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大逆風のExpediaに襲いかかるGoogleーー決算に書かれたGoogle Travelの追随

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ピックアップ:Expedia CEO Details Anti-Google Game Plan ニュースレターの購読 注目すべき記事、世界のスタートアップシーンの話題、BRIDGE 主催のイベントに関する情報をお届けします! Sign Up ニュースサマリー:Expediaは20日、2020年Q1における決算報告書を公開した。COVID-19のパンデミックにより旅客が大幅に減少したことが起因し1…

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ピックアップ:Expedia CEO Details Anti-Google Game Plan

ニュースサマリー:Expediaは20日、2020年Q1における決算報告書を公開した。COVID-19のパンデミックにより旅客が大幅に減少したことが起因し13億ドルの純損失、売上高は15%減の22億ドルを計上している。減損費用は7億6500万ドルを計上し、主に同社子会社であるTrivago・Vrboの不振に起因しているという。

同社はまた、39億5000万ドルの資金調達をApollo Global Management・Silver Lakeより実施したと発表している。

話題のポイント:COVID-19下において、OTA企業はそもそもフライトが欠航するケースや、ホテル運営の自粛などによりネガティブな局面に立たされていることは紛れもない事実です。その渦中で、OTAの代表格ともいえるExpediaが2020 Q1の決算資料を公開しています。

まず、Expediaは同社プラットフォームを経由した予約であれば、できるだけ迅速なキャンセル手続きを対応を実施ており、返金不可の記載のある予約であっても期間内であれば宿泊施設・航空キャリアと協議の上最善を尽くす姿勢を見せていました。

また、殺到するキャンセル手続きへの対応一環としてシームレスな自動キャンセル手続き機能を追加しています。決算資料によれば2月時点での同機能利用率は65%だったのに対し、4月は95%を記録し、ほぼ全てのキャンセルが自動対応化されていることが分かります。また、3月度におけるキャンセル量は新規予約量を上回ったことも明らかにしています。

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Expedia Q1 2020

逆に、Q1におけるマーケティング費用は大幅に削減されYoYで20%減、約12億ドルに抑えられています。これはもちろん、COVID-19によりトラベル需要が減少したことに起因していますが、同社決算資料では既存の外部広告依存から脱却するターニングポイントであると触れられています。

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Expedia SEC Q1 2020

特に流入減として主要な役割を果たしていたGoogleを名指しで取り上げており、「Googleが自社プロダクト「Google Travel」などに検索のプライオリティーを置き始めている」と指摘しています。

もちろんこれは競合としてのGoogleが「トラベル需要」に食い込んできていることを警戒したものである一方、検索流入の動向が重要な鍵となる老舗OTAのExpediaにとっては、長期的に見ればポジティブな要素と言える話題です。

同資料によれば、2019年には欧州・北米におけるレジャートリップ並びにビジネストリップの総支出の内45%はオンラインを通した決済を記録したとしており、2020年には50%を超えるだろと試算を出しています。つまり、COVID-19による一時的な落ち込みはあれど中長期的にはOTAの役割は着々と増えていくことを意味しています。

またそうしたオンライントラベルの一般化に伴い、同資料では「シェアリングエコノミー」のキーワードを用いて「レガシーなOTA」を圧迫しつつあることを認めています。AirbnbやBooking.comの例を取り上げ、バケーションレンタルの可能性についても大きな期待を寄せていることが読み取れます。

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ExpediaはAirbnb同様のバケーションレンタル・プラットフォーム「Vrbo(HomeAway)」を運営しており、上述の文脈ではこちらの運営にも力を入れていることが分かります。ただここで面白い点は、同様事業を営むAirbnbも、今回Expediaの資金調達をリードしたプライベートエクイティーファンドSilver Lakeが先日のラウンドにおける出資者となっていることです。

トラベルテックメディアSkiftは、彼らの関係性を「frenemies(友好的な競合)」と称しており、COVID-19が生み出す旅のニュー・ノーマル次第ではその関係性がより親密なものに近づく可能性はあります。例えばGoogleがGoogle Travelにプライオリティーを置き始めれば、彼らが対抗策をコラボレーションしてくることもあり得るかもしれません。

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人工知能は旅の体験をどう変える? AI旅アプリ「atta(アッタ)」が3億円調達

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ニュースサマリ:旅行アプリの「atta」は1月8日に第三者割当増資の実施を公表した。引受先となったのはサンエイトインベストメント、御室工房(ファンドはサンエイトOK組合)、三生キャピタル、名古屋テレビ・ベンチャーズ、マイナビ、三菱UFJキャピタル、31VENTURESの7社。調達した資金は総額で3億円。出資比率や払込日、企業評価額などの詳細は公開していない。 ニュースレターの購読 注目すべき記事、…

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ニュースサマリ:旅行アプリの「atta」は1月8日に第三者割当増資の実施を公表した。引受先となったのはサンエイトインベストメント、御室工房(ファンドはサンエイトOK組合)、三生キャピタル、名古屋テレビ・ベンチャーズ、マイナビ、三菱UFJキャピタル、31VENTURESの7社。調達した資金は総額で3億円。出資比率や払込日、企業評価額などの詳細は公開していない。

調達した資金は、開発を強化するための人材採用にあてるほか、日本および東南アジアでのユーザー獲得マーケティング活動、事業パートナーシップの推進を計画している。

attaの創業は2018年3月。スカイスキャナー出身の春山佳久氏が創業し、翌年2019年3月にはグローバル・ブレインから2億円の資金調達を実施している。旅先の移動や宿泊などを総合的に検索してくれるメタサーチからサービスを開始し、現在は独自のビッグデータとAIを活用した旅行提案サービスとして、旅行者に最適な旅先や予算の情報を提供してくれる。

日英で利用可能で料金は無料。現在は世界中218カ国と地域で230万軒以上のホテルや旅館・民泊、4400の航空券を検索することができる。

話題のポイント:旅は人工知能でどう変わるのでしょうか?

