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第1四半期のモバイルアプリ利用は激増、特にビジネスが顕著に【Adjust調べ】

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パンデミックは現実に経済的大混乱をもたらしている。しかし、モバイルアプリエコノミーは別だ。第1四半期、モバイルアプリのセッション数とインストール数は前年比で劇的に増加した。 ベルリンのモバイル測定企業Adjustのレポートによると、COVID-19に直面してもアプリエコノミーにはしなやかさがあることが数値で示されている。2020年に多くの分野のアプリがセッション数とインストール数の増加をみているの…

パンデミックの中、モバイルアプリの夜間使用が急増
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パンデミックは現実に経済的大混乱をもたらしている。しかし、モバイルアプリエコノミーは別だ。第1四半期、モバイルアプリのセッション数とインストール数は前年比で劇的に増加した。

ベルリンのモバイル測定企業Adjustレポートによると、COVID-19に直面してもアプリエコノミーにはしなやかさがあることが数値で示されている。2020年に多くの分野のアプリがセッション数とインストール数の増加をみているのだ。この傾向は特にビジネス、飲食、ゲームアプリの分野で顕著だ。

パンデミックによって多くの従業員がリモートワークを余儀なくされているので、ビジネスアプリでセッション数が大幅に増加し(2019年第1四半期から105%増加)、インストール数が70%増加したことは当然だ。ユーザが在宅への移行を容易にするためにプレミアムバージョンを選択することにより、収益イベントも75%増加している。

アプリエコノミーはCOVID-19の中でも強靭だ
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多くのレストランがテイクアウトのみに切り替えざるを得なくなったため、飲食関係のアプリもセッション数が昨年の同時期に比べて73%と大幅に増加し、インストール数も21%増加した。

また、他の記事でも報告したように、ゲームのインストール数も大幅に増加。外出自粛中のエンターテインメントが求められている。 3月の最終週には、ゲーム業界ではインストール数が前年比で132%増加した。第1四半期全体でみると2020年のゲームアプリのセッション数は2019年の同期と比較して47%増加し、インストール数は75%増加した。

Adjustの共同設立者兼CTOであるPaulMüller氏は声明で、インストール後のユーザの行動変容についてはインストール数とセッション数の増加以上に目立ったものは見られなかったと報告している。同氏はまた、ユーザは平均して1日2回強のセッションをもつといったように同じ行動をとりつづけ、カスタマージャーニーで予測されるポイントをぐるぐる回っていると述べている。

このレポートは、有料インストールとオーガニックインストールの違いにも光を当てている。市場の競争が激化するにつれて、ゲームアプリが急速に有料化していることに注目している。総インストール数に占める有料インストール数の割合は、2018年は24%だったのに対し、2019年は30%と増加した。

加えて同レポートでは、ユーザが1日の中でどの時間帯にどの分野のアプリを利用するかを調査し、そのピーク時間と活性化キャンペーンに適した時間についてインサイトを提供している。

eコマースアプリのピークの一つはランチタイムであり、正午から午後2時までで、もう一つは夜間であり、午後7時から午後10時にセッションが多く、この両者で1日の総セッション数の4分の1を占めている。飲食店のアプリは午後5時から午後8時の間に利用が急増し、1日の総セッションの31%を占めている。

一方、多くのゲームアプリでは、1日を通して使用量に大きな変化は見られない。カジュアルゲームのアクティビティは午後12時から午後4時の間にほんの15%ほど増加する程度だ。対してミッドコアゲームは早朝(午前5時)から増加し午後1時にピークを迎える。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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注目集まる「暗号資産カストディ」サービス、ベルリン拠点のFinoaが資金調達

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ピックアップ:Berlin-based Finoa closes multi-million seed funding to transform the digital asset sector ニュースサマリー:ベルリンを拠点とする暗号資産カストディ・スタートアップ「Finoa」がシードラウンドにて、Venture Starsやcoparion、Signature Ventures、Serial…

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Image Credit : Finoa

ピックアップBerlin-based Finoa closes multi-million seed funding to transform the digital asset sector

ニュースサマリー:ベルリンを拠点とする暗号資産カストディ・スタートアップ「Finoa」がシードラウンドにて、Venture Starsやcoparion、Signature Ventures、Serial-Entrepreneur Frank Geßnerなどから数百万ユーロの資金調達を実施したことを発表した。

同社サービスは、機関投資家(アセット・マネジメント、VC、ファミリー・オフィス*)や富裕層、企業向けにカスタマイズ型の暗号資産カストディ(保管)サービス。顧客に代わり、暗号資産を安全に管理し、かつ簡単に入出金可能な使いやすい設計となっている。

※ファミリー・オフィス=超富裕層向け資産運用ビジネス

共同創業者であるChristopher May氏は、同調達に関して以下のようにコメントした。

Venture Starsやcoparionなど、経験豊富なベンチャーキャピタル企業から資金を調達できたことを非常に誇りに思っています。 Signature Venturesのようなブロックチェーン特化ファンドからの追加調達は、Finoaがデジタル資産分野の主要プレーヤーとして認識されていることを強調しています。

話題のポイント:近年、度重なる暗号資産の喪失・ハッキング問題への対抗策として、カストディ・サービス(資産管理代行)の必要性が叫ばれています。

暗号資産を安全に保管する責任は何も暗号通貨取引所だけでなく、顧客から暗号資産を預かり運用する機関投資家にとっても重大です。上述の各ビジネスにとって、暗号通貨システムにおける安全かつ便利な秘密鍵管理体制の構築は技術的ハードルが高いため、カストディの必要性が存在しているのです。

盤石なカストディによって安全な資産管理が約束されることで、顧客企業が提供するブローカー業務、トークン化業務、レンディング、ステーキング、投資・資産運用代行サービスの成長は更に加速していくことになります。

Finoaは2018年に創業されました。2019年にサービスを開始して以降、累計60以上のヘッジファンドやベンチャー・キャピタルに対しカストディ・サービスを提供しています。2020年1月1日、ドイツ連邦金融監督庁(BaFin)による「暗号資産及び暗号資産カストディ・プロバイダー規制」が施行されましたが、同社は今年11月までに同ライセンスの認可を取得する予定です。

