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AI英語学習のスピークバディ、グローバル・ブレインらが3億円出資

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AIを使った英語学習サービスを展開するスピークバディは8月20日、シリーズBにて第三者割当増資の実施を公表している。リード投資家はグローバル・ブレインが務め、31VENTURESも同ラウンドに参加している。調達した資金は総額3億円で、事業開発の強化、人材の獲得・育成、マーケティング施策に利用されるという。 ニュースレターの購読 注目すべき記事、世界のスタートアップシーンの話題、BRIDGE 主催の…

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AIを使った英語学習サービスを展開するスピークバディは8月20日、シリーズBにて第三者割当増資の実施を公表している。リード投資家はグローバル・ブレインが務め、31VENTURESも同ラウンドに参加している。調達した資金は総額3億円で、事業開発の強化、人材の獲得・育成、マーケティング施策に利用されるという。

スピークバディの創業は2013月5月(旧社名はAppArray)。同社が展開するのはAIを活用した対話型の英語学習アプリ「スピークバディ」と、オンラインの英語コーチング「スパルタバディ」の二つ。

スパルタバディ

スピークバディでは音声認識や自然言語処理などのAI技術を活用することで、アプリの中に出演するキャラクターとの自然な英会話を可能にしている。実際の人物を相手にするオンライン英会話スクール、プログラムに比較して特に初心者の心理的な障壁を下げているのが特徴。2019年5月にはApp Store教育ランキングで1位を獲得した。

また、スパルタバディでは、審査を経た専属の英語コーチが単語や文法、発音、リスニング、会話などの項目を3カ月に渡って個別指導してくれる。スピークバディも使いながら、最適な学習方法や進捗管理を実施し、総合的な英語力の獲得をサポートする。利用料金はスピークバディが月額1950円。スパルタバディは3カ月のオンラインコースで12万8000円となっている。

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大卒同等と認定「Googleデータサイエンティスト育成コース」がオンライン開校へ【補足訂正】

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ピックアップ:A digital jobs program to help America’s economic recovery ニュースサマリー:Googleは13日、デジタルスキルの習得をサポートする取り組み「Google Career Cerfiticates」へ、新たに3つのコースを追加したと発表した。コースはデータアナリティクス・プロジェクトマネジメント・UXデザイン講座で…

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ピックアップ:A digital jobs program to help America’s economic recovery

ニュースサマリー:Googleは13日、デジタルスキルの習得をサポートする取り組み「Google Career Cerfiticates」へ、新たに3つのコースを追加したと発表した。コースはデータアナリティクス・プロジェクトマネジメント・UXデザイン講座で、Grow with Google上にて受講可能となる。

編集部による訂正:記事初出時、3講座が受講できる場所をGrow with Googleとしておりましたが、正しくはオンライン学習プラットフォーム「Coursera」上という話題があるものの、公式の発表では場所や時期は未定、というのが正しい情報でした。修正してお知らせさせていただきます。

同社が取り組む「Google Career Cerfiticates」は、Googleが定める認定資格として扱われる。無事コースを修了すれば、同社における特定のロールでは4年制大学卒業と同等資格として扱うとしている。

話題のポイント:Googleが公開したブログによれば、2010年以降に作られた雇用形態はその約75%が中レベル~高レベルまでのデジタルスキルを要すると明らかにしています。

しかし、経済またはその他の要因によりデジタルスキルの習得環境は大きなギャップが存在していることも事実です。そうした、ギャップを取り除き誰でもデジタルスキルを学ぶ「環境」を勝ち取るチャンスを提供する、という目的で始まったのが同社の「Grow with Google」という取り組みです。

今回のリリースタイトル「A digital jobs program to help America’s economic recovery」からもわかる様に、アメリカにおける所得分布の格差は拡大を続けています。

Image Creditn : Trends in income and wealth inequality

NPO法人The Pew Research Center’s Social & Demographic Trendsの調べによれば、年々高所得者・中間所得者・低所得者層の所得分布の分散は拡大し続けているそうです。逆に、中間所得層が占める割合は減少傾向にあり、2018年時点では高所得者が中間所得者のシェアを上回ったことを示しています。

もちろんあらゆる観点で、所得格差の是正をしていかなければいけないのは当然でしょう。しかし、デジタルスキルを身に着けることが現時点における一つの最良な選択であることは間違いありません。

また、Googleはこれらの認定資格を保有していれば同社内の該当ポジションにおける募集要項の大卒資格と同等の資格として扱うことを明言しています。そのため、Google Career Cerfiticatesが単なる形上の「資格」なのではなく、実用性が備わったものであることを自社が先導することで証明しようとしているのです。

現在、認定資格を受講するためには49ドルの費用が掛かりますが、同社は10万人に対してニーズに応じた奨学金を付与すると発表しています。

Udemyの登場など、あらゆるデジタルスキルをだれでも学べる環境は徐々に整ってきています。しかしそれでも、所得分布の分散は止まりません。テクノロジー企業の代表でもあるGoogleが先頭に立って、課題意識を提示するからこそ意味のある社会貢献となるのかもしれないですね。

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ティーン限定のオンラインラーニング「Inspire High」、パルコやSTRIVEらが出資

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13〜19歳限定のオンラインラーニングコミュニティ「Inspire High」は4月16日、シードラウンドとしてパルコ、STRIVE、ほか個人投資家数名から資金調達を実施したと発表した。なお、調達額と個人投資家名は公表されていない。 Inspire Highは13〜19歳限定のオンラインラーニングコミュニティ。普段ふれあう機会の少ないアーティストや起業家、研究者やビジネスパーソンなど、第一線で活躍…

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Image Credit:Inspire High

13〜19歳限定のオンラインラーニングコミュニティ「Inspire High」は4月16日、シードラウンドとしてパルコ、STRIVE、ほか個人投資家数名から資金調達を実施したと発表した。なお、調達額と個人投資家名は公表されていない。

Inspire Highは13〜19歳限定のオンラインラーニングコミュニティ。普段ふれあう機会の少ないアーティストや起業家、研究者やビジネスパーソンなど、第一線で活躍して自分の人生を楽しむ様々な大人とのインタラクティブなライブ配信セッションを実施している。スマートフォンとインターネットさえあればどこからでも参加できる、サブスクリプションサービスである。月額利用料金は1500円。¥

また、今回の資金調達と同時にパルコとは業務提携も実施しており、今後は全国のPARCO拠点を活用した集客や、パルコ新事業開発におけるサポート、クリエイターネットワークの相互活用を積極的に行なうという。

via PR TIMES

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ネットから子供を守れ、デジタルインフラ「SuperAwesome」にMSが出資

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インターネットが子供の健康を危険にさらしていることを多くの人々が認識するようになってから、企業はさまざまな脅威に取り組み始めている。 「SuperAwesome」は、各ブランドが子供たちに「安全な」コンテンツを提供できるようにするプラットフォームであり、子供を守るデジタルサービスとして代表的な例であろう。同社はロンドンに拠点を置き、Mattel、Lego、NBC Universal、Hasbroな…

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Image Credit: SuperAwesome

インターネットが子供の健康を危険にさらしていることを多くの人々が認識するようになってから、企業はさまざまな脅威に取り組み始めている。

SuperAwesome」は、各ブランドが子供たちに「安全な」コンテンツを提供できるようにするプラットフォームであり、子供を守るデジタルサービスとして代表的な例であろう。同社はロンドンに拠点を置き、Mattel、Lego、NBC Universal、Hasbroなどの有名クライアント企業を持ちながら、世界中で5億人の子供たちにサービスを提供している。