attaはいわゆるメタサーチ(一括検索)の一種ですが、特徴のひとつに未来予測があります。ビッグデータを使った予測で、宿泊施設の需要状況や航空券の料金トレンドを解析して、現時点の最安値がこの先、どれぐらい安くなるかの確率を出してくれる、というものです。

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この「お得」という価値は旅の体験をよくするための大切な要素のひとつです。当然ですが予算が最適化されれば、行ける場所や範囲も選択肢が広がります。本誌では先日も旅に関連してこのようなコラムを出しました。

<参考記事>

記事にもあるとおり、旅は「究極のコト消費」だと思います。この定性的な体験を最大化させるためにも、ルートや宿泊などの絞り込み、料金、範囲にある定量的な情報の検討は、人間よりも人工知能にサポートしてもらったほうがシンプルに楽です。春山さんもこの旅の体験を最適化するための「人と人工知能の役割分担」は意識されているようでした。

旅の一番の目的は現地での体験です。その体験をするためのお得な移動手段、宿泊をおすすめするというのは今後の流れになるのではと思っています。ユーザーにあったニュースをキュレーションされた状態でユーザーが閲覧するように、航空券やホテル検索もユーザーからの能動的なインプットは今後、どんどん減ると考えています。ユーザーの傾向から航空券やホテルをおすすめするエンジンの開発を進めていきます。

知らない情報は検索することができない。これはクエリを投げ込んで検索する手法のデメリットです。春山さんの言葉の通り人の情報収集スタイルは今、タイムラインに流れるオススメから選択する、という流れに変わっています。面倒な定量情報のクエリ検索をカットしてくれるだけでなく、自分の知らない未知の領域を教えてくれる、という体験も人工知能ならではといったところでしょうか。

体験という観点では、 当社は既にVoyajinやKlookとパートナーシップを締結しており、旅先での現地アクティビティをユーザーにおすすめしています。

また、テスト段階ではありますが未来の提案も実施しています。例えばタイから毎年北海道のニセコにスキーツアーで訪日している旅行者に対し、2020年度でバンコクから新千歳空港の航空券とニセコの4つ星以上のホテル滞在で、今年はXX月XX日がお得です、というプッシュを送るような感じですね。

現地でのアクティビティ、何かを食べたり、風景を見たり、人と触れ合ったり、こういった体験を軸に、そこまでの最適な方法を提供してくれる。最適化される、ということは効率がよくなるわけですから、例えば「讃岐うどん食べるためだけに四国に行く」といった細分化された体験も可能になるかもしれません。

人工知能が旅に与える影響は思った以上に広がりそうです。

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薬局のディスラプトに対TikTokから始まる次の動画メディア、注目あつまる「世界の250社」まとめ(3/4)

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1編ではエンタープライズ、フード領域、2編ではフィンテック、教育、ギグ経済領域を見てきました。本編ではヘルスケア、メディア、トラベル市場で起きている変化を紹介していきます。 エンタープライズ(1編) フード(1編) フィンテック(2編) 教育(2編) ギグ経済(2編) ヘルスケア(本編) メディア(本編) トラベル(本編) 不動産(4編) 小売(4編) モビリティ(4編) 分野特化で登場する病院 …

architecture backlit buildings california
Photo by Pixabay on Pexels.com

1編ではエンタープライズ、フード領域、2編ではフィンテック、教育、ギグ経済領域を見てきました。本編ではヘルスケア、メディア、トラベル市場で起きている変化を紹介していきます。

  • エンタープライズ(1編)
  • フード(1編)
  • フィンテック(2編)
  • 教育(2編)
  • ギグ経済(2編)
  • ヘルスケア(本編)
  • メディア(本編)
  • トラベル(本編)
  • 不動産(4編)
  • 小売(4編)
  • モビリティ(4編)

分野特化で登場する病院

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Image Credit: Modern Animal
  • Brave Care」は小児科特化の救急病院を運営。2019年にポートランドで創業し、9月に500万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Sesame Street、Greycroftらがラウンドに参加。
  • FirstVet」はオンライン診療ベースの動物病院を運営。2016年にストックホルムで創業し、11月に1,850万ユーロの資金調達をシリーズBラウンドで実施。OMERS Venturesがリードを務め、Creandumがラウンドに参加。
  • Modern Animal」はオンライン診療ベースの動物病院を運営。2019年にロサンゼルスで創業し、10月に1,350万ユーロの資金調達をシードラウンドで実施。Founders Fundがリードを務め、Wonder Ventures、Upfront Ventures、Susa Ventures、DCM Ventures、Box Group、BAM Venturesがラウンドに参加。
  • Parsley Health」は会員制の病院を運営。2016年にニューヨークで創業し、10月に2,600万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。White Star Capitalがリードを務め、FirstMark Capital、Amplo、Alpha Edison Partners、Arkitekt Ventures、Galaxy Digital、One Medical創業者のTom Lee氏、Flatiron Health共同創業者のNat Turner氏がラウンドに参加。
  • Two Chairs」はメンタルヘルス特化の精神病院を運営。2017年にサンフランシスコで創業し、8月に2,100万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Amploがリードを務め、GoldcrestとMaveronがラウンドに参加。
  • Tyto Care」は自宅で使える専用診療IoTを通じたオンライン診療サービスを提供。2012年にニューヨークで創業し、1月に900万ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Sanford Health、Itochu 、Shenzhen Capital Groupがラウンドに参加。

テクノロジーを使って病院体験を最適化する流れが10年前から来ています。たとえば、筆者も利用していた会員制の病院「One Medical」。同社のターゲット顧客は都市圏の忙しいビジネスパーソン。専用アプリかウェブサイトで手軽に診療予約手続きを完了できます。

医師とフォローアップのチャット機能も実装。基本的に直前の予約であってもすぐに受け入れ対応できるように、1都市に5〜6つほどの拠点を構えます。医師の性格や診療の質が高く、必ず専属の医師が付いてくれるため、毎回体調のキャッチアップをしてくれる点が高評価です。One MedicalはIPOの準備をしており、業界にとっては良い指標になっています。

