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100億円の”経営者育成方針”が生んだ「グループ企業30社」ーー企業売却:EXITのリアル/クルーズ取締役CFO・稲垣佑介氏

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スタートアップの買収「後」について書くのは大変難しい。 かく言う私も昨年に事業売却の現場を経験し、そこでの情報の取り扱いの難しさを経験した。NDA(秘密保持契約)の厳守はもちろんだが、それ以上に信頼が崩れてその後の関係づくりに影響しては困る。さらに言えば、売買が成立してからも事業は続く。 結果としてここでのノウハウや結果は特定の個人投資家グループなどでしか伝わらず、また他社がどうであったかという比…

クルーズ取締役、最高財務責任者CFOの稲垣佑介氏

スタートアップの買収「後」について書くのは大変難しい。

かく言う私も昨年に事業売却の現場を経験し、そこでの情報の取り扱いの難しさを経験した。NDA(秘密保持契約)の厳守はもちろんだが、それ以上に信頼が崩れてその後の関係づくりに影響しては困る。さらに言えば、売買が成立してからも事業は続く。

結果としてここでのノウハウや結果は特定の個人投資家グループなどでしか伝わらず、また他社がどうであったかという比較も難しくなる。

今年1月、DMM.com 最高執行責任者COO、村中悠介氏にインタビューをする機会があった。この時もテーマは企業買収で、彼らは新しい「血」を求め、普段あまり出すことのない買収後のことについてオープンに語ってくれることになった。その後、何社か同様に内幕を語ってよいという話も私の元に届いた。

情報をオープンにしなければ、よい情報はやってこない。買収する側も理解しているのだ。

ということで、本連載では企業買収、特にスタートアップを対象とした買収に積極的な企業を取り上げる。公開できる範囲で、買収の方針やPMI(経営統合)の方法、買収後の連携などを伝える。

DMMに続き、連載形式としての初回はクルーズに登場いただく。インタビューを受けてくれたのは同社取締役で、最高財務責任者CFOを務める稲垣佑介氏。なお、クルーズについては昨年、グループ経営体制移行に伴う100億円規模の買収・起業家育成予算を公表している(太字の質問は全て筆者。回答は稲垣氏)。

参考記事:クルーズが経営者育成に100億円準備ーー小渕氏に聞く、グループ経営移行と「起業エコシステムのつくり方」

クルーズの買収実績と方針:2018年5月に持株会社化を公表。そこから1年で30社のグループ企業が加わる。手法としてM&A(買収)や、起業家が体一つで新規に立ち上げる新設もある。クルーズのグループ経営は「投資家」としてのプラットフォーム的な持株会社と、各社が各々の目標を持って自走する「起業家集団」に分かれる。そのため親会社とのシナジーよりも、起業家がグループの「ヒトモノカネ」を活用して伸び伸びと事業を成長させることに重点を置く

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昨年に100億円規模の起業家育成・買収方針を出してから30社が立ち上がった。100億円規模の事業を100社作れば1兆円規模のインパクトになるというわかりやすい方針だ。立ち上がった企業に傾向などはあるか

稲垣:方針でもお伝えした通り、シナジーよりもグループの資産を活用して気持ちよく事業を成長させてもらうという方針なので、30社のグループ企業の業種は様々ですね。

新規の買収先はどのようにして探しているのか。具体的な件数などの規模も可能であれば

稲垣:特に変わった方法があるわけではありません。人づての紹介もありますし、こちらからドアノックの場合もあります。また、こういう情報を元に、企業様の側から直接ご連絡をいただくこともあります。具体的な数字は言えませんが、それなりの件数が集まってきているという実感はあります。

どちらかというとブランドやベンチャーキャピタルのポートフォリオ戦略に近い。企業買収に関して重要視している点は

稲垣:一つ目には言わずもがなですが、当社が投資した金額を回収可能なプランを双方で組み立てられるか?です。M&Aの投資回収もある意味事業ですから当たり前なんですけど、それ以上に検討プロセスを通じてお互いの理解や目線が揃うことの方が大切ですね。

