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GojekとTokopediaの統合会社、IPOを前にアブダビ投資庁から4億米ドルを調達——インドネシア史上最大規模

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インドネシアで最も著名なテックグループ GoTo Group(Gojek と Tokopedia が統合して発足)は、プレ IPO ラウンドでアブダビ投資庁の完全子会社から4億米ドルを調達することになった。これは、ADIA の子会社 Private Equities Department (PED)が、東南アジアのテクノロジー事業に対して行う初のプリンシパル投資であり、これまでのインドネシアにおけ…

Image credit, Gojek, Tokopedia

インドネシアで最も著名なテックグループ GoTo GroupGojek と Tokopedia が統合して発足)は、プレ IPO ラウンドでアブダビ投資庁の完全子会社から4億米ドルを調達することになった。これは、ADIA の子会社 Private Equities Department (PED)が、東南アジアのテクノロジー事業に対して行う初のプリンシパル投資であり、これまでのインドネシアにおける最大の投資となる。

ADIA は今回のラウンドでリードインベスターとなり、Alibaba Group(阿里巴巴集団)、Astra International, Facebook、Global Digital Niaga、Google、KKR、Sequoia India、PayPal、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2、Telkomsel、Temasek、Tencent(騰訊)、Warburg Pincus といった著名な GoTo 投資家のグローバルリストに加わる。

今年8月、ロイターは情報筋の話として、GoTo が数週間以内に最大20億米ドルのプレ IPO 資金調達ラウンドをクローズする予定だと報じた。さまざまな報道によると、GoTo は2021年末までにインドネシアで上場した後、アメリカでの上場を進め、潜在的な時価総額は400億米ドルに達するとされている。

ADIA のプライベート・エクイティ部門エグゼクティブ・ディレクター Hamad Shahwan Al Dhaheri 氏は、次のように述べている。

今回の GoTo への投資は、急成長する東南アジアの市場におけるデジタル経済の成長など、当社の主要な投資テーマに沿ったものだ。この地域、特にインドネシアには大きな可能性があると考えており、活気に満ちた経済的背景は、ADIA がその存在感を深めることを後押ししている。

GoTo は、5月に Gojek と Tokopedia が合併して誕生した。同社はインドネシア最大のデジタルエコシステムであり、そのサービスは、オンデマンド輸送、e コマース、食品・食料品デリバリ、物流・フルフィルメント、金融サービスなど多岐にわたる。2020年には18億件以上の取引が発生し、グループ全体の総取引額は220億米ドルを超えたとしている。

1976年に設立された ADIA は世界中に散在する投資機関で、アブダビ政府に代わって、長期的な価値創造に焦点を当てた戦略により、慎重に資金を投資している。ADIA は、1989年からプライベート・エクイティに投資しており、資産商品、地域、セクターを超えた経験を持つスペシャリストで構成される重要な社内チームを構築している。

【via e27】 @E27co

【原文】

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ベトナム版Amazon「Tiki」、2.4億米ドルをシリーズE調達——まもなくユニコーンに

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Tech in Asia では、有料購読サービスを提供。有料記事の閲読、全記事への回数無制限閲読、5万社を超える企業データベースへの無制限アクセス、カンファレンスへの限定割引などの特典があります。詳しくはこちらから


VentureCap Insights のデータによると、ベトナムを拠点とする E コマース大手 Tiki は、シリーズ E ラウンドで2億4,000万米ドルの資金を確保した。この資金調達により、Tiki の時価総額は約8億3,200万米ドルとなり、ベトナムで最も価値のあるテクノロジー企業の一つとなった。Tech in Asia は Tiki にコメントを求めたが、同社は回答を拒否した。

Image credit: Tiki

保険大手の AIA が、総額6,000万米ドルを拠出して最大の投資を行ったようだ。7月、AIA ベトナムは Tiki と10年間のパートナーシップを結び、Tiki の独占的な保険パートナーとなった。また、今回の資金調達では、UBS AGロンドン支店、Taiwan Mobile(台湾大哥大)、Mirae Asset-Naver Asia Growth Fund などの著名な支援者も参加している。

Taiwan Mobile は今年初め、Tiki に2,000万米ドルを出資したことを発表した。この投資は、Tiki と同社のeコマース・プラットフォーム「Momo」が、ベトナム以外の地域で新たな成長機会を模索するのに役立つと期待されていた(ここでいう Momo は、ベトナムの電子ウォレット「MoMo」とは別)。

<関連記事>

DealStreetAsia は7月、Tiki が約1億米ドル相当のシリーズ E ラウンドのファーストクローズを調達したことを初めて報じた。

iPrice Group の最新の四半期データによると、ベトナムでは、Tiki が激しい競争にさらされており、月間ウェブトラフィックとアプリのランクの両方で、東南アジアのプレーヤーである Shopee と Lazada の後塵を拝している。Tikiは昨年、地元 e コマースプラットフォーム「Sendo」との合併を検討していると報じられたが、この取引は失敗に終わった。

