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はじまる「シン・副業」:採用前の“副業“というアタリマエ、そのメリットと課題(2/5)

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(前回からのつづき)先日、とあるスタートアップの取材で採用がとてもスムーズになった、という話を聞いた。やり方は?と尋ねるとどうということはない、しばらくはアルバイトのような形で一緒に働いてから実際のスキル・カルチャーマッチを確かめるようにしたというだけのことだった。 実際、スタートアップに限らずおける採用マッチングというのは非常に難しい。HRテクノロジーが随分と話題になるようになったが、やはり未だ…

(前回からのつづき)先日、とあるスタートアップの取材で採用がとてもスムーズになった、という話を聞いた。やり方は?と尋ねるとどうということはない、しばらくはアルバイトのような形で一緒に働いてから実際のスキル・カルチャーマッチを確かめるようにしたというだけのことだった。

実際、スタートアップに限らずおける採用マッチングというのは非常に難しい。HRテクノロジーが随分と話題になるようになったが、やはり未だに主流は人の手を介した紹介がほとんどだ。この「マッチング」というプロセスに今、副(複)業をワンステップとして取り入れようという動きがある。

overflowが提供するOffersは副業プラットフォームのひとつで、サービス開始は昨年5月。今年3月にはEast Venturesなどから1億円のシード資金を獲得した注目株だ。彼らの特徴はハイクラスのエンジニアやデザイナーに絞ってマッチングを展開している点で、オープンなマッチングではなく、プロフィールを見て企業側が一本釣りするスカウトの仕組みを提供している。

CTO候補を副業で見つける

Offersでは副業を前提とした採用プロセスが走る(画像:Offersオウンドメディアより

このような仕組みということもあって、Offersを利用する企業は採用を前提にしようというケースもある。スニーカーのC2C「スニーカーダンク」を手がけるSODA社は利用企業のひとつで、同社のCTOを副業プロセスから見つけることに成功した。

昨年8月にスタートしたばかりの同社だが、スニーカーのマーケットプレースは海外「StockX」をはじめ、国内でも複数社がここ1、2年で取り組みを開始している注目市場になる。当然、開発や拡大のスピードが命になるため、組織拡大はスタートアップ・レースを勝ち抜く鍵となる。

元々、副業という形で社内エンジニアが近しい人に声かけしてチームを作っていたそうだが、どうしてもコードレビューできるトップクラスとなると手が足りない。一方で幹部候補を採用するまでの時間は、競合とのレースに出遅れるリスクを抱える。そこで同社は「採用前提で」副業のメンバーを集めることにしたのだそうだ。結果、2週間ほどで足元の戦力かつ、将来的なCTO候補と出会うことができた。

また、このケースでは条件面等で正社員を望めない場合には、契約終了を前提としたところもポイントになるだろう。実は筆者も過去、開発の方と業務委託契約し、副業で手伝ってもらったことがあったのだが、難しかったのがこの「辞め時」だった。どうしてもカルチャーマッチしていない状況を理解しつつ、人間的な部分で数カ月を過ごしてしまったのは双方にとってよくなかった。

採用ステップとしての副業は最強なのか

特にハイクラスの採用になると、一定のお試し期間が必要なのは目新しい話ではない。これを副業と読み替えることにどのようなメリットや課題があるのか。overflowの代表取締役、鈴木裕斗氏に話を聞いた。(太字の質問は全て筆者、回答は鈴木氏)

これまでも企業で使用期間や、アルバイト的に手伝ってもらってから採用、というフローは存在していました。ここに副業という考え方やOffersのような仕組みが入ることで何が変わる(もしくはどこにメリットがある)のでしょうか?

鈴木:副業を取り巻くルールはまだ曖昧なものが多く、働き手 / 雇用主ともに各者各様の優先順位とルールで対応をしています。企業から見れば、副業を人材補強として活用する、将来的に中核を担う人材を見つけるチャネルとして捉えている、など目的も異なります。

そして現段階ではそのどちらもが正解であり、「まずやってみよう」という行動変化を促しながら副業の民主化を進めていきたいと考えており、その先には私たちが「複業転職」と呼ぶこの手法が採用チャネルのスタンダードとなっている世界をイメージしています。Offersがあることで、副業の民主化と新しい採用手法の拡大を後押ししていきたいと思っています。

具体的にテクノロジーの面などで工夫をしているポイントは

副業を採用における「歩み寄り」のプロセスと考え、サービス体験を考える

鈴木:Offersでは「選考コストをゼロにする」も1つのプロダクトテーマとして掲げており、ユーザーページを見れば初回面接が不要となるように設計しています。レジュメではわからないあらゆる候補者情報を収集しており、候補者 / 企業それぞれにとって不要な時間を圧縮し、面接時間をより有意義なものにしています。

採用における選考時間の圧縮を実現することで採用まで平均12日という結果にもつながっています。また、リモート採用により従来よりミスマッチ採用リスクが高まっていますが、複業転職の仕組みを使えば20万円のコストで一緒に働く時間を買うことができるため、中長期的なミスマッチ採用コストの圧縮にもつながっています。

こういう仕組みで人材の流動化が加速することが予測されます。それ以外の波及効果はどういうものになるでしょうか?

