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月額数万円のNOT A HOTELも準備中ーー濱渦氏が語った「次の一手」【Tokyo Meetup 公開インタビュー】

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本稿は起業家や投資家にトレンドを聞くオンラインイベントTokyo  Meetupの公開収録から。来年1月19日に開催するBRIDGE Tokyoは現在限定の無料チケットを配布中 ニュースサマリ:NOT A HOTELは富裕層ビジネスではない、誰もが月額数万円で利用できるような仕組みを発表するーー本誌インタビューに同社代表取締役、濱渦伸次氏が次の一手として現在検討しているプランの一部を明かしてくれた…

本稿は起業家や投資家にトレンドを聞くオンラインイベントTokyo  Meetupの公開収録から。来年1月19日に開催するBRIDGE Tokyoは現在限定の無料チケットを配布中

ニュースサマリ:NOT A HOTELは富裕層ビジネスではない、誰もが月額数万円で利用できるような仕組みを発表するーー本誌インタビューに同社代表取締役、濱渦伸次氏が次の一手として現在検討しているプランの一部を明かしてくれた。戦略的に富裕層をターゲットにした立ち上げがうまくハマり、40億円が販売開始2カ月でほぼ完売するなど、強烈なスタートを切った同社。しかし、読者の中にはこの成功は一部の層に売れただけであり次はない、という疑問の声も上がっていた。本誌では金曜日に開催したオンラインイベントTokyo Meetupで同氏に公開取材を実施し、いくつかの興味深い回答を得ることができた。

話題のポイント:創業1年ほど、サービス開始2カ月で40億円近くの売上を作るスタートアップ(※ゲームは除く)というのは、見たことがなかったかもしれません。ECで不動産を販売、内覧ナシ、ショールームナシ、広告宣伝費ナシ、全てが破格すぎて地殻変動を目の当たりにしているようです。

しかも濱渦さん、別に不動産の経験があるわけじゃないんですよね。昨日のインタビューでもお話されていましたが、不動産は好きではあるものの、創業当時は不動産事業の経験どころか、抵当権という言葉もよく分かっていなかったそうです。普段、スタートアップには「創業する理由」としてのバックグラウンドに業界経験が重視される傾向があったと思いますが、まるで学生起業をみるような清々しさすら感じます。念のためお伝えしておきますが、アラタナを創業して経営者として経験を積み、ZOZOグループに入った経験をもつ連続起業家です。ちょっと前までグループ子会社の社長やってました。

さておき、事前にいただいていた質問は整理すると「スケールどうするの?お金持ちって限られてますよ」「アプリっていつできるの?ホテルと切り替えって結構難しいのでは」「既存の事業者からどういうフィードバックありますか」「金融機関はどうみてる」「売れなかったらどうするつもりでした」あたり。では、インタビューの様子をお伝えしましょう(太字の質問は全て筆者、回答は濱渦さん、敬称は略しています)

NOT A HOTEL那須は完売

ーー創業からわずか1年半ほどの強烈なロケットスタートでしたが、創業した時(2020年4月設立)に今のチームってもう声かけとか終わってたんですか?

濱渦:まったくですね。2020年3月31日までZOZOグループの子会社社長だったのでほとんどなんもやってなかったんですよ。4月からメンバー集めをして、土地も何も買ってないのでなんもないわけですよ。今のメンバーや株主はそうですね、(この荒唐無稽な話に)乗ってきてくれたんですよ。

パース(物件のイメージ図)すらなく、自分がNOT A HOTELがあったらこんな生活になるっていうポエムを用意してたんですよね。そのポエムにANRIさん、6億円出資してくれて。そこから他の投資家の方も乗ってきてくれて。ただ、投資家と働くメンバーはポエムでなんとかなったのですが、土地はポエムでなんとかならなかったので買うしかなかったですね。

ーーいい感じに狂ってますね(笑。土地も株式資本で買ったんですか?

濱渦:融資受けれないような土地買ってるんですよ。だからフルエクイティ(で購入するしかなかった)。そういえば馬もバランスシートに載ってるんですよ。馬って車両なんですよ。テックスタートアップなのにバランスシートに(馬の名前の)「コマメ」とか「サスケ」とか載ってるんです。流石にオフバラ(BSから除外)しましたけど(笑。

ーーただ、濱渦さん、それなりに経営の経験もあり、金融機関との関係もあったでしょうに。キャッシュフローある程度見込める事業ですから金融機関が相談に乗ってくれなかったんですか?

濱渦:借りれるならいくらでも借りたかったんですけど、貸してくれなかったですよね(笑。実は最初は融資だけでやろうとしてたんですよ。でも全部断られて。だって2020年4月って最初のロックダウンがあった時期です。そんな時にホテルやるっていう時点で頭おかしいですよね(笑。さらにホテルを『売る』っていうのも分からない。ネットで売るって言ってるし、ホテルにも自宅にもなるって言ってるからさらに意味が分からない。

その上で那須とか宮崎とかに16万坪の土地買うって言うからもう全部門前払い。かわいそうな子だったんですよ。

ーー笑。

濱渦:それで融資が下りなくて、自分でホテルが作れなかったので『NOT A HOTEL』。ヤケクソでつけた名前だったんですよ。

ーーそんなエピソードが(爆笑

濱渦:はい、元々はホテルの事業だったんです。で、銀行が参加してくれなくて今があります(笑。

ーー面白い創業期のお話でした。少し質問をいただいているので、まずは残り物件が売れたかどうか

濱渦:実は不動産って結構売るの大変なんですよ・・・。

ーー多分、そうだと思います(笑

濱渦:カートにポチッと決済して、IT重説(※オンラインでの重要事項説明)して、Zoomで契約内容をご説明して入金、という形なのでどこで完了したかという点でいうとまだ残ってますね。今、那須は完全に完売してて、宮崎のシェア購入で3500万円、2500万円が2部屋ずつあります。今から買うことも可能です。

ーーでは、次の質問。疑問として多かったのが富裕層ビジネスだと続かないのでは、というものです。次の一手は

濱渦:僕らは決して富裕層ビジネスをやろうとしているわけじゃないんですよ。今回は自分が欲しいモノを作っていったら高くなっちゃった。『全ての人にNOT A HOTELを』というのがミッションとしてあって、結構面白い事業展開をすることになると思います。そうきたの?みたいな。

ーー具体的には

濱渦:今はキャッシュでしか買えなかったりシェア買いでも2,000万円以上するので、これが本当に月額数万円とかで買えるような仕組みは提供しようとしています。引き続き分譲販売のモデルなんですが、シェア購入であれば例えばローンで買えると月額数万円になるじゃないですか。年に1カ月はNOT A HOTELで過ごせるようになる、そういう世界を目指したいです。数億円の物件は定期的にフラッグシップとして出していきますが。

ーーやはりローン商品のあたりがキーになりそうですね

濱渦:ただ単に低価格のものを作ろうとは思ってないんですけど、言いたくなっちゃうんですが年明けの発表を楽しみにしていてください。来年、低価格なものをラインナップする予定です。

ーー次の物件は福岡の集合住宅パターンがありますよね。那須と宮崎が終わって、次は福岡ですか

濱渦:そうですね、あれはフランチャイズのモデルで、僕らは土地を仕入れて建築家の方に建ててもらって運営するのですが、フランチャイズはその仕組みを一式提供するという形になります。地主やデベロッパーの方と組みながら事業を大きくしていく。利益や出資のお金で土地を買い続けると成長しないし、そろそろ怒られると思うんですよ。馬とか買ったら(笑。そこは地主さんと組んで進めていくという感じですね

ーー戦略的にどっちを優先するとかあるんですか

濱渦:よくばっちゃうんですけど、両方拡大していきたいですね。

ーー15人で?

濱渦:そろそろ人がやばいんですよ(笑。

ーー緒に働きたいっていう方の応募は殺到しているんじゃないですか?

濱渦:一気に人を増やす方針ではないので少しずつ、優秀な方に来ていただこうと思ってるんです。だからゆっくりですがそろそろやばいです(笑。

ーー相当な矛盾ですね(笑。特に足りてないのはどういう方で、今はどういう方々が集まってるんですか?