SuperAwesomeは、昨年2月に1,300万ドルのトランシェを含む約4,100万ドルを調達した。そして1月27日、Microsoftが運営するM12 Venture Fundを通じて新たな調達をしたことを明らかにした。投資額は公表しなかったが、M12が欧州初の事務所をロンドンで開設した後の最初の現地投資となった。ちなみにM12には、シアトル、サンフランシスコ、テルアビブ、ベンガルールにオフィスがある。

おままごと

デジタルデバイスがエンタメ市場として大きく成長しているが、子供向けコンテンツ企業や広告主は視聴者へリーチするのに苦労している。これは、米国における子供向けオンラインプライバシー保護法(COPPA)やヨーロッパのGDPRなど、ウェブサイトやモバイルアプリが子供から「個人情報」を収集することを守る、さまざまな規則や規制によってさらに困難になっている。そのため企業は子供のプライバシーを維持するという道徳的義務だけでなく、法的義務も負っている。

近年、各大手テクノロジー企業はそれぞれのプラットフォームで、子どもの保護が不十分であるという問題に直面している。 5年前にYouTubeが子供向けのアプリを立ち上げた際、広告の使用などですぐさまに非難を受けた。 Facebookは多くのアプリのクリーンアップにも苦労しており、Instagramを(子供だけでなく)すべての人にとってより快適な場所にするためにAIに注目している。

一方、Amazonは親にFreeTimeを提供。これにより子供がFireタブレットに費やす時間を制御できる。別のサブスクリプションサービスAmazon FreeTime Unlimitedは、アプリ、書籍、ゲーム、ウェブサイト、ビデオなどに登録された子供向けコンテンツロックを提供する。

SuperAwesomeは「ゼロデータインターネット」と呼ばれるインフラストラクチャを開発し、ニッチ市場の開拓を目指す。子供とその親にとって、SuperAwesomeの技術は子供がオンラインで追跡されないようにする。また、こうした技術は各国の法律に準拠したままである。

「2013年、私たちは少数チームとして集まりましたが、ほとんどの投資家によって断られました」と、SuperAwesomeの共同設立者兼CEOのDylan Collins氏は述べる。 「現在、当社の子供向け技術プラットフォームは、広告やビデオからコミュニティや親の同意に至るまで、毎月120億件を超える子供向けの安全な取引を可能にしています」と続けた。

広告から同意まで

SuperAwesomeの製品ラインナップには、企業が個人データに基づかないコンテキスト広告を配信できるAwesomeAdsが含まれる。 また、Kidfluencerは子供向けインフルエンサーマーケティングおよびYouTube用のコンテンツ作成ツールとなっている。 Kids Web Servicesは開発者が検証可能な保護者の同意(VPC)機能をアプリに組み込むために使用できるツールキット。 PopJamは2015年に同社が「Mind Candy」から買収した子供向けソーシャルネットワークである。

FINAL
Above: SuperAwesome’s consent management platform, Kids Web Services

SuperAwesomeのロゴは、子供たちを念頭に置いてデザインされていることを示すために、デジタル製品に対する一種の「承認シール」ブランドになっている。

オンラインで子供を保護することを約束している他の企業には、さまざまなデジタル福祉機能を自社のソフトウェアに統合しようとしているアプリメーカーを対象に、バックエンドサービスを開発するスイスのスタートアップ「Privately」や、いじめを軽減するためのセーフガードアシスタントを構築したロンドン拠点の「SafeToNet」が含まれる。イスラエル拠点の「L1ght」も同じ分野で活躍する。

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Above: Companies can use Privately to integrate anti-abuse technology into their apps

M12がSuperAwesomeに出資することは、Microsoft自身が世界中の市場でのさまざまな親の同意規制を順守しなければならずデジタルID管理ソフトウェアを自社のクライアントに提供することを考えると、戦略的な観点からMicrosoftにとって非常に理にかなっている。

「Dylan氏は子供たちのためにインターネットをより安全に保つことをミッションにチームを育てました。毎日17.5万人以上の子供たちがオンラインを訪れるデジタル第一世代にとって、SuperAwesomeのミッションは重要な優先事項となっています」とM12の担当者はブログ記事で回答。 「アイデンティティ管理分野におけるMicrosoftの軌跡を考えると、SuperAwesomeとのパートナーシップの機会を模索することも楽しみになってきます」と続けた。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

 

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学習管理SNS「Studyplus」が7億円を調達

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学習管理SNS「Studyplus」を提供するスタディプラスは1月17日に第三者割当増資の実施を公表している。調達した資金は7億円で、これまでの累計での資金調達額は総額で約17億円となった。増資の引受先となったのはRFIアドバイザーズ、博報堂DYベンチャーズ、西武しんきんキャピタル、みずほキャピタル、旺文社ベンチャーズ、横浜キャピタル、池田泉州キャピタル、ユナイテッド、増進会ホールディングス、NS…

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学習管理SNS「Studyplus」を提供するスタディプラスは1月17日に第三者割当増資の実施を公表している。調達した資金は7億円で、これまでの累計での資金調達額は総額で約17億円となった。増資の引受先となったのはRFIアドバイザーズ、博報堂DYベンチャーズ、西武しんきんキャピタル、みずほキャピタル、旺文社ベンチャーズ、横浜キャピタル、池田泉州キャピタル、ユナイテッド、増進会ホールディングス、NSGホールディングス、新興出版社啓林館。

今回調達した資金は、前年9月に提供を開始した新規事業「ポルト」のサービス拡充に充てるとともに、「Studyplus」及び「Studyplus for School」の開発・運営体制の強化に投資する予定。

同社は、学習管理SNS「Studyplus」や教育事業者向け学習管理プラットフォーム「Studyplus for School」、電子参考書サブスクリプションサービス「ポルト」を提供している。同社が公表している「Studyplus」の会員数は495万人(2020年1月20日現在)。「Studyplus for School」は、主に中学生、高校生を対象とする全国の学習塾・予備校約500校以上への導入実績がある。

via PR TIMES

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サブスク銀行からパッション・エコノミー、注目あつまる「世界の250社」まとめ(2/4)

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1編ではエンタープライズ、フード領域を見てきました。2編では銀行業界を中心に起きている欧米市場の動きや、教育市場で起きている金銭ハードルをなくす動向を見ていきます。 エンタープライズ(1編) フード(1編) フィンテック(本編) 教育(本編) ギグ経済(本編) ヘルスケア(3編) メディア(3編) トラベル(3編) 不動産(4編) 小売(4編) モビリティ(4編) 新興“バンク”の立ち上がり 「A…

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Photo by Lukas Kloeppel on Pexels.com

1編ではエンタープライズ、フード領域を見てきました。2編では銀行業界を中心に起きている欧米市場の動きや、教育市場で起きている金銭ハードルをなくす動向を見ていきます。

  • エンタープライズ(1編)
  • フード(1編)
  • フィンテック(本編)
  • 教育(本編)
  • ギグ経済(本編)
  • ヘルスケア(3編)
  • メディア(3編)
  • トラベル(3編)
  • 不動産(4編)
  • 小売(4編)
  • モビリティ(4編)

