スタートアップがブランドを変えた理由とその方法、BitStarが歩んだ6年間

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リブランドしたロゴとタグライン

本稿はスタートアップ自身がストーリーを投稿する「POST」記事です

YouTubeを中心にインフルエンサー関連事業などを展開するBitStarが4月24日、コーポレートアイデンティティ(CI)のリブランディングを実施しました。それに伴い、ロゴや一部のサービス名などと共に、ミッションを「新たな産業・文化を創り人々に幸せや感動を提供する」から「100年後に名前が残る産業・文化をつくる」に変更しています。

East VenturesはBitStar社のファーストインベスターとして創業期より同社を見守ってきたのですが、今回のリブランディングの経緯とこれまでの同社の歩みについて、改めてBItStar代表取締役社長CEOの渡邉拓氏に話を聞いてきました(太字の質問は全て筆者)。

コーポレートロゴなどの刷新、サービス名の変更などのリブランディングを行いましたが、その経緯や背景などをお聞かせください。

元々はYouTuberとクライアントを繋ぐサービスとして当社はスタートしました。そのため、クライアントやインフルエンサー、視聴者からは「BitStar=広告代理店」のような認識を持たれていると思います。確かに、当初は事業内容的にもそれで正しく、そこでの実績の積み重ねで信頼を積み上げてきました。

しかし現在は広告領域の他にもプロダクション領域やコンテンツ領域など多岐に渡ってきました。そこで現在のBitStarに合わせる意味でもリブランディングした方がより会社の実態を知ってもらえるのではないだろうか?と思い、プロジェクトがスタートしました。

広告事業からその他の事業に範囲を広げていったのはどういう理由ですか?

YouTube関連事業を始めた5年前はまだ専業のインフルエンサーの方があまりいなかったので、「職業:インフルエンサー」を成立させたいと強く思っていました。そのためにはインフルエンサーに経済的な価値を提供する必要があったので、まずは広告事業を立ち上げました。時代の追い風もあり、多くのインフルエンサーがそれを「職業」にすることができたんじゃないかと思います。

次に必要なのは、単純に仕事の提供だけではなく彼らの自己実現を手助けすること。インフルエンサーの「やりたいこと」を叶えるためにプロダクション機能を強化していきました。そして、いずれコンテンツ制作の価値やクオリティが求められる時代が来るのではないかと考え3年前からコンテンツ領域へと広がりました。

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名称を変更し、社名と同じになったプロダクション事業「BitStar」

コンテンツ領域はどのようなものですか?

コンテンツ領域は2つありまして、1つは自社のYouTubeチャンネルやクライアントさんと共同で運営するYouTubeチャンネルの運営です。最近では実写番組だけではなく、アニメやマンガコンテンツも開始しました。2つ目はVTuberの運営や「わくわく!VTuberひろば」というイベントの運営をしています。

コンテンツ制作においては「サイエンス」を重視して運営しています。広告クリエイティブは「アート」の要素に依存してしまうケースも多いのですが、私たちは自社で開発した分析・編集におけるテクノロジーや運営ノウハウを用いて再現性あるコンテンツ作り、継続して視聴者に楽しんでもらえるコンテンツ作りができることが当社の強みだと思っています。

今回のリブランディングで、多くの方々に「BitStarはプロダクションもコンテンツもやってる会社なんだよ!」って伝えたいですね。

当初の広告事業からプロダクション、コンテンツ制作と拡大していき、今回リブランディングに至ったということですが、新規領域における具体的な成長度合いを教えていただけますか?

