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アジア太平洋地域におけるモバイル産業の展望

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モバイルベースの市場調査会社・Janaのアジア太平洋地域マネージングディレクターであるAnurag Banerjee氏は、モバイル産業の主要な動向について、いくつかの展望を語ってくれた。 モバイル産業が伸びているのは間違いない。スマートフォンからタブレット、4G LTEから堅牢な業務用システムに至るまで、モバイル機器は我々の日常生活にとって重要なものになりつつある。しかしここ東南アジアでは、モバイ…

モバイルベースの市場調査会社・Janaのアジア太平洋地域マネージングディレクターであるAnurag Banerjee氏は、モバイル産業の主要な動向について、いくつかの展望を語ってくれた。

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モバイル産業が伸びているのは間違いない。スマートフォンからタブレット、4G LTEから堅牢な業務用システムに至るまで、モバイル機器は我々の日常生活にとって重要なものになりつつある。しかしここ東南アジアでは、モバイルネットワークやインターネットへのアクセスに関して、新興市場と既存市場の間にまだ大きな格差がある。フィーチャーフォンが今も非常に人気があり、SMSがコミュニケーション・情報交換・あるいはマーケティングの手段としてすらまだ支配的なのだ。

e27はAnurag Banerjee氏(モバイルベースの市場調査を行う世界的企業Janaのアジア太平洋地域マネージングディレクター)と言葉を交わした。Jana(旧称TxtEagle)は、プリペイドクレジットや他の報奨金と引き換えに、消費者に紹介や調査といった行動をとらせることを奨励している。

モバイル利用率の増加、エンゲージメントの育成

Anurag氏によると、アジア太平洋地域の新興市場におけるモバイルシーンは、発展途上国でのそれとはまったく異なるという。しかし一つ確かなことは、モバイルは成長しているということだ。実際に、モバイルユーザは、インターネットを使ってソーシャルメディアの議論に参加し、会話を行っている。これは、モバイル機器がなければ、彼らにとってアクセスできないところだ。

「企業にとって興味深いものになる可能性があるこの分野では、様々な進歩があります。モバイル機器の利用率の増加に加え、私が発見した興味深い事は、モバイル機器上におけるソーシャルメディアの人気の高さです。

調査結果によると、どの国でも、ゲーム、音楽、天気、スポーツ、ニュース、銀行アプリを抜き、ソーシャルメディアが一般的に最も利用されているアプリであると分かりました。企業がこの調査結果から引き出せるのは、消費者対応の広がりと、ソーシャルメディアを通じて直接対話が可能になったことの重要性と関連性です。B2Cの消費者対応は今や一方通行なものではなく、真の意味で開かれた対話になっています。」

特に発展途上国においては、モバイル機器がインターネットへアクセスする際の主要な手段になっているということである。特に発展途上国においてはデスクトップやノートブックよりも、スマートフォンやフィーチャーフォンが手に入りやすい。Anurag氏はこれを、デスクトップ世代の”リープフロッギング”と呼んでいる。

「アジア太平洋地域の新興成長市場の一般的なモバイルの状況は、モバイル機器に対する消費者の依存の拡大と、モバイルの普及の広がりを示しています。モバイルとデスクトップの使用に関する我々の調査によると、インドネシア45.93%、フィリピン39.53%、ベトナム78.81%の回答者が、モバイルでインターネットにアクセスするのを好んでいます。この理由は、モバイルユーザがデスクトップ世代をリープフロギングしているからです。発展途上国では、携帯電話で最も重要な機能は何かと調査対象者に尋ねると、インターネット使用がほとんどあらゆる国でリードしていました。

より多くの個人が自分の主要な機器をモバイルに変え、デスクトップから離れて行くに連れて、ウェブのトラフィックにおけるモバイルのシェアは上がり続けることが期待されています。ベトナム、インドネシアおよびフィリピンの半数以上の調査の回答者が、モバイルを介したインターネットアクセスで購買活動を行い、その数は来年再び増加すると見られています。これは電子商取引が有望であることを意味し、今まで未開拓であったアジア‐パシフィックにおける新興市場での成長を期待できます。」