オフライン事業を立ち上げるのは非常にコストがかかりますが、サービス領域を特化させて差別化を図り、次のOne Medicalを目指す動きが目立ちます。なかでも注目したいのは「Modern Animal」。動物病院版One Medicalといっても良いでしょう。米国では獣医サービスの市場規模は約500億ドルもあり、十分な成長余地があります。競合には「FirstVet」が挙げられますが、同社は欧州展開であるため直近で直接競合になることはありません。

日本でもスマホからすぐにオンライン予約できる便利な機能を備えた病院を見受けられますが、未だに医療機関はモバイル時代に合わせた体験を提供できていません。One MedicalやModern Animalのように、大きなイノベーションを起こすというよりは、私たちが当たり前に持つ現代の価値観や利用シーンに最適化させた病院の登場が待望されます。

歯科体験の前進

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Image Credit: Tend
  • Candid」は自宅矯正歯科ブランドを開発。2017年にニューヨークで創業し、4月に6,340万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Greycroft、Bessemer、e.ventures、RiverPark Funds、blisce/、Redesign Health’s limited partners、Mousse Partnersがラウンドに参加。
  • Henry The Dentist」は移動車型の歯科病院を運営。2017年にトリニダード・トバゴで創業し、3月に1,000万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Forerunner Venturesがリードを務め、Brand FoundryとTrail Mix Venturesがラウンドに参加。
  • Uniform Teeth」は矯正歯科病院を運営。2015年にサンフランシスコで創業し、12月に1,000万ドルの資金調達をシリーズAラウンドに実施。Canaanがリードを務め、Lerer Hippeau、Refactor、Slow Venturesがラウンドに参加。
  • Tend」は歯科医療ブランドを運営。2018年にニューヨークで創業し、10月に3,600万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Redpoint Venturesがリードを務め、One MedicalからTom Lee氏、Neil Blumenthal氏、Warby ParkerからDave Gilboa氏、Flatiron HealthからZach Weinberg氏、 Tusk VenturesからBradley Tusk氏がラウンドに参加。

歯科医療分野にはブランドサービスが多数登場。自宅矯正歯科サービス「SmileDirectClub」がIPOをしたことから市場に勢いがあります。“自宅矯正”という言葉に注目が集まっていますが、顧客を来院させてケアをする、オフライン接点を持つ必要は各社とも感じているようです。専属スタッフが来院時にケアすることで、顧客満足度と継続率を上げる施策に取り組んでいます。

たとえば「Uniform Teeth」も来院を必須としています。また、「SmileDirectClub」も実店舗「SmileShop」を用意してチェックアップする機会を提供。さながら歯科医療版ジーニアスバーのサービスを提供しています。自宅のみで完結する矯正歯科医療が求められていますが、やはり顧客に任せているだけでは、ベストな矯正ソリューションを提供できないのかと思われます。この点、オンラインとオフラインのどちらのチャネルに顧客が訪問したとしても、最適なサービスを提供する小売市場で使われるオムニチャネル戦略が重要となりそうです。

動画が鍵を握る自宅ヘルスケア市場

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Image Credit: Mirror
  • Future」は無料配布されるApple Watchを通じたオンラインパーソナル・コーチングサービスを提供。2017年にサンフランシスコで創業し、5月に850万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Kleiner Perkinsがリードを務め、Mike Krieger、Khosla Ventures、Founders Fund、Caffeinated Capitalがラウンドに参加。
  • Hydrow」はボード式フィットネスIoTを開発。2017年にマサチューセッツ州で創業し、5月に700万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Rx3 Ventures、Wheelhouse、The Raptor Group 、The Yard Venturesがラウンドに参加。
  • Journey Meditation」はグループ瞑想動画サービスを提供。2015年にニューヨークで創業し、5月に240万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Canaanがリード投資を務めた。
  • Livekick」は週32ドルからパーソナルトレーナーのコーチングを受けられる動画サービスを提供。2018年にニューヨークで創業し、5月に300万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Firstime VCがリード投資を実施。
  • Meditation.live」はライブ瞑想コーチングサービスを提供。2018年にマイアミで創業し、9月に300万ドルの資金調達を実施。SoftBank Capital NYがラウンドに参加。
  • Mirror」は鏡を使った室内向けフィットネスマシーンを開発。2016年にニューヨークで創業し、10月に3,400万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Point72がリードを務め、Lululemonらがラウンドに参加。

フィットネス市場では室内エアロバイク「Peloton」がIPOを果たしました。バイク本体料金は2,000ドルもする高級価格帯であり、購入後はフィットネス動画コンテンツを視聴するために、月額39ドルの利用料金を支払う必要があります。筆者は何度か試乗したことがありますが、「自宅フィットネス体験」と「高い動画コンテンツ体験」の2つを軸に、高い提供価値を持ち合わせていると感じました。

Pelotonの登場により、体験クオリティが著しく高い製品であれば、高価格であっても自宅に置かれるという認識が市場に広まりました。そこで登場して大きく注目を集めているのが、ミラー型の動画フィットネスIoT「Mirror」や、ボート版Pelotonの「Hydrow」です。いずれも2,000ドル前後の価格帯商品。動画を視聴しながら毎日自宅でフィットネスをして、他のユーザーと競いながら、さながらグループレッスンを受けている体験を得られます。

こうした自宅でライブ感を得ながら楽しくフィットネスをする利用シーンが増えてきました。「Journey Meditation」や「Meditation.live」はモバイルアプリを通じたライブ動画サービスですが、Peloton、Mirror、Hudrowとサービス提供価値が共通しています。日本では自宅フィットネスや、動画を通じたソーシャルフィットネス志向がどこまで刺さるかわかりませんが、ユーザー体験のトレンドとして知っておいて損はないはずです。