新興“バンク”の立ち上がり

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Image Credit: MoneyLion
  • Atom Bank」はモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2014年にイギリスで創業し、7月に5,000万ユーロの資金調達を非公開ラウンドで実施。Woodford Patient Capital Trust、BBVA、Toscafund、Perscitus LLPらがラウンドに参加。
  • Current」は若者向けモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2015年にニューヨークで創業し、10月に2,000万ユーロの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Wellington Management、Galaxy Digital EOSらがラウンドに参加。
  • Chime」はモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2013年にサンフランシスコで創業し、12月に5億ドルの資金調達をシリーズEラウンドで実施。DST Globalがリード投資を務めた。
  • Koho」はモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2014年にトロントで創業し、11月に2,500万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Portag3 Venturesがリードを務め、Greyhound Capitalらが参加。
  • Mercury」はスタートアップ向けのモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。サンフランシスコで創業し、9月に2,000万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Andreessen Horowitz、Naval Ravikantらがラウンドに参加。
  • MoneyLion」は会員制モバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2013年にニューヨークで創業し、7月に1億ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Edison PartnersとGreenspring Associatesが共同でリード投資を務めた。
  • Monzo」はモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2015年にロンドンで創業し、6月に1.13億ユーロの資金調達をシリーズFラウンドで実施。YC’s Continuity fundがリード投資を務めた。
  • Nubank」はラテンアメリカ地域にてモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2013年にブラジルで創業し、7月に4億ドルの資金調達を実施。TCVがリード投資を務めた。
  • N26」はモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2013年にベルリンで創業し、7月に1.7億ドルの資金調達をシリーズDラウンドで実施。 Insight Venture Partnersがリードを務め、GICがラウンドに参加。
  • Point」はモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2018年にサンフランシスコで創業し、1月に120万ドルの資金調達をプレシードラウンドで実施。
  • Rho Business」はスタートアップ向けのモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2018年にニューヨークで創業し、10月に490万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Inspired Capitalがリード投資を務めた。
  • Starling Bank」はモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2014年にロンドンで創業し、10月に3,000万ユーロの資金調達を実施。Merian Chrysalisがリードを務め、 JTCらがラウンドに参加。
  • Step」は若者向けモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2018年にパロアルトで創業し、7月に2,250万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Stripeがリード投資を務めた。
  • Uala」はラテンアメリカ地域にてモバイル・バンキングサービス(チャレンジャーバンク)を提供。2017年にアルゼンチンで創業し、11月に1.5億ドルの資金調達を実施。TencentとSoftBank’s Innovation Fundが共同でリード投資を務めた。
  • Joust Labs」は個人事業主向けのオンライン・バンキングサービス(ネオバンク)を提供。2017年にオースティンで創業し、8月に260万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。PTB Venturesがリードを務め、Accion Venture Lab、Financial Venture Studio、Techstarsがラウンドに参加。
  • Open」はインドにてモバイル・バンキングサービス(ネオバンク)を提供。2017年にバンガロールで創業し、6月に3,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Tiger Global Managementがリードを務め、Tanglin Venture Partners Advisors、3one4 Capital、Speedinvest、BetterCapital AngelList Syndicateがラウンドに参加。
  • Oxygen」は個人事業主向けのオンライン・バンキングサービス(ネオバンク)を提供。2018年にサンフランシスコで創業し、1月に550万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Y Combinator、Base Ventures、The House Fundらがラウンドに参加。
  • Starship」はモバイル・バンキングサービス(ネオバンク)を提供。2016年にニューヨークで創業し、12月に700万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Valar Venturesがリード投資を務めた。

新興バンクの調達案件が多数登場してきました。2015年前後に登場した銀行スタートアップたちは、ほぼ同じコンセプトで事業展開を始め、市場はすでにレッドオーシャン化。欧米は規制も比較的緩く、銀行ライセンスを取得し、自社で当座・普通預金口座やローン事業を展開する「チャレンジャーバンク」が急速に増えています。

一方、銀行ライセンスを持たずに、既存銀行のサービスを統合して新たなサービスとして昇華させる「ネオバンク」はやや下火な印象です。なお、ネオバンクは1編で紹介したAPIを通じて銀行サービスを引き出しています。

レッドオーシャン市場では、攻め方が2つ挙げられます。1つは地域特化。米国では先行者利益を積みつつある「Chime」が市場をリードしています。同社のような先行者利益を得るために、南米やアフリカ地域での市場シェアをいち早く獲得する動きが目立ちます。

もう1つはデモグラフィック特化。主に銀行サービスへのアクセス権を持たなかった中高生に向けた銀行サービスが成長を遂げています。こうした銀行に共通することは、1編の冒頭で触れたアクセシビリティに焦点を当てている点です。

Z世代の若者はクレジットヒストリーを持たないことから、クレジットカードを発行できなかったり、適切な年齢になるまで気軽に銀行サービスにアクセスできない課題意識を持っていました。Z世代ユーザーのユニークな課題意識は、大学を卒業したミレニアル世代以上のペインを持ちます。

この課題を解決するために動いているのが、若者向け新興バンク「Current」に代表される企業です。また、スタートアップや個人事業主向けに特化することで、利用シチュエーションを限定させて人気を得ている、「Mercury」や「Oxygen」などの銀行も登場しています。こうしたデモグラフィック特化の事業アイデアでニッチ領域を独占する銀行サービスに商機が生まれています。

リストの中で興味深い事例が、「MoneyLion」の推し進める“Netflix for banking”に関する事業コンセプト。同社は「Core」「Plus」「Instacash」の3つのプランを元に会員制度を敷き、月額9.99 – 19.99の範囲でユーザーから収益化します。

銀行サービスは一般的にレンディングビジネスで収益化をしていると考えられますが、サブスクリプションモデルを導入することで、安定した収益構造を作り上げていると想像できます。銀行サービスはスイッチコストが多くかかるため、競合へ逃げることはあまりないはずです。

そのため、事業ベースをサブスクリプションにすることで、高いLTVを収益に直結させられる算段です。ユーザーにとっては必要なサービスだけ引き出せるため、多量なサービスをどう選べば良いのかわからなくなる複雑性や、サービスの過剰供給を防げるメリットを選べます。日本でも“サブスク銀行”の業態は登場しても不思議ではなさそうです。

カードの普及

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Image Credit: Deserve
  • Deserve」は若者向けにクレジットカードを提供。2013年にメンローパークで創業し、11月に5,000万ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Goldman Sachsがリード投資を務めた。
  • Mitto」はZ世代向けにプリペイド・デビットカードを提供。バルセロナで創業し、9月に200万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。InnoCells、Athos Capitalらがラウンドに参加。
  • Petal」はクレジットヒストリーの無い人向けにクレジットカードを提供。。2016年にニューヨークで創業し、1月に3,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Valar Venturesがリード投資を務めた。
  • Ramp Financial」は法人向けカードを提供。ニューヨークで創業し、8月に700万ドルの資金調達を実施。Founders Fund、BoxGroup、Coatue Managementがラウンドに参加。
  • Tribal」は法人向けカードを提供。2016年にサンノゼで創業し、12月に550万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。BECO CapitalとGlobal Venturesが共同でリードを務め、Endure Capital、500 Startups、Valve VC、AR Ventures、Off The Grid Ventures、Rising Tide Fund、RiseUp、Tribe Capitalがラウンドに参加。

先述した銀行サービスにはカードが必ず付いてきますが、この項ではカード発行だけに特化したスタートアップを紹介します。なかでも「Deserve」の動きは注目です。同社はZ世代向けに決済カードを発行する特化型ビジネスから始まりました。若者向けという金融市場の“ラストマイル”へ参入したことから事業を急拡大させてきたのです。

なお、ユーザーの親御さんが手軽に取引を管理できるようにモバイル体験を最適化させています。カードと口座ダッシュボードをモバイル時代に適応させたのがDeserveでした。

