去年ごろから、Auroma Brewing Company から Smarter Coffee に至るまで、IoT 化したコーヒーマシーンをよく見かけるようになった。そして今年、CES 2017において、家庭用自動ビール醸造マシーンを販売する企業 iGulu(愛咕嚕)が Smart Home 製品部門で CES 2017 Innovation Award を受賞した。 上海を拠点とするこのスタート…
Image Credit: iGULU
去年ごろから、Auroma Brewing Company から Smarter Coffee に至るまで、IoT 化したコーヒーマシーンをよく見かけるようになった。そして今年、CES 2017において、家庭用自動ビール醸造マシーンを販売する企業 iGulu(愛咕嚕)が Smart Home 製品部門で CES 2017 Innovation Award を受賞した。
テック業界のリーダーたちが壇上にのぼるコンシューマ・エレクトロニクス・ショー(CES)では、多くを学ぶことができる。筆者はラスベガスの巨大な CES 会場の現場を直接取材することで、より多くの知見が今でも得られると感じている。本記事では、筆者が会場で得た知見を並べ、テクノロジーの将来を占うのに最適な手がかりとして、2017年 CES におけるトレンドを読み解いてみたい。 16万5,000人の参加者…
左から:全米民生技術協会会長の Gary Shapiro 氏、Nvidia CEO Jen-Hsun Huang 氏。CES 2017 のオープニングの基調講演で。 Image Credit: Dean Takahashi
テック業界のリーダーたちが壇上にのぼるコンシューマ・エレクトロニクス・ショー(CES)では、多くを学ぶことができる。筆者はラスベガスの巨大な CES 会場の現場を直接取材することで、より多くの知見が今でも得られると感じている。本記事では、筆者が会場で得た知見を並べ、テクノロジーの将来を占うのに最適な手がかりとして、2017年 CES におけるトレンドを読み解いてみたい。
Nvidia が人工知能カーでアウディと提携 Image credit: Dean Takahashi
アクセンチュアのマネージングディレクター John Curran 氏は、AI が今回のショーの主役となりうると予想していた。彼は正しかった。数百社がAIとクラウドを用いてより正確な音声認識を実現する2大技術、Amazon Alexa や Google Assistant の組み込みを発表し、より自然なマンマシンインターフェースの実現を目指していた。
1995年には、音声認識の誤認識率は100%、つまり正解率はゼロだったが、2013年までに誤認識が23%に改善した。そして2017年の今、人間とコンピュータの音声認識の実力は同等に達したと、全米民生技術協会(Consumer Technology Association)のアナリスト Shawn Dubravac 氏は CES の講演で述べていた。
Nvidia CEO の Jen-Hsun Huang 氏は、数十年にわたる失敗ののち、画像処理プロセッサ(GPU)を用いた AI と音声認識に優位があるとした。プログラマブル GPU が(1999年に)登場するまでは、中央演算ユニット(CPU)がスポーツカーのようなもので、多数の命令を処理することに長けていたと彼は述べている。
しかし CPU は AI の問題を処理することには向いていなかった。GPU の普及とともに、Nvidia はグラフィックスに必要なタスクを処理するため、GPU をプログラマブルな設計にした。GPU は今やトラックのようなもので、膨大な量のデータを一度に処理することができる。マシンラーニングソフトウェアの技術者はこれに着目し、ニューラルネットワークが学習するのに必要な大量のデータを処理するのに GPU を利用した。この「トラック」は、ニューラルネットワークが音声認識のようなタスクを処理する性能を改善することに大いに貢献した。
Huang 氏は小規模のプレス会見において、同社が1,500を超える AI のスタートアップと協業していると述べた。これらのスタートアップは、パワフルな GPU 技術とマシンラーニングソフトウェアを活用し、多くの種類のパターン認識タスクを多彩なアプリケーションで実行してニューラルネットワークをトレーニングすることができるので、成功の可能性が高い。問題一つごとに AI は改良を重ねていき、Nvidia のスマートShield TV セットトップボックスから自動運転車に進化していく。
音声コントロールは新しいインターフェースの決め手
Synpatics の CEO Rock Bergman 氏 Image credit: Dean Takahashi
音声コントロールの成功こそが、人間と機械のやりとりを改善する唯一の手段である。タッチスクリーンセンサーメーカー Synaptics の CEO であるRick Bergman 氏は、同社のより遠大な使命が、マンマシンインターフェースのビジョナリーとなることだと考えている。そして、安価で実用的なソリューションを求めるコンスーマの課題を解決すべく、各社が最適な技術を探求するにつれて大きな進歩が達成されると彼は予見している。
AIはだれにでも使えるツールであり、それが CES に非テック企業が参加していた一つの理由である。自動車会社が最初の参加者だった。家電メーカーは勢い込んでIoT製品を披露している。そして今回、世界最大のクルーズ船企業 Carnival のCEO、Arnold Donald 氏がキーノートスピーチを行った。