薬局のディスラプト

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Image Credit: Truepill
  • Apostrophe」はオンライン皮膚科診療および処方箋配達サービスを提供。2014年にオークランドで創業し、12月に600万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。SignalFireがリードを務め、FJ Labsがラウンドに参加。
  • Medly」は処方箋の当日配達サービスを提供。2017年にニューヨーク・ブルックリンで創業し、シリーズAラウンドを実施。Greycroftがリード投資を実施。
  • Nurx」はオンデマンド避妊薬配達サービスを提供。2014年にサンフランシスコで創業し、8月に5,200万ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Kleiner Perkins Digital Growth Fund、Union Square Venturesが共同でリードを務め、Reproductive Health Investors Alliance、Dreamers VC、Lowercase Capital、Y Combinator、Triple Point Capitalがラウンドに参加。
  • Truepill」はオンライン薬局サービス向けの配達フルフィルメントを提供。2016年にサンマテオで創業し、3月に1,000万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Initialized Capitalがリードを務め、Y Combinator、Sound Ventures、Tuesday Capitalらがラウンドに参加。
  • The Pill Club」はオンデマンド避妊薬配達サービスを提供。2014年にレッドウッドシティで創業し、1月に5,100万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。VMGがリードを務め、GV、ACME Capital、Base10、Shasta Venturesがラウンドに参加。

今や処方箋を自宅に届けてもらう体験は、日常の一部になりつつあります。実際、筆者がサンフランシスコに住んでいた際には「Alto Pharmacy」を利用して自宅配達を頼んでいました。今では避妊薬などの処方箋分野にも配達サービスが広がりを見せています。「Nurx」や「The Pill Club」の大型調達に、市場多角化の勢いが見て取れます。

欧米ではオンライン診療と配達サービスが合わさり、自宅で全ての病院体験が完結する時代になりました。これは前項で紹介したフィットネス市場の自宅体験にも共通する価値観です。医療機関は専門医に症状を相談するコンサルティングサービスの場へとなり、簡単な診察と処方箋注文・受け取りはオンラインを通じて自宅で終わらせるといった区分けが完成しています。リストで紹介している薬局スタートアップの大変が、この自宅診療体験を再現しています。

各医療機関は自宅体験のトレンドを掴み、配達サービスを実装しつつあります。そこで登場するのがAPIやSaaSの考えです。「Truepill」はオンライン診療や配達サービスなど、患者のジャーニーマップ上で必要となる各種サービスを、事業者が手軽に実装できる処方箋配達版AWSを提供します。必要な機能を実装して、フルフィルメントを簡単に構築できるサービスとなっています。これは1編で紹介した“API化が続く世界”や“ソフトウェアが飲み込む多領域”にも通じるコンセプトです。医療市場における顧客体験に対して、API市場の盛り上がりを掛け合わせることで大きな商機を得られる証拠です。薬局のディスラプトからは、自宅体験と他市場トレンドであるAPIやSaaSコンセプトを繋ぎ合わせて、新たな提供価値を確立できることがわかります。

対TikTokから始まる次の動画メディア

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Image Credit: Yubo
  • Brut」は短尺動画メディアを運営。2016年にパリで創業し、10月に4,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Red River Westがリードを務め、blisceがラウンドに参加。
  • Imgur」はミームコンテンツプラットフォームを運営。2009年にサンフランシスコで創業し、6月に2,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Coilがラウンドに参加。
  • OneDay」は高齢者の人生ストーリーを動画撮影し、トピックごとに地元の人が閲覧できる記録メディアを運営。2012年にダラスで創業し、12月に520万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Silverton Partnersがリードを務め、Spieker PartnersとGreen Park & Golf Venturesがラウンドに参加。
  • Triller」は誰もがプロ風動画を作れるソーシャル音楽動画プラットフォームを運営。2015年にニューヨークで創業し、10月に2,800万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Proxima Mediaがリード投資を実施。
  • Yubo」はライブストリーム特化の若者向けSNSを運営。2015年にフランスで創業し、12月に1,230万ドルの資金調達を実施。 Iris CapitalとIdinvest Partnersがリードを務め、 Alven、Sweet Capital 、Village Globalがラウンドに参加。

10月、Googleが30秒ほどの短尺動画をシェアできる「Firework」の買収を検討していたことが報道されました。同社は対TikTokアプリとしてユーザー数を伸ばして注目を集めています。

Googleにとって今回の買収検討は、長尺動画をYouTubeに投稿し、その他の動画をFireworkに投稿させる導線を確保することで、米国の動画コンテンツ市場で覇権を握ろうとした戦略の一環だったと考えられます。ユーザー投稿型サービスの動画プラットフォームを抑え、動画広告市場で幅広く広告出稿者の意向に応えたかったと想像できます。

Fireworkは音楽を使った動画コンテンツプラットフォームではありませんが、「Triller」は音楽PV風の動画を投稿できるサービスとして成長。TikTokとはまさに直接対峙する市場ポジションにいます。いずれのスタートアップもGAFA勢に買収される可能性の高い企業として注目でしょう。一方、最近ではMEMEコンテンツの人気に火が付き、「Imgur」のような新しいコンテンツプラットフォームが大型調達を果たしています。ただ、この分野では未だ広告ソリューションが確立しているわけではないため、大手に買収されるほど市場が成長するにはもう少し時間がかかる印象です。

さて、動画市場での注目動向の1つとして「共同体験/コラボレーション」が挙げられます。たとえば、リストにある「Yubo」はまさにZ世代向けのSNSとして好例。また、「Kast」は最大100名の友人と一緒に動画を楽しめるソーシャルプラットフォームを運営。同じ映像コンテンツを視聴しながらコメントをし合い、体験を共有できます。こうしたコラボを切り口にしたメディア体験は他分野でも起きており、音声SNS「TTYL」にも見られます。現在はTikTokが話題を独り占めするメディア市場ですが、おそらく今後はコラボ体験を制するメディアに大きな注目が集まると予想しています。

