同世代の感性を活かして平均22歳の女性から人気を集めるネイルチップのEコマース「michi」

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michi-online-shop

「Made in Japan(メイド・イン・ジャパン)」を海外に。日本で1つ1つ丁寧に作られた逸品を海外に向けて発信する。こうした動きに取り組むのは、長い歴史を持った老舗企業ばかりではありません。「日本人女性のハンドメイド技術を世界に広めたい」という思いで立ち上がったのが、ネイルチップのオンラインショップ「michi(ミチ)」です。

日本全国100名弱のネイリストが作った350種類ほどのネイルチップ(付け爪)が並ぶmichi。受注ベースでネイリストがネイルチップを制作し、10日以内にユーザーのもとに発送されます。現在は、michiのオンラインショップに加えて、出資元であるアイスタイルが運営するリアル店舗「@cosme store」でも30種類ほどを試験販売しています。

最初から海外展開を見据えて始まったmichiですが、今は注文のほとんどが日本国内から。利用者は10代から20代が9割で、平均年齢は22歳。ネイルサロンと同じクオリティーだと言うネイルチップは、1つ当たり1,900円〜2,700円とリーズナブル。また何度でも繰り返し使えるため、自由に使えるお金が限られる若い女性に人気です。

ユーザーと同じ世代が持つ感性をそのまま活かす

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michiのInstagramの投稿

ネイルに関心がある若い女性がmichiを利用するかどうかの最大のポイントは、どれだけ可愛い、または自分好みのデザインがあるかどうか。michiでは、毎週金曜日になると、新たに10種類のデザインを追加。

このネイルチップの商品企画を見ているのが、サイバーエージェントから今年3月にmichiにジョインした中島明日香さん。中島さんを除いて、商品企画チームは、10代半ばから20代前半の有給インターン生で構成されています。

「ネイルデザインは、michiからネイリストさんに依頼して作ってもらいます。商品企画チームは、michiのターゲットと同じ年代の大学生が中心なんです。トレンドも把握していますし、10代から20代の女性が欲しいデザインがどんぴしゃでわかる。彼女達の感性で作ってもらうのが一番可愛いんです。」(中島)

利用シーンや好みなど、女性が選ぶデザインの幅広さに驚いたという中島さん。保育園の卒園式から同窓会、好きなバンドのライブ会場などなど、ユーザーの様々な利用シーンを想像してデザインすることを意識しています。また、パッケージや梱包に至るまで、商品が届いた際の「ワクワク感」を大切にしているそう。

商品企画に加えて、ユーザーと同世代の女性が活躍するのが、michiのSNS活用。Instagram(@michi_nails)を運用するのは、人気オンラインメディアで人気1位を獲得したこともあるセンスの持ち主。

「Instagramでは、商品を購入してもらうというより、おしゃれなブランディングを意識しています。ちょっとアート作品っぽい感じというか。その写真を単体で見て、普通にコンテンツとして楽しんでもらいたいです。」(中島)

日本人女性のハンドメイド技術を世界に

日本人女性のハンドメイド技術の中でも、なぜネイルチップだったのか。michiの代表である中崎瞬さんは、日本のネイル技術が世界でもトップレベルであることに加えて、ネイル写真がソーシャルで持つ拡散性、日本にネイリストが30万人以上いて生産が可能であることを理由に挙げます。

最近は、サロンの店舗数自体が縮小傾向にあり、セルフネイル市場の方が上昇しているのだとか。そんな市場の流れ、また、出産や子育てなどをきっかけに、ネイリストとしての技術を活かしきれていない女性が沢山います。michiは、そんなフルタイムに働くことができないネイリストの女性に対して、その空き時間を活用してお小遣い稼ぎをする方法を提供しています。

michiで働くネイリストの中には、既にmichi一本で生計を立てているような人もいるそう。現在、ネイルチップの作成費は一律ですが、今後はコミットメントに応じてそれが変動するような仕組みも検討しています。

「michiを運営する中で、自分の技術を活かしきれていない女性が大勢いることを知り、女性の雇用を応援することもmichiのミッションに掲げるようになりました」(中崎)

ハウツーなどのコンテンツで今後はメディア化

現在、「ネイルチップ」で検索するとトップに出るというmichi。利用端末は、スマホが9割、購入に関しても9割がスマホ経由です。9月頭に資金調達をしたことで体制を強化し、マーケティングにも力を入れていると話す中島さん。資金調達後、売上げは毎月30%増で伸び続けています。

ネイルチップを探しに来た人が買い物をして帰るという直線的な体験だけでなく、セルフネイルを含めて、広くネイルを楽しむ女性にとってのデスティネーションになるために、今後はネイルのハウツー系や、コーディネートとネイルの組み合わせなど独自コンテンツを発信していく予定です。

「ネイルチップにまつわる何となくネガティブな印象も変えていきたいです。たぶん、お金がない10代の頃にバラエティショップなどで安いネイルチップを試して、サイズが合わないなどいい体験をしなかった。大人になっても引きずっているその印象をmichiが変えていきます」(中島)

「世界に誇れる日本人女性が持つ繊細な技術を、michiというハンドメイドブランドを通じて世界に伝えたいです。来年からは、ヨーロッパやアメリカにも海外展開をしていきます」(中崎)

日本人のハンドクラフトを世界に発信する上で、ネイルチップはこれ以上ないほど素晴らしい商材かもしれません。若い世代を中心に広く女性に関心を持ってもらえて、また、それを日常的に身につけてもらえる。海外でも、「そのネイル可愛い、どうしたの?」に、「michiで買ったの」というやり取りがされる日はそう遠くないのかもしれません。

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