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ポイントは読者の想像力にありーースタートアップの「オウンドメディアしんどい問題」を解決する方法(後編)

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本稿はスタートアップのPRを考える「POST」からの転載記事です 前半からの続き。コーポレート系のオウンドメディアを疲れずに続ける方法について。 特定の対象に期待する行動をしてもらう 社内広聴のフローが上手にできたら次にやるのが「最重要ターゲットに向けた情報提供」です。やり方は同じ、自分たちが最も動かしたい対象(顧客や行政など)を巻き込んでコンテンツを作る方法です。ビジネス向けだったら事例インタビ…

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本稿はスタートアップのPRを考える「POST」からの転載記事です

前半からの続き。コーポレート系のオウンドメディアを疲れずに続ける方法について。

特定の対象に期待する行動をしてもらう

社内広聴のフローが上手にできたら次にやるのが「最重要ターゲットに向けた情報提供」です。やり方は同じ、自分たちが最も動かしたい対象(顧客や行政など)を巻き込んでコンテンツを作る方法です。ビジネス向けだったら事例インタビューや、消費者向けだったらユーザーイベントのレポートなどがわかりやすいですね。

企業サイトに出た人たちというのは(露出慣れしてない限り)それなりに嬉しくなってシェアしてくれたりします。理屈は社内と同じです。要は顔の見える範囲にファンを作る、そのためのコミュニケーションツールとしてオウンドメディアを使う方法です。

メディア向けもあります。

ちょっとテクニックとしては高等かもですが、こちらでもお伝えしたFABRIC TOKYOさんのノウハウ資料はいい例です。元々は社内・関係会社向けに作った資料を一般に向けて出すわけですが、事前に寄稿という形で相談がありました。そう簡単に作れる情報ではありませんから専業系の関係あるメディアであれば寄稿等の相談はしやすいです。(結果的にはニュースで出しましたが)

わかりやすいプールに読者を貯める

立ち上げ期のKPIについては誰もが納得感を持ちやすい、目に見える行動を設定することが大切です。しかし、採用を目的にコンテンツを発信しても例えば採用のフォームに誰一人としてやってこない、などの結果を続けると疲れてしまいます。

そこで試してみて欲しいのが「プール」作りです。前述の期待行動とセットなんですが、いくつかプールする方法があります。

  • 特定テーマを設定して勉強会を開催し、顧客候補20人集まってもらう
  • メディア向けの勉強会を開催して10名の記者に参加してもらう
  • ユーザーミートアップを開催して採用候補にFBグループ登録してもらう

などです。例えばあるテーマでまとまったノウハウの情報を配信したとします。それと同時に勉強会やオンラインのグループ、場合によってメーリングリストなど蓄積できるわかりやすいプールを用意するわけです。

先日、おやつサブスクのsnaq.meさんでエンジニア向けのミートアップを開催されて20名ほどの方々が集まったそうです。その際、THE BRIDGEでも寄稿という形でコンテンツを配信させてもらいました。

<参考記事>

プールの維持については現在POSTでもテスト的に実施しているグループの運用ノウハウが溜まってきてるのでまた別稿でまとめます。

THE BRIDGEでの経験

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2011年に開催していたStartupDatingのミートアップ風景。毎月実施して関係づくりをしていました

元々、THE BRIDGEは「StartupDating」というミートアップのお知らせブログから始まりました。記事を書いても誰も読みません。10年前ですら情報に溢れていましたから全くリーチしないわけです。なので、イベントに参加してくれる人は特に影響力のある投資家や起業家に直接声をかけて、その際の説明コストを下げるツールとして使っていました。つまり、URLひとつ送ってこういうのをやるので来てください、という方法です。

そしてイベントに参加してもらったら、登壇してくれた内容などをさらにコンテンツにして配信する、ということを繰り返したわけです。参加してもらった人たちはある範囲に影響力のある方々を中心に声かけをしていたので、徐々に輪が広がり、数百人ぐらいの規模でミートアップができるようになります。

ブログが単体で読まれるようになったのはこのタイミングぐらいからです。要は、知ってる人たちがコンテンツをシェアしてくれるようになったからで、この辺りはソーシャルのネットワークが成長した今であればもっと早いと思います。

ニュースメディアっぽい印象の私たちですが、立ち上がりは企業のオウンドメディアとなんら変わりありません。逆に言えばみなさんも実施できる、ということです。

ということで前後編でオウンドメディアの立ち上げでしんどくならない「内向きに作る」方法についてまとめてみました。参考になれば幸いです。

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スタートアップの「オウンドメディアしんどい問題」を解決する方法(前編)

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本稿はスタートアップのPRを考える「POST」からの転載記事です しばらくぶりのポストです。4月後半からスタートアップPRの勉強会を実施して約3カ月、14団体(ほとんどVCさんでした)約400名の起業家・PR/広報担当の方々にこちらのフレームワークをお話させてもらいました。特にリクエストの多かった「どうすればいいの」的な部分については、シンプルな戦略に経験者・未経験者ともに好評いただけたかなと。 …

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本稿はスタートアップのPRを考える「POST」からの転載記事です

しばらくぶりのポストです。4月後半からスタートアップPRの勉強会を実施して約3カ月、14団体(ほとんどVCさんでした)約400名の起業家・PR/広報担当の方々にこちらのフレームワークをお話させてもらいました。特にリクエストの多かった「どうすればいいの」的な部分については、シンプルな戦略に経験者・未経験者ともに好評いただけたかなと。

一方、さらに深い話を聞いていくと別の課題も浮かび上がってきます。特にあるあるなのが「コーポレート系のオウンドメディアしんどい」問題です。周りもなんとなくやってるから立ち上げたけどネタがない、更新する時間ない、やったはいいけど読まれない、というアレです。※コンテンツマーケティングなど目的の明確なメディアは除きます。あくまでコーポレート向けのオウンドメディアです。

これの新しい解決方法というかコツみたいな考え方に「内向きに作る」というものがあります。ちょっと長いですが、THE BRIDGEでの経験含めて詳しく共有します。

オウンドメディアあるあると運営の現実

  • 読まれない。1000PVが多いのか少ないのかわからない
  • 評価はっきりしないから予算がない。外部ライター使えない
  • 社内インタビューで面倒がられた。ネタが続かない

挙げればキリはないです。私も過去にサポートしたプロジェクトで最終的に「これ結局なんだったの?」みたいな案件に当たったことがあります。大概はメディアってなんかよさそう、とかPRやらないといけないよね、みたいな経営者(もしくは決裁権者)の思いつきで進んだものの末路に多い印象です。

そもそもなぜこういう状況が生まれたかというと、ひとえにインターネット時代に入って情報受発信のコストが劇的に下がり、一気に情報メディアというものがコモディディ化したからにほかなりません。

