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米国の配車サービス業界は、どんな新種のスタートアップを後押ししているのか?(後編)

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前編からの続き 利益の推進力 その他多くの企業がドライバーの手取りを増やすためにさまざまなアプローチを採用している。 Techstars の卒業生でピッツバーグを拠点とする Gridwise は、大量のデータを利用していつどこに行けばよいのかをドライバーに教えることで、1時間の収入を39%も向上させることができるとしている。同社が提供しているモバイルアプリは、交通サービス、ソーシャルメディア、天気…

前編からの続き

利益の推進力

その他多くの企業がドライバーの手取りを増やすためにさまざまなアプローチを採用している。

Techstars の卒業生でピッツバーグを拠点とする Gridwise は、大量のデータを利用していつどこに行けばよいのかをドライバーに教えることで、1時間の収入を39%も向上させることができるとしている。同社が提供しているモバイルアプリは、交通サービス、ソーシャルメディア、天気、コンサート、地元のニュースといった、外部の多数の情報源から得られたデータならびに自社ドライバーのネットワークから得られたクラウドソースデータを集約している。

Gridwise のアプリ
Image credit: Gridwise

また Gridwise は予測アラートを発しており、ドライバーがいつどこの路上にいるのが最善なのか分かるようにしている。この機能は空港の混雑状況、天気予報、およびその他の乗客の需要が増大しそうな要因といった情報を基にしている。

これは PredictHQ というスタートアップと似たものである。同社は需要の急増をより正確に予測できるよう、(Uberのような)配車サービス企業と直接提携している。しかし Gridwise はビッグデータの力をドライバー自身の手に委ねている。

そしてさらに、ニューヨークを拠点とする Cargo は車内販売を提供し、製品を作るブランドと提携することで、ドライバーがイヤフォンからチョコレートまでさまざまなものを売って副収入を得ることができるようにしている。Cargo はこれまでに3,000万米ドル近くを調達してきたが、この中には昨年行われた2,250万米ドルのシリーズ A ラウンドも含まれている。このラウンドはPeter Thiel 氏の Founders Fund がリードし、Zynga の設立者である Mark Pincus 氏のような著名人も参加した。

ドライバーは商品を前面の小さな透明のケースに陳列し、乗客は Cargo Store モバイルアプリで商品代金を支払うことができ、ドライバーは売り上げの一部を受け取る。Cargo は以前、ドライバーは手数料や紹介料、ボーナスを通じて最大で月に500米ドルの副収入を得ることができると VentureBeat に語っていたが、現実的には平均的なドライバーが稼ぐ額は130米ドル程度となっている。

Cargo

Cargo は元々、配車サービスのドライバー向け非公式の業者として運営していたが、昨年 Uber が公式パートナーとして参加し、ドライバーが商品を取りに行くための専用の場所である Uber Greenlight Hubs がローンチされた。

設立者兼 CEO の Jeff Cripe 氏は、どんな変革的なビジネスが現れても、その周囲には「商品とサービスの価値ある経済圏」があるものだと考えている。他の例としては、iPhone のローンチと開発者向け Apple App Store、Airbnb の民泊マーケットプレイス周辺に生まれた無数のサービスなどが挙げられる。

Uber もまた世界的な、革新的な企業です。私たちは2016年に、急成長する配車サービスプラットフォームをベースとした企業としては初である Cargo を設立しました。その目的は、道のりや、乗客として過ごす時間という新たに出現した真に価値ある特典をもっと効率的にマネタイズすることです。航空便が食事や飲み物、娯楽、Wi-Fi で行っているように、配車サービスもより良い経済性と乗車体験を加速させるような付加価値サービスに傾注するようになるし、そうなるべきであると考えたのです。(Cripe 氏)

