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#AEA2015: アジア各国から30社が集まったピッチイベントで、組織再生技術を開発するサイフューズが優勝

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今週初め、東京郊外にある柏の葉スマートシティで、アジア・アントレプレナーシップ・アワード2015が開催され、日本発のスタートアップで人工細胞組織を開発するサイフューズが優勝した。 <関連記事> 「アジア・アントレプレナーシップ・アワード(AEA)」が目指すもの——イベントの立役者、三井不動産ベンチャー共創事業部に話を聞いた #AEA2014: 精神疾患に効能のあるウエアラブル・ベスト、シンガポール…

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今週初め、東京郊外にある柏の葉スマートシティで、アジア・アントレプレナーシップ・アワード2015が開催され、日本発のスタートアップで人工細胞組織を開発するサイフューズが優勝した。

<関連記事>

このイベントは、地元のNPOインキュベータ、東京大学や三井不動産らを中心に年に一度開催されており、アジア各国から将来有望なアイデアを持った起業家が一堂に会し、3日間をかけて、ネットワーキングを楽しんだり、メンタリングを受けたりした後、ピッチ・コンテストで優勝の座を争った。

このコンペティションで、参加したスタートアップのピッチを審査したのは次の方々だ。

  • Michael Alfant 氏、Group Chairman and CEO, Fusions Systems Group
  • Jesper Koll 氏、Managing Director and Head of Japanese Equity Research, JP Morgan Securities Japan
  • Erik Vermeulen 氏、Professor of Business and Financial Law, Tilburg Law School and Tilburg Law & Economics Center, Tilburg University / The Netherlands Senior Counsel Corporate / Vice-President, Philips, Amsterdam, The Netherlands
  • 石倉洋子氏、一橋大学名誉教授

アジア各国から参加したスタートアップは30社、うち8社がファイナリストとして選ばれた。

1位:サイフューズ(日本) 賞金200万円

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(訂正とお詫び:一部の用語と調達金額に誤りがあったため、訂正しました。)

サイフューズは、3D プリント技術により人工細胞組織を作り出すスタートアップだ。細胞の球状体を集め、それを串刺しにすることで組織を実用可能な大きさにまで成長させる。日本各地の大学と協業しており、泌尿器科、脊椎損傷脊髄損傷、心臓組織の分野の権威と共同研究している。

人間の細胞組織よりも強いものが作り出せ、九州大学との研究では肝臓の代替細胞となる組織を作り出すことに成功した。これまでに3回の資金調達をしていて、2015年第1四半期に実施したシリーズBラウンドでは、ロボット工学ベンチャーのサイバーダイン、澁谷工業、エムスリーなど複数社から総額20億円14億円を資金調達している。人工の細胞組織生産のエコシステムを形成するために、今後は、製薬会社や医療機器メーカーなどとの提携を強化していきたいとしている。

2位:Dynaoptics(シンガポール) 賞金70万円

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Dynaoptics は、スマートフォンのカメラの多くがデジタルズームに頼る中で、超薄型の90度光軸レンズを開発することで光学ズームを可能とする技術を開発。これまでに3倍ズームまでの実現を成功させており、技術的には最高6倍までのズームが可能としている。光学ズームを実装することで、デジタルズーム特有のズーム時の画像ノイズやにじみなどが無くなる。

ビジネスモデルとしては、レンズのライセンス、生産、レンズモジュールの組み立て生産など。現在、シードラウンド資金調達中で、調達前の同社のバリュエーションは800万ドル。これまでに、シードラウンド調達目標額150万ドルのうち106万ドルの調達を終えており、2015年6月中にシードラウンドをクローズしたいとしている。

3位:Soft Space(マレーシア) 賞金50万円

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(訂正とお詫び:初出では、受賞チームを Orthoneer としていましたが、Innova Nano Tech の誤りでした。)

Soft Space はスマートフォンに装着可能なクレジットカード・リーダー。磁気ストライプだけでなく、カードの埋込チップ読取に対応していることや、自らがアクワイヤリングするのではなく、アクワイヤラー(主に現地銀行)と提携する形をとっており、アジアやオセアニアの10ヵ国でサービスを展開している。ビジネスモデルとしては B2B2C、アクワイヤラーの銀行から手数料のうちの一部を徴収する。