同社が公開するリサーチ資料によれば、2027年までに、世界のトークン化アセットの市場規模は24兆ドル(2400兆円)にまで拡大する見込みだと言います。世界経済フォーラム(WEF)やマッキンゼー、デロイトによる予測「2025~2027年時点で、世界のGDPの10%はブロックチェーン技術により保管・処理される」を参考にした形で算出されていると言います。

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Image Credit : Finoa

トークン化アセット規模は10年以内に24兆ドルと主張される一方、リサーチが行われた時点(2019年)では0.3兆ドル程度しか存在していません。また、0.3兆ドルはBTCを中心として既存の暗号通貨です。

技術の進歩と規制動向を正確に予測することは難しいため、実際に同統計通りの成長を描くかについては疑問が残ります。ただ、将来的には現時点で既に実用段階に入っているSTOやETO、そしてステーブルコインなどの発展によって、市場は間違いなく拡大するでしょう。

ドイツは暗号通貨規制を世界でも先駆けて改革している国で、STOの規制改革の足取りも早く、既にいくつかのプロジェクトがBaFinの承認を受けプロジェクトを運用しています。その意味で、同じくドイツ市場で展開を試みるFinoaの必要性も、今後着実に増加していくのではないでしょうか。

<参考記事>
ブロックチェーンベースのIPO「ETO」に成功した「Neufund」が変える資金調達の未来

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欧州のブロックチェーン研究・開発ハブとして機能するベルリン【ゲスト寄稿】

本稿は、仮想通貨に特化したシンクタンク Baroque Street による寄稿です。 本稿を担当した Masamichi Matsushima 氏は、日本の都市銀行を退職後、Baroque Street に入社。アナリストとして世界の仮想通貨事情を調査しています。 現在は、エストニアに拠点を置き、ヨーロッパ中心に活動中です。 7月26日、ドイツのベルリンにあるブロックチェーン特化型コワーキングス…

本稿は、仮想通貨に特化したシンクタンク Baroque Street による寄稿です。

本稿を担当した Masamichi Matsushima 氏は、日本の都市銀行を退職後、Baroque Street に入社。アナリストとして世界の仮想通貨事情を調査しています。

現在は、エストニアに拠点を置き、ヨーロッパ中心に活動中です。


Full Node
Image credit: Baroque Street

7月26日、ドイツのベルリンにあるブロックチェーン特化型コワーキングスペース「Full Node」で開かれたミートアップに参加した。そこではブロックチェーンのガバナンス——誰が公的なブロックチェーンに変更を加える権利を有するのか、それはどのようなプロセスで行われるべきなのか、ブロックチェーン上で管理されるべきなのか等々——について、業界屈指のガバナンス関連プロジェクトである Tezos、Colony、Cosmos、POANetwork、Polkadot の5プロジェクトが登壇し様々な議論が展開された。

過去に訪れたミートアップのように投資家や業界に関心ある人たちが主な参加者かと思いきや、どうやらその顔ぶれがこれまでとは違う。Consensys、Parity、0x、Dfinity と いった業界でも名の知れたプロジェクトをはじめ、各々ブロックチェーン開発に携わる人たちがリスナーとして参加していたのである。議論の詳細は本稿の主旨ではない為ここでは割愛するが、議論は現在の各国選挙制度の問題にまで発展し非常に有意義な内容であった。各国で開かれている陳腐な開発者向けミートアップとは似て非なるものである。ベルリン滞在2日目にして、これまで訪れたヨーロッパ各国とは一味違った業界の空気を感じることとなった。

Full Node で開催された、ガバナンスに関するミートアップの様子
Image credit: Baroque Street

ドイツのベルリンは、スイスのツーク、イギリスのロンドンに並ぶ、ヨーロッパの仮想通貨・ブロックチェーンの中心地として注目されており、多くのブロックチェーン企業が拠点を構えている。中でも、アメリカに比べた時の開発コストの低さを理由に開発チームを置く企業も多い。ヨーロッパの中心に位置し生活インフラが整っているだけではなく、政府のイノベーションに対する理解も深い為、企業にとっては絶好の開発環境と言えるだろう。何もこれはブロックチェーン企業に限ったことではない。モバイルバンク企業として世界的にも有名な N26 をはじめ、ベルリンには数多くのスタートアップ企業が存在するのである。

<関連記事>

開発ハブとしての Full Node

Full Nodeは 、分散型予測市場の構築を目指す Gnosis とブロックチェーンネットワークの構築を目指す Cosmos とが今年4月に共同で立ち上げた、ブロックチェーン特化型コワーキングスペースである。両社ともに、ベルリンにあるイーサリアム開発コワーキングスペース「EthDev」にて活動をしていたが、そこから独立した形となる。

Full Node という名前はブロックチェーンネットワーク上で取引の検証等を行う〝ノード〟に由来しており、そのコンセプトは開発ハブとしてブロックチェーン技術の成熟を目指すことにある。現在の利用社数は両社を含めて22社。その中には上述した Parity や Dfinity、そして先月にマルタ証券取引所と中国大手取引所 Binance(幣安)との提携を発表した Neufund なども名前を連ねている。

Full Node では、冒頭に述べたようなイベントが毎週のように開かれている。施設内の人がスピーカーになることもあれば、外部からゲストを招くこともあると言う。現状は従来のインキュベーション施設のような法務、税務、マーケティングその他専門分野におけるサポート体制はなく、まさに共同開発スペースと呼ぶのがふさわしいかもしれない。

<関連記事>

Full Node 施設内にあるコンテンツの録音スペース
Image credit: Baroque Street

GnosisのBrand & Content Strategy 担当を務めるNadja Benes 氏は Full Nodeの役割について次のように述べた。

ブロックチェーン技術が成熟する為には、開発が共通の場所で行われることが重要である。互いが競争するのではなく刺激し合うことで相乗効果が生まれ、技術の発展に繋がっていく。

Benes 氏によれば、将来的には海外施設とも提携を結び、ブロックチェーンの R&D、インキュベーション施設としての体制を充実させる予定であるとのことである。

R&D に力を入れる欧州経営大学院(ESMT)

