EVERSTEEL、朝日工業と鉄スクラップ自動解析AIシステムの現場検証完了

SHARE:

鉄スクラップ自動解析AIシステムを開発する株式会社EVERSTEEL(本社:東京都文京区、代表取締役社長:田島 圭二郎)は、朝日工業株式会社(本社:東京都豊島区、代表取締役社長:中村 紀之)と、鉄スクラップ検収プロセスの高効率・高精度化を目的とした、5ヶ月間の鉄スクラップ検収AI開発の現場検証を完了しました。2022年11月より、ヤード荷下ろし全荷受口へカメラ導入を実施し、品種・等級の判定、不適合品の検出においてベテラン検収員と同等レベルの査定が可能な、本運用AI開発を開始しました。

現場検証の背景

 2050年までの脱炭素社会の実現には、我が国全体のCO2排出量の約14%を占める「鉄鋼部門」における排出抑制の取り組みが不可欠であり、そのためには現在日本において主流となっている高炉法に比べ、CO2排出量を75%以上削減できる電炉法による鉄鋼生産の拡大が求められています。朝日工業は、鉄スクラップを主要原料として、環境に配慮しながら鉄筋と構造用鋼を製造する電炉メーカーです。「資源循環型社会を創るトップランナーでありたい」という認識の下、資源循環型社会の実現を目指し、限りある資源の有効利用に取り組んでいます。電炉鋼材普及において鍵を握るのが、原料である鉄スクラップの品質管理です。鉄スクラップは受け入れ時の現場検収員による高度な検品作業により原材料品質を担保しています。しかし、日々搬入される大量のスクラップに対する正確な検品作業には、習熟したスキルが要求される反面、人手不足や熟練工の高齢化など、事業者が対応を迫られている構造的な課題は少なくありません。そのような状況を打破すべく、属人的なスキルのAIによる客観化、技術継承を行うために、EVERSTEELは朝日工業との鉄スクラップ自動解析AIシステムの現場検証実験を開始しました。

現場検証の内容

1.現場滞在、および検収員のスキル定量化

 EVERSTEEL代表の田島が直接工場に2週間滞在し、朝日工業専用の検収AI開発に向け、独自の検収基準・不適合品対応の現地調査、操業把握を実施しました。国内の熟練工が行う、単純な厚みやサイズだけに限らない独自の等級査定を、AI検収で実現するために、EVERSTEELでは開発者側が、現場検収員と同等の検収スキルを獲得した上で開発を行うことをモットーにしています。特に現場調査では、検収員ごとの等級査定のばらつきの定量化を行いました。工場では検収員が鉄スクラップを目視で確認し等級査定をしており、検収員には経験と高いスキルが求められますが、検収員によって等級査定のばらつきは免れず、業界全体の課題となっています。今回の現場調査を経て、検収員全員の査定結果と荷降ろしされるスクラップの検収作業を分析し、検収員による査定のばらつきを定量化しました。

PR TIMESで本文を見る