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アジアで一番のスタートアップ・ハブはどの都市か、福岡・ソウル・台北・香港の論客が徹底討論〜 #ASIABEAT 2016 アモイから

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本稿は、ASIABEAT 2016(亜洲創業大賽)の取材の一部である。 アイルランド・ダブリンで、毎年3万人以上の参加者を集めてきたスタートアップ・カンファレンス WebSummit が、今年から開催地をポルトガル・リスボンに移す。「ダブリンには、3万人を収容できるだけのホテルが無いから」とか、「アイルランドで国際イベントを開催すると、入国にビザが必要になる国が多いので国外からの参加者が大変だから…

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本稿は、ASIABEAT 2016(亜洲創業大賽)の取材の一部である。

アイルランド・ダブリンで、毎年3万人以上の参加者を集めてきたスタートアップ・カンファレンス WebSummit が、今年から開催地をポルトガル・リスボンに移す。「ダブリンには、3万人を収容できるだけのホテルが無いから」とか、「アイルランドで国際イベントを開催すると、入国にビザが必要になる国が多いので国外からの参加者が大変だから」とか、関係者周辺からはいろんな理由を耳にしたが、どうやら、リスボンの政府がお金を払って、WebSummit を誘致したというのが真相らしい。

リスボン政府は WebSummit に年間130万ユーロを少なくとも3年間、つまり、最低でも約5億円相当を WebSummit 側に支払うといわれている。ヨーロッパの主要都市がこぞってスタートアップハブとして名を上げる中で、すでにブランド力のあるイベントを誘致してスタートアップ・ハブを作ろうという発想はお役所的という批判を浴びているが、仮に5億円でスタートアップ・ハブの種まきができるのであれば、それはお買い得な買い物と言えるだろうし、生まれたスタートアップから生まれる税収や雇用を考えれば、回収が難しい金額でもない。

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今回、ASIABEAT なるイベントを仕掛けたアモイという街も、台湾や香港に飛行機で1時間かからずに行けるという地の利を生かして、国際的なスタートアップ・ハブになろうとしている。北京や上海に比べ、海外から来る人々にオープンな印象を受けるのは、シンガポールをはじめとする、多くの華僑の故郷がこの地であることからもわかるように、国の外に対して目を向けるアモイ人の気質が影響しているのかもしれない。

3月にアモイで開催された ASIABEAT の中で、アジアの主要都市の投資家や起業家を招いての、都市比較のパネル・ディスカッションがあったので紹介したい。このセッションのパネリストは、

  • 福岡:橋本正徳氏(ヌーラボ 共同創業者兼 CEO)
  • ロンドン:Tak Lo 氏(Venture Partner of Mind Fund
  • ソウル:Sungjae Hwang(황성재)氏(CCO of FuturePlay
  • 台北:Kevin Chen(陳仲璘)氏(Partner of Pinehurst Advisors
  • 香港:Casey Lau 氏(Co-founder of StartupHK

また、モデレータは、フィンランド発のスタートアップ・カンファレンス SLUSH の CSO である Martin Talvari 氏 が務めた。

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Tak Lo 氏

以前は Techstars London のディレクターを務め、現在は香港を拠点に Mind Fund を運営する Tak Lo 氏は、ロンドンと香港の両方の街の顔を知る人物だ。その立場から次のように述べた。

ロンドンには、2つの街としての顔がある。金融の街、そして、人材の街だ。デベロッパーというべきか、テックタレントというべきか、呼び方はともあれ、彼らをすぐに集められる。興味深いのは、経済が失敗した地域から人が集まってきていることで、スペイン人やポルトガル人のデベロッパーが、比較的安い賃金で雇用できる。それに、ロシアや中東の資本が多くやってきているのもロンドンの特徴。そういうお金は、香港にはやってきていないね。

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左から:Sungjae Hwang(황성재)氏、Kevin Chen(陳仲璘)氏、Casey Lau 氏

香港に対するやや挑発的な投げかけに、香港のスタートアップ・コミュニティ StartupHK の共同創業者で、Softlayer のスタートアップ支援プログラム Catalyst Program でコミュニティ・デベロップメントを担当する Casey Lau 氏は、香港の特徴を次のように説明し〝反撃〟した。