Donald 氏はウェアラブルデバイス「Ocean Medallion」を CES で披露し、客室ドアの解錠、船上での買い物の支払い、子供の見守りといったあらゆることに使えるプラットフォームだとした。Doland 氏はテック企業出身ではないが、CES での彼の存在感は、テクノロジーがあらゆるビジネスに浸透しているかを示していた。テック企業が基礎を築き上げれば、あとはそれが主流となり、何十億人もの消費者の生活を変えるために用いられるかどうかは非テック企業にかかっている、と CTA の CEO であるGary Shapiro 氏は VentureBeat のインタビューで語っている。
(任意の形容詞をつけられる)IoT
「Samsung Family Hub 2.0」は、どこにでも置けるスマートな冷蔵庫 Image Credit: Dean Takahashi
IoT はもはや避けがたいトレンドで、企業はプロセッサ、センサー、コネクティビティ技術を活用し、日用品をよりスマートに使いやすくしていくしかないと、筆者は考えるようになった。しかし、すべてのものが使いやすくなるというわけではない。Samsung や LG が新型の洗濯乾燥機を紹介したのをみて、これらのコネクテッド家電が、洗濯が終わった時や洗剤を追加すべき時に知らせてくれるという機能をとても気に入った。
そして、AMD の電力効率に優れた新たな Zen アーキテクチャに基づいた Ryzen プロセッサは、第1四半期にローンチされるとした。Intel は Kaby Lake プロセッサをCESで公開したが、これは昨年の Silver Lake プロセッサに対して若干速いだけである。Intel の CEO の Brian Krzanich 氏は、プレスイベントで新アーキテクチャについて何も触れなかった。そして彼は、Intel が10nm製造プロセスを2017年末までに導入すると述べている。これは遅い。Qualcomm は CES において、同社と契約する製造パートナー(Samsungとみられる)がすでに10nmプロセスの Snapdragon 835 プロセッサの製造を始めていると述べている。
CES 2017 に参加していた、Naughty America の Ian Paul 氏 Image Credit: Dean Takahashi
Naughty America は、CES 出展を許された唯一のポルノ企業だった。以前 CES に多数のポルノ企業が出展して注目を奪い、多くの人を不快にさせたことについて非常に敏感になっているため、同社の展示には多くの制約が課せられた。同社は、仕事中に見られないような VR ビデオをデモしていたミーティングルームをアピールすることは許されなかったと、CIO の Ian Paul 氏が述べた。しかし、同社の CES への参加は、テクノロジーとポルノがお互いの需要を高め合うということを再認識させてくれた。
Paul 氏は、100タイトル以上をリリースしたことで、Naughty America が VR ポルノを適切に撮影する方法を学ぶことができたと述べている。また、同社がユーザについても多くを学んだとしている。VR ポルノが最も人気の州は、カリフォルニア、ニューヨーク、ミズーリ、ユタ州である。
ゲーマーとは常にイカれているものだ
壁にゲームを投影できる Razer の「Project Ariana」 Image Credit: Dean Takahashi
アクティビティ・トラッカーや WiFi スケールなど、多岐にわたるスポーツ・トレーニング・コンピュータで知られる Polar は、健康トラッキング機能を内臓した新しいコネクティッド・スポーツシャツを発表。Polar Team Pro Shirt は、同社が既に提供している、Polar Team Pro の胸部に着用するストラップを含む、アスリート向け心拍数モニタリングハードウェア上に作られており、費やした体力や体力回復の速度など、アスリートのパフォーマンスをコーチにリアルタイムデータとして届ける。
筆者はラスベガスで開催される、大規模テックトレードショー CES 2017 に参加するつもりだ。これまで何度参加したか忘れてしまったが、次に何が来るかを理解する上で、このイベントに参加することは今でも重要だと感じている。VentureBeat からは、Ken Yeung と John Brandon と共に参加し、その記事は早ければ今日にも掲載されるだろう。筆者は、CES 2017 の期間中に披露されるであろう内容をすでに多く読んでいるので、このプレビューでいくつかその洞察を披露することにした。
このテックトレードショーは全米最大で、昨年は240万平方フィート以上(編注:22.3万平方メートル=東京ドーム約5個分)の会場に3,000社以上が出展、それを見に17.7万人以上が来場した。毎年 CES を開催している Consumer Technology Association(コンシューマ技術協会)は今年、出展社3,800社、一般参加16.5万人、メディアからは6,500人が来場すると予測している。今年の会場面積は、これまでで最大の250万平方フィート(編注:23.3万平方メートル)となる見込みだ。
大企業は言いたがらないだろうが、筆者は大きなトレンドの一つが、Internet of Stupid Things(インターネットにつながる、くだらないもの)になるだろうと考えている。