現在は全世代向けにカードを発行し、“Credit Card as a Service”をコンセプトに掲げ、あらゆるブランドが手軽にカードとダッシュボードを利用できるオープンプラットフォームになろうとしているのです。しかし、この事業方針は1編で紹介した決済カード発行APIを提供する「Galileo」と競合になります。ユーザー基盤を着実に増やしてブランド力を上げてきたDeserveと、API事業に特化したGalileoのどちらが市場覇権を握るのかに注目が集まります。

Deserveと同じ事業コンセプトを法人向けに展開するのが「Ramp Financial」や「Tribal」です。費用立て替えなどの厄介なプロセスを省くため、各従業員にカードを発行して、マネージャーが利用状況を管理できるUXを提供します。

これは親子向けのカード利用シーンとほぼ同じ関係と言えるでしょう。Deserveに通じる業態は、課題解決ポイントを上手く突いていることから、Ramp FinancialやTribalのように他領域でも活用できますし、日本でも十分に通用するユースケースだと感じます。

金回りの改善

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Image Credit: Otis
  • Capital」は500万ドルからのデットファイナンスサービスを提供。ニューヨークで創業し、10月に500万ドルの資金調達を実施。Greycroft, Future Ventures、Wavemaker Ventures、 Disruptiveがラウンドに参加。
  • CoinList」は投資家と仮想通貨プロジェクトを繋ぐマッチングサービスを展開。2017年にサンフランシスコで創業し、10月に1,000万ドルの資金調達を非公開ラウンドで実施。Polychain Capitalがリードを務め、Jack Dorsey氏がラウンドに参加。
  • Happy Money」はクレジット債務返済サポートサービスを提供。2009年にカリフォルニア州で創業し、9月に7000万ドルの資金調達をシリーズDラウンドで実施。CMFG Venturesがリード投資を務めた。
  • Otis」は若者向けにアート作品の所有権投資プラットフォームを提供。2018年にニューヨークで創業し、12月に1,100万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Maveronがリード投資を務めた。
  • PayJoy」は途上国のモバイルユーザー向けにクレジットヒストリー構築サービスを提供。2015年にサンフランシスコで創業し、5月に2,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Greylock Partnersがリードを務め、Union Square Ventures、EchoVC、Core Innovation Capitalがラウンドに参加。
  • PTO Exchange」 は従業員の未消化有給休暇分を換金するサービスを提供。2013年にワシントン州で創業し、8月に300万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。WestRiver Groupがラウンドに参加。
  • Salaryo」はコワーキングスペースの利用者向けにオフィス敷金のレンディングサービスを提供。2017年にニューヨークで創業し、8月に550万ドルの資金調達を実施。Ruby Ventures とMichael Ullmann’s investment groupがラウンドに参加。
  • SeedLegals」はスタートアップの資金調達および資本管理向けリーガルプラットフォームを提供。2016年にロンドンで創業し、3月に400万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Index Venturesがリードを務め、Kima Ventures、The Family、Seedcampがランドに参加。
  • Uncapped」はスタートアップ向けに収益ベースの資金提供サービスを提供。2019年にロンドンで創業し、12月に1,000万ユーロをシードラウンドで実施。Global Founders Capital、White Star Capitalらがラウンドに参加。
  • Uplift」は後払い/分轄払い旅行サービスを提供。2014年にメンローパークで創業し、12月に2.5億ドルの資金調達をデッドファイナンスで実施。Madrone Capital Partnersがリードを務め、Draper Nexus、Ridge Ventures、Highgate Ventures、Barton Asset Management、PAR Capitalがラウンドに参加。
  • Zestful」はカスタマイズ可能な従業員福利厚生プログラムを提供。2016年にデンバーで創業し、9月に500万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Thrive Capitalがリードを務め、Box Group、Y Combinator、Matchstick Ventures、Third Kind Capital、Shrug Capitalがラウンドに参加。

本項ではお金との新しい接点を作り、流動性を向上させているスタートアップをまとめています。特に興味深いスタートアップは3つほど。1つはZ世代向けアート作品の投資プラットフォーム「Otis」。SNS時代に評価されるストリームグッズや、現代アート作品への投資を可能としています。若者に人気が出るであろうアート作品を、高い流動性を持つ少額投資商材として提供。

Z世代が持つ価値観に合わせて、投資商材を最適化させているのがOtisです。モバイル投資プラットフォーム「Robinhood」や「Stash」にも通じるUXを持っている点は、日本でも通用するかもしれません。

2つ目は使わなかった有給休暇期間を換金できるサービス「PTO Exchange」。日本と同様に未消化分の有給休暇が溜まれば、転職が決まったのちに消化をして、出勤しない期間が長く発生します。これは企業にとって、新規採用サイクルが滞ってしまうデメリットを背負います。そこでPTO Exchangeが登場しました。

同社は消化しきれない有給休暇を換金して、企業採用の新陳代謝を促進させるソリューションを提供。日本では無理やりにでも有給を使わされる文化が根付いていると思います。ただ、効率的に有給消化をして休みを取るマインドセットも大切ですが、現実はそうはいかないはず。“生産性革命”が叫ばれている今、PTOと同じ仕組みを日本のベンチャーが取り組んでみると面白いかもしれません。

最後は「Zestful」。企業が各従業員に支給する福利厚生額の用途を、従業員側で自由に利用できるサービスです。従来、福利厚生サービスは限定パッケージ内のコンテンツでのみ利用可能でした。しかし、マッサージや旅行割引などの型にはまったコンテンツからしか選べず、必ずしも欲しいと思える福利厚生は落ちていません。そこでZestfulは、NetflixやSpotify、Airbnbに代表されるミレニアル世代に人気のコンテンツの中から自由に選べるように、福利厚生の利用用途に柔軟性を与えました。

福利厚生を普段使うサービスに当てられることで、従業員の満足度も向上。企業側も訴求力の強い福利厚生パッケージを提示できるようになりました。

日本の福利厚生サービスは限定的、かつコンテンツが一新されていない印象であるため、日本版Zestfulには大きな商機があるかもしれません。各従業員に渡すデビットカードを発行することで、取引管理サービスとしての価値提供もできるでしょう。

多様な保険サービス

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Image Credit: Avinew
  • Avinew」は自動運転車ドライバー向けに利用量ベースの保険サービスを提供。2016年にカリフォルニア州で創業し、6月に500万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Crosscut Venturesがリードを務め、American Family Ventures、Draper Frontier、RPM Venturesがラウンドに参加。
  • Route」は配達物トラッキングおよび購入物1%の保険サービスを提供。2018年にユタ州で創業し、11月に1,200万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Album VCとPeak Venture Capitalがラウンドに参加。
  • SafetyWing」はリモートワーカー向けの医療保険サービスを提供。2017年にサンフランシスコで創業し、8月に350万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Foundersがリードを務め、Credit Ease Fintech FundとDG Incubationがラウンドに参加。
  • Thimble」は個人事業主向けに短期ビジネス保険サービスを提供。2015年にニューヨークで創業し、10月に2,200万ドルをシリーズAラウンドで実施。IACがリードを務め、Slow Ventures、AXA Venture Partners、Open Oceanがラウンドに参加。
  • Vouch Insurance」はスタートアップ向けのビジネス保険サービスを提供。サンフランシスコで創業し、11月に4,500万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Y Combinator Continuityがリード投資を務めた。
  • WorldCover」は途上国の農家向けに天候による収穫高を見込んだ安価な農業保険サービスを提供。2015年にニューヨークで創業し、5月に600万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。MS&AD Venturesがリードを務め、EchoVC、Y Combinator、Western Technology Investmentがラウンドに参加。