鈴木:採用における「信用スコアの重要性」が高まると考えています。信用に最も大きい影響を与えるのは実績です。流動化が進むということは、実績という名の信用が細かく、多く積み上がる時代になるということです。

副業というと軽んじられた見方をされることもありますが、副業の実績がきちんと貯まり信用を資産にする仕組みがあれば、働き手にとってはより大きなチャンスになります。一方の雇用主にとっては精度の高い採用をすることが可能になります。Offersでも信用をパブリック化する機能を実験的に開始しており、Offers上での実績がしっかりと資産になるように進めています。

私自身、編集のチームをこれまでずっとパートタイムで組んできたこともあって、副業などの考え方は全て合理的かつ、これまでにも実績のある方法(試用期間だったりする従来手法)でもあるので、デメリットをあまり感じていません。問題や課題があれば教えてください。

鈴木:合理的とはいえ、既存の考え方やオペレーションでは対応できないことも多いため、現場で推進していくには相当なカロリーが必要になります。やはり会社のトップ、経営レイヤーからの理解やコミットが必要不可欠であり、1on1の壁打ちやケーススタディの開示など、きっかけづくりから着実に進めています。

今後、副業におけるoverflowとして目指すポジションはどのあたりにありますか

鈴木:Offersは3段階のフェーズを経て「才能を引き出し、社会で共有する世界」をつくろうと考えており、そのスタート地点として「副業 / 複業 × エンジニア / デザイナー」に絞って展開し、仮説検証を繰り返しています。採用業務においては、ソーシングと選考に約55%のリソースが使われており、大多数の人事担当者の時間を奪っています。

よって、まず最初に取り組むべきは「採用プロセスの非効率」を解決することであり、候補者探しと選考業務にかかっている多くの時間を極限まで下げることを進めています。まずは自社に最もフィットするエンジニア / デザイナーが最も速く採用できるプラットフォームを目指していきます。

ーーということでケーススタディとして、採用ステップに副業を取り入れている事例を紹介した。次回は行政や大企業が副業をどのように活用しているのか、その実例と課題についてお届けする。(次につづく)

はじまる「シン・副業」:注目高まる副業テクノロジー(1/5)

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ここ数カ月で大きく注目されるようになったある働き方がある。「副(複)業」だ。 どうやら感染症拡大をきっかけに仕事を出す側・する側双方の理屈に変換があったことが主な理由のようだ。デジタル・シフトの追い風で発注を増やす企業もあれば、飲食や観光などソーシャルディスタンスの煽りで大打撃を被った人たちもいる。双方にとって共通するのは「この状況をなんとかしないといけない」という点だ。筆者も約半年前、混乱する状…

Photo by energepic.com from Pexels

ここ数カ月で大きく注目されるようになったある働き方がある。「副(複)業」だ。

どうやら感染症拡大をきっかけに仕事を出す側・する側双方の理屈に変換があったことが主な理由のようだ。デジタル・シフトの追い風で発注を増やす企業もあれば、飲食や観光などソーシャルディスタンスの煽りで大打撃を被った人たちもいる。双方にとって共通するのは「この状況をなんとかしないといけない」という点だ。筆者も約半年前、混乱する状況の中、副業にまつわる人々の考え方の変化や様子をこの記事に記している。

とにかく今、必要とする力をこれまでのように丁寧な選考プロセスで選んでいるヒマがない。一方の仕事を受ける側も、なくなってしまった通勤時間を新たなチャンス探しに使う人もいる。そこでこの特集ではいくつかのスタートアップ、企業の話をもとに、ちょっとしたお小遣い稼ぎ的な副業がどのようにポジションを変えるのか、その今を追ってみることにした。

「副業テック」とはなにか

副業にまつわるテクノロジーを考える際、大きくマッチングの仕組みと、スキル・採用プロセスの大きく2つに効率化のチャンスが潜んでいると考えている。

そもそも副業のプラットフォームとしてまず真っ先に挙げられるのがクラウドソーシングだ。国内ではランサーズやクラウドワークスがスタートアップの段階を卒業し、現在、公開市場で更なる成長を目指している。特化型も増えていて、従来よくあったクリエイター系のものから営業代行、もっと短期間のデリバリーや家事手伝い、やや問題のあったベビーシッターなどといった「ギグワーク」という形で裾野を広げている。どれもオンラインで仕事をマッチングし、支払いや案件管理などをプラットフォーム側でシステムとして提供している。

副業プラットフォームのOffersには副業を活用する企業の事例が並ぶ

手がける人たちは小さな事業者も多いが、フリーランスなど案件を求める個人事業者も多数存在している。ここにやや採用にまで範囲を絡めた形で出てきたのが副業プラットフォームだ。国内ではOffers、YOUTRUST、シューマツワーカー、前述したクラウドワークスが提供するクラウドリンクスなどがそれにあたる。

世界的にも副業(サイドビジネス、セカンドジョブ)はやはりクラウドソーシングの「Upwork」や「Fiverr」などが代表例になるのだが、数時間で終わるようなショートタームのお仕事マッチングと異なり、やや複雑な案件、例えばエンジニアリングを必要とするプロジェクトの進行管理のようなケースでは、プラットフォーム側に求められるテクノロジー、体験もやや異なる。

そこで新たな動きとして生まれているのがチームワーク型のプラットフォームだ。

この記事に記されている3つのパターンは、いずれも発注側の複雑な要件を、能力の高いフリーランスにマッチングさせるやや複雑な工程を、特化型にすることで解決しているケースだ。国内でここまで複雑なパターンはまだ(少なくとも私のみている範囲内では)見当たらない。

