較しても簡単に勝てませんね。

投資家に対してスタートアップが使えるプレミアムはいくつかあると思うのですが、私のお気に入りを紹介します。

a) マーケットシェア1位

マーケットシェア1位です。業界ナンバー1なんです。これは圧倒的に強いですね。1位の会社にはプレミアム感が付いてきます。投資家殺しです。シェア1位の会社に投資する機会ってあまり巡ってきません。シェア1位を説明する上で、マーケットの定義、すなわちセグメンテーションについて学んでおくと良いでしょう。

弊社の戦っているマーケットは国内小売市場134兆円!って説明する起業家の方がたまーにいらっしゃいますが、こういう解像度が粗いプレゼンをすると投資家はシラーっとなって、プレゼンの最中でもFacebookやTwitterを開いて別のこと始めてしまいます。

いったいぜんたい、そのどデカイ市場でどのセグメントを狙っているんだい?ってプレゼンを聞いてる投資家は思いを巡らせます。ビューティー市場を見ても、女性/男性、年齢、基礎化粧品/メイクアップ、売り場(オンライン、オフラインチャネル)とセグメンテーション(細分化)が可能です。

市場が大きい時こそ、セグメンテーションをしっかりと行い、ターゲット顧客が誰なのかを明確にして、顕在市場規模を説明出来るようにしましょう。

どこかのセグメントで1位だと投資家は興奮します。

さらに、そのセグメントが業界全体で成長中だと投資家はもっと興奮しちゃいます。衰退市場で戦っている人は、市場が縮小していても気にしないこと。自社のシェアが市場縮小率を気にしないぐらい成長していることを説明できれば問題ないです。逆に、衰退市場で自社のシェアが横ばいだと、そのうちなくなっちゃうからマズいですね。

3年後、隣の顧客セグメントに参入します!(例:アパレルから消費財)というような起業家の話、投資家は眉唾で聞いています。実績が全て。実績や裏付けのない「将来、こうなります!」っていう話は投資家は「そうね。素晴らしいね」と言いながら聞き流しているのが本音です。

シェア1位の話長くなりすぎました(笑)ただ、私もソフトバンクグループの端くれとして仕事していて感じることですが、孫総帥はシェア1位が大好きだと思います。シェア1位と聞くと、身を乗り出して話を聞き入っているようなイメージがあります。

マーケットの捉え方、セグメンテーション、シェアをとにかく抑えに行く。

これ、テスト出ます。

b) 凄まじい成長率

この成長、やばくないっすか?って感じで右肩上がりのグラフを見せられると投資家は目がクラクラします。Y CombinatorのDemo Dayやピッチコンテストで必ず入れろ、って言われるスライドですね。

今、僕たちを捕まえておかないと乗り遅れるよ!っていうメッセージ力があります。やばくない?っていう成長率が良いですね。1カ月で10倍成長しました、とか最高です。

成長率を作るために広告燃やしまくるという手法があります。これはよろしくないですね。投資家はすぐ見抜きます。資金調達するために強引に右肩上がりの成長率を作ってきたな、と。

ユニットエコノミクスが証明出来ている(別の言い方だと、どんなに燃やしても回収可能、すごく儲かっちゃう)ならオッケーです。広告燃やさずに、顧客獲得ハックしている企業だと、投資家はヨダレをたらしながら飛びつきます。

ハック、で思い出しましたが、YJキャピタル支援先のKaizen Platformの須藤(憲司)社長が近々ハック思考について出版されるので、皆さんぜひハック思考を読んでマスターして下さい。

成長率も、市場平均より高い水準で成長していることが証明出来ると高く評価されます。EC市場が毎年約9%成長しているなら、少なくとも10%以上の成長はしたいですよね。業界の雄のEC事業者が毎年30%成長しているなら、60〜100%成長したいですよね。そうすると、「すげえ」ってなりますよね。

c) KPIの異常値を作る

最後のプレミアムは「異常値」です。競合他社と比べてCVRやCPAが10倍パフォーマンスが高いんです、という異常値です。

この状態を実現できていると、本日時点ではGMV(流通総額)やPV(PageView)で負けてるけど、数年後には競合を追い越せるやん!ってなります。「ふむふむ。ということは、数年後には将来の勝ち馬になるから、短期的に今バリュエーションが高くても、今乗っておいた方が良いわな」ってなります。

異常値を作ればいいんだ!ってのは分かりやすく伝えているだけであり、本質的には利益率、収益性のお話です。別の言い方をすると、平均的なビジネスモデルよりも、僕のビジネスモデルの方が明らかに儲かる、利益率が高いんです、ってことが言えれば投資家はめちゃんこ高く評価してくれます。

利益率を高くするには、いくつかコツがあって、競合サービスの平均値よりも

1.顧客単価を上げる
2.粗利を上げる(売上原価を下げる)
3.顧客獲得コストを下げる
4.リピート率を上げる
5.オペレーションコストを下げる

ことが出来れば実現可能ですね。この中のどれかで異常値を作ることをお勧めします。10倍近く平均との乖離があると完璧です。言うは易し、行うは難しです。

番外編)チーム

3つのプレミアムについてツラツラ書いてきました。番外編として、2度と使えない、1回しか使えないマジックプレミアムを紹介します(笑)

それは、「チーム」です。この面子でこの事業に挑戦するのすごくない?やばくない?超絶凄いっしょ、ってやつです。

これ、次の資金調達の時に使うと「いや、それ、君、前回も言ってたから」って冷静に投資家からツッコミをくらっちゃいます。しかも、前回よりも今回のタイミングで、業績やKPIで成長していないと「結局チームは凄いけど結果が出せない連中だよね。経歴は凄いんだけどね」って片付けられてしまいます。なので、個人的には、チームは”Nice to Have”ぐらいにしておくのが良いと思っています。実績で勝負するのが王道です。これ、気をつけてな!