ロンドンに比べれば香港は小さな街だし、他のアジアの国に比べても小さい。しかし、成長力は大きいし、起業家精神も強いといえるだろう。香港の一つの利点はスタートアップ・シティーであることで、国際的であること。香港人、韓国人、日本人だけでなく、北アメリカ、ヨーロッパ、アジアから人が来ている。香港を拠点にアジアを飛び回るのは容易だからだ。

香港の市場として見ている起業家はいない。香港を活動拠点として使っているだけだ。そして、昨年からは、ヨーロッパを拠点とするスタートアップ・カンファレンス WebSummit が RISE として、香港で開催されるようになったけど、RISE も香港のカンファレンスというよりは、香港で開催されたグローバルなカンファレンスだ。香港を中国だと思ってやってくる欧米人も多いけど、中国でビジネスするのと香港でビジネスするのは明らかに違う。香港に来るだけじゃなくて、そこからアジアへ、上海へ、北京へ行って、スタートアップを始める人にもっと会いたいね。

モデレータを務めた Martin Talvari 氏は、過去3年間で82カ国に行ったという。その結果、各都市別にインターネット速度、生活費、ヘルスケア、言語、政府へのアクセス、渋滞の頻度、ビザなどの情報を集めた表を作成した(下の写真はその一部)。

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生活のしやすさという点からは、台北はアジアで上位に評価されるのだという。Kevin Chan 氏が台北の利便性をアピールした。

台北はテック・スペースとして知られており、これまでに多くの企業がよいプロダクトを出してきた。優秀なエンジニアも多い。生活に関して言えば、香港やロンドンよりは生活費が安くて住む。空港へのアクセスも便利で、上海へは1時間で飛べる。台湾政府はエンジェル投資を提供しており、これはほぼ助成金のような感じだ。台北に会社を作れば、3万ドルから30万ドルの助成金が得られる。これまでに200社が申請して、資金を獲得した。台湾政府は台北で事業を始めたい起業家にもビザを供給している。もちろん台北には困難なことも多くあるが、むしろ、多くのチャンスがあると言っていいだろう。

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左から:Martin Talvari 氏(モデレータ)、橋本正徳氏

福岡に本拠を置くヌーラボの橋本正徳氏は、福岡の特徴として、空港からの市内へのアクセスが圧倒的に近く、住居やオフィスの賃料も東京に比べ、圧倒的に安くて済むことを指摘した。

韓国から参加した Sungjae Hwang 氏は、ソウルの良さを次のようにアピールした。

とにかく、インターネット速度は速いと言える。コーヒーショップの多さも、他の都市と比べて最高レベル。そして、ソウルの中心部には、美容整形外科が多いことで有名なわけだが(笑)、政府が開設したスタートアップのためのスペースが20以上もある。他の都市と比べても、ソウルのコストは安いだろう。特に言えるのは、特許を出願するのにかかるコストから1万ドル〜2万ドルと安いこと。これはアメリカの約3分の1のコストで、知的所有権や技術を少ない金額で守りたいスタートアップにとっては、理想的と言える。

モデレータの Talvari 氏が6人のパネリストに、もし今住んでいる都市に住めなくなったら、どこに住みたいかと質問したところ、サンフランシスコ、シアトル、インドネシア、ロンドン、パリなど、それぞれ口々に声を上げる中、Casey Lau 氏が興味深い指摘をした。

アジアはどこに行ってもお金があると思う。お金が最も重要だという Tak Lo 氏の考えには異議を言わざるを得ない。もっとも重要なのは人だ。だから、もし香港を去らなきゃいけないときは、サンフランシスコに行こうと思う。それはシリコンバレーに行きたいからでも、ライフスタイルを好んでいるからでもない。エコーチャンバー(訳注:同じ考えや思想を持った人が共鳴していくコミュニティ)があるからだ。これが一番大丈夫だと思う。つまり、アイデアを試すエコシステムがあり、人々をつなぎ、やりたいことが真っ先にやれる。香港以外で資金調達した多くの香港スタートアップも、結局、香港に戻ってくるのは、そこに人がいるからなんだ。

筆者も多くの人から「どの街が、スタートアップ・ハブとして一番面白いですか?」という質問をよく受けるが、その答えは東京でもなければ、シリコンバレーでもない。すべての街には、ユニークなアドバンテージがあるからだ。しいて言うなら、世界のどこへでも、いつでも出かけていけるだけの機敏性を確保しておく、ということだろうか。