保険市場ではAI機械学習を使い、保険額を事前予測するケースが増えている印象です。たとえば「Avinew」は、自動運転向けの新たな保険サービスを提供。ドライバーの運転速度やルート、運転地域の天候・犯罪率などのいくつかの指標データを基に保険料を自動算出します。LiDARや車載カメラを通じて得られる運転データを溜まれば、より精度高く保険料を計算できるようになるでしょう。

このように車外環境データを膨大に収集できる時代に最適化した保険サービスが登場していますので、日本の大手保険会社もいずれは同じモデルで事業を仕掛けるのではないでしょうか。また、途上国の農家向け保険サービスの「WorldCover」も、同様にAIを用いてリスクを算出しています。

「出世払い制度」の広がり

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Image Credit: Lambda School
  • Blair Finances」はISA(収入分配契約)に基づいた学費レンディングサービスを提供。2019年にサンフランシスコで創業し、8月に15万ドルの資金調達を実施。YCombinatorがラウンドに参加。
  • Goodly」は学生ローン返済を従業員福利厚生として提供。2018年にサンフランシスコで創業し、3月に1,300万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Norwest Venture Partnersがリード投資を務めた。
  • FlexClub」はギグワーカー向けに自動車貸し出しプラットフォームを提供。2018年にアムステルダムで創業し、3月に120万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。CRE Venture Capitalがリード投資を務めた。
  • Kenzie Academy」はソフトウェアエンジニア養成プログラムを提供。2017年にインディアナポリスで創業し、11月に1億ドルの資金調達をデッドファイナンスで実施。Community Investment Managementがラウンドに参加。
  • Lambda School」はソフトウェアエンジニア養成プログラムを提供。2017年にサンフランシスコで創業し、1月に3,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Bedrock Capitalがリードを務め、Vy Capital、GGV Capital、Google Ventures、Y Combinator、Sound Venturesがラウンドに参加。

年々膨らみ続ける学生ローン問題を解決するのが“出世払い制度”を持った教育機関です。「Lambda School」に代表される教育機関では、学生はローン返済などに苦しむ必要がなくなり、ソフトウェアエンジニアになって高給な仕事を得るという明確な目的意識を持って授業を受けます。

一方、学校側は学生を就職させ、事前に契約した授業料を回収するまで学生との関係性は途切れることはありません。卒業後も続くカスタマーサクセスが大事になってくる長期サービスが同校のモデルです。

Lambda Schoolが採用する出世払い制度は、既存の大学機関では収益構造を抜本的に変える必要があるため取り入れられません。しかし、学生はLambdaのようなブートキャンプではなく、大学に通いたいとニーズを持っているのも確かそこで出世払いサービスのみに特化した金融機関も登場しています。「Blair Finances」は学費を肩代わりする代わり、卒業後に返済させるレンディングサービスを展開しました。

どの教育期間でも出世払いで通えるサービスですが、1学生当たりに貸し出す金額と、回収期間が非常に長い難しいモデルです。機関投資家から長期投資商材として資金を集めれば回せるモデルになるのではないでしょうか。

出世払いを採用したレンディングモデルは、ギグ経済にも波及しています。「FlexClub」はUberドライバー向けに自動車を貸し出す投資プラットフォームを展開。投資家は自動車を購入し、FlexClubを通じてドライバーに貸し出します。

週もしくは月単位で収益分配されるため、自動車を長期投資対象として運用できるモデルです。ドライバーも頭金0で自動車を所有できるため、双方にとってWin-Winの関係を構築できます。このように出世払いの考えは教育市場から始まり、他市場へと拡大を見せているのが2019年の大きな流れです。

専門学校の躍進

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Image Credit: Landit
  • Cloud Guru」はクラウドコンピューティングを学ぶためのオンライン学習コースを提供。2015年にロンドンで創業し、4月に3,300万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Summit Partnersがリードを務め、AirTree VenturesとElephantがラウンドに参加。
  • Empowered Education」はウェルネスコーチ育成のためのオンラインコースを提供。2015年にニューヨークで創業し、3月に800万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Rethink Educationがラウンドに参加。
  • Flockjay」はセールスマン養成向けオンラインアカデミーを運営。2018年にサンフランシスコで創業し、10月に298万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Lightspeed Venture Partners、Coatue、Y Combinator、F7、SV Angel、Index Ventures、Serena Williams氏、Will Smith氏がラウンドに参加。
  • Giblib」は医療手術に関するオンライン学習コースを提供。2015年にロサンゼルスで創業し、4月に250万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Mayo Clinic、Venture Reality Fund、Wavemaker 360、USC Marshall Venture Fund、Michelson 20MMがラウンドに参加。
  • Immersive Labs」はサイバーセキュリティに関するオンライン学習コースを提供。2017年にイギリスで創業し、11月に4,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Summit Partnersがリード投資を務めた。
  • Landit」は女性のキャリア育成のためのオンラインコースを提供。2014年にニューヨークで創業し、2月に1,300万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。WeWorkがリードを務め、New Enterprise Associates、Valo Ventures、Workday Ventures、Gingerbread Capitalがラウンドに参加。
  • Ornikar」は自動車免許取得のためのオンライン教員マッチングサービスを提供。2014年にパリで創業し、6月に4,000万ユーロの資金調達をシリーズBラウンドで実施。IdinvestとBpifranceがラウンドに参加。
  • SV Academy」はビジネスディベロッパー養成プログラムを提供。2017年にサンフランシスコで創業し、6月に950万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Owl Venturesがリード投資を務めた。

インターネットを用いた大規模公開オンライン講座プラットフォーム「MOOC (Massive open online course)」が広がり、市場は寡占状態。「Coursera」「Lynda.com」「Udacity」の3社を利用すれば、必要なオンライン教育コンテンツへほぼリーチできる状態だと言えます。この市場状態で次の勝ち筋を探すには、1つの分野に特化させてユーザー満足度を圧倒的に上げる以外ありません。リストにある通り、2019年は各分野で特化型オンライン教育プロバイダーが登場しました。

いずれのスタートアップもオンライン動画サービスではなく、ブートキャンプ式を採用しています。また、Serena Williams氏やWill Smith氏も出資する「Flockjay」は出世払い制度を採用しています。

各分野のプロフェッショナルの養成機関として、入学コスト0でサービスを提供するモデルが流行っている印象です。出世払いから始まったトレンドは、ソフトウェアエンジニア養成から始まりましたが、今後は専門学校分野へと幅広く広まっていくでしょう。

パッション・エコノミー文脈

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Image Credit: Outschool
  • Mighty Networks」はオンライン学習コース向けウェブサイトビュルダーを提供。2010年にパロアルトで創業し、4月に1,100万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Intel CapitalとSierra Wasatchが共同でリード投資を務めた。
  • Outschool」は小学生教育コンテンツ向けライブ動画マーケットプレイスを提供。2015年にサンフランシスコで創業し、5月に850万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Union Square VenturesとReach Capitalが共同でリード投資を務めた。
  • Patreon」はクリエイター向け有料作品を発表するためのサブスクリプションプラットフォームを運営。2013年にサンフランシスコで創業し、7月に6,000万ドルの資金調達をシリーズDラウンドで実施。Glade Brook Capitalがリード投資を務めた。
  • Substack」は有料ニュースレターを発行できるプラットフォームを運営。2017年にサンフランシスコで創業し、7月に1,530万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Andreessen Horowitzがリード投資を務めた。
  • Tinkergarten」は幼少児向け屋外学習マーケットプレイスを提供。2014年にマサチューセッツ州で創業し、3月に2,100万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Omidyar Network、Owl Ventures、Reach Capitalがラウンドに参加。
  • Zyper」はSNSインフルエンサーがコアファンとブランドと繋がれるマーケティングプラットフォームを運営。2017年にサンフランシスコで創業し、6月に650万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Talis Capitalがリード投資を務め、 Forerunner VenturesとY Combinatorがラウンドに参加。