アメリカのスタンフォード大学や、先日ニュースに取り上げられたトルコのバフチェシェヒル大学のように、今年に入り多くの大学がブロックチェーン研究に乗り出している。ベルリンにある欧州経営大学院(ESMT)もその一つだ。彼らは技術研究と事例研究を重ねることで、ブロックチェーンを既存のビジネスモデルにどう応用できるかを日々模索している。また、定期的に業界の知見がある人を講師として招き、ブロックチェーン講義をオープンレクチャーとして行なっている。興味深いのは、この学校の授業料はビットコインで支払うことができるということである。

欧州経営大学院(ESMT)の外観
Image credit: Baroque Street

ESMT の CFO を務める Georg Garlichs 氏はビットコイン決済の導入について次のように述べた。

私たちの学校は国際学生が大半を占める為、多くの学生が学費の仕送り等で外国送金を利用している。ビットコインは外国送金に比べ手数料も安く、PC や携帯で簡単に送金ができるので便利。また、私たちはテクノロジーの分野に力を入れた学校である為、技術研究の一環としてもビットコイン決済を導入した。PRの観点からも導入メリットはある。

ESMT は決済プロバイダと連携してビットコイン決済の普及にも努めており、ベルリン市内のコーヒーショップやレストラン等に直接話をしに行くこともあると言う。Georg 氏によれば、未だに多くがビットコイン決済に懐疑的であり、普及の為にはビットコインの決済手数料も一つネックになってくるのではないかとのことである。

ベルリン市内にあるビットコイン決済を受け入れるバー
Image credit: Baroque Street

このように、ベルリンは確かにヨーロッパにおけるブロックチェーンの研究開発ハブとして機能している。しかし、最後に一つ付け加えたいのは、今回の滞在を通じて出会った人たち全員が「ドイツ国内におけるビットコインの認知度はそれほど高くない」と揃えて口にしたことである。国として広いというのは当然あるだろうが、その実態は各国から集まった優秀な開発者らが局所的に盛り上がりを見せているだけなのかも知れない。

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WeWork競合のKnotelがベルリンのワークスペース Ahoy!Berlin を買収、欧州進出を加速か

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先週21日、WeWorkの競合でもあり、フレキシブルなオフィススペースの提供をしているKnotelは、ベルリンでワークスペースを運営するAhoy!Berlinを買収したことを発表した。 Knotelは2015年12月にニューヨークで創業した若いスタートアップだが、今年の4月に不動産事業を行うNewmark Groupが主導したシリーズBラウンドで資金調達した7000万ドルを含めて、これまでにすでに…

ベルリンのテックフェスティバルTOAに登壇したKnotelのCEOのAmol Sarva氏(著者撮影)

先週21日、WeWorkの競合でもあり、フレキシブルなオフィススペースの提供をしているKnotelは、ベルリンでワークスペースを運営するAhoy!Berlinを買収したことを発表した。

Knotelは2015年12月にニューヨークで創業した若いスタートアップだが、今年の4月に不動産事業を行うNewmark Groupが主導したシリーズBラウンドで資金調達した7000万ドルを含めて、これまでにすでに1億ドル近くを調達してきた。

今年の4月の時点で、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロンドンの45のオフィルビルと契約を結んできた。ベルリンは、ロンドンに続いて欧州では2つ目の進出先だ。

KnotelのCEOのAmol Sarva氏は、「多くのイノベーティブなCEOたちがベルリンに本社を置いてきました。彼らは、野心を達成するために多くのアジャイルなオフィスをもっています」とベルリンを評価する。

一方、今回Knotelに加わることになったAhoy!Berlinは、2012年にNikita Roshkow氏とNikolas Woischnik氏が立ち上げたコワーキングスペース・ワークスペースで、元々はTechBerlinという起業家コミュニティからスタートした。Woischnik氏はベルリンで草の根で盛り上がっていったスタートアップシーンの中心的な人物で、先週ベルリンで開催されていた同市最大級のテックフェスティバルTech Open Airも創業している。

上:Ahoy!Berlinの受付階(2016年、著者撮影)

Ahoy!Berlinは、フリーランサーをターゲットにしたオープンスペースや小規模のスタートアップ向けのプライベートオフィスのほかに、ダイムラーが運営するイノベーションハブであるFleetboard Innovation Hubや大手スーパーのEdeka傘下にあるオンラインフードデリバリーサービスのBringmeisterなどが大きなスペースを利用しており、WeWorkなどのコワーキングスペースに比べると、比較的大きなサイズのオフィスが入っているのが特徴的だ。

Knotelもまた、競合のWeWorkがフリーランサーや小規模のチームをターゲットにしているのに比べて、より大きな規模の会社をターゲットにしており、各企業ごとのアイデンティティやカルチャーを家具やスペースデザインに反映させたオフィスづくりを強みとうたっている。その点、Ahoy!Berlinのこれまでのワークスペース運営とも戦略が重なる部分がある。

ベルリンではスタートアップスペース、コワーキングスペースがここ数年で急激に増加中だ。2014年にオープンした「イノベーターコミュニティ」のFactory Berlinも昨年末にクロイツベルクに大きなキャンパスを新設したばかりだ。WeWorkや競合でイスラエル発のMindspaceなど、ベルリンのワークスペースの領域は、その他のスタートアップ都市と同様に競争が加熱している。今回の買収のような統合が今後進むことも予想される。

関連記事:人口も賃料も上昇が続くベルリンで続々とオープンするスタートアップスペース、課題は地元住民との調和

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2万名が世界各地から参加、ベルリン最大級のテックフェスティバル「TOA 2018」を振り返る

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欧州の中でもスタートアップ都市としての注目度が増しているドイツの首都ベルリンで、現地を代表するテックフェスティバルである「Tech Open Air(以下TOA)」が先週19日から22日にかけて開催された。 現地のスタートアップコミュニティが、「専門領域を超えた知識の交換、コラボレーションを通して人をつなげ、ともに成長すること」というビジョンを掲げ、当初はクラウドファンディングを通じて2012年に…

上:現在70年代以来のブームがきているというインスタントカメラのポラロイド社の28歳のCEO、Oskar Smolokowski氏のトーク(著者撮影)

欧州の中でもスタートアップ都市としての注目度が増しているドイツの首都ベルリンで、現地を代表するテックフェスティバルである「Tech Open Air(以下TOA)」が先週19日から22日にかけて開催された。

