現代と未来を見る目を培い、激動の時代を生き抜くために。『帝国の崩壊』の編著者が本書に込めた想いとは

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2022年5月に刊行された『帝国の崩壊 上・下』(山川出版社)は、歴代14帝国「崩壊」の道程を第一線の歴史学・考古学者陣が読み解く大著です。軍事大国の経済破綻、改革の挫折、政治的緊張感の喪失。アメリカの覇権が揺らぐなか、「帝国」復活を目指すかに見えるロシアの動き、そして米中「新冷戦」。来たる激動の国際秩序を見通すために、ぜひ手に取っていただくことをお勧めします。このストーリーでは、編著者の鈴木董・東京大学名誉教授が本書出版の経緯と意義を振り返ります。

◆『帝国の崩壊』出版の経緯

現今、世界秩序は大きく変容しつつあります。一方では、「東西冷戦」終焉後、一時は地球上で唯一の覇権国家などといわれた米国の覇権が揺らぎつつあるかに見えます。他方では、「アヘン戦争」以来、「眠れる獅子」と見られてきた中国が、中華人民共和国の下、米国と覇権を争うまでに至っています。

人類の歴史の中で、幾多の超大国が去来してきました。ここで、多様な地域を包摂する広大な空間を支配領域とし、多様な人間集団を包み込んだ巨大な政治体、超大国を「帝国」と呼ぶとすれば、世界史は諸帝国の興亡の歴史ともいえます。

本書では、世界史を彩どった代表的な諸帝国をとりあげ、その興亡の歴史と、とりわけその崩壊の過程を解き明かします。各々の帝国について、各章で具体的に論ずるのは、各帝国を専門とする第一線の研究者の先生方です。

世界史の中で去来した超大国としての諸帝国の興亡とその崩壊の歴史を知ることは、世界秩序が大きく変容しつつある今日、我々の現況を見直し、未来を展望するためにも役立つのではあるまいか、と考えています。

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