安くなったんだからじゃあやろうよ!という隣の芝は青い理論で広がった結果、とりあえず立ち上げた◉◉アカウントが大量に放置される、という事態になっているのはご存知の通りです。

しかし、本当に読まれる「メディア」として運営するためには極めて属人的な中心人物・チームと、それなりの予算(年間で数千万円)、そして何より毎日お目々を皿にして取材・更新を続ける根性、熱意がなければ無理です。コーポレート系のものとは性質は異なりますが、実際10年近くメディア運営をやってみた感想としてまあ、中途半端に手を出すものじゃないな、というのだけはお伝えできます。

では、どうしたらいいのか。それが「内向きに作る」考え方です。3段階で方法を整理してみます。

1:社内広聴の仕組みづくりと結果としてのアウトプット

「内向きに作る」とはどういうことでしょうか。

  • 社内広聴重視。情報収集の結果としてのアウトプット
  • 特定の対象に対し、期待行動を考えて情報を届ける
  • わかりやすいプールに読者を貯める

ソーシャルの時代になって有名な人にリツィートやフォローされるという状況が可視化されるようになりました。一方、古代から続く「PV(ページビュー)」の世界ではボットも芸能人も「1PV」です。大規模なサイトは別ですが、そもそも顔が見える段階の小さなコミュニティでこの指標を使うことの無意味さ、危険性がよくわかると思います。

創業間もなく話題に乏しいスタートアップが突然このPVみたいなリーチ指標でコーポレート系のメディアを作ろうとしても「もっと話題を!」みたいなチキンレースが急に始まって心臓に悪いです。そもそも読まれる・読まれないという判断が曖昧。

そこでまずオススメするのが「最低限の範囲から始める」ということです。つまり、一緒に働いてるみなさんに読んでもらう。これが最低限のスタートです。逆に言えば、社内のみなさんが興味ない・読んでないものを外の人たちが読みたいと思う方がやや間違ってるかもしれません。

キーワードとして広報/PRの人たちの基本的な活動、いわゆる社内広聴があります。つまり、オウンドメディアをきっかけに社内の方々とコミュニケーションし、情報収集するというフローを作るのです。実際、メルカリのオウンドメディア「メルカン」は当時増えてきた社内のみなさんとお話するきっかけツールとしての役割もあったよ、と伺ったことがあります。

ファーストステップとして、社内の情報収集のきっかけとその結果としてのアウトプットはいわゆる社員インタビューみたいな話題でもいいでしょう。会社名検索で導線が作れれば一挙両得です。呼びかけの方法も社内広聴の仕組みを作りたい、会社のサイト導線を強化したい、手伝って!みたいな感じがいいんじゃないでしょうか。ちょっと長くなったので残りは後半に

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透明性のないスタートアップは大きくなれない #スタートアップPR

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先日、グローバルで躍進が続く語学プラットフォームのLang-8がサービスのグロースや採用に関する情報を開示していました。SmartHRやミラティブ同様、Speaker Deckでの公開です。LAPRAS(旧Scouty)さんのブログでも紹介されていますが、透明性高く社内の情報を共有する事例がぽつぽつと増えてきています。 短期的な目的は採用なんですが、もう少し大きな視点で見ると、この「透明性」という…

先日、グローバルで躍進が続く語学プラットフォームのLang-8がサービスのグロースや採用に関する情報を開示していました。SmartHRやミラティブ同様、Speaker Deckでの公開です。LAPRAS(旧Scouty)さんのブログでも紹介されていますが、透明性高く社内の情報を共有する事例がぽつぽつと増えてきています。

短期的な目的は採用なんですが、もう少し大きな視点で見ると、この「透明性」というキーワードが企業としての組織・カルチャーづくりの考え方、今後の企業成長を占う上で重要なポイントになるように思いましたので少し考察残しておきます。

  • メルカリ前後で変わったコーポレートPRの考え方
  • 社員をリスペクトしない創業者は情報格差を悪用する
  • 何を公開すべきか

メルカリ前後で目につくようになった「コーポレート」

ここ1カ月ほど、「スタートアップPR」というテーマで勉強会をしておりまして、私もこちらに資料を公開しております。で、スタートアップのパブリックリレーションズ活動を振り返ると、一つの小さな転換点に気がつきました。それがメルカリ前後のコーポレートPRの考え方です。

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2010年以降、国内でもアクセラレーションプログラムが開始され、株の持ち方やサービスグロースなど、さまざまな企業成長に関する科学が進み、生存確率、成長確率は格段に上がったように思います。一方でPRについては多くの方が「プロダクトの宣伝(パブリシティ)」が当然と考えている状況でした。いわゆる「サービス出ましたよリリース」です。

しかしメルカリは少し異なるPR戦略でした。ダウンロード数や流通総額を定期的に公開し、2年目からは社内の福利厚生など「組織に入ってくる人」向けの情報公開を進めます。思えばこれは極めてIR的な活動ですし、元々ミクシィでCFO経験のあった小泉文明さんが入って以降、こういうPRスタイルになったことからもその影響は大きかったのだと思います。

例えば彼らのコーポレート戦略で特徴的なアイデアに「バリューの公表」というものがあります。通常、企業としてのMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を公表する場合、ミッションやビジョンを第一に宣伝することが多いです。しかし、彼らは(結果的に、かもしれませんが)社内の行動規範である「バリュー」を全面にすることで、社会に対し「メルカリはこういう行動で仕事をしているんだ」という約束をしたのです。結果、リファラルで多くの優秀な人材がメルカリに流れ込むことになりました。

情報格差を悪用するスタートアップに優秀な人がくるわけない

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透明性のないスタートアップになぜ優秀な人がこないのか、もしくはすぐに辞めるのか。

これはスタートアップ特有の資本構成にあると思います。当たり前ですが、創業者は株式を大量に持っていて企業価値を上げることによる恩恵を受けやすい位置にいます。スタートアップに関する情報が少なかった頃、ストックオプションについての知識もそこまでなく、上場ではなく創業者が企業売却を選択したためにSOが行使できず、損をしたなどという話がありました。

現在は違います。「ストックオプション M&A」で検索すればたちどころに情報は出てきますし、買取なのか放棄して別の代替のインセンティブをもらうのか、いくつものオプションがある上、こういった経験を経た人に相談することもできます。少し努力すれば嘘がつけない状況があるのです。

先日とある起業家の方にこの話をしたところ「優秀な経営者は自分よりも優秀な人に参加してもらいます。情報格差を悪用する人はそもそも優秀な人とみなしていないんでしょうね」とお話されててさすがだなと。取材したグロービス・キャピタル・パートナーズでのインタビューでも同様のことを話されています。

