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RegTechスタートアップのBasset、ニチガスとブロックチェーンを使った不正検知システムを共同開発

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東京を拠点とする RegTech スタートアップの Basset は、日本瓦斯(ニチガス、東証:8174)と共同でブロックチェーンを使った不正検知システムを共同開発したと発表した。 ニチガスはかねてよりガス業界における DX 化に積極的で、昨年来、エストニアで開発された X-Road(関連記事)と暗号資産に用いられるブロックチェーン技術を組み合わせたサービス「ニチガスサーチ」を開発している。ニチガ…

東京を拠点とする RegTech スタートアップの Basset は、日本瓦斯(ニチガス、東証:8174)と共同でブロックチェーンを使った不正検知システムを共同開発したと発表した。

ニチガスはかねてよりガス業界における DX 化に積極的で、昨年来、エストニアで開発された X-Road(関連記事)と暗号資産に用いられるブロックチェーン技術を組み合わせたサービス「ニチガスサーチ」を開発している。ニチガスサーチは、顧客の情報検索や受付業務の統合管理プラットフォームで、ニチガス社内で昨年から運用が開始され、コールセンター業務のワンストップ化を実現した。

Basset は今回、ニチガスサーチに組み込まれる形で不正検知システムを開発した。改ざん不可能な状態でブロックチェーンに記録されたアクセスログをリアルタイムで分析し、顧客情報に関する莫大な量の記録から AI によって不正なアクティビティの兆候を事前に捉え、情報管理体制の安全性を高める。

ニチガスでは、エネルギー業界における同時同量の課題の効率的解決、スマートメーター等の使用量計測 IoT デバイスからのデータ活用、得られた情報に関するトレーサビリティおよび透明性の担保によるデータの民主化に取り組んでいくこととしており、Basset はそれを支えるエネルギーのトークン化や小売スマートコントラクトの開発、流通の最適化と安全な取引を支援する技術の開発を目指すとしている。

エネルギー分野におけるブロックチェーン技術の応用では、日本のグローバル・ブレイン東京電力フロンティアパートナーズなどから資金調達を果たしている Electrify が記憶に新しい。同社は不正を誘発しづらいブロックチェーン技術を活用し、小売電力マーケットプレイスや小売電力スマートコントラクトをローンチしている。

Basset は、仮想通貨取引の AML(アンチマネーロンダリング)や CFT(テロ資金供与対策)監視ソリューションの開発・提供でも知られる。同社は昨年9月、シードラウンドで Coral Capital から5,000万円を資金調達した。この分野には、アメリカの Chainalysis、昨年 Coinbase が買収した Neutrino.nu、SBI インベストメントらが出資するイギリスの Elliptic など少なからず競合が存在する。

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中国はブロックチェーン大国へ:Tencent(騰訊)やHuawei(華為)ら71社が国家標準を定める委員会に参加

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中国の工業和信息化部(MIIT、日本の経済産業省に相当)は14日、Tencent(騰訊)、Huawei(華為)、Baidu(百度)などの企業が、ブロックチェーンや分散型台帳技術の国家標準の設定を目的とした新しい委員会に参加すると発表した。この提案は2020年5月12日までパブリックコメントを受け付けている。 重要視すべき理由:中国当局は、ブロックチェーン技術を国家にとって戦略的に重要な技術だとして…

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Image Credit : Pexel

中国の工業和信息化部(MIIT、日本の経済産業省に相当)は14日、Tencent(騰訊)、Huawei(華為)、Baidu(百度)などの企業が、ブロックチェーンや分散型台帳技術の国家標準の設定を目的とした新しい委員会に参加すると発表した。この提案は2020年5月12日までパブリックコメントを受け付けている。

重要視すべき理由:中国当局は、ブロックチェーン技術を国家にとって戦略的に重要な技術だとして、企業の取り組みを後押しする意向を示している。しかし同国のブロックチェーン業界は大小問わず非常に多くのプレイヤーが乱立しており、標準化が未熟である点が問題とされている。

  • 9月には、当局は仮想通貨を悪用した詐欺やスキームを取り締まった。当局は6億ドルの資金調達したスタートアップの家宅捜索までしている。

詳細:本委員会は、Tencent、百度、Huawei、JD(京東)、Ping An(平安)、そして他の業界の関係者などを含む、71のメンバーで構成されている。

  • 具体的には、同委員会のメンバーは、中国人民銀行デジタル通貨研究所(数字貨幣研究所)、サイバーセキュリティ当局や標準化機関などの政府機関、北京インターネット裁判所(北京互聯網法院)などの司法機関、中国トップの学術機関数団体など。
  • MIIT 副部長(日本の副大臣に相当)の Chen Zhaox­iong(陳肇雄)氏が委員会の議長を務める。委員会の5人の副委員長のうちの1人は、中国人民銀行デジタル通貨研究所の副所長 Di Gang(狄剛)氏である。
  • このリストには、北京、広東、江蘇などの地方政府も含まれている。
  • MIITは、委員会が何をするのか、活動のタイムラインなどの詳細情報については明らかにしていない。

背景:MIIT は今月9日、パブリックコメント用にブロックチェーンアプリケーションの情報セキュリティに関する一連の標準規格を公開した。

  • 昨年の習近平氏の演説は、ブロックチェーンに対する中国の規制当局の見方に変化をもたらした。今、中国はブロックチェーンと仮想通貨技術における世界的なリーダーになろうと取り組んでいる。
  • 中国人民銀行は独自の仮想通貨の開発に取り組んでいる。そして当局は、ブロックチェーンサービスネットワークと呼ばれる、統合インフラストラクチャーの構築に取り組んでいる。
  • コンサルティング会社 PANews のデータによると、2019年にブロックチェーン関連の資金調達が世界で最も活発に行われた国は中国だったという。

【via TechNode】 @technodechina

【原文】

電力取引「2019年問題」はブロックチェーンが解決するーー日本ユニシスら4社が取り組む”余剰電力取引プラットフォーム”、その詳細を聞く

本稿は昨年開催されたブロックチェーンカンファレンス「NodeTokyo」編集部による寄稿 ニュースサマリー:日本ユニシスは東京大学、関西電力、三菱UFJ銀行と共同で、ブロックチェーン技術を「電力」に活用する実証実験に乗り出している(リンク先はPDF)。昨年10月15日から2019年3月末を期限に、4社は電力消費者と自家発電するユーザーを結びつけ、余剰電力の売買価格の決定や取引が可能となるシステムの…

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日本ユニシス プラットフォームサービス本部 中村誠吾氏

本稿は昨年開催されたブロックチェーンカンファレンス「NodeTokyo」編集部による寄稿

ニュースサマリー:日本ユニシスは東京大学、関西電力、三菱UFJ銀行と共同で、ブロックチェーン技術を「電力」に活用する実証実験に乗り出している(リンク先はPDF)。昨年10月15日から2019年3月末を期限に、4社は電力消費者と自家発電するユーザーを結びつけ、余剰電力の売買価格の決定や取引が可能となるシステムの開発、および模擬取引の実証研究を進める。

話題のポイント:自宅に太陽光パネルを設置して売電をしている方であれば「太陽光発電の2019年問題」をご存知かもしれません。資源エネルギー庁も特設ページを設置して対策を求めている課題なのですが、実はここにブロックチェーンが活用できるのでは、という動きがあります。本稿ではその話題についてテクノロジーの観点から取り上げたいと思います。

まず、そもそもの2019年問題についてポイントを整理しておきます。

  • 2009年から太陽光で自家発電した余剰電力は固定の金額で買い取ってもらえた
  • 制度の期限は10年間で、期限切れが発生するのが2019年11月に迫っている
  • 期限後の余剰電力は自家消費するか、相対で売る相手を探す必要がある

