500万人が参加する通話コミュ「Yay!(イェイ)」16億円調達、NFT発行で新たなトークンエコノミー構築へ

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通話コミュニティのYay!

ニュースサマリ:通話コミュニティ「Yay!(イェイ)」を運営するナナメウエは4月6日、SBIインベストメントをリード投資家とするシリーズBの資金調達ラウンド実施を報告している。第三者割当増資と融資による調達で、ラウンドに参加したのはFFGベンチャービジネスパートナーズ、アカツキ、Headline Asia、Infinity Ventures Crypto、DG Daiwa Ventures、90s Management、スカイランドベンチャーズおよび 名称非公開の個人投資家複数名。これに金融機関からの融資を合わせて調達した資金は合計で約16億円。同社は昨年2月にも5.5億円の資金調達(株式および金融機関融資)を公表しており、その際に増資を引き受けたのはシード向けファンドのNOWとTLM、および氏名非公開の個人投資家となっていた。

また、同時にYay!のユーザー数が今年2月時点で500万人を突破していることも公表しており、同社では今後、このユーザー基盤をベースとするトークンを活用した経済圏(トークン・エコノミー)の開発に乗り出すことも明らかにしている。調達した資金はこれに関わる開発に必要な組織体制に投じられる予定。

話題のポイント:ナナメウエのYay!については、Clubhouseをはじめとする音声ソーシャルがわっと盛り上がった昨年にもお話を伺っています。実名ソーシャルによる息苦しさを背景にデジタルネイティブ層が楽しんで使う、ゆるやかなざつだん場所といったイメージです。ナナメウエはこれが初めてのプロダクトではなく、前身となる「ひま部」含めて前回記事に経緯を書かせてもらいました。

さて、そのYay!が結構大きめの方向転換というか、新しいチャレンジを公表しました。Web3などの文脈でここ数カ月話題になっているトークンエコノミーをYay!に組み込むというものです。同社代表取締役の石濵嵩博さんにお話を伺った内容はポッドキャストに納めていますので、なぜそういうことになったのかなどについては直接彼の声を聞いていただければと思います。

ナナメウエ社代表取締役の石濵嵩博さん

石濱さんが強調していたのは「民主化」の流れです。暗号資産やWeb3などの文脈で感じるのは小さな経済圏の自律・分散化という動きです。「トラストレス」という言葉で語られることがありますが、イーサリアムをはじめとするスマートコントラクトの発明・開発は、個人が保有する権利の譲渡を自動化しました。ブロックチェーンによる不可逆なインフラにより、第三者が関わらなくてもよい契約行為が実現したことで、小さな個人による取引がスケール感をもって語られるようになったのです。ビットコインはどこの誰が管理するわけでもなく、今日も取引が続いています。

石濱さんたちは現時点で具体的なトークンエコノミーに関する詳細、例えばホワイトペーパーのような情報は明らかにしていません。国内ではコインチェックが提供するIEO(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)という方法で暗号資産(トークン)を幅広いユーザーに対して公開販売する仕組みが出来つつありますが、これを採用するかどうかもまだ未定です。もしかしたら海外でトークンを上場させて国内に輸入(※国内での暗号資産販売には当局指定のホワイトリストへの掲載が必要になります)する方法も考えられます。この辺りについて石濱さんは決まっていることはあるが、まだ話をする段階にないと説明していました。

現在、グローバル・マーケットでトークンエコノミーをベースにしたコミュニティ活動にはAxie InifinityやYGGなどのゲームギルド、The SandboxやDecentralandのようなメタバース、Bored Ape Yacht ClubのようなNFTコレクティブルを会員証としたクローズドコミュニティなどなど、広がりを見せつつあります。特にDecentralandはメタバース内の土地やアイテムをNFT化し、それらを売買するための通貨としてNANAを発行する「NFT+ガバナンストークン」の仕組みを構築しています。Yay!が今後どのような形式のトークンエコノミーを設計するかはわかりませんが、NFTをコミュニティの方々が使える会員証のような形で発行し、それを支える形で何らかのガバナンストークンを発行する、というのは相性がよさそうに思えます。

