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沖縄発の運転代行マッチングプラットフォーム運営Alpaca.Lab、シードラウンドで7,000万円を調達——XTech V、すこやかHD、琉球銀行らから

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沖縄を拠点に運転代行マッチングプラットフォーム「AIRCLE(エアクル)」を運営する Alpaca.Lab は、シードラウンドで7,000万円を調達したことを明らかにした。このラウンドのリードインベスターは XTech Ventures で、沖縄を拠点に薬局チェーンを展開するすこやかホールディングス、琉球銀行の「BORベンチャーファンド」が参加したほか、調達金額には沖縄振興開発金融公庫から資本性ロ…

「AIRCLE」
Image credit: Alpaca.Lab

沖縄を拠点に運転代行マッチングプラットフォーム「AIRCLE(エアクル)」を運営する Alpaca.Lab は、シードラウンドで7,000万円を調達したことを明らかにした。このラウンドのリードインベスターは XTech Ventures で、沖縄を拠点に薬局チェーンを展開するすこやかホールディングス、琉球銀行の「BORベンチャーファンド」が参加したほか、調達金額には沖縄振興開発金融公庫から資本性ローンが含まれる。

Alpaca.Lab は、北陸先端科学技術大学院大学で人工知能の研究に携わっていた棚原生磨氏により2018年創業。琉球大学との共同研究により、運転代行業界の最適化を図ろうとするスタートアップだ。

運転代行業者は全国には8,850存在するが、うち沖縄には737と国内最多の運転代行業者が存在する(各都道府県警察で認定を受けた業者数によるもの)。タクシーの利用が一般的な都市部とは対照的に、地方や沖縄などでは飲食後の手軽な移動手段として、運転代行業者は重宝されており、全国の推定市場規模は680億円以上。タクシーの分野にはテクノロジーの片鱗が見られるようになりつつある一方、運転代行業者の運用方法やモデルにはイノベーションの風は吹いていない。

お客は、運転代行業者を飲食店から電話で呼んでもらうことが多い。公共交通機関の少ない沖縄には終電の概念は無いものの、運転代行の呼び出しは、酒宴がひと段落した夜の11時から日が変わり1時頃までに集中する。この2時間に需要が集中するため、客に代わって電話する飲食店は忙しく、運転代行業者の電話はつながらず、スタッフ不足から運転代行の車はなかなか来ない、という状況が発生する。

Image credit: Alpaca.Lab

AIRCLE ではまず、この飲食店から運転代行業者への電話呼び出しをタブレットに置き換え効率化する。運転代行業者にはオペレータがいて電話で注文を受け付け、運転代行スタッフをアサインしてきた。読者の中には、飲食店からのタブレットによる呼び出しを、直接、運転代行スタッフにつなげばいい、と考える人もいるかもしれない。確かに、Uber や近年導入するタクシーアプリなども、客が呼び出した位置から近くを走る車を呼び出すロジックを採用していることが多い。

そうやって、これまでにも運転代行にイノベーションを持ち込もうとするスタートアップが失敗してきた。運転代行業者には運転代行業者の長年やってきたやり方があるので、それをいきなり変えようとしてもダメ。まずは、こちらから従来のやり方に合わせ、そこから徐々に新しくしていく。(棚原氏)

ある客が飲食店で運転代行の呼び出しを頼んだ時、店がどの運転代行業者を呼ぶか。そして、注文を受け取った運転代行業者のオペレータが、どのスタッフをアサインするか。これらは必ずしも運転代行スタッフの現在地と、客の居場所との距離関係だけにはよらない。飲食店がどの業者を呼ぶか、オペレータがどのスタッフをアサインするか、こうした、必ずしも条件が明文化されていないロジックのことを棚原氏は「運転代行における暗黙知」と呼んでいる。

Alpaca.Lab のチームメンバー。前列中央が代表の棚原氏。
Image credit: Alpaca.Lab

サービスを通じてデータを貯めつつ、この暗黙知をアルゴリズム化していけば、人工知能が最適な選択肢を提案し、人間が行ってきた作業の一部を自動化できるかもしれない。歴史が長く、また、業界全体として組織化や整理がされているわけではないため、運転代行にテクノロジーやイノベーションを持ち込むのは、タクシーや配車アプリ以上に難しい一面があったわけだ。ただ、それゆえ、これまで忘れられてきたニッチ——ある種のブルーオーシャン——であり、棚原氏はこの分野で「ファーストペンギンを目指す」と意気込む。

法律や業界慣習との擦り合わせが必要になるだろうが、例えば、料金体系にダイナミックプライシングの仕組みが導入できれば、深夜2時間のピークアワーに集中する需要を平準化でき、運転代行業者にとっての稼働時間や売上向上を見込めるかもしれない。ひいては、飲食店をはじめとするナイトエコノミーの活性化にも繋がる。棚原氏はそんな社会実験を運転代行業者国内最多の沖縄からはじめ、全国に広めていくことを模索している。

Alpaca.Lab は2018年、沖縄県産業振興公社のベンチャー企業スタートアップ支援事業「STARTUP OKINAWA」に、また、2019年、琉球銀行と沖縄タイムスが展開した「Okinawa Startup Program」第3期に採択。先月には「ResorTech Okinawa(おきなわ国際見本市)」で、ResorTech Award のイノベーション部門グランプリを受賞した。