濱渦:エンジニアですね。販売が決まって売るところまでいったので、オーナーさんのアプリやIoTの開発が必要なんですがそこが不足しています。ただ変数が多すぎるんです。土地や建築、そこに開発が入るので、事業の難易度が高すぎて自分でも笑ってます。そもそも私、抵当権という言葉をよく知らなかったぐらいの素人集団なんです。旅行好きとかこういう暮らしがある人生が好きという方が集まっています。素人じゃないとやらなかったですね(笑。

ーーアプリの開発についてです。これもまた変わったサービスになるので、前例があまりないと思うのですが、どうやって開発を進めてるんですか?

濱渦:僕も買ったので、オーナーなんですよね。それでオーナーの気分でああだこうだと仕様を伝えてます。こういうUXいいよね、という。

ーー・・・いろいろ言うだけでできるんですか?(笑

濱渦:エンジニアたちが頑張ってくれてます(笑。例えば(物件には)スイッチが全くなかったりするんですけど、オーナー体験としてどうなるのかなど、賃貸の物件を借りて徐々にテストをやってます。

ーーホテルの切り替えがあるじゃないですか。ホテルの機能はオペレーションがあるわけですよね

濱渦:こちらはNOT A HOTELマネージメントで運営の設計をしています。これもまた別の変数で、売れるかどうかは疑われてたんですが、証明できたんですよね。でも次はホテル運営本当にできんの?っていうそれもまた証明していかないといけないです(笑。

ーー最後に。売れなかったらどうしてました?

濱渦:切腹ですね。売れると思って信じてやってましたけど。自分で全部買い取るぐらいのつもりで・・いや、40億円は買えないですけど(笑。

ーーいや、興味深いお話ありがとうございました!

 

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カーブアウトスタートアップの成長、中国進出のリアル/Onedot鳥巣氏・東大IPC水本氏 #BRIDGE_Tokyo_Meetup

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本稿はベンチャーキャピタルが紹介する旬のトレンドやスタートアップを集めたセッション「BRIDGE Tokyo Meetup INTRO」で語られた話題をお届けします。11月実施のTokyo Meetup全セッションはこちらから。登壇希望のスタートアップはこちらからパートナーへご参加ください。 今回のINTROは、東大IPCパートナーの水本尚宏さんと、特別ゲストとして中国の育児メディア「Babily…

本稿はベンチャーキャピタルが紹介する旬のトレンドやスタートアップを集めたセッション「BRIDGE Tokyo Meetup INTRO」で語られた話題をお届けします。11月実施のTokyo Meetup全セッションはこちらから。登壇希望のスタートアップはこちらからパートナーへご参加ください。

今回のINTROは、東大IPCパートナーの水本尚宏さんと、特別ゲストとして中国の育児メディア「Babily(貝貝粒)」を展開する Onedot(万粒)CEO の鳥巣知得(とす・ちとく)さんにご参加いただきました。

Onedot は、ユニ・チャームと、ボストンコンサルティンググループ傘下 BCG Digital Ventures の共同プロジェクトからカーブアウトした異色のスタートアップです。一人の子供に両親と双方の祖父母の合わせて6個の財布から金が注がれる「シックスポケット」という言葉に象徴される中国の子ども教育市場について、将来の可能性と課題について伺います。

中国に進出した起業家はまだ多くありません。Onedot は自らの事業を現地展開しつつ、シナジーを見出せる企業の中国進出も支援しています。中国の都市部では経済発展と社会成熟が進み、多くの人々がマス向け商品で満足しておらず、日本のプロダクトやサービスには大きな可能性があります。東大IPCさんには、日本スタートアップの海外進出支援という観点でもお話をお聞きしました。(本文の書き起こしは収録インタビュー動画の一部、文中敬称略)

Onedot と鳥巣さんについてご紹介ください。

鳥巣:Onedot という会社と、その100%子会社の万粒(ワンリー)の代表をしております。この会社は2017年に作ったんですけれども、その前はボストン・コンサルティング・グループ(BCG)に6年ほどいまして、インターネット領域の仕事をしてました。その一環で BCG Digital Venturesという、新規事業をクライアントと一緒に作るっていうチームの立ち上げに関わり、我々の会社はその東京からの第一号案件です。

BCG には中途で入りまして、その前は Napster という、私と同じ世代の方はご存じの方が多いと思うんですけど、その日本法人の立ち上げをやっていました。その前には、学生の頃から小さな会社を友人と作ってやったりしていました。Onedot を作った瞬間からずっと上海におりまして、息子が2人いるんですが、2人とも上海生まれ上海育ちで最近は私よりも流暢に中国語を喋るようになってしまっています。

資本構成としては、Onedot という日本の法人が上にあって、そこに株主として東大 IPC さん含む各社がおられ、Onedot の100%子会社という形で中国法人の万粒があります。両社は実態としては完全にワンチームであり、中国の事業をやるために作った会社ですので、従業員・経営陣含めて9割は中国側にいて、社内の第一公用語は中国語で、slackも基本中国語で運用するみたいな感じになっています。東京にも支社があります。

Onedot は何を提供しているのですか?

鳥巣:主な事業としては二つあります。開始時からずっとやっている育児のメディアプラットフォームと、ここから派生して中国デジタル戦略・マーケティング支援事業として、主に日本のスタートアップや中国向けの大企業の新規事業、もしくは中小の会社様であってもその再成長を我々の経験まるごと使って一緒に共同事業としてやるみたいなことが最近少しずつ増えてきました。

経営陣としては私を含めて3名いて、私以外にはずっとリクルートにいた四川出身の薛さんというメンバーがいます。彼女は中国人ですが日本語も流暢で、中国・日本の両方の採用や管理を担当してもらっています。また、谷さんは中国の博報堂の JV にずっといて、上海で MBA を取得しました。社内では私が圧倒的に中国語が一番下手ですが、完全にカルチャーミックスで運営をしています。

経営陣は日本がバックグラウンドのメンバーが多いですが、その下のディレクタークラスだとほとんど中国出身です。社員の前職は、消費財とか教育系のスタートアップとかインターネット会社などが多く、そのほか、広告代理店やデジタルエージェンシーとかからの採用も多いです。今、上海にフルタイムで約70名ほど、東京に10名弱いて、どちらでも積極採用中です。

さて、Onedot は大手企業からのカーブアウトスタートアップです。沿革を教えてもらえますか?

鳥巣:冒頭にお話ししたように、Onedot は個人で作ったというよりは最初はコンサルティングのプロジェクトだったんです。それがいい感じだったので「事業化したい」となって、私は BCG を辞めまして、両社が出資してくれて会社を作って、ほぼ同時に上海に移住っていう感じで、バタバタと半年くらいで全てが進みました。

当初「Babily(貝貝粒)」という育児メディアを作って、それがワッと伸びてかなり人気を博しました。これはすごいなということで、マネタイズ始めたました。当初は SNS メディアみたいな感じでしたが、その後、自社のアプリを作ろうと考え、後ほどご紹介する WeChat のミニプログラムを始めました。マネタイズという意味ではメディアの広告事業もあるんですが、自社事業を徐々にプラットフォーム化することで、他社のマーケティング支援の事業も加えました。

当初、株主構成はユニチャームが過半数でしたが、独立したスタートアップの方がいろんなメーカーとも取引しやすいし、ガバナンス的にもスピード感が出ると考え、経営陣のインセンティブも含めて、東大 IPC さんにリードを取っていただく形で、昨年シリーズ  A ラウンドを実施しました。日本生命さんや住友商事さんからもご出資いただきました。

プロジェクトから始まったというのは面白い点ですが、設立当時やったことは今考えると(カーブアウトではなくスクラッチの)スタートアップがやるようなことをやり続けたな、という感じで、最初はひたすらユーザインタビューをしつづけました。中国中の有名都市を巡って、100人以上の妊婦さんやお爺ちゃんお婆ちゃんにインタビューしました。私は今でも中国人の一般の方よりは相当現地の育児事情に詳しいんですけども、それでニーズを洗い出して事業作ったみたいな感じです。

日本から中国市場をターゲットにするスタートアップはまだ珍しいですよね?

