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大逆風のExpediaに襲いかかるGoogleーー決算に書かれたGoogle Travelの追随

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ピックアップ:Expedia CEO Details Anti-Google Game Plan ニュースサマリー:Expediaは20日、2020年Q1における決算報告書を公開した。COVID-19のパンデミックにより旅客が大幅に減少したことが起因し13億ドルの純損失、売上高は15%減の22億ドルを計上している。減損費用は7億6500万ドルを計上し、主に同社子会社であるTrivago・Vrboの…

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ピックアップ:Expedia CEO Details Anti-Google Game Plan

ニュースサマリー:Expediaは20日、2020年Q1における決算報告書を公開した。COVID-19のパンデミックにより旅客が大幅に減少したことが起因し13億ドルの純損失、売上高は15%減の22億ドルを計上している。減損費用は7億6500万ドルを計上し、主に同社子会社であるTrivago・Vrboの不振に起因しているという。

同社はまた、39億5000万ドルの資金調達をApollo Global Management・Silver Lakeより実施したと発表している。

話題のポイント:COVID-19下において、OTA企業はそもそもフライトが欠航するケースや、ホテル運営の自粛などによりネガティブな局面に立たされていることは紛れもない事実です。その渦中で、OTAの代表格ともいえるExpediaが2020 Q1の決算資料を公開しています。

まず、Expediaは同社プラットフォームを経由した予約であれば、できるだけ迅速なキャンセル手続きを対応を実施ており、返金不可の記載のある予約であっても期間内であれば宿泊施設・航空キャリアと協議の上最善を尽くす姿勢を見せていました。

また、殺到するキャンセル手続きへの対応一環としてシームレスな自動キャンセル手続き機能を追加しています。決算資料によれば2月時点での同機能利用率は65%だったのに対し、4月は95%を記録し、ほぼ全てのキャンセルが自動対応化されていることが分かります。また、3月度におけるキャンセル量は新規予約量を上回ったことも明らかにしています。

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Expedia Q1 2020

逆に、Q1におけるマーケティング費用は大幅に削減されYoYで20%減、約12億ドルに抑えられています。これはもちろん、COVID-19によりトラベル需要が減少したことに起因していますが、同社決算資料では既存の外部広告依存から脱却するターニングポイントであると触れられています。

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Expedia SEC Q1 2020

特に流入減として主要な役割を果たしていたGoogleを名指しで取り上げており、「Googleが自社プロダクト「Google Travel」などに検索のプライオリティーを置き始めている」と指摘しています。

もちろんこれは競合としてのGoogleが「トラベル需要」に食い込んできていることを警戒したものである一方、検索流入の動向が重要な鍵となる老舗OTAのExpediaにとっては、長期的に見ればポジティブな要素と言える話題です。

同資料によれば、2019年には欧州・北米におけるレジャートリップ並びにビジネストリップの総支出の内45%はオンラインを通した決済を記録したとしており、2020年には50%を超えるだろと試算を出しています。つまり、COVID-19による一時的な落ち込みはあれど中長期的にはOTAの役割は着々と増えていくことを意味しています。

またそうしたオンライントラベルの一般化に伴い、同資料では「シェアリングエコノミー」のキーワードを用いて「レガシーなOTA」を圧迫しつつあることを認めています。AirbnbやBooking.comの例を取り上げ、バケーションレンタルの可能性についても大きな期待を寄せていることが読み取れます。

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ExpediaはAirbnb同様のバケーションレンタル・プラットフォーム「Vrbo(HomeAway)」を運営しており、上述の文脈ではこちらの運営にも力を入れていることが分かります。ただここで面白い点は、同様事業を営むAirbnbも、今回Expediaの資金調達をリードしたプライベートエクイティーファンドSilver Lakeが先日のラウンドにおける出資者となっていることです。

