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学術書サブスクの「教材版Netflix」Perlegoは欧州学生の心を掴めるか

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ピックアップ:Perlego Raises $9 Million Series A to Grow E-Book Library ニュースサマリー:欧州28カ国に電子書籍サービスを展開する「Perlego」は11月20日、シリーズAラウンドにて、Charlie SonghurstやDedicated VCなどの複数投資家らから合計700万英ポンド(※約900万ドル:約1,000万円)を調達したと発…

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Image Credit : Perlego Instagram

ピックアップPerlego Raises $9 Million Series A to Grow E-Book Library

ニュースサマリー:欧州28カ国に電子書籍サービスを展開する「Perlego」は11月20日、シリーズAラウンドにて、Charlie SonghurstやDedicated VCなどの複数投資家らから合計700万英ポンド(※約900万ドル:約1,000万円)を調達したと発表した。

同社はロンドン拠点のスタートアップ。教科書版Netflixとも呼べる、20万点以上のデジタル教科書読み放題(サブスクリプション)サービスを提供する。調達資金は英語以外のコンテンツ拡充およびヨーロッパ市場へのさらなる拡大に向け活用される予定。加えて、今後アクセス可能なコンテンツ数を25万に増加させるとのこと。

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Image Credit : Perlego

話題のポイント:「教科書や参考書、学術書は一般の本に比べ割高」という印象を持っている人は少なくないと思います。高校や大学、塾で購入を強制される教材というのは安くても1,000円以上、学術書などは高ければ3,000~5,000円ほどの価格帯のものもあります。

学生は学習を進めれば進めるほど、または進級する度にこうした高額な教科書を購入する必要が発生し、社会人でお金がある訳でもない彼らにとっては悩ましい問題といえます。

まさにこのような問題解決に挑むのがPerlegoです。年額プランの場合は月額10ユーロ(約1,200円)、月額プランの場合は月額15ユーロ(約1,800円)で、2,000に及ぶ主要な出版社から20万冊以上の教科書にアクセスし放題になります。

同社のアプリはiOSとAndroidのスマホどちらかも利用でき、オフラインダウンロード機能を使えばWifi環境がなくても読むことができます。また専門家がキュレーションした教材リストにもアクセスでき、ユーザーがどの書籍を読むか迷う心配を減らす機能も提供します。この辺りのサービス設計は定額制ストリーミングサービスの代表格といってもいいNetflixやSpotifyを大いに模倣していると考えられます。

さらに実際のアナログ本さながらにメモやマーカーをいれることができたり、学生は20%割引だったりと、価格・利便性の面でターゲットである学生層の心を掴む利点も充実していることが分かります。

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Image Credit : Perlego Instagram

Perlegoの競合としては、世界的な教育書籍出版社「Cengage」が提供するサービス「Cengage Unlimited」などが挙げられます。同サービスは現段階で米国限定の提供を行なっていることから、今後欧州地域に参入する可能性もあります。そのため、Perlegoは一刻も早く欧州地域で独占的地位を築く必要があるでしょう。

また、Amazonの「Kindle Unlimited」や「Amazon Ignite」に代表される巨大プレイヤーによるサービスも参入も長期的に考えられます。比較的小さな市場とはいえ、Perlegoにとっては厳しい競争が待ち受けていることが想像できます。

こうした競合への対抗戦略として考えられるのは2つ。1つ目に提携戦略。すなわち欧州市場の教材出版社や教育機関との提携を通じてサービス普及の加速を図るというものです。

仮に主要な出版社と先んじて独占的な契約を結ぶことができれば、それはユーザー数拡大を促すだけでなく、競合を抑え込む強力な障壁となるでしょう。また、教育機関へのサービス提供ができる場合、コストを支払うのは教育機関側となるため、生徒に無料で電子書籍を提供するモデルが考えられます。その場合、Perlegoはまるでデジタル図書館のように機能し、生徒を魅了することができるはずです。

もう1つが、現在Netflixが進めるオリジナル・コンテンツ戦略です。出版社との提携も強力ですが、著者を直接的に囲うことができれば中間マージンの削減やサービスの独自性上昇に繋がります。

上述のような提携戦略や、サブスク先駆者であるNetflixを踏襲した戦略を持ってすれば、マス狙いのAmazonの電子書籍・教材のサブスク・サービスが人気を博したとしても競争力を十分に発揮し、大手サービスにも対抗することが可能なのではないでないでしょうか。その意味で、今後の同社のサービス拡張戦略にはとても注目が集まります。

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