もうひとつ関連するテクノロジーがスキルや人物の可視化と、関連する採用プロセスの効率化になる。スキル・シートにテキストで「できる」と書いてあったとして、本当にできるかどうかはエビデンスが必要だ。例えば国内ではFindyやLAPRAS SCOUTのようにGithubなどのデータと連動させ、ある程度の技術力をこれまでの履歴から可視化するようなケースもあるし、YOUTRUSTは友人の繋がり(ソーシャルグラフ)を使った信用担保を武器に成長を加速させている。

採用における「知り合いの紹介」にフォーカスしたYOUTRUST

ちなみにこのスキルやキャリア情報に関するテクノロジーは世界的にも注目されている。コンサルティング企業のPwCが実施した調査で、企業が求めるHR領域のテクノロジーに何を求めるかというアンケートの上位にもランクしており、コロナ禍でオンライン化が進む中、遠隔での人材評価はますます重要になってくるだろう。

1. タレント獲得ツール:49%
2. 従業員体験:48%
3. スキルマッピング・キャリアパス:46%
4. インテリジェント・リクルーティング:45%
5. プロセス自動化:45%

PwC’s HR Technology Survey 2020

加えてこの辺りはクラウドソーシング各社も随分と前から取り組んでおり、スキルだけでなく、その人自体の魅力のスコア化、与信に関するところまで広げて研究が進んでいる一方、決定打はまだない状況だ。

ではオーバービューはこのあたりにして、次稿から具体的なケーススタティを紹介していくことにしよう。(次につづく)

 

 

AIヘッドハントなど展開「LAPRAS」が3.5億円を調達

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エンジニアを中心としたスキル可視化ポートフォリオサービスなどを展開するLAPRASは9月14日、ウィルグループを引受先とする第三者割当増資の実施を公表している。調達した資金は3億5,000万円で資金は人材採用やプロモーション、新規開発リソースに活用する予定。ウィルグループは既存株主で今回は追加出資となる。また、人材関連事業における協業も強化する。 LAPRASは、ウェブ上に公開されているSNSやG…

LAPRAS SCOUTウェブサイト

エンジニアを中心としたスキル可視化ポートフォリオサービスなどを展開するLAPRASは9月14日、ウィルグループを引受先とする第三者割当増資の実施を公表している。調達した資金は3億5,000万円で資金は人材採用やプロモーション、新規開発リソースに活用する予定。ウィルグループは既存株主で今回は追加出資となる。また、人材関連事業における協業も強化する。

LAPRASは、ウェブ上に公開されているSNSやGitHubなどのオープンデータを活用したスキル情報の可視化プラットフォーム。公開されているレポジトリやブログ記事、イベント参加状況やSNSプロフィールなどを基にして、エンジニアのスキルや志向性、転職の可能性を判定したポートフォリオを自動生成する。自身のポートフォリオはLAPRASにログインすることで確認できる。

同社はこれらの技術系人材のデータベースを元に、各種の採用に関するマッチングサービスとして、企業向けのヘッドハンティングサービス「LAPRAS SCOUT」、フリーランス・副業エンジニア採用サービスの「LAPRAS Freelance」を展開している。LAPRASの登録者数は1万人で、LAPRAS SCOUTも累計導入社数が250社を超えている。

via PR TIMES

オンライン採用・研修プラットフォーム「playse.」展開のmanebi、グローバル・ブレインとSBIなどから4.8億円調達

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派遣事業者にeラーニングソリューションを提供する manebi(マネビ) は8月31日、第三者割当増資の実施を公表している。引受先となったのはグローバル・ブレイン、SBIインベストメントの2社。これに複数金融機関からの融資を含め、調達した資金は合計で4億8,000万円。昨年10月に実施した個人投資家を中心とする増資に続くもの。 参考記事:eラーニング「派遣のミカタ」運営のmanebi(マネビ)が小…

playse. web面接ウェブサイト

派遣事業者にeラーニングソリューションを提供する manebi(マネビ) は8月31日、第三者割当増資の実施を公表している。引受先となったのはグローバル・ブレイン、SBIインベストメントの2社。これに複数金融機関からの融資を含め、調達した資金は合計で4億8,000万円。昨年10月に実施した個人投資家を中心とする増資に続くもの。

参考記事:eラーニング「派遣のミカタ」運営のmanebi(マネビ)が小泉文明氏らエンジェルからシード資金調達、導入社数はすでに1000社に

同社は派遣事業者向けに2015年から義務化された、キャリア形成支援制度に対応した派遣スタッフ向けの研修コンテンツを手がける。定められている業務報告書などの自動生成に対応しており、対応を迫られる事業者の効率化を支援している。

また、これに合わせて、オンライン採用・研修プラットフォーム「playse.」も展開。3,000レッスンの研修コンテンツに加え、採用支援として昨年11月にはウェブ面接ツールを公開し、公開後8カ月で1,100社が導入した。調達した資金はオンライン採用・研修プラットフォーム、派遣業界特化型のeラーニング事業へ投資する予定。

via PR TIMES

新時代の組織、ヒントはGoogle流「自律協業」ーーシードで3億円集めたBeaTrust (ビートラスト)のワケ

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コロナ禍は私たちの働き方に大きな影響をもたらすことになった。 これまで「常識」だからと蓋をしていた通勤やヒエラルキー、毎日の仕事の在り方や評価など。成人した大人であれば、個々人の「成長」や「人生」に関わる大問題でもあるにも関わらず、ずっと変えられなかった社会の仕組みが大きく動き出しつつあるのだ。 そして今、この課題により明確なフレームワークを持ち込もうというスタートアップが現れた。具体的なプロダク…

