SXSW 2022現地レポート(Day1 & 2)——Z世代とWeb3テーマのセッションが続々

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本稿は、SXSW 2022(サウスバイサウスウエスト 2022)の取材の一部である。

SXSW がテキサス州オースティンで始まった。2020年はコロナ感染拡大で中止、2021年はオンライン開催、そして、今年2022年はようやくリアルを伴うハイブリッド開催となった。実を言えば、2021年もオンラインのチケットを購入して、VR での参加やいくつかセッションのオンライン鑑賞をしてみたのだが、記事にするのは断念した。ピッチイベントならまだしも、SXSW ほどの大型イベントになると、オンラインの体験だけで全体を表現するのは何かと難しい。

SXSW 2022 も、コロナ対策では厳しいルールが適用されている。海外からの参加者に至っては、自分の国を出国する段階で2回以上のワクチン接種と1日以内の PCR 検査による陰性証明が求められ、SXSW のチェックインの際に、それらの証明書の提示がさらに求められる。会場ではヘルスケア会社 Nomi Health との提携で期間中 PCR 検査と抗原検査が無料で提供され、アメリカの参加者にはその結果をもとにして、チェックイン時にワクチン接種か陰性証明ができるアプリ「CLEAR Health Pass」が運用されていた。

SXSW は主に、Austin Convention Center、オースティンのダウンタウンにあるホテル、ライブハウス兼バーなどを借り切ってイベントが行われる。特に屋内においてはマスクの着用が主催者によって義務付けられているが、ちょうど、一昨日、アメリカではマスク着用ルールが緩和されることが明らかになったが、一方で、航空機や公共交通機関でのマスク着用は当初期限の3月18日から1ヶ月延長されることになった。SXSW でも、セッションの最中やパーティーの談笑時にはマスクを外している人が多いのが目立った。

SXSW の会場であるオースティン市(City of Austin)が属するトラヴィス郡(Travis County)の統計を見ると、ここ1週間ほどで新規感染者数は1日あたり60人未満にまで減少してきている。郡全体の人口で言えば(もっとも SXSW で言えば、外部流入人口も考慮する必要があるが)、50万人に新規感染者数が1人いるかどうか程度だ。街の様子はかなり落ち着いているが、アフターコロナの労働力不足とロシアによるウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格の値上がりで、あらゆる物価が値上がりしているようだ。

SXSW の時期は多数の参加者が世界中から殺到するため、会場周辺の宿泊資源は枯渇し価格が高騰するのは毎年恒例化しているが、今年はコロナ禍で参加者の絶対数が減っているためか、筆者は日本を出るフライト直前でも比較的安価な宿泊先を Airbnb で確保することができた。値上がりが著しいのは、Uber や Lyft などの配車サービスだ。ガソリン代の値上がり分を添加できるよう、今週には燃油サーチャージの適用が始まるため、さらなる覚悟が必要だ。なぜか、e スクーターも値上がりしているように思えた。

SXSW Interactive Innovation Awards

SXSW の動きが本格化するのは、メイン会場の Austin Convention Center で exhibition が始まる Day3(現地時間で13日)からで、それまではセッションやショーケースなどが中心。会場内をいくつか回って、面白そうなものを探してみよう。まずは、SXSW Interactive Innovation Awards のファイナリストを紹介会場を訪れてみた。この賞では4年前、学生部門「Student Innovation」で東大情報システム工学研究室から生まれた義足「BionicM」が選ばれたことで覚えている読者もいるだろう。

複数の部門にわたり、45社がファイナリストに選ばれている。気になった3社を紹介したい。総合優勝者、部門別優勝者は、審査員や参加者によるスコアをもとに決定され、現地時間の14日夕方に発表される予定だ。

New Economy 部門: HydroGreen Vertical Pastures(カナダ・ラングレー)

