中国検索大手Baidu(百度)、自動車メーカーGeely(吉利)とEV生産へ

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Image credit: Masaru Ikeda

Baidu(百度)は11日、自動車メーカーの Geely(吉利)と提携し、中国市場向けのスマート電気自動車(EV)を製造すると発表した。

重要視すべき理由:Baidu と Geely の提携により、Baidu は1兆米ドル規模の EV 産業への進出をさらに深めることになる。中国内外のインターネット大手が急成長する市場の一角を奪い合う中、Baidu は、Meituan(美団)、Tencent(騰訊)、JD.com(京東)などの同業と異なり、単に既存の企業に投資するのではなく、EV を自ら製造する中国初のテック大手となる。

詳細情報:Baidu は主要な自動運転技術とソフトウェアを提供し、Geely は自動車製造の専門知識を提供する。合弁会社の経営権は Baidu が持ち、現在は Geely が唯一のパートナーとなっている。

  • Baidu の独立した子会社として運営される新会社は、自動車の設計から研究開発、製造、販売、サービスに至るまでの産業チェーン全体を統括する。
  • Baidu は、自動運転車開発部門「Apollo(阿波羅)」、「DuerOS for Apollo(度秘)」、「Baidu Maps(百度地図)」など、コア技術のフルポートフォリオで子会社の戦略的発展を支援する。
  • 今回の提携では、Geely が4年の歳月と18億人民元(約290億円)を費やして完成させた EV 製造プラットフォーム「SEA(Sustainable Experience Architecture、浩瀚)」を活用する。Geely によると、このプラットフォームはあらゆるサイズやモデルの自動車に対応しているという。
  • Baidu と中国の自動車メーカーとの戦略的提携の噂は以前からあり、投資家の関心を集めていた。Baidu の株価は過去1ヶ月で67%上昇し、時価総額は8億米ドルに達した。Geely の株価も1月8日に20%以上上昇した。

Baidu では、インテリジェント運転の未来を長い間信じており、過去10年間でAIに多額の投資を行い、世界クラスの自動運転サービスのポートフォリオを構築してきた。中国は EV の世界最大の市場となっており、EV 消費者が次世代の自動車をよりインテリジェントにすることを求めているのを目の当たりにしている。(Baidu 共同創業者兼 CEO の Robin Li=李彦宏氏)

  • Xpeng Motors(小鵬)CEO の He Xiaopeng(何小鵬)氏は Weibo(微博)で、彼の知る限り、より多くのテック企業がレースに参加し、今年中に自ら車を作り始めるだろうと述べた。

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背景:Baidu は2013年に自動運転プロジェクトをキックオフしたが、短編動画プラットフォーム各社との競争で検索広告収入が減少している同社にとって、自動運転車が戦略的な焦点となったのは2017年になってからだった。

  • 2017年、検索大手は自動運転ユニット「Apollo」を設立。8月に開始した自動運転タクシーサービス「Go Robotaxi」を北京、湖南省中部の長沙、河北省北部の滄州で運営している。
  • Baidu の EV 市場への参入は、既存のスマートドライブ製品やサービスの採用を後押しする可能性がある。この車両は、Baidu が自社のソフトウェアやサービスを通じて集めた消費者の行動やトレンドに関するデータや情報を実装し、同社の自動運転エコシステムを完成させる位置付けだ。
  • このような提携は主流にはならないだろう、と China Passenger Cars Association(乗用車市場信息聯席会)秘書長の Cui Dongshu(崔東樹)氏は言う。今後も製造能力と技術がコアを占めるため、インターネット大手と自動車メーカーとの戦略的提携は、それだけで強者に立ち向かうことはできないだろう、と彼はつけ加えた。
  • Baidu はこの数年間、Nio(蔚来)、Xpeng、Leading Ideal(理想汽車)への投資機会を逃すなど、新しい技術を取り入れた車で多くの失敗をしてきた。

【via TechNode】 @technodechina

【原文】

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