コロナ禍は私たちの働き方に大きな影響をもたらすことになった。

これまで「常識」だからと蓋をしていた通勤やヒエラルキー、毎日の仕事の在り方や評価など。成人した大人であれば、個々人の「成長」や「人生」に関わる大問題でもあるにも関わらず、ずっと変えられなかった社会の仕組みが大きく動き出しつつあるのだ。

そして今、この課題により明確なフレームワークを持ち込もうというスタートアップが現れた。具体的なプロダクトのお披露目はもう少し先だが、今、明らかになっている彼らの思想をお伝えしたい。

ベテラン・スタートアップ

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写真左より: 共同創業者の久米雅人氏と代表取締役の原邦雄氏、VP of Engineeringの長岡諒氏

BeaTrust (ビートラスト)は代表取締役の原邦雄氏と久米雅人氏らが今年3月に共同創業したスタートアップだ。

同社はこのほど、シードラウンドで3億円という資金調達を成功させた。増資に応じたのはリードインベスターとしてサイバーエージェント・キャピタル(CAC)、ラウンドに参加したのはDNX Ventures、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、STRIVE、One Capital,、Delight Ventures、PKSHA/SPARX、みずほキャピタル及び複数の個人投資家。出資はJ-KISS型新株予約権を発行する形で実施されている。

シードのタイミングで3億円も破格だが、これらトップクラスのVCが顔を並べるのも珍しい。なぜか。CACの近藤裕文氏はリードした評価ポイントを次のようにまとめる。

「コロナショックの発生によって、デジタル化(DX)は多くの産業、日本企業とって大きな課題となった一方、それを支援する組織構築から人材活用まで提供できるプロダクトは満たされていません。Google時代に課題感(深刻度)や問題点(進まない理由)を相当把握されていて打ち手も分かってらっしゃる点、原さん・久米さんのGoogle・シリコンバレーネットワークに加え、CACのグローバルネットワークで東南アジア市場の立ち上げをサポートできる点に可能性を感じています」(近藤氏)。

共同創業した原氏、久米氏は共に前職Googleで、最後の仕事をスタートアップ支援に捧げた人物だ。現在、Coral Capitalにて活躍する西村賢氏も在籍していた部門で、アクセラレーションプログラム「Google Launchpad Accelerator Tokyo」や、国内では珍しいGoogleによる出資案件(Abeja、PLAIDなど)などを手掛けていた。

もちろんこれだけでも実績としては十分だが、特に原氏はまさにインターネット・ビジネス創世記とも言えるシリコンバレーにて過ごした経験を持っている。同氏は国内でキャリアをスタートした後、渡米して米SGI(シリコングラフィクス)に在籍していたのだが、ちょうどこの1990年前後の米国インターネット世界は様々なスタートアップの「ビック・バン」とも言えるストーリーを巻き起こしている。

例えば原氏が在籍していたSGIには伝説的創業者、ジム・クラーク氏がいる。

彼がマーク・アンドリーセン氏らと作ったウェブブラウザ「Mosic(モザイク)」は「Netscape Navigator(ネットスケープ・ナビゲーター)」を生み出し、Microsoftと激しい戦いを繰り広げることになった。IEとの戦いに敗れたアンドリーセン氏がベン・ホロウィッツ氏と創業したベンチャーキャピタル「Andreessen Horowitz(a16z)」が支援したSkypeはかつての宿敵、Microsoftに買収されることになり、その後のa16z発展の基礎となる。

離合集散を繰り返しエコシステムを巨大化してきた米国らしいエピソードだ。

原氏はSGIを離れた後もシリコンバレーに残り、スタートアップ支援のコンサルティング・ファームを自分で立ち上げ、このスタートアップ・エコシステムの聖地がどのような原理で事業を生み出していくのか体で感じてきたのだそうだ。帰国後は主に広告畑で日本のマイクロソフト、Googleと渡り歩いた。

BeaTrustを共同創業した久米氏もまた、2回目のインキュベイトキャンプに参加するなど、2010年代の国内スタートアップ・シーンを自分ゴトとして経験してきた人物だ。イノベーションの理屈を知り尽くしている二人だからこそ、これだけ多くの投資サイドが集まったのはよく理解できる。

必要とされる「自律的な」働き方

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BeaTrustウェブサイト・プロダクトの公開は秋に予定されている

本題に入ろう。彼らは何を解決しようとしているのか。

BeaTrustのテーマは大きな視点で言えば「イノベーション」だ。日本企業がイノベーションを起こすために必要な組織、人、文化を作り出すためのHowを提供する。彼らはこれまでの経験から、イノベーティブな企業の本質は「多様な人材による自律的な協業を促すカルチャー」と、それを実現に移すことができる「整備されたデジタルインフラ」にあるとしている。

解決のためのキーワードは「自律的協業」だ。彼らが在籍していたGoogleはチームワークのポリシーとして「re:Work」というコンセプトを公表している。久米氏は今後の企業イノベーションを考える上で重要なポイントにチームの「心理的安全性」と「相互信頼」を挙げる。

「企業が『オープンであること』も重要なファクターです。最近のスタートアップでは割とデファクトになりつつありますが、大きな企業ではまだまだ社員に色々な情報を開示し切れていないところも多いかと思います。人の情報から開示することでコミュニケーションの円滑化や協業機会を増やすカルチャーを醸成することを意識しています」(久米氏)。