こういった新しいサービスを支える主な推進力は低賃金であると指摘することは簡単だが、おそらくそれは完全に正しいというわけではない。実情としては、これらのサービスにはドライバーによる少々の同意が必要であり、少々のリスクが含まれている。言い換えれば、たとえ配車サービスのドライバーが事前により多く稼いでいたとしても、その多くはやはり Octopus や Cargo と提携して手取りをさらに増やそうとするだろうということだ。Cripe 氏はそう固く信じている。

(低賃金と Cargo を利用するドライバーという)2つのことには少し相関があります。弊社は低労力で補足的な収入です。もしドーナツを毎日仕事に持って行けば収入が10%増えると言われれば、その額がいくらであっても、私はそうしようとするでしょう。

さらに、Octopus や Ivee のような企業が報告するチップの増加で証明されているように、顧客満足度という点からも付加価値サービスにはビジネスとしての意味が大いにある。この点はまたより良い評価にもつながる。

弊社が実際に聞いた各地のドライバーからのフィードバックでは、Cargo の主な利益の1つは、目に見える経済的な利益以外にも、乗客に最高の乗車体験を提供できることであり、それによって受ける良い評価であるということでした。

確実な視聴者

Octopus の車内広告表示デバイス
Image credit: Octopus

これらのさまざまなスタートアップは確かに巨大な経済圏における低賃金という問題を浮かび上がらせているが、それは本当にドライバーに自分の車を広告を乗せた商業拠点へと変えさせている主な要因の1つに過ぎないのだろうか。ここで重要な点は、乗客は閉鎖空間の中に30分かそれ以上の間いることが確かなので、確実に視聴するターゲットを熱望している企業や広告主にとっては、自動車が大きなチャンスを体現しているということである。

リーチしにくいミレニアル世代の消費者を捉えて視聴してもらうための理想的な状況であるとは考えていましたが、ドライバーや乗客に弊社のシンプルな製品をここまで気に入ってもらえるとは思ってもみませんでした。弊社はライドシェア業界を注意深く見て、そして気づいたのは、ライドシェアの利用は急上昇を続けているものの、ドライバーの収入は過去数年間で50%以上下落していたということでした。乗客とドライバーに愛される製品を作れば、ブランドとマネタイズを結びつけることができるかもしれないと分かったのです。(Thomas 氏)

Sinclair の投資もまた非常に戦略的な動きであり、これによって Octopus は乗客が移動している場所に基づいて、もっと関連した地元メディアのコンテンツにアクセスすることができるようになるだろう。

Sinclair のエグゼクティブチェアである David Smith 氏はこう述べる。

弊社がここで見ているものは、座席に座って見てくれる確実な聴衆への、まだ活用されていない媒体です。弊社が Octopus に投資を行った理由は、このチームがイノベーティブで他とは異なるブランディングの機会を上手く作り上げ、弊社がそのさらなるスケールをお手伝いできると考えたからです。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

ライドシェア・ドライバーの収入源を増やす米スタートアップ3選

本稿は米国のスタートアップを紹介するメルマガ「From the Alley」編集部による寄稿。主要メディアではカバーされにくいアメリカの注目すべきスタートアップを紹介中 UberやLyftのライドシェア・サービスは2012年に導入され、2017年には約513憶ドルの市場規模に達した。この成長は留まることを知らず、2025年には約2兆5千ドルに成長することが見込まれている。 一方で、ライドシェアのド…

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Photo by Pixabay on Pexels.com

本稿は米国のスタートアップを紹介するメルマガ「From the Alley」編集部による寄稿。主要メディアではカバーされにくいアメリカの注目すべきスタートアップを紹介中

UberやLyftのライドシェア・サービスは2012年に導入され、2017年には約513憶ドルの市場規模に達した。この成長は留まることを知らず、2025年には約2兆5千ドルに成長することが見込まれている。 一方で、ライドシェアのドライバーに対する報酬は減少し続けている。