名前は失念したが、とある有名な投資家兼起業家は「スタートアップの CEO ともなれば、起業から数年後には、業務の多くを他のメンバーに任せ、CEO 自らは世界中に営業や提携に出かけるのが仕事」と言っていたし、ソフトバンクの孫正義会長も、出張先であれ「自分の今いる場所が本社」と言っていた。国境を越えて、いろんな拠点でビジネスができる WeWork のようなサービスが存在する今日、起業家に街に立ち寄ってもらうことを意図した「アントレプレナー・ツーリズム」のような発想が出てきてもよいのかもしれない。

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日本語版インターフェイスの立ち上げのために、2015年にチームごと東京に滞在して開発をしていた VoiceBunny のメンバー。関連記事はこちら

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中国の伝説的投資家Cai Wensheng(蔡文胜)氏「中国のネットサービスは、世界をコピーする時代からコピーされる時代に」〜 #ASIABEAT 2016 アモイから

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本稿は、ASIABEAT 2016(亜洲創業大賽)の取材の一部である。 中国とアメリカが、インターネットスタートアップの急速な成長を促す豊かな土壌を持つトップ2ヶ国であることは、よく知られている。アメリカのベンチャーキャピタルが中国に参入しようとした最初の段階では、彼らは資本を台湾、香港、中国本土に分散して投下していた。そしてほとんどの場合、最も好ましい結果が得られたのは中国本土であった。Cai …

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本稿は、ASIABEAT 2016(亜洲創業大賽)の取材の一部である。

中国とアメリカが、インターネットスタートアップの急速な成長を促す豊かな土壌を持つトップ2ヶ国であることは、よく知られている。アメリカのベンチャーキャピタルが中国に参入しようとした最初の段階では、彼らは資本を台湾、香港、中国本土に分散して投下していた。そしてほとんどの場合、最も好ましい結果が得られたのは中国本土であった。Cai Wensheng(蔡文胜)氏は Mike Cai 氏としても知られる中国で今勢いのあるエンジェル投資家であり、3月17日に ASIABEAT アモイにおいて、スタートアップについて彼の意見を披露してくれた。

中国のスタートアップシーンに興味を持つ読者であれば、辣腕エンジェル投資家で知られる Mike Cai 氏のことは聞いたことがあるだろう。ドメインネームへの投資で最初の成功を収めたのち、Cai 氏は自らのスタートアップをゼロから立ち上げた。彼の事業で最も成功した例のひとつは、ウェブディレクトリの 265.com であり、これは中国の検索最大手 Baidu(百度)に2004年に買収された Hao123.com のクローンである。若き起業家 Cai 氏は次第に名高いエンジェル投資家へと変貌していった。

彼のポートフォリオの中には、 Meitu(美図、写真に特化したスタートアップ)、Baofeng(暴風、ビデオプレーヤー開発およびビデオコンテンツプロバイダ)、CNZZ(オンラインデータサービス)、58.com(58同城、クラシファイドコミュニティサイト=ローカルの広告を分野別に掲載するサイト)、Feiyu Technology(飛魚、モバイル/ウェブゲーム開発)、FlashGet ダウンローダ(快車、原文では FalshGet とあるが誤記と考えられる)などがある。

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本年度の ASIABEAT で、伝説のエンジェル投資家が中国における起業と投資についての考えを披露してくれた。

中国のユーザ規模と資金調達の環境

Cai 氏は、中国のインターネットスタートアップの急速な成長を引き起こしているのは同国の12億に上る人口によるものだと考えている。

これだけ大きなサイズのユーザベースがあれば、なぜ今でも投資家たちが、Didi(嘀嘀快的)や Meituan(美団)といった金食い虫のスタートアップに投資をしようとしているのか理解できます。

無論、これほど巨大な市場が成長するにあたり、資本は必要不可欠である。中国インターネット市場の発展は、世界トップクラスのVCおよび、最近増加している国内の投資家により後押しされている。アメリカ上場企業が中国のA株市場に戻ってきていることが、国内資本の台頭を示している。