サムスンの IoT は昨年、200のネット接続されたオブジェクトを出展した。 Image Credit: Dean Takahashi
ご存知のように、IoT は毎日使うオブジェクトをスマートでネット接続された状態にしたものだが、この数年で盛り上がってきている。スマートドローン、スマートロボット、スマートバスケットボール、スマートペットエサやり機、犬用のスマート首輪、スマートウォッチ、スマート煙警報機、スマートホームセキュリティカメラ、スマート冷蔵庫など、Internet of Obvious Things(インターネットにつながりそうな明らかなもの)はすでにある。我々はさらに多くのネット接続されたものを見出すことになるだろう。
Internet of Stupid Things については冗談だが、しかし、今や、我々はすべてのものがセンサーを備えようとする時代へ向かっている。そのビッグデータは絶大なる価値を生み出し、同時にプライバシーには絶大な驚異となり得る。しかし、IoT のほんの少しの部分にのみ対策を施そうとし、それに資金を投入しようとする企業はあまりに多い。全体的に統合されたシステムが価値を持ち、部分々々の単体技術での販売は困難になっている。
Stupid Things は、最終的には人工知能を通じて本当にスマートなものに取って代わるだろう。アクセンチュアで、通信・メディア・テック分野のマネージングディレクターを務める John Curran 氏はインタビューの中で、テクノロジーの中のスマートな部分は、最終的に現実のものになるだろうと述べていた。音声認識や画像認識を伴い人工知能による機能改善をふまえ、企業はこれまでのプロダクトに、本当に使いものになる人工知能を追加して再投入できるようになっている。
AImotive のソフトウェアは、運転が安全なグリーンのエリアと、車の部分(オレンジ)を認識できる。歩行者は赤で表示される。 Image Credit: Dean Takahashi
基調講演では、AI 分野への集中が見られるだろう。Nvidia の CEO である Jen-Hsun Huang 氏が CES 2017 で最初の基調講演を務め、彼は同社がグラフィックチップメーカーから人工知能の会社にどうやって転換を図ったかを話すことになるだろう。自動運転車、Amazon Echo や Alexa のようなホーム制御システム、エクササイズを勧める健康フィットネスデバイスなど、かつて使い物にならなかったスマートデバイスにも徐々に進化が見られるだろう。Curran 氏は、スマート企業が新しいデバイスを使ってサービスを提供するようになるだろうと予測している。
フロアスペースには、多くのドローン、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、ロボット、スマートカー、健康やウェルネス、ウエアラブル、3D プリンティングが見られるだろう。大手チップメーカーからの新しいプロセッサの紹介とあわせ、スマートフォンもいくつかお目見えするだろう。しかし、スマートフォンの紹介の多くは、春にバルセロナで開催される Mobile World Congress で行われることが多い。
Samsung の2016年の記者会見 Image Credit: Dean Takahashi
Apple は CES に参加しない。しかし、その最大のライバルであるサムスン電子は、水曜日の午後2時に記者会見を開く予定だ。サムスンは、エレクトロニクスの主要なカテゴリすべてで活躍しており、ハイビジョンテレビの4倍の画素数を持つ、廉価版 4K テレビの普及に向けた、大きな発表を期待できるだろう。筆者は、値は張るが多くの 8K テレビと、それらが家の中のデバイスすべてとつながる方法が見られるのを期待している。サムスンは、存在するほぼすべての技術カテゴリでプロダクトに言及することになるだろう。
CES 2017 は、1月5日から8日までラスベガスで開催される。プレス向けの特別イベントの披露は、1月3日と4日に予定されている。
CES には参加しない企業もいる。2016年に大きなプロダクトをローンチした Facebook Oculus は参加しないし、ドローンメーカーの Parrot は今回、ビジネスミーティングだけを行うとしている。
CES 2015で紹介された、パナソニックのインタラクティブミラー Image Credit: Dean Takahashi
今月はじめ(原文掲載日:12月29日)、New York Times は、来週開催される世界最大の家電トレードショーに参加するため、ラスベガスを襲撃する18万人超の人々に対して、悪いニュースを放った。 ガジェットは死んだ。 このニュースは、1月5日にスタートする Consumer Electronics Show 2017(CES 2017)で、おそらく合計で2万件に及ぶ新しいガジェットをローンチ…
CC BY-ND 2.0: via Flickr by Jon Fingas
今月はじめ(原文掲載日:12月29日)、New York Times は、来週開催される世界最大の家電トレードショーに参加するため、ラスベガスを襲撃する18万人超の人々に対して、悪いニュースを放った。
毎年 CES 前日には、Dubravac 氏と彼のチームは、世界の家電市場の統計分析の詰まった綿密な報告書を公開している。詳細なデータを見るまでには、あと数日待つ必要があるが、そのリリースを待たずに、我々は New York Times の分析には欠陥があること、また、ガジェット市場が進化を続けているについて話してみたい。