「良いことも悪いことも全部言う。入ってから大混乱の方が問題(今野氏)」と、スタートアップ採用の難しさを垣間見せつつ、ベンチャーキャピタルが企業の透明性を担保する役割を担っているという話が興味深かった。(引用:GCPが360億円ユニコーンファンド、最大50億円出資も可能ーー今野、高宮 両氏に聞く「連続起業家の再現性」について

公開の範囲

こうやって考えると透明性のない企業、特に創業者との利益格差が大きいスタートアップに優秀な人が集まらない、すぐに離職するのは至極当然と思えます。では、どの辺りまで情報を開示すればいいのでしょうか。キーはプロダクトです。

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Lang-8が公開しているHiNativeのグロース

プロダクトの成長を示す数字はC向けであればダウンロード数だったり流通総額があります。B向けであれば顧客数や場合によって年間売上のような数字も必要でしょう。また、ビジネスモデルや株主構成といった企業の資本に関する情報もできるだけ透明性を高めた方がいいでしょう。その企業に株主として、メンバーとして参加する人たちが納得できる情報を提供し、具体的に行動に移してもらわなければ意味がありません。

また、いつから公開すべきかというタイミングも、やはり市場にフィットして確実に「勝てる」という状況下で実施すべきと思います。プロダクトは踏めば勝てる、その傍らでコーポレートを強化して次に備える、という時期です。

逆に公開しない方がよい数字もあります。どうしても人間は本能的に感情の生き物なので、その情報を得ることで無駄な軋轢や噂を生じさせる情報です。特に報酬については扱いが難しいですが、SmartHRさんのようにレンジとして開示することで納得感のある合意形成ができるのではないでしょうか。

透明性のないスタートアップは大きくなれない

安定した企業と異なり、振れ幅の大きい現場がスタートアップです。本当にユニコーンを目指しているのであれば上場は本当に通過点でしかなく、そのタイミングであらゆる情報が開示されます。なのに情報を出さない。それはプロダクトに嘘があるか、実は創業者が自己利益に走っているとみなされてもおかしくありません。

そのスタートアップが実はオーナー中心の中小企業を目指しているかどうか、それは情報の透明性によってわかる時代に入ったと思います。

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共感を生む記事はどうやって生まれるか、あるいはスタートアップ経営者がそれを寄稿する方法 #スタートアップPR

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令和に入ると同時に起業家のみなさんの心動かされたのか、「エモい」記事や発表がいくつかありました。個人的に感動したのはこちらの2本。 光本勇介さんの実験思考に関するツイートやコンテンツ 箕輪厚介(アジア進出)死ぬこと以外かすり傷さんのツイート: “実験思考スタート!… “ 中川綾太郎さんの再スタートに関するnote ROMANCE DAWN for the newn era  〜 新しい時代への冒険…

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令和に入ると同時に起業家のみなさんの心動かされたのか、「エモい」記事や発表がいくつかありました。個人的に感動したのはこちらの2本。

光本勇介さんの実験思考に関するツイートやコンテンツ

中川綾太郎さんの再スタートに関するnote

アイデアや内容などもちろんですが、嫉妬するぐらい行動力溢れる内容で、「よかったね」で済ませられない感情を与えてくれます。自分は振り返ってどうなんだ、的な自問自答が巻き起こる的な。

それで、本稿ではこういう心動かされる記事がどうやって生まれるのか、自分なりに書いてきた経験から少しだけ考察してみます。本誌でも今後、起業家の方の寄稿やこういう記事を書きたい起業家予備軍の方を募集しているので、そちらのご案内も記事最後に。

さておき、人を動かす記事って3つぐらいポイントがあると思っています。

  • 書いてる本人が死ぬほど感動している
  • 喜びや驚き、発見、悲しみなど喜怒哀楽に関する要素
  • そこにしかないノウハウ、知識がある

感動とは

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中川綾太郎さんのnote

スタートアップPRの勉強会でもお伝えしてるのですが、この「感動」というものを理解して向き合えるかどうか、人に情報を伝える上で非常に重要なポイントになります。本当に「感じて」「動く」という感情行動なんですが、あまり理屈的に考えず、自然と沸き起こる衝動を大切にするのが重要なのですね。アーティスティックな部分でもあるので人工的に作ると「嘘臭さ」が漂います。私自身、過去になんどもやって失敗してます。タイトルにすごいのつけてスベったりとか。泣きそう。

注意したいのは肌感的に「自分がマジですごい」と思った感動の10%ぐらいしか人には伝わらない、という点です。本気出さないと怪我します。

所詮、自分の体験・経験は他人には理解ができません。それを「言葉」という記号を使って伝えるので、さらに感動は削り取られていきます。その上で恥ずかしがらずに思いっきり自分の感情を解放して書くのをお勧めします。中川さんのnoteはそういう点で、完全に解放されてる感が突き抜けててよかったです。長かったけど。

喜怒哀楽で構成を考える

一方で、感情のおもむくまま書き連ねると「長くなる」「論点ぼやける」という難点があります。スマホ時代に人はそんなに長い文章を消費してくれません。下手したらリツイートされておしまい、という「タイトルでお腹いっぱい現象」にぶち当たることも度々です。

それを回避する方法としてはやはり冷静に構成を考えることなんですが、その点、光本さん(ツイートしたのは編集者の箕輪厚介さん)の思考実験に関するツイート(動画)は秀逸でした。なにより、みんなが知りたい「なぜなに」をめちゃ短い動画に押し込めて構成している点です。クソ忙しい現役の起業家が書籍をゼロ円で出版するわけですから、その理由は当然知りたいところです。

こういう感情「喜怒哀楽」や驚き、納得感という気持ちの部分をうまく理解してそれに対する答えを用意し、さらにしっかりコンテンツで構成する。中川さんの記事も前半は苦しい胸の内を吐露する構成になっていて、どんどん引き込まれました。

ノウハウと知識を共有する

感動の次はお得感です。やはり「よかったね」だけで現代のみなさんの大切な時間を使ってもらうのは大変難しいです。ゲームとか出会い系とかZenlyで飲み友達の場所チェックとか、やることは大量にあります。

中川さんの記事にもCOHINAの月商が5000万円を超えて絶好調なこと、光本さんのツイート動画にも実はこれが値段を買った本人が決められるカラクリ、さらにそれをチェックできる仕組みも用意されていることなどが明かされていました。

すごいことやってるなー、と思った後に「具体的な数字や方法」で「なるほど」と思わせる。プロの犯行です。実際、個人的にも勉強になる箇所が多く、情報を公開してくれたお二人には感謝しています。

自分で書けない場合の「寄稿」という方法

ということで心を動かす記事について考察を書いてみました。個人的に最近担当したもので好きなのはこちらです。

創業・支援の現場を知ってるお二人だからこその言葉の強さ、みたいなのが何割かは伝わるインタビューになったかなと。こちらはクラウド取材という方法でやっていて、インタビュー受ける側の時間的な負担も減らしています。