結局、高いものには理由がないと、ヒトは買わない(投資しない)んですね。メルセデスやエルメスを買っている人いるじゃないですか。別にスズキやユニクロでもいいわけです。お金があるから買ってるわけじゃなく、買いたい理由があって、購入者が納得して買っているわけですよね。格好いいから、可愛いから、とか。

投資家も一緒なんです。

なので、プレミアムがある、と言う必要があります。在庫に限りがある限定品なんです、という見せ方をしないといけないんです。昭和の時代のドラクエであり、平成の時代のポケモンであり、令和の時代のスニーカーのように。

このジーンズ、岡山のXX工房とイタリアの巨匠のYYとNYのSupremeが3年構想してデザインした世界限定100本しかなくて、テルマさんも愛用している超限定品なんですよ、というプレゼンテーションしないといけないんです。

実績が伴わないのにバリュエーションが高い状況はよろしくないです。ただ、投資家を相手に株の取引をするのであれば、売り手としてのセールストークというか、買いたいと思わせるポイントは抑えたほうが良いですよね。

だいぶ長いブログになってしまいました(笑)一緒に事業づくり、バリュエーションをより高いところに持っていきたいという起業家の皆さん、ご連絡お待ちしています。どうやったら企業価値を高めていけるのか、色々アドバイスします。

見せかけだけじゃん、って言われないように、しっかりと事業を作り込んでいきましょう。そして、相談に乗ったYJキャピタルには特別にバリュエーシションを低く提示してください(爆)!

共に、未来を創ろう!

<参考記事>

本稿はベンチャーキャピタル「YJキャピタル」パートナーで代表取締役社長の堀新一郎氏によるもの。同氏に許諾をもらってnoteに掲載された記事を転載させていただいた。Twitterアカウントは@horrrrry。創業期からシリーズA達成を支援するプログラムCode Republic(コードリパブリック)では第7期を募集中

30億調達のRepro、囲い込み時代のLTVを最大化させる「CE戦略」とは

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ニュースサマリ:マーケティングプラットフォーム「Repro」は2月13日、第三者割当増資による資金調達を公表した。調達したのは融資含めて30億円。増資を引き受けたのはYJキャピタルをリードにSBIインベストメント、NTTドコモ・ベンチャーズ、KDDI(KDDI Open Innovation Fund 3号)、DGベンチャーズ、DG Daiwa Ventures、ジャフコの7社。 融資に応じたのは…

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Repro代表取締役の平田祐介氏

ニュースサマリ:マーケティングプラットフォーム「Repro」は2月13日、第三者割当増資による資金調達を公表した。調達したのは融資含めて30億円。増資を引き受けたのはYJキャピタルをリードにSBIインベストメント、NTTドコモ・ベンチャーズ、KDDI(KDDI Open Innovation Fund 3号)、DGベンチャーズ、DG Daiwa Ventures、ジャフコの7社。

融資に応じたのはみずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、商工組合中央金庫。調達ラウンドはシリーズCで、ここまでの累計調達額は約35億円となる。今回評価額や出資比率、払込日程などの詳細は非公開。

2015年にアプリマーケティングのツールとしてデビューしたReproは、その後、2018年にウェブ対応し、現在7300以上のウェブサービス・月次で5000万件のデバイスを分析する総合的なマーケティングツールに成長した。提供する国の数も66カ国に拡大し、2019年からはシンガポール拠点を開設して本格的な海外進出も開始している。

今回調達した資金はグローバルでのマーケティングおよび組織体制に投じ、今後2年で開発を200名体制に強化するほか、シンガポール以外に展開を進める海外拠点(タイ、インドネシア、ベトナム、インド)の人員も増強する。

話題のポイント:国内SaaSの成長株、Reproが大きく踏み込んできました。Repro代表取締役の平田祐介氏は界隈でもストイックな経営スタイルで知られている人物ですが、ここ2期ほどは200名体制ながら堅実経営をしすぎて黒字化してしまったそうです。

一方、早期の黒字化は小さくまとまることに繋がりかねないので「もっと踏み込むために現在は月次で数千万円ほど赤字」(平田氏)の状態で再度走り始めたとのこと。平田さん曰く、一度黒字化を経験しておけば成長の踏み込み具合が分かるのでよい、とのお話でした。

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Reproの利用効果(ウェブサイトから)

さて、Reproと言えばAIとアプリマーケティングです。

<参考記事>

グローバルで5000万件のデバイスから得られたデータは、ある特定分野(上述記事の例ではマンガアプリ)の勝ちパターンを提示し、どのタイミングでどういったユーザーとコミュニケーションすれば効果が最大化するか教えてくれます。Reproはこの効果を月額ツールだけでなく、伴走してくれるコンサルタントとセットで提供するモデルで急成長してきました。

一方、こういった「モバイルマーケティング」の世界観はやはり限定的です。国内を取り尽くしてしまうとあとは海外に広げるだけになります。もちろん東南アジア中心にそこにも戦略を張りますが、もうひとつReproは自分たちの体を大きくする仕掛けを用意してきました。

それがエンゲージメント・マーケティング領域への拡大、です。

Reproが目指す「CE(カスタマー・エンゲージメント)戦略」

今、あらゆる市場でデジタル化が進み、例えばAmazon GOのような動きに代表される通り、顧客の動きはオンラインだけでなく、オフラインについても抱合、可視化されつつあります。

ビジネスモデルも転換があります。一度買って終わりという使い捨てモデルから、サブスクリプションのように家電製品であっても「サービス」として継続的に課金する戦略に移行しつつあるのが今です。また社会全体としても、2030年に掲げられるSDGsのように持続可能な社会を目指す流れはもう不可避となっています。

企業にとって既存顧客への対応はより一層重要なものになる、ここを最大化させる戦略が「エンゲージメント・マーケティング」です。

「これまでの既存顧客対応って何かが故障してコールセンターに掛けるような『プル型』が多いと思います。CEは逆です。予め故障するかもしれないことを膨大なデータから予想し、壊れる前に『交換しますよ』っていうプッシュ型のコミュニケーションを実現する」(平田氏)。

ポイントは取得するデータ領域の拡大とAI活用です。

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ReproのCEプラットフォーム全体像(ウェブサイトから)

具体的には現在、Reproで取り扱ってきたウェブ・モバイルアプリの行動データに加え、新たなチャネルとしてオフライン(店舗POSやIoT機器)を追加することで、顧客の来店やサイト訪問、会員登録などから購入、そして再訪に至るまでのカスタマージャーニーを把握できるプラットフォームに拡大する、というわけです。

「例えば私たちの売上って座布団になっていて、新しい期が始まると7割ほどの売上が確定します。これが既存顧客に対するマネジメント(CRM)のメリットです。一方、これまでの既存顧客マーケティングは、例えばECで買い物すると不要なメールが大量に届くような“お金を払って不快な思いをさせる”非効率がありました。ここを機械学習の力で改善できるのが今です。