素早いフィードバック、素早い報酬

モバイル機器の流行により、モバイルベースの研究が非常に重要になるため、ビジネスもこの活動からの良いフィードバックと結果を得るとAnurag氏は言う。

「我々のモバイル市場調査は、アジア太平洋地域の新興成長市場で、数多くのモバイル使用方法に関する洞察を提供しています。この傾向は、携帯電話を通じたアクセスを消費者に提供すべきだという、弊社の着目点を支持するものです。

我々のモバイル支援活動には、市場調査データの作成、プロモーションに関するループの完結、顧客のロイヤルティの構築を含んでいます。これらのサービスは、調査に応じるか、または購買をする消費者にモバイル通信時間を提供するという我々のインセンティブプログラムに基づいています。

モバイル利用の増加によって、その地域において消費者との繋がりが必要となるビジネスも可能となります。モバイル調査の素晴らしさは、結果の信じられない程の量と速さで得られる事にあります。B2Cインタラクションは、消費者とのリアルタイムのインタラクションを通じて、企業が消費者のニーズに応じ、そして彼らの購買習慣に影響を与えることで再構築されています。」

Janaの主なゴールの1つは、広告費用をプリペイドアカウントに反映させることだとAnurag氏は言う。これはプリペイドアカウントが大変多く、ユーザにアクセスしやすい東南アジア、そしてアジア全体でとりわけ重要なことだという。さらに同氏は、プリペイドユーザは無料通信分の形で即座に報酬を得るため、よりインセンティブを与えやすいのです、とも付け加えた。

「私たちの主な目標は、広告費をプリペイドの通信時間に仕向けることです。現在、1,172億米ドルは伝統的な広告に使われています。新興成長市場における大多数の人々は、通信料金を継ぎ足していて、アジア太平洋地域の一部では1日に1回の頻度です。

我々は、これらの消費者を販売調査とプロモーションに目を向けている企業とつなぎます。Janaは、企業と消費者をダイレクトに繋いでいます。広告費のわずかな部分をモバイル通信時間に向け直すことによって、何百万というものすごい数の人を効果的に提供いたします。」

フィーチャーフォン vs. スマートフォン

話し合いの中で、スマートフォンが他の地域では一般的に下級デバイスを上回っているにも関わらず、この地域ではフィーチャーフォンが普及していることを指摘した。Anurag氏は、これは企業や広告主に顧客と創造的に係るチャンスを与えると述べている。しかしながら、この地域では口コミがマーケティングに大きな影響を持っており、このことはフィーチャーフォンのSMSメッセージがマインドシェアや係わりを効果的に獲得する方法の一つにしている。

「私はスマートフォンを溺愛していますがそれにもかかわらず、フィーチャーフォンは携帯電話ユーザの圧倒的多数を占めています。IDCによるとフィーチャーフォンの売上台数は2011年の269.6百万台から2012年の263百万台に低下しましたが、未だモバイル市場の主要プレーヤーのままなのです。たとえそれらの成長率が鈍ったとしても、人々はまだフィーチャーフォンを買っていますし、モバイル機器に対する依存が拡大し続けても、彼らはそうし続けます。

我々の戦略は、アジア太平洋地域の新興成長市場における各々のモバイルユーザを理解し、最も効果的な方針で彼らを魅了することです。例えば、フィーチャーフォンによる音声コミュニケーションが通信の主要手段であるインドでは、魅力的な声ベースのインタラクティブモデルを創りました。ベトナムの田舎では、SMSがコミュニケーションの重要な形態となっており、我々はテレビとSMSを通してセカンドスクリーンエンゲージメントを行い、その一方で、フィーチャーフォンを介して価値あるデータを収集しました。

しかし、最も重要なのは、我々は基本的なブラウザーを搭載したフィーチャーフォンのインタラクションを確かなものにしたいと考えていますし、Operaのようなブラウザーでの消費者の遍歴にも習熟しているということです。」

OTTサービスによってキャリアは収益を失うのか?