Tiki は、Amazon からヒントを得て、2010年にベトナム人起業家の Son Tran 氏によって設立され、当初は書籍のみを販売していた。その後、他のカテゴリにも進出し、現在はサードパーティの販売者向けにマーケットプレイスを提供している。

【via Tech in Asia】 @Techinasia

【原文】

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米フードデリバリ大手Instacart、スマートチェックアウトのCaper AIを3.5億米ドルで買収

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Instacart は19日、リアル店舗でのチェックアウト体験を自動化する技術を開発するスタートアップ Caper AI を現金と株式を合わせ、約3億5,000万ドルで買収したことを発表した。今回の買収により、Instacart は、小売業者が「顧客のために店舗とオンラインのショッピング(フロー)を統一する」ことを目指すとしている。 Caper のニューヨーク拠点の従業員は Instacart に…

Image credit: Instacart

Instacart は19日、リアル店舗でのチェックアウト体験を自動化する技術を開発するスタートアップ Caper AI を現金と株式を合わせ、約3億5,000万ドルで買収したことを発表した。今回の買収により、Instacart は、小売業者が「顧客のために店舗とオンラインのショッピング(フロー)を統一する」ことを目指すとしている。

Caper のニューヨーク拠点の従業員は Instacart に参加し、Instacart の既存の製品開発チームにハードウェアエンジニアリングの人材として加わる。今後、Instacart は Caper の技術を Instacart のアプリや提携小売店の e コマースサイトやアプリに連携し、顧客がオンラインで買い物リストを作成したり、事前にレシピを閲覧したり、買い物中にリストをチェックしたりできるようになることを期待している。

Instacart の CEO Fidji Simo 氏は、声明の中で次のように述べている。

Instacart は、長年にわたり小売店向けのサービスを拡大し続け、北米の実店舗を持つ食料品店がビジネスをオンライン化し、成長し、顧客の進化したニーズに応えることを支援してきた。今後は、小売業者がオンラインショッピングとリアル店舗での買い物の両方で消費者のニーズに応えることができる、統一されたコマースサービスを開発するための方法をさらに増やすことに注力していく。

AI を活用したショッピング

Caper は、2016年に Lindon Gao 氏と York Yang 氏によって設立された。ジュエリーメーカー JPG Crafts の社長である Gao 氏は以前、ゴールドマン・サックスや J.P.モルガンで投資銀行のアナリストを務めていた。

Gao 氏は、プレスリリースの中で次のように述べている。

我々が生み出したパワフルなテクノロジーは、顧客にとって直感的で、あらゆる規模の小売業者にとって導入しやすく、これまで存在しなかったフィジカルリテールのエコシステムを生み出した。我々は、食料品小売業者のビジネスに一歩進んだ変化をもたらす新しいイノベーションを実現するという Instacart のビジョンを共有しており、 Instacart と協力して小売業者のオンラインとオフラインを結びつけるソリューションをさらに開発できることを誇りに思う。

Caper は、「Caper Cart」と「Caper Counter」という2つの製品を提供している。

「Caper Cart」
Image credit: Caper AI

Caper Cart は、画像認識とカメラを使用してアイテムを検知し、デジタルショッピングリストに追加するショッピングカートだ(Amazon の「Dash Cart」のようなもの)。買い物客が商品をカートのカゴに入れると、2,000万枚以上の画像データベースで学習したアルゴリズムによって商品が認識され、カートに取り付けられたスクリーンを介して、パーソナライズされたお勧め商品や近くのお得な情報が提供される。また、商品の重さを自動的に計測したり、店舗内の商品を検索して案内したりする位置情報サービスも近日中に提供する予定だ。

また、「Caper Counter」は、AIとカメラを採用し、バーコードなしで商品をスキャンすることで、従来のセルフレジに代わって、5つの異なる角度から商品をスキャンして取引を完了する装置だ。このカウンターでは、プロモーションの提供や、デジタルディスプレイによるデジタルレシートの提供のほか、盗難防止のためにスタッフが行動を監視したり、見慣れない商品の画像を Caper の画像認識データベースに追加したりすることもできる。

「Caper Cart」は、重さや大きさで価格設定された商品を正確に販売できることを証明する連邦政府の「NTEP(National Type Evaluation Program=米国型式承認制度)」にアメリカで初めて承認されたもので、現在、Kroger と Wakefern、カナダの Sobeys、フランスとスペインの Auchan に導入されている。これに加えて、コンビニエンスストアに設置されている Caper のスマートレジカウンターもある。

「Caper Counter」
Image credit: Caper AI

Caperは買収されるまでに、Lux Capital、FundersClub、HCVC、First Round Capital、Red Apple Group、Redo Ventures、Precursor Ventures、Y Combinator から1,300万米ドルのベンチャー資金を調達していた。

Simo 氏は次のように述べている。

Caper AI チームを Instacart に迎えることができて、とても嬉しく思っている。我々は、競争が激化する業界で成功するために、小売業者に新しく革新的な技術を提供するとともに、顧客に最高の体験を提供するという同じ目標を共有している。Caper のスマートカートとスマートチェックアウトのプラットフォームを世界中のより多くの小売店に提供し、食料品の未来を共に再構築していけることを嬉しく思う。

