社名変更を控えたネットプライスドットコムが創業以来の歴史をインフォグラフィックで公開、前田氏が語る次期中核事業「BEENOS」とONLの違いとは

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ギャザリング・コマースのネットプライスやオークファンといった複数事業の持株会社であったネットプライスドットコムが社名変更を発表したのが2013年の12月(リンク先はPDF)。

従来中核であったコマース事業に加え、2013年4月に開設された投資、起業家育成事業である「BEENOS(ビーノス)」も事業領域の中核に位置づけることを明確化する狙いがあるとしている。

2014年10月に予定されている「BEENOS 株式会社(BEENOS Inc.)」社名変更を前に、同社はこれまでの道のりをひとつのインフォグラフィックにまとめた。

2010年4月にネットプライスドットコム、デジタルガレージ、カカクコムの三社が合同で設立したOpen Network Lab(以下、ONL)ではアクセラレーションプログラムの中心的な実行者であり、また今回このBEENOSでも起業家のよきアドバイザーとしてプログラムを牽引する、ネットプライスドットコム執行役員の前田紘典氏にショートインタビューも実施したので、(インフォグラフィックが長いので最後に)そちらもあわせてお届けさせて頂く。

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なぜBEENOSなのか。Open Network Labを通じで経験したまなびとは

私は今回の社名変更で中核と位置づけられるBEENOS事業、つまりは投資育成事業のスタイルに大変興味を持っている。なぜなら、ONL時代と違い、完全に内製化しようとしている。ONLが天然ものだったのに対してBEENOSは「養殖」といったところだろうか。この方向転換はなぜなのか。ONLを実質的に牽引した前田氏に一問一答で回答してもらった。

ーーONLではYCやTechStarsといった北米のオープンなスタイルで起業家育成に取り組みました。一転、今回BEENOSが実施する「スタジオ」は内製ですよね。どういった違いがあるのでしょうか。

起業家やスタートアップへ投資するという面ではONLと一緒です。違うのはサポート体制を完全に内製化している部分ですね。ONLは外部のメンターを中心にスタートアップにアドバイスしているのですがBEENOSではエンジニアリング、デザイン、データ、採用、マーケティング、オペレーション等といったサポートをすべて内製で実施します。

ーーどうしてスタイルを変えたの?

一つはサポート体制をスケールさせる方法として、これが最適だからということが挙げられます。様々なスペシャリストが在籍していることで、それぞれのスタートアップのオペレーションにより深く関わることが可能になります。

もう一つの理由はお金やネットワーク以外の価値をスタートアップに提供できる組織を作りたかった、というものです。お金はコモディティー化していてネットワークを持っている方も増えてきました。スタートアップを立ち上げたり成長させてりする様々なノウハウとそれを実行する力を持つことは、起業家にとって大きな価値にもなりますし、他のインキュベーションとの差別化にもなります。

スタートアップのオペレーションに深く関われる体制になる事で、その経験や知識をスピーディーに他の支援先の企業に伝達し、効率よくスタートアップを立ち上げたり、成長させたりすることができるようになる、というわけです。

ーーやはりお手本にしたプログラム等があるの?

サポート体制の内製化は北米で活発になっていて「Startup Studio」と呼ばれてます。Twitterの創業者であるEvan WilliamsとBiz StoneのObvious Corp, PaypalやSlideを創業したMax LevchinのHVF、MySpaceの社長だったMike JonesのScience Inc、Time WarnerのSVPだったJohn Borthwickが率いるBetaworks等がStartup Studioのカテゴリーに入ります。

なるほど、実はスタートアップの内製化については、インキュベイトファンドのキャンプイベントやインフィニティ・ベンチャー・パートナーズの投資方針など、いくつか既に似たような動きはあった。天然のすばらしい起業家が突然あらわれて投資先となることなど皆無に等しい。であれば時流にあわせた起業家や事業を「養殖」する方法は実に合理的だ。

ただ、内製化は同時にコストを抱える先行投資型となる。最近ではTechStarsが企業向けにアクセラレーションプログラムを提供するなど、キャピタルゲイン以外のビジネス活動も散見されるようになった。モデルに変化はあるのだろうか。前田氏への質問に戻る。

ーーやっぱりビジネスモデルは投資回収のみ?結構先行投資がかさむようにみえるけど。

ビジネスモデルはキャピタルゲインだけです。

ONLの投資先を眺めればすぐにお分かりになると思うけど、ONLは(投資実績として)大成功だと思ってます。日本でトップクラスの起業家も参加していますし、ONLモデルはスタートアップを大量生産するために適したモデルでした。そしてスタートアップにとっても一気にグローバルなネットワークをアクセスして世界でトップクラスのメンターに出会える素晴らしい取り組みになったと思ってます。

ーーありがとうございました。

BEENOSはこれまでのアクセラレーションプログラムのように、応募やDemoDayといったイベントがないため、極めてステルスな状態でスタートアップが育成されることも特徴になる。実際、現時点でいくつか動いている案件があるらしく取材を試みているが公開されるのは実績が積み上がったずっと後のことだろう。

日本の起業現場に新しい風を送り込んだのは間違いなくONLだ。その発展系「BEENOS」が次の新しいトレンドを生み出してくれるだろうか。

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