まだ実証実験中ですが、とある店舗ではPOSデータと連携し、お得意の顧客が購入したファッションにおすすめのアイテムを紹介するような取り組みも始まっています。新規から既存へのパラダイムシフトを起こしたい」(平田氏)。

囲い込み時代にReproがどのような体験を提供してくれるのか、また具体的な事例が出てきたら共有したいと思います。

法人営業支援DB開発のBaseconnect、YJキャピタルをリードに18億円を調達

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法人営業支援企業情報データベースを開発するBaseconnectは2月4日、YJキャピタルをリード投資家に、East Ventures、みずほキャピタル、ユーザベース、キャナルベンチャーズ、京銀リース・キャピタル、ジャフコ、オリエントコーポレーション、京信イノベーションCファンドを引受先とする第三者割当増資の実施を公表した。 調達した資金はこれに融資を合わせて約18億円。融資については京都銀行、み…

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法人営業支援企業情報データベースを開発するBaseconnectは2月4日、YJキャピタルをリード投資家に、East Ventures、みずほキャピタル、ユーザベース、キャナルベンチャーズ、京銀リース・キャピタル、ジャフコ、オリエントコーポレーション、京信イノベーションCファンドを引受先とする第三者割当増資の実施を公表した。

調達した資金はこれに融資を合わせて約18億円。融資については京都銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、日本政策金融公庫等から借入を実施している。同社は営業リスト作成から営業管理までをサポートする法人営業支援データベース「MUSUBU」とナレッジエンジン「Baseconnect」を開発する。

MUSUBUの2020年1月末時点での導入社数は約3万社。今後、企業情報データ提供によるターゲティングだけでなく、商談獲得・案件管理・取引先管理・与信管理まで、法人営業の業務プロセスを一貫して支援できるオールインワンサービスを目指す。今回の資金調達により、データベースの拡充・Musubuへの機能追加・マーケティング活動への投資・事業基盤の強化を行う。

via PR TIMES

起業アイデアの見つけ方「3つのパターン」

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私は現在、YJキャピタルにて起業ほやほやのシードステージからIPO直前のレイターステージのスタートアップに投資をしています。 2016年8月からCode Republicというアクセラレータプログラムを開始しました。プロダクトがローンチできていない企業にEast VenturesとYJキャピタルで計700万円出資して、起業家のスタートダッシュをサポートするプログラムです。投資のカテゴリーでいうとシ…

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私は現在、YJキャピタルにて起業ほやほやのシードステージからIPO直前のレイターステージのスタートアップに投資をしています。

2016年8月からCode Republicというアクセラレータプログラムを開始しました。プロダクトがローンチできていない企業にEast VenturesとYJキャピタルで計700万円出資して、起業家のスタートダッシュをサポートするプログラムです。投資のカテゴリーでいうとシード投資に該当します。色々試行錯誤しながら、1ミリでも起業家に貢献できるプログラムを作ろうと日々取り組んでいます。

シード投資を開始して再認識したのが「起業ってこんなにも難しいのか!」という点です。

恐れ多いですが、本当にシード投資するまではそこまで実感していなかったと思います。

YJキャピタルは2012年からベンチャー投資を開始したのですが、主にシリーズA〜Cラウンド(アーリーステージ〜レイターステージ)の投資をメインに活動してきました。

シリーズAとは、プロダクトが完成し、マネタイズも証明できて、これから顧客獲得を積極的に実行するための資金が必要、という段階の資金調達ラウンドのことと一般的に言われています。大体、起業してから1〜2年後に実施するケースが多いです。(筆者注:様々な定義がありますが、詳細の説明は割愛します。詳しくはこちらのリンクを参照してください

50%以上のシード期の起業家がピボットする

話はシード投資に戻ります。

起業って滅茶苦茶難しいんですよね。シリーズAに進める会社ってそんなにないんです。色々なデータが転がっていたりしますが、私の肌感覚だと、シード>シリーズAが通過率30%、シリーズA>シリーズBが通過率30%。シード>シリーズBが要するに10%というイメージです。

しつこいですが、70%の会社はシリーズAに進めずに会社清算したり、リビングデッドになったり、受託会社として生存したり・・・。なかなか厳しいですよね。簡単じゃないです。

で、本題に入りますが、シード投資をしていると頻繁に遭遇するのが「ピボット」(ビジネスモデルの変更)です。創業時に立てた事業仮説を元にサービスを開発して、実際にローンチしてみたら想定していたほど多くの人に使ってもらえない。自分の立てた仮説が間違っていた・・・。これが日常茶飯事です。これがリアルです。

出資を受けている起業家にとって最悪の時間とも言えましょう。投資家(株主)からは「いつリターン出る?」というプレッシャーを浴びながら、新しい事業アイディアを考えなくてはならない。一番最初に考えていたアイディアへの執着が強ければ強いほど、新しいアイディアが全く思いつかないどころか、元のアイディアを見直すことでどうにかならないか諦めがつかない状況に陥り、前進できない日々が訪れます。

シード期の会社にとって、この状況に陥る確率が非常に高いです。私の経験上、50%以上のシード期の起業家がピボット(事業見直し)に直面します

しかし、一度も起業したことの無い、初心者起業家さんは「自分は絶対失敗しない」と思い込んでいます。俺をあの失敗した奴らと一緒にしないでくれよ、と。僕もこれから挑戦する希望に満ち溢れている起業家に「かなりの高確率で失敗するよ」なんて挑戦する前に言い難いです。

実態はかなりの確率で最初のアイディアで最後まで走り抜けていないケースが多いんです。kurashiruを運営するdelyは最初フードデリバリー事業やっていましたしcoincheckは昔、STORYS.JPという人生投稿サイトを運営していました。起業する前にボツになったアイディアとか数え上げたらキリがないでしょう!

成功している起業家は、失敗事例をあまり表で語らないのと、超ポジティブThinkerなので、失敗を覚えていなかったり(カウントしていない)するので、正しく語り継がれていないのが実態だったりします。

「成功してもらいたい。でも失敗確率が高い。なので、一度や二度の失敗で諦めずに、気持ちを切り替えてどんどんチャレンジする覚悟持っておこうよ」とお伝えしていこうと思います。

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新しい事業アイデアはどう作る?