特化型新興メディア

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Image Credit: IRL
  • Academia.edu」は学術論文に特化したソーシャルシェアサービスを運営。2007年にサンフランシスコで創業し、3月に1,600万ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Tencentがリードを務め、 Social Discovery Venturesがラウンドに参加。
  • Cailu」はブロックチェーン特化の中国メディア。2018年に上海で創業し、7月に1,000万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。GBCI Venturesがリード投資を務めた。
  • Everdays」は故人情報特化のSNSを運営。2017年にミシガン州で創業し、1月に1,200万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Gordy Companiesがリード投資を務めた。
  • Holloway」は専門家監修のオンラインビジネス誌を刊行。2016年にサンフランシスコで創業し、8月に460万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。NEA、The New York Times、South Park Commonsがラウンドに参加。
  • IRL」はオフラインイベント特化のSNSを運営。2017年にサンフランシスコで創業し、6月に800万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Goodwater Capital、Founders Fund、Kleiner Perkinsがラウンドに参加。
  • Overtime」は中高生スポーツに特化したメディアを運営。2008年にニューヨークで創業し、2月に2,300万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Spark Capitalがリード投資を務めた。

FacebookやTwitterの手の届かない、特化型メディアの成長が印象的な1年でした。注目のスタートアップは「IRL」。“in real life”の省略語であるIRLは、カレンダーSNSを提供。友人や気になるイベントをフォローして、地元で飲み会やミートアップが開催されると通知が来る“ソーシャル・カレンダー”という新たな分野を開拓しました。

従来、カレンダーは単なるリマインドツールでしかありませんでしたが、SNSの切り口で提供価値を再定義したのがIRLです。近くにいる人気のイベント開催者をフォローする体験は、普段Google Calendarを通じて感じる価値と違いはないため、ユーザーにとってはしっくりと来る導線なはずです。コミュニティを活性化させる新たなカレンダーメディアといえます。

また、「Holloway」も面白い事例です。同社は専門家がキュレートしたPDF雑誌を刊行するニッチメディアを運営します。たとえば、資金調達のノウハウが詰まったPDF資料を100ドルで販売しています。内容は随時更新されることから、常に最新の情報をキャッチアップすることができます。Hollowayがディスラプトするのは業界雑誌といえます。専門性の高いニッチ情報を発信することで、通の人に親しまれるメディアを目指していることが伺えます。

投資家にはNew York Timesも名を連ねていることから、新しいメディア収益源として注目されていることがわかります。New York Timesは専門家がキュレートした製品レビューメディア「Wirecutter」を買収していることから、バーティカル特化メディアの買収に積極的だと予想がつきます。あと2-3年ほどしてHollowayが実績を積み重ねれば、New York Times傘下になることも夢ではないでしょう。日本の大手メディアもこうしたニッチメディア買収トレンドに迎合する可能性があるかもしれません。

“専門化”するコミュニティ

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Image Credit: Winnie
  • Brainly」はP2Pラーニング型の質問サイトを運営。2009年にポーランドで創業し、7月に3,000万ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Naspersがリードを務め、Runa Capital、Manta Rayがラウンドに参加。
  • Chief」は女性特化のコミュニティを運営。2018年にニューヨークで創業し、6月に2,200万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。General CatalystとInspired Capitalが共同でリード投資を務めた。
  • Cocoon」は親族や近しい友達に特化したSNSを運営。2018年にサンフランシスコで創業し、6月に300万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Lerer Hippeauがリードを務め、Y Combinator、Susa Ventures、Norwest Venture Partners、Advancit Capital、Foundation Capital、iNovia、Shrug Capital、SV Angelがラウンドに参加。
  • DEV」はソフトウェアエンジニア特化のSNSを運営。11月に1,150万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Mayfieldがリードを務め、OSS CapitalとCharge VCがラウンドに参加。
  • Freeda」は女性特化メディアを運営。2016年にミラノで創業し、9月に1,300万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Alvenがリードを務め、Endeavor Catalystらがラウンドに参加。
  • Glitch」はピアコーディング・プラットフォームを運営。2000年にニューヨークで創業し、7月に3,000万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Tiger Global Managementがラウンドに参加。
  • Homie」は外国生まれおよび海外駐在者向けオンラインコミュニティを運営。2014年にソルトレイクシティーで創業し、1月に2,254万ドルの資金調達を実施。Canaan PartnersとSpark Capitalが共同でリード投資を務めた。
  • Mawdoo3」はアラブ語特化のWikipediaを運営。2010年にジョーダンで創業し、5月に1,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Kingsway Capital、Endure Capital、Endeavor Catalyst、Equitrust、AdamTech Venturesがラウンドに参加。
  • NewtonX」は世界中の専門家に繋がるQ&Aマーケットプレイスを運営。2016年にニューヨークで創業し、6月に1,200万ドルの資金調達を実施。Two Sigma Venturesがリードを務め、Third Prime Capital and Xfundがラウンドに参加。
  • Part&Parcel」はプラスサイズ女性服特化のコミュニティコマースを運営。2016年にサンフランシスコで創業し、5月に400万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Lightspeed Venture Partnersがリードを務め、Peterson Ventures、Village Global、Poshmarkの創業者Manish Chandra氏がラウンドに参加。
  • Peanut」は母親向けSNSを運営。2016年にロンドンで創業し、11月に500万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Index Venturesがリード投資を務めた。
  • SurvivorNet」はガン研究者と患者を繋ぐメディアプラットフォームを運営。ニューヨークで創業し、350万ドルの資金調達を実施。Gatemore Venturesらがラウンドに参加。
  • Tempest」はアルコール依存症改善オンラインプログラムおよびコミュニティを運営。2014年にニューヨークで創業し、10月に1,000万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Slow Ventures、Female Founders Fund、AlleyCorp、Refactor、Green D Venturesがラウンドに参加。
  • Valence」は黒人特化のコミュニティを運営。2019年にロサンゼルスで創業し、11月に250万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Upfront Venturesがリードを務め、Sinai Ventures、Human Ventures、High Alphaがラウンドに参加。
  • Winnie」は母親向けYelpを運営。2016年にサンフランシスコで創業し、10月に900万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Rethink Impactがリード投資を務めた。

