【企画:経営者が語るべきUX】モバイルライフにおけるユーザー体験とはーー松村太郎氏に聞く(前編)

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【企画:経営者が語るべきUX】は経営者がユーザー体験(UX)をどの視点から見るべきか、複数の切り口でお届けするシリーズです。ビジネス・ブレークスルー大学の提供でお送りします。

デバイスの進化やクラウドインフラの出現、開発環境のオープン化といった変化に伴い、ウェブを始めとするサービスが「リーン」に公開可能な時代になっている。そしてこの環境変化によって語られる機会が増えたのがUX(ユーザー体験)だ。

ユーザーとふれあうインターフェース(UI)の改善を中心に、価格や反応速度、問い合わせ対応など、あらゆる箇所に「ユーザーを満足させるべき体験」は存在し、その総合的な価値がサービスの差別化につながると考えなければならないだろう。

では経営者はUXをどう理解すべきだろうか。

第一回目のテーマはモバイル。現在BBT大学でモバイルコミュニケーションを教える松村太郎氏は、米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト。アップル製品で大きく拡大したモバイル・スマートライフに造詣が深い松村氏に、モバイルライフにおけるユーザー体験で考えるべきポイントを聞いた。(前半)

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スマートフォンなどの出現でユーザー体験も大きく変化しています。まず、何を手がかりに考えるべきでしょうか

モバイルライフでは端末にすべてが集約され、アプリケーションによって様々なことをこなすようになりました。ライフスタイルが、固定された重たいインフラから軽くて動き回れる、モバイルライフになったのが大きなパラダイムとして手前に理解すべきポイントです。

もっと分解していくと、現在のモバイルライフの手前にはソーシャルがあったように思います。ソーシャルはアメリカのカルチャーの中でみるとデスクトップなんです。写真を一杯見るし、Likeやコメントも気軽にする。

そして実はこのソーシャルのさらに前に日本は、ずっと進んだモバイル「ケータイ」ライフを体験していました。結果として国内ユーザの感覚としてはアメリカよりも5、6年進んだモバイルライフを体験しているのではと考えられるんです。

モバイルライフで注目すべき数字やトレンドは

モバイルライフになって「ながら生活」が増えました。例えばテレビを見ながらのスマートフォン利用率は高まっていますよね?これまでいずれかのメディアを選んで使っていたのが、モバイルと併用するようになった。

つまり何かしているときに他のことができる「時間の途中化」が起こるようになったんです。結果として実質の生活時間が2倍近くになったように思います。

モバイルライフにアドバンテージのある日本

例えばオバマ氏の大統領選ではTwitterでディベートしながらテレビを見ている自分がいるわけです。デスクトップが中心だったとき、私はテレビ見ながらTwitterしなかったので「バルス」の意味も分かりませんでした。けどモバイルが中心になってはじめて体験の共有や、濱野智史氏が言うところの「同期のコミュニケーション」が理解できました。

「時間と行動の多重化」や「セカンドスクリーンの体験」というのかな。例えばニコ動ってこういう体験が一緒になったものじゃないですか。

2006年からこういうものがスタートしている国が日本だ、という位置づけを紐解くと、ユーザーレベルでは世界的にも感覚的にも10年くらいアドバンテージがあるんじゃないでしょうか。

「スマート」フォンの出現でモバイル体験はどのように変わるのでしょうか

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スマートフォンの「スマート」ってカッコイイっていう意味ではなく「意識しない」ということにポイントがあるんですね。

デバイスの違いを意識しない、時間を意識しない、場所を意識しないでやりたいことができるのがゴールに近い。例えばグーグルもアップルも、どのサービスやデバイス環境にしてもクラウドで自動的に同期される。

iPhoneで撮った写真を取り込まずにMacの上で加工して、いつの間にか同期してくれる。これからは複数のデバイスを使うことや、やりたいと思った時にすぐにやれるようになることがサービスの前提になってくると思うんです。その上で、この場所で、この時間で、という切り口があることを意識すべきでしょうね。

「スマート」と「イージー」は違う

アップルのアプリに「イージーペイ」ってサービスがあるじゃないですか。お店に来たのにお客は自分で決済するわけなので、これそのものは「スマート」ではない。

一方でスタッフがお客さんと話せる時間を増やすようにしているところがポイントなんです。一番エンゲージメントが高まる「人と会話する」というユーザー体験で課題を解決しようとしているんですね。

スマートという体験性を獲得するためには「エンゲージメントを高める方法は何か」「今、使えるテクノロジーは何か」「効果的なビジネスは何か」という3つを考えないと成立しないでしょう。

具体的な「スマート」サービスの事例は

米スクウェアの決済用アプリ「スクウェアウォレット」に会話で決済が終わる機能があるんです。

「オートペイ」というのですが、これをオンにしておくと、例えば僕があるカフェに入ってラテとドーナツを注文したら、そのことをシステムと接客側で認識してくれるんです。ー(後半へ続く)

(企画協力:ビジネス・ブレークスルー大学

BBT大学講師紹介
松村 太郎:ITリテラシー、モバイルコミュニケーション担当
ジャーナリスト、慶應義塾大学SFC研究所 上席所員(訪問)

東京生まれ、米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、BBT大学講師。モバイル時代のライフスタイル、ワークスタイルを追求するほか、キャスタリアでソーシャルラーニングとデジタルアイデンティティについての研究とビジネス化をすすめる。
Blog: http://www.tarosite.net/
Twitter: @taromatsumura