なるほど。確かに数字の考え方を揃えないと同床異夢になる。他には

稲垣:それを成す経営メンバーがいるかどうかです。スタートアップのM&Aで事業計画をどれだけ推敲しても、これをやり切る起業家が居なければ全くの絵にかいた餅です。さらに当社グループの「ヒトモノカネ」を使えばより伸びそうか?という点ですね。あえてシナジーという表現では言いませんが、要は合わさって今より良くなる確信が持てるかどうかです。

ーーここで少しだけ解説しておきたい。彼らは昨年の買収方針発表の際に「株式保有インセンティブ」も公表している。これは買収後も創業者や経営陣が一定量の株式を保有してそのまま経営にあたるもので、一般的なアーンアウト条項に近い考え方だ。目標となる事業規模に成長させることができればインセンティブが提供される仕組みになっており、公表当時の例として、売上100億円規模の事業で二桁億ほどのリターンが期待できる、としていた。

話を戻そう。投資ファンドに近いスキームでそれぞれの事業成長を促す買収方針だが、事業シナジーを重視しない分、買収後のそれぞれの企業運営が気になる。

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買収後の経営統合(PMI)について聞きたい。特に収益フェーズに入る前の予算など事業計画の考え方はどのようにしているのか

稲垣:まず予算管理の方面ですが、当社ではガチガチの事業予算での達成未達というのはやっていません。大まかに「ここまで出来たら最高」といった超ハードルの高い大目標、例えば3年で100億にしたいとかですね。それだけを当社と対象会社の間で握るのみです。

逆に結果重視

稲垣:細かな手段には言及しない、ということですね。現実的予算を作成すると「現実が予算に合わせに」いってしまいます。なのでそういうのはやっていません。とはいえ的な部分で、実際には細かくは色んな仕組みを持ってはいますが、メインの考え方ではないです。

30社もあれば相互での協業や、場合によってはバッティングなども可能性がある。そういう場合の交通整理は

稲垣:各社間の連携について、基本、当社グループは完全自由競争を原則としています。持株会社側が過度に干渉することは避けて自然の摂理を重視していますね。もちろん押した方がいい時は、会社としても言ってますがいずれにしても原則は前述の通りです。

親会社としての連携は。カルチャーフィットなどに時間をかける場合もある

稲垣:M&A前と後ではオフィスも統合しませんし、その他インフラも殆ど手を付けません。上場会社としての最低限の連結・連携等はありますが、起業家の方が窮屈に感じたり不安に思うことは少ないという実感を持っています。

なるほど、買収スキーム自体が投資ファンド的なポジションになっているので、逆にカルチャーはそのままでいいと。人材についてはどうか。スタートアップ側は特に優秀な人材、開発リソースなどを求める可能性が高い。逆に親会社の経営幹部として登用する例もある

稲垣:これも原則としては買収前と後で経営体制は変えません。もちろん便宜上当社役員が入ることはあります。参考までに、クルーズの取締役陣の平均社歴は15年(創業18年中)と非常に長く、この1年で一気にできた約30社においても起業家は1人も辞めていません。

(本体への登用については)私自身、数年前にクルーズにM&Aと共に参加した経営者の一人です。私自身がまさにそうですが、M&A後に起業家が本当に「楽しめている」会社は稀有だと思います。イグジット(売却)は起業家本人にとっては新たなスタートに過ぎません。最も重要なのはM&A後です。当社におけるグループ経営は良くある「子会社化」とは違い、様々な事実情報をもとに起業家にとって最善と思えるインフラという目線で考えています。

ありがとうございました。

ーー次回もここ1、2年で買収・投資に力を入れている企業インタビューを予定している。また、この連載に情報を提供してくれる企業も募集したい。筆者のTwitterfacebookのメッセージなどで連絡してきてくれれば幸いだ。また情報開示も含めて(※)、稲垣氏も登壇する企業買収に関するイベントを4月25日に開催する。こちらは筆者も企画・運営側としても参加しているので、ご興味ある方は参加いただければ。