さて、新しい事業アイディアを考える状況に追い込まれた起業家さん。「次のアイディア何やればいいですか?どうやって見つければいいですか?」という相談をよく受けます。また、「まだアイディアが見つかりません」と半年経過しても先に進めない起業家さんもいらっしゃいます。なかなか辛い時間です。

そもそも、一番最初に思いついた事業アイディアはどこから湧いて出てきたのか振り返ってみましょう。きっかけは大きく3パターンあると思います。

  1. 事例起点
  2. 課題起点(俗に言う「負」)
  3. 構造変化起点

(1)事例起点

事例起点は、米国や中国で流行っているサービスの日本版を考えることでアイディアの具現化を進めていくパターンです。ヤフージャパンは、米国ヤフーの日本ローカライズで大成功しましたね。最近の身近な例だと、Ladder.comをローカライズしたビズリーチなどが挙げられます。事例起点は、最先端のニュースを日々チェックする必要があります。ビジネスは誰もがチャレンジしたことがない方法で競合に情報戦で勝ち、儲けていくのが基本的な戦いです。

情報戦は最先端の情報を掴みにいくことで、ライバルを出し抜くことが可能になります。国内のライバルがチェックしていない情報源を漁ると面白いかもしれません。意外に最新の情報だけでなく、歴史を調べるアプローチもチャンスがあったりします。例えば、ハウスクリーニングってそもそも誰が一番最初に始めたのかな?誰が一番稼いでいるのかな?と深堀りしていくアプローチです。繰り返します。情報戦なのでライバルが知らない情報を分析することでチャンスが見つかるのです。

(2)課題起点

課題起点は、自分が普段から感じている既存サービスの課題だったり、社会人経験からくる特定の領域の課題だったり。自身が「あー、これ面倒臭い」と感じる課題を、「こうやったらもっと便利になるんじゃないかな?」というアプローチでビジネスアイディアを考えるパターンです。BASEの鶴岡さんはご自身ではないですが、鶴岡さんのお母様が大分で婦人服の小売業を営んでいらっしゃって楽天やAmazonに出店するのが難しいと感じている、という現場を目のあたりにし、ITリテラシーのないお母様のような方でも簡単にECショップを開設できるサービスを作ろう、というのがそもそもの始まりでした。

このパターンにおける大事なことは普段から観察力を高めていくことでしょうか。普段の会話で家族や友人が「あー、しんどい」と言っていたとしたら、その理由を追求する習慣というか意識を普段から持ち続けることが重要です。アイディアが思いつかないと言っている人は、目の前に沢山チャンスが転がっているのに注意して観察していないから見過ごしている、とも言えます。私は起業してないので、偉そうに書いていて申し訳ございません。ただ、成功している人は観察力が鋭いです、と記しておきます。

(3)構造変化起点

構造変化起点は、ユーザーの行動や環境が変化するタイミングに新しいビジネスチャンスを見つけるタイプです。ガラケーからスマホにシフトするタイミングで新しいサービスが沢山出てきたのは記憶に新しいですね。アプリで料理レシピ動画を見れるkurashiruは、その代表的な例です。変わってから準備しても良いですが、新しい環境に切り替わるタイミングでロケットスタートを切れるように、ちょっと早めから準備すると良いです。ただ、タイミングを読み違えることもあるので一定のリスクを含みますね。

VRやARなどはデバイスの浸透率に大きく左右されるので、タイミングはとても重要になってきます。難しいですね(涙)DMMの亀山社長が、1989年公開映画「バックトゥーザ・フューチャー PART2」を鑑賞し、作品の中で未来の世界が描かれているシーンで未来の人たちがテレビに向かって鑑賞したい映画の作品名を問いかけ、テレビがそれに応えてリクエストのあった作品を放映する、というシーンを見て「レンタルビデオ屋はやがてなくなる。これからはコンテンツの時代だ」とレンタルビデオ屋からピボットしたという伝説があります。

恐るべきアンテナですね。。。(驚)

以上、3つのパターンを紹介しました。あくまでも”きっかけ”ですので、実際は上記の3つの複合技になっていたりします。鋭い読者の皆さんは、3つの視点が過去、現在、未来という時間軸で分類されることに気付いたでしょうか。私も自分で書きながら、今気付きました(笑)。

「アイディアの作り方」(1998年。ジェームス・W・ヤング)では、

アイディアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外のなにものでもない

と記しています。ぶったまげるような新しいものってないんですよね。組み合わせが新しいだけなんです。

新しい組み合わせを作るためには、普段から”何かないかな”、と五感を研ぎ澄ませて入ってくる情報全てを事業化に置き換えていく意識が必要です。情報だけ入手しても事業化できないと情報通で終わってしまいますので。課題だって見過ごしているかもしれません。

見つけ方自体にウルトラCはありません。普段から、過去や先進事例、世の中で起きていること、将来起こりうるであろうことを因数分解して、どこにチャンスがあるのか?そうした視点を持って起業のアイディアを探してみて下さい。

Facebook、Googleを超えるアイディアが見つかりますように!

<参考記事>

本稿はベンチャーキャピタル「YJキャピタル」パートナーで代表取締役社長の堀新一郎氏によるもの。同氏に許諾をもらってMediumに掲載された記事を転載させていただいた。Twitterアカウントは@horrrrry。創業期からシリーズA達成を支援するプログラムCode Republic(コードリパブリック)では第7期を募集中

次の「10年パラダイムシフト」を探る旅、投資家たちが語るスタートアップ・2030(4:シンギュラリティ)

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(前回からのつづき)次のパラダイムシフトはどこに起こるのか。 各業界でこまやかにデジタル化が進んだ社会では、人とAIが役割の分担を明確にする。より個性や多様性を尊重する時代になり、人種や性別・障がい、地方といったギャップを超えるためのテクノロジーの必要性が高まる。伴って資本の考え方も変化し、一見すると経済合理性に乏しい社会的な貢献事業にも新たな道が開かれる。 最終回となる本稿では「人の次」について…

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Photo by Yogendra Singh on Pexels.com

(前回からのつづき)次のパラダイムシフトはどこに起こるのか。

各業界でこまやかにデジタル化が進んだ社会では、人とAIが役割の分担を明確にする。より個性や多様性を尊重する時代になり、人種や性別・障がい、地方といったギャップを超えるためのテクノロジーの必要性が高まる。伴って資本の考え方も変化し、一見すると経済合理性に乏しい社会的な貢献事業にも新たな道が開かれる。