つまり、これまでは発電した余剰電力を固定金額で電力会社が何も言わないで買ってくれていたのですが、期限が切れた後は「価格も売買相手も」自分で探す必要に迫られるわけです。

ブロックチェーンのことに明るい人であれば「なるほど、ここで使うのか」というのがわかったと思います。そうです。自律的に相対取引ができるプラットフォームの必要性が出てきているのです。少々乱暴ですが、暗号通貨の取引所でビットコインなどを売り買いするのと似たようなイメージで電力をトレードするわけです。

今回取材した日本ユニシスが取り組むプロジェクトはまさにその潮流に乗ったものとなります。

ということで本稿では日本ユニシスのプラットフォームサービス本部で、プロジェクト推進にあたっている中村誠吾氏にインタビューを実施し、その取り組みの詳細をお聞きしてきました(太字の質問はすべて筆者、回答は中村氏/取材:増渕大志、編集:平野武士)。

改めて実証実験に至る経緯や解決すべき課題についてお伺いさせてください

中村:一般家庭に設置した太陽パネルで発電される電力に代表される再生可能エネルギーは、これまで国によって一定期間の間、固定価格で買取されることが約束されていました。これが固定価格買取制度です。

しかし、固定価格買取制度は2019年より順次終了をむかえ、太陽光パネルを設置している家庭は発電した電力を、小売電気事業者などに売却するか、小売電気事業者に売るのではなく、蓄電池等を導入して自家消費を最大化するかを選択しなければならない状況になってしまいます。

いわゆる2019年問題ですね

中村:はい、今回の私たちの取り組みは、発電した余剰電力を小売電気事業者に売却するのではなく、プロシューマー(※1)と消費者間で売買価格を決定して直接電力取引を行うプラットフォームを構築することです。

プロシューマーにとってはより高い金額で売却し、消費者にとってはより安い金額で購入できる場を提供することが可能になります。この実証研究は、関西電力、東京大学、三菱UFJ銀行、日本ユニシスとで実施しています。

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画像提供:日本ユニシス

シンガポールのブロックチェーン電力取引マーケットプレイス「ELECTRIFY」は東京電力の子会社から資金調達をしていますし、オーストラリア拠点のPower Ledgerも同様のブロックチェーンを用いた電力個人売買プラットフォーム構築を進めています。各国一様にブロックチェーンベースでの構築が中心です。この技術を活用する利点を整理いただけますか

中村:生活や産業の基盤である電気の取引であるため、プラットフォームの利用者は全世帯や企業が対象です。電力取引を地域単位で行うとしても、数十万~数百万規模となり、これだけの多数の利用者同士が直接取引を行うには、ブロックチェーンのような可用性がある直接取引が可能な基盤が最適であると考えています。

2019年問題で最初に対象になる世帯数も数十万と聞きます。取引が一度に始まる前提がある、というのがこの課題の特徴です

中村:家庭に設置した太陽光パネルのような発電量が小さな装置が地域に多数存在し、相互に少量かつ多数の電力取引をするような(多数の参加者による少額の直接取引を大量に処理する)分散型のシステムをブロックチェーンによって実現するのが狙いになります。

ブロックチェーンでは、地域のいたるところに設置される多数の小さな発電装置の1つ1つを中央集権的に厳密に管理するために多くの労力を割くことがなくなります。

自律分散のコンセプトに相性がよいと。具体的な仕組みの箇所をもう少し詳しく掘り下げさせてください

中村:ネットワークを構成する複数のサーバーのそれぞれが複数の発電装置を管理し、サーバーが受け付ける取引要求をネットワーク全体で共有して電力の取引を行います。複数の事業参加者がサーバーを管理して1つのネットワークを構築するような、コンソーシアム型で電力取引システムを運用することも考えられます。

その場合、それぞれのサーバーが受け付ける電力取引データの真正性を担保した上でデータをオープンして相互に協力し合うことで、安定した電力取引を維持することも可能になるし、相互に取引状況を監視し合うことで取引の健全性も高まります。また、ブロックチェーンのネットワークが広がるほどシステム全体の可用性が高まります。

つまり、ブロックチェーンによって、電力取引の主体を個人や家庭といった小さい単位までに落とし込み、かつそこで取り交わされる大量の直接取引を安全かつ安定的に行うといったプラットフォームを構築することで、利用者にはこれまでと違った新しい取引の形態を提供できるのではないかと考えています。

スマートコントラクトによる自律分散的な契約執行が可能になると思いますが、そのあたりの構想はどのような考え方をお持ちでしょうか

中村:はい、電力取引の処理をスマートコントラクトとして実装し、ブロックチェーンに組み込んでいます。スマートコントラクトは契約の自動執行としばしば説明される通り、電力取引の注文を登録すれば、プロシューマ―と消費者の双方が指定する価格に従って取引を成立させて、決済までを自動で実行できることは大きなメリットです。

そして、スマートコントラクトに実装した、このような注文の受付から決済までの一連の処理に関するルール(契約における条項にあたる部分)は、ブロックチェーンのネットワークに参加する複数の事業者で共有され、事業者はそのルールの下でしか取引を行うことができないといった強制力として働きます。

現在の暗号通貨取引所が多数の事業者によって運営されている状況と少し似てきます

中村:分散型システムとして電力取引プラットフォームの規模の拡大を図り、このネットワークを様々な事業者でコンソーシアムを組んで運用していく場合、ブロックチェーンの基盤の中に取引に対して強制力があるルールを実装できることは、実現のための重要な機能であると考えています。

確かに取引自体は自律分散の承認プロセスが合ってますが、この取引システム全体はどこかがコンソーシアムとして中央的に管理した方がよさそうです。なにより実際に取引する人たちは誰かに責任の所在を求めるでしょうからね。逆にパブリックチェーンを採用した場合の問題点も教えていただけますか

中村:今回のシステムで取り扱っているのは電気であり、生活や産業の基盤にあたるものです。システムの安定稼働を考えると”現状”のパブリック型は難しいと考えています。

具体的に壁になるポイントは

中村:1つは処理速度、1つは処理手数料、最後は外的要因です。

まず、最初にブロックチェーンの処理速度は、ブロックの生成時間と1ブロックに格納可能なトランザクション数で決定しますが、パブリック型のそれらはまだまだ十分ではありません。また、パブリック型のコンセンサスアルゴリズムとして使われているPoW(Proof of Work)はブロックを生成するマシンに大量のリソース消費を求め、そのコストは利用者のトランザクション手数料にも影響します。

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画像提供:日本ユニシス

今回の実証実験ではコンセンサスアルゴリズムにPoA(Proof of Authority)を採用されていますね

中村:そうです。PoAはブロックの生成の役割を参加者間で順番に担っていき、そこに参加者間の計算競争は存在しないためマシンリソースの消費も抑えられます。取引を確定させるために必要なブロックの生成コストが小さくなるため、ランニングコストの削減にもつながるんです。

極めて公共的な仕組みになるでしょうから、最終的な消費者にかかる手数料の問題は重要です。最後に挙げられている外的要因とはなんでしょうか

中村:ビットコインで言えば、暗号通貨の価格変動や、ハードフォーク、電力取引以外のトランザクションの急激な増加などです。

電力取引システムそのものに問題がなくとも、このような外的要因によって対応を迫られることは好ましくないと考えています。パブリック型のメリットとしては、既存の広域のネットワークを活用できるためにネットワークの構築や運用の負担が小さいことや、広くデータを共有することができ、より多くの(取引に直接かかわらない)ネットワーク参加者によってデータの真正性が保証されるなどがあります。しかし、前述のような電力取引は安定的に行われなければならないといった特色を踏まえてコンソーシアム型を採用しています。