ユースケースは多岐にわたるが、チャリティの資金集め、スーパー Tesco の商品自宅配達で玄関でクレジットカード決済できるサービスなど。変わった事例では、同社のカード・ソリューションを用い、日通のタイ法人で、社員がキャッシュレスでトラックの給油ができるサービスなどを開発している。

日本ニュービジネス協議会連合会会長賞:Innova Nano Tech(タイ) 賞金30万円

(訂正とお詫び:初出では、受賞チームを Orthoneer としていましたが、Innova Nano Tech の誤りでした。)

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Innova Nano Tech は、事業者向けの下水処理を簡素化する不純物の凝固剤を開発。製糖業界においては利用した水のほぼ100%が下水に、動物飼料業界では82%が下水になるとされる。しかし、多くの工場においては下水処理をしていない。処理システムの設置に多くのコストとスペースが必要になるからだ。

下水処理は主に、不純物の沈殿、微生物による処理、活性炭吸着処理から構成されるが、この3つの処理を従来型の下水処理から省略できる凝固剤を開発した。この凝固剤を使うことで下水から有機物質、無機物質、重金属を容易に除去でき、従来は4日間かかっていた処理が約100分の1である1時間で完了できるようになる。

これまでにタイ政府から4万ドルを授与、プロダクト開発のために14万ドルの資金調達を目標としている。

入賞したのは、以上のスタートアップ4社だ。入賞は残せなかったものの、ファイナリストに残った、他の4社についても見ておくことにしよう。

Cascube Limited(香港)

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Cascube Limited は、ワイヤレスの動物向け空間位置認識システム(WASPS)を開発。新薬の動物実験においては、ビデオ録画を利用するケースが多いが、これには非常に多くの個体数を用意し、長期間にわたって記録・監視する必要がある。

例えば、マウス60匹を使った平均的な24時間監視の動物実験の場合、従来のビデオ撮影による方法では21日間かかりコストは7,440ドルであるのに対し、WASPS では1日間で完了し1,040ドルで済んだ。マウスの動きを映像ではなく、WASPS では三次元の位置ベースで記録することができるからだ。

学術研究機関、実験動物の供給会社、新薬を開発する製薬会社を結んでエコシステムを形成。2015年中に初期プロトタイプを作成し資金調達を予定、2016年には初期ロット生産と2回目の資金調達を実施し、アメリカ、中国、日本で販売を開始したいとしている。

Orthoneer(タイ)

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Orthoneer が開発した A-Knife は、ばね指(腱鞘炎の一種)を治療するためのナイフ。ばね指は糖尿病患者の10%に発症し、世界中で年間2,400万人が治療のための切開外科手術を受けている。A-Knife を使えば、通常、外科手術で15分かかる治療が3分で済み、手術室も不要。切開・縫合・抜糸で外科手術では回復までに1週間必要な治療が、A-Knife であれば、1日で回復できる。

当初は、東南アジア、インド、南アメリカ、南アフリカで病院に A-Knife を販売するところから始め、タイやインドなど発展途上国を中心にクリニック向けの A-Knife 提供サービス(販売ではなく、使った分だけコストが発生する置き薬的な費用徴収)を計画。すでに650個の A-Knife が販売済みで、現在、120万ドルの資金調達を模索している。

VMFive(台湾)

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VMFive は、モバイル向けの仮想環境ソリューションを提供。彼らのソリューション AdPlay を使うと、ユーザがモバイルアプリをダウンロード/インストールする前に、PCブラウザやアプリストアの説明ページで、そのアプリのデモを仮想的に動作させることができる。最近では、Adways と提携、同社のアプリ事前予約プラットフォーム「予約トップ10」上で、アプリがローンチする前にユーザがデモを試せるサービスの提供、D2C やトレンドマイクロとも提携関係にある。

中国の Cheetah Mobile(猟豹移動)の戦略とも似ているが、今後、ゲームを楽しむ上でのモバイル向けのさまざまなツールアプリを提供していくようだ。その第一弾が Game Booster(中国語名:加速達人)で、日本市場向けには6月中のローンチを計画している。

Neofect(韓国)

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Neofect の創業者は、父を脳梗塞で亡くしている。実際、アメリカでも脳梗塞で身体に障害を生じた人々が費やしたコストの総額は年間で6,270億ドルにも上っている。入院の場合も、在宅療養の場合も非常に多額のコストがかかり、従来からあるリハビリのソリューションはコストが高い。

