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年間1,000万人超「入退院」の非効率をなくせーー“異端児”3Sunnyが手がけるCAREBOOKの挑戦

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ニュースサマリ:医療機関の業務支援SaaS「CAREBOOK」を開発する3Sunnyは3月4日、第三者割当による増資を公表している。引受先になったのはメディカルノート、メディアスホールディングス、帝人、ANRI、ANOBAKA、PERSOL INNOVATION FUNDと個人投資家として杉田玲夢氏、藤本修平氏、中山紗彩氏が参加した。調達した資金は3億2,000万円で、プロダクト開発、人材採用に投…

Image Credit : 3Sunny

ニュースサマリ:医療機関の業務支援SaaS「CAREBOOK」を開発する3Sunnyは3月4日、第三者割当による増資を公表している。引受先になったのはメディカルノート、メディアスホールディングス、帝人、ANRI、ANOBAKA、PERSOL INNOVATION FUNDと個人投資家として杉田玲夢氏、藤本修平氏、中山紗彩氏が参加した。調達した資金は3億2,000万円で、プロダクト開発、人材採用に投資される。同社はシード期にANRI(2016年、2,000万円)とANOBAKA(2018年、5000万円)から出資を受けており、これまでの累計調達額は4億円となる。また、今回出資に応じたメディカルノートと帝人についてはそれぞれCAREBOOKと連携した事業展開も推進する。

CAREBOOKは医療機関にて治療を終えた患者が、次のリハビリなどを目的に退院・転院する際の調整業務を効率化する。医療機関における入退院の数は年間延べで1,500万人発生しており、これら業務は通常、電話やFAXなどを通じて調整業務が実施されてきた。コロナ禍などもあり、医療機関における業務効率化が必須となる中、こういった非効率は課題となっていた。リリースから約2年で都内を中心に大学病院や大規模医療グループなどが採用しており、全国230の医療機関にて導入が進んでいる。

話題のポイント:コロナ禍でここ2年ほど、毎日のように見聞きするようになったのが医療機関の病床や業務効率化の話題です。医療とは関係のない分野からスタートアップしてどうやってここまで成長させたのか、3Sunny代表取締役の志水文人さんと創業期から支援していたANRIの佐俣アンリさんにClubhouseで公開取材してきました。今回からポッドキャストでも配信しますので聞き逃された方は聞いてみてください。特に創業期の乗り切り方は非常にユニークですが参考になります。

3Sunnyが公開しているカルチャーデックより

さて、CAREBOOKは病院業務の中でも入退院に特化した業務効率化ツールです。私も経験があるので理解できますが、特に高齢者の場合は治療が終わって退院した後にリハビリが始まるケースがあるので、自宅や別の施設へ転院・通院する必要が出てきます。こういったところでの各種調整業務をこれまで電話とFAXでやっていたため、非常に効率が悪かったそうです。志水さんのお話だとニッチに思えてこういった患者さんが年間で1,000万人ほどいらっしゃるということなので、課題レベルとしてはなぜ放置してたのかと思えるレベルです。

一方、医療機関側はこういった業務効率化ツールを入れたところで、人を減らすわけにいかないという構造的な課題もあったようです。つまり単純にコストアップになるだけなので、これまではなかなか導入が進まなかったのですが、今回のコロナ禍で病院側の業務が相当に逼迫し、業務効率化が加速したというお話でした。

CAREBOOKの特徴として入退院、つまり患者を送り出す側と「受け入れる側」の双方がこのツールを使う必要がある、というものがあります。ここは導入戦略が上手だなと思いましたが、医療機関には大学病院など地域の中核となる医療施設があり、そこが導入すると周辺も順次対応していくようになるそうです。内容としては患者の受け入れを効率化するもので、一刻を争う受け入れをスムーズにしてくれますから、対応可能となれば一斉に導入が進むというわけです。基本的な料金設定は月額固定だそうです。

公開取材のポッドキャストではCAREBOOKの将来像から、全く医療関係とは異なる業界からやってきた志水さんたちがどのようにして医療という難しい市場を開拓したのか、また、創業から数年をたった数千万円のシード資金でどのように乗り切ったのか、そのあたりもアンリさん交えてお話しています。ぜひお聞きいただければ。

※本稿はClubhouseでの取材内容をご本人に同意いただいて記事化しています

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薄毛の悩みをAIとアプリで解決する「HIX」、投資家がコンプレックス課題に注目した理由