ドライバー収入減少の傾向

JP Morgan Chase Instituteの調査によると、ドライバーの平均月収は2013年に1,469ドルだったものが、2017年には783ドルまで減少し、実に約53%の減少になっているという。このドライバーの収入減少の主な原因は、ライドシェア市場の動きと共に急激に増加したドライバーの数である。例えば、全世界のUberのドライバーは、2013年から2017年の間で16万人から2,000万人まで急増している。ドライバーが急増する反面、UberやLyftの複雑で理解しにくい価格の算出方法によりライドシェアの価格が大幅に低下する結果となった。

ドライバーに対する規定も年々厳しくなっている。ニューヨークやシカゴなどの大都市では交通渋滞を緩和するため、追加料金を課するようになった。この追加料金はライドシェアの乗客が支払うが、総料金が高くなったためライドシェアの需要は減少している。

ドライバー収入低下問題は悪化する

アメリカのライドシェア市場はUber、Lyftの2社が占めている。両社ともブランド力と資金力を支配しており、競合他社は参入しにくい市場環境になっている。このダイナミクスが続く中、両社のビジネスモデルが大きく変革することは考えにくいため、ドライバーの収入減少は今後も続くことが見込まれている。

又、UberとLyftは2019年に上場し、上場会社として投資家から採算性のプレッシャーが強くなる傾向にある。既に、Uberは第二四半期決算で52億ドルの損失を計上し、7月にマーケティング部門で400人の人員削減が行われた。

この様な状況が続く中、ドライバーに対する新たな収入源のニーズは高まり、今後も新たなスタートアップが組成されることが見込まれる。

ドライバーを支援するスタートアップ3選

ドライバーにとってグッドニュースもある。それはドライバーを支援するスタートアップが数々とあらわれていることである。今回は注目すべきスタートアップを以下に紹介する。

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Cargo: ライドシェアのスナック販売

ウェブサイト:https://drivecargo.com

Cargoはスナック販売をライドシェア中に提供するニューヨーク発スタートアップ。同サービスを利用するドライバーはCargoが準備するキャンディー、お菓子、飲み物などの商品が入っている箱を車の中に置き、スナック販売の売上の一部を得ることができる。

乗客はライドシェア中にCargoの箱の中に欲しいものがあればCargoのアプリを使い購入する事ができる。ドライバーは売上の25%をコミッションと、各商品につき1ドルを得られる仕組みになっている。箱の中には無料のアイテムもあり、当アイテムに対してもコミッションを得られる。このサービスを利用する事でドライバーは月300ドルのコミッションを稼ぐこともできる。

注目すべき点はCargo の主な収入源は商品販売ではなく、食品ブランド等との広告収入である。そのため、ドライバーの売上による取り分は希釈化されない。

同社についての紹介記事はこちら

Vugo:車内のディスプレイ広告

ウェブサイト:https://govugo.com

Vugoはライドシェア車内でディスプレイ広告を配信するサービスである。ドライバーはタブレットを車中に設置し、Vugoのアプリを起動するだけで収入を得られる。

Vugoの広告収入モデルは簡単。Vugoは広告主と提携し、広告内容や条件を決め、広告の表示回数を基に広告収入を得る。ドライバーはVugoが得る広告収入の6割を受け取る事ができる。ドライバーの収入は広告の表示回数1千回に対して平均25ドルであり、月100ドル~300ドルを稼ぐ事ができる。

当サービスはただ広告を掲載するサービスではなく、乗客に対してもバリューを提供している。乗客は広告を挟んだミュージックビデオ、コメディー、スポーツ等あらゆるチャンネルを移動中に楽しむことができる。

同社のビジョンはライドシェアの料金が全て広告主にスポンサーされ、乗客が無料でライドシェアを利用できる環境を作る事である。

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Uzurv: 患者向けのライドシェア

ウェブサイト:https://uzurv.com/

ヘルスケア市場でもライドシェアのドライバーにとって収入を得るチャンスがある。Uzurvはハンディキャップのある人や病人などの乗客とドライバーを繋げるライドシェアサービスを提供する。