このようにTHE BRIDGEでは引き続き独自取材も続けますが、同時に起業家や投資家の方はもっと自分で情報を発信して欲しいし、その環境を作りたいと考えてます。ただ「まあ、言ってることは分かるけど書いてる時間がない!」という起業家の方には編集部サポートの上での寄稿や上記のクラウド取材でのインタビューをご提案します。

もちろんですが編集記事なのでお金取ったりするものじゃなく、純粋にみなさんの感動をお伝えするお手伝いです(有料のスタートアップPR研修プログラムなどは別途用意してますが、それはまた別の機会に)。GW明けにフォームなど用意するかもしれませんが、個人的に繋がりある方はソーシャルメッセージもらえれば。問い合わせフォームからでもOKです。

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#スタートアップPR でKPI設計に役立つ方程式ひとつと、社内説明に便利なオウンドコンテンツの「擬人化」

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広報会議への寄稿きっかけで始まったスタートアップPR、初回の勉強会が来週に迫ってまいりました。広報寺子屋さん主催で、参加される方々の質問などを拝見しているのですが、熱量が高すぎて本当に漏らしそうです。 なお、これに合わせてスタートアップPRをまとめるサイトも用意してみました。今後、各企業のPR事例なども共有しようと思ってます。 さておき、オウンドメディア・コンテンツ配信におけるKPI設定については…

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広報会議への寄稿きっかけで始まったスタートアップPR、初回の勉強会が来週に迫ってまいりました。広報寺子屋さん主催で、参加される方々の質問などを拝見しているのですが、熱量が高すぎて本当に漏らしそうです。

なお、これに合わせてスタートアップPRをまとめるサイトも用意してみました。今後、各企業のPR事例なども共有しようと思ってます。

さておき、オウンドメディア・コンテンツ配信におけるKPI設定については質問が多く、先日もこちらの記事を配信いたしましたが、もう少し具体的なフローに整理してみましたので共有いたします。こちらもTHE BRIDGE時代からずっと使ってる考え方を反映させております。

  • オウンドメディアを擬人化する
  • コンテンツ+シェア=行動で仮説検証する

優秀なPRパーソンを「創る」という考え方

まず、そもそも自社発信の情報はなぜ作るのか?いくらそこにかけるのか?何を発信して、何を得るのか。この答えと社内コンセンサスを取る方法を悩む場合が多いらしいのですが、これは自社発信の情報アセットを擬人化して考えると答えを導きやすいです。

例えば最初、私はTHE BRIDGEを「スタートアップの広報部長」みたいな役割としてイメージを作っていました。広報部長なんだから、起業家のみなさんのことを丁寧に説明するし、エコシステムに問題があったら社会に対して丁寧に説明もします。当たり前ですが、彼にも報酬が必要です。

彼の役割は単に宣伝するだけでなく、社会とスタートアップという新しい起業のスタイルを知ってもらうことでしたし、そこの中心にいる起業家一人一人を紹介し、投資家やユーザーの行動を生み出すことでした。

みなさんの会社でも同じです。オウンドメディアを作る、とかコーポレートサイトを作る、みたいな考え方になると、やれPVだCVRだと決まった指標がなぜか先に立ってしまって、本来このパートに担ってもらいたい役割や報酬(かける費用)、結果の部分がなぜかぼやけます。

何度か書いてますが、スタートアップPRの目的は「説明コストを下げること」に集中すべきです。つまり、彼がやるべきことは営業やユーザー、株主など対面する多数のパブリックに対してコミュニケーションが円滑になる仕事をしてもらえればいいのです。

当然ながらそういう役割を必要とするタイミングがあると思います。プロダクトや事業がまだ全然できていないのにPRに力を入れるのはやはり時期尚早ですし、グロースのステージにあるのに、全くこのパートを設定しないというのも手遅れになります。文化が作れません。

コンテンツで行動を生み出す方程式

では擬人化して創業者や経営陣、社内メンバーとイメージ的なコンセンサスが取れたら次はKPIの設計です。これには次の公式をひとつ提案します。

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行動で分かりやすいのは「メディア露出」と「イベント集客」などです。もちろん、この中の一つにPV(閲覧数)などの行動も含まれますが、より事業として期待したい行動を設定することが大切です。

例えば資金調達をしているとしましょう。動いて欲しいのは株主です。このタイミングで出すべき情報と行動の受け皿をセットで考えてスクリプトを組むわけです。

  • A:事業モデルの紹介を配信して業界の勉強会を開催する。株主候補には直接連絡
  • B:カオスマップを配信してメディアにアプローチする。掲載結果を株主候補に送る

このような仮説検証スクリプトをできるだけ考えて、それらで筋の良さそうなものを実行に移します。当然イベントものはリスクも高いので注意が必要です。

コストや実行の経営判断は「期待される行動」と「それらを得るためのコストバランス」で実施すればOKです。例えば株主10人にコミュニケーション取るために、何カ月もロスしてイベント開催するのであれば、直接足を運んだ方が早いです。

スタートアップのPR担当は創業者やチームメンバーが兼務することがほとんどだと思うので、オウンドメディアのような役に立つ「ツール」を手にすると効率がぐんと上がると思います。

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#スタートアップPR におけるKPIの考え方ーー積み上げるべき「企業のPR力」3つのポイント

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先日、スタートアップPRの勉強会をやりたいとTweetしたところ、結構リクエストいただきまして、10回ぐらい機会貰えることになりそうです。早速広報寺子屋さんでは22日に登壇させてもらうことになりました。ありがとうございます。 スタートアップPRの勉強会やりたい — kigoyama (@kigoyama) April 5, 2019 さて、これまで逆算で考える方法や、パブリシティ活動の…

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先日、スタートアップPRの勉強会をやりたいとTweetしたところ、結構リクエストいただきまして、10回ぐらい機会貰えることになりそうです。早速広報寺子屋さんでは22日に登壇させてもらうことになりました。ありがとうございます。

さて、これまで逆算で考える方法や、パブリシティ活動のクラウド化、プレスリリースの方法、オウンドコンテンツの効率化などについて考えを整理してきました。勉強会に向けての思考整理も兼ねて本稿では「スタートアップPRの指標(KPI)」について考えてみたいと思います。ポイントは次の通り。

  • PLではなくBS的に考える企業のPR力
  • コンテンツ力を高める
  • 全員PRで結果を作る

最初に考えるべきは積み上げ

スタートアップ経営者であれば特になんですが、PLよりもBSを中心に投資や事業戦略を組むことが多いと思います。C2Cであれば手数料よりもユーザー獲得が先ですし、B2Bであれば時期尚早のスケールよりもプロダクトのPMFポイントを探し当てるまでの仮説検証を繰り返す、などの考え方です。