現地のスタートアップコミュニティが、「専門領域を超えた知識の交換、コラボレーションを通して人をつなげ、ともに成長すること」というビジョンを掲げ、当初はクラウドファンディングを通じて2012年にスタートしたTOAも今年は7回目を迎えた。

筆者自身も14年度から通算で5度目の参加となり、年々規模が拡大していくTOAを目にしてきた。大規模イベントであるため、一部のイベントやセッションにしか足を運ぶことができなかったものの、写真とともに今回のTOAをざっくりと振り返ってみたい。

メインイベントとサテライトイベントに2万名が参加

上:会場はベルリンを東西に突き抜けるシュプレー川沿いにあり、ボート上でもイベントが開催された。(著者撮影)

まず、TOAの構成だが4日間のプログラムは、メイン会場で行われる2日間のトークイベントと展示ブースを中心としたメインイベント、ベルリン市内のさまざまな企業やスタートアップがホストして開催するサテライトイベント、TOAのスピーカーや投資家、メディアなどが中心に参加する限定メンバー用のOpen Circleの主に3つで構成されている。

チケットが数百ユーロするメインイベントと比較するとサテライトイベントはより手頃な値段で気軽に参加できる形態となっているが、両方の参加者を合わせると、主催者いわく今回はおよそ2万名がTOAに参加したとのことだ。

テクノロジーの本質や意味を問う

もともとTOAは、ベルリンのアイデンティティともいえるアートシーンとテックシーンをうまく融合させ、異なる領域の者同士がアイデアを交換させることを重視してきた。スタートアップの成長ノウハウなど事業戦略に関わるトークも少なくないが、むしろそうしたところから一歩下がって、テクノロジーの可能性について自由に想像したり、テクノロジーや人間の本質について問うものも多い。

上:ポラロイド社のトークセッションのスライド
(著者撮影)

たとえば、現在70年代以来のブームがきているというインスタントカメラのポラロイド社の28歳のCEO、Oskar Smolokowski氏のトークは、スマートフォン時代で誰もが高機能のカメラをいつでもどこでも使える状態にあるにかかわらず、ユーザーがポラロイドカメラを求める理由と背景を考察するものだった。

写真を撮る、その場で撮った写真を近しい友人と楽しむという目的が明確で、その機能が限定されているからこそ、敢えてお金を払ってでもカメラを買う人が増えているというのは、多機能なデバイスとユーザーとの関係性を考える上でとても興味深い題材だった。

ブロックチェーン、機械学習など旬なテーマも

そのほか、メインイベント、サテライトイベント、展示ブースを通じて今年は特に目立っていたテーマがブロックチェーンだ。決済システムのRippleのCTOによるトークや、ブロックチェーンプラットフォームのLiskの展示ブースなども存在感があり、またサテライトイベントでも今年オープンしたばかりのブロックチェーン関連のビジネスに特化したコワーキングスペースのFull NodeやブロックチェーンベースのエクイティファンドレイズプラットフォームのNeufundがイベントをホストするなど、ベルリンにおけるブロックチェーンコミュニティの急速な成長が感じられた。

また、Google CloudのChief Decision Scientistを務めるCassie Kozyrkov氏による、機会学習の本質を噛み砕いて説明するトークセッションも人気を集めていた。

ダイムラー、グーグルなど大企業の存在感

上:展示スペースの Haus of Tech
(著者撮影)

そのほか、展示ブースなどで存在感を出していたのはドイツを代表する自動車メーカーの一つであるダイムラー社やT-モバイル、グーグルなどの大手企業だ。こうした大手企業の参加がTOAで圧倒的に目立ち始めたのはここ2、3年のことであり、ベルリンのスタートアップシーンにおけるエコシステムの変化を感じるところだ。

グーグルは、今年の秋にはベルリン市内に新たにグーグルキャンパスをオープンさせる予定だ。すでにGoogle for Entrepreneur という起業家支援チームによる活動はここ数年ベルリンで続いているが、さらにローカルなコミュニティに受け入れられたいという意図もあるかと思う。グーグル内外のスピーカーによる、トレンディなテーマを扱ったトークセッションを終日専用ブースで開催し、多くの参加者を引きつけていたのが印象的だった。

また、ダイムラー社のブースもグーグルと並んで目立っていたが、同社が運営しているインキュベーターに参加している5-10チームもブースを有し、同社のデジタル化戦略にあったプロジェクトを披露していた。関係者によると、今回はダイムラー社の社員も多くTOAに参加しているとのことで、自社がデジタル化の波にのって大きく変わろうとしている姿を多くの社員に知ってもらいたいという動機もあったようだ。

上:ダイムラー社のブース内、インキュベーターに参加しているチームのブース(著者撮影)

日本企業からも多くの参加者が

筆者はTOAに参加するのが今回5回目となったが、日本からの参加者が増えたのは昨年からのことだ。今年も昨年に続いて、TOA TokyoというTOAの世界ツアーイベントを東京で開催しているメディア企業のインフォバーンが公式ツアーを企画したこともあって、会場でも日本人らしき参加者の姿をよく見かけた。

日本人に限らず、ベルリン以外の場所からTOAに参加する人の割合は、ここ数年でかなり飛躍したように感じる。その分、初期のローカルな起業家コミュニティが作り上げていた独特の熱量みたいなものはかなり穏やかになったが、スタートアップエコシステムの成長とともに関係者の構成が変化していくのは必然とも言えるだろう。

ざっくりとした紹介となってしまったが、ベルリンのスタートアップシーンを体感するには、TOAはもっとも良い場所であると思う。次回は来年の夏に開催予定だ。

上:船上で開催された Cavalry Ventures 主催のピッチ・ネットワーキングが目的のサテライトイベント
(著者撮影)

関連記事:7500人が参加したベルリン最大のテック祭「TOA 2016」ーー世界中から参加者・企業が集まる理由

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欧州最大のブロックチェーンハブ都市をめざして、ベルリンで始まるブロックチェーンスペース「Full Node」