クリエイティビティと実行力を持つ起業家であれば、資金の心配は必要ありません。多くのVCが優れたプロジェクトを探しています。

中国国外への拡大

中国における最も初期の起業家は、アメリカのビジネスモデルをコピーしていた。市場が進化するにつれ、起業家らは部分的に西洋の同業者から学び、そこに独自の小さいイノベーションを加えてローカル市場に適合しようとした(例:QQ)。

中国の起業家は、成功した自分たちのサービスを輸出してもよく、また、インドネシアやインドといった新興市場で新規ビジネスを立ち上げるのでもよいと Cai 氏はいう。

私たちが洋服や靴、帽子をアフリカやヨーロッパで売るとき、まるで20年前のように感じます。その頃、中国の一部の起業家が彼ら独自のビジネスをそれらの国々で始めました。彼らはまた大きな成功を収めています。

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どうやって資金調達するか?

どのビジネスモデルに従うにせよ、資本の注入がビジネス発展を加速させることは間違いない。エンジェル投資家として、Cai 氏が重要と考える起業家の資質は3つあるという。大きなポテンシャルを持つ業界にいること、自社の能力とリソースの範囲内でビジネスをしていること、そして、強固なビジョンを持つハードワーカーであること、の3つである。

Cai氏は、2000年の出来事として、自分の事業ではなく Sohu.com(捜狐)のCEO、Charles Zhang(張朝陽)氏のプロジェクトに投資したときに感じた鬱憤を取り上げ、こう語った。

Zhang 氏が資金を手にしたのにはそれなりの理由があります…投資家の判断に影響されないで下さい。自分のところにあるリソースでベストを尽くせば、資金はやがてやってきます。

起業家は最初、小さな問題を解決することから始めるべきで、最初のユーザグループを少しずつ集めてゆき、やがて VC に存在を認めてもらうものだという。

それが何であれ、自分が正しいと思うことをやると決めたときは、精神的にもとても良い状態になるでしょう。自分の製品について何もせずに、ただ資金を追いかけて時間の無駄遣いをするようであれば、たぶんおしまいです。

インターネット・セレブリティは15年前の個人ウェブマスターのようなもの

今日の中国のスタートアップ全盛期における起業家のかたちは非常に多様であり、例えば画家やミュージシャン、インターネット・セレブリティにまでわたる。

インターネット・セレブリティは15年前の個人ウェブマスターに似ています。違いは、後者がドメインネーム登録、マーケティングや関連技術などいくつかのスキルをマスターする必要があることです。今日インターネット・セレブリティになるのは格段に簡単です。WeChat(微信)パブリックアカウント、Weibo(微博)、Meipai(美拍)といった多くのプラットフォームがあり、技術的なハードルはなくなり、彼らは自分の特技に集中すればよいのです。

ロビー活動

大きな成功を狙うのであれば、マネジメントとロビー活動を学ぶ力を持つことが重要である。Cai 氏はロビー活動とは、起業家が継続した投資を呼び込む能力だという。スタートアップは急速な成長の中で、資本により決定的に差別化を図ることができる。中国には何百ものタクシー配車アプリがあるが、ほとんどが熾烈な競争の中で消えていった。

Wang Gang(王剛)氏の卓越したロビー活動能力が Didi の継続的な資金調達を助け、同社の最終的な生き残りに大きく貢献している。2002年のインターネットバブル崩壊の後、eコマーススタートアップが資金調達するのはほぼ不可能であったが、(Alibaba=阿里巴巴の)Jack Ma(馬雲)氏は8,200万米ドルを調達してみせ、中国eコマース市場の支配者となったのである。

Cai 氏は、インターネットには3つの性質があるという。

  1. インターネットは共通の趣味嗜好がある人を引き寄せ、そのコミュニティの力を最大化する。
  2. アウトソーシング。例えば、Taobao(淘宝)のビジネスモデルは同社のプラットフォームでストアを開きたくなるよう、人々を引き付ける。
  3. シェアリング。Uber や Airbnb といったシェアリングとソーシャルネットワークに関わる2つのサービスは、私たちの生活に大きな変化をもたらしている。

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【via Technode】 @technodechina

【原文】

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Chinaccelerator(中国加速)のディレクターが語る、外国人が中国でスタートアップを成功させるための極意〜 #ASIABEAT 2016 アモイから