鳥巣:なんで中国で育児なんだって話なんですけども、まず分かりやすいのはでっかくて超伸びてるんですね。出生数は昨年から減って1,200万人ぐらいなんですが、かつて1,500万人と言われ、市場は50兆円あって、少子化は進んでいますが金額ベースでは二桁成長が続いている。中国より遥か前に日本は少子化が始まっていますが、日本でさえ育児やマタニティ市場の金額は伸びているんです。中国は一人当たりの消費単価は日本と同じレベルで高いので、マーケット規模ではまだまだ伸びそうだなと思っています。

ただ、育児以外にも言えることなんですけども、社会変化は本当に激しくて、特に生活習慣とか、こういう家族系のイシューということで言うとお爺ちゃんお婆ちゃん世代と親世代っていうのはかなりギャップがあって、日本で3〜4世代ぐらいかけて変わってきたことが中国で1世代ぐらいで変わったので、フリクションがすごく大きい。これが育児で起きると、親とは育て方が全然違って相談できないというペインがあって、もう少し科学的で現代的な育児方法を知りたいという意見がありました。

そして、もう一つのメガチェンジャーはメディアですね。我々が参入した2017年、まだ  TikTok はありませんでした(Tiktok が公開されたのは2018年)。Tiktok のおかげもあって僕らはすごくグロースしました。若い人たちは新しいものに適応するのが早いですが、ソーシャルメディアで情報収集する人だと日本のように雑誌を読むみたいな感じではないので、それに最適化された新しいサービスが必要になる。これら二つの変化が大きいので、いろんなスタートアップにとって機会になっているとに僕は思っています。

育児メディアの「Babily(貝貝粒)」は、どのように展開されているのですか?

鳥巣:肝は若い人たちの生活習慣とメディア商品に最適化するっていうところで、コンテンツもインターフェイスもソーシャルメディアですね。アプリも、もうネイティブアプリすらいらないミニプログラム(小程序)という WeChat(微博)ベースのミニアプリの進化したようなものがあり、これに特化してやっています。

病院の産婦人科と、このミニプログラムはオフラインのチャネルとすごく相性が良く、ネイティブアプリができないようなマーケティングができることもあって。だいたい年間100万人近くの妊婦さんに参加していただき、これは結構競合優位になっていると思います。もともとの SNS ベースのコンテンツ配信も結構まだ強みで、引き続き拡大をしています。

ミニプログラムはライトなアーキテクチャなので、いろんなものを簡単に作って出せるのですが、たとえば妊娠期は体重管理といった、非常に重要な健康イシューを扱っています。また、帝王切開を減らさなきゃいけないなどの課題もあり、そういったミニアプリをオフラインで病院のお医者さんに勧めていただいてます。コンテンツは動画を中心に、中国の TikTok などで配信しています。

育児メディア以外には、どのような事業をされているのですか?

鳥巣:最近中国で最も熱いマーケットはペットと言われています。そのペットっていうのは日本とまたちょっと違って、若い女性が猫を飼うような、子育てっぽいペットです。これが育児と非常に似てるのもあって、最近始めたところなのですが大変伸びてて面白いです。また、マーケティング支援事業を展開するほか、サプリメントを作り販売するようなこともスモールトライアルしています。

中国のペットは、昔はおじちゃんが鳥カゴで鳥飼うみたいだったのが、今はもう本当に子どもの代わりに上海に住む若い女性が猫を飼うみたいになってきています。健康意識はすごく違っていて、若い中国の方って、ペットにもそれを適用してて、たとえばペットがちょっと吐いちゃったりとかすると、すごく心配になる。我々の社員にも若い女性が多いので、もう半ば自然発生的に立ち上がって、こういうのが欲しいって言ってですね。それで健康管理ツールみたいなのを出したところユーザが今10万登録ぐらいまで伸びています。

マネタイズは、健康記録して異常発見だけだとできないんで、解決フェーズとして動物病院を調べて予約するというところまで提供していまして、上海で100軒ぐらいの病院が予約できるようになっています。ここに送客して診療費の何%かいただくというモデルでマネタイズも始めてます。このペットマーケットはこれからかなり日本でも話題になるんじゃないかなと思います。日本はおそらく1.6兆円とかですが、上海のペット市場はすでに3兆円超えてるらしく、これが今後、2倍、3倍に成長すると予測されています。

我々が得意とするのは、大きく2つあって、一つは育児系とか消費財メーカーさんの中国事業の全体支援ですね。新規進出もそうですし、進出しているところも一緒に全般やるっていうような総代理的なやり方です。スタートアップだと最近 D2C のメーカーさんもいらっしゃるので、彼らが中国にに進出するときのパートナーになれればいいなと思います。

もう一つは、デジタル事業創造ですね。メディアとか、アンチエイジングメディアというのをTikTokで作ったりとか、インバウンド医療で中国から日本に来る患者さんのプラットフォームを作ったりとか、ネイルのコンテンツ配信をしたりとか販売をしたりとかっていう、プラットフォーム作りを多くやってきたので、唯一無二のプレイヤーになりつつあるのかなと自負しています。

中国市場に進出しない理由として、「中国はよくわからないから」と言われる企業担当者は多いように思います。この意見については、どう思われますか?

鳥巣:中国が分からないというのは、たぶん詳しくないという意味ではなくて、インターネットインフラが日本と欧米は基本的には共通していると思うんですけど、中国はインフラが違うからでしょうね。検索はBaidu(百度)とか RED(小紅書)だったり、Eコマースの場所も違うし、言葉も違うというのもあって、わざわざ中国のためにだけ特化して体制作ったりとか組織として学習するっていうコストは高いんだと思うんですね。

我々は中国だけやってるっていう点で、そこをカバーできるのは結構大きいのかなと思います。とはいえ、中国展開は、伝統的に大きな商社さんやコンサルや代理店さんがとか活躍されている領域だと思うのですが、我々はどちらかというと、そこでも事業創造とかスタートアップ的なやり方で事業展開をお手伝いすることが多いです。ドカンと出店して大きなキャンペーンを打つとかではなく、段階的にリーンにやって、グロースからっていうような立ち上げ方でやるのは社内に DNAとして根付いているので、そういうプロトコルが似ている会社さんとはやりやすいと思います。

最後に、中国市場のスタートアップにとっての魅力は何でしょうか?

鳥巣:私が感じる中国でのスタートアップにとってのオポチュニティという点では、中国は最近、10年に1回ぐらいと言われている大きな変化が多いんです。一つには、やっぱり TikTok みたいなものの勃興により、消費財は Alibaba(阿里巴巴)で売ればいいんじゃないのみたいなのが、最近そうじゃなくなってきました。プラットフォームが強すぎるとプレイヤーって出づらいんですよね。

例えば、中国の D2C スタートアップの最近の典型的なやり方は、デカいモールにショップをオープンする前に、自分たちが小っちゃいショップを作ってインフルエンサー(KOL)をひたすら訪ね歩いて、「うちの商品こんなんです」って紹介しながら売り歩くみたいなのがあります。そういう売り方だったら日本企業もできるんじゃないかということで、スタートアップ的なやり方で中国展開を支援するケースは結構多いですね。

中国って言うと、「規制は大丈夫なの?」ってよく聞かれるんですけども、特にネット・デジタル領域で言うと、一番懸念されるのはプラットフォーマーを外資がやるっていうのは政府は許さないような思想らしいですが、プレーヤーとして Tencent(微博)のプラットフォームで WeChat のミニプログラムを出すようなことはかなりフレキシブルにやれます。

変化が激しいことは、スタートアップにとってチャンスがその変化の都度あるということでいいことだ思うので、私は新規事業にとってはこれが最大の魅力だと思います。KOL が物を売るとか、そこから買うものが増えるとかみたいな流れは、もう確実に世界中で来ると思うんですよね。欧米は日本より先に少し進んでいると思いますが、中国は違うものに見えるんですけど、将来の日本なのかもしれない体験に触れられる意味でも、大変やりがいがあると思います。

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「カスタマーサクセス白書2021」重要ポイントイッキ読み/HiCustomer鈴木氏・ALL STAR SAAS FUND神前氏 #BRIDGE_Tokyo_Meetup

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本稿はベンチャーキャピタルが紹介する旬のトレンドやスタートアップを集めたセッション「BRIDGE Tokyo Meetup INTRO」で語られた話題をお届けします。11月実施のTokyo Meetup全セッションはこちらから。登壇希望のスタートアップはこちらからパートナーへご参加ください。 カスタマーサクセス  SaaS を提供する HiCustomer は、8月に「カスタマーサクセス白書202…

本稿はベンチャーキャピタルが紹介する旬のトレンドやスタートアップを集めたセッション「BRIDGE Tokyo Meetup INTRO」で語られた話題をお届けします。11月実施のTokyo Meetup全セッションはこちらから。登壇希望のスタートアップはこちらからパートナーへご参加ください。