パッションエコノミー文脈のサービスは2019年で見逃せない動きでしょう。パッションエコノミーの大雑把な定義として、ギグワーカーが自分の個性を活かしてサービス展開できるSaaSを指します。たとえば「Outschool」はライブ動画を通じて自分の教室を持てるプラットフォームを展開。教員免許を持たない人が、手軽に高品質な動画教育サービスを提供できるSaaSです。

創造性に富んだデジタルコンテンツを世界中に発信して稼げる分野特化型SaaSが多々登場してきています。分野を問わず、自分のコンテンツを発信するためのウェブサイトを作成できる「Mighty Networks」のような業態も登場。無料のビュルダーは「Strikingly」や「Wix.com」などが有名ですが、パッションエコノミー特化のウェブサイト作成サービスに注目が集まっています。

デジタルコンテンツ提供者は大規模なオーディエンスを構築し、ニッチな趣味や特技などの情熱を効率的に収益に変えて生計を立てられます。誰もが「マイクロ起業家」になれるツールであり、私たちが現在考える「仕事」の概念を大きな変える意味合いを持ちます。このトレンドはしばらくは続くでしょう。

2編はここまでです。3編ではヘルスケアやメディアを中心に見ていきます。

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作った教材が売れる「Amazon Ignite」、教育者の新たなサイドビジネスの可能性

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ピックアップ:Amazon Starts Marketplace for Teachers to Sell Online Educational Resources ニュースサマリー:米国Amazonは、11月12日、オンライン教材販売マーケット「Amazon Ignite」をローンチすると発表した。「オンラインでデジタル教材を売りたい」という教師達のニーズに今後応えていく。 ニュースレターの購読…

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Image Credit: Amazon

ピックアップAmazon Starts Marketplace for Teachers to Sell Online Educational Resources

ニュースサマリー:米国Amazonは、11月12日、オンライン教材販売マーケット「Amazon Ignite」をローンチすると発表した。「オンラインでデジタル教材を売りたい」という教師達のニーズに今後応えていく。

Amazonから承認を受けた教師は、無料でデジタル教材の公開および販売が行える。手数料は30%、月に1度全体売り上げの70%がAmazon Igniteから振り込まれる仕組みとなる。

話題のポイント:「Amazonがデジタル教材マーケットに参入か」と思うかもしれませんが、実はAmazonがデジタル教材の販売サービスを提供するのは今回が初めてのことではありません。2016年に「Amazon Inspire」という同様のサービスを既にローンチした過去があります。

しかし、ローンチから約3年が経ているにも関わらず未だβ版であり利用率の拡大にも至っていません。端的に言えば、Inspireは「失敗」していると言っても過言ではないでしょう。

理由は2つ挙げられます。1つはすでに販売されているデジタル教材を模したコンテンツを販売する、著作権を侵害するユーザーが多数発生してしまったため。そして2つ目に同サービスがECサイトAmazonとは切り離されており、Amazonのサイトで検索しても教材がヒットできなかったためです。

なぜInspireは対策を講じなかったのかについては図り兼ねますが、新サービスAmazon Igniteは上記2つの問題を解決するプラットホームとして機能します。

まず、Inspireでは誰でもデジタル教材を販売できたのに対し、Igniteでは教材を販売するためにAmazonの審査を通過しなくてはいけません。つまり盗用の疑いのあるコンテンツを販売するユーザーを排除するフィルターを用意したのです。

デジタル教材のコピー流用防止対策が広まっていなかったことから、教材は未だアナログでの利用が大半を占めていました。しかし世界最大のEコマース企業がついにその問題の解決に乗り出したのです。これにより、より多くの民間・公共の教育プロバイダーが、より低価格で簡単に教材を生徒に提供できるようになります。

もう1つに、Ignite上のオンライン教材はECサイトAmazonから検索してもヒットするようになっています。これにより購入者は商品を発見する確率が上がるため、デジタル教材の販売が加速すると見込まれています。

現在、「Digital Educational Resources store」からIgniteで出品済みの商品を閲覧することができます。当分は米国だけでの運営ですがユーザーの反応次第では世界展開される可能性もあるでしょう。

日本で教育者がデジタル教材を作って販売する場合、BASEなどのプラットホームでPDF教材を販売するという手法が散見されます。しかし当然BASEのような一般的マーケット・プレイスにはコピー流用防止機能はありません。したがって、デジタル教材の市場規模が成長する近い将来にはAmazon Igniteの日本参入も起こり得るでしょう。

Igniteが成功すれば教育者にとって新たなサイド・ビジネスの市場が開けると同時に、アナログ教材市場をディスラプトし、教育のデジタル化を促進すること、そして子供達により低コストで学習教材を提供することに貢献するかもしれません。その意味で同サービスは教育の歴史の中でも、一つの転換点になり得るのではないでしょうか。

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インドのTikTokは教育に活路を見出すーー月間2億人を送客する巨大プラットフォームに

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ピックアップ:TikTok makes education push in India ニュースサマリー:中国のショートビデオ配信プラットホーム「TikTok」が教育コンテンツ・プログラムの拡大戦略を掲げ、インドで教育系スタートアップやコンテンツクリエイターらと提携し始めている。 ニュースレターの購読 注目すべき記事、世界のスタートアップシーンの話題、BRIDGE 主催のイベントに関する情報をお届…

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Image Credit : TikTok

ピックアップTikTok makes education push in India

ニュースサマリー:中国のショートビデオ配信プラットホーム「TikTok」が教育コンテンツ・プログラムの拡大戦略を掲げ、インドで教育系スタートアップやコンテンツクリエイターらと提携し始めている。

TikTokが特定コンテンツ領域で今回のようなプログラムを実施することは初めての試み。教育コンテンツは基礎科目である理科や数学、英語などの他に、メンタルケアや自己啓発など多岐に渡る。パートナーとして発表されている企業では以前本誌で紹介した「Vendatsu」を筆頭に、「Topper」や「Made Easy」、「Gradeup」、「 Josh Talks」などが名を連ねる。

<参考記事>

Screenshot 2019-10-21 at 10.23.33 AM.png
Image Credit : Google Play

話題のポイント:提携企業数を増やす目的は、彼ら独自のコンテンツをTikTokプラットホーム上で配信可能にし、それぞれのプラットホームとの相互流入を加速させて相乗効果を図ることです。TikTokとしてはプラットホームのコンテンツ充実化を果たすことができ、提携側もTikTokプラットホームで自社コンテンツの視聴者数を押し上げることができます。

実際ピックアップ記事によればインドのTikTok月間ユーザー数は約2億人に上るといいます(今年4月のアクティブ・ユーザー数は1億2,000万人)。Josh Talkのボードメンバーによれば、同プラットホームはTikTokとの提携後、わずか2カ月弱で3,500万人以上のユーザーにリーチできたとのこと。

こうした点を踏まえると、TikTokは教育動画コンテンツのキュレーション・メディア化を狙っているということが分かります。言い換えれば、様々な教育メディアからコンテンツを収集し、TikTok上で一元的に配信するプラットフォーム化を狙っているわけです。