最終回となる本稿では「人の次」について言及したキャピタリストたちの声に耳を傾け、探る旅の締めくくりとしたい。

シンギュラリティがやってくる

2005年に記されたレイ・カーツワイル氏の著書「THE SINGULARITY IS NEAR: When Humans Transcend Biology(邦題:シンギュラリティは近い・ポストヒューマン誕生/NHK出版)」はテクノロジー信奉者にとってある意味「預言書」と言うべき一冊だ。著書の中でカーツワイル氏は2030年をこう表現している。

VRの世界では、われわれはひとつの人格に縛られなくなる。外見を変えて事実上他の人間になれるからだ。肉体(現実世界の)を変えることなく、三次元のヴァーチャル環境に投影される体を簡単に変えられる。複数の相手向けに、同時に複数の異なる体を選ぶこともできる。だから、両親から見るあなたと、ガールフレンドがにが複接するあなたが別人ということもありうる。(中略)恋愛中の二人はなりたい姿になれるし、相手になることもで きる。こうした決定はすべて簡単に変えられるのだ(引用:シンギュラリティは近い・ポストヒューマン誕生)

YJキャピタルの堀新一郎氏もこの世界観の到来を心待ちにしている一人のようだ。

2014年に上映された映画「トランセンデンス」で注目を浴びるようになったシンギュラリティ。シンギュラリティ(Singularity)とは、未来学上の概念であり、人工知能自身の「自己フィードバックで改良、高度化した技術や知能」が、「人類に代わって文明の進歩の主役」になる時点(Wikipedia抜粋)のことです。

モバイル、IoTがデータのタッチポイントを増やし、クラウドコンピューティングがデータの格納に革命を起こしました。溜まったデータを解析・学習し、最適解を出すAI Techが2019年はメジャーになりました。これからの10年はAIの先に求められるサービスが主役になると思います。

シンギュラリティ時代に求められるのは仕事と遊びの再定義でしょうか。 仕事はオフィスに行かなくてもどこでも出来るようになります。小売店舗の店員はほとんどがロボット化され、デリバリーもドローンやロボットがやってくれるようになります。

オフィスは物理的空間からバーチャル空間に移行し、リモートワークはもっと加速していきます。チャットボットに代表される自動応答は2019年現在は無機質ですが、ユーモアを言ったりしてもっと人間味が出てくるようになるでしょう。ANRIが出資する「株式会社わたしは」は、そういった時代を見据えた言語処理を先んじて開発しています。

エンターテイメントも2018年に上映された「レディ・プレイヤー・ワン」のように、仮想空間で人々が交流する流れが一気に加速します。弊社の出資先でもあるミラティブのように、スマホの中でゲームやカラオケといったリッチコンテンツを楽しむ世界がより加速しします。gumiの出資先の「よむネコ」はVR空間の対戦ゲームを開発しており、ゲーム内アイテムをブロックチェーンで取引する世界観を目指していると聞いています。

グローバルの視点では、オンラインにおける米中戦争が加速化していくと予想しています。つまり、これからの戦いはFacebookやWeChat・Tiktokといったアプリケーションレイヤーにとどまらず、LibraやFusion Bankといった仮想銀行・仮想通貨の覇権争いが本格化するわけです。こういった戦いに対して、日本の政府や企業がどういった姿勢で対抗・調和を図っていくのかとても注目しています。そういった背景から、ゴールドラッシュ時代のツルハシ屋・ジーンズ屋に大きなビジネスチャンスがあると思います。

2000年に登場した3Gから約20年、2020年に5G元年を迎えます。ハイレゾのコンテンツがリアルタイムで飛び交い、仮想空間はVR・ARといった技術でさらなる進化を遂げる。スマホの次のデバイス、オンライン上で資産を管理するためにブロックチェーンが重要な役割を果たしていく。全てが自動化していく中で、人間らしさやアート、ユーモア、幸せといったものの価値が重要となってくるのでしょうか。思いっきり夢想しながら、全ての領域を見逃さずウォッチしていきます(笑)。

これからの10年も忙しくなりそうです【シンギュラリティ時代の到来に向けて】

(動画:Mirrativはアバターを纏って第三空間に居場所を作ることができる)

カーツワイル氏の著書で語られるポスト・ヒューマン論の興味深い点は、端末的なデバイス、コンピューティングの進化だけでなく、これらを極めて高い次元で人体と融合させようと試みていることだろう。

あなたが本物の現実世界を体験したいと思うときには、ナノボットは今いる場所(毛細血管の中)を動かずなにもしない。VRの世界に入りたいと思えば、ナノボットは五感をとおして入ってくる現実世界の情報をすべて抑制し、ヴァーチャル環境に適した信号に置き換える。脳はこれらの信号をその肉体が体験したものであるかのように捉える。(中略)そのようなヴァーチャルな場所を訪れ、 シミュレートされた人間ばかりでなく、本物の人間(もちろん、突きつめれば、両者に明確な違いはない)を相手に、ビジネスの交渉から官能的な出会いまで、さまざまな関わりをもつことができる(引用:シンギュラリティは近い・ポストヒューマン誕生)。

STRIVEの堤達生氏は、2020年代がこの「トランスヒューマン時代」に向けた準備の10年になると考えている。

10年前の2010年から今日まで、新しいものは実はそれほど多くは出ていないのではないかと思います。2000年代の10年間の方がスマホとソーシャルとクラウドが生まれ、変化という意味でのインパクトは大きかったです。2010年代は2000年代に生まれたものが進化と深化をし、そして拡張した10年でした。

では、2020年代の10年間はどんな時代になるのか。一言で表現すると「トランスヒューマンの時代に向けた10年間になる」。

AIやブロックチェーン、MR等の進化に加えて生命科学の発展に伴い、テクノロジー的には、従来の人間を大幅にアップデートする、すなわち「トランスヒューマン」の誕生の時代になるのではないか思っています。

つまり2020年代の10年間は、人間の記憶、判断、予測というものをテクノロジーがサポートしていくのはこれまで通りの流れだが、身体的にも古いパーツは取り換えて、よりバージョンアップしていくようになります。従来なら病気やケガで諦めていたものを新しいパーツに取り換えて、コンプレックスに感じていたものを自分の理想に近づけるようにこれまた取り換えていく。