カスタマーサクセス  SaaS を提供する HiCustomer は、8月に「カスタマーサクセス白書2021」を公表されました。HiCustomer  の創業者で代表取締役の鈴木大貴さんに、HiCustomer の事業内容とカスタマーサクセスの概況について、また、HiCustomer に出資する ALL STAR SAAS FUND のベンチャーパートナー神前達哉さんにお話を伺いました。(本文の書き起こしは収録インタビュー動画の一部、文中敬称略)

HiCustomer の会社の紹介、サービスの紹介をお願いします

鈴木:HiCustomer の代表をしております鈴木と申します。前職は、SaaS のスタートアップに投資する会社で働いておりまして、シードアーリーの SaaS  系の起業家とコミュニケーションすることが多かったんですが、成長を考える上で解約とかカスタマーサクセスをどう進めていけばいいのか、多くの課題を持たれている会社さんが多いなと思っていたことと、世の中のビジネスモデルがモノ売りからサブスクリプション、コト売りに変革しているなという大きな流れがあるなと思ったので、この分野のプロダクトを立ち上げて、今4年目となっております。

SaaS の場合、自分たちのプロダクトを使ってくれてるお客さんがうまく使えていなかったり不満を持っていたりすると、当然売上が下がっていってしまうので、そうならないようにお客さんのコンディションを可視化したり、アラートを立てて、ちゃんとお客さんがプロダクトを使えるような条件に持っていったりするように支援できるプロダクトを提供しております。

8月に公表された「カスタマーサクセス白書 2021」ですが、どの辺りの数字がポイントになるでしょうか

鈴木:先日リリースしたレポートのうち、全部はご紹介できないのでピックアップして特徴的なデータをお伝えしていきたいと思っております。まず、このレポートは昨年が1回目、今年2回目とやってきた調査の内容になるんですけれども、国内の主に SaaS で働くカスタマーサクセスのご担当者の方、マネージャーの方、SaaS 企業を経営している経営者の方といった3属性の方にお話をお伺いして、それをまとめたものになってます。

まずお話をしたいなと思っているのが、メトリクスという SaaS の経営指標に関わるもの。ACV(Annual Contract Value)というのは、SaaS のプロダクトの年間契約金額の平均です。ボリュームゾーンとしては、一番多いのが年間13〜60万円とか、61〜120万とか。月でいうと5万円とか10万円といった金額でですが、昨年と比べるとより単価が高くなってきてるなという傾向が読み取れます。

そして、月次の解約率は月次2%以下が全体の60%を占めるという形になっているので、去年と比べると月次の解約率が下がってきていますが、だいたい各社2%ぐらいで推移しているというところかと思います。解約率は、経過年数が長くなればなるほど解約率は落ちていってるので、機能のブラッシュアップやカスタマーサクセスのプロセス自体が磨き上げられて組織も成熟化しているので、やればやるほど、努力すればちゃんと解約率が下がることが分かるデータだと思います。

国内では各社でカスタマーサクセスの部門が立ち上がりすごく投資をしている領域なんですが、カスタマーサクセスの部門に所属している人数はだいたい2名から5名ぐらいというのが全体のうちの半数なんですけれども、10人前後とか20人前後とかいった会社さんも18%、13%という形で、だんだんカスタマーサクセスのチーム規模が大きくなりつつあると理解をしています。カスタマーサクセスの人員、組織を強化している会社がすごく増えていることが読み取れます。

また、カスタマーサクセスのメンバー一人当たりどのぐらいの売上に責任を持ってるんだっけってところを表わしているのが ARR(年間収益率)という数字ですが、ボリュームゾーンとしては、PMF(プロダクトマーケットフィット)していない会社さんででは1,000万円ぐらいの売上が多いですが、一番多かったのは一人当たり1,000万〜5,000万円ぐらいの売上を自分で責任を持ってお客さんに対してサクセスを提供していくという事業者さんでした。

数字以外にも興味深い気づきは得られましたか?

鈴木:カスタマーサクセスの現場で働いているいらっしゃる方に、「直近一年間で一番 KPI の改善に寄与した施策は何ですか?」という問いに回答してもらいました。一番多かったのは「ハイタッチ」と呼ばれる、お客さん一社一社と向き合って丁寧にコミュニケーションし、サクセスに導いていくという活動を自分たちの KPI にしたというものでした。それに続いてはオンボーディングで第一印象を良くするとか、最初に成功体験を作っていくといった施策が30%。他にデータ分析とか効率化の施策といった回答をいただきました。

さらに、「今後6ヶ月から12ヶ月でどんなことを強化していきたいですか?」という質問に関しては60%ぐらいの方が「データ分析の可視化をしたい」ということでした。自分達のプロダクトを使ってくれてるお客さんがどこで詰まってるのかとか、コンディションはどうなっているのかとか、やっぱりそういったデータが分からないとサクセスの方がフォローアップするのはなかなか難しいので、ちゃんとデータが見えるようにしていこうということです。

また、面白いデータとしては、「あなたたちの会社は顧客中心文化が作れてますか?」という質問に54%ぐらいが「はい」と答えてもらってるんですけれども、では、なぜ顧客中心文化ができているのかという問いに対しては、「一緒に働いているメンバーのマインドがそもそもそうだから」とか、「お客さんの要望に基づいてちゃんとプロダクトの開発優先順位を決めることができているから」というように、会社の風土から感じる理由を回答としていただくことができました。

ちなみに禁断のですね、カスタマーサクセスの年収みたいなものも聞いておりまして、データが出ております。年々年収が上がってきてるなという感覚があって、マネージャークラスには結構1,000万円プレイヤーが出てきているので、「なるほど」って感じですね。経営陣がカスタマーサクセスをどの程度重要視してますかという設問に対しては、57%が一番重要な課題ですというと回答していただいています。なぜかというと当然 LTV を上げたいから。カスタマーサクセスは会社の重要なアジェンダであり、投資すべき重要な対象であることが読み取れるかなと思います。

神前さん、投資家の視点として、出資先やポテンシャルのあるスタートアップの方々に対して、カスタマーサクセスはどれぐらい重要だ見ておられますか?

神前:そうですね。シリーズ A 以降の会社、つまり PMF を達成してどんどん成長していくっていう風な会社に関してはカスタマーサクセスはたぶん一番重要だなと思っています。投資サイドとして見ているのは、その成長性かなと思っていまして、チャーンレートが低ければ低いほど成長スピードは上がっていくと思うので、バケツに穴が開いた状態でどんだけ水を入れたとしてもそこから抜けていくようでは、やっぱり高い成長率っていうのはキープできないかなと思うので、そこはかなり重要視しています。

たくさん数字が出てきますが、投資家サイドとして特にこの数字はベーシックなものでよく見ている、というものを教えてもらえますか?

神前:フェーズによってもたぶん違うと思うんですけれども、まず一番最初に見ている数字としてはネットレベニューのチャーンレートを見ています。どれだけレベニューで、収益ベースでチャーンが起こっているのか。あるいはカスタマーサクセスによってエクスパンションですね、そのお客さんからの売上が増えれば増えるほどネットレベニューチャーンはマイナスになっていくので、そこの数字は一番大事にして見ています。

ネットレベニューのチャーンレートはマンスリーで言うと当月の解約で失った MRR(月間経常収益)なので、今月失った金額から今月エクスパンションで増えた金額、つまり既存顧客から増えたお金を引きます。それを先月末の時点での  MRR で割るっていう形でレートを出すんですね。そうすると先月末で例えば1億円の MRR がありました、今月で失った MRR は500万円です。で、エクスパンションで MRR が1,000万円増えましたとなると、分子がマイナスになると思うんです。それはエクスパンションがどんどん起こってるっていうことなので、これはネガティブチャーンと言うんですけれども、既存のお客さんからの売上がどんどん増えてきているという状況なので、すごくいい傾向なんです。そこを結構評価しています。

鈴木さん、シード期のまだ体制とかもなかなか整ってないような方々が、カスタマーサクセスに取り組もうと思った時に、まず最初に見るべき数字、やるべきことを教えても荒れますか?