乗客はUzurvのアプリでドライバーを選び、必要に応じて配車の予約ができる。ドライバーは乗客の車の乗り降りなど、様々なニーズに対応する特別なライドシェアサービスを行う。このようなサービスは特殊であり、ドライバーは通常のライドシェアよりも高い料金を得る事ができる。

同サービスはドライバーに対して他の面でも有益である。それは乗客がドライバーを選べる事である。そのため、ドライバーはリピーターのお客を得る事も可能になる。このリピーターの乗客によりドライバーは安定したキャッシュフローを得ることができ、スケジュールも管理しやすくなる。また、Uzurvで働きながらUberやLyftなどのドライバーとして働くこともでき、更なる福収入源になる。

同社についての紹介記事はこちら

まとめ

ライドシェアの市場が成熟化する中、ドライバー収入減少の問題は悪化することが見込まれている。このような状況に直面するライドシェア会社もドライバー収入を増やす方法を検討せざる得ない(Cargoは既に2018年にUberと提携している)。この問題を解決しようとするアーリーステージのスタートアップは今後も増えると考えられるので、引き続き注目すべきだろう。

Uberが車内コンビニサービス提携強化へーー自動運転社会のAmazonを目指す、次の一手は乗客の購買データ獲得か

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ピックアップ: Uber now gives passengers ride credits for buying stuff through Cargo’s in-car commerce platform ニュースサマリ:7月17日、配車コマーススタートアップ「Cargo」がモバイルマーケットアプリ「Cargo Store」の公式立ち上げを発表。Cargoは配車サービス中に飲食料品や家電、美容…

ピックアップ: Uber now gives passengers ride credits for buying stuff through Cargo’s in-car commerce platform

ニュースサマリ:7月17日、配車コマーススタートアップ「Cargo」がモバイルマーケットアプリ「Cargo Store」の公式立ち上げを発表。Cargoは配車サービス中に飲食料品や家電、美容品を購入できるプラットフォーム。2016年ニューヨークで創業し、累計調達額は2,940万ドル。

ドライバーは無料で専用ボックスと一緒に商品を取り寄せて乗客に販売する。商品購入が発生した時点でコミッションを収益として確保できる。これまでは簡単な飲食料品のみを提供していたが、同日から商材カテゴリーを増やす。加えてUberのサービス利用に使えるポイントバックキャンペーンを展開する。

Cargo Storeは配車サービス中にのみ利用できる。購入したい商品がある場合、備え付けのCargo BoxにQRコードを読み込ませ、PayPalやGoogle Payなどで支払いを済ませる。家電などの大型もしくは高級商品は後日乗客の住所へ配達される仕組み。

毎日数種類ほど高ポイントバック商品が売りに出される。たとえばAmazon EchoやNintendo Switchが挙げられる。配車中にのみ利用できるバーゲン体験を提供し、高いポイント還元でUberの利用率を高める考えだ。

また、高価格帯商品の販売にまで手を伸ばしたことでドラバイバー収益率がさらに高まる。昨今、UberやLyftの低賃金が大きな問題となっているが、Cargoはこうした問題解決を目指す。

Cargoは昨年Uberと公式パートナー契約を結んでおり、現在はUber特化型のサービスとして成長している。

話題のポイント: 今回のUberの動きの先に見えるのは自動運転社会です。なかでも自動運転車が普及したモビリティ社会における小売市場の覇権を握ろうとしている考えが伺えます。

同社会で利用される配車サービスにドライバーは同乗しません。その代わり、各自動車には顧客のパーソナルデータに沿って最適化されたサービスや商品が搭載されています。

配車サービスが小売店舗の役割を代替し、「店舗が顧客の元へやってくる」時代が到来するのです。たとえば空港へ向かう配車予約が入った場合、旅行グッズを載せた自動車が手配される具合です。(トヨタ自動車が非常に理解しやすいコンセプト動画を発表しているのでこちらからご覧ください)

顧客の購買意欲をそそるため、各乗客に最適化させた商品やサービスを載せた配車サービスが主流となる未来が到来するでしょう。本記事ではこの考えを「パーソナライズ配車」と呼びます。まさにCargoの車内コンビニはこの点を満足させる最初の一手となると考えます。