一方、こういった話題は抽象論に陥りがちでもある。ルールで自律的に動けと縛っては意味不明だし、かと言って精神論で経営者のように振る舞えと指示をしてはチームワークとして成立するはずもない。そこで役立つのが思考フレームワークの存在だ。特にGoogleはOKRなどの導入でもよく話題になる。BeaTrustはどのような土台を用意しているのか。原氏の考え方はこうだ。

「自律的な協業を促すには、トップがビジョンを明確に示し、開示できるものはすべて開示し、心理的な安全性を担保しつつ、従業員の自主性にあとは任せるというのが道筋です。OKRは個人やチームの目標管理には重要ですが、同時に持続的に学習する文化を組織として根付かせることも競争優位性を保つためには大切だと思います(このあたりもre:Workにうまくまとめられています)。

そのような環境下では自然と社員同士が知識を共有しあったり教え合ったりする行為が活性化します。また、その根っこにあるのはGiver的な精神となります。日本企業の方々とお話をしていて一番感じるのは特に心理的安全性とコア業務を離れて他の社員をサポートすることに対する評価が確立されていないです。その場合、どうしても横断的な協業は中々現場からは生まれにくいと考えます。我々の製品はこのような文化を醸成していく後押しになるようなテクノロジーの基盤を提供していくことにあります」(原氏)。

両氏との会話で、特に印象に残ったのが教えあう文化だ。

コロナ禍に遭遇し、私たちは強制的に自律的な行動を求められる環境に遭遇した。従来型のトップダウンでは声が届かず、監視・管理というマネジメントの仕組みが崩壊した瞬間、組織は新しい方法を示さなければならなくなった。しかし、自律的行動は個々人のラーニングによるところが大きい。しかしもし、組織そのものに「学ぶ仕組み」がインストールされていればどうだろう。教え合う文化というのはこの組織の自己修復力を高めるために必要だというのだ。

冒頭に書いた通り、プロダクトの詳細はまだ披露されていない。秋ごろに公開される予定のプロダクトは次のようなHowの提供から開始するとしている。

  • 従業員の業務内容やスキル・経験の可視化
  • チーム構成・組織体制の把握
  • 横断的かつスピーディで強力な検索機能
  • コラボレーションを生み出すためのコンタクト情報などの表示

会社はあなたのことを考えてくれているのか

取材でもう一つ心に残った言葉がこれだ。昭和の高度経済成長期、仕事というのは言葉通り「人生をかけたもの」が多かったように思う。車を作り、テレビを売り、道路を伸ばして山にトンネルを掘る。情報が乏しい時代、組織は一丸となってダイナミックに動くことが必要だった。「日本的サラリーマン」が輝いていた時代だ。

しかしそこから半世紀近くが過ぎ、私たちの世界は情報化で一変した。スマホで今いる場所にオンデマンドに配車できるし、不用品はどこか遠くに離れた見ず知らずの人に譲ることができる。それも数分で、だ。

企業に求められるイノベーションの頻度はどんどん回数を増し、そこで働く人たちの人生もせわしなく変化が求められるようになる。急流下りのような企業経営が求められる中、経営陣には大きく二つの選択肢を突きつけられるようになってきた。

使えない人を切って採用を続けるか、それとも変化に対応できる人を育てるか、だ。

原氏や久米氏が体験した「多様な人材が自律的に協業しあう世界」、それこそがこの新しい時代に求められているスタンダードなのではないだろうか。

GitHub解析でエンジニアを採用支援する「Findy」運営、シリーズBラウンドで7億7,000万円を調達——グローバル・ブレインなどから

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GitHub 解析によるエンジニアスキルの見える化をコア技術に、エンジニア転職とエンジニア組織の生産性向上を支援するファインディは3日、シリーズ B ラウンドで7億7,000万円を調達したと発表した。このラウンドにリードインベスターはグローバル・ブレインで、ユナイテッド、SMBC ベンチャーキャピタル、KOIF(KDDI Open Innovation Fund)、JA 三井リース、博報堂 DY …

Image credit: Findy

GitHub 解析によるエンジニアスキルの見える化をコア技術に、エンジニア転職とエンジニア組織の生産性向上を支援するファインディは3日、シリーズ B ラウンドで7億7,000万円を調達したと発表した。このラウンドにリードインベスターはグローバル・ブレインで、ユナイテッド、SMBC ベンチャーキャピタル、KOIF(KDDI Open Innovation Fund)、JA 三井リース、博報堂 DY ベンチャーズ、みずほキャピタルが参加した。なお、調達金額には金融機関からのデットファイナンスが含まれる。

これはファインディにとって、2019年6月に実施したシリーズ A ラウンドでのグローバル・ブレインからの約2億円の調達に続くものだ。それより前、同社は PKSHA Technology 代表取締役の上野山勝也氏、レアジョブ代表取締役社長の中村岳氏、クロス・マーケティング代表取締役社長の五十嵐幹氏など複数の個人投資家から資金調達している。創業来の累積調達金額は10億円前後に達したと見られる。

ファインディは、エンジニアと企業の高精度マッチングにより、企業にとってはエンジニアの効率的な採用、エンジニアにとっては効率的な転職支援するスタートアップだ。2017年5月から「Findy転職」、2018年2月から「Findy Freelance」、2020年4月からエンジニア組織の生産性自動診断・生産性向上サービス「Findy Teams」β版を提供している。エンジニアが GitHub の公開レポジトリ上に公開したコードを AI 解析、開発言語別の偏差値を算定し、エンジニアのスキルや他者から支持などを見える化するのが特徴。