ここまで電力取引にブロックチェーンを使う意味、パブリック(非中央)かコンソーシアム(中央)かといったやや仕組みの部分をお聞きしました。話題を消費者、最終的なサービスに向けてみたいと思います。実際のユーザー体験はどのようなものになると想定されていますか

中村:(プロシューマ―と消費者を含めた)最終消費者は従来通りに契約する電力会社を選ぶことに変わりはありません。電力会社は電力取引プラットフォームにより、価格やサービス内容などで従来と異なるサービスメニューを消費者に提供でき、電力会社を選ぶ際の差別化ポイントとなることも想定できます。

電力取引のプラットフォーム内では、電力売買の注文が飛び交いますが、消費者がトレーダーとして画面操作をすることはなく、スマートメーターやHEMS機器等によって、現在の発電状況、消費状況に応じて自動的に取引が行われることを想定しています。そのため、消費者にとっては、電力の売買において従来よりも細かく自分の希望に沿った取引が行えます。そして、そのための煩わしい操作を必要としないようなものになると想定しています。

なるほど。株やFXみたいなトレード操作を一般家庭に提案するのは不可能に近い

中村:価格はプロシューマ―と消費者の注文状況によって決定されるため、双方において従来の電気料金に比べて価格面でメリットを受ける可能性があります。また、注文状況はブロックチェーンで管理され、すべてオープンにできるため、価格決定プロセスの透明性も高まります。

価格決定プロセスはどのようなものになるのでしょうか

中村:今回の実証研究における価格決定方式は、単位時間ごとのすべての買い注文と売り注文を価格順に並べたときの交点で価格が決定する「オークション」、買い注文と売り注文の合致で価格が決定する「ザラバ方式」、JEPX電力卸売市場に連動して価格が決定する「ダイナミックプライシング」の3つを対象としています。

さらに、注文データが公開さるということは、消費者にとっては自分の家庭で使用している電気がどこから買ったものかが分かるようになります。

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画像提供:日本ユニシス

電力の地産地消みたいなことができる

中村:そうです。今回の実証研究の範囲外ですが、消費者が地域や発電源の種別を指定して購入することができれば、地域を指定した取引は電力の地産地消を促進し、地域の活性化に貢献することもできるのではないかと考えています。

また近年、企業や一般消費者の環境に対する意識の向上に伴い、発電源の種別を指定した購入についてもニーズがあると考えており、消費者からのこのような注文は発電事業者にも影響を及ぼし、再生可能エネルギーの生産が進むといった良いサイクルを生み出す可能性があります。

電力取引をする際、専用の暗号通貨やトークンのようなものは使われるのでしょうか

中村:今回の電力取引プラットフォームには電力取引に使用するコインを実装しています。電力取引注文の約定、送電と受電の実績値に従ってコインが移動するといったものです。

最終消費者はそのコインを入手して、取引に参加する想定でしょうか

中村:最終消費者がコインの入手や換金に対して負担を感じないような仕組みにしたいと思っています。そのためのコインの位置づけとしては、現時点では、大きく分けて2種類かと思います。ひとつは用途を電力取引に限定しないような流動性の高いコインを実装し、多くの業種、業態とつながるトークンエコノミーを形成するという方法。

もうひとつは、電力取引自体はプラットフォームに実装したコインで行いますが、コインの存在を消費者には見せず、流動性の高い例えば銀行が発行するようなコインと連動させるという方法もあるかと思います。この場合、消費者は電力取引用のコインを入手せずに、他の流動性のあるコインで電力を取引することを体験できます。

なるほど、一般消費者にとっては新しいコインの種類が増えるよりも、使い慣れてるポイントになってくれた方が使いやすい

中村:その他の方法も含めて、消費者目線で何が最適であるかは、電力取引プラットフォームをサービスとしてはじめていくにあたって検討していくべき重要な課題と捉えています。

長時間ありがとうございました。

※1:自身で発電した電気を消費し、余剰分は売電する生産消費者のことであり、生産者(Producer)と消費者(Consumer)とを組み合わせた造語

移動をインセンティブに変える「アルクコイン」のリアルワールドゲームス、UHA味覚糖、SNKから資金調達

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本稿は昨年開催されたブロックチェーンカンファレンス「NodeTokyo」編集部による寄稿 ニュースサマリー:ブロックチェーンを用いた位置情報ゲームを開発するリアルワールドゲームスは2月12日、UHA味覚糖およびSNKを引受先とする第三者割当増資の実施を公表している。調達した資金は約7300万円で、累計調達額は約3億7000万円になる。各社の出資比率や払込日程などに関する詳細は非公開。 RWGの創業…

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リアルワールドゲームス代表取締役の清古貴史氏

本稿は昨年開催されたブロックチェーンカンファレンス「NodeTokyo」編集部による寄稿

ニュースサマリー:ブロックチェーンを用いた位置情報ゲームを開発するリアルワールドゲームスは2月12日、UHA味覚糖およびSNKを引受先とする第三者割当増資の実施を公表している。調達した資金は約7300万円で、累計調達額は約3億7000万円になる。各社の出資比率や払込日程などに関する詳細は非公開。

RWGの創業は2017年2月。健康促進を目的とした位置情報ゲーム「ビットにゃんたーず」のデモ版を昨年9月より運用している。同ゲームでは位置情報を利用した実世界における活動を通じて、同社が開発する仮想通貨「アルクコイン」を獲得することが可能。

話題のポイント:リアルワールドゲームスは現実世界における位置情報とブロックチェーンを結びつけることで、移動することに対するインセンティブを新たに作り上げようとしています。

例えばFoursquare社は位置情報とSNSをリンクさせることで、「位置をシェアする」ことに付加価値を付けることに成功しました。リアルワールドゲームスが取り組む事業では、これにブロックチェーンを加えることで、暗号通貨によるインセンティブ設計を可能にしているのが特徴です。

本稿ではリアルワールドゲームス代表取締役の清古貴史氏に今後のブロックチェーンゲーム界の展望と、企業としてのビジョンなどをショートインタビューしてきました(太字の質問は全て筆者、回答は清古氏/取材・執筆:増渕大志、編集:平野武士)。

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位置ゲーと暗号通貨は相性がよさそうに思えますが、第一に企業としてどのような未来を描いているのでしょうか

清古:歩いた結果貰えるコインが世界中のお店で簡単に使えるようになれば、人はもっと街を歩くようになると思うんです。私は街を再発見しつつ歩くことで人々が健康になり、地域が活性化する未来が理想だと思っています。

20年前から地域通貨やトークンエコノミーの可能性に魅せられていました。そのため、会社のビジョンである「健康で充実した毎日を提供する」を達成するために位置情報ゲーム、インセンティブ設計としての暗号通貨はベストマッチだと考えたんです。

技術的にブロックチェーンを採用した理由は

清古:ブロックチェーンのトラストレスをベースに、課題毎のトークンを設計・発行することで税金や会社の経費といった法定通貨を使わなくても課題解決に繋げられる可能性が出てきます。こういったことも技術としてのブロックチェーンに目をつけた大きな理由です。信用創造を通じた課題解決と適正な受益者負担及び貢献者優遇を実現したいです。

どうして位置ゲーを選んだんですか

清古:元々は歩いたらビットコインが貰えるリアルワールドゲームを企画したのが始まりです。ただ、その場合はビットコインの原資になるものが必要になります。そこで発行体として仮想通貨を発行する方法に変えたのが経緯ですね。

確かに自社が通貨発行体になればポイントのように自由な設計が可能になります

清古:原資が必要なくなるだけではなく、トークンエコノミーにより初期プレイヤーや提携企業等のパートナーに手厚いインセンティブが設計できるようになるのも魅力でした。そこでプラットフォームにはイーサリアムを選択しています。

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ところで清古さんは位置ゲーが好きなんですか

清古:ナイアンティック社が提供する「ポケモンGO」の前身である「Ingress」のプレイヤーなんです。リアルワールドゲームで地球半周分位歩いて健康になったんですよ(笑。

ポケGOで改めて思いますがIngressのファンは熱狂的ですよね。街中でモバイルバッテリー片手にしている集団をみるとポケGOかIngressどちらかと思ってしまいます

清古:その経験から、このリアルワールドゲームに仮想通貨のインセンティブを追加すれば多くの人々を税金や保険料から解放して健康にすることができると確信しました。

健康はインセンティブとして何物にも変え難いですね(笑。ちょっと技術的な話に話題変えますが、チェーンはどのような状態で運用されていますか?