コンテンツにエッジを持たせて、特化型のコミュニティを作るメディア戦略が市場の主流になってきています。様々な角度でメディア運営が行われていますが、特徴的なのが2つ。1つはデモグラフィック特化型メディアの台頭。「Chief」や「Freeda」などの女性特化メディアが急成長を遂げています。女性の権利尊重やダイバーシティの機運を追い風に、様々な人たちが力強いコミュニティを作り上げている印象です。黒人特化のコミュニティ「Valence」のように、女性向けから他分野へと、ダイバーシティ・メディアの考えが広まりつつあります。

もう1つは母親向けメディア。「Winnie」は好例です。同社は母親版食べログのようなサービスを展開。母親ユーザーが投稿した詳細なコメントを参考にして近場の子連れに優しい遊び場やレストランを検索できます。熱量の高いコメントが多く、特化型市場を押さえることでコアファンの獲得に成功しています。元々は子供連れに優しい場所情報を提供する地図アプリとして始まり、領域特化型Google Mapとして立ち上がりました。今では口コミ情報サイトにまでサービスの多角化を果たしていますが、地図メディアとしても面白い事業展開が今後見込めるかもしれません。

制作集団・ツール

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Image Credit: Superplastic
  • Brud」はバーチャルインフルエンサーLil Miquelaを制作。2,000万ドルの資金調達を実施。Spark Capital、Sequoia Capitalらがラウンドに参加。
  • Frame.io」は動画編集ツールを提供。2014年にニューヨークで創業し、11月に5,000万ドルの資金調達をシリーズCラウンドで実施。Insight Partnersがリードを務め、Accel、FirstMark、SignalFire、Shasta Venturesがラウンドに参加。
  • Kapwing」はミームコンテンツ作成ツールを提供。2017年にサンフランシスコで創業し、9月に1,100万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。CRVがリード投資を務めた。
  • Superplastic」はSNS向けのCGマスコットキャラを制作。2017年にバーリントンで創業し、7月に1,000万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Craft Venturesがリードを務め、Global Village、Betaworks、Canaan Partners、Shrug Capital、Cyan Bannister氏、Scott Belsky氏、Scooter Braun氏がラウンドに参加。

筆者がサンフランシスコで動画メディア企業にいた際から使っていたのが「Frame.io」。当時は創業から1年ほどしか経っていませんでしたが、すでに美大生の間でも使われていました。Adobeが手を出せていない機能を備えた領域特化の制作ツールには、成長可能性が大いにあると感じさせられました。今では5,000万ドルもの資金調達をして、動画コラボ編集ツールとして不動の地位を得ています。

同じ流れがMEME市場でも起きています。「Kapwing」はその代表格になりつつあると言えるかもしれません。また、WebAR作成プラットフォーム「8th Wall」など、時代によって多様化するメディア編集の分野で活躍するスタートアップが多数登場しています。

また、バーチャルインフルエンサーが台頭した年でもありました。代表的なものが「Brud」と「Superplastic」。どちらもInstagramで大人気ですが、クリエティブ要素が非常に高く、同じようなサービスを立ち上げるには非常に難易度の高くて再現性の低い印象です。参入障壁の高い領域だからこそ、Sequioa Capitalなども投資する大型スタートアップにまで成長しています。

旅行体験に新たな価値を

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Image Credit: Remote Year

 

  • AmazingCo」はマニアック体験旅行サービスを提供。2016年にオーストラリアで創業し、9月に510万ドルの資金調達をシリーズAラウンドで実施。Rampersand VCがリードを務め、Artesian and Macdoch Venturesがラウンドに参加。
  • Atlas Obscura」は体験型メディアおよび旅行サービスを運営。2009年にニューヨークで創業し、9月に2,000万ドルの資金調達をシリーズBラウンドで実施。Airbnbがリードを務め、A+E Networks とNew Atlantic Venturesがラウンドに参加。
  • GetYourGuide」はローカル旅行ガイドのニッチな旅行サービスマーケットプレイスを運営。2009年にベルリンで創業し、5月に4,840万ドルをシリーズEラウンドで実施。SoftBank Vision Fundがリードを務め、Temasek、Lakestar、Korelya Capital、Heartcore Capital、Swisscanto Investがラウンドに参加。
  • Leavy.co」は旅行中に空き部屋を貸し出せば定額収入を得られる民泊サービス。2017年にパリで創業し、11月に1,400万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Prime Venturesがリードを務め、Dominique Vidal、Index Venturesがラウンドに参加。
  • Nowaday」はシティツアーサービスを提供。ニューヨークで創業し、11月に350万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。Greycroft、Pritzker Group VC、Raine Groupがラウンドに参加。
  • Remote Year」は月2,000ドルから始めるリモートワーカー同士のグループ旅行サービスを提供。2014年にイリノイ州で創業し、10月に500万ドルの資金調達をシリーズBラウンドを実施。Lightbankがリード投資を務めた。
  • Stride」は専門家が選ぶツアー旅行体験マーケットプレイスを運営。2014年にサンフランシスコで創業し、6月に250万ドルの資金調達をシードラウンドで実施。JetBlue VenturesとNFXがラウンドに参加。

旅行市場の業態が変わろうとしています。簡単に2つほど事例を紹介します。1つは「Leavy.co」。同社はミレニアル世代のホスト向け民泊プラットフォームを提供。ホストは旅行期間中に部屋を貸し出すだけで収益を上げられます。地元でローカルマネージャーとして働くユーザーが物件を管理してくれるため、最低限の収益が担保された形で旅行に手軽に出掛けられるプラットフォームとなっています。

Leavy.co側は又貸しモデルでマージンから収益を得るため、民泊市場版WeWorkビジネスモデルと言えるでしょう。ホストにとっては旅行コストをある程度カバーできる収入源を得られるため、旅行ハードルを下げられるようになりました。これは2編で話した“金回りの改善”にも繋がる考えです。売上が必ず発生するのかわからない、自宅にいないと民泊を運営できない面倒くささがあるといった課題点を解決し、自由に旅行できるサービスを確立したのがLeavy.coです。