※4月15日・補足追記:この情報開示という文言がクルーズ社の情報開示と誤解された方がいらっしゃったそうなので補足しておきます。これは筆者がこのイベント企画に参加していることをお伝えするもので、イベント当日に何かクルーズ社から発表があることを示すものではありません。

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クルーズが経営者育成に100億円準備ーー小渕氏に聞く、グループ経営移行と「起業エコシステムのつくり方」

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クルーズという名を聞いて何を思い浮かべるだろう? 2001年というネットバブル期に生まれたウェブドゥジャパンという小さな企業は人材や広告、コンテンツと様々な事業を手がけ、いつしかモバイル検索「CROOZ」としてチャンスを掴んだ。 株式公開後、2010年代に入るとスマートフォンシフトの荒波にも飲み込まれることなく、ソーシャルゲームのヒットで成長を続け、2016年末にはそれまで温めてきたファッションE…

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クルーズ創業者で代表取締役の小渕宏二氏

クルーズという名を聞いて何を思い浮かべるだろう?

2001年というネットバブル期に生まれたウェブドゥジャパンという小さな企業は人材や広告、コンテンツと様々な事業を手がけ、いつしかモバイル検索「CROOZ」としてチャンスを掴んだ。

株式公開後、2010年代に入るとスマートフォンシフトの荒波にも飲み込まれることなく、ソーシャルゲームのヒットで成長を続け、2016年末にはそれまで温めてきたファッションEC事業に経営資源を集中。主力の「SHOPLIST」を200億円を売り上げる事業に成長させた。

そして2018年5月10日、彼らは全ての事業を子会社化してグループ経営のスタイルに移行するという。担う経営者を育成するため、用意したのは経営ノウハウと現金100億円。

創業者の小渕宏二氏は作りたい企業群像を国に例えてこう表現する。

「アメリカですね。全てを支配するのは法であり、集まる経営者がそれぞれの州を統治する合衆国のようなものです」。

彼らのやり方はオーソドックスに見えて独特の味がある。本稿では小渕氏へのインタビューと合わせ、その詳細をお伝えしたい。

「CROOZ永久進化構想」というエコシステム

クルーズは5月10日、平成30年3月期の決算発表会にて純粋持株会社への移行を発表した。同社主力事業のSHOPLISTについては2018年7月1日を効力発生日とした会社分割を実施し、100%子会社のCROOZ SHOPLIST(以下、SHOPLIST)に事業承継することになる。SHOPLISTは2018年3月に設立されており、同社代表取締役は事業立ち上げを担当した張本貴雄氏が務める。

このようにクルーズでは事業を全て子会社化しておりその数は現時点で16社に拡大。SHOPLISTなどのコマース分野をはじめ、同社事業の牽引役でもあったゲーム開発を手がけるStudio Z、メディア領域のCandleや投資領域のCROOZ VENTURESなどが主要企業として並ぶ。

そしてこのグループ経営への移行と共に打ち出されたのが「CROOZ永久進化構想」だ。

グループ内に100億円クラスの時価総額、売上規模を持つ企業を100社集めることで1兆円の価値を社会に対して生み出そうというチャレンジで、この中核を担うエンジンが「株式保有インセンティブ」になる。

小渕氏はこれまでを振り返りつつ、競争が激化するネット市場で優秀な経営者を集めるには敢えて「直球」が必要と説明する。

「振り返ると2000年初頭の頃ってインターネットって何がすごいか分かんないけどとにかく『スゲー』みたいな感じで(起業家たちが)集まってきたんですよね。山っ気のある人たちがいっぱいいてて、ちょうど戦後の日本みたいな雰囲気と似てたかもしれません。何やっても商売になるっていうか。

だからこそ今は分かりやすくお金だと思っています。私たちはこの10年間の上場企業の歴史や創業者、役員がどれぐらいの株式を手にしたのか調べてみたんです。代表者でせいぜい40%ほど、取締役になると3%から4%といったところです」(小渕氏)。