パーソナライズ配車を実現するためには2つの条件を満たす必要があります。自動運転の技術の確立と乗客のパーソナライズ購買データ構築のシステム導入です。

すでに前者の技術確立には多額の投資をしているUber。今回紹介したニュースは後者に当たる乗客データ獲得と商品最適化をさせるための長期戦略の一貫と見て良いと考えます。

現在Cargoは今回の商材カテゴリー拡大により乗客の購買データ収集接点を拡大。しばらくはUberのポイント還元をインセンティブに高価格品や大型商品を販売し、送客増加やドライバーの収益増加ツールとして利用されるでしょう。

しかし十分な活用価値が検証された際は本格的にUberとCargoの顧客データ連携が始まると予想されます。Uberが保有する乗車データとCargoの販売データ連携が実現すると感じます。

乗客/顧客データ連携が達成されれば「どの顧客が、どの配車ルート・時間に、どの商品を購入したか」を知ることができます。こうした乗客の購買趣向を知ることはパーソナライズ配車には必要不可欠な要素。

従来の小売企業が保有するデータとは違い、配車体験中の購買データは非常にユニークなもので他者には獲得できないものでしょう。Amazonですら手にできない特殊データと言えます。

先述したパーソナライズ配車の骨組みとなるのはデータです。繰り返しになりますが各乗客に最適化したサービスや商品を手配するには購買データ獲得が最低条件になります。そのため、乗車体験と小売販売データが紐づかせることで初めて次世代モビリティ社会の小売市場への布石が打たれるのです。

いづれせによ、自動運転車が走り回る世界における小売体験はAmazonも未だ戦略上参入できていない領域。Uberが次世代の小売体験を提供できる点には大きな可能性があります。UberとCargoの関係強化の流れは5-10年後の自動運転社会の購買体験を広げるための一手と考えて良いでしょう。

Uberが車内コマーススタートアップのCardoと提携、車内販売でドライバーに副収入を提供

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Uber は、ドライバーが乗客に対して商品を販売できるようにすることで、ドライバーがさらに現金を稼げるようにする計画があることを発表した。この新しい試みは、同社が車内コマーススタートアップのCargoとの提携を公式に発表した際に同時に明らかになったものだ。 Cargoは、USBケーブルやチョコレートバーなどといった菓子類や電化製品、化粧品などの商品を乗車中に提供できるように、多数の企業と提携してい…

上:Uber and Cargo

Uber は、ドライバーが乗客に対して商品を販売できるようにすることで、ドライバーがさらに現金を稼げるようにする計画があることを発表した。この新しい試みは、同社が車内コマーススタートアップのCargoとの提携を公式に発表した際に同時に明らかになったものだ。

Cargoは、USBケーブルやチョコレートバーなどといった菓子類や電化製品、化粧品などの商品を乗車中に提供できるように、多数の企業と提携している。

これまで、Cargoは配車業界においてドライバーに対する非公式のサプライヤーとしてサービスを提供してきた。後部座席の乗客に対して商品を見せる透明のケースを提供した。乗客はPayPal、Apple Pay、Android Pay、クレジットカードなどでCargoのモバイルサイト上で決済を行える。

上: Cargo

UberがCargoとの提携をすることで、Uberのドライバーは「Uber Greenlight Hubs」と呼ばれる新しいサポートセンターで商品ボックスをピックアップできるようになる。

2016年に創業したCargoは、昨年ニューヨークとボストンで当初ローンチしたが、その後シカゴやミネアポリス、ワシントンDC、アトランタといった都市に展開を進めていった。これからロサンゼルスとサンフランシスコでもサービスを展開する予定だが、この二つの都市でUberが正式にハブを通じてCargoをサポートする予定だ。また、顧客の需要に応じてこの取り組みが拡大するかが決まる。