また、当社のエンタープライズ・テクノロジー・サービスへの投資を継続し、北米の小売業者の包括的な e コマース・プラットフォームを強化するための新しいソリューションを提供していく。

スマートリテールブーム

Instacart による Caper の買収は、小売店向けに事前注文とケータリングのソリューションを提供する FoodStorm の買収に続くものだ。これは、 Instacart のエンタープライズ・テクノロジー・サービスへの一連の投資の中でも最新のもので、同社はデリバリ以外の新しいビジネスラインを模索する中で、2017年に Aldi、Costco Canada、Heinen’s、Kroger、Publix、Sprouts、The Fresh Market、Walmart Canada、Wegmans といったパートナーに提供を開始した。

Instacart は、北米最大級のオンライン食料品プラットフォームであり、600以上の小売業者が5,500以上の都市の55,000店舗から配達を行っている(同社は、アメリカの85%以上の世帯とカナダの90%以上の世帯が、同社のサービスを利用していると推定している)。 最近、Instacart は2億6500万米ドルの資金調達を完了し、時価総額は昨年10月の2倍に当たる390億米ドルに達した。

しかし、買い物客、配達員、レジ係の専用ネットワークを維持するという課題を考えると、デリバリはハイコストな事業だ。今週、Instacart の50万人の買い物客のうち約1万3,000人のネットワーク「Gig Workers Collective」が、同社の低賃金と労働者とのコミュニケーション不足に抗議してストライキを行った。Instacart は、第2四半期には約1,000万米ドルの利益を上げたと報じられている。しかし、2019年の時点では、毎月2,500万米ドルの赤字を出していた。パンデミックでオンライン食料品の購入額が1兆米ドルにまで跳ね上がったにもかかわらず、このような状況になってしまったのだ。

収益を上げるために、Instacart は、消費者向けパッケージ商品の企業が Instacart アプリのユーザに自社製品を宣伝できるツール「Instacart Advertising」など、企業向けサービスを拡大してきた。また、7月には、大都市圏の密集地での運用を想定したロボットによるマイクロフルフィルメントサービスを提供するスタートアップ Fabric と共同で、新たなフルフィルメントソリューションを開始した。また、FoodStorm の買収に伴い、小売店が青果やパッケージ商品などの食料品よりも一般的に収益性の高い調理済み食品を予約販売する方法の提供を開始するとしている。

Instacart は、計画的な事業拡大の一環として、2021年に従業員数を50%増加させる予定だと述べている。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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オンライン「K12教育」の新星Outschool、30億ドル評価に/GB Tech Trend

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載 GB Tech Trendでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。 今週の注目テックトレンド 10月14日、オンライン学習プラットフォーム「Outschool」は1.1億ドルの資金調達を実施し、企業評価額が30億ドルに達成したことを発表し…

1.1億ドルの調達を発表した「Outschool」(Image Credit:Outschool)

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

GB Tech Trendでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

今週の注目テックトレンド

10月14日、オンライン学習プラットフォーム「Outschool」は1.1億ドルの資金調達を実施し、企業評価額が30億ドルに達成したことを発表しました。TechCrunchによると、同社は3歳から18歳までの生徒を対象に14万以上のバーチャルな少人数制のクラスを提供しています。教師の数は600人前後から7,000人以上に増え、クラス予約数は1,500%増加したとのことです。

Outschoolはライブ動画チャット形式での授業を展開しています。あくまでもプラットフォーム事業であるため、学習するための機能のみを提供するSaaSモデルで成長をしてきました。自社では授業コンテンツは持たず、教師が提案する学習コンテンツを承認・配信する事業モデルです。手数料30%を取ることで収益を上げています。

おおよその授業は20ドル前後と、安価かつ高品質な教育をオンラインで受けられます。MOOC(大規模公開オンライン講座)とは違い、少人数のオンラインクラスに特化していますが、たとえば必須科目であれば受講頻度も高くなり、生徒数が少なくとも十分な稼ぎを得られます。

こちらの記事では、とある教師の収入が取り上げられています。最初の月の収入はわずか32ドルだったにも関わらず、3カ月後には同教師が提供する2つの講座だけで5,000ドル近くの稼ぎが得られたそうです。Outschoolに参加するだけで十分に教師が生活費を捻出できるだけの「社会インフラ」としての側面を持つようになり、ここまでの成長を遂げてきたとも言えるでしょう。

さて、Outschoolの特徴は大きく2つ挙げられます。1つはK12向けコンテンツです。同社が参入する市場は幼稚園から高校卒業までをカバーする「K12」と呼ばれる領域になります。次世代向けに教育コンテンツをカスタマイズしていく必要がありますが、この点はプラットフォーマーとしての柔軟性を活かし、面白いコンテンツを幅広く揃えることで対応しています。

たとえばMinecraftを使って仮想都市生活を実感する授業であったり、Fortniteでアステカ文明空間を作り、そこで歴史を学ぶなどのコンテンツが登場しています。トレンド・ゲーム要素を取り入れることで、分厚い教育スタイルを構築できているのがOutschoolです。