実はスタートアップのPRも同じ考え方が必要になります。PLベースでデイリーやマンスリーの結果、つまり掲載数や広告換算などを追いかけると、当然ですが創業1年や2年の企業に話題が続くはずがありません。結果的に足元ばかりみた計画になり、中長期にこの企業が「誰と関係を作ってどう動いて欲しいか」という視点がすっぽり抜け落ちることにつながります。

ではBS的な視点でPRを見るとはどういうことでしょうか。

PR(パブリックリレーションズ)は関係値づくりの活動です。そして人や企業とつながるためには「情報=コンテンツ」が必要になります。そしてその結果としての「行動」が生まれなければなりません。このコンテンツと結果としての行動を積み上げる活動がしっかりとできていれば、実は大きな影響力のあるメディアも、自然と向こうからやってきてくれるようになります。

もう少し詳しく掘り下げます。

コンテンツ力を高める

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人や企業に動いてもらうためのツール、それがコンテンツです。これには次のようなものがあります。

  • コーポレートサイト
  • プロダクト(追加)
  • プレス向けリリース
  • オウンドコンテンツ
  • イベント
  • 企業紹介スライド

私が取材する中、最近増えてきているのが「プロダクトがない」スタートアップです。企業は社会に対して製品やサービスを通じて社会貢献をする役割を担うわけですが、それが「ない」状態です。

そういう場合、著しく情報量が少ないのがコーポレートサイトです。この状態でプレス向けのリリースに格好のよい文言が並んでいても残念ながら説得力はありません。

以前も書きましたが、スタートアップPRでやるべきことは「説明コストを下げること」です。なぜやるのか、なぜ自分なのか、なぜ誰もやっていないのか。ましてや複雑なテクノロジーやビジネススキームを使うわけです。ここが論点整理できてないと関係が作れません。

このコンテンツを積み上げること、これこそがスタートアップPRの最初の仕事だと思っています。決して何もない状態でメディアリレーションズに力を入れるべきではありません。そしてコンテンツを作る上で留意したいのが「行動」になります。

補足:「プロダクトで語る」という重要なタグラインを忘れておりました。美辞麗句が並ぶプレスリリースも、製品がそれを語っていなければほぼ意味がないです。補足終わり。

全員PRで結果を作る

コーポレートサイトの事例紹介でも、社員インタビューでもなんでも結構です。コンテンツを作る際は必ず「誰に(社会・パブリック)」対して「何をして欲しいのか(行動)」を考えるべきです。そしてその結果としての行動をプールできる場所を用意するとPR活動が見える化できます。

例えば採用を目的としたPR活動を考えたとします。ここでまず動いて欲しいのはもちろん「候補者」なんですが「社員・チーム」をパブリックのひとつに入れるのも重要なポイントです。

  • 社員インタビューで社内の雰囲気を候補者に伝える
  • チームには仲間になる候補を一緒に見つけてもらう
  • 勉強会などを開催して具体的に参加してもらう

こういう短い、行動が分かるスクリプトをいくつも作るといいでしょう。あとはチームで一緒になってコンテンツを作り、シェア(ソーシャルでも口コミでもなんでも)し、候補になる人たちの顔が分かるリストを作成するのです。

スタートアップPR におけるKPIの考え方

広報やPRの活動はどうしても「広報/PRチームのもの」と考えがちですが、スタートアップのようにまだ人数が少ない間は、あくまでその企画や戦略を考える役割に集中し、実際に行動を生み出す活動は全員でやればいいと思います。

なので、例えばですが、こういった施策の数はひとつのKPIに入ってくると思います。また、具体的に生み出したコンテンツの数やチームでPRに参加してくれた人たちの数、外部(メディアも含めて)起こした行動の数、こういったものが再現性のある指標として設定可能です。

経営者はそれらの指数に対して結果となる採用や営業活動への説明コスト削減効果、こういうものを紐づけてパフォーマンスを測るのも大切ですが、それよりもその積み上げが可能になる文化を作るまで、継続して投資し続ける姿勢も大切です。

私は企業のPR力は「コンテンツ力+シェア(全員PR)力」で測定できる時代がやってくると思っています。特に創業期のスタートアップがこれを徹底すれば、PRは企業にとってあらゆる説明コストを削減してくれる大きな力(資産)になるはずです。

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オウンドメディアで取材と記事制作を効率化する3つの方法 #スタートアップPR

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広報会議への寄稿をきっかけにスタートアップ向けのPR手法について使えそうなTipsをまとめている「スタートアップPR」ですが、今回はオウンドメディアのコンテンツ制作に関する話題を。 最近、採用広報を中心に社内インタビューや業界マップ、自主開催イベントのレポートなどのコンテンツを作られるケースが増えてきました。コーポレートサイトだけでなく、Wantedlyやnote 、PR Tableなどのサードパ…

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広報会議への寄稿をきっかけにスタートアップ向けのPR手法について使えそうなTipsをまとめている「スタートアップPR」ですが、今回はオウンドメディアのコンテンツ制作に関する話題を。

最近、採用広報を中心に社内インタビューや業界マップ、自主開催イベントのレポートなどのコンテンツを作られるケースが増えてきました。コーポレートサイトだけでなく、Wantedlyやnote 、PR Tableなどのサードパーティーも揃ってきたことから、ネットへの掲載や配信が随分手軽になったことも背景のひとつと思います。

一方で面倒なのがコンテンツの作成です。取材や音声の書き起こし、編集に撮影と上手な記事を真似れば真似るほど、かかってくる手間や負担は大きくなります。かといって外部のライターや編集プロダクションに依頼するとそれなりに費用がかかったり、また、専門的な知識が必要になってくるとそもそも該当する人がいなかったり。

私たちTHE BRIDGEもテック専業メディアとして同じような壁に何度も当たってきました。

そこで本稿では自社コンテンツの制作に役立ちそうなTipsを軽くまとめてみました。広報会議の寄稿では最終回にもう少し詳しく掲載しています。ポイントは次の三つ。

  • 論点を先に整理
  • 一緒に作る
  • みんなでPRする

1:論点を先に整理する

特にインタビューもので一番避けた方がよい例が、何にも準備せずに対面してお話を聞くというやり方です。対談ものでもノウハウものでもなんでもそうなんですが、コンテンツを作る上で重要になるのが「論点の整理」です。インタビューで言うところの質問事項になるんですが、この作り方で随分とアウトプットは変わってきます。ポイントとしては場面の転換を意識して作ることです。

例えば新入社員インタビューをするとします。「入社の理由は?」と「この会社を選んだ経緯は?」という質問は違うようで同じです。この場合もうひとつ用意する質問は「プライベートで得意な特技は?」の方が場面を展開できるので整理しやすくなります。