Cargoは、創業以来900万ドルを調達した。そのうち550万ドルは、CRCM Ventures、KelloggのVCファンドであるEighteen94 Capital、Techstars Venturesなどからシードファンディングで調達したものだ。

今年1月のVentureBeatからのインタビューで、Cargoはドライバーはコミッションや紹介、ボーナスなどを通じて毎月さらに500ドルを稼ぐことができると話していたが、実際にはドライバーの平均的な追加の収入は130ドル程度だったようだ。

(本記事は抄訳になります。)
【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

ライドシェア時代の車内コンビニーードライバーが乗客に販売できる食料品を提供「Cargo」というアイデア

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筆者がアメリカで配車サービス「Uber」を使った際、3ドル程度で売られている500mlのミネラルウォーターを乗客に無料で配布するドライバーに出会ったことが何度かあります。10〜20回に一度しか出会えないので、私はそのような気前の良いドライバーを「アタリ」と呼んでいました。 彼らは単に慈善心からミネラルウォータを無料提供しているのではありません。乗客からの評価レートをなるべく高くしたいモチベーション…

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Image by  Martin Lewison

筆者がアメリカで配車サービス「Uber」を使った際、3ドル程度で売られている500mlのミネラルウォーターを乗客に無料で配布するドライバーに出会ったことが何度かあります。10〜20回に一度しか出会えないので、私はそのような気前の良いドライバーを「アタリ」と呼んでいました。

彼らは単に慈善心からミネラルウォータを無料提供しているのではありません。乗客からの評価レートをなるべく高くしたいモチベーションが働いているため、飲食品を提供しているのです。私たち乗客もドライバーの意向は汲み取っているので、もちろん毎回レートは最高評価を付けていました。

このような体験から、当時から筆者は車内における飲食物の有料販売にビジネスチャンスを感じていました。そこで登場したのがライドシェアリングサービスの乗客向けにお菓子や飲料品を有料販売するマーケットプレイス「 Cargo(カーゴ) 」です。

ライドシェアリングに小売コンセプトを持ち込んだ「Cargo」

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「Cargo」は2016年にニューヨークで創業したライドシェアリング向け小売プラットフォームを展開しているスタートアップです。著名アクセレータ「 Techstars Mobility(テックスターズ・モビリティー) 」の2016年バッチを卒業しており、すでに870万ドルの資金調達に成功しています。ここからは「Techstars Mobility」の デモデイ動画 で紹介された数値データを元に、簡単にサービス内容をご説明します。

同社の開示データによれば、「Uber」や「Lyft(リフト)」の運賃は平均35%下がり、運賃が下がったことで61%のドライバーが複数のシェアリングサービスを利用せざるを得ない状況とのこと。たとえば、配車サービス「Uber」と「Lyft」を掛け持ちして、隙間時間を最大限活用して朝から夜までお金を稼ぐ具合です。

「Cargo」はB2C2Cのビジネスモデルを採用しています。ターゲットはこれまで自前で乗客にスナックや飲料水を手配し、無料で提供していたドライバーです。このようなドライバーは評価レートを上げるモチベーションを持っていると同時に、コストをかけずに効率的に稼ぎたい需要を持っています。

そこで「Cargo」はドライバーに対して毎月無料で飲食品セットを提供。購入は乗客がCargoのモバイルサイトにアクセスして決済します。ドライバーはそれらを販売した売上額の30%をコミッション料としてもらい、「Cargo」は残りの70%の売上で収益化をします。

ドライバーは平均して月間300ドルのコミッションを手にすることができ、年間3,000〜6,000ドルの稼ぎにつながっています。これは1時間当たりの配車サービスで稼ぐ賃金が、10%ほど増加する計算になるとのことです。ドライバーはセットを無料で取り寄せることができ、仕入れコストは発生しません。

乗客の購買データを活用しながら毎月のセット内容を考えているため、各地域の乗客に最適化した形で飲食品の販売提案ができます。乗客はその時の気分に合った飲食品を購入でき、車内サービス満足度の向上につながる仕組みです。