キュレーションメディアはアクセス数を集めることに向いており、かつ教育動画は広告効果が高く、収益化に向いているとされています。ゆえに同社が狙うポジションには大きな旨味があります。

一方、競合としてTikTokをエドテック市場に持ち込んだかのようなスタートアップ「Bolo India」が挙げられます。こちらは70秒を最大尺としたショート・ムービーの配信プラットホーム。基礎科目から人生・人間関係・キャリア・自己啓発・金融・テクノロジー・スポーツ・生活術など幅広いコンテンツが揃っている動画SNSです。

<参考記事>

日本でも有名なTikTokですが、今後教育ショート・ムービーを日本でも展開する可能性があると考えれば、今回の挑戦には大きな興味をそそられます。

既に大規模なネットワークを持っている点でTikTokの地盤は強固だと言えますが、各市場で競合はいくらでも出てくる可能性があり、マーケット独占はそう簡単ではないと予想できます。一方、本記事で紹介したBolo Indiaのように既に教育ショート・ビデオに特化したネットワークを保有しているメディアすら、TikTokと提携を行い協力関係を築くというシナリオもあり得るでしょう。

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SchooがKDDIと資本業務提携ーーチーム崩壊の危機から約2年、向かう先は「5G時代の仮想大学」

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ニュースサマリ:オンライン学習を展開する「Schoo」は9月18日、「KDDI Regional Innovataion Fund(KRIF)」を引受先とする第三者割当増資の実施を公表した。KRIFは今年5月に公表されたKDDIとグローバル・ブレインが共同で運営するファンドで、地方創生・地域活性化を目的とする。Schooはこのファンドの最初の出資案件となる。なお、KDDIとグローバル・ブレインはこ…

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Schoo代表取締役の森健志郎氏

ニュースサマリ:オンライン学習を展開するSchooは9月18日、「KDDI Regional Innovataion Fund(KRIF)」を引受先とする第三者割当増資の実施を公表した。KRIFは今年5月に公表されたKDDIとグローバル・ブレインが共同で運営するファンドで、地方創生・地域活性化を目的とする。Schooはこのファンドの最初の出資案件となる。なお、KDDIとグローバル・ブレインはこれまでにKDDI Open Innovationファンド(KOIF)などでスタートアップ投資を続けており、KRIFもその戦略の延長にあるもの。出資の詳細は非公開だが、関係者の話によると出資額は数億円ほどになる。

また、これに伴い、SchooはKDDIと業務提携契約も締結する。少子高齢化が進む日本社会において、地方における人口減と経済および情報格差の広がりは社会課題として長らく問題視されてきた。両社は5Gに代表される次世代通信テクノロジーと、Schooがこれまで手がけてきたオンライン学習のノウハウを持ち寄り、地域の大学と連携しながら遠隔地における教育プラットフォームの構築を進める。

話題のポイント:長い長いトンネルを抜け、Schooが4年振りの増資です。現在、ユーザー数(会員登録)は40万人、事業の主力となった法人向けの研修サービスを導入しているのが600社と足元はしっかりしてきているようで、同社代表取締役の森健志郎さんにお聞きしたところ、現在70名(社員は40名)ほどの体制ながら黒字化もできているというお話でした。

ただ、実は同社についてはここ1、2年、あまりよい話を聞いていませんでした。特に経営陣については創業者の森さん以外全て入れ替わるなど、組織に大きな課題を抱えていたようです。

「なんでもやりたい」トップと組織瓦解

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サービスイン当時のSchoo(画面は2013年7月のもの)

Schooのサービスインは2012年1月。海外では「Coursera」や「edX」「Udacity」「Codecademy」などいわゆる「MOOCs(Massive open online course)」というオンライン学習が次々と立ち上がっている時期でした。同社もユーザーを順調に集めて翌年に増資、さらに2013年、2015年といずれも数億円の増資を取り付けるなど、理想的な積み上げをしていきます。現在主力となった法人向けの研修事業が立ち上がったのもこの頃です。

一方、筆者が取材で異変を感じたのが2017年4月のこのニュース。

<参考記事>

既存事業は伸びてるとはいえ、誰もが知るメジャーサービスとまでは言えない段階です。当時からバズワードだった「人工知能」や「IoT」を主力事業以外に手がけるスタートアップというのは大抵が黄色信号で、実際、森さんも今回の取材で自身の「なんでもやりたい」悪い面が出ていたと振り返ります。

「ちょうど1〜2年前ぐらいでしょうか。新旧メンバーの融和がうまくいかなかったり、経営方針が伝わっていなかったり。これは私に問題があったのですが、こういったチームに問題を抱えているにも関わらず、積極的な横展開をやりすぎて意思疎通が不十分になったということがありました。結果、優秀なメンバーが離職するなどの出来事もポツポツ発生して、メンバーが全然定着しなかったんです。いわゆる組織崩壊っていう状態でした」。

トップの意識が散漫になった結果、この子会社含め2つの事業から撤退。Schooをこれまで一緒に作ってきた経営体制も瓦解することになります。

組織立て直しは小さな成功の積み重ね

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ボードメンバーは2名体制に

転機がやってきたのが今から約1年半前、現在、取締役COOとして事業執行の責任を担う古瀬康介さんが参加した出来事でした。古瀬さんは元々リクルートでSUUMOの事業戦略を担当し、その後、リクルート住まいカンパニーでは役員に就任するなど、事業企画から経営まで幅広い経験を持った方です。森さんのリクルート時代の先輩にあたる方で、Schooについても時折意見交換をしていたそうです。

森さんもこの頃には自分の悪い癖を反省し、また、去っていった仲間の厳しい言葉を反芻して古瀬さんと一緒に組織の立て直しに取り掛かります。

「大学の提携や長期の仕込みなどの案件から一旦離れ、私は既存事業に戻りました。当時も法人向けサービスはまだまだこれからの状態だったのでまずは止血をしつつ、売上を伸ばし、組織の立て直しをやる。さらに私は元々、いろいろやりたくなるタイプなので、古瀬にはその話をしっかり受けてもらいつつ、既存事業を考えて全体を整理してもらったんです。あと、財政的にも残キャッシュを考えて、エクイティではなく法人向けのビジネスをしっかりやるべきだ、といったような判断もサポートしてくれました」。

振り返りで印象に残ったのは小さな積み上げのエピソードです。財政の見直しや不採算事業の撤退のような大きい経営判断もありつつ、それ以上に営業を担当していた人が成長に転じたとか、人事組織を作って現場の声ともっとしっかり向き合うとか、そういった積み上げが徐々に社内にモメンタムを生み出し、マイナスの雰囲気をプラスに転じさせていった、ということなのだそうです。

新しい時代の教育、KDDIとSchooは何を変えるのか

2年の時を経て「地に足がついた」印象になったSchoo。今回、KDDIとの取り組みにある「地域との遠隔地学習プラットフォーム」もまだ詳細はこれからですが、やや想像力を働かせて彼らがやりたいこと、実現しようとしているビジョンを紐解くと「仮想大学」が近いものになるかもしれません。先行事例としてはカドカワのN高等学校があります。

キーはKDDIのここ数年のスタートアップ出資です。特に注目したいのがInternet of Thingsの申し子「ソラコム」とXR(複合現実)分野のSynamonの存在になります。

<参考記事>

Synamonの記事にも書いたのですが、ここで言う5Gの醍醐味は大容量映像の配信だけではなく「空間そのものの移送」というダイナミックな考え方です。例えば教室があったとして、そこで先生が話す内容を映像として配信するだけでなく、その空間にいる学生や授業の様子などの「雰囲気まで」含めて体験できる、という具合です。