大体、ひとつのインタビューで用意する質問(場面転換)は5つぐらいにしておくのがよいでしょう。また、それらに対する回答は最終的に140文字(Twitter制限と同じ)程度にまとまるよう情報を集めておくのがスマホで読むときに最適化しやすいです。

2:一緒に作る

オウンドメディアを作る広報やPRチームを悩ませるのが具体的に手を動かす作業の部分です。しかしこれはみなさんで分担しましょう。そもそもPR(パブリックリレーションズ)の活動は一部のチームだけでなく、企業としてユーザーや社員、株主などとの関係づくりの活動ですから、全社員で取り組むべき活動です。

例えば先ほどのインタビューであれば何かシートを作成し、質問に対する回答を「対面取材する前に」事前用意しておいてもらえれば随分作業負担が軽くなりますし、回答する側も事前にゆっくりと考えて答えを書くことができるので、書き起こし原稿をチェックするような二度手間もなくなります。

追記:チームメンバーの人にコラム書いてもらう場合のことを書いておきます。やり方は基本同じなんですが、フリーハンドで「書いて!」とお願いするより、質問した方がやはり書きやすくなります。一方で難しいのが質問ですが、専門的な内容であれば「何を聞いて欲しいか教えて」と質問自体を聞くのもアリです。いずれにせよ一緒に作るのが吉です。追記終わり。

3:みんなでPRする

こうやって一緒に作ったコンテンツはやはりシェアしたくなるものです。また、参加型でコンテンツを作ることで、自分たちがやっている活動を社外に効率よく発信できることが分かれば、より情報を出そうという動きにつながるかもしれません。また、コンテンツのURLをカウントできるようにして、企業としての「シェア力」を測定しておけば、PR/広報チームの新しいKPIとしても参考になるかもしれません。

本件については勉強会などを今後開催予定です。適宜Twitterなどで告知しますので、ご興味ある方は参加ください。またこれまでの過去記事も合わせて参考になれば幸いです。

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#スタートアップPR で準備したい「初めてのプレスリリース」3つのポイント、1つのタブー

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前回に引き続きスタートアップのPR(パブリック・リレーションズ)でもうひとつ。初めてのプレスリリースについてその方法や注意点などです。最近、本当に若い学生起業家などが増えてきて早い時期からの挑戦に期待する一方、経験上メディア対応に不慣れだったり、あまりこのあたりのノウハウがまとまってるところないなと感じる事案が多かったのでメモ程度に置いておきます。 なお、改めてですが私はプロ広報ではなく書く側です…

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前回に引き続きスタートアップのPR(パブリック・リレーションズ)でもうひとつ。初めてのプレスリリースについてその方法や注意点などです。最近、本当に若い学生起業家などが増えてきて早い時期からの挑戦に期待する一方、経験上メディア対応に不慣れだったり、あまりこのあたりのノウハウがまとまってるところないなと感じる事案が多かったのでメモ程度に置いておきます。

なお、改めてですが私はプロ広報ではなく書く側です。また事業者としてTHE BRIDGEをスタートアップさせ、PR TIMESに事業売却したのち、PRに関する考察や取材を通じて考え方を整理している途中です。また、ここでの内容は「本当にスタートアップして初めてプレス向けのリリースを打つんだけど、どうしたらいいかわからない」方向けです。その観点でご一読いただければ。過去記事・取材はこちらから。

重要なポイントは次の3つ。

  • プレスリリースの目的を明確に
  • 関係性の積み上げ、行動の促進
  • ツールや解禁のルールを知る

では掘り下げます。

1:プレスリリースの目的を明確に

プレスリリースで書く側(少なくとも私)がチェックするのは1:ニュース性、2:ストーリーの2点です。企業は自社の宣伝をするために「1」のニュース性をトリガーにしてメディアに売り込み、「2」のストーリーで自分たちが関係を作りたい対象に語りかけ、行動を促すのです。

しかし、残念ながらスタートアップそのものには「1」の要素となるニュース性がほぼありません。創業わずかですから話題がないのはこれまでに書いた通りです。さらに最近ではスタートアップへの資金調達の話題も大変数が増え、相対的にニュースバリューはなくなりつつあります。スタートアップPRにおけるリリースのきっかけになるトリガーとしては、資金調達、賞レース優勝、著名人材の参加などがありますが、そのどれも相対的な価値が下がっている状況です。

余談ですが、2011年頃、リーマンショックに震災とダブルパンチを経て、スタートアップの資金調達環境がズタボロだった時期があります。あの頃は1億円の資金を獲得するだけでも大きな話題になりました。それはそのサービスへの期待値はもちろん、社会が挑戦を後押ししているんだというトレンドに価値があったんだと思います。

ここで重要になるのがストーリーです。どのようなスタートアップでも「創業ストーリー」は必ずあります。なぜやるのか、なぜ自分なのか、なぜ他の人は自分より上手くやれないのか。これは創業期しか撃てない弾です。そのストーリーを武器に、パブリシティしたい内容を明確にするのです。一緒にやってくれる仲間が欲しいのか、次の支援者を探しているのか、サービスを使ってフィードバックしてくれる人を探しているのか。

目的が明確であれば自然とコンテンツはその方向を向きます。この「感動」を語れるのは創業者のみです。そして感動は人を動かすことにつながります。

では、よしんばニュースとしてプレスリリースがニュースメディアに取り上げられなかったとしましょう。しかしこの記事にも書いた通り、今、メディアの環境は大きく変わっています。PR TIMESなどのリリースワイヤーサービスで消費者に情報は届けられるし、ストーリーはどこにでも載せることができます。

2:関係性の積み上げと行動の促進

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逆算で考えるスタートアップPRでも書きましたが、パブリック・リレーションズは継続的な活動です。当然ながらPDCAがありますし、そのKPIを積み上げることで企業のアセットにしなければなりません。ここで大切な資産が「信頼」です。リレーションシップ・マネジメントにおけるパブリック(社会)はスタートアップごとに重要度は異なりますが、ユーザー、社員、株主、取引先、メディアの5方向ぐらいが大きな対象になるでしょう。

パブリシティ活動、プレスリリース配信をタダ乗り広告と考えている方には、この目に見えない「信頼アセット」の積み上げという効果は目に入りません。PLばっかり見ててBS見てない経営者とよく似てるかもしれません。脱線しました。

今回のリリースでどういう人たちと関係を結ぼうか、そしてそれをどのような結果として可視化しようか。勉強会への参加でもいいですし、サービス利用でもいいです。なんらかの行動につなげる導線を設計し、プレスリリースを効果的に資産に変える行為が必要になるのです。