野性味溢れるバブル期と異なり今の競争は激しい。さらに国内では成功者であっても手にするインセンティブは少ないのに、さらにパイの奪い合いが激しくなれば目指す人は減ってしまう。であれば、グループとしてノウハウや資金を共有することで成功確率を高めた方が理にかなっている、という考え方には納得がいく。

もう少し具体的に書くと、企業内起業やM&Aなどでグループ入りする企業や起業家は一定量の株式を保有してそのまま経営にあたる。その後、5〜6年たって売上100億ほどの事業に成長させれば二桁億ほどのインセンティブが提供される、という仕組みになるそうだ。

このフレームワークを試運転した結果、16社のグループ企業に30名の経営人材が集い、新規事業として15億円の取扱高が生まれているという。今回の構想の裏にはこういった「ルール」が細かく規定されているのも特徴のひとつになる。

ただやはり払拭しきれない疑念も残る。確かにわかりやすさは重要だが、果たしてカネだけで社会的な事業、意思のある経営者は集まるのだろうか?

ここを紐解くのはやはり小渕氏の人物とビジョンになる。彼には人を寄せ付ける不思議な魅力があるのだ。

一本の大木ではなく「森」をつくる

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「昔からクルーズって『何やってんの?』って言われることが多かったんです。ただ、やりたいこととやれることって違うじゃないですか。(何もないのに)創業してすぐ飛行機飛ばしたいって言っても飛ばせるわけがない。人がいっぱい集まって企業としての体を成してそっからだと思うんです。時代に合わせて事業をやってきた結果、人や資産が増えてきて、役員の勤続年数も平均13年とノウハウも溜まってきたんです。

さて、じゃあこれから何をしようかと考えた時、私が今までやってきた得意なことってなんだろう、と。やはりユーザーのニーズに合わせて『人を育ててきた』ことなんだなと。正直に言って、私自身は名誉や誇りもお金も手に入ったのでこれ以上(個人的な欲は)何もないんです。それを求めるよりも、ここに集まってくれた人たちに対してメリットも悩みも分かち合えば、結果的にクルーズは今よりも太るんじゃないかなって」(小渕氏)。

今回の取材で私が真っ先にイメージしたのがサイバーエージェントだった。インターネット領域でメディア、広告、ゲームと主力事業を多角化し、企業数はAbema TVをはじめ同社が主力と位置付けるものだけで50社のグループに拡大。2017年度の連結売上約3700億円、時価総額は今日時点で7000億円を超えている。

彼らは年齢も創業の時期も近い。ただやはりやり方は異なっていて、サイバーが藤田氏やAbema TVといった分かりやすい「大木」を作るのに対し、小渕氏は広大に広がる「森」を作りたいと語る。

小渕氏の話はそのまま、自身がイメージする企業群の作り方、社会へのインパクトに移る。彼のビジョンをもう少し掘り下げよう。

インターネットの時代を動かす100人が作る「国」と「法」

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SHOPLISTはクルーズ生え抜きの張本氏が立ち上げた

小さい市場で人と金の奪い合いをするのは無駄だし、グループで合従軍を作ってノウハウを共有した方がもっとスケールが大きくなる。インセンティブの設計も自身でスタートアップするリスクと天秤にかければメリットを感じる人もいるだろう。さらに言えばSHOPLISTにこだわらず、自由な企業群を広げればいい。

ここまではわかった。その上で私は改めて小渕氏にこの構想を国に例えて説明してほしいと尋ねてみた。ーー冒頭の回答はその時のものだ。彼はこうも話している。

「アメリカって州ごとに違いがあっても国境はないからパスポートはいらないですよね。全ての決まりごとは州知事が決めた上で合衆国があるわけです。一方で困った時はみんなでやる仕組み、つまり法律が必要になります。例えば私がその場の気分でこれはいいよ、と言っていてはダメで、ガイドラインに基づいて『これをしたら違反』というルールがいるんです」。