MOOCsというモデルが発達した理由は、ひとえに遠隔地でも平等の教育が受けられるという「コンテンツ」にありました。一方で、これらを受講したことがある人であればわかると思いますが、実際に学校に通った時に体験する空気感のようなものはありません。あくまで参考書がリッチになった、という程度です。

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現在のSchooウェブサイト

もし、空間移送が5Gによって実現できれば、例えば、同じく仮想大学で学ぶ「同級生」のような存在ももっと身近になるかもしれません。森さんともアイデアレベルでお話しましたが、例えば各地に散らばる有名な教授の講義を選んでカリキュラムを作り、自分だけの大学を作って友達とシェアする。

ここでは妄想でしかないのでこの辺りにしますが、こういった世界観はアイデアレベルではなく技術的にも近づいてきているので、もしかしたら近い将来に画期的な体験を手にすることになる可能性は決して低くはないと思っています。

以前のSchooでは、やや実行力に疑問符がついたかもしれない提携ですが、今回、森さんの振り返りを聞きながら、KDDIがどういった点に評価をしたのか理解できたような気がしました。引き続き具体的な動きがあればお伝えしたいと思います。

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“学校を100均”にした未来投資型スクール「Juno College」の事業ポテンシャル

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ピックアップ: All 84 startups from Y Combinator’s S19 Demo Day1 ニュースレターの購読 注目すべき記事、世界のスタートアップシーンの話題、BRIDGE 主催のイベントに関する情報をお届けします! Sign Up 8月20日、米国の著名アクセラレーター「Y Combinator」が2019年サマープログラム・デモデイを開催しました。約17…

ピックアップ: All 84 startups from Y Combinator’s S19 Demo Day1

8月20日、米国の著名アクセラレーター「Y Combinator」が2019年サマープログラム・デモデイを開催しました。約170のピッチの中で教育分野スタートアップが意外に多く登場していたのが印象的でした。その中でも筆者の興味をそそられるスタートアップの1つが「Juno College of Technology(以下Juno College)」。

Juno Collegeは1ドルで通学できるプログラミング学校。2012年にカナダで創業した「HackerYou」を前身としています。ターゲットはエンジニア職を手にしたいが未経験、スキルを取得するお金もない転職希望者。

8週間の集中学習コースを提供しており、5万ドル/年の職を得るまで授業料は免除されます。授業料前払いの余裕のある人は1.4万ドルを、後払いを選んだ学生は1.8万ドルの支払いが発生。

学生は2年間で収益の17%をJuno College側に支払い続ける「ISA (Income Share Agreement)」を締結する必要があります。仮に失職した場合(月間4,166ドルの収益を失う)、支払いは停止されます。同校の年間収益は2019年内に300万ドルを達成予定。87%の学生がコース履修しているとのこと。

「学生を証券化」する事業ポテンシャル

筆者が他社スタートアップ事例を交えながら考察したものですが、最も興味を引かれたJuno Collegeが持つ事業ポテンシャルに証券ビジネスへの進出があります。

事例として住宅スタートアップ「Loftium」を挙げさせてください。同社は2016年にシアトルで創業し、累計250万ドルの資金調達に成功している不動産スタートアップ。

住宅購入希望者に頭金約5万ドルを提供。これは住宅ローンではなく、借入金ではないため返済義務は発生しません。その代わり、12〜36か月の間、Airbnb向けに部屋を貸し出し、収益分配をLoftium側とする必要があります。

どの程度の期間、いくつの部屋を貸し出すのかは各地域のAirbnb需要と料金をもとに算出します。一定の利益が出ると事前予測データから判明したら、機関投資家から頭金5万ドル相当の投資を募り、オーナーへと渡る仕組みになっています。この点、LoftiumはAirbnbを活用したいわば「住宅証券会社」であり、5万ドルを負担する必要がありません。

Juno CollegeもLoftiumのようにビックデータに基づいた貸付ローンを展開するとどうなるでしょう。

機関投資家による学生への投資が実行されると同時にJuno College側に入金されるため、収益を学生が就職後に返済するまで待つ必要がなくなります。キャッシュフローが回り続けるため継続的な拡大が可能になります。

証券事業へと手を伸ばすと想定した場合、Juno Collegeは教育機関としての機能だけでなく、ソーシャルレンディングプラットフォームとしての役割も持ちます。レンディング市場も視野に入れると、P2Pレンディングサービスで上場を果たした「LendingClub」規模への成長も見えてくるかもしれません。

こうした巨大なフィンテック市場まで展開可能なポテンシャルを持つのがJuno Collegeだと言えます。社会的に学生の未来に投資するスタイルに批判が集まるかもしれませんが、あくまでも投資と割り切り、一歩進み出したい人に応援資金を出すクラウドファンディングとしてのメッセージ性を持たせれば市場からもポジティブな反応が出てきそうです。

オフライン授業でスケールできるのか?

Juno Collegeに代表される仕事を手にすることを確約した「キャリア報酬型」の教育スタートアップは複数存在します。

競合大手として2017年にサンフランシスコで創業した「Lambda School」が挙げられます。累計調達額は4,810万ドルに達成。6カ月間のプログラミングコースを提供しています。

Lambda Schoolでは100%オンライン授業の形式にしていることから世界展開が可能。加えて履修完了率は86%。一方、Juno Collegeはフルタイムの対面授業にすることでコース履修期間を圧縮。学習効率を上げることで生徒が中だるみしないようにしています。

履修完了率を比較するとJuno CollegeもLambda Schoolもほぼ同率。Juno Collegeは期間をLambda Schoolの1/4にしていることからプログラムを4倍速で回せる計算になります。この点、世界展開は難しいですが、学生数をオフライン授業でありながら最大化させる工夫をしています。

しかし問題点が2つ。1つは9週間の短い期間で就職できるまでのスキルを手にできるのかという点。過去に同じY Combinatorのプログラムを卒業したプログラミング学校「MakeSchool」は12週間のコースから、2年制の大学へと業態を変えています。これは短期間では良質な卒業生を輩出できないと判明したからだと考えられます。

累計調達が1.1億ドルに及ぶエンジニア・PM向けスクール「General Assembly」も3カ月間のコースを提供。対面授業を提供する次世代スクールは総じてJuno Collegeの倍以上の期間を費やしています。

Juno Collegeの収益が年間300万ドル上がっているということは、年間9,000ドルの授業料を返済する卒業生が333人ほどいる計算になります(300万ドル/9,000ドル)。こうした数値から一定数の就職成果が出ていると思われますが、キャンパスを多数展開した際に卒業生の獲得スキルのクオリティを保てるのかが課題となるでしょう。必ずや拠点毎に教育の質のアンバランス感が出てくると思われます。

もう1つの問題がスケールに関して。現在、2,000人が収容できる土地を購入したようですが、北米を中心にキャンパスを拡大にするには多額の初期コストがかかります。不動産事業のボトムネックを持つことになり、スタートアップ的なスケールを狙えるのか疑問に思えてしまいます。

上記2点の課題はありながらも、「教育の民主化」はY Combinatorも注目する領域。今回のデモデイでは奨学金返済サポートサービス「GradJoy」「Blair」「ScholarMe」の3社が登場しており、教育系スタートアップへの熱い視線を感じました。日本でもJuno Collegeモデルのように授業料を先に負担することで、学生の未来へ投資する教育業態が現れそうです。

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