3:ツールや解禁のルールを知る

コンセプトは分かったけど、で、具体的に細かいルールとかどうやるんですかというのも多いので、ポイントを箇条書きしておきます(あとで追記するかも)。

  • プレスリリースの書き方:フォーマットがありますので探して真似しましょう。5W1Hのファクトが重要です。取材受ける時にはこれら素材を用意しておきましょう
  • 解禁日時とは:この時間に情報解禁するというメディアと企業の紳士協定です。企業側で決めましょう
  • 取材写真とは:実際にあって取材したことを証明するために撮影するものです。アー写ではありません
  • 記者調整はいつから:1、2週間前からコミュニケーションしましょう
  • どこでメディアと出会う:エンジェルやファンドなどスタートアップと関係ある人の紹介がベスト

全てにおいてそうですが、今の時期であればエンジェル投資家に聞くのが一番早いと思います。彼らは起業家としての取材経験もありますし、何があるのかも理解しているでしょう。逆にそういう方から支援を受けていない・受けられなかった人はプロダクトを見直した方がいいと思います。

最後にタブーをひとつ

ということで、本当に初めてのスタートアップ向けプレスリリースということで、ポイントを整理しておきました。恐らく、今後、私の取材活動でこちらをご一読くださいとURL投げられる方もいらっしゃるかもしれないので、一点注意を書いておきます。

それは関係性を考え抜く、ということです。

パブリシティ活動は宣伝です。自分たちのことを上手に伝えたいし、かっこよく見せたいと思うでしょう。しかしちょっと考えてみてください。もし誰か人に出会ってずっと自慢話されたらどう思うでしょうか。大切なのは会話であり、一方的な宣伝ではないのです。

このように関係性を無視した行為はPRにおける最大のタブーです。無学では企業に大きな損害を与えることになります。

プレス向けのリリースやパブリシティ活動も、人と人のコミュニケーションと基本は同じです。特に創業間もないスタートアップの場合、「創業メンバー=法人」ですから、ほぼそれに近い状態になると思います。

何はともあれ、これを読んで初めてのプレスリリースを書く方に、よい関係が生まれることを期待しています。

追記:関係性とは何か、何をもって良い・悪いとするかというご質問があったので追記しておきます。パブリシティ活動は行動促進とセットなので、関係性を持った人たちが期待通りの行動をしてくれれば資産になります。例えばTHE BRIDGEでは重要なパブリック(関係対象)を起業家と投資家に設定していました。彼らに取材させてもらえる、情報が貰える、これが期待する行動です。逆に関係作りするなかで彼らの体験が悪くなり、情報を貰えない状態になったらNG、という具合です。

 

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#スタートアップPR の”死の谷”を助ける、「パブリシティ活動のクラウド化」という考え方

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先日、とあることから広報会議さんに寄稿する機会ありまして、4月号から3回連載をさせていただくことになりました。そこでスタートアップPR(パブリック・リレーションズ)について考えたことやその解決、とまではいかなくとも、手助けになりそうなアイデアを本稿でまとめてみます(過去記事はこちらから)。 スタートアップPRにおける「死の谷」問題 さて、スタートアップのPRで一番の課題とはなんでしょうか? 実は資…

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Photo by Pixabay on Pexels.com

先日、とあることから広報会議さんに寄稿する機会ありまして、4月号から3回連載をさせていただくことになりました。そこでスタートアップPR(パブリック・リレーションズ)について考えたことやその解決、とまではいかなくとも、手助けになりそうなアイデアを本稿でまとめてみます(過去記事はこちらから)。

スタートアップPRにおける「死の谷」問題

さて、スタートアップのPRで一番の課題とはなんでしょうか?

実は資金調達の時とほぼ同じタイミングで、PRにも死の谷と呼ばれる期間が生まれます。投資ラウンドで言えばシリーズAやBなど「(人と認知を)踏み込めば勝てる」という前、PMFする前段階あたりの時期です。

ここの時期、スタートアップは資金も認知も信用もごくわずかです。アイデアや創業メンバーが良く、シード資金やブリッジラウンドに成功したとしても、本質的には踏み込めません。ひたすらPMFを求め、プロダクトを繰り返し市場に問い続ける苦しい時期です。

当然ながらメディアもまだ実証前のビジネススキーム、夢のようなプロダクト完成図で「たら・れば」の話題はやはり扱いづらい。プロダクトに潜在的な力があったとしても、それを見抜くことは長年取材を続けた身でも難しい。さらにビジネス系の各紙が課金にモデルに移行していることや、スタートアップする人が増えたこともパブリシティ活動を困難にする要因になっていると思います。

つまり、スタートアップPRの「死の谷」はさらに深くなっているのです。

ではどうすればいいか。たまに年齢が若いとかプロダクトとは全く関係ないラインでスタートアップが話題作りする例もありますが、本質(プロダクトファースト)とズレてる以上、一時的な話題になったとしても、その後の「企業と社会の関係性強化」につながることはありません(自分をネタにして話題になることのすべてが悪いわけではないので悪しからず)。

そこでスタートアップする創業者、PR/広報の方に提案したいのは「パブリシティ活動のクラウド化」という概念です。これは3つの構成要素にまとめられます。

  • 情報を集める方法のクラウド化
  • 伝える方法のクラウド化
  • 改善・検証のクラウド化

結論を先に言うと「自分たちで発信力・関係づくり力を持つ」、これに他なりません。それぞれについて少し解説してみます。

パブリシティ活動のクラウド化

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Photo by rawpixel.com on Pexels.com

企業はこれまでPR活動の中心をメディアリレーションズに置いてきたと思います。引き続きこのスキームは変わらないと思うのですが、メディアが変化していること、スタートアップPRでは従来モデルが効かないこと、この2点は理解すべきと思います。

パブリックリレーションズにおける第三者視点が欲しい、という理由で私たちメディアは存在意義がありますが、こと「パブリシティ(宣伝)」について言えば自分たちでできる環境が整っています。平たく言えば自社発信(オウンド)コンテンツの見直しです。

THE BRIDGEを運営しているPR TIMESが最も近い例ですが、彼らはプレスリリースという「メディアと企業の私信」をコンテンツ化して消費者に届けることに成功しました。最近では資金調達などの公表はニュースではなく、PR TIMESのプレスリリースがそのままユーザーにシェアされる光景が広がっています。

noteやPR Table、Wantedlyのようなコンテンツ配信プラットフォームもそうです。従来、コーポレートサイトに閉じていた「企業情報」がコンテンツ化して消費者に届くようになった事例だと思います。

パブリシティ活動を「クラウド化する」というのは、決してこれまでFAXでメディアに送っていたプレスリリースをオンライン化することではなく、企業情報配信の考え方そのものをインターネットに最適化させる、というシフトチェンジのことを指しています。

クラウド化するパブリシティ活動で何が起こるのか、その辺りは広報会議などの連載でもう少し詳しく書くとして、この概念を構成する3つのHowを少し書いてみます。

情報を集める方法のクラウド化

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Photo by Startup Stock Photos on Pexels.com