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仮想通貨をめぐる過剰な熱狂を超えて、その基盤となっているブロックチェーン技術は、引き続きさまざまな領域の起業家を惹きつけている。また、いくつかの地域は、成長するブロックチェーンスタートアップエコシステムの主要なハブとなるべく競争を繰り広げている。 ベルリンはその競争の勝者になれるはずと信じてる都市のひとつだ。同市のクロイツベルクに3月にオープンするブロックチェーンコワーキングスペース Full N…

Image Credit: Full Node

仮想通貨をめぐる過剰な熱狂を超えて、その基盤となっているブロックチェーン技術は、引き続きさまざまな領域の起業家を惹きつけている。また、いくつかの地域は、成長するブロックチェーンスタートアップエコシステムの主要なハブとなるべく競争を繰り広げている。

ベルリンはその競争の勝者になれるはずと信じてる都市のひとつだ。同市のクロイツベルクに3月にオープンするブロックチェーンコワーキングスペース Full Node のおかげで、その傾向はさらに勢いづくだろう。

Full Nodeは1000平方メートルのスペースで、ローカルな二つのブロックチェーンスタートアップが本社を置き、合計で100名ほどが入るコワーキングスペースとなる予定だ。会議室、オープンスペース、イベントや仕事用のソーシャルエリアを提供する。

Nadja Beneš 氏は、このプロジェクトのパートナーの一つであり、ベルリンに拠点を置くGnosis のブランド・コンテンツ戦略担当者だ。

「このコミュニティは本当に分散しています。成長しているブロックチェーンコミュニティを一つにまとめたいと思いました」

ビットコインが異常な価格にまで上がり、ICOによってスタートアップが資金調達ルールの書き換えを迫られた年のあと、より幅広い属性の人々が仮想通貨やブロックチェーンといった話題に興味を示すようになった。

この分野に多大な資金が流れるにともない、多くの都市や国家が行動をとり始めた。マルタ、シンガポール、スロベニアは仮想通貨ハブとみなされるべく策を取ったし、スイスのツークは「クリプトバレー」とも呼ばれている。エストニアとベラルーシもこうしたポジションを目指している。従来の欧州のスタートアップハブであるパリやロンドン以外でもこれだけあるのだ。

Gnosis はMartin Köppelmann氏とStefan George氏が創業し、物と市場の価値を予測するEthereumベースのシステムを提供する。もともとは、Ethereumのベンチャー創業スタジオの一員だったが、2017年はじめにGnosisはスピンアウトし、その後1250万ドルのICOをした。All in Bitsもこのプロジェクトのパートナーのひとつだ。

Full Nodeのチームは、ローカルのブロックチェーンコミュニティにカジュアルなメールを送って、スペースを探しているかどうかを尋ねたところ、スペースを求める人々から100通ほどの返信が届いたという。

数ヶ月ほどの場所探しの末、彼らが見つけたのはレンガづくりの3階建ての建物だ。ロケットインターネットの共同創業者であるベルリンのザンバー兄弟が所有する建物だ。

スタートアップの拠点とコワーキングスペースとして始める予定だが、長期的な目的はメンバー間でのプロジェクト創発をうながすこと、実験的な活動をすること、研究、さらにはブロックチェーン技術を活用する革新的な方法の開発ができればと考えている。

(本記事は抄訳になります。)
【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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ベルリン・メイカーズの祭典「Maker Faire Berlin 2017」現地リポート【ゲスト寄稿】

本稿は、「Monozukuri Hub Meetup」を主宰する Makers Boot Camp の CEO 牧野成将氏による寄稿である。 Makers Boot Camp は京都を拠点とするハードウェアに特化したスタートアップアクセラレータである。 今年2月には、20億円規模のファンドを組成している。 ベルリン滞在中の週末に「Maker Faire Berlin 2017」を訪問しました。ドイ…

本稿は、「Monozukuri Hub Meetup」を主宰する Makers Boot Camp の CEO 牧野成将氏による寄稿である。

Makers Boot Camp は京都を拠点とするハードウェアに特化したスタートアップアクセラレータである。

今年2月には、20億円規模のファンドを組成している。


Maker Faire Berlin に向かう人たち
入口近くには、子供も楽しめる体験アトラクションも。

ベルリン滞在中の週末に「Maker Faire Berlin 2017」を訪問しました。ドイツ国内ではベルリン以外にも様々な都市で Maker Faire が開催されており、モノづくりの国、ドイツを良く表していました。

会場に入ってすぐのエントランスにて。何気ないライトもアートです。

会場は日本国内と比べるとそれ程大きくはありませんが、印象的だったのは子どもたちの数の多さ。もちろん親が連れてきている訳ですが、ハンダごてで基板づくりをする子、Arduino を使って PC を自作する子、またレゴブロックを使って何かものを作っている子までおり、素晴らしいモノづくり環境に育っているドイツの子どもたちが羨ましくなりました。

PCを自作する大人と子供。モノづくりには年齢は関係ありません。
子供向けワークショップが多く行われていました。

ベルリンの Maker Faire は未来のモノづくりを支える子どもたちに楽しんでもらえるような、仕組みづくりができているイベントで、小さな子どもたちが自分の手を動かして大人と一緒に「作り上げる」体験をできるものが多くあったことが印象的でした。日本人と同じようにドイツ人はみなモノづくりが大好きなんだと感じ、共通項を見つけて嬉しくなりました。

その一方で、日本では子どもたちの好奇心を刺激する環境を私達大人が提供できているか? と言うと胸を張って答えられないと知る機会にもなりました。帰国後、子どもたち向けのモノづくりや起業についてを知ってもらうプログラムなどの充実を図りたいとの思いを強くしました。

クリエイティブなレゴに夢中な子どもたち
子供も大人も、Makers はスターウォーズに夢中

展示に関してですが、日本ではドローンや AR といったテクノロジー的なものが多く展示されていますが、ベルリンでは農業、音楽、ゲームなどより身近に感じられるものの比率が多い様に感じました。世界中から最先端のアーティストが集まる新たなクリエーターの街として、モダンアートやアンダーグラウンドミュージックなどの新しい文化ムーブメントが生まれているベルリンならではの Maker Faire であったと思います。

今回ベルリンの Maker Faire に参加して感じたのは、都市の個性が作り手に与える影響とモノづくりの方向性を決定づけることについてです。日本は技術を徹底的に極めていくメイカーズが多いことや今回の身近な事柄に技術を発展させていくベルリンの例などを考えると、各都市の個性を表現するメイカーと出会うことができる世界各国の Maker Faire に訪れる価値はあると感じました。