清古:イーサリアムのメインネットでERC20トークンのアルクコイン(ARUK)を発行し、ユーザーに無償配布している状況です。

独自コインの発行はここ1、2年、センシティブな時期が続いています。注意されている点は

清古:法定通貨に紐づいたICOやプレセールのような方法は確かに規制されていますが、ARUKはあくまで無償のポイントを扱うようにしています。まず、プレイヤーが歩く目標物(ネコスポット)を申請し、承認された結果として無償でポイントを付与します。これを弊社が発行したARUKに一方向で交換する、という形式です。

これにより仮想通貨交換業に該当せず、メインネットの仮想通貨を用いたトークンエコノミーを日本で運用可能にしました。

イーサリアムを選択した理由は

清古:ERC20は仮想通貨交換業者で取り扱われる際に交換業者の技術者を含めた体制が整っています。外部的な要因に素早く対応する為には情報を発信する人を含めたエコシステム(正のネットワーク効果)を評価して判断します。

ARUKのコンセプトである「Proof of Walk」は広義の「Proof of Human-work」にあたります。真のProof of Human-workを実現することは大変困難ですが、自動化できれば、人の行動を大きく変えるインセンティブとなると思ってR&Dを進めています。

ありがとうございました!

ブロックチェーンで経歴詐称はなくなる?ーー非中央集権で「職歴情報の証明」に挑戦するSKILL、マイクロソフトとの共同検証を開始

本稿は昨年開催されたブロックチェーンカンファレンス「NodeTokyo」編集部による寄稿 ニュースサマリー:ブロックチェーン技術を活用し、人材業界の課題に取り組むSKILLは1月7日、同社が開発を進める分散型人材プラットフォーム(SKILL)を日本マイクロソフトと共同検証していくことを発表している。 SKILLプラットフォームは個人が持つスキルや経歴を、客観的評価を基に証明できるというもの。同プロ…

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SKILL創業者、代表取締役の水谷友一氏

本稿は昨年開催されたブロックチェーンカンファレンス「NodeTokyo」編集部による寄稿

ニュースサマリー:ブロックチェーン技術を活用し、人材業界の課題に取り組むSKILLは1月7日、同社が開発を進める分散型人材プラットフォーム(SKILL)を日本マイクロソフトと共同検証していくことを発表している。

SKILLプラットフォームは個人が持つスキルや経歴を、客観的評価を基に証明できるというもの。同プロジェクトは、人材市場における雇用者と被雇用者とのミスマッチを解消する目的を持つ。プラットフォームには、今回提携を発表したEthereum Proof-of-Authority on Azureが用いられ、まずはコンソーシアム型で実証実験を開始していくという。

話題のポイント:ブロックチェーンを採用したプロジェクトが増えていく一方、実際にどのような課題を解決したいのか、曖昧なプロジェクトも数多く存在します。

SKILLは現在人材市場にて問題視されている、雇用者・被雇用者間でのミスマッチや、人材仲介業者という透明性の低さに対しブロックチェーンという手段で課題解決に乗り出しています。

なぜ人材業界にこそブロックチェーンが用いられるべきなのか、そしてブロックチェーンで作り上げる未来像について、SKILL創業者である水谷友一氏にインタビューを実施しました。(太字の質問は全て筆者、回答は水谷氏/取材・執筆:増渕大志、編集:平野武士)

ブロックチェーン×人材の可能性

ブロックチェーンと人材に着目した具体的なきっかけはありますか?

水谷:ブロックチェーンの話題になると必ずと言っていいほど登場する「トラストレス」という言葉があるじゃないですか。このトラストレスによって解決できる可能性のある課題テーマに何があるのだろうと。

決済承認や資産価値証明、流通などの用途をよく聞くようになりました。人材はまだそこまで多くない印象です

水谷:私やチームメンバーも会社では採用面接などをしているのですが、職務経歴書などに書かれた情報の検証にはインタビューでの掘り下げやテストなど、結構なコストがかかるんですね。この課題意識からブロックチェーンを職歴情報の証明に活用することを考えたのですが、それが実現すると面接コストを一部削減できるだけではなく、人材業界のあり方まで変わってくる可能性があることに気づきました。

なるほど、職歴情報の証明はブロックチェーンが活用できそうです

水谷:人材仲介業者は求職者を囲い込み、ユーザーのデータベースに一定の信用情報というバリューを加えて企業とマッチングさせてマネタイズしているわけですが、この信用情報の証明をブロックチェーンによってユーザー自身が行えるようになったらビジネス構造自体が大きく変わるのではないかと。

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一方で、ビジネスSNSであるLinkedInなどにも職務経歴やスキルが客観的に評価されるシステムがあります。SKILLとLinkedInの様な既存プラットフォームに付属している職例証明サービスと具体的な違いはどこにありますか?

水谷:SKILLプラットフォームの特徴の一つとして、職歴情報に対して第三者のリファレンス与えることでその情報の信憑性を上げるという点があります。職歴情報そのものに対する直接的な証明ということです。LinkedInはビジネスSNSとしてのネットワーク効果を活用することで、間接的にその人自身の信用力を可視化するアプローチだと考えています。

なるほど。ネットワークを活用する点では両者共に似てますね

水谷:決定的な違いは目指すところが中央集権か非中央集権かの違いなんです。SKILLプラットホームはもちろん非中央集権化を目指しています。職歴情報に限らず個人の情報資産は個人に所有権があることが望ましいという思想です。従来中央集権組織が得ていた利益が個人に還元される事例が出始めると、一気にパラダイムシフトが起きると予測しています。

少し質問変えます。分散型のアプリケーションを開発する上で、イーサリアムチェーンを採用し、コンソーシアム型を目指すことにした経緯を教えてください

水谷:現時点では、パブリックチェーンでサービス提供する場合にはスケーラビリティ、トランザクションコスト、ユーザビリティの問題があります。そこで現実解としてまずはAzureのEthereum PoAを採用しプライベートチェーンで実装する判断に至りました。インフラの構築や構成検討に時間を費やすことなくプロダクト開発に集中できることもメリットの一つですし、独自トークンでないと実現できない機能でも無い限り、スピーディに実装や検証を進めていける環境だと思います。

また、ブロックチェーンに関するクラウドインフラを提供する事業者には、今後実用化が進んでいく中で様々な技術面・ビジネス面の知見が蓄積されていくと思われます。日本マイクロソフトさんは数年前からブロックチェーン領域に取り組まれていて実績も多くあるため、HR領域に限らずブロックチェーンの社会実装において一緒にソリューションを考えられる大変心強いパートナーです。

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今回は日本マイクロソフトとの協業を発表されましたが、今後プロダクトをグロースさせていく上で、どのような企業さんとのコラボレーションを望んでいますか?

