COVID-19以降、全体的に消費行動は冷え込みましたが、一方でリモートワークや自宅での余暇が増えたことによる投資への需要に注目が集まりました。特にトラクションを伸ばした代表例としては投資アプリ「Robinhood」が挙げられます。その上で、例えば「Public.com」などZ世代にターゲットを絞り、投資とSNS性を組み合わせた投資プラットフォームも登場しています。Publicはウィル・スミス氏のファンドDreamers VCも出資していることで注目されているスタートアップです。ミッションには「Open the Stock Market to Everyone by making it inclusive, educational, and fun」を掲げており、株の取り引きの民主化を目指しています。
そこで登場したのが、APIを通じて金融事業者に投資機能を提供するFintech as a Serviceの業態です。2020年にこの分野に登場したのが「DriveWealth」で、金融関連の事業者が少額投資サービスを立ち上げられるためのAPIを提供しています。提携企業にはRevolutやMoneylionを筆頭とするチャレンジャーバンクの名前が並んでいて、現在153カ国にサービスを提供しており、米国株の取引を世界中に広めています。競合にはY Combinator出身のAlpacaなどが挙げられます。このように、コロナの在宅生活で掘り起こされた新たな需要に応えるための、インフラ需要に焦点が当たった1年でした。
K Healthがターゲットとするのはいわば「コンビニ患者」に代表される人たちです。簡易診察の後、医師から処方箋を受ける必要のある人や、診療の必要な人だけ医師に繋げられる、いわばバーチャル病院のような存在になります。コロナ禍で大量の患者を同時に診察する手間が世界的な問題となっている中、K HealthのようなAIを活用した診察手法が加速することは十分に考えられます。最終回は投資と住宅についてまとめていきます。(次につづく)
また、Zoomでは「交流」といった側面が非常に弱い点も挙げられます。リアルイベントで見られるような多人数交流がオンラインでは再現しづらいです。こうした痒い所に手が届く機能を実装させたバーチャルイベントプラットフォームとして、a16zが出資した「Run The World」も2020年に登場しました。こういった、Zoomを軸にした新たな動画コミュニケーションやオンラインイベントプラットフォームサービスが多く登場した1年でもあったのです。
動画の民主化
Image Credit : Playbook
Run the WorldやSuperpeerなどと並行して拡大した市場が配信サービスのインフラ提供サービスです。 在宅時間が急増し、ストリーミングサービスの利用が増えました。なかでもフィットネスに関して、ジムのような大衆の集まる施設から自宅へと場が変わり、トレーナーのコーチング動画を楽しめるアプリが増えました。「Playbook」などが代表に挙げられ、また、自宅でサイクリング体験を楽しめるZwiftの台頭なども例として挙げられます。こうした在宅需要を埋める動画アプリが増え始めると、開発需要も発生してきます。そこで登場したのが「api.video」でした。
前編では、企業の公平性・多様性を手助けする「Syndio」、音声・ポッドキャストの「Clubhouse」、ミートアップ主催者・参加者をエンパワーメントする「Superpeer」・「Run The World」、動画需要をAPIで手助けする「api.video」について紹介しました。後編では、COVID-19によってまさに需要が急激に伸びたECスタートアップ、余暇の誕生によって生じた投資意欲に答えるスタートアップ、またデジタル化する医療に応える目的を持つスタートアップについてまとめていきます。(次につづく)