もう1つの特徴が福利厚生市場へと手を伸ばす戦略です。最近では企業の従業員向けの教育サービスとして導入されるため、B2Bセールスモデルを拡大しているようです。

同社は大人が週末などの自由時間にオンライン学習する従来型のMOOCではありません。従業員の子供たちにサービス提供する、しかも必須授業も支援する学習塾としての市場領域を戦略的に獲得した点が両親の需要にフィットしました。加えて、個人事業主の高いホスピタリティー性と独自コンテンツ性を伸ばす、昨今の「パッションエコノミー」の時代の流れに乗ったことも注目すべき点です。

今週(10月12日〜10月18日)の主要ニュース

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研究開発を効率化するデータ管理SaaS開発のランデフト、インキュベイトFから7,000万円をシード調達

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東京を拠点とするランデフトは20日、シードラウンドでインキュベイトファンドからから約7,000万円を調達したと発表した。同社は調達した資金を使って、素材業界向けの研究開発データ管理プラットフォームの構築に着手する。 ランデフトは2020年12月、中性子や放射光を用いた永久磁石材料の研究など、素材業界を中心にリサーチやプロトタイプ開発に関わってきた斉藤耕太郎氏により創業。科学は、実験科学、理論科学、…

ランデフト 創業者 兼 代表取締役 斉藤耕太郎氏
Image credit: Randeft

東京を拠点とするランデフトは20日、シードラウンドでインキュベイトファンドからから約7,000万円を調達したと発表した。同社は調達した資金を使って、素材業界向けの研究開発データ管理プラットフォームの構築に着手する。

ランデフトは2020年12月、中性子や放射光を用いた永久磁石材料の研究など、素材業界を中心にリサーチやプロトタイプ開発に関わってきた斉藤耕太郎氏により創業。科学は、実験科学、理論科学、シミュレーション科学に大別されるが、ランデフトはこれらに続く4つ目のデータ駆動科学のアプローチで、材料開発を支援するスタートアップだ。日本は世界的に見ても素材産業の分野で強い国だが、データ駆動による材料開発を支援することで、間接的には日本の産業競争力アップに寄与することが期待できる。

データ駆動材料開発は、「実験・評価」「解析」「蓄積・管理」「データ活用」の4つのフェーズに大別される。「実験・評価」については材料科学に強い素材企業の R&D 部門・測定代行・検査代行らが、「データ活用」については情報科学に強いデータ処理業やマシンラーニング代行らがその役割を担いつつあるが、「解析」「蓄積・管理」については未整備だ。ランデフトはこの境界領域での橋渡し役となることを目指す。

Image credit: Randeft

材料開発の現場では、さまざまな材料、構造特性、実験・評価に用いる手法や装置などの違いから、得られるデータはさまざまな形式の情報集合体となる。形式が一様でないため手作業への依存度が高く、得られたデータの十分な利活用ができていない。さらには、時代の変遷に伴う検出器の効率化や高機能化、合成や測定の自動化などにより得られるデータは以前よりも格段に増えており、「解析」「蓄積・管理」フェーズにおいても省力化や自動化が急務だ。

ランデフトのプラットフォームを使えば、属人的になりがちな過去の実験・評価データなども共有しやすくなり、それらを再利用・修正して図や報告書を作成できるなど、二度手間が生じにくくなる。将来の活用を前提としたデータの蓄積により、データ駆動のアプローチが可能になり、ひいては材料開発のプロセス全体が効率化される。研究者は、プラットフォームの利用で日常の煩雑なデータハンドリングタスクにかかる作業時間の短縮、見落とし・手戻りの減少​が期待できる。

ランデフトのプラットフォームは現在開発中で、本年中に2022年4月開始予定のクローズドテストの希望者を募り、2022年秋から冬ごろに正式提供開始を目指している。

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脱炭素支援のSustineri、インキュベイトFから5,000万円をシード調達——温室効果ガスの排出量表示API公開へ

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企業の脱炭素化とサステナブル・トランスフォーメーション(SX)を支援する Sustineri は20日、シードラウンドでインキュベイトファンドから5,000万円を調達したと発表した。調達した資金は、サービス開発や事業推進メンバーの採用などに使用し、開発と顧客企業への導入を加速するとしている。 Sustineri は、企業がサプライチェーン全体をカーボンニュートラル化するための仕組みを提供している。…

Image credit: Sustineri

企業の脱炭素化とサステナブル・トランスフォーメーション(SX)を支援する Sustineri は20日、シードラウンドでインキュベイトファンドから5,000万円を調達したと発表した。調達した資金は、サービス開発や事業推進メンバーの採用などに使用し、開発と顧客企業への導入を加速するとしている。

Sustineri は、企業がサプライチェーン全体をカーボンニュートラル化するための仕組みを提供している。まずは、企業の Web サイト向けに、リアルタイムで温室効果ガス排出量を表示できる API(カーボン・オフセットAPI)の提供から着手する。ShopifyStripe はそれぞれ、温室効果ガスのオフセット API の提供を始めるなど、欧米を中心にこの動きは加速しつつある。