水谷:すでに多くの企業様にご興味をお持ちいただき随時意見交換等はさせていただいております。中でもSKILLの構想にいち早く共感していだいた企業様とは共同で、昨年12月から今年1月にかけてPoC(Proof of Concept)を実施しました。

初回のPoCでは、DAppとしての機能検証が主な内容となっており、HR✕ブロックチェーンの社会実装に向けて、最初の一歩を踏み出せたかなと思っています。

ただブロックチェーンによる信用の民主化は、既存の事業者にとって既得権益を崩すもの、いわばカニバリゼーションとなり得る部分があります。かつてインターネット勃興期に情報発信の民主化という観点で既存メディア事業者対インターネット事業者の構図がありましたが、同じように信用の民主化の観点で「中央集権的事業者 対 非中央集権的事業者」の構図が存在すると思います。

ですが、世の中が非中央集権的な方向に進むと予測するならば、ここは歴史を教訓にして対立構造ではなく棲み分けやシナジーを生み出す方向で一緒に思考を深められる企業様に集まっていただけると嬉しいです。

最後に、ブロックチェーンプロジェクト特有の課題である外部要因について。イーサリアムの開発状況次第では自社プロダクトに大きな影響がいきなり出てくる可能性も高いですが

水谷:イーサリアム自体の開発については状況をウォッチしていますが、直近のSKILLのプロダクト開発には大きな影響はないと考えています。というのもPoCで実装したEhereum PoAを活用したシステムが、一定のサービス提供において問題ないことを既に確認済みであるためです。

もっとも現在はプライベートチェーンなので、これをコンソーシアムモデルでノードを分散化したり、現時点では実現可能性を模索中ですがサイドチェーンの活用を考えたり、技術の進歩状況に合わせてその時時の最適解を見つけて適用する計画です。

SKILLとしてはどのようにマイルストーン設計を立てていますか

水谷:マイルストーンとしては、9月末にはローンチしたサービスがユーザーに利用していただけている状態にしたいと考えており、現在はPoCの結果も踏まえプロダクト設計を進めています。

ブロックチェーン固有の特徴がサービスのUXに与える影響に対する考慮や、そもそも価値のパラダイムが現在のものと異なるためユーザーや企業にとって納得性のあるわかりやすい価値にどう落とし込むか、またそれを持続可能なサービス構造に仕立てる必要があるなど非常に難易度の高い設計です。

しかし、ブロックチェーンによって新たな価値を創造することがSKILL社のビジョンであり、それによる社会の変革に携われることが何よりのやり甲斐となっています。

ありがとうございました。

 

今のブロックチェーンには必要最低限の優しさが足りないーーPoCの先、ビジネス化に必要な4つの視点

本稿は昨年開催されたブロックチェーンカンファレンス「NodeTokyo」編集部による寄稿 セッションサマリー:日本マイクロソフト、HashHub、Neutrino(Omise Japanとグローバル・ブレインが共同運営)の3社は2018年12月、都内でブロックチェーン関連のカンファレンスを開催した。ステージでは「ネクストユースケース」をテーマに、ビジネスでいかにしてこの新たな技術が活用されるのか、…

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本稿は昨年開催されたブロックチェーンカンファレンス「NodeTokyo」編集部による寄稿

セッションサマリー:日本マイクロソフト、HashHub、Neutrino(Omise Japanとグローバル・ブレインが共同運営)の3社は2018年12月、都内でブロックチェーン関連のカンファレンスを開催した。ステージでは「ネクストユースケース」をテーマに、ビジネスでいかにしてこの新たな技術が活用されるのか、その未来についての議論が交わされた。登壇したのはLayerX代表取締役社長の福島良典氏、HashHub共同創設者の平野淳也氏、ブロックチェーンコミュニティーCryptoAge創業者の大日方祐介(Obi)氏ら3名。モデレーターはNeutrinoの柿澤仁氏が務めた。

セッションのポイント:2018年のブロックチェーン業界はインターネット時代をけん引したプレーヤーが積極的に参入し、スタートアップとタッグを組むなどポジティブな年になりました。また、政府が主導で事業サポートを開始するなど注目が拡大したことも見逃せません。しかしマスに対する浸透という面ではまだまだこれからです。

では、今、この時期に私たちはどのような視点を持つべきなのでしょうか?

本当の意味でブロックチェーンの“ビジネス化”を進めるために必要な要素とは何なのか、セッションで語られたポイントを元に紐解いてみたいと思います。筆者が考えるポイントは次の四つです。

  • 注目したい業界はやはり『金融』、そしてFintech
  • 改めて理解すべき『権利が自律的に承認される』仕組み
  • 新興国はなぜブロックチェーンに注目するのか
  • 具体的になってきた黎明期のビジネスモデル

では、彼らの言葉に耳を傾けてみましょう。

なぜ金融業界でブロックチェーンが使われるのか

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今まで銀行は決算書を基に融資を判断しなければなりませんでした。一方、フィンテックの登場で事業者が決済データを直接所有することが可能になり、それが新たな与信の概念を生み出すことで融資することが可能になった(福島氏)。

ブロックチェーン業界では、金融の領域とうまくマッチングするのではないかと言われており、特にフィンテック分野と繋がりが大きく持てるのではないかと言われています。

福島さんも壇上で指摘している通り、これは別にブロックチェーン以前に、そもそも決済ビッグデータの恩恵で、新しい与信の概念が生まれたことが背景にあります。ブロックチェーンを用いずとも、決済データが金融機関に直接保有されているため、個人や事業者の与信は分散化を始めている、と見ることが可能です。

では、与信の分散化が起き始めている世界観に対し、ブロックチェーンの技術を導入する意義はどこにあるのでしょうか?福島さんは「リスク分散と管理」にこそ理由があると指摘します。

(与信リスクは)一つの企業が取るしかありませんが、ブロックチェーン(またはトークン)を使えば複数社(人)での小口管理が可能となります。ブロックチェーンは、このような“管理”に活用できるのではないかと思っています(福島氏)。

ブロックチェーンの重要な機能として「自律分散」という概念があります。これまでもリスクの分散は可能でしたが、それを細かく管理する場合、どうしてもテクノロジーによる解決が必要でした。保険や土地など権利の管理にブロックチェーンが有用と言われる所以がここにあります。

ブロックチェーンが評価されるべき新たな“所有”という概念

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Neutrinoの柿澤仁氏(当時)

「ブロックチェーンが持つ権利証名の機能に対する評価が低いように感じる」ーーモデレーターを務めた柿澤さんが投げかけたこの観点と、上記で述べたブロックチェーンだからこそ可能な“管理”の概念は大きくつながる点があります。

まず、考えるべきなのは、そもそもブロックチェーン=何か?という問題です。この質問に対して皆さんは何と答えますか?

おそらくバズワード化しているスマートコントラクトや暗号通貨が単語として頭に浮かんだんじゃないでしょうか。もちろん、答えとして完全に間違いではありません。しかし、バズワード化しているこれらは、その使用用途に注目が集まっているだけであり、根本的なブロックチェーン=何か?を考えるならば、ブロックチェーンそのものの価値を考える必要があります。

ここでの重要なワードが「権利証明」です。

例えば、ブロックチェーンの初期ユースケースでもあるビットコインがあります。BTCを保有するウォレットに記載される数値は、その裏ではブロックチェーンによる分散管理が行われています。つまり、誰の力を借りずともビットコインを所有している権利を証明することが可能となっているのです。

福島さんは、これを「ブロックチェーンが達成した、物凄く大きい進歩」だとしています。また、スマートコントラクトをSmartなContract(契約)とそのままの意味合いでとらえるのは避けた方がよいとも話してました。

スマートコントラクトによって契約業務が無くなる、契約書の必要性が無くなるといった表現は間違っていて、正確には共有されているデータの台帳(ブロックチェーン)に基づいた権利や資産の移動を効率的に出来るようになる、これが正しい捉え方です(福島氏)。

ブロックチェーンによって権利証明を実施し、スマートコントラクトによって、権利の移転をプログラミティックに遂行することが可能となる。ブロックチェーン=何か?の問いを分解して考えることで、ブロックチェーンの本質的な価値を理解することが可能になります。

