世界最大人口規模のECMOコンソーシアム、APELSOのアジア太平洋地域での共通レジストリ(疾患登録システム)をTXP Medical株式会社が構築、共同プロジェクトスタート。

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TXP Medicalの得意とするOCR技術でアジア太平洋地域の重症呼吸器不全疾患研究を進める。

Asia-Pacific Extracorporeal Life Support Organization(本部:メルボルン、オーストラリア、会長:John Fraser、以下 APELSO)とTXP Medical株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:園生智弘、以下 TXP Medical)は、アジア太平洋地域の急性呼吸促迫症候群(以下、ARDS)の患者を対象とした共通レジストリ(OCRを活用した疾患登録システム)構築を目的とした共同プロジェクトを実施しています。
【背景】
ARDSは、単一の病気ではなく、様々な原因によって重症の呼吸不全が生じる症候群です。ARDSを起こした肺では、基礎疾患に伴って活性化した好中球から細胞や組織を傷つける活性酸素や蛋白分解酵素が放出されると考えられています。肺胞や毛細血管の細胞がダメージを受けた結果、血液中の水分や蛋白がにじみ出て、肺胞にひどい浮腫を起こします。その治療の中心は人工呼吸管理となります。根本的な治療法は確立されておらず、ARDSの死亡率は25~40%程度と高い水準にあります。

APELSOはELSOのアジア太平洋地域の事務局であり、11カ国が所属しており、84施設のICUが含まれています。
APELSOの本部であるELSO(Extracorporeal Life Support Organization)は体外式膜型人工肺(ECMO)の国際コンソーシアムであり、1989年以来ECMOを使用した治療に関連する研究を行い、発表しています。これまでARDSの患者データを含む多くのデータを収集してきました。2021年11月現在、重症ARDSのためにVV-ECMO※を受けた患者53,503人がELSOのレジストリに登録されています。全世界のVV-ECMOを使用した全患者のうち、APELSOが構成されている国・施設からの患者登録数は少なく、わずか3,517人(6.6%)に留まっています。この人数は全世界におけるアジア太平洋地域の人口比率が約60%ということを鑑みると極めて少ないと言えます。

※VV-ECMOとはECMOの種類で肺の機能を補助するため静脈(Venous)から脱血し、人工肺で酸素化した血液を静脈(Venous)に返します。

その主な原因として、欧米圏に比して英語を第一言語とする地域が少ないため、統一言語でのレジストリ構築が難しく、多施設間でのコーディネーションがスムーズに進まないことがあげられます。またデータエントリーを行う研究者や臨床医が地域において十分に教育されていないことも考えられます。

【本研究の概要】
本研究の主な目的はアジア太平洋地域の集中治療に取り組む研究者や臨床医のニーズに対応したARDSレジストリのEDCシステム (Electronica Data Capture = 電子化されたCase Report Form)を開発することです。TXP Medicalが提供しているアプリケーションNEXT Stage EDC を用いて患者情報入力を簡便化し、レジストリの構築を円滑に行うことを目的とします。

ARDS患者は、人工呼吸器や体外循環装置などの多種多様な集中治療機器を用いることが多いため、各機器のパラメータをリアルタイムでデータ収集するAI技術搭載の光学的文字認識処理技術(OCR)を活用することにより、データ収集の効率化を図ります。研究者は、各機器のインターフェイスをスマートフォンで撮影することで、簡便に情報をEDCへと取り込みことができ、アジア太平洋地域において、様々な障壁のために困難だったレジストリの構築を加速化させます。

OCR技術を使って人工呼吸器やECMOの設定データをNEXT Stage EDCへ取り込むことが可能

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