Neofect は 1,000ドルの家庭用リハビリ機器を開発した。センサーとロボットの両方の技術が実装されており、ユーザが継続的にリハビリに臨めるようゲーミフィケーション・コンテンツを用意。リハビリの進展に沿ってメニューが変更される、機械学習アルゴリズムも備わっている。

腕、指、肩の3つの機能をリハビリするプロダクトを制作しており、KFDA(韓国)や FDA(アメリカ)など各国の規制当局からも承認を取得済、韓国国立リハビリセンター、サムスン医療センター、ヨンサン大学病院などと臨床実験や販売にあたってのアライアンスを結んでいる。

これまでに韓国の複数のVCから550万ドルを調達しており、次のラウンドは2016年中頃を予定。日本、アメリカ市場への進出を計画している。

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「アジア・アントレプレナーシップ・アワード(AEA)」が目指すもの——イベントの立役者、三井不動産ベンチャー共創事業部に話を聞いた

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日本の学術研究都市と言えば、西のけいはんなに、東のつくば。けいはんなにはオトナロイドやコドモロイドの開発拠点となった ATR があり、つくばにはサイバーダインに代表されるロボティクス・ベンチャーや数々のスタートアップが集結している。東京とつくばを結ぶほぼ中間地点には、三井不動産が中心となった開発を進める次世代都市地区「柏の葉スマートシティ」があり、ここでは、自動車の運転をスマート化するスタートアッ…

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三井不動産ベンチャー共創事業部 事業グループ長の松井健氏(右)と、主査の加藤慶氏(左)

日本の学術研究都市と言えば、西のけいはんなに、東のつくば。けいはんなにはオトナロイドやコドモロイドの開発拠点となった ATR があり、つくばにはサイバーダインに代表されるロボティクス・ベンチャーや数々のスタートアップが集結している。東京とつくばを結ぶほぼ中間地点には、三井不動産が中心となった開発を進める次世代都市地区「柏の葉スマートシティ」があり、ここでは、自動車の運転をスマート化するスタートアップ「スマートドライブ」の実証実験が実施されたことでも記憶に新しい。

柏の葉スマートシティの中心部、つくばエキスプレスの駅周辺には、柏の葉オープンイノベーションラボ(Kashiwa-no-ha Open Innovation Lab、略称:KOIL)があり、毎年ここを会場として「アジア・アントレプレナーシップ・アワード(AEA)」が開催されている(昨年の模様にこちらから)。

昨年のイベントの記事をご覧いただいた読者は、AEA が日本で開催される典型的なスタートアップ・カンファレンスとは少し毛色が異なることに気づくだろう。ピッチに登壇するのは、IT に特化したサービスに限定されず、基礎技術から重工業の需要を対象とした製品まで分野は多岐にわたる。

今年の AEA は5月24日~26日に開催されるが、イベントに先立って、AEA の目的や開催までの経緯について、三井不動産ベンチャー共創事業部事業グループ長の松井健氏に話を聞いた。

AEA はこうして生まれた

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東京・秋葉原とつくば学研都市を結ぶ、つくばエクスプレス(略称:TX)が開通したのは2005年のこと。次第ににその周辺には、技術を冠したベンチャー企業が集まり始めた。三井不動産は柏を中心に不動産開発を進めてきた兼ね合いがあり、2010年前後からこの地域のベンチャー企業の活動を支援したきたが、そんな中で松井氏らには、気になることがあった。

つくばエクスプレスの沿線には技術が多くあり、ベンチャー企業を応援するためにベンチャー支援団体も作った。しかし、彼らは日本国内の市場しかみていないというか、大きなエクスパンションを見ていない人が多かった。もっと言えば、あまり欲が無い。(松井氏)

数あるベンチャーをもう一歩向こうのステージへと推し進められないかと思案する中で、松井氏は同じような考えを持つ人物に出会った。東京大学教授の各務茂夫氏だ。アジアの熱い風を日本のベンチャーコミュニティに送り込めないかと考えていた各務氏と松井氏らが手を組み、約1年間の準備期間を経た2011年、桜の咲く頃に柏の街にアジアのベンチャーが十数チーム集まった。AEA の誕生だ。