こういうことが、時間をかけながら抵抗感なく受け入れられる、そういう時代に向けての10年間になるのではないでしょうか。

この時代感をベースに、投資家としてはこれまで以上に生命科学の領域におけるコアになるテクノロジーやそれに基づく、健康・美容系のサービスに加え、逆に人間の精神性は急には変らないため、それらをサポートするようなコーチングやマインドフルなサービスにも着目しています【2020年代の幕開け】

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C2C領域はさらにバーティカルが進む(月次流通は50%成長に拡大、スニーカー売買のモノカブがXTech Venturesなどから2.2億円を調達

W venturesの東明宏氏もまた人体の拡張について注目するとしていた。

人生の多様化を支援/促進するサービスについては、そもそも人間の寿命を長くする(永続化させる)技術、人間の身体を拡張する技術/世界観等、根元の部分(技術)から、余暇を楽しくするサービスまで、幅広く注目していきたいと思っています。XR領域の離陸による新たなコミュニケーション/エンターテイメントのイノベーションにはW venturesとしても積極的に投資し、一緒に未来を作っていきたいです。

人々の多様な価値観に対応したサービスとしては、趣味性の高い領域でスニーカーのC2C「モノカブ」、ヘルスケア領域で美容医療の口コミサイトの「トリビュー」、食領域でおやつのサブスクリプション「snaq.me」、スポーツ領域でランニングのバーティカルコミュニティ「Runtrip」等の投資先が伸びています。また、人々の価値観の変容に、既存の巨大コミュニケーションサービスが応えきれなくなってきているなとも感じており、でっかいコミュニケーションサービスの新たな出現にも期待しています【リアル世界の分散とバーチャル世界の融合、マルチアイデンティティ時代の本格到来】

この世界観は決してSci-Fiの中だけではない、ということはみなさんもご存知のはずだ。Googleが「量子超越性」の実証に成功した、という話題はムーアの法則には続きがあることを示唆しているし、イーロン・マスク氏は脳とマシンを実際につなげるプロジェクト「Neuralink」を公表している。

やや広い範囲で発生する「人類の拡張」が最初のステップになるとしたのは、伊藤忠テクノロジーベンチャーズの小川剛氏。

2020年から2030年にかけてロボットやAIがビジネスの実装の段階に入り、人間の仕事を奪うのではなくアシストし、人間の能力と仕事が広い意味で様々に拡張していることが「実感」できるサービスを提供出来る会社が注目されるでしょう。単にARで視覚が拡張しているという単純な世界観ではなく、実際に仕事が劇的に効率化したり早くなる「あー俺って拡張してる(笑」って凄さを提供できる感じですね。ロボットもAIも各ビジネスに実装して使えてナンボの世界になるかと思います。

R2-D2的にサポートしてくれるものから、広義で考えてソフトウェアで超効率化的なSuperhuman, PathAIなどもAugmentationの範疇に入る現時点の注目企業かと思います。2030年までに量子コンピュータが実装されると化学計算など特定用途は異次元で早くなり超効率化するのではないでしょうか【「Augmentation 」が継続して起こる】

ポスト・ヒューマン論は尽きることないが、その一方で距離感が掴みづらいのも確かだろう。そこで最後にもう少し距離の近い視点を2つほど紹介したい。まずはセキュリティだ。今回、実は意外にもあまりこのテーマを挙げた投資家が多くなかった。しかし、社会の多くがデータ化される時代、プライバシーの問題は更に注目を集めることになる。

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隠れた黒船・ピーターティール氏のPalantir社

これについて指摘したのがANRIの鮫島昌弘氏だ。

日本の大企業は従来オンプレミスな環境で閉じた環境下でしたが、今後はDX化やSaaSの活用に伴いサイバー攻撃によるセキュリティインシデントが急増し、セキュリティーへのニーズが高まると予想します。実際に、現在の日本でのサイバーセキュリテイーのインシデント一位は電子メール、FAX等の誤送信・誤発送等のヒューマンエラーが1位ですが、米国ではDos/DDoS攻撃やwebアプリケーションの脆弱性を悪用した攻撃が上位に挙がっています(NRIセキュアテクノロジーズ社の調査結果等)

具体的には、クライアント企業のインターネットに接続している全ての機器やクラウドベンダーを一元的に管理するExpanse社(FoundersFund、ピーター・ティール氏も出資)、IoT機器の増加に伴うネットワーク拡大に対応する形でのボットネット対策を行うPerimeterX社やクラウド型WAFを提供するSignal Sciences社等をベンチマークとして、日本でサイバーセキュリティーのスタートアップに1000社投資したいと考えてます。

また、日本進出を発表した、ピーター・ティール氏率いるPalantir社の動向には引き続き注目しています【日本の大企業のDX化に伴うサイバーセキュリティベンチャーの勃興】

もう一つが「クラウドの次」になる。計算と容量というシンプルなネットワークは徐々に性格を帯び始め、人類にとって役立つサービスを提供する労働力となる。IDATEN Venturesの足立健太氏はその世界がさらに重層化すると予想した。

人類はこれまで多種多様な自動化を実現してきました。

古くは、牛や馬といった「動物の力による自動化」(農作業や運搬など)、水や風といった「天然に存在する自然の力による自動化」(何人がかりでやるような重労働など)、さらに「蒸気・電気・磁気といった自然の力を増幅・制御することによる自動化」(産業革命)です。家庭レベル(家電など)から国家レベル(発電所など)に至るまで、実に様々です。

そして人類は、自動化されて浮いた時間を持て余すことなく、その時間を使って研究開発を続け、新たな技術を生み出し続けています。その最たる例が、20世紀末から一気に台頭してきたIT技術でしょう。IT技術により、人類はこれまでの肉体労働中心の自動化から、知識労働の自動化へも足を踏み出しました。

IT技術が登場した当初は、主に情報のやり取りを自動化する領域(ウェブブラウザや電子メールなど)が中心でしたが、IT技術の恩恵を顕在化させる情報処理端末がメインフレームからデスクトップPC、ラップトップPC、そしてスマートフォンへと、どんどんエンドユーザー(情報発信源)に近づき、両者の接触が常態化することで自動的に情報のやり取りが可能な範囲が拡がり、日常生活の多くがIT技術によって自動化・ディスラプトされてきました。