もう1つのは「Remote Year」。リモートワークで働く人の中には、世界中を旅しながら仕事をしたいといった需要を持っている人が多数いるはずです。そこでRemote Yearは4か月の期間から、リモートワーカー同士で旅をしながら仕事ができる旅行パッケージを提供。日本で10年ほど前に登場した旅行マッチングサービス「トリッピース」にも通じる体験性を提供しているのがRemote Yearと感じます。見知らぬ人と世界を旅する提供価値には、世界共通でニーズがあるように思えます。

上記のリストには登場していませんが、いずれパッションエコノミー文脈から、ローカル案内人が自分の旅行プランを売り出せるプラットフォームも登場するかと思います。旅行代理店免許を取得する必要性がありそうですが、この点をハックするスタートアップが訪れる予感がしています。たとえば「Evaneos」などは最も近しい事例として当てはまります。

3編はここまでです。最終4編では不動産や小売を中心に見ていきます。

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TikTokは「追体験プラットフォーム」になる ーー “Storytelling as a Service”が秘める市場インパクト

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ピックアップ記事: Subway Time Warps Are China’s Latest TikTok Meme ニュースサマリー: 2019年4月、短尺動画アプリ「TikTok」を発信源に、地下鉄を舞台にしたコンテンツが流行した。動画では、女性が現代の地下鉄を降りると過去や別次元へ足を伸ばし、様々な服装を装ったりいろんな場所へ赴きながら旅をする。 ニュースレターの購読 注目すべき記事、世界の…

people watching fireworks display during nighttime
Photo by Jonas Von Werne on Pexels.com

ピックアップ記事: Subway Time Warps Are China’s Latest TikTok Meme

ニュースサマリー: 2019年4月、短尺動画アプリ「TikTok」を発信源に、地下鉄を舞台にしたコンテンツが流行した。動画では、女性が現代の地下鉄を降りると過去や別次元へ足を伸ばし、様々な服装を装ったりいろんな場所へ赴きながら旅をする。

中国版Twitter「Weibo」上ではハッシュタグ「subway crossing」と名付けられ、同動画を真似たコンテンツが瞬く間に700万回まで再生数が伸びた。中国の西安市の地下鉄会社もsubway crossingのトレンドに乗り、自社事業を紹介するトレース動画を発表した。

TikTokは「ストーリー追体験プラットフォーム」の役割を担う

話題のポイント: TikTok上では様々なコンテンツが人気になっていますが、なかでも注目なのが今回紹介したような旅動画の領域。

日本ではハッシュタグ「TikTokで旅をしよう」と検索すると非常に凝った高品質なコンテンツがヒットします。こうした旅動画が新たなメディア領域になる兆しが出ています。実際、ハッシュタグ「TikTokで旅をしよう」は累計約5億再生、ハッシュタグ「Travel」においては30億再生。TikTokが作り出した市場規模は巨大です。

旅動画コンテンツの醍醐味はユーザーが行ったことのない・体験したことのない場所を、ストーリー仕立てで追体験できる点にあります。追体験をユーザーに提供するためには、現在のTikTokのフィルターでは対応しきれません。外部ビジュアル・エフェクトツール(以下VFX)や、動画編集ソフトを利用してコンテンツ表現を高める必要があります。

TikTokの独特な撮影フォーマットと、各ユーザーが趣向を凝らして編集した旅行体験を伝えるコンテンツに注目が集まりつつあります。

同時に、ユーザーが1分程度スマホを眺めるだけで追体験できるコンテンツが集まるTikTokを“Story Telling as a Service”と呼び始める人も登場し始めました。アプリを通じてストーリー調の体験をユーザーに伝えるコンテンツが量産されるプラットフォームを指します。

動画編集市場を一変させる可能性

low angle view of lighting equipment on shelf
Photo by Pixabay on Pexels.com

先述したように、ストーリー仕立ての旅行動画を制作するには映像編集に強い人材が必要です。言い換えれば、現在こうしたコンテンツ領域に張っている動画製作者が人気コンテンツを配信できる状態といえます。

しかし、TikTokが撮影フォーマットやARフィルターなどを将来的に追加してくれば、一般ユーザーでも似たような世界観をいずれ編集して再現することが可能となるかもしれません。

もともと独特の動画編集フォーマットを用いて、動画編集ツールの役割を担いながら成長してきたTikTok。いわば動画編集ツールを他のどのサービスよりも民主化したのが同アプリです。編集ツールとしてのTikTokの進化を考えた際、たとえば冒頭で紹介した地下鉄コンテンツを手軽に真似ることもできるようになるかもしれません。

ここで今後の市場感として捉えておくべきなのが、VFXコンテンツ製作者に代表される動画編集者の活動領域・作品発表プラットフォームが旅動画の人気と共にスマホへとシフトしつつある点です。

TikTokの台頭と共に、従来映像編集スタジオでしか出来なかったことが徐々にスマホのフィルターで出来るようになっている市場変革の兆しがすでに芽生えています。これを指して“Movie Studio in the phone”と市場では称されます。

こういった未来を逆算した際、相当高度な映像編集技術を要するコンテンツが、TikTokの成長と共に量産され、現在活躍している動画編集者の価値が目減りしてくることが予想されます。

5-10年の時間を費やすと思いますが、TikTokを筆頭に“Story Telling as a Service”の概念が広まり、高い再現性を用いてあらゆる物事を追体験できるコンテンツが広まることで起こる動画市場の変化に注視しておく必要があるでしょう。

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Google MapのARガイド、ベータ版が公開されるーーGoogleで旅行の全てが完結する世界

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ピックアップ:Google Maps AR walking directions arrive on iOS and Andro ニュースレターの購読 注目すべき記事、世界のスタートアップシーンの話題、BRIDGE 主催のイベントに関する情報をお届けします! Sign Up ニュースサマリー:GoogleはAR技術を用いて、目的地の方角をGoogle Mapに表示する新しい機能を開発している。技術…

ピックアップGoogle Maps AR walking directions arrive on iOS and Andro

ニュースサマリー:GoogleはAR技術を用いて、目的地の方角をGoogle Mapに表示する新しい機能を開発している。技術の発表自体は今年の5月になされたもので、Googleのトラベル事業(※後述)にさらに拍車をかけるアップデートになるとされている。以下の動画を見れば、その革新性が十分に理解できる。