まあ、オウンドメディアをカッコよく言葉に変えただけじゃん、という意見もあると思いますが、そこはさておき、自社発信の情報には「書けない」「読まれない」「何やってるのかよくわかんない」という三重苦があります。

まず書けない、については「情報収拾が足りていない」ことを再認識することが先決です。こちらにも書きましたが、スタートアップはそもそも話題がありません。その前提で「自分たちで逆算して作る」ことが重要なのです。(参照:逆算で考えるスタートアップPR手法

また、その際の情報をしっかりと整理しておくことも大切です。例えばイベントですが、私たちTHE BRIDGEはこれまでTrelloというタスクツールを使ってイベントやメディアタスクの管理をしてきました。現在は社外の方のオウンドコンテンツの制作支援も増えて、社外の方も参加できるJootoというタスクツールを使っています(情報開示しておくと、こちらのJootoもPR TIMESが運営しているサービスです)。そのほかにもツール連携するZapierのような統合ツールや、おなじみのSlackなど、便利なツールが増えました。

効率よく自分たちで積み上げたイベント情報を一元管理する。実はこれができれば、プロダクトリリースの際の「話題のネタ帳」はもちろん、イベント等で関係性を作ったユーザー、企業、支援者が積み上がってますから、パブリシティ活動を応援してくれるようになるはずです。

つまり、情報を作り・集める=企業・創業者のPR力を高めることに繋がるのです。

伝える方法のクラウド化

selective focus photography of woman using smartphone beside bookshelf
Photo by rawpixel.com on Pexels.com

しかしながらこうやって自分たちで作った情報は、なかなか人に伝わりません。もちろん私たちのようなメディアは信頼の担保に加えてある意味「インフルエンサー」としての作用もあります。いろいろな機能があるので「載せて!お願い!」とやった方が早いかもしれません。

でもやっぱり考えるべきは「自分たちで伝える方法を持つ」ことだと思っています。伝える手法、思考をインターネットに最適化すれば、いろいろなアイデアが出てきます。

例えば今、ソーシャルメディアは成熟し、身近な人たちとの関係性を持つには最適な方法になっています。メディアへの取材が難しくとも、非常によい内容であれば寄稿や転載といった持ち込みの方法もあります。すべて自分たちがコンテンツを持っていればこそ、伝える手段を考えていればこそ実現する内容です。

先日、SmatHRやミラティブが採用コンテンツをスライドシェアするという事案がありました。ああいったものはパブリシティ思考がクラウド化している人たちにとっては当然の流れになるんだと思います(内容は別ですが)。

改善・検証のクラウド化

そしてコンテンツや伝える方法・思考をクラウド化できたPR/広報チームにはPDCAという道のりが用意されることになります。

自社で配信したコンテンツの拡散量、露出時のエンゲージメント、読んでくれた人たちのフィードバック。この辺りは私もまだ検証中なので、全部を説明できませんが、これまでなかなか可視化できなかった「企業ブランド」や「それに貢献してくれた社員」、「コンテンツを作った製作者」などの評価ができるようになるんじゃないかなと思っています。

最後に

たまに取材先から「過去の記事を削除してくれ」というリクエストを貰うことがあります。恐らく過去にやっていた事業が上手くいかず、検索流入が強すぎて現状とのギャップに困っているとかそういうことだと思います。しかし、考えてみてください。人と人の関係で、都合悪くなったから一方的にその記憶を消してくれというコミュニケーションが成り立つでしょうか。

PRは関係性の構築活動です。メディアだけでなく、営業活動やプロダクト、社員、株主、ありとあらゆる関係者とのリレーションシップ・マネジメントのことです。重要でないはずがありません。

自分たち企業が社会とどのように真摯に向き合い、関係性を作ろうとしているか。手法自体がアップデートされる中、スタートアップ経営者の諸兄におかれましては、ぜひPRの重要性を今一度考えるきっかけになればと思っております。

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「採用スライド」で応募者は5倍増、給与が低いという噂が消えたーーSmartHRが採用スライドの公開結果を公表

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スタートアップ(というより成長企業全般)における大きな関心事、それが「採用」です。特にアップ・ダウンサイドの幅が大きなスタートアップにとって、安定した仕事を提供できる大手企業を蹴ってまで優秀な人たちに参加してもらうには相応のテクニックが必要になります。 そこで最近話題になった手法が「採用スライド」です。大型調達に成功したゲーム実況のミラティブが公開した「採用候補者様への手紙」は内容も含めて参考にな…

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資料:宮田昇始のブログより

スタートアップ(というより成長企業全般)における大きな関心事、それが「採用」です。特にアップ・ダウンサイドの幅が大きなスタートアップにとって、安定した仕事を提供できる大手企業を蹴ってまで優秀な人たちに参加してもらうには相応のテクニックが必要になります。

そこで最近話題になった手法が「採用スライド」です。大型調達に成功したゲーム実況のミラティブが公開した「採用候補者様への手紙」は内容も含めて参考になる部分が多かったのでこのような記事で共有いたしました。

<参考>

記事の最後にもある通り、この原案というか元になったのがこちらも飛ぶ鳥落とす勢いの労務クラウド「SmartHR」が公開した面接用スライドになります。

で、今日、同社代表取締役の宮田昇始さんがこのスライドを公表した結果をブログでお知らせていました。詳細はそちらに譲るとして、主な情報をまとめると次の通り。

  • 応募数は『5.3倍』に増加
  • 会社紹介が『24万回』も見られている
  • マッチしそうな応募が増え、ミスマッチしそうな応募は減った
  • 説明のブレが減り、説明コストが下がった

考察にも書いたのですが、ここで最も重要かつ再現性が感じられるのが「説明コストの軽減」です。

確かにSmartHRのこのオープンな内容は彼らのスタートアップとしての成長性やビジネスモデル、また、何よりもカルチャーが影響していると思います。これは長年彼らが積み上げてきたものの結果であり、宮田さんも次回のブログ予告に「スライド公開はそんなに甘くない」としている通り、簡単に誰でも再現できるものではないと思います。

一方で、こうやって何が会社としてのゴールなのか、働く人たちの権利はどうなっているのか、役割はどういうものなのかを「端的に」まとめることで説明する側、される側の共通情報量は格段に上がります。採用広報として社員インタビューも増えましたが、雰囲気を伝える役割企業としてのポイントを理解してもらうコンテンツはやはり分けるべきでしょう。スタートアップの採用広報、PRとして最も重要な「時間を稼ぐ」ことは、企業側だけでなく関係する相手も含めて考えることがやはり親切です。

企業としての内容を真似ることはできなくとも、このフォーマットは多くの人たちを幸せにしてくれるのではないでしょうか。作成にあたっての苦労話については次回のブログに掲載されるということなのでそちらも期待したいと思います。

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