鈴木:シードだから、まだ PMF に至ってないっていう前提で、だいたいMRRが500万円まで行ってないくらい、そういうことを前提とすると、最初にやらなければいけないことは、まず解約の阻止をめっちゃ頑張るとかではなくて、お客さんの要件と自分達のプロダクトのギャップがどこにあるのかっていうことをちゃんと明確にし、組織の中で目線を合わせるっていうことを、お客さんに一番近いカスタマーサクセスの人が旗を振ってやるべきかなと思います。

そのギャップが、カスタマーサクセスが人的にフォローアップをするべきことなのか、プロダクトで解決をしなければいけないことなのか。重みを付けていくことを間違うと、これをバケツの穴と呼ぶのであれば、開いてる状態で他の機能をバシバシ作ったとしても結局お客さんっていなくなってしまいます。自分たちが今リソースを集中しなければいけないのは何か。これはギャップの大きさや強さでだいたい理解ができると思うので、一番最初にやらないといけないことがもしできてないとすると、そこをやらないとまずいというのは、一番はそこかなと思いました。

リソースが少ない中でまずこれはやらないといけないということを挙げるとすると、オンボーディングの強化をする。オンボーディングのプログラムというか、ちゃんと意思決定、導入決定してくれたお客さんが自分たちの定義する「ここまで行けばサクセスと言えるよね」というところ、そこまでは粘り強く、リソースをかけまくっても良いと思うので、オンボーディングをめちゃくちゃ頑張るっていうのは100%やった方が良いなと思います。

記事編集:池田将、インタビュー:平野武士、動画編集:佐々木峻

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デジタル化する物流の今・2万社利用、ロジクラが語る物流DX/ロジクラ武末氏・ジェネシアV一戸氏 #BRIDGE_Tokyo_Meetup

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本稿はベンチャーキャピタルが紹介する旬のトレンドやスタートアップを集めたセッション「BRIDGE Tokyo Meetup INTRO」で語られた話題をお届けします。11月実施のTokyo Meetup全セッションはこちらから。登壇希望のスタートアップはこちらからパートナーへご参加ください。 今回のINTROはジェネシア・ベンチャーズから一戸 将未さん、特別ゲストとしてクラウド在庫管理 SaaSを…

本稿はベンチャーキャピタルが紹介する旬のトレンドやスタートアップを集めたセッション「BRIDGE Tokyo Meetup INTRO」で語られた話題をお届けします。11月実施のTokyo Meetup全セッションはこちらから。登壇希望のスタートアップはこちらからパートナーへご参加ください。

今回のINTROはジェネシア・ベンチャーズから一戸 将未さん、特別ゲストとしてクラウド在庫管理 SaaSを展開するロジクラから取締役CSO、武末健二朗さんにご参加いただきます。

ロジクラは全国に広がる倉庫事業者を対象に、入荷から在庫管理、受注オーダーの自動取り込みから出荷までの全ての物流オペレーションを一元管理し、倉庫業務を効率化することができる「物流デジタル化」スタートアップです。

昨秋からは「3PL(third-party logistics)パートナープログラム」を開始し、倉庫探しに困っている EC 事業者向けに全国100拠点以上の倉庫事業者との無料マッチングを実施したり、佐川グローバルロジスティクスと提携し、東京・南砂の次世代型大規模物流センター「Xフロンティア」を活用した国内最速・最大級の EC フルフィルメントサービス「XTORM」を共同で開始されています。

イベント当日は、今後も大いに成長が期待されるEC市場に対して、物流側がどのような課題を持ち、どう解決していくのかロジスティクスの今をお聞きします。(本文の書き起こしは収録インタビュー動画の一部、文中敬称略)

ロジクラについて、ご紹介ください。

武末:我々は「変革期における小売のニューノーマルを創る」というビジョンを持っています。2019年から、皆さんご承知の通り新型コロナウイルスの蔓延によって小売業界は本当に大きなトレンドと言いますか、モーメンタムが起きているという形になっているんですけれども、そういった事業者様の方々に対して我々自体が次の事業に繋がるようなサポートを在庫という観点から行っている会社になります。

ミッションとしては「在庫データを活用し、企業の成長を支援する」というところで、僕ら自体が在庫データというものを日々のお客様の商品の出荷や入荷のような商品の管理という観点からデータを蓄積していくことができるようなプロダクトを提供しているので、それを活用して企業の成長をいかに支援していくかということを掲げています。

何を提供されているのですか?

武末:在庫管理のSaaSプロダクトを提供しておりまして、それ自体によってお客様の出荷業務だったり在庫管理が簡単になった、もしくは正確になったっていうことはありますが、そこで得られたデータを活用して在庫自体をいかに減らしていくかが重要です。

特に今回のコロナウイルスの影響はまさに、お客様が店舗メインで売上を上げていたところが、店舗では全く売上が上がらなくなってしまった時に、じゃあ通販にどうやってシフトしていくのか、シフトしていった時にどうやって在庫の適正な消化(消化率)、つまり減らし方を習得して商いをやっていくのか、あるいは需要を予測していくのかというところを支援していこうとしています。

SaaS プロダクトとして、ロジクラをスマートフォンと PCの サービスという二つの形態で提供しており、店舗向け・通販向けでそれらをまとめたオムニチャネル、直近ですとOMOみたいな言い方がありますけれども、OMO の中で基幹として使っていただくようなソリューションとなっています。

また、ロジクラは SaaS プロダクトの提供に加えて、通販や小売の事業者様がどんどん事業を拡大されていった時に、倉庫の方々と実際の荷主と言われる小売事業者様の方々をマッチングしていくようなコンサルティングのサービスも行わせていただいています。それによって、お客様が事業をスケールアップしていく時の物流のトータルサポートをロジクラが行っています。

小売事業者に SaaS を提供するだけでなく、物流事業者とも組んでおられるのですか?

武末:パートナーの倉庫を全国で100拠点以上確保して、そこの方々とマッチングも含めた共同でのサポートをやらせていただいています。加えて先般、 SG ホールディングスの物流子会社である佐川グローバルロジスティクス様とレベニューシェアで共同事業をさせていただいており、「XTORM」というサービス名称で24時間365日フル稼働の最新鋭のロボットを活用した通販物流センターを共同運営しています。

単純なソフトウェアの提供というだけではなく、物流自体のパートナーとの共同提供であったり、僕ら自体がレベニューシェアで実際にサービス自体を提供したりするところまで、広く連携をしながらやらせていただいています。XTORM に関しては完全自動出荷、夜中のうちに入った注文を午前中に関東には送れるなど、圧倒的な出荷スピードを実現するなど新しいことにも取り組んでいます。

日本の EC 化が成長を続け、10%に近づこうとしています。EC 事業者にサービスを提供するロジクラから見て、どういう領域が伸びていますか?

武末:コロナの影響もあって需要が圧倒的に強くなってきていますね。その中で、これまではなかなか通販化が難しかったところも結構伸びているっていう所感を得ていて、まさにこれが書いていただいている10%が見えてきたっていうところに関わるのかなと思っています。

具体的に申し上げると、たとえば食品ですね。これまで食品系の EC は、ふるさと納税とかはあったかもしれないですけど、あんまり通販とは相性が良くないというのが正直なところでした。コロナ禍で飲食店など食品系はかなり厳しい状況下で、試しに BASE に出店してみたら死ぬほど売れて、そこから通販と店舗が二大巨頭になったみたいな企業様も出てきています。

ーーここ数年のコロナ禍によるEC 環境の激変により、EC 化率の上昇が大きく変わり始めました。メルカリがこれまでの C2C のみならず B にも参入し、Shopify、BASE、STORES などがターゲットとしていたスモールビジネスの領域に食い込んでこようとしています。

日本の B2C の市場規模は約19兆円。内訳を見ると、モノ系と物販系が12兆円で、サービスは4兆円(以前は7兆円だったがコロナ禍で旅行業が落ちた)、デジタルが2兆円。調査対象とされている10品目の中で、特に注目すべきは食品でしょう。武末さんは、絶対に伸びないと言われていた食品の EC が急に動いたことを指摘されていました。また、コスメ、ファッションなどの扱いはどうなっていくでしょうか。

EC 化率が8月くらいからグラフの角度が変わってるのを見た瞬間、嬉しくなりませんでしたか?