なぜ新興国はブロックチェーンに着目するのか

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写真左から:ブロックチェーンコミュニティーCryptoAge創業者の大日方祐介(Obi)氏、LayerX代表取締役社長の福島良典氏、HashHub共同創設者の平野淳也氏

少し視点を変えましょう。新興国におけるブロックチェーンの活用がここ最近注目されつつあります。彼らはどうしてこの技術に注目しているのでしょうか。

長年にわたり世界中を投資家の視点で飛び回り研究を重ねているObiさんがシンガポールにおけるBinanceを例にとり、これから先数年は新興国におけるブロックチェーンの発展に着目する価値があると予測しています。

業界内で著名なMakerDAOというステーブルコインのプロジェクトがあり、実際にユーザー数や取り扱う額などが巨大になりつつありますが、これでもクリプトを十分に理解しているユーザー層にしか浸透していません。直近1、2年におけるユースケースのマスアダプションを考えると、東南アジアなどの新興国がけん引役になっていたのではないでしょうか。そのキープレイヤーとして動いていたのが、暗号通貨取引所として著名なBinanceです(Obi氏)。

Binanceは取引所としての地位を確立後、Binance Labなどを通して企業投資や育成を始めるなど世界各地で活躍しています。また、Binanceはシンガポールにて法定通貨シンガポールドル(SGD)と結びついた取引所の運営を開始し、シンガポールを中心に東南アジアにおける経済圏確立を目指しています。

ここで興味深いのは、シンガポール政府ファンドであるTEMASEKの子会社Bartex VenturesからBinanceが出資を受けていることです。この点を踏まえ、Obiさんはこのように言及しています。

シンガポールは政府主体となって、本気でBinanceを通したクリプトベースの経済圏を作ろうとしている。これは、ものすごくインパクトがあること(Obi氏)。

彼が新興国におけるブロックチェーンの動きを追っているのは、新興国のスピード感と政府の主体的な積極性にあるという話でした。先進国に比べ既存の枠組みからサポートを受けるチャンスが多く、スピーディーなビジネス展開をできる利点がある、だからこそ逆説的にプロジェクトは発展していくであろうという考え方です。

ここ1、2年におけるマスユーザーに対するドラスティックなアダプションを考えるとき、確かにそのサポート環境が用意されている新興国には大きなアドバンテージがあるといえます。

MakerDAOのように長期的目線で見れば、マスなアダプションが狙えるプロジェクトも数多く存在していることも事実ですが、短期的視点で動向を追うときに新興国も一つのキープレイヤーとなるのは間違いなさそうです。

2019年のブロックチェーン: PoCの先にあるブロックチェーンの”ビジネス化”

最後の視点はビジネスです。

ブロックチェーンを取り巻くコンサルティング企業や、コードオーディット(Code Audit)、暗号通貨取引所あたりぐらいでしょうか。ブロックチェーン界隈でキャッシュフローを生み出せている企業といってもすぐ思いつく名前はそこまで多くありません。

福島さんは、今のブロックチェーンプロジェクトはPoC(Prrof of Concept)を飛び越えて、どのようにビジネス化していくのか、言い換えるとキャッシュフローを回すためにどのような戦略を立てるのかが求められていると話します。

もちろん、根本的な技術的問題を解決していかなけれなならないのは明らかですが、それと同時並行でどの様にキャッシュフローを成り立たせていくのか、まさに今日のテーマである『Beyond PoC』な考えが重要になっていきます。そのためには、多くの利害関係者を集めてまずはエコシステムを成り立たせる。だからこそ、プロジェクト側がユーザーを集める努力をしていかなければなりません。しかし、現状のプロジェクトは単純なUXなどがおろそかにされています(福島氏)。

福島さんはその様な状況を「今のブロックチェーンには必要最低限の優しさが足りない」と表現していました。ブロックチェーンのプロトコルレイヤーに着目した問題と、それを基にしたビジネス化の問題は別枠で考えるべきということです。

また、キャッシュフローを成り立たせるための新たなヒントの切り口として、HashHubの平野さんはOSS(オープンソースソフトウェア)のビジネスモデルをヒントにすべきと助言します。

Red Hutという企業はOSSで提供されているOS、Linuxを各企業ごとに適した形で販売しています。ブロックチェーンのプロジェクトも、その透明性の観点から基本OSSな状態にされていることが多いため、両社のビジネス構造のリンクするケースが非常に高いのではないでしょうか(平野氏)。

この例をブロックチェーン業界で始めているのがIBMです。彼らは、OSSであるブロックチェーンHyperledgerを企業に対して導入・開発するという形でビジネスモデルの構造を作り上げています。

ということでカンファレンスを通じて「次の」ブロックチェーンビジネスを占うキーワードを振り返ってみました。

未だブロックチェーンは黎明期であるといわれる中で、新しい情報が毎日飛び込んできます。必要な情報をきちんとアップデートし、今は不要と思われる情報にもアンテナを伸ばしておく。このフローを自分の中でルール作りしていくとブロックチェーンの向かう先が見えやすくなるのではないでしょうか。私自身も、2019年は上記の分野を中心にリサーチ・発信していきたいと思っています。(取材・執筆:増渕大志)

 

質の高い課題がソリューションを生む源泉となるーーブロックチェーン社会実装、3つのポイント/ブロックチェーン会計士、柿澤氏(リレーインタビュー)

本稿は「NodeTokyo 2018」編集部による寄稿。インタビューに応じてくれたブロックチェーン会計士の柿澤仁氏は「ブロックチェーンビジネスサミット(主催:Neutrino、日本マイクロソフト、HashHubの3社共催)」にも登壇している 前回からの続き。本稿では数回に渡り、ブロックチェーンの社会実装に必要なポイントをリレー形式で識者に聞いていく。「LayerX」CTOを務める榎本悠介氏(@mo…

本稿は「NodeTokyo 2018」編集部による寄稿。インタビューに応じてくれたブロックチェーン会計士の柿澤仁氏は「ブロックチェーンビジネスサミット(主催:Neutrino、日本マイクロソフト、HashHubの3社共催)」にも登壇している

前回からの続き。本稿では数回に渡り、ブロックチェーンの社会実装に必要なポイントをリレー形式で識者に聞いていく。「LayerX」CTOを務める榎本悠介氏(@mosa_siru)からバトンを渡されたのは柿澤氏だ。(太字の質問は全て筆者。回答は柿澤氏)

識者の方にブロックチェーンの社会実装に必要なポイントを挙げてもらっている

柿澤:では、私は大手の利用促進、エコシステムの成長、質の高い課題(ペイン)を挙げさせてもらいます。

大手の利用促進についてはLayerXやBUIDLなどのコンサルティングファームが日本でも立ち上がりつつある

柿澤:誰かがやらないと始まらないですよね。

日本企業や大手企業は実績がないとなかなか踏み込みづらい状況があると思います。なので、上場しているテック企業などの実証実験結果が増えて表に出てくる必要があるんです。しかし、実際はそう簡単にはいきません。

前例なき事業に手を出せないというとネガティブに聞こえるが、実際、安心できるクオリティを担保してサービス提供してもらわないと、ひとつのトラブルがまた業界全体を冷やすことにもなる

柿澤:サポートやメンテナンスなどの有無など、運用のしやすさも重要なんです。例えば日本の大手企業は自社で新しいテクノロジーを保守していくリソースを持っていないことが多いんですね。一方でブロックチェーンベースで作成したサービスについて保守・運用をサポートしていくれるプレイヤーはほとんどいないという現実もあります。

確かにこの状態で本番運用して24・365を求めるのは厳しい

柿澤:この点OSSのプロジェクトは参考になります。OSSだけど保守運用をやる会社(例えばRedhat)があるとか、OSSと同時並行でSaaSとしてもサービス提供する(例えばelastic)など、最初からフルに非中央集権ではなく、使いやすい・使われる形にしていく必要があるかもしれません。