インスタントメッセージやオンラインサービスの争いにおいてキャリアがユーザを奪われつつある、という論点について、Anuragはキャリアが今後も台頭すると確信している。WeChat, LINE, KakaoTalk, WhatsAppなどのメッセージサービスがSMSメッセージや通話の代わりにユーザにさらに選ばれて使われるようになっても、だ。その鍵となるのは、高い金額を支払わずにデータ使用を可能にするサービスだ。GlobeなどのローカルキャリアがViberなどのライバル社と思われるサービスと提携したのも、こういった背景が理由のひとつにある可能性が考えられる。

「個人的見解では、ネットワークプロバイダが将来大きな収入減に陥ることはないでしょう。うまく設計されたデータパッケージにて、この問題を克服する方法をおそらく見いだすのではないでしょうか。消費者はキャリアに依存し続けるからです。

ネットワークプロバイダの収入源の変化は、人々がキャリアの差別化として考えている内容よりはるかに効果的な方法で起こるでしょう。ユーザの多くは通話やSMSからデータ利用へと変化しています。単純に、収益構造が変化しているのです。OTTの可能性を確信的にしているのは変化し続ける消費者動向です。

明確化するべきなのは、WhatsAppやその他のアプリケーションの収益モデルであり、彼らの広告収入や無料モデルは、ユーザが他のサービスに流れないようにするために配慮して実施される必要があります。」

クリックの裏にあるのは?

最後に、Anurag氏はモバイル分析ビジネスに対するちょっとした洞察について語った。彼は、いかにビジネスが消費者との関わりを調査する方法において創造的であり得るかについて示す、いくつかの成功例について語った。

「インドネシアでは、ヨーグルトの世界的なメーカーであるDanoneがそのブランド価値を高めようとしました。この新興成長市場の消費者は、ローカル・ブランド志向で知られていたので、Danoneヨーグルトへの切り替えには個人的なアプローチが必要でした。

93%のモバイル普及率と91%のプリペイドモバイル加入のため、Danoneは我々の通信時間報酬プラットホームを利用することに決めましたが、それは、モバイル通信時間を見返りに提供することによって、消費者が商品を試す動機付けとなるようにしたものでした。Danoneはマルチパック・ヨーグルトのセールスを27%増やし、顧客と再び関わる機会を創出しました。」

「もう一つの例は、ベトナムのユニリーバの新興成長市場戦略です。限られた予算と、市場調査データの必要性から始め、Janaは、その地域での使用が信じられないほど広範囲にわたっていたソーシャルメディアとしてFacebookを利用したキャンペーンを構築しました。

その際に、ユニリーバの2万人のベトナム人消費者からなる『ソーシャル・メディア・フォーカス・グループ』が24時間以内に設立され、グループの95%が彼らの広告のターゲットである15~30才の支持者でした。このキャンペーンで調査を行うにつれ、価値ある洞察が生まれ、強いデジタルオーディエンスが設けられ、大衆向けのブランド認知は0米ドルのプロモーション予算で生み出されました。」

Anurag氏によれば、これらのキャンペーンによって、企業は「『クリック』の向こうに側にいる人々を知ること」ができるようになるという。そのようにして、「彼らと関わり合い、彼らを認め、彼らに報いる」ことができる。

最後に、「ビジネスが消費者を完全に理解するとき、ユーザのニーズに合う製品やサービスを提供するのがよりうまくなるのです」とAnurag氏は強調する。

モバイル技術は確実にここに定着しており、ビジネスに関しては、顧客の感情を決定することに加え、マインドシェアの改善や消費者の脈を得るためにユーザに関わることに、効果的にこれらのコミュニケーションのチャンネルを使うのが重要なのだ。スマートフォンがまだ普及しておらず、誰もが継続的なデータプランをもたない新興国経済においてさえも、基本的なフィーチャーフォンは、まだ役に立つことができるのだ。

特集著作権:Jana

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