多くのスタートアップや Makers が自慢のプロダクトを展示していました。

今回の参加企業で私が個人的に紹介したい企業が1社あります。アフリカ等の途上国で「1ドル」でメガネを提供する EinDollarBrille という会社です。世界中では7億人以上の人たちがメガネを必要としているそうですが、途上国ではそのメガネが十分に行き届かず、勉強や仕事に就くことが出来ない人が生まれているということです。

EinDollarBrille は非常にシンプルな形状でメガネを作り、それを現地生産し低予算の眼鏡を必要とする人に届ける「OneDollarGlasses」というサービスを開始しました。たった1ドルで、これまでチャンスを得ることの出来なかった人に新しい人生を与えることのできる、社会の仕組みを変える可能性のあるスタートアップが生まれてきていることに大きな可能性を感じました。

EinDollarBrille のブースにて。多くの人が足を止めて話を聞いていました

Maker Faire に参加し、日本でもこうした社会に貢献するモノづくり企業が生まれて欲しい、と強く思うと同時に、Makers Boot Camp として社会に貢献できる起業家支援をどのようにおこなっていくべきかを考える機会となりました。

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ドイツのスタートアップトレンドとモノづくり事情【ゲスト寄稿】

本稿は、「Monozukuri Hub Meetup」を主宰する Makers Boot Camp の CEO 牧野成将氏による寄稿である。 Makers Boot Camp は京都を拠点とするハードウェアに特化したスタートアップアクセラレータである。今年2月には、20億円規模のファンドを組成している。 本稿における写真は、いずれもカンファレンスのオーガナイザーである RIOT by PIRATE…

本稿は、「Monozukuri Hub Meetup」を主宰する Makers Boot Camp の CEO 牧野成将氏による寄稿である。

Makers Boot Camp は京都を拠点とするハードウェアに特化したスタートアップアクセラレータである。今年2月には、20億円規模のファンドを組成している。

本稿における写真は、いずれもカンファレンスのオーガナイザーである RIOT by PIRATE による撮影。


RIOTの会場のにて

今回ベルリンを訪れたのは「RIOT by PIRATE」にパネリストとして招待されたからです。RIOT とは英語で「暴動」と略されますが、参加者全員には海賊の眼帯が配られ、まさにスタートアップで世界を変えようという意気込みの込められたイベントでした。ちなみに主催者である PIRATE は、起業家やスタートアップ文化を盛り上げることを通じて人と人とを結びつけているドイツのテクノロジーコミュニティーです。

参加者には眼帯が!

RIOT は最近のドイツのトレンドを強く反映しており IoT やインダストリアル4.0を中心としたセッションで構成され、VR/AR やスマートシティに関連したスタートアップが数多く参加していました。またアウディがメインスポンサーとなっており、ドイツではアウディ等の製造業がスタートアップ支援に積極的な点が印象的でした。

スポンサーのアウディの展示。試乗もできます!

「Global efforts around hardware prototyping」というメインステージのセッションにフランスでのハードウェアスタートアップ支援として多数の実績をもつ Usine IO のCEO 兼 Co-Founder であるBenjamin Carlu 氏と共にパネルセッションに参加してきました。

モデレーターは香港/中国を中心にハードウェアスタートアップを支援する Brinc.io Co のFounderである Bay McLaughlin 氏でした。

左から:Bay McLaughlin 氏(香港 Brinc.io Co)、Benjamin Carlu 氏(パリ Usine IO)、牧野成将氏(京都 Makers Boot Camp)

まずはそれぞれがどのようにスタートアップのサポートをおこなっているかの紹介からパネルディスカッションは始まりました。

私は次のように日本の状況を紹介しました。

大会社による伝統的な日本のモノづくり文化はドイツととても似ています。中小企業によって支えられている大企業のモノづくりですが、1999年以降日本の経済状況低迷し成長率も下がっています。しかしながら、中小企業の下請け構造は今も変わっていません。Makers Boot Campは日本の中小企業ネットワークを活かし、彼らの優れた技術と知識で世界中のスタートアップの試作支援をおこなっています。

Benjamin Carlu 氏(パリ Usine IO)

Benjamin氏 は、パリでのスタートアップの状況を次のように説明してくださいました。

パリとベルリンには多くのデザイナー、エンジニア、新規事業への投資も得ることができるという点でよく似ています。Usine はパリで爆発的に増えているスタートアップをサポートしています。すべてのメイカーズをの要求を受け付けることができるわけではありませんが、今のムーブメントの一翼をになっています。

私達の活動を通して多くのスタートアップをサポートするために優れたエンジニアやデザイナーが集まりやすい場を提供し、彼らがマーケットへ到達できるチームづくりをお手伝いしています。Usine のエコシステムは投資が集まってくるパリを中心に広がっています。

Bay 氏からは、次のような発言がなされました。

投資済みの優れたデザインと技術はどこでも見ることができますが、日本や韓国においてはまだその道を探求している段階であるといえると思います。Makers Boot Campが優れている点はグローバルコミュニティーのにモノづくりの可能性を広げる活動をおこなっていることです。

どのようにエコシステムがグローバルコミュニティをサポートしていくのか見ていきましょう。ハードウェア企業にとって世界で戦うことは必要条件となっています。日本や中国と言ったアジアの国々と戦う必要があり、先端的なテクノロジーにおいて東洋から学ぶことも多いのです。

Brinc のプログラムでは、世界の工場である中国で量産化や試作のサポートを行っています。Makers Boot Camp は最低発注量の必要がない1,000〜10,000ほどの小ロット生産に特化しています。日本でのモノづくりは少数生産の「量産化試作」が強みとなっています。Usine IO は中国、パリ、ドイツ、ブルガリアなどのモノづくりハブで少量から大量のモノづくりを支援しています。

モノづくりにおいてどこで、誰とやるか、その人が信頼できる人物なのかといった試作のネットワークを見つけることが最も難しいパートであるといえます。現在では電話帳のようなところから信頼できるパートナーを見つけることは至難の業です。アクセラレーターのようなプレイヤーと働くことの価値は、ビジネスの検証、フィードバックを得ること、紹介などのサポートをスタートアップが得られることです。中国で大量生産を行う前にローカルの試作支援を受けることは非常に重要であることを理解してください。