トラベルテックメディアSkiftは、彼らの関係性を「frenemies(友好的な競合)」と称しており、COVID-19が生み出す旅のニュー・ノーマル次第ではその関係性がより親密なものに近づく可能性はあります。例えばGoogleがGoogle Travelにプライオリティーを置き始めれば、彼らが対抗策をコラボレーションしてくることもあり得るかもしれません。

TikTokは「追体験プラットフォーム」になる ーー “Storytelling as a Service”が秘める市場インパクト

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ピックアップ記事: Subway Time Warps Are China’s Latest TikTok Meme ニュースサマリー: 2019年4月、短尺動画アプリ「TikTok」を発信源に、地下鉄を舞台にしたコンテンツが流行した。動画では、女性が現代の地下鉄を降りると過去や別次元へ足を伸ばし、様々な服装を装ったりいろんな場所へ赴きながら旅をする。 中国版Twitter「Weibo」上ではハッ…

people watching fireworks display during nighttime
Photo by Jonas Von Werne on Pexels.com

ピックアップ記事: Subway Time Warps Are China’s Latest TikTok Meme

ニュースサマリー: 2019年4月、短尺動画アプリ「TikTok」を発信源に、地下鉄を舞台にしたコンテンツが流行した。動画では、女性が現代の地下鉄を降りると過去や別次元へ足を伸ばし、様々な服装を装ったりいろんな場所へ赴きながら旅をする。

中国版Twitter「Weibo」上ではハッシュタグ「subway crossing」と名付けられ、同動画を真似たコンテンツが瞬く間に700万回まで再生数が伸びた。中国の西安市の地下鉄会社もsubway crossingのトレンドに乗り、自社事業を紹介するトレース動画を発表した。

TikTokは「ストーリー追体験プラットフォーム」の役割を担う

話題のポイント: TikTok上では様々なコンテンツが人気になっていますが、なかでも注目なのが今回紹介したような旅動画の領域。

日本ではハッシュタグ「TikTokで旅をしよう」と検索すると非常に凝った高品質なコンテンツがヒットします。こうした旅動画が新たなメディア領域になる兆しが出ています。実際、ハッシュタグ「TikTokで旅をしよう」は累計約5億再生、ハッシュタグ「Travel」においては30億再生。TikTokが作り出した市場規模は巨大です。

旅動画コンテンツの醍醐味はユーザーが行ったことのない・体験したことのない場所を、ストーリー仕立てで追体験できる点にあります。追体験をユーザーに提供するためには、現在のTikTokのフィルターでは対応しきれません。外部ビジュアル・エフェクトツール(以下VFX)や、動画編集ソフトを利用してコンテンツ表現を高める必要があります。

TikTokの独特な撮影フォーマットと、各ユーザーが趣向を凝らして編集した旅行体験を伝えるコンテンツに注目が集まりつつあります。

同時に、ユーザーが1分程度スマホを眺めるだけで追体験できるコンテンツが集まるTikTokを“Story Telling as a Service”と呼び始める人も登場し始めました。アプリを通じてストーリー調の体験をユーザーに伝えるコンテンツが量産されるプラットフォームを指します。

動画編集市場を一変させる可能性

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Photo by Pixabay on Pexels.com

先述したように、ストーリー仕立ての旅行動画を制作するには映像編集に強い人材が必要です。言い換えれば、現在こうしたコンテンツ領域に張っている動画製作者が人気コンテンツを配信できる状態といえます。

しかし、TikTokが撮影フォーマットやARフィルターなどを将来的に追加してくれば、一般ユーザーでも似たような世界観をいずれ編集して再現することが可能となるかもしれません。

もともと独特の動画編集フォーマットを用いて、動画編集ツールの役割を担いながら成長してきたTikTok。いわば動画編集ツールを他のどのサービスよりも民主化したのが同アプリです。編集ツールとしてのTikTokの進化を考えた際、たとえば冒頭で紹介した地下鉄コンテンツを手軽に真似ることもできるようになるかもしれません。

