知られざる関西のスタートアップ。そのポテンシャルを明らかにする『関西スタートアップレポート』発刊の経緯

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2022年はスタートアップ創出元年と言われ、政府はもとより民間企業や学校なども起業家の創出や育成、投資の増加、スタートアップとの協業などに力を入れています。しかし、メディアに出てくるのは、東京のスタートアップがほとんどです。

このストーリーでは、関西のスタートアップ支援を行うNPO法人生態会の事務局長の西山裕子が、自身が生態会に参画し『関西スタートアップレポート』発刊に至る経緯と、知られざる関西の起業エコシステムの特徴について語ります。
◆アレン・マイナーが設立した「生態会」に私が参画した理由

私は高校まで京都で過ごし、大阪の大学を卒業後、神戸のP&Gに入りました。東京本社のスタートアップに勤めていた時も、在宅勤務と出張ベースで仕事をし、今までほぼ関西にいます。関西は広く、人口も多く、面白い会社も多いのですが、近年は東京一極集中が進み、優秀な関西の大学生も東京の企業に就職することが多いのが、気になっていました。

10年前に独立をし、いろいろな企業のマーケティングや広報支援をするようになりました。顧客企業の一つが、日米で幅広く投資を行うアレン・マイナー氏の会社でした。2018年に彼が、「NPOを作るので、一緒にやらないか」と声をかけてくれました。

その時まで私は、個別企業の支援をしていましたが、「関西全体を活性化し、スタートアップを生み育てることに貢献する」というその社会的意義に打たれ、参画を決めました。アレンは元々、渋谷やシリコンバレーを中心に投資や支援をしていましたが、10年ほど前から関西に来る機会が増えました。スタートアップがある程度大きくなると、顧客やVCとのつながりを求めて東京に行ってしまうことに気づき、もったいないと思ったそうです。1社1社に投資するよりも、関西全体で支援するにはNPOという形が良いのではということで、「生態会」を設立しました。それに共感した人々が、集まってきました。

今でもVCの7割くらいは東京を拠点にしていますし、資金調達額の8割以上は東京のスタートアップに集中しています。しかしコロナの影響は、ある意味でパラダイムシフトでした。オンラインの面談で、物事が進むようになりました。関西の企業がオンラインだけで話をして、東京の投資家に最後の最後の出資が決まるタイミングで初めて会った、という話も増えています。少額のエンジェル投資なら、一度も対面で会ったことがないというケースも聞きました。

地域性がそれほど問題ではなくなってきた、と感じています。

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