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スロベニア発「Toshl」ーー現代の預金管理にふさわしい家計管理アプリを再発明

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スロベニアがスタートアップ業界の主流となる機会はそれほど多くないが、この小さな中欧の国から生まれたある企業は、2010年のスタート以来、250万のユーザーを獲得した。 ウェブサイト、Android、iOSで使えるToshlは、ユーザがどの用途にいくらのお金を使っているかを追跡するのに役立つアプリだ。収入と支出の金額を入力するほか、毎月手入力しなくてもいいようにどの項目が「繰り返し発生する」かを指定…

上: Toshl: iPad Image Credit: Toshl
上: Toshl: iPad
Image Credit: Toshl

スロベニアがスタートアップ業界の主流となる機会はそれほど多くないが、この小さな中欧の国から生まれたある企業は、2010年のスタート以来、250万のユーザーを獲得した。

ウェブサイト、Android、iOSで使えるToshlは、ユーザがどの用途にいくらのお金を使っているかを追跡するのに役立つアプリだ。収入と支出の金額を入力するほか、毎月手入力しなくてもいいようにどの項目が「繰り返し発生する」かを指定する。するとToshlはあなたの家計の状況をグラフ、チャート、ヒント、一覧で示してくれる。簡単に言えば、こんなアプリだ。

このアプリが日の目を見たのは2009年のこと。初期のAndroid版プロトタイプが始まりだった。Android版とiOS版が正式にローンチされたのは2010年。2012年までは趣味の延長のような代物であったが、当時、同社の代表がサンフランシスコに行き500 Startupsに参加した。そして同年の4月に正式な会社、Toshl Inc.を立ち上げた。サンフランシスコに半年ほど滞在した後、彼らはスロベニアに帰国した。

現在に至るまでの資金調達は、一筋縄ではいかなかった。同社はThirdFrameStudiosという別の会社から生まれたが、この会社から「サービス」という形で初期の投資を受けた。その後、あらゆる場所で500 Startupsやいくつかのエンジェル投資家からも資金提供を受けた。Toshlの推定によると、これまでに獲得した金額は60万米ドルにのぼるという。

「しばらくの間はフリーミアムプランで収益を確保していましたので、外部の投資家に全面的に依存しているわけではありませんでした」と、ToshlのCEOであるMatic Bitenc氏はVentureBeatとのインタビューの中で語った。

Toshlのベーシックサービスでは、2つの予算しか設定できず2つの口座しか管理できないなどの制限がある。Pro版になると口座、予算その他の機能が無制限で使用できるほか、レシートの写真取込みやエクスポートのオプションもある。この料金は月2米ドルか、年20米ドルである。

Toshlのリバーフロー 上画像: Toshlのリバーフロー図
Toshlのリバーフロー
上画像: Toshlのリバーフロー図

過去数年間、Toshlはこのアプリのバージョン2.0に取りかかっていたが、今週、ウェブサイト版とiOS版がローンチされた。これは基礎から再構築されたバージョンで、TouchIDを使った指紋でのロック機能がサポートされたほか、新たなカテゴリーやタグシステムの導入、リアルタイムに近い為替換算等のアップデートがなされた。Android版のアップグレードは来年に予定されている。

他にも、リバーフロー、月間の概要、支出と収入、新しい予算グラフなど、目新しいデータのビジュアライゼーション機能が加わった。さらに、Pro版のユーザは、当座預金口座、貯蓄口座、クレジットカード、Bitcoin、 PayPalなど複数の金融機関口座を設けることができるようになった。

それでは、このアップグレードはどのような考え方をもとになされたのだろうか?以前のバージョンでは何が問題だったのだろうか?

Bitenc氏は語る。「すこし前、私たちはどうすればユーザエクスペリエンスを改善できるか、サービスを進化させられるかについて考えていました。私たち独自のビジョンがサポートフォーラムでの好意的なユーザエクスペリエンスのフィードバックと組み合されていろいろなアイデアが出てきました。そして、ユーザが当社に期待しているシンプルさやユーザエクスペリエンスのレベルを下げることなしに新たな機能を設けるのは難しいことがすぐにわかったのです。」

「複数の金融口座はその典型的な例で、アプリ内全体に影響を与え、 単独では設けられない機能でした。これを当時のユーザインターフェースに単純に追加したら、複雑さが増してしかもロジカルでなくなりますので、技術的な課題が山積したことでしょう。」

つまり、Toshlは新たな機能を追加したいとは考えていたものの、 「仮縫い」は正しくない方法で、5年もの実績があるアプリではうまく機能しないかもしれなかった。「私たちができた唯一の論理的な選択は、サービス全体を一から作り直し、全体がうまくかみ合うようにすることでした」とBitenc氏は話を続けた。

App Storeにたくさんあるものを1つ挙げるとすると、それは家計簿、予算管理アプリだ。例えばGoodbudgetYou Need a BudgetHome BudgetVisual Budgetなど、実に様々なものがある。Bitenc氏によると、Toshlはどこか美しくて説得力あるもの、変わり映えのしないスプレッドシートアプリを真似たものでないものを作ろうとしているという。

Toshlの最新アップデート版のビジュアルは素晴らしいが、Mint.comLevelなど銀行口座と直接統合のできるモバイルアプリや、Peter Thiel氏が支援する欧州のNumber26など多くのモバイルファースト銀行が現れている現在、手入力で支出金額を記録する日は長く持たないかもしれない。

多くの銀行がモバイルでオールインワンにしなくてはいけない必要性を認識し、あらゆる支出の習慣をリアルタイムかつ自動的にアップデートするサービスを提供するようになるにつれて、Toshlのようなアプリが意味のある存在であるにはさらなる取り組みをしなくてはいけないだろう。Bitenc氏はこの点を鋭く感じている。彼はVentureBeatに対し、同社がまもなく金融機関との統合に着手するだろうと語った。その上で、「今回の新バージョンに関する社内の目標の1つは、様々なデータフローを迅速・簡単につなげるようにする堅固な基礎を固めることでした」と述べている。

しかしながら、それでも彼は手入力の価値を信じている。「手入力していると予算をコントロールしているという感覚が生まれますし、自分の支出に対してより注意を払えるようになれるという理由でこの方法を好む人がいるのです。」

多くの銀行が今でもデータのインポートや統合をサポートしていないため、Toshlのようなサービスは、居住している場所に依存している顧客にしかサービスを提供できなくなる可能性がある。しかし最終的には、手入力と自動入力の両方のオプションを備えたサービスを提供したいとToshlは考えている。

表面的なところだけを見れば、Toshlの最新ローンチはビジュアル面で光沢仕上げをした程度のものにすぎないように見える。しかしよくみると、現代の銀行時代にふさわしいサービスを新たに発明しようという深遠な計画があることを示している。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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