値段も卸売メーカー直送のため、多少値段を安めに抑えられているそう。小売メーカーにとっては、新たな消費者データチャネル獲得に繋がりますし、配車サービス運営側はドライバーに対してより効率的な収入源を提案できるようになります。ちなみに提携配車サービスには「 Via(ビア) 」「Lyft」「Ford」の名前が挙げられています。

このように、ドライバー、乗客、小売、配車サービス企業の4者にとってWin-Winのサービス価値を提供しているのが「Cargo」なのです。

パーソナライズ体験の重要性

Cargo_003

ライドシェアリングのサービス体験設計を考える際に重要となるのは、「時間短縮」と「パーソナライズ体験」です。

「時間短縮」の概念はビックデータを活用した配車時間の短縮につながります。膨大な乗車データの分析から配車需要の増大を事前予測して、オーダーからなるべく短い時間で配車を完了させる仕組みを構築。こうして従来タクシーを路上でひたすら待つ無駄な時間を、アプリを通じて最適化したのです。ここまでは大手配車サービスの提供価値として、すでにモデルが確立しています。

そして、私たちがこれから向き合わなければならないのは「パーソナライズ体験」のコンセプトでしょう。顧客の行動・趣向データを集め、個々の利用者に合わせた最適なサービスを提供する点に本質的価値があります。

「Cargo」の例を挙げれば、どのようなデモグラフィックの乗客が、どのような飲食品を買い、どのような時間帯にどこまでの配車を行ったのか、配車データとそれに付随するマーケティングデータを細かく収集することが可能となります。「Uber」などの配車サービス企業は、同データを活用することで単に配車地点に近いドライバーをマッチングさせるのではなく、各乗客に合った車内購買体験を提供できるドライバーを手配することができるでしょう。つまり、車内体験を重視した新しい配車モデルを確立できる可能性があるわけです。

別業界の事例を挙げると、映画チケットを定額サブスクリプションモデルで購入出来る「 MoviePass(ムービーパス) 」が好例です。同社はユーザーに無断で 映画鑑賞後のロケーションデータを収集している ことが発覚し、ユーザーから不満が寄せられていましたが(現在はロケーションデータの提供をユーザー側から止めることが出来る)、このような映画鑑賞に関する周辺データの収集も、各顧客の映画体験を充実化させる「パーソナライズ体験」の考えのもとで動いています。

ちなみに顧客体験の向上に、パーソナライズデータを活用する事例が広まれば、日本ではおなじみのポイントカード事業が根本から切り崩される危険性もあるかもしれません。

「Tカード」や「楽天カード」に代表されるポイントカード事業は、顧客の消費行動に関わるビックデータを収集・解析を行い、各提携店舗にマーケティングデータとしてフィードバックするモデルを構築しています。これは提携店舗を幅広く持っているからこそ成し得るモデルです。

しかし、「Cargo」や「MoviePass」のように、従来のポイントカード事業者とは違った切り口で顧客データの収集を始めた場合、より深いインサイトを含んだ顧客分析が可能となります。一方でポイントカード事業者は店舗単位でデータフィードバックをすることを前提としているため、パーソナライズ体験の向上にまで手は回りません。

こうした「パーソナライズ体験」を軸にデータを集め始めたサービスが、徐々に従来のポイントカードやマーケティングデータ事業者のビジネスモデルを切り崩す可能性も秘めているのです。

日本でも TOYOTAがAIを使った配車サービスのサポート を行ったり、 中国の配車サービス「滴滴出行」が「第一交通」と提携して配車事業の展開を始めます 。日本企業が配車サービスを、単なる「時間短縮」の利便性が高いサービスとして捉えるだけでなく、「パーソナライズ体験」を行える新たなデータポイントとして考えを切り替える必要があるでしょう。

「Cargo」のサービスから考えられる本質的な価値は、車内で飲食品を購入できるだけではなく、乗客の趣向に合ったライドシェアリング体験を提供できる点にあると考えられます。