エコシステム全体を見渡してまだまだピースが足りてない

柿澤:この業界に多くのプレイヤーを巻き込む力があるか、問われているんだと思います。ブロックチェーンの活躍が期待されているのは金融システムの代替とか、サプライチェーン全体を巻き込んだ物流のトレーサビリティとかスケールの大きい話が多いんです。一方、前述の課題もあってか、日本では大手企業側から積極的に業界全体を挙げて改革を推進するという動きを期待するのは難しいでしょう。あってもスピード感が違っていたり。

海外では早期に大きくなったベンチャーが既存の企業を買収して業界を変えようとするなどの流れがありますが、国内はまだまだそこまでの巨額投資できるVCが多くなく、最初から大きな動きができるスタートアップは見当たりません。

この課題を加速させるのに必要な一手は

柿澤:人材の流動性はあると思います。海外では大手金融機関の役員や部長レベルの人がどんどんブロックチェーンベンチャーに転職している状況があるんですね。しかし日本ではそういった動きは少なく、大手を動かせる人材がスタートアップにまだまだ不足しています。

あとはやはり解決したい課題の設定ですね。特に「信用にかかる金銭的、時間的コスト」を軸にした具体的な課題設定が必要になると思います。更にこの課題(ペイン)の質が高くないと、質の高いソリューションは出てきません。つまりブロックチェーンを使いたいというだでは良いソリューションは生まれません。

実は大手やベンチャー問わず、それぞれの業界にどのようなペインがあるか、顧客の困っていることや業界の問題についてどんな深い原因があるか分かってない場合が多いんです。ペインを探すところからディスカッションしてブロックチェーンがそれにフィットするのか仮説を立てて検証していく余地がまだまだあるんじゃないでしょうか。

ありがとうございました。

ステーブルコインは実社会とのゲートウェイになるーーブロックチェーン社会実装、3つのポイント/LayerX 榎本氏(リレーインタビュー)

本稿は「NodeTokyo 2018」編集部による寄稿。インタビューに応じてくれた榎本悠介氏の所属するLayerXの代表取締役、福島良典氏は「ブロックチェーンビジネスサミット(主催:Neutrino、日本マイクロソフト、HashHubの3社共催)」にも登壇予定。 前回からの続き。本稿では数回に渡り、ブロックチェーンの社会実装に必要なポイントをリレー形式で識者に聞いていく。HashHubの東晃慈氏か…

本稿は「NodeTokyo 2018」編集部による寄稿。インタビューに応じてくれた榎本悠介氏の所属するLayerXの代表取締役、福島良典氏は「ブロックチェーンビジネスサミット(主催:Neutrino、日本マイクロソフト、HashHubの3社共催)」にも登壇予定。

前回からの続き。本稿では数回に渡り、ブロックチェーンの社会実装に必要なポイントをリレー形式で識者に聞いていく。HashHubの東晃慈氏からバトンを渡されたのは「LayerX」CTOを務める榎本悠介氏(@mosa_siru)だ。(太字の質問は全て筆者。回答は榎本氏)

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LayerX CTOの榎本悠介氏

このリレーインタビューではブロックチェーンが社会に具体的に利用されるために必要なポイントを挙げてもらっている

榎本:そもそも「社会実装」ってなんなんでしょうね?

ざっくりとは一般社会で利用されるシーンのことを指しているが、バズワードというよりは、この言葉を聞いてそれぞれが想起するイメージの集合体と考えている。なので今回のリレーでそれぞれの識者が考えるイメージを尋ねたい

榎本:なるほど。であれば私はスケーラビリティ、ステーブルコイン、それに加えて社会的な理解、という3点を挙げます。

スケーラビリティは東さんも挙げていた

榎本:単純な台帳用途にせよゲームにせよ、何をするにしても問題になってきます。単純なトランザクションスピードだけでなく、今後データサイズが膨らむにあたってノード運営は持続可能かなど課題は多いです。またスケールするにあたっても「分散」とどう両立させるかは難しいところなんです。たとえばEOSのBlock Producer(※)は21個しかありません。分散型原理主義よりも、どんどん現実的な議論が多くなっていると感じるので、どこが落ち着きどころになるかは目が離せませんね。(※EOSネットワークを維持するためのキーマン的存在)

ステーブルコインも話題に挙げる方は多い。一方で先日別稿で解説を掲載したが、発行自体まだまだ社会的な整備が整っていない

榎本:ブロックチェーンと実社会のゲートウェイになるでしょうね。ボラティリティのある仮想通貨は決済手段として使いたがる人はいません。スマホ上で決済したら裏側で「fiat => stable coin => token」で支払われたりしたら便利ですよね。またセキュリティトークンを売買する時、裏側でステーブルコインで決済できたらあらゆる証券の移動がチェーン上で透明になります。

安定した価値を持った機能的な通貨、という位置付けになる

榎本:そうですね。ステーブルコインによる配当もコントラクトで半自動化できますから、透明化されるかもしれません。ステーブルコインによって暗号通貨の世界に入ってもらうと可能性は広がっていきます。

社会的な理解、とは?

榎本:この1年のマーケットは激動でしたが結果的には冷え込んでおり、ICOの話も全然聞かなくなりました。これはむしろ良いことで、ファンドや大型プレイヤーもどこに入れるか決めかねていて、有望プロジェクトをインキュベートする方向になっているんです。

確かに浮いたスキャムに乗っかる人の話題は随分少なくなった

榎本:ブロックチェーンは「仮想通貨のための怪しいツール」だとか、単なる「便利な分散データベース」と見られることもあり、まだまだ企業の理解が追いついていないケースもあるんです。PoCを試している企業は多いですが、その先に行くためにはやはりブロックチェーンが何に向いていて、どういったコストを下げる可能性があるのか、適切な理解が浸透する必要があると思いますね。

ありがとうございました。次にバトンを渡してきます

LayerXの代表取締役、福島良典氏も登壇するカンファレンスでは、これらのテーマについてエンタープライズの識者、専門家らを集めて議論される予定だ。本誌も取材に入る予定で、読者向けの特別割引コードも発行してもらっている。ご興味ある方は議論に参加されたい。

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法定通貨の安定価値+暗号通貨の自由度を兼ねた「ステーブルコイン」、日本で発行するには?ーーブロックチェーン会計士柿澤氏に聞く

本稿は「NodeTokyo 2018」編集部による寄稿。インタビューに応じてくれたブロックチェーン会計士の柿澤仁氏は「ブロックチェーンビジネスサミット(主催:Neutrino、日本マイクロソフト、HashHubの3社共催)」にも登壇予定。 暗号/仮想通貨を実社会で利用する際、大きな課題のひとつとなるのが「価格変動」だ。もらったコインで買える商品の数が分刻みで変動するようなボラティリティは、投機筋に…

本稿は「NodeTokyo 2018」編集部による寄稿。インタビューに応じてくれたブロックチェーン会計士の柿澤仁氏は「ブロックチェーンビジネスサミット(主催:Neutrino、日本マイクロソフト、HashHubの3社共催)」にも登壇予定。

暗号/仮想通貨を実社会で利用する際、大きな課題のひとつとなるのが「価格変動」だ。もらったコインで買える商品の数が分刻みで変動するようなボラティリティは、投機筋にとっては魅力的でも実生活の中では利用の支障にしかならない。

そこで注目を集めているのがステーブルコインである。法定通貨などに紐づくことで安定した価値を持ちながら、暗号通貨ならではの越境送金の手軽さや手数料の軽減などのメリットを享受できる。

海外ではTetherの発行するUSDTなどドルペッグのものが多く発行されており、国内もGMOが10月に円ペッグの「GMO Japanese YEN」を2019年に発行すると公表している。