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本稿は、ASIABEAT 2016(亜洲創業大賽)の取材の一部である。 中国のスタートアップ・アクセラレータ Chinaccelerator(中国加速)でプログラムディレクターを務める Todd Embley 氏によると、中国におけるスタートアップの失敗率は95%にも上るという。これは、一般的なスタートアップで予想される失敗率よりもずいぶん高い数値だ。 Embley 氏は ASIABEAT で、次…

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本稿は、ASIABEAT 2016(亜洲創業大賽)の取材の一部である。

中国のスタートアップ・アクセラレータ Chinaccelerator(中国加速)でプログラムディレクターを務める Todd Embley 氏によると、中国におけるスタートアップの失敗率は95%にも上るという。これは、一般的なスタートアップで予想される失敗率よりもずいぶん高い数値だ。

Embley 氏は ASIABEAT で、次のように語った。ASIABEAT は、アジアの起業家や投資家のために毎年行われるスタートアップのコンペティションだ。

人々はアジアで事業を開始する方法さえわかっていない場合が多いのです。中国を特に恐れています。多くの企業が中国進出に失敗しているからです。もちろん、Google以上の大企業が進出したことはありませんが。

(Chinaccelerator が)スムーズな市場進出と現地エコシステムを理解するための支援をし、スタートアップが良い環境からスタートできても中国に進出するのは勇気が必要です。

中国では企業がどんどん生まれている。これらの企業は、中国でベンチャービジネスを始め、規模を拡大し、事業を進めていきたいと考えている外国人が、スムーズに進出できるようなサービスを提供しようとしている。ハードウェアを専門にしている深圳の HAX は、中国のハードウェアスタートアップが集まる中心地に世界中から起業家を呼び込んでいる。他にも、北京に拠点を置くハードウェアアクセラレータの HaxAsia や、2012年にローンチした Microsoft Ventures Beijing などがある。また、起業家が中国の厳しい市場でも生き残れるよう国からの後押しもある。例えば、フランスのスタートアップエコシステムで投資家、起業家、他のプレイヤーなどの世界的なネットワークを有する La French Tech が、今年初めに上海でローンチした。

しかし、自分の国を離れ中国に来た起業家は、言葉の壁、文化的な相違や中国の一般的な消費者行動を直感する上でEmbley 氏が間違った「本能的直感」と呼ぶものなどにいまだ苦しんでいる。ASIABEAT では、Chinaccelerator や中国における外国人のスタートアップ環境について、Empley 氏にインタビューすることができた。

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1. 中国に来てからの7年間で、中国のスタートアップシーンはどう変化しましたか?

スタートアップによるイノベーションには大きな関心が寄せられています。信じられないほどです。私はいつも、シリコンバレーのスタートアップエコシステムのイメージを、政府がイノベーションに対して重い腰をなかなか上げられずにいる感じに捉えています。しかし、中国ではこれは逆なのです。政府は非常に前向きで、起こる必要のあることをわかっており、起こるべきことが起こるように進んであらゆる手段を講じています。市場に資金とメディアを注ぎ込んでいますし、コワーキングスペースやアクセラレータ、インキュベータ、ITパークなどを推進しています。

(政府は)よく次のように発言をしています。

この国には起業家が必要です。革新的なことを生み出す若い人が必要です。製造現場から、イノベーションやテックのリーダーを輩出するよう目指すべきなのです。

これは見ていて素晴らしいことです。

2. 現在の中国のスタートアップエコシステムは、昔よりも海外のスタートアップに対してオープンですか?

昔よりも情報があるからでしょうね。5年前に進出した時は、情報があまりなかったために非常に苦労しました。人にコンタクトを取りたくてもイエローページさえありませんでした。インターネットで情報を得ることもできませんでした。情報を見つけるのは難しく、あらゆることが本当に難しかったです。

現在は、多くのスタートアップが失敗し、多くの人が中国へ渡り、エコシステムにも十分な関心が寄せられています。こうしたことで、中国で成功する秘訣が明かされてきたのです。中国国内外に資金が流入し、海外の収益も上がっています。現在は、中国進出がずっと容易になりました。

3. 中国政府の支援は、スタートアップのエコシステムにどのような影響を与えていますか? アクセラレータとして、政府方針から影響を受けたことがありますか?