「Findy Teams」
Image credit: Findy

ファインディ CEO の山田裕一朗氏によれば、エンジニアの転職業界も新型コロナウイルスの影響は少なからず受けているものの、一部企業の採用鈍化により、逆に採用を積極化している企業にとっては良いエンジニアを採用できる好機に転じているようだ。

2月から3月にかけては、採用の速度はあまりよくなかったことも事実。ファインディでは内部体制が十分でなかったこともあり、この数ヶ月間、マネジメント層の採用を厚くして、4月から5月にかけてキャッチアップしてきた。4月にリリースした Teams の開発に注力すべく、エンジニアも一気に増やした。

以前はスタートアップ同士の(エンジニア採用面での)競合が多く、エンジニアも5つ6つと内定を持っている人が多くて、内定を出しても断られることが多かった。しかし当社の認知度が高まったことや、競合他社が採用を抑制したことから、優秀なエンジニアを採用しやすくなっている。

(情勢の不安定さから)スタートアップは手元にキャッシュを残しておきたいところが増える中、エンジニア採用の厳選化が始まったという印象を受ける。一方で需要は増えていて、例えば、日経のような大企業のエンジニア採用が増えてきた。三菱重工も以前は実施していなかった中途採用を始めた。このような動きを追い風にしていきたい。

データサイエンティストへの需要も高まっているようだ。データ基盤やフロントエンド開発を外注から内製に切り替える企業が増えていることも影響している。このような企業では、サービスを運営する上で社内にデータを多く保有しているのにもかかわらず、サイエンティストの不足からデータ解析を十分に行えていないことが大きな課題となっている。

同社では今後、Findy Teams の開発を強化する。これは、GitHub 上のエンジニアの行動データを分析し、チームの好不調、開発プロセスの課題、プロジェクト貢献度を見える化しフィードバックするというもの。日経の報道によれば、このサービスは2021年初めに正式化される見込みで、同年中の導入企業数を300社程度としている。

Slackから従業員の状態解析「Well」が1億円調達

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従業員の状態をコミュニケーションツールから分析する「Well」を運営するBoulderは7月28日、プレシリーズAラウンドでの資金調達を公表している。出資したのは既存投資家のジェネシア・ベンチャーズとワン・キャピタルの2社。増資額は1億円で出資比率などの詳細は非公開。同時にクローズドで提供していたサービスのβ版提供の開始も伝えている。 Wellは従業員の課題や状況をコミュニケーション分析により可視…

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Wellウェブサイト

従業員の状態をコミュニケーションツールから分析する「Well」を運営するBoulderは7月28日、プレシリーズAラウンドでの資金調達を公表している。出資したのは既存投資家のジェネシア・ベンチャーズとワン・キャピタルの2社。増資額は1億円で出資比率などの詳細は非公開。同時にクローズドで提供していたサービスのβ版提供の開始も伝えている。

Wellは従業員の課題や状況をコミュニケーション分析により可視化するツール。SlackとMicrosoftのTeamsに対応しており、これらと連携させるだけで、独自のアルゴリズムで従業員コミュニケーションを解析し、業務負荷や人間関係、モチベーションといった状況が把握できる情報をリアルタイムに提供してくれる。また、発見した課題に対して解決策の情報もレコメンドしてくれる。増資した資金で外部サービスとの連携強化などを進める。

via PR TIMES

スポーツビジネスのPR・採用プラットフォーム「HALF TIME」に北島康介氏ら出資

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スポーツビジネスのPR・採用プラットフォーム「HALF TIME」は7月9日、北島康介氏、野村忠宏氏、井上康生氏、太田雄貴氏らをはじめとする23名の個人投資家、並びに、2社の事業会社を引受先とした第三者割当増資の実施を公表している。これに金融機関からの融資を合わせ、調達した資金は総額1億円。 個人で出資しているのは上記以外に大畑大介氏、秋田豊氏、鈴木啓太氏、西大伍氏、中村武彦氏、嵜本晋輔氏。出資し…

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スポーツビジネスのPR・採用プラットフォーム「HALF TIME」は7月9日、北島康介氏、野村忠宏氏、井上康生氏、太田雄貴氏らをはじめとする23名の個人投資家、並びに、2社の事業会社を引受先とした第三者割当増資の実施を公表している。これに金融機関からの融資を合わせ、調達した資金は総額1億円。

個人で出資しているのは上記以外に大畑大介氏、秋田豊氏、鈴木啓太氏、西大伍氏、中村武彦氏、嵜本晋輔氏。出資した事業会社およびその他個人の氏名は非公開。出資と融資の比率や株価などの詳細も開示していない。

同社は昨年7月にウェブサービス「HALF TIME」を公開し、ビジネスパーソン向けのスポーツビジネス専門メディアと、法人向けの採用及びPR・ブランディングサービスを開始している。今年8月からはグローバルなスポーツビジネス人材を輩出することを目的としたオンラインアカデミー事業を開始する。

今回の資金調達により、オンライン事業の拡大と海外事業の立ち上げによる事業拡大を目指すと共にウェブサービスの追加開発、顧客・ユーザー獲得のマーケティングに注力する。

via PR TIMES

働き方に地域という概念をなくすーーGMOペパボに「出戻った」ある社員さんのお話

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Twitterを見ていたらある投稿に目が止まった。投稿主はGMOペパボ(以下、ペパボ)の代表取締役、佐藤健太郎さんだ。なにやら地元に戻った元社員の方の再雇用が決まったようなお話で、さらに言えば、今のコロナ禍でGMOインターネットグループはいち早く働き方の改革を進めている。 どういうことが起こっているのだろうか? 新しい採用基準になったことで卒業した仲間が再びジョインしてくれました。一緒に最高のサー…

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リモート前提の働き方になったGMOペパボのオフィス(写真提供:GMOペパボ)

Twitterを見ていたらある投稿に目が止まった。投稿主はGMOペパボ(以下、ペパボ)の代表取締役、佐藤健太郎さんだ。なにやら地元に戻った元社員の方の再雇用が決まったようなお話で、さらに言えば、今のコロナ禍でGMOインターネットグループはいち早く働き方の改革を進めている。

どういうことが起こっているのだろうか?