プロダクションやコンテンツ制作領域といった新規領域においては、昨対比売上が約100%成長(2倍)となっていて、新規領域のみで月商約1億円を達成しています。伸び率は増加しているので、今後は200%、300%となっていくように頑張っています。

今回のリブランディングですが、今お話されたようなことをふまえてロゴやミッションなどを改めてリブランディングしました。

そうですね。そもそもBitStarのBitは渋谷がビットバレーとも呼ばれるように「インターネット」という意味があるのでインターネット発のスターを生み出すという意味合いで名付けています。今回のロゴはクリエイターやコンテンツに光を照らし、その輝きを加速させ、我々がスターやスターコンテンツを創出できるような存在になりたい、という想いでタグライン込みで作っております。

ミッションは「100年後に名前が残る産業、文化をつくる」と決めました。会社を設立する以前からずっと想っていることを改めて言葉として落とし込みました。会社をはじめた当初はクリエイターが専業としてやっていくのがなかなか難しかったのが、今では活躍の場が広がり、子供のなりたい職業ランキングにランクインするまでになりました。

まさに世の中のスタンダードになってきたわけですが、私自身、生まれてから死ぬまでに、後に残るようなことを手掛けていきたいという想いがあるので、100年後にも残るような新しい産業や文化に寄与し、根付いていくようなことに今後もチャレンジしていきたいと思っています。まだまだやりたいことは尽きないので、これからもこの想いの実現に向けて加速していきたいと思います。

BitStarが歩んだ6年間

リブランディングの話はよくわかりました。ところで現在従業員は何名くらいいらっしゃるのですか?

120人になりました。創業から知ってる大柴さんとしては驚きかもしれませんね(笑。

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創業6年のBitStarは120名体制に(新年の抱負「転」~コンテンツに向き合う2020年~)

確かにそうですね(笑。せっかくなので、創業から今日までの歴史も聞いてみようかと思います。創業は2014年7月ですね。

そうです。2013年夏に起業を志して前職を辞めたのですが、何の事業をやるかは決めてなかったので、まずは食うためにいろいろとやりました。ワインの輸入の通訳だったり、学生時代にプログラミングは少し習っていたのでコーディングの仕事をしたり、治験をやったり(笑。あと、この時期に事故に合ったりしました。お金もなくてほんと大変な時期でしたね…。1日300円で過ごしていました笑

事業アイデアを模索しながらいろんな事をしたのですが、あれもこれも面白そうではあるが前職の専門性を考えると「自分がやる理由がない」ってことに直面したんです。専門性がないことはもう仕方なくて、やるからには好きなことをやりたい。自分がやりたいことを模索し続けた結果、動画領域にたどり着きました。

最初は動画メディアでしたね、ビジネス向けの。社名も「Bizcast」でしたもんね。

はい。動画は見るのも作るのも好きで、そもそも学生時代は画像や動画の研究をしてたんですね。それで動画領域でやっていこうと考え、メディアを立ち上げました。そのメディア自体は上手くいかなかったのですが、その代わりスタートアップ界隈の人脈もできましたし、VCさんの知り合いもできたので、結果としては良かったなと思ってます。

でも最近のスタートアップと少し違って、起業してすぐに資金調達はしませんでしたよね?

その頃に読んだGoogleなどにエンジェル出資したロン・コンウェイさんの記事に「まずは自己資金でやるべきだ」と、投資家なのに矛盾したことが書かれていて。投資家の方にご相談するのは最後で、まずは自分自身でどうにかしてその後、信頼関係が強いところから優先順位高く借り入れや出資を受けることなのかなと理解して。

その言葉に納得感があったので、自分自身の信頼が最も強い親族から借金をし、ある程度事業の確信が持ててから外部資本を入れようと思いました。最初のメディア事業では確信が持てなかったのですが、その後の「BitStar構想」の着想をえて「これはいける!」と感じ、資金調達をすることにしました。

YouTuberとクライアントを繋ぐプラットホーム「BitStar」を実現するために資金調達をしましたが、最初の頃は資金も乏しく、また会社のメンバーも少なかったですよね。

渋谷にあるEast Venturesさんのシェアオフィスに入居させてもらってました。最初にいたフロアにはBASE、dely、トランスリミット、Beer and Tech(現在は「hitohana」運営)などと一緒にいました。BASEは人も多くて華やかで、なんだかとても暗い気持ちになったのを覚えてます(笑。