この API では、e コマース、自動車保険、旅行・航空などの web サイトに数行のコードを書くだけで、商品・サービスの提供に伴う温室効果ガスを算定し、同量の温室効果ガス削減クレジットまたは再生可能エネルギー証書を自治体や森林組合などから購入することでオフセットできる機能を提供する。企業、または、エンドユーザ(消費者)が費用を負担するケースが想定されるという。

Image credit: Sustineri

電気以外だと排出量を削減できるところがあまりない。しかし、そこにオフセットという形で削減できる手段を提供できるのが Sustineri のメリットだ。(中略)

最初は、エンドユーザの環境意識の高そうなところから攻めていきたい。企業側も環境意識が高いところがファーストユーザになるだろう。(創業者で代表取締役の針生洋介氏)

アメリカでは、カーボンオフセット API を手がけるスタートアップが一つのブームになっている。電力・ガス大手の Southen Company は Cloverly というスタートアップをローンチ。今年2月に Andreessen Horowitz から450万米ドルを調達した Patch をはじめ、Carbon InterfaceCooler、カーボンオフセットマーケットプレイスの Pachama などが頭角を表している。

Sustineri は、十数年前からシンクタンクやコンサルティングファームで気候変動に関連した業務に携わってきた針生氏により創業。多くの企業が気候変動対策の必要性を認識しているものの、実際に対策を行う上では多くの制約と課題があると実感し、この事業への着手を決断した。排出量算定の API 提供で認知を高め、カーボンオフセットの量に応じた手数料でマネタイズを目指す。

<関連記事>

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データで地場運送会社に力を与えるSaaS「アセンド・ロジ」運営、プレシリーズAで1.4億円を調達

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運送管理SaaS「アセンド・ロジ」を開発・運営する ascend は20日、プレシリーズ A ラウンドで1.4億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、BEENEXT の ALL STAR SAAS FUND、サムライインキュベート、名前非開示の物流不動産会社1社。これは、同社にとって、今年3月に実施したシードラウンド(サムライインキュベートなどから5,500万円を調達。デットを含む。…

ascend の皆さん。前列左から3番目が代表取締役の日下端貴氏、その右隣が CPO 森居康晃氏、後列中央が CTO 丹羽健氏
Image credit: ascend

運送管理SaaS「アセンド・ロジ」を開発・運営する ascend は20日、プレシリーズ A ラウンドで1.4億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、BEENEXT の ALL STAR SAAS FUND、サムライインキュベート、名前非開示の物流不動産会社1社。これは、同社にとって、今年3月に実施したシードラウンド(サムライインキュベートなどから5,500万円を調達。デットを含む。)に続くものだ。また、調達とあわせ、グラファー出身の丹羽健氏を CTO に迎えることも明らかになった。

ascend は、運行管理業務のデジタル化を通じて、運送案件のデータ化を促し、経営改革に資するインサイトを提供する BI-SaaS 「アセンド・ロジ」 を開発。一般貨物の地場運送会社の運行管理者にダッシュボードを提供することで、配車表や各種帳票の作成などでデータを二重入力する手間を排除する。また、配送業務の実態を見える化によって、運送会社のペインである荷主との価格交渉力の向上、価格設定スキルの向上、商流情報・物流情報などの充実を支援する。

Incubate Camp 14th でピッチする日下端貴氏
Image credit: Masaru Ikeda

ascend の創業者で代表取締役の日下端貴氏は、前職のシンクタンクで物流・ロジスティクスや SCM(サプライチェーン・マネージメント)の改善業務などに従事。その経験から運送や物流が抱える本質的な課題を認識するようになったという。物流 DX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれる中、デジタル化で業務改善を展望するソリューションが増えているのと対照的に、ascend では業界が持つ構造課題を解決すべく、データを使って運送会社が抱える最も大きなペインに取り組むことにした。

ascend は、今月行われた Incubate Camp 14th にも参加していた。同社では今回調達した資金を使って、エンジニアやビジネス開発担当者の採用を強化する。

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パリス・ヒルトン、メタバースの世界へーーDecentralandへGeniesのアバターで突入

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パリス・ヒルトンは、DecentralandとGeniesとのパートナーシップにより、ブロックチェーンとメタバースによって分散化された世界の一員となったようだ。 彼女は10月21日から24日まで開催される第一回「Metaverse Festival」のヘッドライン・アーティストの一人として、Geniesのアバターを使用して参加する。アバターとは、有名人の声を使って動き、話すことができるアニメーショ…

Paris Hilton has a Genies avatar in Decentraland. Image Credit: Genies

パリス・ヒルトンは、DecentralandGeniesとのパートナーシップにより、ブロックチェーンとメタバースによって分散化された世界の一員となったようだ。

彼女は10月21日から24日まで開催される第一回「Metaverse Festival」のヘッドライン・アーティストの一人として、Geniesのアバターを使用して参加する。アバターとは、有名人の声を使って動き、話すことができるアニメーションキャラクターのことだ。彼女は2015年に自身のモバイルゲームを立ち上げており、新しい技術を取り入れるのは初めてではない。