(近い)将来には、良い影響と悪い影響の両方があると思います。私たちの意見としては、起業家は失敗して学ぶ必要があります。今、資金調達ができすぎると、その道のりが長くなってしまいます。スタートアップは背水の陣でいるべきなのにも関わらず、資金があり過ぎるのです。製品を市場に出荷し、継続的にその製品を見直し、修正し、市場に合ったものにしていく必要があります。

資金があり過ぎると、オフィスにこもって商品を作ってばかりになり、資金が潤沢であるために収益を追求する必要がなくなります。投資家は投資にあまりリスクを取りませんから、資金はいくらか自由になります。これでは、市場経済が正しく機能しているとはいえません。

良い点としては、これはすごいことだと思います。中国政府が何を考えているかはわかりませんが、重要な点のひとつとして、中国の親に子供を起業家にするよう勧めている点があります。お金を多く稼げることやニュースやメディアで取り上げられている会社を創業して成功した人物、例えば Jack Ma(馬雲)氏や Lei Jun(雷軍)氏など多くのケースを親世代に示すことができます。「聞いてよ、スタートアップで働こうと思うんだ」と言っても、親がパニックになることはありません。

4. Chinaccelerator を設立し、中国スタートアップの現状に関するデータを利用できるようにした経緯を詳しく教えてください。

(Chinaccelerator の設立者が)、中国に投資したいと考えました。しかし中国は、特にGoogleなどの企業が失敗した経緯などがわかっていれば、外国人にとって非常に危険な場所です。そこで「どうすれば賢く投資できるか。データが無いなら、どうすればあまりわかっていない文化に賢く投資できるか」と考えたわけです。

こうして、アクセラレータという考えが生まれました。初期の段階にあるスタートアップを呼び込んで、3ヶ月間一緒に仕事をするのです。そうして、データができてきます。相手がいったいどんな人たちなのか、どういう働き方をするか、何をしているのか、成功できると思うかどうかなどがわかってきます。

現在、初期段階のスタートアップに関するデータはそれほど多くありません。データは、起こったことの歴史的証拠からできます。新しいスタートアップに関しては、歴史的なデータがそれほどありません。そしてもちろん、私たちは自分が「外国人」である中国のような国にいますし、取引相手に関する本能的直感がありません。私たちは、中国の技術に初期段階で投資する会社になりたいと考えています。これが、私たちにとって最良の方法でした。

5. 中国市場に適応した外国企業の例(Embley氏の話から)

どちらかといえば、私は LinkedIn が気に入っています。LinkedIn は私たちが「SEAL Team 6手法」と呼んでいる手法を取り入れているからです。この SEAL Team 6 では、まず優秀なエリートチームを集める必要があります。そして、彼らに成功するのに必要な訓練をすべて受けさせます。さらに、成功に必要なリソースを全て与えます。その後、それぞれの環境へ送り込み、シリコンバレーから遠隔で指示を与えることなく、必要なことをさせます。この方法がここに来るほとんどのスタートアップを驚かせ、ここへ来る企業を驚かせるのです。

成功したいなら、中国では素早く判断し、身を粉にして働く必要があります。遠隔から指示を飛ばそうとすると、それは時間がかかりすぎます。中国人以外の人で中国にいない人を意思決定者にするというのは、良い考えではありません。ですから、LinkedInは、完全自律式の製品をここ中国で作りました。LinkedIn.cn(領英)は、中国のコードから作られ、中国で管理され、中国人が中国人のために作った完全に新しい製品です。この製品は LinkedIn.com とシームレスに繋がって動き、統合されているようですが、完全に独立した製品なのです。非常に良くできていると思います。

【via Technode】 @technodechina

【原文】

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ユニークな戦略で展開する、アジアの7つのスタートアップ・アクセラレータ〜 #ASIABEAT 2016 アモイから

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本稿は、ASIABEAT 2016(亜洲創業大賽)の取材の一部である。 中国という国は、すべてにおいて桁違いの国である。スタートアップのニュースに出てくる統計を見てみると、概ね、日本のスタートアップと比べて、ユーザの数や売上金額が一桁は違う。広い国土と膨大な人口がなせる技だ。コンサルティング会社の Zero2IPO Group(清科集団)の調査によれば、2015年に中国政府系のファンドがスタートア…