今年で4回目を迎える AEA への参加条件は、工学産業系やテクノロジー系のベンチャーであること。また、未上場で設立から5年以内である必要がある。

日本の強みはテクノロジーベンチャーだが、残念ながら支援がつきにくい。そこを応援していきたいというのが AEA の狙いだ。

日本では起業してから7〜8年して鳴かず飛ばずでも許される気運があるが、アジアだと、もう大きくなっているかつぶれているかのどちらか。そのスピード感を持ち込みたかった。そこで、イベントはすべて英語でやることにした。プレゼンテーションにも同時通訳はつけないことにした。(松井氏)

AEA にはアジア12の国と地域から、各国の大学や研究機関の起業家支援者による推薦や予選を勝ち抜いたベンチャー企業30チームが集まり、上位入賞を目指して、互いの技術やビジネスモデルを競い合う。

ネットワークこそ宝

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昨年の AEA 2014 で優勝した T.Ware(シンガポール)のチーム。

AEA に参加するベンチャー企業30チームは、前夜祭を含めるとファイナル・プレゼンテーションが行われる最終日まで4日間にわたって、ほとんどの時間を同じ屋根の下で過ごすことになる。そこから生まれる人的ネットワークに、後々にビジネスを大きくする上での大きな価値を見出すチームは少なくない。

1位賞金の200万円というのも大きい。1位〜3位入賞者には、KOIL などの2年間無料使用権も授与している。しかし、彼らにとって、何よりもここから生まれるネットワークこそが宝です。

エントリーしてくるベンチャー企業の第一のモチベーションは、自分たちの力だめし。世界の中で、自分たちの技術やビジネスが、どのくらいの位置にあるのか、というのを知りたがっている。第二に、日本市場へのマーケットエクスパンション。

ベンチャー企業のイベントへの招聘にかかるコストはスポンサー企業からの協賛金で賄っており、どこまで続けられるかわからないが、小宮山さん( AEA を主催するフューチャーデザインセンター最高顧問で、三菱総合研究所理事長)とは、歯を食いしばって最低10回位まではやりたいなぁ、と言っています。(松井氏)

入賞したベンチャー企業のその後を見てみても、AEA がアジア各国の起業エコシステムに好影響を与えていることが窺い知れる。2012年の AEA に参加したフィリピンの Neugent Technologies(防犯カメラ録画技術)は準優勝の座に輝き、同社の共同創業者 David Cruz 氏は AEA からの経験で得られた自信を胸に、さらに複数の会社を起業し、切り盛りするようになった。

KOIL と TX を母体とする TX Entrepreneur Partners(TEP)のメンター組織「グローバルパートナープログラム」が手を貸してくれるので、参加チームは日本への市場エントリのみならず、アジア各国への進出においても、ローカル市場への紹介や方法論の手ほどきを受けることができる。

三井不動産のベンチャー投資

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三井不動産のコワーキング・スペース「Clipニホンバシ」 (同社ホームページから)

三井不動産は去る4月、スタートアップを始めとするベンチャー企業への投資活動を担ってきた担当部門「ベンチャー共創事業室」を「ベンチャー共創事業部」に格上げし、31 VENTURES(サンイチベンチャーズ)として事業を本格始動した。言うまでもなく、31 VENTURES の名前は〝ミツイ〟に由来するが、三井不動産のビルがある日本橋や霞が関はもとより、都内各所にベンチャー支援オフィスを31カ所作りたい、という目標を掲げている。

最近では、ユーグレナが組成したリアルテック向けの20億円ファンドへの出資、スマートロック「Akerun」との提携による空きオフィス有効活用事業などは記憶に新しい。

不動産会社がスタートアップやベンチャー企業を支援する背景には、その企業が将来成功した際のオフィス需要に期待を寄せているのも事実だが、それ以上に、不動産という目に見えるアセットを生かして、事業創出にどれだけ貢献できるか挑戦している、という見方ができる。オフィスを持たない企業は皆無であり、大会社であれ、中小企業であれ、不動産会社にはお世話になるわけで、不動産会社の持つ企業ネットワークの広大さには計り知れないものがある。海外では、香港の不動産コングロマリット Swire Properties が自らインキュベータを始めており、日本の不動産会社からもこのような動きが出てくるのに期待したいところだ。

なお、来週開催される AEA 当日の模様は、THE BRIDGE でも現地からお伝えする予定だ。お楽しみに。

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