ということで、早速健太郎さんにチャットで経緯を聞いてみた。

ーーTwitter拝見しました。現在、GMOインターネットグループは全体としても働き方の変革を実施されようとしていますが、その一環で何かよいことが起こったのでしょうか?

健太郎さん:昨年、鹿児島にオフィス作ったのですがそこはエンジニアの採用しかしてなくて、それとは別の動きとしてペパボがリモート前提になり採用基準から地域を撤廃しました。今回再入社された方は、5年ほど前にご家族の都合で鹿児島に帰られて離職されたのですが、リモートワークで働けるということで再度応募してくれたというのが経緯です。

ーー地域という概念をなくす、いいですね。GMOインターネットグループとして新しい働き方の指針が出ていますが、ペパボとしての取り組み概要ってどのようなものなのですか

健太郎さん:GMOペパボでは6月1日より、パートナー(社員)が自身のライフスタイルに合わせてQOL(生活の質)を高めながら自律的かつ生産性高く働くことを目的として、自宅などでの勤務が可能なリモートワークを基本とした体制に変更しました。業務内容など、必要に応じて各拠点のオフィスに出社することも可能としています。

また、従来のオフィス(東京、福岡、鹿児島)は、業務を行う場としてだけでなく、社内イベント開催などによるパートナー同士のコミュニケーションや、他企業・地域とのコラボレーションなど、同じ空間で時間を共有することで生まれる体験価値をこれまで以上に提供できる「場」として活用していきたいと考えています。

ーーなるほど、じゃあ今回の件もそもそも鹿児島には支社はあるが、そこに再就職したいわゆる「I・Uターン」の話題とはやはり違っていたのですね。

健太郎さん:はい、リモートワークを原則としたことで、採用における居住地の条件がなくなりました。また、これまではご家庭の事情などで居住地が変わってしまうために退職を選択せざるを得なかったパートナーも、リモートワーク体制になったことによって勤務を継続することが可能となりました。

(今回のTwitterでやりとりしていた件は)先日、ご家族のご事情で実家に帰省するため、5年前に卒業(退職)したパートナーが再入社しました。これは、今回の体制変更により毎日の「通勤」が勤務条件から撤廃されたことで実現したことで、私たちも非常に嬉しく思っています。今後は、スキルや専門性はもちろん、GMOペパボの企業理念への共感や文化とのマッチングをより重視した基準で採用活動をしていきたいと考えています。

ーーすごくいい話。一方、リモートやオフィスのそれぞれの機能や働き方が急速に検討されることによって、一般的にリモートワークは成果主義的な傾向が強くなり、特定の職種に限定されがち、という指摘が出るようになりました。こういった課題にはどのように対応をされるのでしょうか?

健太郎さん:実は私たちは数年前からいずれ訪れるであろう「新しい働き方に備える」というテーマのもと、様々な人事施策を行ってきた経緯があります。その中の一つに評価制度の刷新があるんです。会社とパートナーが持続的に成長していくことを目的に育成方針を定め、評価制度全体を1月に改定しました。

具体的には、全職種共通の等級要件を新設し、これまでの目標達成評価から等級要件をベースにした評価に変更しました。自己評価時には「なぜこの点数にふさわしいのか」について言語化することを求めており、資料は全社公開としています。

評価資料に限らず、弊社では情報のオープン化や業務の非属人化を重視しており、リモートワーク体制ではよりその重要性を感じています。社内ツールを活用し、オンラインでもしっかりとコミュニケーションをとり、情報をオープンにすることで直接的にオフィスで同じ場所と時間を共有せずとも、協働していくことができると考えています。

ーーなるほど、与える影響(離職率の低下やQOLの向上等)はどのようなものでしたか

健太郎さん:6月に実施した社内アンケートでは、リモートワーク体制について満足しているとの回答が89%、また、QOLについては85%以上のパートナーが満足しているとの回答でした。中でも、通勤時間がなくなったことにより、家族との時間や自由に使える時間が増えたという声が多く見られました。

現状は概ね満足度の高い状況ではありますが、今後も、チーム内でのコミュニケーション量が十分か、わずかな変化にも気づける体制となっているかなどマネジメント側の見直しを行っていくほか、人事でも気軽に相談などを受け付ける窓口など、引き続き取り組んでいきます。

ーーありがとうございます。参考になりました。

いかがだっただろうか。

ペパボでの取り組みで特筆すべきはやはり地域や移動の縛りがなくなったこと、そしてそれに見合った評価制度をかねてから準備してきたことがこういった結果に繋がったのだろう。件の社員の方はご家庭の事情でやむなく地元に帰ったケースだったが、地域と通勤の問題がなくなることで復職することができた。