彼女は、オープンかつ安全なデジタル台帳技術を利用した最も人気あるブロックチェーンプロトコル「Ethereum」によって実現した分散型の3D仮想ソーシャルワールド「Decentraland」で開催されるフェスティバルにDJとしてサプライズゲストと共に参加する。

10月に開催されるこの音楽祭でGeniesは、クロスプラットフォームのアバターたちと共に仮想ソーシャルワールド「Decentraland」に初進出することになる。

このイベントは、コミュニティのクリエイターが手がけるカスタムメイドのステージでパフォーマンスが披露される。ヒルトンはこのイベントのスペシャルゲストがデザインした衣装を着てDJするようだ。それ以外にもハイレベルな音楽ゲストが登場予定となっている。

ヒルトンはGeniesの世界で知らない人はいない。今年の始め、ベンチャーキャピタリストのMary Meeker氏がリードしたGeniesの6500万ドルの資金調達ラウンドにおいて、Camilla Cabello氏やPriyanka Chopra氏らと共に出資者として名を連ねている。Geniesでタレントリレーションズの責任者を務めるJake Becker氏はこのように述べている。

「DecentralandのバーチャルパフォーマンスでGeniesの旅をスタートさせるパリスは、まさにパリス・ヒルトンの真骨頂と言えるでしょう。彼女は文化、ブロックチェーン、そして今やメタバースの女王です。彼女は、公式のバーチャル・アイデンティティとアバター・ウェアラブルを通じて、Web 3.0の新しい道を切り開いていくはずです。私たちのコミュニティは、彼女がGeniesファミリーの一員であることにこれ以上ないほど興奮しています」。

彼女は先日、自身のGeniesアバターをソーシャルメディアで公開している。彼女はこのようにコメントした。

「メタバース・フェスティバルはメタバースに対する私の愛を、私のファンや拡大するバーチャル・コミュニティと共に共有する素晴らしい機会になるでしょう。そして、すべてのプラットフォームで活動を続けていく中、私の公式なバーチャル・アイデンティティとなるGeniesのアバターをついに紹介することができました。特別なゲストやどんなサプライズがあるのかをお伝えできればいいのですが、ホットな内容になることはお約束できます」。

2017年に設立された仮想のソーシャルワールド「Decentraland」は、ノンファンジブルトークン(NFT)や仮想不動産の販売への関心、そして「Snow Crash」や「Ready Player One」などの小説に出てくるような、すべてが相互につながっている仮想世界の宇宙であるメタバースの盛り上がりもあり、急成長を遂げている。

Decentraland Foundationのコミュニティイベント部門の責任者、Sam Hamilton氏はGeniesの参加について次のように語っている。

「才能あるGeniesのチームがDecentralandとメタバース・フェスティバルに何をもたらすのかワクワクしています。パリス・ヒルトンの参加はまさにスクープであり、素晴らしい音楽アーティストのラインナップをさらに輝かせてくれることでしょう。これはGeniesのチームの新たな進歩や活動の始まりに過ぎず、コミュニティは大きな楽しみを手にすることになるはずです」。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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KDDI・GINZA SIX・名和晃平氏がコラボ、銀座で体験できる5G時代の現代アートとは

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」に掲載された記事からの転載 課題とチャンスのコーナーでは、毎回、コラボレーションした企業同士のケーススタディをお届けします。 ニュースレターの購読 注目すべき記事、世界のスタートアップシーンの話題、BRIDGE 主催のイベントに関する情報をお届けします! Sign Up 2003年に開始されたケータイのデザイン開発プロジェクト「…

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

課題とチャンスのコーナーでは、毎回、コラボレーションした企業同士のケーススタディをお届けします。

2003年に開始されたケータイのデザイン開発プロジェクト「au Design project」。2020年以降は、au Design project[ARTS & CULTURE PROGRAM]として、文化財や芸術作品、現代アートと、5G や AR(拡張現実)といった最新テクノロジーを融合させた新たな文化芸術体験の提案を行っています。

今年6月から来年4月まで、東京・銀座の複合商業施設「GINZA SIX」で開催されている彫刻家・名和晃平さんによるインスタレーション「Metamorphosis Garden(変容の庭)」では、au Design Project と 5G や XR などの最先端技術で新たな文化芸術体験の DX を推進するプロジェクト「augART」を展開しています。

KDDI と GINZA SIX のコラボレーションがどのようにして実現したのか。そして、何を目指しているのかについて、augART の仕掛け人である KDDI の砂原哲さんと、GINZA SIX リテールマネジメントの阿部茂夫さんにお話を伺いました。名和さんからのメッセージも交えてご紹介します。

「鑑賞するアート」から「体験するアート」へ

© Kohei Nawa | Sandwich Inc.