ただ、もちろん、まだまだ自動化され切っていない領域は残されています。2020年代は、そういった「残された自動化の金脈探し」をする人類の旅が続くと予想しています。

自動運転からRPAまで、実に様々な自動化の概念が顕在化した2010年代後半ですが、例えばIoTや脳チップといった概念を筆頭に、まだまだ情報の処理端末と発信源の接触拡大が続いており、そこから発生する自動化の可能性にいち早く気づき、事業化した企業が今後数年は、そのポジションをリードすることになるでしょう。

正直、現時点でどの企業がどの分野でリードするか分かりませんが、こういう時にあって注目している企業群の一つが、大量のデータ処理を容易に行えるようにする技術を展開している企業です。例えるなら、ゴールドラッシュの時代のツルハシ屋さんやジーンズ屋さんです。

IDATEN Venturesの出資先でいいますと、ニュージーランドのNyriadや、日本の情報システム総研、シマントがこれにあたります。

さて2020年代後半ともなると、リアル世界・サイバー世界を問わず、上記の流れを受けて、多くの自動化を実現するツール、いわばロボットが誕生していることでしょう。すると、そういったロボットを自由に使いこなすロボマス(ロボットマスター)による起業が本格化してくると予想します。

AWSのようなクラウドサービスがIT技術による起業ハードルを著しく下げたアナロジーで、上記のロボットは事業推進ハードルを著しく下げます。なぜなら、そうしたロボットを複数組み合わせ、駆使することで、24時間休むことなく非常に早いスピードでPDCAを回し続けることができるようになるからです。結果、超速で成長するスタートアップがいくつも誕生してくるでしょう。これが「ロボマス起業家によるスタートアップの超速化」です。

ロボマス起業家に求められるのは、多種多様なロボットを駆使する能力はもちろん、人々が思いもよらないようなアイデアを描く想像力、そしてそれを真っ先に実行に移す行動力になると思います。起業コスト・事業推進コストが低下し、そこで差別化がはかられにくくなってくるため、勝負の大きなポイントは、起業前のアイデア段階に移ってくるでしょう。

もしかしたら、人間の社員が0人で、いわゆるユニコーン企業を創り出す起業家も現れるかもしれません。VCとしても、特にシードVCにおいては、投資タイミングがどんどん前倒しされてくると思います。

2000年代、2010年代はIT技術を駆使できるITマスターが世界をリードしてきた側面がありますが、2020年代は、自動化を実現する各種ロボットを生み出す起業家と、それらロボットを駆使して事業を推進するロボマス起業家に着目です【『残された自動化の金脈探し」と「ロボマス起業家によるスタートアップの超速化」】

探る旅の終わりに

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4回に渡ってお届けした次のパラダイムシフトを探る旅、いかがだっただろうか。もちろん年末の企画ということも加味してリップサービス的なコメントや、ポジショントークもあったと思う。けど、ここで挙げた25名の投資家たちは数え切れないほどの起業家と対面し、自身も研鑽を積んだ人物ばかりだ。その言葉に嘘はない。

全体を通じて感じるのは「ポストiPhone」のようなエポックメイキングを求める声が少なくなったことだ。分かりやすいデバイス、スティーブ・ジョブズ氏のようなカリスマはメディアとしても言語化が容易だ。しかし今の時代、事はそこまでシンプルでなくなっている。

一人、今回の企画にあたってこんな声を寄せてくれた投資家がいた。

10年後の2030年、正直ここでまとめられることの7割は当たらないと思っています。たとえば今から約10年前の日本iPhone上陸の際、おそらく業界でも多くの人たちがここまでの普及を予想してなかったのではないでしょうか。なので、起業家(とそれを支援する私達投資家)は自分が信じる未来を作っていくことを意識し、こういう質問には10年後に絶対くる(ではなく来させる、が正解かもしれない)とポジショントークを続けていただければな、と思います。

弊社も僕も投資先が多いのでたくさん語りたい、語るべき未来がありますが、多すぎてスペースに入らないので省略します。個人的にはスタートアップ的には「人工知能搭載型人型ロボ『ヒューマギア』が様々な仕事をサポートする新時代 AIテクノロジー企業の若き社長が、人々の夢を守るため…今飛び立つ!」みたいなストーリーがあったらいいなと思っています。震える手抑え書きなぐる未来予想図でした!(TLMの木暮圭佑氏)

奇しくもスマホシフトが起こした情報化の波は、ステレオタイプな「右向け右」をダサいこととしてしまった。だからこそ彼が言うように、次に起こるパラダイムの波はとても曖昧で、でもいつの間にか世界を支配している、そういうものになるような気がしている。

この連載が次のスタートアップのヒントになれば幸いだ。

ネットショップみたいに出店できるゴーストレストラン「cookpy」、YJキャピタルなどから資金調達

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個人向けレストラン出店サービス「cookpy」は11月28日、YJキャピタル、East Venturesからシードラウンドにおける資金調達を公表している。なお、出資の方法や調達額等の詳細は公表されていない。 同社が提供するのは個人向けゴーストレストラン出店サービスで、cookpyを使えば一般の人でもネットショップをつくるような感覚で自分のレストランを持つことができる。出店したいユーザーはサイトから…

Image Credit: cookpy

個人向けレストラン出店サービス「cookpy」は11月28日、YJキャピタル、East Venturesからシードラウンドにおける資金調達を公表している。なお、出資の方法や調達額等の詳細は公表されていない。

同社が提供するのは個人向けゴーストレストラン出店サービスで、cookpyを使えば一般の人でもネットショップをつくるような感覚で自分のレストランを持つことができる。出店したいユーザーはサイトからレシピを登録し、同社が提携する店舗のキッチンを使って調理して商品を用意する。商品は全てデリバリーサービスを通じて販売することができる。

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実際に出店するよりも初期費用を抑えられる他、飲食店出店に必要な営業許可書は提携するキッチンが用意することからこれらの取得も必要ない。提携するキッチンは営業していない空いた時間を有効に活用することができるメリットがある。利用料金は月額1万円から。

