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郵便物受取のクラウド化「atena(アテナ)」運営のN、Coral Capitalから2,500万円を調達

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郵便物受取の代行や管理をクラウド化するサービス「atena(アテナ)」を運営する N-Technologies(N)は14日、Coral Capital から2,500万円を調達したことを明らかにした。 N は、共にオンラインプログラミング塾スタートアップ  Yoki 出身の白髭直樹氏と北方佑樹氏により今年6月に創業。N は以前から RUNWAY Design のブランドで Web サイトやクリエ…

「atena」
Image credit: N

郵便物受取の代行や管理をクラウド化するサービス「atena(アテナ)」を運営する N-Technologies(N)は14日、Coral Capital から2,500万円を調達したことを明らかにした。

N は、共にオンラインプログラミング塾スタートアップ  Yoki 出身の白髭直樹氏と北方佑樹氏により今年6月に創業。N は以前から RUNWAY Design のブランドで Web サイトやクリエイティブの制作や BPO を行ってきたが、新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークが増え、BPO 業務の顧客ニーズの延長から atena を立ち上げるアイデアに行き着いた。

atena は郵便物の受取をアウトソース・クラウド化できるサービスだ。atena から代理受取できる住所を払い出してもらい、差出人にはその住所に郵便物を送ってもらうようにする。コロナ禍でオフィスを閉じるスタートアップなら、郵便局に転居届を出しても良いし、既存オフィスに郵便物を取りに来てくれるオプションも提供している。

代理受取された郵便物は、差出人名や装丁がわかるよう表面がスキャンされ、atena のダッシュボードに登録される。登録されると、Slack や LINE Microsoft Teams でユーザに通知されるので、ユーザはダッシュボード上から個々の郵便物が必要なものかどうか表面写真を見て判断。自身の受取住所に実物転送してもらうか、中身を開けてスキャンしてもらうか、廃棄してもらうかを選ぶことができる。

5月11日にスタートした同サービスをすでに32社が利用していて、東証一部上場企業から飲食系スタートアップまで、ユーザの規模や業種は多岐にわたる。郵便物が届いてからスキャンされダッシュボードで確認できるようになるには数時間ほど要するが、大企業などでメールセンターに郵便物が届いてから担当者の手元に届くまでに要する時間を考えれば大差は無い。

個人的にも、去年までニュージーランドにいながら、日本のスタートアップやフリーランスの仕事をしていた。個人に届いた郵便物は家族に写真を撮って送ってもらったり、会社に届いた郵便物は同僚に撮って送ってもらったり、結構煩わしい。

留学や駐在で来ている人たちからも同じような話を聞いたし、現地で結婚して生活拠点を完全に移した人は、郵便物を受け取るだけのために日本にワンルームマンションを借りているケースさえあった。この障壁を何とか解決したいと思っていた。(白髭氏)

「atena」
Image credit: N

国内市場オンリーフォーカスのスタートアップが多い中、興味深いことに N の Web サイトは日本語より英語の方が充実している。創業者である白髭氏が留学組ということが影響しているのかと思ったのだが、どうやら、海外企業が日本支社のメールセンター機能として利用する需要を取り込みたい意図もあるとのこと。海外系の OTA や航空会社は、電話を国際転送して海外のコールセンターで受けているケースもあるから、郵便物に関しても同じような需要があるかもしれない。

このようなサービスは、アメリカでは「Virtual Mail Service Provider」と呼ばれ、10年以上前から存在する。最大手は2007年に創業した Earth Class Mail で、100カ国にユーザ100万人を擁し、北米だけで毎年500万件の郵便物を取り扱っている(2018年現在)。Peter Thiel 氏らが出資した Outbox なども参入したが、需要が少なく、郵便物のセキュリティを心配する郵便公社総裁の反対に遭って2013年にシャットダウンした

<参考文献>

生き残ったスタートアップと死んでいったスタートアップを見て、白髭氏はこの事業を成功させるヒントを次のように語った。

確かに海外では多くのスタートアップがいて、サービスを終了したところを見ると、料金を安く設定し過ぎて過当競争に陥った感がある。一方で、Earth Class Mail は、セキュアなサービスを提供していることから信頼を得て、うまく行っているようだ。atena もセキュアなサービスを提供できるよう注力していく。

N は、他社サービスとの連携にも積極的だ。今年7月には請求書処理 AI の「sweeep」と連携、atena で受け取った紙の請求書を元に仕訳データ変換、振込までをワンストップでできる UX を実現した。また「パセラのコワーク」と提携するなど、入居者向けにコワーキングスペースに届いた郵便物のクラウド化にも乗り出している。

BPO 大手のうるるは昨年から、「シュフティ」の約40万人のクラウドワーカーを使った受電代行サービス「fondesk」を提供している。一方で、アメリカでは Google は7月、社内インキュベーションで立ち上げた受電代行 SaaS の「CallJoy」をローンチから1年あまりでシャットダウンした。

この種のサービスがレッドオーシャンなアメリカとはトレンドに違いはあるものの、日本ではコロナ禍で fondesk を新規導入する企業やスタートアップは増加の一途にある。先行する「うちの総務くん」のような競合も存在するが、ユーザからの信頼さえ得られれば、atena も fondesk 同様の成長を展望できるだろう。