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SpaceXが描く「宇宙インターネット構想」Starlinkの全貌とは

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ピックアップ:SpaceX raises over $1 billion through two funding rounds ニュースサマリー:ここ半年、イーロンマスク氏率いる米国の宇宙ベンチャー「SpaceX」の異常な調達劇が続いている。 2018年の11月にはBank of Americaからデットで2億5000万ドル、同年12月に英国の投資企業ベイリー・ギフォードからシリーズJラウンドで4…

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ピックアップSpaceX raises over $1 billion through two funding rounds

ニュースサマリー:ここ半年、イーロンマスク氏率いる米国の宇宙ベンチャー「SpaceX」の異常な調達劇が続いている。

2018年の11月にはBank of Americaからデットで2億5000万ドル、同年12月に英国の投資企業ベイリー・ギフォードからシリーズJラウンドで4億8600万ドルを調達。そして2019年5月24日に新たなベンチャー・ラウンドでの5億3500万ドル調達を公表している。

これら調達の目的は主に宇宙ブロードバンド計画である「Starlink」へのリソース投入のためだ。Starlinkとは、地球を取り巻く宇宙空間に約2万機の小型衛星を配置し、それらの衛星からインターネット通信を提供するというこれまでに類を見ないプロジェクトのことである。

5月23日19時30分、Starlinkプロジェクトのはじめの一歩として、60基のStarlink用小型衛星を積み上げたFalcon9(SpaceXの主力ロケット)の打ち上げに成功した。以下の動画をご覧いただきたい。60基の衛星が宇宙空間へと旅立つ姿は、まるで銀河鉄道のうように美しく、魅力的だ。

credit : Marco Langbroek

話題のトピック:「新しいインターネット提供システムを作るために、宇宙に1万2000の小型衛星を飛ばし、そこから地球全体に通信を配給する」。そう聞いても、話があまりに現実世界とかけ離れているため、実感も分かなければ、にわかには信じがたいというのが筆者の第一印象でした。

そして実際にそう思われている読者の方も少なくないと考えています。そこで、本記事でStarlinkプロジェクトに使われている衛星・ロケットの仕組みや、直近のターゲット市場など、できる限り詳しいところまで解説します。なお、ここからは主にspaceflightnowの情報を参照した文章となります。

Starlinkの衛星は、非常にコンパクトに設計されており、なんと重さはわずか227kgしかありません。見た目は下記画像の通りで、翼のような1枚の太陽光パネルを広げ、エネルギーを獲得しながら、約4~5年地球の周りを周回し、やがて大気によって焼却されます。

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credit : Starlink

特徴はその重さ故に、低高度の軌道を確保している点です。軽さ故に地球の重力の力を受けづらく、低い高度でも正常に軌道を確保し続けることが可能です。通常の人工衛星は高度1000kmの軌道に沿っていますが、Starlinkの衛星は500km圏を保ちます。

地球に近いということはすなわち通信を地球に届けやすくなるという意味ですので、インターネット提供の低コスト化を実現しているということです。

そして高度が低いことによるもう一つのメリットとして、デブリ(宇宙ゴミ)の排出軽減があります。役目を終えたStarlink衛星は、いずれ大気圏に突入し燃え尽きます。その際、もともと低高度・コンパクトという特徴を持ったStarlink衛星は、一般的な人工衛星よりも早い段階で大気圏に入り、確実に燃えるきるようにできているため宇宙・地球環境に優しいのです。

では、これらの衛星を60機も積み上げて、宇宙の軌道に運び込んだロケットとはどんなものなのでしょうか。それがFalcon9という、SpaceXが独自に開発した着陸機能を搭載した新型ロケットです。以下は2016年のFalcon9の着陸時の映像ですが、打ち上がったロケットが、まるで逆再生かのように綺麗に着陸しています。

Starlink衛星60基は、このFalcon9の中に格納されていたのです。以下はFalconの中に敷き詰められた60基のStarlink衛星です。Falcon9はこの打ち上げ後も正常に着陸することができたと言います。一般的にロケットは使い捨てであり、ゴミが海に落ちたりといったデメリットがあります。衛星だけでなく、SpacaXはロケットもエコにできているようです。

スクリーンショット 2019-06-16 12.11.34.png
credit : Elon Musk

SpaceXは、2019年内に2~6回の打ち上げを想定しており、2020年にはそのペースを加速させ、計720基ほどの衛星を周回軌道に載せることを目標にしています。spaceflightnowによれば次の6回の打ち上げが終わり次第、アメリカ北部及びカナダでのサービス提供を計画していると言います。ちなみに、同社はすでにアメリカ連邦通信委員会(FCC)の承認を受けてプロジェクトを実施しているとのことです。

Spaceflowの記事のなかで、イーロンマスクは以下のようにコメントしています。

Starlinkは、SpaceXのさらなるロケット・宇宙船開発のための資本を生み出す手段であり、火星や月に自立したコミュニティを作るための鍵となるステップです。私はStarlinkで得た利益を宇宙船開発に繋げることができると信じています。

この発言からも、イーロンマスク にとってのStarlinkプロジェクトは、彼が以前から掲げている人類火星移住計画の通過点に過ぎないということが伝わってきます。

SpaceXが創業したのは2002年であり、今年で創業17年を迎えるということになりますが、思えば同社は国家の独占領域であったロケット事業を民間で初めて成功させた企業です。

その創業者であるマスク氏はその後電気自動車やハイパーループといった革新的な事業をいくつも立ち上げた実績を持っています。したがって、今回のStarlinkプロジェクトが軌道に乗り始めるのも、案外時間の問題なのかもしれません。

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