従来のGoogle Mapは、平面状の地図に青色の線や青丸によって目的地への経路を表示することや、音声による解説によってユーザーをサポートするだけだったが、ARによるサポートが付くことによって、より早く・正確に目的地への経路を発見することができるようになる。

Google Mapで二次元上に表示された経路と、現実世界の道を照らし合わせるのは、少しだけ手間だと思った方もいるかもしれない。だがAR機能を使いすれば、目の前に広がる街の道路の中からARの矢印がどの道に進めばいいのかを教えてくれるのだ。

GoogleはこのAR機能を今週はベータ版でAndroid及びiPhoneの両方で提供するとしている。記事によれば、今この記事を読んでいるあなたも試すことができるという。AndroidではARCoreが、iPhoneではARKitがこのAR機能をサポートしている。

筆者は先ほど「Google Map」→「目的地の設定」→「スタート」まで進み、経路の表示までを終わらし、「Live View」ボタンを探したのだが見つけることができず、未だ試せずにいる。だが記事では既に誰でも利用できるとの記述はあるので、この記事を読んでいる方はぜひ試してみてほしい。(操作順序

話題のポイント:今回のAR機能の追加は、Googe Mapそのものの大型アップデートの一環だとされています。そして今後、GoogleはGoogle MapとTravelによって、Googleだけで旅の「始まり」から「終わり」までを完結させることができる世界を作ろうとしています。(参考記事

これはGoogleが提供するサービスだけを使うという意味ではなく、「観光地の調査もフライト・ホテルの取得もGoogleを介すことでより旅の充実させられるぞ」というメッセージです。

大言壮語にも聞こえますが、Google Travelで様々な国・観光地の情報について詳細に理解することができ、そこからGoogle Flightでフライトを、Google hotel searchでホテルを探し、予約することができます。そして現地に着けばGoogle Mapを使い移動をし、Google Map内に表示される現地のタクシーサービス(Uberなど)を利用できます。

つまり、今回のようなGoogle MapへのAR機能追加も、そのうちのワンステップだということです。そのうちAR機能と音声機能を用いた国・都市・観光地の解説機能なども実現するのではないでしょうか(スマホカメラのフレームで観光地を捉えると、画像認識でどんなスポットなのかを判別し、ARで解説画面などがポップアップされるようなイメージ)。

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観光客誘致に向けて、Facebookの利用が増える日本

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【原文】 先月、日本では Facebook ユーザが 1,800万人を超え、これまで国内でソーシャルネットワークのライバルだった Mixi を、日本で最も好まれる SNS の座から押しやりつつある [1]。その新しい波の上で躍るのは消費者のみではなく、企業も行動を取り始めているようだ。 ニュースレターの購読 注目すべき記事、世界のスタートアップシーンの話題、BRIDGE 主催のイベントに関する情報…

【原文】

facebook-in-Japan
写真出典:clutch.ne.jp

先月、日本では Facebook ユーザが 1,800万人を超え、これまで国内でソーシャルネットワークのライバルだった Mixi を、日本で最も好まれる SNS の座から押しやりつつある [1]。その新しい波の上で躍るのは消費者のみではなく、企業も行動を取り始めているようだ。

観光業界も例外ではない。Facebook を国内や海外からの観光客誘致に使おうという動きは少なくない。そんなサービスが一つ、先週ローンチした。

fbjapan-280x210fb Japan 観光案内(fb Japan と略す)は、ホテル、旅館、航空、鉄道など、観光に関連する Facebook ページを集めたウェブサイトだ(現在 324の Facebook ページがある)。東京のソーシャル・ネットワーク・コンサルティング会社 Ainapal が構築したもので、同社自らも日本の美しい旅館など、いくつかの Facebook ページを開設している。観光関連の企業がこのリストに自社の Facebook ページを追加してほしいならば、そのための申込フォームが用意されている。

日本国外へのリーチ

同様に、最近ローンチした Travelience(私が好きな名前ではないが)は、東京のガイドツアーを提供しており、Facebook を活用して観光客を誘致し、日本中の写真を投稿したり、クイズを出したりしている。同社は他社よりも安価なツアーを提供しており、Facebook に露出することで(現在 21,000人のファンが居る)、潜在的なお客がコメントやディスカッションを出来る場となっている。

日本政府の観光団体である JNTO(日本政府観光局)も、ソーシャルネットワークを使った誘致活動に積極的だ。この組織はアメリカ(15.3万人のファン)、シンガポール(14.1万人のファン)、タイ(9.2万人のファン)など、ターゲットとする国別に多くの Facebook ページを運用している。

travelience-280x222もちろん、Facebook を使った、海外に日本を宣伝するこれらの企業の努力も、日本のオタク・サブカルチャーのページで1,100万人以上の Facebook ファンを抱えるスタートアップ Tokyo Otaku Mode と比べると見劣りする [2]。KDDI∞Labo のインキュベータプログラムから生まれた、もう一つの新しいスタートアップ Kawaii Museum JPN も似たような活動をしているが、現時点で 300万人以上の Facebook ファンを有している。

Facebook の力だけでなく、企業や組織はオーディエンスや顧客にリーチするため、これまでにも述べて来た LINE アプリも使っている。アパレルブランドのLIP SERVICE がスマートフォンにより LINE で顧客とつながり、売上を前週比で50%伸ばしたことを、先週取り上げた。首相官邸でさえ、LINE のアカウントを持ち、スマートフォンを持つ市民に最新情報を伝えるようにしている [3]。


  1. チャットアプリは、厳密にはソーシャル・ネットワークではないという人は少なくないが、しかし、おそらく、最近の選ばれしソーシャル・ネットワークは LINE なのだろう。
  2. 最近、勢いの出て来たスタートアップ Tokyo Otaku Mode について知りたければ、先月の我々の記事を読んでみるとよいだろう。
  3. 先週、首相官邸は自前のスマートフォン・アプリをリリースした。

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