ここで今後の市場感として捉えておくべきなのが、VFXコンテンツ製作者に代表される動画編集者の活動領域・作品発表プラットフォームが旅動画の人気と共にスマホへとシフトしつつある点です。

TikTokの台頭と共に、従来映像編集スタジオでしか出来なかったことが徐々にスマホのフィルターで出来るようになっている市場変革の兆しがすでに芽生えています。これを指して“Movie Studio in the phone”と市場では称されます。

こういった未来を逆算した際、相当高度な映像編集技術を要するコンテンツが、TikTokの成長と共に量産され、現在活躍している動画編集者の価値が目減りしてくることが予想されます。

5-10年の時間を費やすと思いますが、TikTokを筆頭に“Story Telling as a Service”の概念が広まり、高い再現性を用いてあらゆる物事を追体験できるコンテンツが広まることで起こる動画市場の変化に注視しておく必要があるでしょう。

Google MapのARガイド、ベータ版が公開されるーーGoogleで旅行の全てが完結する世界

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ピックアップ:Google Maps AR walking directions arrive on iOS and Andro ニュースサマリー:GoogleはAR技術を用いて、目的地の方角をGoogle Mapに表示する新しい機能を開発している。技術の発表自体は今年の5月になされたもので、Googleのトラベル事業(※後述)にさらに拍車をかけるアップデートになるとされている。以下の動画を見れば…

ピックアップGoogle Maps AR walking directions arrive on iOS and Andro

ニュースサマリー:GoogleはAR技術を用いて、目的地の方角をGoogle Mapに表示する新しい機能を開発している。技術の発表自体は今年の5月になされたもので、Googleのトラベル事業(※後述)にさらに拍車をかけるアップデートになるとされている。以下の動画を見れば、その革新性が十分に理解できる。

従来のGoogle Mapは、平面状の地図に青色の線や青丸によって目的地への経路を表示することや、音声による解説によってユーザーをサポートするだけだったが、ARによるサポートが付くことによって、より早く・正確に目的地への経路を発見することができるようになる。

Google Mapで二次元上に表示された経路と、現実世界の道を照らし合わせるのは、少しだけ手間だと思った方もいるかもしれない。だがAR機能を使いすれば、目の前に広がる街の道路の中からARの矢印がどの道に進めばいいのかを教えてくれるのだ。

GoogleはこのAR機能を今週はベータ版でAndroid及びiPhoneの両方で提供するとしている。記事によれば、今この記事を読んでいるあなたも試すことができるという。AndroidではARCoreが、iPhoneではARKitがこのAR機能をサポートしている。

筆者は先ほど「Google Map」→「目的地の設定」→「スタート」まで進み、経路の表示までを終わらし、「Live View」ボタンを探したのだが見つけることができず、未だ試せずにいる。だが記事では既に誰でも利用できるとの記述はあるので、この記事を読んでいる方はぜひ試してみてほしい。(操作順序

話題のポイント:今回のAR機能の追加は、Googe Mapそのものの大型アップデートの一環だとされています。そして今後、GoogleはGoogle MapとTravelによって、Googleだけで旅の「始まり」から「終わり」までを完結させることができる世界を作ろうとしています。(参考記事

これはGoogleが提供するサービスだけを使うという意味ではなく、「観光地の調査もフライト・ホテルの取得もGoogleを介すことでより旅の充実させられるぞ」というメッセージです。

大言壮語にも聞こえますが、Google Travelで様々な国・観光地の情報について詳細に理解することができ、そこからGoogle Flightでフライトを、Google hotel searchでホテルを探し、予約することができます。そして現地に着けばGoogle Mapを使い移動をし、Google Map内に表示される現地のタクシーサービス(Uberなど)を利用できます。