牛が食べる草を効率的に作り出すソリューション「Hydrogreen」。遠隔で制御でき、24時間の草の生産と出荷が可能だ。種の状態から写真にある苗の状態まで、6日間で完成させることができる。この効率性は、草に与える水と空気と光を絶妙にコントロールすることで可能とのことだ。

Wearable Tech 部門: Smell Revived(アメリカ・バークレー)

新型コロナウイルスの感染経験者が悩む後遺症の一つが、嗅覚が鈍ったり失われたりすることだ。VR を使って、嗅覚の回復を促すのが Smell Revived。失われた嗅覚の完全な回復は難しいものの、実際の対象物とその匂いを関連づける訓練を繰り返すことによって、日常生活に支障をきたさないレベルまでの回復を狙う。

Wearable Tech 部門: StrapTech(アメリカ・オースティン)

StrapTech は、自動運転に関わる技術をデバイスに入れ、そのデバイスを視覚障害者が装着することで、自ら移動することを支援するデバイス「Ara」を開発している。コンピュータビジョンが搭載され、装着者に振動で地面の上り下りや凹凸など周辺情報を教え、歩行を支援する。バッテリは1週間弱はもつとのことだ。

Blockchain Creative Labs

エンタメ大手 Fox Entertainment の NFT スタジオ「Blockchain Creative Labs(BCL)」は、今回 SXSW のスポンサーの一社を務めており、街角に開設したポップアップスタジオでは、さまざまな起業家が始めた NFT プロジェクトの紹介を行なっていた。BCL もまた、聴いている楽曲の特典として得られる楽曲の映像化コンテンツを NFT で提供する「Record Blocks」を展開。主要なウォレットで購入することができる。ちなみに、日本ではレコチョクがアーティスト向けに NFT 販売機能を公開している

バーチャルインフルエンサー「Zero」の公開

今回の SXSW のフォーカスの一つは、Z 世代のようにも思える。インフルエンサーマーケティングを提供する Offbeat Media Group の共同創業者 Shep Ogden 氏と Christopher Travers 氏が、同社の投資家でもある Mark Cuban 氏と登壇。バーチャルインフルエンサー「Zero」を初披露。Zero の今後の展開は、NFT ホルダーの総意によって決められるという。

Z 世代とメタバース、仕事の未来形

パネリストは全員イギリスから。Z 世代から絶大な人気を得る LGBTQ インフルエンサー Krystal Lake 氏、Z 世代向け雇用プラットフォーム「hundo」共同創業者の Esther O’callaghan OBE 氏、エージェンシーやブランドが Z 世代の意見を要望から72時間以内に集めることができる Imagen Insights CEO Jay Richards 氏によるディスカッション。

hundo は、メタバース上に構築されたソーシャルインパクトビジネスとしては初。昨年シードラウンドで150万ポンド(約2.3億円)を調達した。同社は「Career Collab」というサービスを展開、Z 世代の人々に対して、教育やスキル向上サービスを提供し、正規雇用を増やすことで若者の成長を支援するというものだ。企業にとっては、定着率の高い人材を獲得できるメリットがある。

NFT によるスポーツスポンサーシップの可能性

ポルシェのポップアップスタジオ「Porsche Unseen」では、ミュンヘン出身のカーレーサー Laura Marie Geissler 氏の NFT プロジェクトが、このプロジェクトを手がけた NFT スタジオ Unblocked の メンバーと共に紹介された。オリジナルデザインの車とヘルメットが NFT として公開される予定で、会場ではデザインドラフトが披露されたが、来週正式公表される予定。

多額の費用がかかるスポーツへの参加には企業などからスポンサーを集めることが一般的だったが、駆け出しのプレーヤーにとってはそれが難しいこともある。NFT により従来のスポンサーシップに頼らない資金集めが可能になることで、女性が少ないレーサーの世界にも新たな機会が生まれることを期待したいとのことだった。

3日目以降の様子については、また改めてお伝えする。