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ニュースサマリ:AGA(男性型脱毛症)を管理するアプリ「HIX(ヒックス)」を展開するエムボックスは2月24日、ジェネシア・ベンチャーズと守屋実氏などを引受先とする第三者割当増資の実施を公表している。調達した資金は4,000万円でラウンドはシード。調達資金でHIXの開発・マーケティングを進めるほか、自社ブランドのヘアケア製品開発も実施する。 HIXはスマートフォンアプリで薄毛の状態を診断し、結果に…

「HIX(ヒックス)」

ニュースサマリ:AGA(男性型脱毛症)を管理するアプリ「HIX(ヒックス)」を展開するエムボックスは2月24日、ジェネシア・ベンチャーズと守屋実氏などを引受先とする第三者割当増資の実施を公表している。調達した資金は4,000万円でラウンドはシード。調達資金でHIXの開発・マーケティングを進めるほか、自社ブランドのヘアケア製品開発も実施する。

HIXはスマートフォンアプリで薄毛の状態を診断し、結果に応じた予防やヘアケアの施策をガイドしてくれるサービス。アプリからスマートフォンのカメラを使って頭部を撮影すると、その画像から独自の判断基準で状態をステージに分類し、エムボックスの専門カウンセラーが毛髪診断した結果を返してくれる。昨年7月のβ版公開以降、会員登録数は約1,000名、診断画像数は3,000件を超える。

画像判定のアルゴリズムは専門のAGA医師が監修しており、最終的な結果の判定は公益社団法人の日本毛髪科学協会にて資格を取得した毛髪診断士が行う。診断自体は無料で、結果に応じてプライベートブランドのヘアケア製品などを販売するモデル。また、不安などの相談はチャットで実施できる。

話題のポイント:エムボックスの創業は2018年11月。OpenNetworkLabに参加したスタートアップで、創業者の金澤大介さんは武田薬品工業から禁煙アプリ「キュアアップ」に参加した人物です。ご実家が薬局ということでキュアアップ退職後に薬剤師の資格を取得し、今回のエムボックスを創業されています。

写真左から:取締役の小西裕介さん、代表取締役CEOの金澤大介さん、代表取締役CTOの松本裕さん

従来こういった薄毛の悩みはインターネットで調べてもコンプレックス系の広告が大量に掲載されており、判断が難しく、かつ、市販品の育毛・発毛剤は価格が高いという問題点がありました。エムボックス自体はクリニックではないので、AGA自体の診療行為はできません。しかしこういったクリニックではどこでも進行状態を簡易的に調べる「簡易診断」を実施しているそうで、HIXがその部分をアプリ化することで「セルフチェック」の敷居を下げたのが特徴になります。

気になる画像診断の精度ですが、AIによる画像分析をかけるとおおよそ進行状態に対して3つぐらいのパターンに分類できるそうです。進行していない状態については市販品のホームケアを提案し、その後、進行状況に応じて内服薬や注射などを使った高度医療へと提案内容が変化するそうです。医療機関にかかる必要がある場合は初回の診療費が無料になる提携クリニックを紹介してくれるということでした。

HIXで診断した後に提案してくれるヘアケアプロダクト。ビジネスモデルはこれらケア商品の販売

Clubhouseでの公開取材でジェネシア・ベンチャーズの水谷航己さんにも出資の理由について聞いたのですが、金澤さん始め、クリニック経営などに経験のある経営チームに魅力を感じたのはもちろん、やはり市場に出回る大量のコンプレックス系広告に辟易している点は多いに指摘されてました。悩みをもっている人を無駄に煽ってアクセス・アフィリエイトを稼ぐ方法は過去、キュレーションメディアで大きな問題になりましたが、そこに対して決め手となるソリューションはまだありません。

HIXのように問題を抱える人に寄り添うアプローチはユーザー体験を最優先にする一方、過去のコンプレックス広告のような「押し売り」の強さはありません。マネタイズポイントが遠くなってしまう点について金澤さんは、タッチポイントを増やすことで解決策を模索したいと話されていました。

国内には薄毛に悩んでいる人が1,200万人いるそうです。身体的なコンプレックスに対して適切なアプローチで知識と解決方法を提供できれば、多くの人が幸せになるのではないでしょうか。

※本稿はClubhouseでの取材内容をご本人に同意いただいて記事化しています

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