アクセラレータープログラムへ参加することの意義と試作支援を受けることでよりビジネスを発展させる可能性について語り、パネルディスカッションは終了となりました。

人気のあった出展中のスタートアップ「SNAPCUBE

展示スペースには、世界中から集まった70社近いハードウェアスタートアップが展示を行い、屋上では投資家とのマッチング、屋外にはフードカーや卓球台など自然と交流しやすい環境が用意されており、スタートアップ、投資家、事業会社が上手く交流できるようになっていました。ドイツの伝統的技術力とスタートアップの新規事業を生み出す力の相乗効果で発展を続けていることを感じられる、素晴らしいイベントだったと思います。日本も共通項が多いドイツから学ぶべきことがまだまだあると感じた1日でした。

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コワーキングオフィス運営「Mindspace」が1500万ドルを調達し、ベルリン市内で拠点拡大へ

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コワーキングオフィスを運営するMindspaceが1500万ドルを調達し、これまで4拠点で展開していたコワーキングオフィスを9拠点まで拡大することを1月末に発表した。新拠点として既に決定しているのはベルリン市内の2箇所とミュンヘンの1箇所で、残り2拠点のロケーションはまた後日発表される予定とのことだ。 イスラエルからスタートし、ドイツで拠点を拡大 Mindspaceは2014年にイスラエルのテルア…

上:MindSpace、ベルリンの既存拠点の共有スペース(Photo Credit: Mindspace)

コワーキングオフィスを運営するMindspaceが1500万ドルを調達し、これまで4拠点で展開していたコワーキングオフィスを9拠点まで拡大することを1月末に発表した。新拠点として既に決定しているのはベルリン市内の2箇所とミュンヘンの1箇所で、残り2拠点のロケーションはまた後日発表される予定とのことだ。

イスラエルからスタートし、ドイツで拠点を拡大

Mindspaceは2014年にイスラエルのテルアビブで創業し、都市でのコワーキングオフィス事業を営んでいる。現在はテルアビブに2拠点、ベルリンに1拠点(2016年4月にオープン)、ハンブルグに1拠点展開中であり、今年の秋までには前述の通りベルリンにさらに2拠点、ミュンヘンに1拠点新たにオープンする予定だ。

今回の1500万ドルのシリーズAラウンドの資金調達に参加した投資家の詳細は発表されていないが、今回の調達について「欧州市場を引き続き強化するとともに、米国市場にも進出する計画があります」とMindspace CEOのダン・ザカイ氏はコメントする

小チーム向け、ハイエンドなプライベートオフィスを提供

Mindspaceが提供する主な製品は、2-8人程度の小チーム向け個室オフィスだ。ベルリンの目抜き通りフリードリヒ通りにある既存の拠点の合計5000平方メートルのうち、実に8割が個室(プライベートオフィス)に割かれている。

プライベートオフィスの料金は、デスク一つあたり420 – 480ユーロ(つまり4つのデスクが入っているオフィスであれば、その4倍)と、ベルリンの基準では割高ではあるがそれでも現在は満室であるとのことだ。ちなみに、料金にはプリンター使用量、デスク、飲料、カンファレンスルームとラウンジなどのスペースの利用料、24時間7日間のアクセスのすべてが含まれている。

上:MindSpaceが6、7階に入っているビル。ベルリンのミッテ地区の目抜き通りフリードリヒ通りで立地は抜群だ。(著者撮影)

スペースの雰囲気や料金設定は、昨年ベルリンに2拠点オープンした米国発コワーキングオフィスWeWorkと近い。ベルリンの他のローカルなコワーキングスペースに比べれば、サービスやインテリアデザインなどの空間、立地のすべてにおいてグレードが高い。こうした、ベルリンにおいては「ハイエンドな」場所であっても、MindspaceやWeWorkの入居率の高さを見る限り、需要もまた大きいようだ。

資金の増加とともに、ベルリンで拡大するコワーキングオフィス

ベルリンのフリードリヒ通りにある既存拠点は5000平方メートルで、約650名に使用されている。さらに今年中にローンチ予定の2拠点の場所は、既存拠点と近い場所とクロイツベルク地区である。それぞれ、3700平方メートル、4800メートル平方メートルと大きなスペースで、合計すればおそらく2000名近くの会員数を想定しているはずだ。

これだけ急速にスペースが広がっている理由には、ベルリンのスタートアップへの投資額が増えているという点が挙げられる。Ernst & Youngが先月発表したスタートアップバロメーターによれば、昨年のスタートアップへの資金調達数の欧州内都市別ランキングでは、パリ、ロンドンに次いでベルリンは第3位、資金調達額では第4位と上位にランクインしており、「スタートアップは多く生まれていても資金がなかなか集まらない」というベルリンのスタートアップのかつてのイメージが覆りつつある。

こうした変化とともに、スタートアップのチームが働く場所が変化するのも当然だ。コーヒー1杯の値段で何時間もカフェに居座る形から、コワーキングスペースのフレックスデスク、固定デスク、そしてMindspaceやWeWorkが提供するような小チーム向けオフィスと、スタートアップの働く場所は資金の増加とともに進化していく。スタートアップシーンの活況を肌で感じるような、こうしたフィジカルな変化が今まさに起きている。

参考:世界中から起業家が集まるベルリンでオープンしたスタートアップキャンパス「Silicon Allee」

ニーズは確実に満たしているように見えるMindspaceやWeWorkのコワーキングスペースであるが、一方で開発コストが大きい彼ら自身のビジネスがどれほど成長できるかはまだまだ注視する必要があるかと思う。

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世界中から起業家が集まるベルリンでオープンしたスタートアップキャンパス「Silicon Allee」

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先週木曜日、ベルリンの中心部ミッテ地区のある建物に何百人もの人が詰めかけた。ベルリンに新たに生まれようとしているスタートアップキャンパス「Silicon Allee」のオープニングイベントが開催されたからだ。500 Startupsのマネージングディレクター Dave McClure氏が登壇するトークイベントや、ピッチイベントが開催され会場は盛況を博した。 「急成長中のチームの要望に応えられるよう…