一方、国内にはこの暗号資産における税制やトークン初期公開セールス時の細かいルールがまだぼんやりとしていて、絶賛各所で議論中です。ただ、この点についても石濱さんは厳しい条件だからこそ、自分たちがパイオニアになりたいと決意を語っていました。まだ30代前半の若い起業家が新しい経済圏の扉を開けるのか、引き続き注目していきたいと思います。

ポッドキャスト全文

最初にYay!についてお話しいただいてもよろしいですか

石濵:Yay!は匿名で使えて、TwitterのタイムラインとDiscordのグループ通話機能とmixiコミュニティのような趣味で集まれるサークル機能があるソーシャルメディアです。2020年1月にローンチしてからずっと伸びていて、登録者ベースだと520万人が使ってるようなサービスになってきています。

状況としては、既存SNSの息苦しさみたいなものが顕著に出てきたなと思っていて、InstagramとかFacebookとかに自由に書き込めない。例えば僕とかだと書き込んだ時に投資家さんが見ていたり、他の起業家の方が見ていたりとかするので容易なことは書けなくなり、基本的に見るだけの利用になってくると。他人の目を気にしはじめると素の自分が表現できなくなるので、息苦しさがどんどん募っていき、かつ投稿ができないので承認も貰えません。

僕たちのサービスは「素」が出せるように、匿名で、フラットで、というところをむちゃくちゃ推してるので、今若者を中心にぐっと広がりを見せてきています。これを僕たちはソーシャルの文脈での民主化と呼んでいます。

5年ぐらい前の(インターネットの)民主化はどちらかと言うとインフルエンサーが企業に代わって個人で稼げるみたいな文脈だったと思うんですけど、僕はその流れがもっと進んでインフルエンサーじゃなくもうちょっと下のレイヤー、つまり一般の人たちも自己表現し、例えば好きなことでお金を稼げたり、好きな振る舞いをして居場所を作ることができるという真の民主化の流れが来てるなと思っているので、その理想に向けてYay!を作り込んでいます。

今回16億円調達ということなんですけれども、こちらの概要の方をお話しいただいてもよろしいですか

石濵:合計で2月末に16億円の大半をエクイティで調達しました。リードを取っていただいたのがSBIインベストメント。その他にはAkatsuki Ventures、FFGベンチャービジネスパートナーズ、DG Daiwa Ventures、Headline、Infinity Ventures Crypto(IVC)に出資していただいてます。あとフォローとしてSkyland Venturesから一部入れていただけるというのが現状ですね。

今回特徴的な発表としてトークンエコノミーへの対応を公表されているわけなんですけれども、具体的に対応することでYay!はどのように変わりますか?

石濵:今って結局、(ソーシャルメディア等で)個人がお金を稼ごうと思った時に100万人登録者がいたりとか、あるいはフォロワーが100万人Instagramでいると企業案件でお金稼げたりすると思うんですけど、それ以外の収益化の方法が民主化の流れであってもいいよねと思っています。

僕は純粋に人に優しくするとか、あるいはそのサークルを運営する、DAOみたいなことができるんですけど、コミュニティの運営の中であってもいいし、Yay!自体の認知資産をインフルエンサーのようなデカい形ではなくて、中の友達や周りの人に伝えるようなことだったり、あとはサービス内のギフティングだったり。

今までのソーシャルやメディアで、個人が稼いでいた方法以外でYay!の中で何かできないかといったときに、トークンを発行するのが良いかなと思いました。

掛け算が1個増えるのは大きいなと思っていて、例えば僕たちのサービスで一番最初頑張ってくれたら5万円分のYay!のトークンがもらえたとします。5万円分のYay!のトークンもらえたんだけど、Yay!が拡大していって、仮にTwitterとかDiscordクラスのサービスになるのであれば当時の5万円のYay!のトークンって100倍にも1,000倍にもなる。

5万円が1,000倍になったら5,000万円じゃないですか。こういう掛け算がプラットフォームの広がりや、バリュエーション(企業評価額)によって変わってくることで初期から貢献してくれたものに対してレバレッジが利くのが大きいかなと思っています。