つまり、今回のようなGoogle MapへのAR機能追加も、そのうちのワンステップだということです。そのうちAR機能と音声機能を用いた国・都市・観光地の解説機能なども実現するのではないでしょうか(スマホカメラのフレームで観光地を捉えると、画像認識でどんなスポットなのかを判別し、ARで解説画面などがポップアップされるようなイメージ)。

観光客誘致に向けて、Facebookの利用が増える日本

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【原文】 先月、日本では Facebook ユーザが 1,800万人を超え、これまで国内でソーシャルネットワークのライバルだった Mixi を、日本で最も好まれる SNS の座から押しやりつつある [1]。その新しい波の上で躍るのは消費者のみではなく、企業も行動を取り始めているようだ。 観光業界も例外ではない。Facebook を国内や海外からの観光客誘致に使おうという動きは少なくない。そんなサー…

【原文】

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写真出典:clutch.ne.jp

先月、日本では Facebook ユーザが 1,800万人を超え、これまで国内でソーシャルネットワークのライバルだった Mixi を、日本で最も好まれる SNS の座から押しやりつつある [1]。その新しい波の上で躍るのは消費者のみではなく、企業も行動を取り始めているようだ。

観光業界も例外ではない。Facebook を国内や海外からの観光客誘致に使おうという動きは少なくない。そんなサービスが一つ、先週ローンチした。

fbjapan-280x210fb Japan 観光案内(fb Japan と略す)は、ホテル、旅館、航空、鉄道など、観光に関連する Facebook ページを集めたウェブサイトだ(現在 324の Facebook ページがある)。東京のソーシャル・ネットワーク・コンサルティング会社 Ainapal が構築したもので、同社自らも日本の美しい旅館など、いくつかの Facebook ページを開設している。観光関連の企業がこのリストに自社の Facebook ページを追加してほしいならば、そのための申込フォームが用意されている。

日本国外へのリーチ

同様に、最近ローンチした Travelience(私が好きな名前ではないが)は、東京のガイドツアーを提供しており、Facebook を活用して観光客を誘致し、日本中の写真を投稿したり、クイズを出したりしている。同社は他社よりも安価なツアーを提供しており、Facebook に露出することで(現在 21,000人のファンが居る)、潜在的なお客がコメントやディスカッションを出来る場となっている。

日本政府の観光団体である JNTO(日本政府観光局)も、ソーシャルネットワークを使った誘致活動に積極的だ。この組織はアメリカ(15.3万人のファン)、シンガポール(14.1万人のファン)、タイ(9.2万人のファン)など、ターゲットとする国別に多くの Facebook ページを運用している。

travelience-280x222もちろん、Facebook を使った、海外に日本を宣伝するこれらの企業の努力も、日本のオタク・サブカルチャーのページで1,100万人以上の Facebook ファンを抱えるスタートアップ Tokyo Otaku Mode と比べると見劣りする [2]。KDDI∞Labo のインキュベータプログラムから生まれた、もう一つの新しいスタートアップ Kawaii Museum JPN も似たような活動をしているが、現時点で 300万人以上の Facebook ファンを有している。

Facebook の力だけでなく、企業や組織はオーディエンスや顧客にリーチするため、これまでにも述べて来た LINE アプリも使っている。アパレルブランドのLIP SERVICE がスマートフォンにより LINE で顧客とつながり、売上を前週比で50%伸ばしたことを、先週取り上げた。首相官邸でさえ、LINE のアカウントを持ち、スマートフォンを持つ市民に最新情報を伝えるようにしている [3]。


  1. チャットアプリは、厳密にはソーシャル・ネットワークではないという人は少なくないが、しかし、おそらく、最近の選ばれしソーシャル・ネットワークは LINE なのだろう。
  2. 最近、勢いの出て来たスタートアップ Tokyo Otaku Mode について知りたければ、先月の我々の記事を読んでみるとよいだろう。
  3. 先週、首相官邸は自前のスマートフォン・アプリをリリースした。