Silicon Alleeのオープニングパーティーにて、500StartupsのDave McClure氏とのファイアサイドチャット(著者撮影)

先週木曜日、ベルリンの中心部ミッテ地区のある建物に何百人もの人が詰めかけた。ベルリンに新たに生まれようとしているスタートアップキャンパス「Silicon Allee」のオープニングイベントが開催されたからだ。500 Startupsのマネージングディレクター Dave McClure氏が登壇するトークイベントや、ピッチイベントが開催され会場は盛況を博した。

「急成長中のチームの要望に応えられるような場所を」

5階建て7000平方メートルのスペース「Silicon Allee」とは、どのようなスペースとなるのか。「コワーキングスペースからさらに一歩進んだ場所です」とSilicon AlleeのCEO、トラビス・トッド氏は筆者の取材に対してこう説明する。想定ユーザーの一つは「最初の資金調達を終えた5、6名ぐらいの規模のチームで、その後チームが拡大していくことを期待されているようなスタートアップ」であるという。

「チームがさらに拡大したあとも、このビルの他のスペースに移動できることを想定しています。今のベルリンは、そういうフレキシブルなスペースが、需要があるにも関わらず欠けているんです」

ベルリンはスタートアップシーンの盛り上がりとともに、ここ数年でコワーキングスペースやスタートアップ向けのオフィススペースは格段に増加した。2015年にはGoogleが出資したことで注目を集めたスタートアップキャンパスのFactory Berlinがオープンし、昨年には外資系のコワーキングスペース、WeWorkやMindSpaceもベルリンに進出している。

Silicon Alleeに入居しているThe Familyのスペース(著者撮影)

各スペースごとにコンセプトは異なるが、Silicon Alleeが描くビジョンは壮大だ。2020年に完成予定の隣に建設中のビルも含めて、エリア一帯をスタートアップハブ Silicon Allee(シリコンバレーをもじって「シリコンアレー」と命名している。「アレー」はフランス語由来のドイツ語で「並木路」という意味だ)にすることが彼らの構想だ。大小さまざまなスタートアップやテック関連の企業、そしてカフェやラウンジ、イベントスペース、アパートを作って、スタートアップの多様なニーズに応えられる、かつコミュニケーションが活性化される場所を作る計画であるという。

すでにフランス発のスタートアップ向けのプラットフォーム The Family や決済サービスStripeの拠点、アカデミア向けのSNSを開発するResearchGateなどが入居している。マップサービスのHereも近日入居予定である。

まだ準備中の場所も多い。誰でもアクセスできるカフェスペースが1階にオープン予定であり、今年夏には最上階にラウンジとアパートができる。前述の通り、2020年には隣のビルが完成予定で、そこもSilicon Alleeとして使われる予定だ。

Silicon Allee — コミュニティイベント・ブログから出発

Silicon Alleeの成り立ちについても言及しておきたい。Silicon Alleeはアメリカ人2名、イギリス人1名の3人のファウンダーが2011年にコミュニティを立ち上げたところからスタートした。

2011年2月、米国のベイエリアから以前住んでいたベルリンに戻ってきたばかりだった起業家のトッド氏とシュイラー・ディアマン氏が、外国人向けのスタートアップイベント、ミートアップがないことに疑問を抱き、自ら「シリコンバレー式ミートアップ」を企画した。かっちりとしたプログラムを準備しない、場所と大まかなテーマだけを設定したネットワーキングイベントである。

ベルリンのスタートアップコミュニティでは知らない人はいないともいえるコワーキングカフェ Sankt Oberholzを会場にミートアップが開催された。6年前はこうした形式のミートアップが珍しく、ドイツの国営放送 ZDFも取材に来たほど注目を集めたという。

カフェ Sankt Oberholzで毎月第一火曜日の朝に開催されるSilicon Alleeミートアップ。2015年5月の開催時にて。(著者撮影)

「外国から来たばかりで、ベルリンのスタートアップシーンに入りたい人の最初のタッチポイントを提供する」というのがコンセプトのこのミートアップは、毎月第一火曜日の朝9時スタートで現在でもSankt Oberholzで開催されている。

その後、こうしたコミュニティの需要があることを認識したファウンダーたちはシリコンバレーをもじったシリコンアレーという名前を思いつき、その名をタイトルに掲げたブログメディアもスタートする。トッド氏いわく、当時はベルリンのスタートアップ関連のブログやメディアはドイツ語のものしかなく、同テーマにおいては初めての英語のブログであるとのことだ。

Factory の国際展開チームへ

最初の4、5年はイベントとブログ運営が中心であったSilicon Alleeだが、2015年にはチームはオープンしたばかりのFactory Berlinに入居した。それ以前にSilicon Alleeにエンジェル投資をしていたFactoryのファウンダーであるサイモン・シェーファー氏による提案だった。

そして、ちょうどその頃 Factoryの創業パートナーであるシェーファー氏とウドー・シュローマー氏が方針の違いから別々の方向性を歩むことを決断し、Factoryの国際展開を目指すシェーファー氏が国際展開の業務をSilicon Alleeに依頼。Factoryの国際展開チームとして、Silicon Alleeが新たに出発することとなったのである。

今後の国際展開の計画に関しては、当然ながら不動産開発はソフトウェア開発とは比較にならないほど時間を要するものであるから、取材時に多くを聞くことはできなかったが、比較的近い将来の話としては2年後にポルトガルの首都リスボンにスタートアップキャンパスを開く予定があるそうだ。

Silicon Alleeのオープニングイベント(著者撮影)

ベルリンのスタートアップキャンパス「Silicon Allee」の話に戻そう。

現在はまだ10社足らずの企業・スタートアップが入居している段階だが、先に述べた通り、これから徐々にカフェやアパート、イベントスペースをオープンしていく予定である。「遅くとも夏が来るまでには、最上階と屋上は完成させなきゃね」とトッド氏はいう。

ビルの屋上などで夜な夜なパーティーが繰り広げられるベルリンの夏までには、かなりのスペースが出来上がっているようなので、夏のベルリンを訪れる際にはぜひSilicon Alleeを覗いてみてはいかがだろうか。Sankt Oberholzでのミートアップもどうかお忘れなく。

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