その後に移った部屋にはCandle(後にCROOZが買収)やGoroo(後にユナイテッドが買収)、Pic up(後にDMMが買収)がいて、他にはBeer and Tech(現在は「hitohana」運営)がいました。後に谷郷さん(カバー 代表取締役社長CEO)も入居してきましたね。皆と、「早くここを抜け出そう!」とよく話していた記憶があります(笑。

ちなみに当時は自分と大学生インターンの二人だけでした。シェアオフィスなので二人でコソコソと電話アポしてました(笑。その時に一緒にやってた彼は、今は起業家として頑張ってます。

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リニューアルされたサイトトップ

やがてシェアオフィスを抜け出して、桜丘の「出世ビル」シャレー渋谷に移転します。

シャレーではまたしてもdelyやBeer and Techと一緒でした。Branding Engineerやコインチェックもいました。まだコインチェックは取引所を始める前でした。

2015年に「BitStar」構想が浮かび、その年の7月にはα版をリリース。その後の成長は目をみはるばかりです。

ありがとうございます。創業から色々なことがありましたが、困難を乗り越える度に会社は着実に成長していると思います。2017年には社名も「BitStar」に変更しましたが、基本的な思想は最初から全く変わってなくて、やはりインフルエンサーさん達がただ稼げるようになるのではなく、よりやりたいことを実現し、活躍できるようなサポートをしたいと思ってます。

新しいスターの創出やIPとなるコンテンツを生み出していきたい。さらには、今回ミッションとしても改めて制定しましたが、新しい産業や文化に寄与できるように頑張っています。インフルエンサーさんや視聴者の皆さま、クライアントのニーズに応えられるよう、私たちの領域も広げていっていますし、もっともっと個人がチャレンジできる世界を作っていけたらと思います。

いまBitStarは当初の広告事業からプロダクション、コンテンツと領域を拡大中ですが、それらを支えるテクノロジーも同等に重要だと考えていて、そこへの研究開発も積極的に行っています。テクノロジーの下支えがあって、その上に個人が活躍できるステージを作る。そういうイメージです。

リブランディングの経緯やBitStarのこれまで、これからについてよくわかりました。さて、昨今世界的に新型コロナウィルスの影響が出ていますが、それについての考えをお聞かせください。

当社はイベント等のリアルビジネスも一部やっておりますのでダメージもありますが、一方でコロナウィルスによる巣篭もり需要があり、動画視聴が伸びているためマイナスを上回るぐらいプロダクションとしては大きく成長していますし、オンライン動画広告の需要が増えてきていると感じます。

このような未曾有の状況でもライブ配信の制作をからめたイベントのオンライン化を推進するなどして、逆にBitStarとしてできることを増やしてしっかりと克服していきたいと思います。VTuberではオンラインで体験できるアトラクション&ファンクラブのようなものも作ります。

経営者としては、あらゆる事態を想定して、資金調達やコスト削減も含めた利益の創出をして、今後に備えたいと思っています。リーマンショック以上の危機だと言われるように経済的にも健康リスクとしても厳しい環境だとは思いますが、フルリモート化など一緒に働いてくれているメンバーの健康を第一にしながらも、僕らを頼りにしてくれているインフルエンサーさん、クライアントさんの期待に最大限応えられるような体制をつくり気合いをいれて取り組んでいきたいと思います。

こういう逆境のときこそ新しいイノベーションが生まれ、会社としての体制が強化されるタイミングでもありますのでポジティブに会社運営していきたいと思います。

大変な時期ですが頑張ってください。今日はありがとうございました!

本稿はEast Venturesフェローの大柴貴紀氏によるもの。同氏は国内スタートアップ界隈を影で支える「知る人ぞ知る」人物をインタビューする不定期連載「隠れたキーマンを調べるお」で本誌にも定期的に寄稿してくれている。