ファンを作るお金の集め方ーー融資型クラウドファンディングは他の種類とどう違うか(1/3)

本稿はスタートアップ自身がストーリーを投稿する「POST」記事です

猛威を振るう新型コロナウイルスは、東京オリンピック・パラリンピックをはじめとするあらゆるイベントの延期・中止や外出自粛の要請など、社会や経済活動に大きな影響を及ぼしています。

経済の先行き不透明感の強まるこの局面、企業における資金繰りは大きな課題となる中で、改めて注目を集めているクラウドファンディング。3回の連載の中でその特徴やポイントをみなさんに共有したいと思います。

ヒップホップグループ「BAD HOP」による5,000万円以上の資金調達

3月1日、横浜アリーナでライブを行う予定だったヒップホップグループ「BAD HOP」は、「1億円以上の負債を背負ってでもファンのために開催する」 という思いのもと、無観客の中ライブを行い、その様子をYoutube上で無料で配信しました。

ファンからの応援の声を受け、彼らはその声に答えるべく、クラウドファンディングプロジェクトを実施することに。その結果、プロジェクト公開から1ヶ月で78,846,522円、6835人のファンから後押しを受けることとなりました。

彼らが行ったクラウドファンディングは、LIVE DVDやライブグッズ、今後5年間で行う全てのLIVEへのご招待券などを用意し、「お金」を支援してくださった方々に対し、それらを「リターン」としてお返しする。

この仕組みは「購入型」クラウドファンディングと呼ばれ、その名の通り、起案者が「リターン」として設定したモノやサービスを「購入」してもらうことで金銭的な支援を受けられます。

購入型以外のクラウドファンディング

クラウドファンディングには購入型以外の種類もあります。「お金」の支援を受け、活動報告やお礼の手紙、軽微なお礼品など対価的均衡のないリターンを受ける「寄付型」は、社会課題の解決に取り組む団体の資金調達方法として活用されています。

そして、今注目を集め始めている資金調達方法が「株式型」と「融資型」です。

「株式型」は、株式の発行により、クラウドファンディングを通じて投資家(いわゆるエンジェル投資家)から少額ずつ資金を集める仕組みです。エンジェル投資家は、株主となって経営者に経営を委託し、企業の成長を見守りつつ配当などのリターンを期待します。企業にとってエンジェル投資家は事業の成長を応援してくれる応援団といえるでしょう。

一方、融資型クラウドファンディングは「ソーシャルレンディング」とも呼ばれます。クラウドファンディング事業者を通じて、資産運用したい投資家から資金を集め、集まった資金を起案者(借り手)に貸付けるものです。借り手は金融機関からの「融資」と同じく、定められた期間(一般的には1~2年間程度)に、クラウドファンディング事業者から借り入れた元本と利息を返済し、投資家は、元本のほかリターンとして「利息」を受け取ることができます。

「クラウドファンディング」で支援を行うのはどんな人?

クラウドファンディングで支援を行う人々の性質は3つに分けられるとする研究結果があります(※1)。

  • クラウドファンディングという仕組み自体を楽しむ「クラウドファンディングファン」
  • 社会を良くしたいという思いの強い「社会貢献」層
  • 他では入手できないリターンを獲得したいという「対価主義」層。

それぞれ、起案者との関係性を強めたいと思っていたり、地域振興や社会課題の解決への貢献志向を持っていたりと求めるものはさまざま。前述した研究結果によるとクラウドファンディング利用者に共通する特徴はイノベーター層であるそうです。クラウドファンディングは、最新の情報を得たい、新しいものを試してみたいと考える人が多く集まる場所といえるでしょう。

「融資型」クラウドファンディングが市場全体に占める割合

クラウドファンディングを通じて拠出される金額の総計は毎年飛躍的に伸び続けており、矢野経済研究所の調査(※2)によると2017年度(2017年4月~2018年3月)における国内市場規模は約1,700億円(年間の新規プロジェクト支援額ベース)。そして、この市場の9割を占めているのは「融資型」のクラウドファンディング(ソーシャルレンディング)なのです。

新たな投資手段として多くの投資家が注目し、融資型クラウドファンディングを資産運用の一部に当てていることがデータからも読み取れます。

融資型クラウドファンディングのポイント

他のクラウドファンディングと比較すると融資型の特徴は主に下記2点です。

  • 投資家へのリターンがお金(利息)であること
  • 借り手による元本返済が必要なこと

また、銀行融資との大きな違いは、投資家は借り手の顔が見えることです。銀行融資では預金者は自分のお金がどの融資先に使われているかはわかりませんが、クラウドファンディングは融資先を選ぶことができます。応援したい先に融資できることがクラウドファンディングの大きな特徴です。

モノやサービスでリターンを設計できないtoB企業の場合、リターンを「お金(利息)」で設定できる融資型との相性が良いです。

「お金(利息)」としてリターンを用意しつつ、独自の投資家特典を付与する融資型クラウドファンディングもあるので、サービス初期費用の割引や、ITであればサービストライアルやベータ版の利用権などのサービス利用者・ファンを増やしていく場合にも活用できるといえます。

また、融資型クラウドファンディングは金融商品である特性上、購入型や寄付型クラウドファンディングと比べて、経営者や資産家の割合が高い点にも注目すべきです。toB事業において自社サービス導入可否の意思決定権者となりうる経営層へのアプローチが可能となるのです。資産家をターゲットとするtoC事業におけるマーケティング施策としても有効な施策の一つになりうるでしょう。

融資型で「ファンをつくる」ために必要なこと

あなたが投資家だとしたら、どんな金融商品に投資したいと思うでしょうか。
様々な決定要因のうち、一つはリスクとリターン、そしてそのバランスが取れていることだといえます。

では、借り手は何をするべきなのでしょうか?

まずは、事業や財務の状況を適切に開示し、合理的な事業計画を示すことです。そのうえで、「リスクとリターンのバランスが適切だ」と、投資家に納得してもらえるかどうか。また、事業への想いも情報開示と並んで重要です。数ある投資先から自社が選ばれるにはリスク・リターンだけではなく、事業の魅力も大切になってきます。

過去の実績はもちろん、集めた資金をどのように使用し、どのような工夫を持って事業を実現させ、社会に新たな価値を生み出していくのか。借り手が真摯に伝え、それらを投資家が受け取り理解してもらうことで共感が生まれ、結果的に「投資」という形で支援が生まれていくと考えています。

先に見たとおり「クラウドファンディング」で支援を行う人は、起案者との関係性を強めたいと思っていたり、地域振興や社会課題の解決への貢献志向を持っていたりと、リターン以外の目的を持っていることが特徴です。

その方たちに、「応援したい」「この事業に貢献したい」と思ってもらうためには、挑戦する事業の詳細はもちろん、「なぜやるのか」という問いへの答えを伝えていくことがなによりも重要だといえます。

資金調達後も、返済までの間、事業の様子や進捗を気がけてチェックしてくれる投資家も多くいます。借り手と投資家との接触には法律上の制限があるため注意が必要ですが、投資家を不安にさせないよう、できる限り多くの情報を届けることができれば、借り手と投資家はより長く・密な関係を築くことができるといえるでしょう。

次回は「出資したくなる」企業に当てはまる3つの共通点をまとめてみたいと思います。

本稿は株式会社CAMPFIREマーケティング本部、井形翔子氏によるもの。彼らの事業や資金調達に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

<参考記事>

※1 人々はなぜクラウドファンディングをするのか
※2 株式会社矢野経済研究所「国内クラウドファンディング市場の調査(2018年)」(2018年12月3日発表)