ではこのステーブルコイン、国内で発行する場合にはどのようなステップが必要なのだろうか。この件についてブロックチェーン会計士の柿澤氏(Omise Japan所属)が詳しい解説をソーシャル上に投稿していたので、その内容について話を聞いた。(太字の質問は全て筆者、回答は柿澤氏)

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ステーブルコインを具体的に国内で発行する際、どういったプロセスを踏む必要がある

柿澤:JPYステーブルコイン発効までのプロセスとしては、まずどのようなステーブルコインを作るか概要を検討することから開始して、どのような法律構成になるのか弁護士と検討するのが先決ですね。

ステーブルコインを発行流通させるには前払式支払手段、資金移動業、仮想通貨交換業などの規制が関連しそうと言及していた

柿澤:ただ、本当に複雑で解釈も分かれますから、要件が決まった段階で金融庁に相談に行く必要があります。そこでOKになれば必要な免許を取得し、発行に向けた具体的な準備を進めることになるでしょうね。

規制についてもう少し詳しく。どういった法律が関連するか

柿澤:実は現状でステーブルコインに関する包括的な法律がないため、どのようなものにするにも弁護士と一緒に個別具体的に検討してどのような法律の整理になるかを検討する必要があります。金融庁へのお伺いも同様ですね。ただその上でAML(アンチマネーロンダリング)対策は必須になると。

暗号通貨の発行には仮想通貨交換業が必要だが、一方で金融庁がステーブルコインを現行法では暗号通貨とみなさない、という報道もあった

柿澤:そうですね、仮想通貨に当たる場合でも発行自体は何ら法律の縛りはありません。発行してJPYや仮想通貨を受け取るには仮想通貨交換業が必要になります。もしくは既存の仮想通貨交換業者に販売してもらうかですね。

NEMベースのLCNEMはプリペイドの方式を取っている

柿澤:日本の仮想通貨に当てはまらない形で発行する場合ですね。ただこちらについても前払式支払手段(プリペイド/スイカなどと同じ区分)に当たる場合は、業登録をしてから発行する必要があります。また、JPYのようなものを送金するには為替業務にあたるので、資金決済法の資金移動業の登録または銀行法の銀行業の免許が必要です。

海外への送金で課題になるのは

柿澤:JPYステーブルコインと外貨の両替を行う場合は外貨両替、JPYステーブルコインを海外に送る場合は海外送金にあたり外為法の対応が必要な可能性が出てきます。

では日本の法律の仮想通貨に該当する形で発行する場合は。ハードルがかなり上がりそうだが

柿澤:まず仮想通貨交換業を日本で取得しないといけませんが、取引所を作る場合、従業員40−50人(相当数の金融のプロを含む)が必要で登録完了までに1年はかかります(取引所の新規の登録ですでに100社以上が待っている状態のため)。コストもおそらく数十億円単位で必要でしょうね。

あと、仮想通貨としてのステーブルコインを日本で売買するにはそのステーブルコインを金融庁に認めてもらう必要もあります。

こうやってお聞きするとプリペイド方式が現実的に見えますが、課題は

柿澤:前払式支払手段の登録は大変じゃないですが、預かったJPYの半額を供託または信託する必要があります。また仮想通貨として海外の取引所や国内の取引所で流通してしまったら前払式支払手段ではなくて仮想通貨とみなされる可能性が高くなります。結果的に利用範囲が限定的になる可能性はありますね。そのため、目的にもよりますが、前払式支払手段よりは銀行業や資金移動業を利用した方が利用範囲としては自由度が高くなると思います。

お時間ありがとうございました。

柿澤氏も登壇するカンファレンスでは、ブロックチェーンの社会実装ついて議論される予定だ。本誌も取材に入る予定で、読者向けの特別割引コードも発行してもらっている。ご興味ある方は議論に参加されたい。

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企業が知るべきブロックチェーン社会実装、必要な3つのポイントーーHashHub東氏(リレーインタビュー)

本稿は「NodeTokyo 2018」編集部による寄稿。インタビューに応じてくれたHashHubの東晃慈氏は「ブロックチェーンビジネスサミット(主催:Neutrino、日本マイクロソフト、HashHubの3社共催)」にも登壇予定。 暗号通貨バブルが弾け飛んだ祭りの後、静かに話題になりつつあるのが「ブロックチェーンの社会実装」だ。 自律的かつユニークなデータを担保できるこのインフラは、これまでのネッ…

本稿は「NodeTokyo 2018」編集部による寄稿。インタビューに応じてくれたHashHubの東晃慈氏は「ブロックチェーンビジネスサミット(主催:Neutrino、日本マイクロソフト、HashHubの3社共催)」にも登壇予定。

暗号通貨バブルが弾け飛んだ祭りの後、静かに話題になりつつあるのが「ブロックチェーンの社会実装」だ。

自律的かつユニークなデータを担保できるこのインフラは、これまでのネット社会にはない新しい未来の可能性を指し示してくれる。その一方、社会的な思想も織り込んだコンセンサスアルゴリズムの存在など、実装にはこれまでのテクノロジーとは異なる種類のハードルもある。

本稿では数回に渡り、ブロックチェーンの社会実装に必要なポイントをリレー形式で識者に聞いていく。初回はHashHubの東晃慈氏だ。(太字の質問は全て筆者。回答は東氏)

NodeTokyoに登壇したHashHub東氏・Image Credit : CoinPost/Shin Nakamura

暗号通貨の取引で一般に認知が広がったブロックチェーンインフラの社会実装が進んでいる。サプライチェーンや保険、ゲームコンテンツなど話題の幅も広い。一方でまだ浸透には時間がかかるとして、私の取材でも2、3年ほどの時間軸を挙げる人も多い。まず何がポイントやハードルになるか。ポイントを敢えて3つ挙げるとすれば

東:そうですね、他の方と被るかもしれませんが、基盤となるプロトコル、スケーラビリティ、キラーアプリケーションの3つを挙げたいですね。

プロトコルについてはまだ混沌としていて、特にエンタープライズではプライベートとパブリックの使い分けも含め、相当複雑に思える

東:「社会実装」という形で広く企業やユーザーに使われることが起きるとして、まだどのプロトコル、プラットフォームが勝ち残っていくか分からない状況です。そこを競争して争っているような状態が現状ですよね。まず、最初にこれらが徐々に集結していき、いくつかの重要な技術やプラットフォームにリソースが集約されて初めて社会実装的なフェーズに入ると考えています。

なるほど、まだ社会実装するにもOSがWindowsなのかMacなのか、Linuxなのか分からない状態に近い。同じような問題としてスケールの話題もまだこれからだ。ゲームコンテンツ購入するのに10分待つとか後世の笑い話になって欲しい

東:プロトコルの話とも関連して、少なくともパブリックのプロトコルで今社会実装と言えるレベルまでのスケーラビリティを備えるものはまだないという認識です。これはセカンドレイヤー、サードレイヤーなどが成熟してこないと難しいんじゃないでしょうか。

キラーアプリケーションの存在も重要だ

東:これもずっと前から言われていることですが、いわゆるブロックチェーンのキラーアプリケーションと言えるような暗号通貨や、ブロックチェーンを使わないとどうしても解決できない課題というものはまだ期待されるほどありません。
今は何が意味があり、何がハイプかをプロトコル選定も含めて見極めているようなフェーズです。しかし今までは確かにこれは出来なかった、というタイプの応用例などが出てきて初めて広く社会で使われるようになると思いますね。

ありがとうございました

東氏も登壇するカンファレンスでは、これらのテーマについてエンタープライズの識者、専門家らを集めて議論される予定だ。本誌も取材に入る予定で、読者向けの特別割引コードも発行してもらっている。ご興味ある方は議論に参加されたい。

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