武末:そうですね(笑)。10%を超えるかな?っていうのを私も感覚としては持っていましたが、グラフが鋭利な形になってくることは想定内ではあるものの、これが体感に加えて、経済産業省が発表された統計的なデータとして示されたことのインパクトは大きいと実感しています。

通販は面白いもので、この領域が通販化できる、儲かるとわかると、二番手・三番手がガンガン出てきて、そこの領域が盛り上がってくるというのが結構ある産業ですね。たとえばひと昔前ですと、アパレルやファッションがそうだと思いますし、化粧品なども出てきています。

食品は、通販化ってそもそも難しいよね、ちょっと無理だよね、特産品が限界だよね、みたいな領域でした。しかし、そうじゃないんじゃないか、もっとやれることあるんじゃないかっていう風になってきて、先駆者が出てきたのがたぶん2020年だと思います。

食品の中では、ロジクラさんで預かっているものには、生鮮食品などもあるのでしょうか。技術の発達で冷凍で運べるものも増えていますが、冷凍食品の比率はどうですか。

武末:弊社では賞味期限管理の対応はしているので、生鮮食品は一部対応しているところはありますが、お預かりする食品の多くは、賞味期限が比較的長い加工品や冷凍食品です。温度管理については、クールの宅配便など、インフラの部分も含めて、かなり進化が見られます。

また、冷凍をうまく活用して通販で売れないかをトライする事業者様も増えてきました。たとえば果物は SDGs やフードロスの関係でフリーズして売っていくとか、基本的にパンは町のパン屋さんで地産地消だったのが冷凍して全国展開していくとか、そういう新しい知恵が技術の進歩プラスアルファで出てきています。

我々の中でも冷凍冷蔵できるような倉庫が、まだまだインフラとして足りていないというのが現実です。ただ、大手の消費者様なども含めて、かなり冷凍冷蔵領域についての投資を加速させていこうという動きが、2020年は出てきていると思います。

小規模事業者の中で何か際立った特徴的な動きとか、印象に残ったことはありますか?

武末:小規模な事業者様も、そうでない事業者様も、スタートラインはあまり変わりません。大手企業であったとしても、新規事業でスタートするとか、比較的事業規模が最小化された状況からスタートするのは変わりないからです。通販の面白いところは、食品であれアパレルであれコスメであれ、売れる瞬間には、もう爆発的に売れる点ですね。

試しに、リアル店舗が閉まってるから EC をやってみたら一瞬で売れてしまい、次に在庫を積んだらめちゃめちゃ売れて、といった形で、最初は試しでやってみたものの、そこに「売れる実績」が付いたことで投資をし、あたかも昔から通販をやってました、というような事業者様が出てきているのが面白いところだと思います。

すごく売れたものとしては、以前はふるさと納税の関係で特定の自治体でのみ売っていた事業者様の食肉販売。店舗ではなかなか売れないので、BASE や Shopify で仮の形で売ってみたら、プッシュ通知でお客様に通知する度に売り切れちゃう状況でした。結局そういう方は、今はもう通販自体が新しい事業の柱になっています。コロナ禍で家飲みの需要増で、お酒を販売している事業者様も伸びている感じですね。

記事編集:池田将、インタビュー:平野武士、動画編集:佐々木峻

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なぜ今、サプライチェーンリスクが重要なのか/ Resilire津田氏・STRIVE四方氏 #BRIDGE_Tokyo_Meetup

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本稿はベンチャーキャピタルが紹介する旬のトレンドやスタートアップを集めたセッション「BRIDGE Tokyo Meetup INTRO」で語られた話題をお届けします。11月実施のTokyo Meetup全セッションはこちらから。登壇希望のスタートアップはこちらからパートナーへご参加ください。 今回のINTROは、STRIVEのインベストメントマネージャー四方智之さんにお越しいただきます。特別ゲスト…

本稿はベンチャーキャピタルが紹介する旬のトレンドやスタートアップを集めたセッション「BRIDGE Tokyo Meetup INTRO」で語られた話題をお届けします。11月実施のTokyo Meetup全セッションはこちらから。登壇希望のスタートアップはこちらからパートナーへご参加ください。

今回のINTROは、STRIVEのインベストメントマネージャー四方智之さんにお越しいただきます。特別ゲストは9月に増資を発表したResilire(レジリア)代表の津田裕太さんです。

津田さんは、災害などでサプライチェーンが途絶することで製品供給停止の損害を被っている企業を目の当たりにしてきた経験から、企業がBCM(事業継続マネジメント)とSCRM(サプライチェーンリスクマネジメント)への対応を効率化できるSaaSを提供しています。

ここ1〜2年は、「SDGs」と「ESG 投資」といったキーワードがちょっとバズワードっぽく使われるようになりました。SDGs は、国連が定めた社会や企業が達成すべき17つの目標で、ESG 投資はその目標を達成する手段となっています。その他にも、社会課題の解決を目的としたインパクト投資の言う言葉もよく聞きます。

ESG 投資には2016〜2020年の5年間で3,800兆円が費やされ、55%という急成長を見せる投資カテゴリです。その背景には、世界経済のレベルでESGを考慮しないことが政治的にもビジネス的にリスクだと考えられるようになったことです。さらには、国連が定めた PRI(Principles for Responsible Investment、責任投資原則)で、ESG を考慮した投資の提言がうたわれたことも影響しています。

近年では気候変動による事業へのインパクトが如実によって出てきており、これがさらに ESG 投資を盛り上げる要因の一つにもつながっています。

こういった気候変動による事業へのインパクトが出る前の段階からその影響範囲を把握し、影響が大きくなるのを防止し、また、平時から災害時に備える対策として、Resilire というスタートアップが提供する「サプライチェーン・リスク・マネジメント」への対応が注目を集めています。SCRMへの正しい理解と効率化・デジタル化を推進することは今後の競争環境において必須です。(本文の書き起こしは収録インタビュー動画の一部、文中敬称略)

9月に STRIVE からの調達が発表された Resilire の津田さんにお越しいただきました。サービス紹介と自己紹介をお願いします。

サプライチェーンのリスク管理やったり社内のBCM(Business Continuity Management、事業継続管理)と言われるものを DX したりするようなクラウドのサービスを提供しています。私は関西出身なんですけど、関西で西日本豪雨を被災しまして、そのタイミングで「世界的に災害が異常に増えてないか」と思ったのがこの会社を創業するきっかけでした。

実際に調べてみると自然災害による経済損失は非常に増えていて、これからも増えていくという試算も出ています。今後来る損失を予防するようなイノベーションが必要なんじゃないかいうことを考えて立ち上げたというのが背景としてあります。

最近は特に浸水害がかなり増えていて、今私が取り組んでいるサプライチェーンの部分で言うと、どんどんサプライチェーンを途絶するようなリスクがより増えてきていることが現状となっています。最近は自然災害以外でも、今回のコロナもそうですけど、スエズ運河の座礁であったり、頻繁に起きる浸水害とか、いろんな要因でサプライチェーンは毎年、何回も何回も止まっています。

その中でも僕らが今フォーカスして解決している課題は大きく二つあります。一つは、サプライヤーや拠点の全体把握ができないということ。特にサプライヤーのティア2以降、委託している企業さんのもう一つ先の調達先の企業さん以降が全く見えていない。そこの管理がしきれてないのが一つの課題です。もう一つは災害であったり何か事故みたいなものが起きた際に、どこに影響があるのかという全体把握が非常に難しいことが大きな課題になっています。

実際、これができてないが故に、多くの企業で製品が止まって損害を伴っています。今、Resilire として提供している部分は、サプライヤーであったり、社内全体の倉庫であったり、拠点であったり、工場全体のクラウドで管理ができるというところ、そして、自然災害が起きた時に影響のある範囲を自動的に即時で把握することができるというものです。

たとえば、サプライチェーンは結構、超大手企業さんでも Excel で数百から数千の企業を管理していたりするんですけれども、Resilire を使うとクラウド上でツリー状に管理することができ、社内だけではなく社外のサプライヤーさんに対してもアカウントを付与して、サプライチェーン全体を管理し、クラウドでサプライヤーのネットワークを作っていくことができます。

地震とか停電、土砂、浸水害みたいなことが起きた際に、それによって影響があるサプライヤー拠点を自動的に緯度経度の情報から照らし合わして可視化して、自動的にメールを送って、実際の被災状況はどうなのかを回答すると、ここのツリーで色が変化して全体が見えるというようなものになります。

今までは、たとえば地震が起きると Excel と照らし合わせて「ここ影響あるんじゃないか」っていうのをチェック入れて、もう全部ひたすら架電していくというようなやり方をしていたんですけれども、これが半自動的に情報が集まってくる体制になっていきます。最近、直下地震を模擬的にクラウド上で起こさせるような訓練機能も実装したので、首都直下が起きた時にどこに影響があるのかを事前にシミュレーション的に見ることができる機能も提供しています。

(STRIVE の)四方さんから、Resilire にSTRIVEとして興味を持って投資をした理由を、ESG の文脈も含めて教えていただけますか?