一連の働き方の変化に対する記事でも書いたが、大切なのは働く人々の人生と仕事のバランスだ。これまではやや仕事の側の理屈で移動や場所が制限されてきた。結果、プライベートと仕事の二者択一という苦しい選択を強いる場面が多く発生していたのではないだろうか。インターネットはこの問題を解決できたはずなのだが、社会構造までは変えることができなかった。

感染症拡大がその最後の一押しになったことは悲しいきっかけかもしれないが、それでもこうやって笑顔になって仕事と人生をバランスさせる例が出てきたことは、やはり素直によいことなのだと思う。

マネーフォワードが人材紹介サービスの開始を発表、会計SaaSの会社が「働き方の最適化」に進出するワケ

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マネーフォワード(東証:3994)は先頃、キャリア支援サービス事業「マネーフォワードキャリア」を開始すると発表した。同社の主軸事業は言うまでもなく会計 SaaS だが、先日の資本政策解剖の記事にも書いたように、かねてからプロダクトの拡充や売上の多角化を狙い、スタートアップを買収したり、子会社を設立したりしてきた。 今回のマネーフォワードキャリアは子会社ではなく、マネーフォワード本体の社内プロジェク…

マネーフォワード(東証:3994)は先頃、キャリア支援サービス事業「マネーフォワードキャリア」を開始すると発表した。同社の主軸事業は言うまでもなく会計 SaaS だが、先日の資本政策解剖の記事にも書いたように、かねてからプロダクトの拡充や売上の多角化を狙い、スタートアップを買収したり、子会社を設立したりしてきた。

今回のマネーフォワードキャリアは子会社ではなく、マネーフォワード本体の社内プロジェクトとして半ばリーン的に立ち上げるという。同社がこれまで進出してきた事業は、企業間ファクタリング(MF KESSAI)にせよ、フィナンシャルアドバイザリー(マネーフォワードシンカ)にせよ、会計 SaaS 事業とのシナジーを想像しやすかったが、なぜ人材事業に進出するのか?

新サービスの責任者を務める、マネフォワードの小川昌之氏に話を聞いた。


小川昌之氏

小川氏はグリーを経て、マネーフォワードには2015年2月に入社。以来、社長室人事部や組織改編後の人事本部人材採用部部長を務めるなど、マネーフォワードの人事や採用の陣頭指揮に当たってきた人物だ。

ミッションである「お金を前へ。人生をもっと前へ。」のうち、「企業経営を前に進める」ための仕組みづくりに注力してきたが、「個人の働き方の最適化」にも焦点を充てていきたいと小川氏は言う。

ここで敢えて「最適化」と言う言葉を使っているのは、転職にありがちな「目先の収入を上げる」ことだけが課題解決の手段ではないと強調したいから。収入を上げることも大事だが、自分らしく働き、活躍できる環境を手に入れられることが大事。

スキルや経験だけでなく、人間関係のマッチングも重要だと考えている。そこでマネーフォワードキャリアでは、一般的な人材紹介の仕組みに加えて、FFS という科学的なアプローチも採用することにした。

小川氏の言う FFS とはモントリオール大学国際ストレス研究所で「ストレスと性格」を研究していた小林恵智博士が提唱した理論で、個人の特性、人間関係で発生する問題やシナジーを客観的に把握し具体的な対策を提示できるというもの。マネーフォワードキャリアでは、FFS 理論の排他的使用権を持つヒューマンロジック研究所と業務提携、サービスで FFS 理論を活用する。

これもまた、先日の資本政策解剖の記事にも書いたように、マネーフォワード CFO の金坂直哉氏もまた、買収先や新たに迎える IPO 支援人材についても、表面的なスキルよりもカルチャーフィットや信頼関係の確立が重要であると説明していた。どんな仕事をするかよりも、誰と仕事するか、どんな環境で仕事できるかは、転職の成否を大きく左右する。

一方、あまたある人材紹介サービスの中で、新規参入のマネーフォワードキャリアを利用することは、優秀な人材を渇望する企業にとってどのようなメリットがあるのだろう? マネフォワードキャリアは「DX 人材に特化する」というキーワードを打ち出している。これにはマネーフォワード自体が企業の DX を促進するサービスであるため、これまでにも多くの顧客から相談を受けてきたことが背景にあるという。

マネーフォワードのクライアントからは以前から課題を聞いてきた。そこから得た答の一つが、企業が DX を成功させる上で人材が大きな課題であるということ。こういった課題を聞いてきたので(人材紹介は)新規参入の市場ではあるが、大きなハードルになるとは考えていない。

マネーフォワードでも人材採用は行っているが、そこから得られたノウハウを存分に使って企業が欲しがる人材を紹介していきたい。求職者にとって良い選択になることが一番いいと思っている。(小川氏)

一言で DX を進めると言っても、一定の予算を取って専門部署を立ち上げ CDO(Chief Digital Officer)のようなポジションを設ける大企業もあれば、SaaS の現場浸透がままならない中小企業もある。小川氏によれば、マネーフォワードキャリアでは今のところ、紹介する人材のレイヤーや対象とする事業者規模などは絞り込んでおらず、今後、PMF(プロダクトマーケットフィット)を図っていきたい考えだ。

人材関連に限らず、企業の DX をさまざまな形で支援しようとする動きが各社で活発化しつつある。イグニション・ポイントは先月、経営人材の供給を通じた企業のオープンイノベーションを加速する事業の開始を発表。また、人材大手のエン・ジャパン(東証:4849)は今週、スタートアップへの投資を通じて、顧客15万社への DX を加速する事業を開始すると発表した