今回の資金調達により、利用可能なクラウドキッチンの拡大やサービス体験向上を目的とした体制強化を実施する。

via PR TIMES

サプライチェーン管理SaaSのZenport、プレシリーズAラウンドで資金調達——商品を軸にしたステイタス管理で、物流効率化のさらに向こうへ

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サプライチェーン管理を効率化するクラウドプラットフォーム「Zenport(ゼンポート)」を開発・運営する Zenport は、プレシリーズ A ラウンドで資金調達したことを明らかにした。このラウンドで新規に参加した投資家は、REALITY ACCELERATOR、三菱 UFJ キャピタル、エンジェル投資家で LayerX 社長の福島良典氏(Japan Angel Fund から)、三井住友海上キャ…

Image credit: Zenport

サプライチェーン管理を効率化するクラウドプラットフォーム「Zenport(ゼンポート)」を開発・運営する Zenport は、プレシリーズ A ラウンドで資金調達したことを明らかにした。このラウンドで新規に参加した投資家は、REALITY ACCELERATOR、三菱 UFJ キャピタル、エンジェル投資家で LayerX 社長の福島良典氏(Japan Angel Fund から)、三井住友海上キャピタル。

既存投資家としては、2017年7月のシードラウンドに参加したグリーベンチャーズ(現在の STRIVE)と、ジェネシア・ベンチャーズも、今回ラウンドに参加している。Zenport は今回のプレシリーズ A ラウンド単体での調達金額を明らかにしていないが、前回シードラウンドと今回プレシリーズ A ラウンドを合わせた調達額の合計は1億5,500万円となる。

Zenport は、エンジニアである加世田敏宏氏(現 CEO)らにより、2015年7月に設立(創業時の社名は、Sendee)。貿易や国際物流最適化の B2B SaaS に事業をフォーカスすることになった経緯は、以前の記事に詳述した。当初はターゲットユーザを商社にするのか、フォワーダーにするのかが定まっていなかったが、荷主をメインに据えたサービスに落ち着いた。

Image credit: Zenport

ターゲットユーザが定まってからもマイナーピボットを繰り返し、当初は貿易や国際物流業務のための管理ツールだった Zenport はサプライチェーン全体を管理できるツールへと進化した。国をまたいで、あるいは、会社をまたいでのやりとりだけなら物流管理で済むかもしれない。しかし、例えば、輸入商社の中では、社内の異なる部署間で、物流にとどまらず商品に関わるさまざまなステイタスの共有が必要になる。

そこで Zenport では、商品の企画から販売に至るまでの一連のプロセスをワンストップで管理できるようにした。商品を軸にして、ロット単位で最新ステイタスを記録し、複数部署や関連会社横断で情報を共有することができる。商品のステイタス更新は手動のほか、商社などに導入済の在庫管理システムなどからデータをエクスポートして反映することも可能だ。将来は API 連携により、リアルタイムでステイタス更新できる機能の実装も視野に入れている。

Image credit: Zenport

多品種小ロットでサプライチェーンに多数の企業が絡んでいる業界では、サプライチェーンが分散化しシステム化が遅れており、それこそが Zenport のスイートスポットと言える。この条件にはまりそうな業界としてあげられるのは、例えばアパレル業界。さらに、大企業では、商品が〝動く〟際に関連するプレーヤーも多くなり、Zenport がサプライチェーン管理を効率化できる効果も大きなものとなる。多品種小ロットの商品ラインアップはあらゆる業界で増えつつあり、これが Zenport のユーザ獲得に追い風となっている。

クラウドとか、SNS とかの考え方を、もっとビジネスよりの文脈に組み込んでいったらどうなるか。簡単に国を超えたコミュニケーションができるようになるのではないか。(加世田氏)

Image credit: Zenport

確かにサプライチェーンを通じた商品のステイタス管理には、言語依存の大きな情報のやり取りは存在しない。定量的な情報をわかりやすくリアルタイムで伝えることができれば、国境や言語を超えた商取引はもっとスムーズになるだろう。Zenport は現在、日本語と英語で利用可能だが、ユーザからの需要に応える形で、現在ベトナム語や中国語に対応するインターフェイスも開発中だ。現在、中小規模の商社数社で契約を前提としたトライアル運用を実施していて、今後、より大きな規模の企業でのトライアルが控えている。

この分野の競合を見てみると、国際物流だけにとどめるなら、アメリカの Flexport や日本の shippio などがそれにあた流が、Zenport がサプライチェーンにまで領域を拡大していることから、DNX Ventures らが支援する Haven、ERP 大手 Infor が買収した GT Nexus(現在は Infor Nexus)、近鉄エクスプレスが買収した APL Logistics などに近いかもしれない。

<関連記事>

2500人の先輩花嫁が結婚の悩みを回答ーー花嫁コミュ「maricuru」がジェネシアVなどから1.6億円調達、開始1年の回答数は1万3000件に

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花嫁限定コミュニティ「maricuru」は6月20日、ジェネシア・ベンチャーズ、YJキャピタル、DGインキュベーションなどを引受先とする第三者割当増資の実施を公表した。調達した資金は総額1億6000万円。同ラウンドをリードしたのはジェネシア・ベンチャーズで出資比率などの詳細は非公開。調達した資金で開発およびブランディングの強化、および花嫁のSNS発信を活かした新サービスの検討も進める。 maric…

スクリーンショット 0001-06-21 10.33.11.png

花嫁限定コミュニティ「maricuru」は6月20日、ジェネシア・ベンチャーズ、YJキャピタル、DGインキュベーションなどを引受先とする第三者割当増資の実施を公表した。調達した資金は総額1億6000万円。同ラウンドをリードしたのはジェネシア・ベンチャーズで出資比率などの詳細は非公開。調達した資金で開発およびブランディングの強化、および花嫁のSNS発信を活かした新サービスの検討も進める。

maricuruは昨年3月に公開された花嫁限定のコミュニティアプリ。面談を実施した約2500人の花嫁が「先輩花嫁アドバイザー」として参加しており、後輩の花嫁の悩みや疑問に回答してくれる。サービス開始後1年で、投稿された結婚式レポート数は8万件、写真数は20万件にのぼる。またQ&Aの回答率は99%で平均回答数5件以上、合計回答数は1万3000件の規模に成長した。

また昨年11月にはリアルコミュニティとなる「maricuru park」を設立、今年2月には結婚相談カウンターとなる「maricuru相談カウンター」を開始するなど、コミュニティをベースにした事業推進も進めている。