ESG という文脈で行くと、Resilire 自体は気候変動っていうところに対して大企業がどういう風にそのリスクに対応すればいいのかというところのソリューションを提供していると思っています。

具体的には、サプライチェーンの中で委託先の企業が自然災害で止まってしまった際に、どのようにそこの状況を把握するかとか、実際に起きる前にどういう風に予防すればいいのか。今の気候変動が起こっている時代の中で、日本を代表するような大企業がそこのニーズを本当に逼迫して感じているんだなというところが投資の際の大きな判断材料でした。(STRIVE 四方)

津田さん、日本は自動車製造におけるトップキーをずっと持っていて、非常にパーツが多い製造のサプライチェーンをずっと支えてきました。そして、災害がすごく多い地域です。この辺りのところに関してはものすごくノウハウがありそうな気はしてたんですが。

そうですね。ほぼほぼトヨタだけが持ってたという状態ですね。特にサプライヤーの管理の方法もそうなんですが、サプライヤーさんに対して平時の段階でリスクのスコアリングをして、どこが一番止めてはいけないのかというのを事前に把握し、その上で、どこかが止まった時にどう対応するかというのを事前にリスク予防しておくところまでトヨタとかはやっていたりするんです。(Resilire 津田)

どういうことが発生するとサプライチェーンにダメージが与えられるのでしょうか。

かなり多岐に渡るんですけれども、一番多いのは自然災害であったりだとか、今回のコロナみたいな感染症もそうですけど、あとは個別の事情として工場の爆発とか火災とか、そういったものもありますね。

今回のコロナで言うと、中国がロックアップになりましたとなった時に中国から調達していた原料だったり部品がもう全然調達できなくなるみたいなことも起きたりして、けっこう波及していろんなところでリスクが起きたりしますね。(Resilire 津田)

災害が発生した時に対応するスキームとかはありますか? どこから手をつけるのでしょうか?

まず、災害が起きた時にどこに影響があるのかを瞬時に把握して対応していくことが重要なんですけれども、そもそも災害が起きた時にどこに影響があるのかという範囲を理解するには、事前にサプライチェーン全体を見える化しておく必要があるんですね。ただ、ほとんどの企業さんは一個目のティア1の委託先の企業さん、直接契約されているところは見えてるんですけど、その次の委託している企業が調達してる先、ティア2以降のメーカーとかはほぼ把握できてないというのが実体としてあります。

そうなってくると、災害が起きた時に、自分たちのA社から委託して調達しているものが止まるのかどうかというのはなかなか把握しづらい部分があります。なので、まずはティア2以降、メーカーとか全体を把握していくことがまず必要で、その上で、たとえば地震が起きましたとなった時に、地震が起きた範囲にある拠点や工場、それによって影響するのがどこなのかをすべて確認していって、「ここが止まります」「ここは正常です」というのを整理していく。

その上で、止まるとなったらその部品が来なくなる可能性があるので、じゃあこの部品を別のところで調達できる代替調達先はないのかとか、もしくは、この止まった先を復旧することはできないのかというのを考えていきます。トヨタの場合はルネサスという半導体を作ってるところで火災が起きた時はもう、社員を大量に行かせて早く復旧くさせようという動きをしたりしていますね

ただ実は事前の段階で決まっている部分もあって、リスクが起きた時に、すぐに代替の調達先を捜そうという動きをしても、なかなか時間が掛かったりする。だから、どこが止まったら一番やばいのかというのを事前に理解した上で、ここは代替調達先を確保しておくとか、ここの半導体に関してはもうここでしか調達できないんで、じゃあここに関してはちょっと在庫を多めに持っておきましょう、みたいな調整が必要になってきます。(Resilire 津田)

すごい複雑そうですね。しかも各メーカーさんごとにすごくユニークなサプライチェーンが組まれている。ここの部分がボトルネックだということをまとめた計画書を作るには、どれぐらいの期間とどれぐらいの費用、どういうリソースが必要になるのですか?

企業によってバラバラですよね。サプライチェーンの長大さもバラバラなので、、管理対象をどれぐらいまで置くかによっても掛かるコストや時間というのは相当違うんですけれども、前提としてまずやるところはティア1の委託先企業さんがどれぐらいあるのか。大手企業だと何百社ってあるんですけど、その次にティア2の原料とか部品の調達先はどれぐらいあるのか。大体ほとんどの企業はティア2まで、もしくはティア3ぐらいまでしか管理対象にしないんですね。量が膨大になっちゃうので。

うちは大手の製薬企業さんに導入されたりしてるんですけれども、大手の製薬企業さんだとティア2でもう3,000〜4,000社とかあったりします。この3,000〜4,000社全部を、ティア1の企業、たとえば200社ぐらいに3,000社全部出してもらえるように交渉して、エクセルで全部整理して出してもらって、それを全部エクセルに起こしていく。その上でどこが止まったらインパクトが大きいのかっていうのを洗い出していくという作業が必要になってくる。まあ相当膨大な時間とコストがかかります。(Resilire 津田)

Resilire を使えば、サプライチェーンのリスク管理でどの部分を効率化できるのでしょうか。また、効率化することで最終的にどういうメリットがあるのでしょうか。

今までサプライチェーンのリスク管理は、止まった時のネガティブなインパクトがめちゃくちゃ大きいので、大手の企業さんとかだと自社でシステム組まれたりとか、大手の SIer に依頼して作ったりっていうのが今までは行なわれてきたんですけど、ただ実質的に本質的な予防になってないのが現状です。たとえば某大手自動車企業さんだと、SIer に依頼して10年前にシステムを構築したんですけど、今ほぼ使えてない状態で Excel に戻ってしまっていたりとか。

これはなぜかと言うと、サプライチェーンリスク管理っは一番解決しないといけないのはサプライヤーのネットワークを作るサプライヤーとの新しいコミュニケーション手段を作るのが一番コアで、自社でどれだけ対応してもサプライヤー側に何か起きたときにちゃんと対応してもらえるような共通認識を持ってないと、本質的な被害予防に繋がらないということです。

なので、僕らがやってることというのは、どこがどこのサプライヤーと関係を持って仕事をしていて、そのサプライヤーがどの工場を持っているのかという関係図を全部作っていく。かつサプライヤーさんもうちのクラウドサービスに入ってもらって、まずはコミュニケーションできる土台を作るというのが一つですね。

この段階で、今までティア1の企業さん数百社に「ティア2以降を Excel で開示してください」と逐一依頼していたものが、ティア1さんにアカウントを1回付与さえすれば、そのティア1の企業さんはIDをもらってるので何かサプライヤーに変化があったら都度直接クラウドに入れてもらえる。場合によってはティア1さんとティア2さんにアカウントを振って、ティア2さんにティア3さんの情報を開示してもらうみたいに、もうIDの普及で進んでいったりするんです。ティア1まで振れたらあとはもう放置でいい。

まずは、このデーターベースの中で作った上で、それがうちのサブセット、マップ上で全部関係するものにピンが刺されまして、浸水害が起きたりするとそこで影響が出る部分がそこのデーターベースに対してフィードバックをして、色が変化して、検索すると異常個所にすぐに飛んで、「あ、ここか」という風に把握しておける。なので、今まで割と属人的にやってた、災害が起きた時に影響範囲を見つけに行く作業と、事前にアップデートしつづける作業がある程度このクラウド上でできるという形で効率化しています。(Resilire 津田)

四方さん、すごく理想的なシステムだし考え方ですが、投資家の目線でどこの部分がチャレンジになりそうですか?

