ハードウェアの未来からプロダクトデザインの次世代のあり方まで−4社が語った“モノづくり”スタートアップのこれから

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10月17日のStartup Datingサロンは、「モノづくり系スタートアップ数社が語る「インターネットとモノづくりの融合」」と題し、ハードウェアやプロダクト・デザインをおこなっているスタートアップ4社によるピッチをおこなった。

ウェブサービスやソフトウェアなどと違い、初期資本の必要性や技術、知識、経験など、様々な条件が違う分野。しかし、アップルなどを見るように、社会におけるサービスは、プロダクトによって変革などが引き起こされている。近日には、クリス・アンダーソン著の「MAKERS」の出版や、パーソナルファブリケーションという言葉の登場など、「ものづくり」やハードウェアに対する意識や環境ができつつある時代だからこそ、注目していきたい分野だ。以下に、本日ピッチをおこなった4社の様子をライブブログでまとめた。

ガラポン

「テレビ視聴に革命をおこそう」

こうした思いから、ガラポンTVは2年前に創業した。

ガラポンTVは、最大7チャンネル分のテレビ番組(ワンセグ)を24時間×60日間以上録画できる録画機。録画したテレビ番組はiPhone、iPad、iPod touch、Android、PCからインターネット経由で検索して視聴できる。

ガラポンTVによって、海外旅行中でもリアルタイムで日本のテレビを視聴できることが可能だ。また、検索機能が実装されており、番組名だけでなく、番組内の検索、つまり、番組内の芸能人なども検索が可能で、また、番組の途中からも簡単に視聴できる。

また、テレビ番組とソーシャルの融合も目指しており、これまで、時間と場所に制約があったテレビを、番組が終わったあとに、番組のレビューをもとに、ソーシャルのコメントから、簡単に面白い番組を見つけることができる。これにより、これまでと違った新しいテレビ視聴体験を提供する。

ガラポンTVは、34,500円から販売しており、ぜひ、忙しい人に使ってもらいたい。

Bsize

Bsizeは、2011年設立し、代表兼デザインエンジニアの八木啓太氏によるたった1人の家電メーカーで事業を進めている。

創業から10ヶ月間、ひたすら製品開発をおこない、そしてできたのが、Bsizeとしての1stプロダクトであるLEDデスクライトの「STOROKE」だ。「STOROKE」は、自然光に近いライトを発光し、目にやさしく、また、使用するために必要な最小限の光を押さえ込んだ製品が特徴で、独Red Dot賞、Good Design賞など各賞を受賞されている。

八木氏が最も大事に掲げているのは、”テクノロジー””デザイン”の両立、そして、それに伴う”社会貢献”を重視しており、単純なプロダクトのデザインだけでなく、プロダクトが作られる経緯や、そのプロダクトが生み出す社会的影響まで踏まえた製品開発をおこなっている。ただのプロダクト・デザインだけでなく、デザイナーがいかに社会に対して意味をもたせれるか。これからのプロダクトをデザインしていく人たちにも、働きかけていきたいと語る。

今回のサロンでは、来週公開予定の新製品の発表もプレゼンし、大きな話題を呼んだ。来週発表されるBsizeの新製品、ぜひ、注目してもらいたい。

岩淵技術商事株式会社

岩淵技術商事は、筑波大学発のベンチャーとして、2011年7月に創業した。また、東京デバイセズというエレクトロニクスメーカーを運営し、太陽光パネルを効率的に発電する電子モジュールを開発するなど、設計から開発、製造、販売など、あらゆる業種を支援している。

「ニッチなものを大切にすること。ニッチな領域でお客に親しまれるものを実験していきたい」。

岡島氏は、ハードウェアの中でも、さらにニッチなものにこそ、大切であると語った。

ハードはお金がかかるため、プロトタイピングも大変とする。元々、ウェブ業界出身の岡島氏は、ウェブとの違いを感じると語る。そのため、岩淵技術商事は、プロトタイピングのサポートやハードウェアとウェブサービスを組み合わせ、また、企業の企画のお手伝いするなどし、ウェブオンリーの人、ハードウェアオンリの苦手な部分を支援している。

家電に給電し、電流の値をウェブサーバーに蓄積する装置によって、コーヒーメーカーにつなぐことで通知機能をするシステムや、電話API「boundio」を利用し、振動するとユーザに電話をかけるセキュリティ端末をつくりるなど、新しい企画を日々提案している。違った領域をクロスオーバーさせた企画開発や提案をする数少ない企業だ。

Cerevo

Cerevoは、ネット家電の製造販売を行う株式会社で、PCレスでのUstream配信を可能にする「Live Shell」の開発、デジタル一眼カメラのシャッターをiPhoneやMacからワイヤレスで操作できるデバイス「SmartTrigger」の開発など、ハードウェアとソフトウェアの融合を図っている。

PCレスでUSTREAM配信をおこなう「Live Shell」は、アジアや欧米、特に北欧などでも販売している。すでに、世界で数千台以上を販売し、いまではその40%以上がEU圏やUSでの販売シェアを占めており、まさに、少数で世界に届くサービスを作りだしている。

Cerevoの岩佐氏は、「ハードウェアは、時代の流れにおいて、インターネットのツールによって、ハードを簡単に安く作れる時代になった」と語り、それに必要な要素として、「PC」「中学スキルの英語」「気合!」が大事だと語る。また、いまからハードウェアに挑むスタートアップは、必須だと語った。

ネットの様々なツールやサービスによって、AlibabaなどのECサイトで部品の調達、無料で海外通話や3D出力サービスによる試作品の制作などができる時代になった。これまでだと自己資本や自社工場として必要だったものが、ネットツールと融合することによって、新しい発展を遂げたと語る。見積りから一個あたりのロットを計算し、それにともなってクラウドファンディングを実施し、予約販売や広報をおこなう。もしくは、試作機をもちこんで買い手探し市場を予測し、台数見立て、そして、量産設計し、量産に移行する。ハードウェアにとって必要なものが、まさに活きる時代となった。

「今後は、試作機をつくるまでは数十万あれば可能であり、量産するのも数百万の前半でもできる時代。クラウドファンディングの規模感は日本だと数百万、数百台前半レベルでもいける。そして、CFで200台売れたものは市場では1000台以上は販売できる、という市場感など、これからのハードウェアが活きるために、ネットと融合していくことで新しい展開が大きく広がっている」。

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