2017年4月にオープンした GINZA SIX では、店内の中央に広がる吹き抜けを使って、どこからでも目に留まる場所にアートインスタレーションを展開することで、来訪者を楽しませてきました。国内外の錚々たるアーティストさんと様々な表現に挑戦してきましたが、GINZA SIX では今回の作品を「鑑賞するアート」から「体験するアート」に変え、コロナ禍でどのようなテーマでどう表現し、価値感を提供できるのかが大きな課題だったと阿部さんは言います。

一方、KDDI では 5G でしか実現できない新しい体験を模索する中で、名和さんといくつかの企画を進めていました。偶然にも、KDDI と GINZA SIX はそれぞれ別のプロジェクトで名和さんと組んでいたわけですが、すでに今年4月からスタートしていた名和さんの彫刻展示を「体験するアート」に拡張したかった GINZA SIX と、5G による体験を模索していた KDDI が意気投合し、名和さんの作品を挟んでコラボレーションすることになりました。

KDDI、GINZA SIXそれぞれが全く別のプロジェクトとして名和晃平氏と進めていたものが、合わさって双方の課題を解決するに至りました(KDDI 砂原 哲さん)

「Metamorphosis Garden_AR」イメージ

体験するアートとは何なのでしょうか。まず、GINZA SIX には名和さんの作品「Metamorphosis Garden」が展示されています。KDDI は会場に 5G アンテナを設置していて、来訪者はこの作品を、au Design project が提供する「AR×ART」アプリを介して観ることで、5G と最先端の AR 技術である空間マッピング や VPS(Visual Positioning Service)技術により、超高精細でダイナミックな AR ダンスパフォーマンスと融合した現代アートを鑑賞できます。

au Design project の AR コンテンツ「Metamorphosis Garden_AR」は、名和さんとベルギーの振付家ダミアン・ジャレ氏にの2人により開発が進められました。「AR×ART」アプリを通して「Metamorphosis Garden」を観ると、6本の彫刻の柱「エーテル」を起点に粒が渦状に拡散し、精霊が現れ、その精霊が渦と一体になって踊り始めます。

日本列島の原風景にも重なるイメージで全体に島々を配置し、そこから『エーテル』が重力に逆らって垂直に立ち上がろうとしています。これは生命するものとして表現しています。鹿の足下に植物のつぼみがあり、動物と植物が互いを補完しながら生態系を維持している様子を表しています。

日本列島の原風景は、イザナミとイザナギが日本を作った『国生み神話』にもつながる。そのアイデアをARで表現したくて、パフォーマンスアートを共同制作しているダミアン・ジャレと一緒にARコンテンツを作りました。男女のダンサーは精霊を表現しています。そこから渦を巻くように粒が広がり、力が広がっていくというイメージです(名和 晃平さん)

偶然が生み出したコラボ、実現までの道のり

GINZA SIXの新たな彫刻、名和晃平氏作「Metamorphosis Garden」

KDDI と GINZA SIX のコラボレーションは当初から予定されていたものではなかったため、関係者の苦労も大きかったようです。スケジュールや実現方法の見極めでは関係者間で幾度も話し合いがもたれました。「体験するアート」を最新テクノロジーで実現できたことで、アートの体験価値を新たに創造できたことに満足を感じています。

構造物を吊り上げる工程で困難が予想されたため、何度も構造計算を繰り返し安全に設置することに注力しました。また、作品設置後の AR を表現するために、3D での空間認識作業や20万点の点群データを処理し、コンテンツとして成立させるまでには想定以上に時間かかりました(GINZA SIX リテールマネジメント 阿部 茂夫さん)

GINZA SIX が名和さんに作品の出品依頼をしたのは2019年頃で、新型コロナウイルスの感染拡大で状況が一変したことをきっかけにテーマが変更となり、現在の命の歓びを表現する「Metamorphosis Garden(変容の庭)」になりました。商業施設としての「アート」との向き合い方や露出の仕方で、どうこの作品を来訪者に体験して欲しいのか、一方で作品を「消費・消耗」させないためにどういうスタンスでいるべきなのか、阿部さんは現在でも最適解を探っている最中だと言います。

5G や最先端 AR 技術を使った新しい「体験するアート」を銀座で具現化できたことで、アートに関心のある人、IT に関心のある人のみならず、多様な人々に対して、アートとテクノロジーが融合することで生み出される可能性を提示できたことの収穫は大きいと言えるでしょう。読者の皆さんにおかれても、銀座にお出かけの際はスマートフォンにアプリをダウンロードし、GINZA SIX でこの未来感あふれる体験に触れられることをお勧めします。

彫刻家 名和 晃平(Kohei Nawa)氏について

彫刻家/Sandwich Inc.主宰/京都芸術大学教授

1975年生まれ。京都を拠点に活動。2003年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士課程彫刻専攻修了。博士第一号を取得。2009年「Sandwich」を創設。感覚に接続するインターフェイスとして、彫刻の「表皮」に着目し、セル(細胞・粒)という概念を機軸として、2002年に情報化時代を象徴する「PixCell」を発表。生命と宇宙、感性とテクノロジーの関係をテーマに、重力で描くペインティング「Direction」やシリコーンオイルが空間に降り注ぐ「Force」、液面に現れる泡とグリッドの「Biomatrix」、そして泡そのものが巨大なボリュームに成長する「Foam」など、彫刻の定義を柔軟に解釈し、鑑賞者に素材の物性がひらかれてくるような知覚体験を生み出してきた。近年では、アートパビリオン「洸庭」など、建築のプロジェクトも手がける。2015年以降、ベルギーの振付家/ダンサーのダミアン・ジャレとの協働によるパフォーマンス作品「VESSEL」を国内外で公演中。2018年にフランス・ルーヴル美術館 ピラミッド内にて彫刻作品“Throne”を特別展示。