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本稿は、ASIABEAT 2016(亜洲創業大賽)の取材の一部である。

中国という国は、すべてにおいて桁違いの国である。スタートアップのニュースに出てくる統計を見てみると、概ね、日本のスタートアップと比べて、ユーザの数や売上金額が一桁は違う。広い国土と膨大な人口がなせる技だ。コンサルティング会社の Zero2IPO Group(清科集団)の調査によれば、2015年に中国政府系のファンドがスタートアップに投資した資金の総額は15兆人民元(約260兆円)。中国の名目 GDP の約2割に達する数字だ。中央政府から流れた資金は、中国の VC や地方政府を通じて、スタートアップ投資へと流れ込んでいる。中国各地の都市で、雨後の筍のようにスタートアップ・ハブが生まれている背景には、そういう事情があるのだろう。

海を挟んで台湾からもほど近い、中国南部のアモイの街で、17日~18日の2日間、スタートアップ・カンファレンス「ASIABEAT 2016(亜洲創業大賽)」が開催された。日中台韓のメディアなどが手を組み、東アジアのスタートアップ・シーンの活性化に狙いを定めたこのイベントは、2014年に台北市内で開催されてから今回で2回目を数える。世界18カ国からスタートアップ80チーム、投資家100人が一堂に会したこのイベントは、アモイ市政府と同市内に6カ所のコワーキング・スペースを擁するアクセラレータ Atwork(愛特衆創)によって開催された。

1日目にもたれた「スタートアップのシード資金調達と新市場参入」と題されたパネルセッションには、ユニークな戦略を持つアジア各国のアクセラレータのエグゼクティブが顔を揃えた。このセッションに登壇したパネリストは、

  • John Tian/田智勇 氏(中国、Kr Space/氪空間 共同創業者)
  • Yanjun Zhang/張延軍 氏(中国、InnoSpace/創智空間 バイスプレジデント)
  • Norman Chang/張劭謙 氏(アメリカ、500 Startups Investment Associate)
  • Louis Ryu/柳青延 氏(韓国、ShiftAsia CEO)
  • Bikesh Lakhmichand 氏(マレーシア、1337 Ventures CEO & Founder)
  • Noa Muzzafi 氏(イスラエル、Startup East COO)
  • Chikai Huang(シンガポール、JFDI Asia プログラムマネージャー)

…の皆さん、またモデレータは、Atwork(愛特衆創)の CEO である Asics Yao/姚錦程氏が務めた。

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1337 Ventures の Bikesh Lakhmichand 氏

Kr Space は、北京に拠点を置くインキュベーション・スペースだ。もともとは中国のスタートアップ・ニュースメディアである 36Kr(36氪)を母体とするが、2年前にスピンオフし、現在では中国全土に40カ所のインキュベーション・スペースを展開。中国版 WeWork の異名を持ち、今年1月には約170億円のバリュエーションでシリーズAラウンドをクローズしている。

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Innospace は上海で2012年に設立されたアクセラレータで、中国の中では比較的小さな規模ではあるが、ハンズオンに力を入れていることから、一回のバッチでトレーニングに参加するのは10チームということだ。

500 Startups は日本でもおなじみだが、これまで世界中の1,500社を超えるスタートアップに投資をしていて、最近では特に IoT に関連するソフトウェア分野への投資に注力しているとのことだ。

テルアビブの Startup East は、サムライインキュベートのイスラエル拠点 Samurai House in Israel に拠点を置いており、台湾、シンガポール、中国、日本、韓国、東南アジアへの投資機会を模索している。来月にはイスラエル国外初となるオフィスを上海に開設するそうだ。COO の Muzzafi 氏は学生時代に中国語で東アジア情勢を専攻したため、中国の事情にも造詣が深い。

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JFDI Asia はシンガポールを拠点としており、プログラムマネージャーの Chikai Huang 氏は現在、30のスタートアップのメンタリングなどに関わっている。

マレーシアの 1337 Ventures は、設立3年目のアーリーステージに特化したベンチャーアクセラレータで、フィリピンやベトナムなどで毎年2つずつアクセラレーション・プログラムを実施している。