恐らく一番大きいチャレンジとしては、他の企業と比べても、本当に初手からエンタープライズSaaS、エンタープライズセールスが必要になるサービスだなと思っています。通常、スタートアップの業績で言うと、いわゆる〝スタートアップ村〟みたいなところでの紹介でお客さんを見つけて、というのはよくあるパターンかなと思いますが、Resilire の場合はもう初手からどうエンタープライズに使っていってもらえるかがチャレンジになります。

幸いなことに各社さんからお声がけはいただいているので、そこのドアノックはある程度いける感覚があるのかなと個人的に思っています。その次の、津田さんが今話していたような本当にティア1・ティア2・ティア3と広がっていくのかというところは、これから検証ポイントであるのかなと思いつつ、そこのインセンティブ作りをどうやったらうまくできるかというのは議論しています。(STRIVE 四方)

記事編集:池田将、インタビュー:平野武士、動画編集:佐々木峻

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3400教室採用の「記憶革命」、激動する学習市場の今/モノグサ細川氏・WiL久保田氏 #BRIDGE_Tokyo_Meetup

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本稿はベンチャーキャピタルが紹介する旬のトレンドやスタートアップを集めたセッション「BRIDGE Tokyo Meetup INTRO」で語られた話題をお届けします。11月実施のTokyo Meetup全セッションはこちらから。登壇希望のスタートアップはこちらからパートナーへご参加ください。

今回のINTROはWiLパートナーの久保田雅也さんと、特別ゲストとして学習プラットフォーム「Monoxer」を提供するモノグサ、細川慧介取締役CFOにもご参加いただきます。

Monoxerは学習塾などの教育事業者向けに提供される学習プラットフォームで、事業者は問題作成から配信、生徒さんの学習状況や記憶度の確認までを一貫してサポートすることが可能になります。また習熟度に応じて個人に最適化した問題を自動的に作成して出してくれるので、記憶定着が確かになる特徴があるそうです。

生徒の状況を可視化してコーチングにも役立つということで評判が広まり、現在、3400教室が導入を進める注目株となっています。公開収録当日は、WiL久保田さんに投資サイドからみたモノグサの魅力を語っていただくと同時に、現在、オンライン化が進む教育学習市場の状況を細川さんにお伺いしました。(本文の書き起こしは収録インタビュー動画の一部、文中敬称略)

最初にMonoxerについて教えていただけますか?

細川:私たちは記憶を日常にということをミッションに掲げています。誰でも、どんな知識、どんな情報でも、ストレスがかからず、自然に身に付けられる。そういった世界を作りたいなと思ってやっている会社になります。アプリケーションとして「Monoxer」というプロダクト、SaaS プロダクトとしての「Monoxer」を提供させていただいています。

いろんな機能があるんですけれども、ざっくり3つぐらいに絞ってお話ししたいと思います。

一つめに、「ラーナイゼーション」という言葉をたまに使ったりするんですが、情報とか知識そのもの単体だと学習しづらかったり覚えにくかったりすることが結構あるんですが、Monoxer であれば、情報・知識を入れていただくとそれを学習できる形、もっと言うと、問題を解くという形式にしてくれるということが非常に大きな特徴だと思います。

もう一つは、併せて今いろんな出版社さんや教材会社さんと提携していて、その方々が紙で出版されているものを Monoxer で学習・記憶できる形に少しカスタマイズしていただいたものを、モノグサのマーケットプレイスに出品いただいて、それを先生だったり生徒さんが購入して使うことができるというところ。

さらには、基本的にそういった形で先生方が作ったり配信する課題というものを、生徒さんがスマートフォンやタブレットのアプリケーションで学習していくんですが、その方の学習履歴を分析して、その人が今何をどれぐらい記憶しているのか、身に付けられているのか、および苦手なところとか得意なところは何なのか、ということを可視化してくれるという形になっています。

教育現場では、どのような使われ方をしているのですか?

細川:左側は、どっちかというと生徒さんが見るような、自分が今何をどれぐらい覚えているのかが見られる画面になっています。右側は先生方が見る画面になっていて、誰が何をどれぐらい覚えているのか?っていうことだったり、それ以外にも、先生が課題の配信と一緒に学習計画というものも付けられるんですけれども、その計画の進捗状況はどうなのかとか。

また、個人がいつ何をどれぐらい学習してるのかみたいなことがデータで見られる形になっています。こういったデータやファクトを先生方に見ていただいて、「じゃあ、より難しい課題を出してみよう」とか、「この子はなかなか時間を取れてないから、次に教室に来た時に励ましてあげよう」といった形でコーチングのためのツールとしても使っていただいています。

加えてモノグサの特徴的なところなんですけれども、生徒さんが問題を解くという行為を通じて記憶していただくんですが、人それぞれに得意不得意であるとか、知識量みたいなものに差がありますので、その人にとってちょうど良いレベルの問題というものを常に出し続けてあげるということを機械が采配しているというのが大きな特徴かだと思います。

たとえば、英単語を学習する時に、できる方であれば右側のような自由入力的なものにどんどんなっていきますし、なかなか難しいなとか、初めて英語を学ぶみたいな方でいくと、左側のように答えを写すみたいなところを機械が判断をして出してあげる。この一連の、問題の難易度の調整や学習量の調整をモノグサがしてあげることによって、どんな方でも心が折れずに、その人にとってちょうど良いレベルの問題というものを解き続けて、記憶定着まで行き着くことができるというところにが特徴になっています。

小中学校の学習プラットホームとしての使われ方が強調されていますが、語学や企業研修などにも用途は広がっているようですね。逆に、Monoxer でやりにくい領域の学習はありますか?

細川:大きく今現在二つかなと思います。一つは、学校的な領域では、難関大学の二次試験とかで出るような、論文があって論述的に回答するみたいなものに関しては、その基礎知識を付けるという意味ではモノグサは非常に有効なんですけれども、そのトレーニングが結果に直結するかというと、なかなか UX としてはフィットしないかなっていうところは正直あります。

それから、ちょっと僕らはまだ分かってないんですが、いわゆる肉体的な活動。オペレーションの業務的なものとか、体で覚えるもの。たとえばカンナがけのやり方とかですね。今のモノグサだとたぶんフィットしないかなと思っています。ただ、こちらも動作記憶なので、かなり先になるでしょうが、今後そういったものも解析をして、遠隔でもトレーニングできるとか、身に付けられるみたいなものはやっていきたいなと思っています。ちょっと野望的な感じですけどね。

ーーモノグサは「いわゆる教材は絶対作らない」と「やらないこと」を決め、プラットフォーマーとして各教室が持ってる教材をそのまま個人最適化できるような、もしくは生徒の進捗が可視化できるような、そういう仕組みを開発してきました。この仕組みは一見自由なように見えますが、教育現場では  Monoxer 用に教材を準備することは負担にはならないのでしょうか。

先生が教材を作るなど、Monoxer を使うにはオンボーディングに時間がかかりそうな気がしますが、ここの部分はどのように乗り越えられてるんですか?

細川:大きくコンセプト的な話を少しさせていただくと、まず、クリエイターエコノミーと教育の親和性はすごく高いと思うんですよね。自分で対面してる生徒に対して、その子にとってベストな教育をさせてあげたい。そのために自分のオリジナリティを発揮していきたいという方が、教育領域には他のジャンルより多いと思います。だから先生の創造性や熱意を信じる、ないしは、それらをうまく活用させてもらったり引き出したりすることは大きいと思います。

教育現場ではみなさん、実は小テスト的なもの、定期的に何か確認をするみたいなことは結構やられてたりするんです。それは Word なり Excel なりで結構まとまってたりするので、基本的にはそれを少し Monoxer 用に整えていただいて、インポートしていただくみたいなプロセスになるので、そこまで難しくありません。

ただ、より作り込まれているものだと難しかったりするので、そうした場合は出版社さんとか教材会社さんのものを使ってやられてる方も結構多く、マーケットプレイス(にある教材)をそのまま使ってくださいと。出版社さんとの提携の中で、紙の教材を買っていれば、Monoxer 上での学習に関してはコンテンツ代は出版社が取りませんみたいなケースも結構あるので、教材を作るところのオンボーディングは、今のところそんなにしんどくないかなと思っています。

教育現場の DX には、Monoxer はどのような効果をもたらしていますか?

久保田:モノグサが面白いのは、いわゆる LMS(Learning Management System、学習管理システム)的な要素もかなりある点です。教育の現場はものすごくペインが大きくて、アナログまみれで、紙・電話・鉛筆の世界なんですよね。小テストを1回やろうと思った時に、紙に問題を刷って、教室に生徒たちみんな集めて、今からやるぞって言って、これを配って、「ハイ、よーいスタート」って言って、60分計って、ハイ終わったって言って集めて、これを持って帰って丸付けして、でこれを配って、最後はその成果を封書で親御さんに送り届けるっていう、こういうことをやっているわけです。

全部紙と対面のインターフェースでやってるんです。これが Monoxer だと小テストをその上で作れてその上でできるわけですね。で、丸付けはもう自動的に終わってます、と。保護者もその成績を一覧できれいに見れる。封書が送られてくることもありません。先生のそういった負荷、紙まみれ・鉛筆まみれの負荷をデジタルで軽くしてあげたいっていう要素があります。導入すると恐らく導入負担はあるでしょうけど、逆に運用負担は紙に比べると相当軽くなるっていうメリットがあるんですよね。

記事編集:池田将、インタビュー:平野武士、動画編集:佐々木峻

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