「KOHEI NAWA」( URL:http://kohei-nawa.net )

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キャラクター制作のクオン、〝漫画版MCN〟のwwwaapと経営統合へ——アジアでクリエイターエコノミー事業を加速

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ベタックマやビジネスフィッシュなど、メッセージングアプリなどで利用されるキャラクター制作で知られるクオンは、マンガやアニメ分野のマーケティング会社 wwwaap と経営統合することを明らかにした。経営統合は2022年1月をメドに実施され、新会社 Minto が設立される。新会社の代表取締役には、クオンの代表取締役である水野和寛氏が、また、新会社の取締役には、共に wwwaap 代表取締役の中川元太…

左から:wwwaap 代表取締役の高橋伸幸氏、クオンの代表取締役である水野和寛氏、wwwaap 代表取締役の中川元太氏
Image credit: Quan, wwwaap

ベタックマやビジネスフィッシュなど、メッセージングアプリなどで利用されるキャラクター制作で知られるクオンは、マンガやアニメ分野のマーケティング会社 wwwaap と経営統合することを明らかにした。経営統合は2022年1月をメドに実施され、新会社 Minto が設立される。新会社の代表取締役には、クオンの代表取締役である水野和寛氏が、また、新会社の取締役には、共に wwwaap 代表取締役の中川元太氏と高橋伸幸氏、クオン取締役の小川淳氏が就任する予定。

アメリカでは、YouTuber、Instagramer、Tiktoker などインフルエンサーの立場にあるクリエイターが全世界にファンを拡大しており、こうして作られたクリエイターエコノミーの規模は1,042億米ドルに上る。一方、日本のクリエイターエコノミーは漫画やアニメを中心とした2次元コンテンツが中心で、最近では、おとなり韓国を起源とする「ウェブトゥーン」の波が日本市場にも伝播し、この流れを掴んだ「ピッコマ」を運営するカカオジャパンの時価総額は8,000億円を超えた。

クオンについては、これまでに BRIDGE でも複数の記事で紹介してきたので詳細は省略するが、他方、wwwaap はインターネット広告代理店大手で漫画の編集チームやアプリのマーケティングチームを立ち上げた中川氏が、2016年に創業したスタートアップだ。漫画やアニメを中心に、SNS 発のクリエイターを250名以上擁し、彼らの創造したコンテンツを企業のプロモーションに利用してもらう形でマネタイズに成功。ツイッター広告に使われる漫画の8〜9割は、wwwaap の作品だという。言わば〝漫画版 MCN〟だ。

むちゃくちゃ才能があっても食っていけない業界。そこからスタートした。辞めていく人が多い中で、一定数のフォロワーがいれば、年間これくらいの収入は支払える、というのを提示できるようになった。wwwaap には、フォロワーが1万人いるような漫画家が250人以上いて、トップラインでは、年間1,000万円とかを稼ぐような主婦も現れてきている。(中川氏)

Quan と wwwaap のキャラクタや作品群(一部)
Image credit: Quan, wwwaap

今回、クオンと wwwaap が手を合わせることで、いくつかの補完関係が生まれることが期待できる。まず、クオンが持つアジアを中心としたネットワークを通じて、wwwaap のクリエイターが作った作品の流通が可能になるだろう。wwwaap は販路を拡大することができ、クオンはプロダクションとして自らが制作したキャラクタ以外にも、サードパーティーが制作したコンテンツの流通を助ける商社的役割を担えるようになる。

ウェブトゥーン然り、アニメ然り、エンタメ系の制作会社は小さな会社がすごくたくさんある。それで多様性が生まれていることも事実だが、戦略的にダイナミックにやっていくには、ある程度の規模感が必要になってくる。自分たちのキャラクタだけだと需要を網羅できなくなっているし、コロナ禍が明けたら世界が一気に動き始める中で差別化も難しくなるだろうし、やるなら今だと考えた。(水野氏)

水野氏と中川氏の得意分野の違いも、相互補完の関係として機能するだろう。クオンのビジネスモデルは複数存在するが、キャラクタのライセンスビジネス単体でのマネタイズが難しいアジアでは、無料のキャラクタースタンプで個性あるキャラクタの人気を獲得し、そのキャラクタのマーチャンダイズ販売や企業のプロモーションに利用してもらうことでマネタイズしてきた。日本で自らの事業を成功させた中川氏は、コンテンツのマネタイズ手法をアジアでさらに多様化させる点でも、経営統合後の事業の可能性に自信を見せた。

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