これまでの JFDI Asia に関する記事

ShiftAsia は、日本・中国・東南アジアなどアジア市場に特化したスタートアップを支援するアクセラレータで、CEO の Ryu 氏曰く「アクセラレータというより、投資し協業する組織」。したがって対象とするスタートアップの数も絞り込んでおり、現在、3つのスタートアップと日夜寝食を共にしている。韓国スタートアップと協業したい中国企業を募集中だ。

各国各様のアクセラレータ・シーン

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ShiftAsia の Louis Ryu 氏

上海の Innospace では、スクリーニングを経て選ばれたスタートアップにはシード資金を提供し、3ヶ月のアクセラレーション・プログラムに参加してもらう。プログラム中にはアイディエーション、プロダクト開発、ユーザ体験の改善、マーケティング、ブランディングなどについて、専門家からメンタリングを提供し、適切な投資家やパートナーを見つけられる機会を提供する。これまでに5回のバッチを実施しており、概ねバッチが終了する頃には、典型的なスタートアップのバリュエーションは4,000万〜5,000万人民元(7億円〜8.6億円相当)とバッチ参加当初の10倍になり、次のラウンドの資金調達へとつながっているという。

Startup East の Noa は、いわゆるブラックボックス・テクノロジーを、イスラエルや中国にもたらすことが、同社の目指すところだと話を始めた。

イスラエルの人口は800万人だが、そのような小さな市場では多くの企業がグローバルを目指さざるを得ない。Startup East のメンターはすべてイスラエル人であり、イスラエル人の気質として、失敗は悪いことではなく成功するのに必要なプロセスと考えるので、イスラエルはイノベーションには完璧な場所と言えるだろう。

もともとは本の名前だった「Startup Nation」がイスラエルの代名詞となり、昨年だけでイスラエル国内には17のアクセラレータが誕生した。イスラエル軍がアクセラレータをやっていることも特筆すべきだ。軍が国を創り、国が軍を創る、という言葉さえある。

Startup East の Noa Muzzafi 氏
Startup East の Noa Muzzafi 氏

500 Startups では、ここに関わる人の3分の1はアメリカ国外出身者だ。現在では出資活動もグローバルに展開しており、東南アジアや東アジアで積極的に行っている。JFDI Asia は東南アジアの中心地であるシンガポールに拠点を置いていることから、この地域の人口の60%が30歳未満で、急激に拡大する中流階層人口がスタートアップの成長を助けるエンジンとなっていることを指摘した。

マレーシアの 1337 Accelerator は、東南アジア各国でバッチを実施し、1バッチあたり25チームのスタートアップを選出している。CEO の Bikesh によれば、アジア全体で見たときに、バッチ参加チームの中には、市場は違えど同じようなビジネスを展開しようとするチームがいることがあるので、彼らを引き合わせて互いに株を持ち合わせさせるなどして、市場横断で共同で一つのサービスを作り出すことを促すこともあるそうだ。

東南アジアでは、それぞれの市場に特徴がある。マレーシアはテクニカルな面に強いし、インドネシアはクリエイティブだ。フィリピンはアウトソーシングに適しているし、シンガポールは金融に強いので CFO 人材を調達する、というような、各市場の強みを生かしたグループ組成が可能だろう。


往々にして、国内の市場が大きくないコミュニティにおいて、スタートアップの多くはグローバルやリージョナル(国の域を出た、アジアやヨーロッパなど)の市場を目指す傾向が強く、国内に大きな需要を抱える市場においては、スタートアップの多くは国外に関心を示しにくい。前者は韓国・台湾・東南アジアの諸国など、後者は日本・アメリカ・中国のスタートアップの典型例だ。

今回の ASIABEAT で面白かったのは、国内市場が巨大であるにもかかわらず、中国のスタートアップがグローバル市場に可能性を求めるトレンドが顕著になってきている、という事実だ。グレートファイヤーウォール(金盾)の恩恵に預かり、欧米のウェブサービスのコピーキャットがあふれていた中国のスタートアップ・シーンで、世界に勝とうとするスタートアップが現れ始めたのだ。

中国のスタートアップ・トレンドが世界のアクセラレータやスタートアップにどのような影響を与えていくか——この点については、ASIABEAT の他のセッションでも論じられたので、近日中に THE BRIDGE 上で詳しく取り上げたい。

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