分かりやすいマーケットやシンボリックな事業がなければ、人や事業は集まりづらい。一方でそれがコケたら構想そのものに赤信号が灯ってしまう。なのでクルーズの経営陣は、敢えてこのルールづくりに徹したというのだ。小渕氏はこうも言ってる。

「(構想の成功可否は)私みたいなトップにいる人間がどこまでこだわりを捨てられるかにかかってるんじゃないでしょうか。自分が王様だっていう風にならないように、この年齢(※小渕氏は現在43歳)で後ろに退いて法の整備だけを粛々とやる。キングダムに出てくる法の番人、李斯みたいな存在です(笑」。

ウェブドゥ時代から17年、小渕氏ら経営陣が貯めてきた経営ノウハウと人的ネットワーク、100億円の現金、さらにインターネットビジネスのインフラ・知見の共有は起業家、経営者にとって魅力的だ。特に最近困難と言われる技術人材の確保もグループが支援すると説明があった。

今回の構想は掛け声だけでなく、小渕氏の言う「法(ルール)」が根底にある。実際、そのフレームワークで生み出されたグループ企業の実績は前述の通りだ。

インタビュー終わり、小渕氏は今回の構想をこう締めくくる。

「国って地球規模で見れば人類の発展のためにあるじゃないですか。(このエコシステムも)インターネット業界が発展することに繋がるんじゃないかなと」(小渕氏)。

国内スタートアップ・エコシステムにまたひとつ、新しい選択肢が生まれたんじゃないだろうか。

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喜怒哀楽と苦労体験の共有こそが、成長する企業のマネージメントスタイル #bdash

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本稿は、B Dash Camp 2014 Summer in Fukuokaの取材の一部。 「成長する企業のマネージメントスタイル」と題したセッションには、アドウェイズ代表取締役社長の岡村陽久氏、VOYAGE GROUP代表取締役CEOの宇佐美進典氏、モデレーターにクルーズ代表取締役社長の小渕宏二氏が登壇した。 事業は足し算ではなく掛け算 企業の成長には、誰が、いつ、どのように関わったか、というこ…

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本稿は、B Dash Camp 2014 Summer in Fukuokaの取材の一部。

「成長する企業のマネージメントスタイル」と題したセッションには、アドウェイズ代表取締役社長の岡村陽久氏、VOYAGE GROUP代表取締役CEOの宇佐美進典氏、モデレーターにクルーズ代表取締役社長の小渕宏二氏が登壇した。

事業は足し算ではなく掛け算

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企業の成長には、誰が、いつ、どのように関わったか、ということが挙げられる。2012年に、それまでサイバーの小会社であったVOYAGE GROUPをMBOで独立。その時に、それまで展開していた事業をマクロ的視点でメディア事業とアドテクに集約した。これによって事業を成長できたと宇佐美氏は語る。

「それまでは事業を立ち上げていく足し算の考えだったが、いくつも事業があるとどのKPIを押せばどうなるかがわからなくなる。MBO後の中長期計画を考えて、シンプルにし、絞った事業を掛け算の考え方で成長させていく。そこでメディアとアドテクが掛け合わされるようになった」

2006年に上場したアドウェイズは、2007年2008年に、100名近い社員の状態で70名の大量の新卒採用を行った。そんな折、リーマン・ショックとが相まって、大きな赤字経営に陥った。しかし、2009年からグリーの成長によってモバイルのアフィリエイト事業が成長し、SNSの広がりなど市場の成長によって事業を復活することができた。

「赤字によって退職者が発生した。それによって新卒の子たちが、大企業や大手クライアントを担当せざるを得ない状況となった。その状況を乗り切った社員たちが、今の執行役員になり、事業をまわしている。苦労をともにした人たちの重要性を感じる。事業が踊り場になった時や業績が厳しい季節を乗り越えた人たちは、持っている目線が同じになれる」

成功体験ではなく、苦労体験の共有こそ、信頼関係が構築される

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もともとメディア事業からスタートしたVOYAGE GROUP。メディア系は「草食系」が多いが、事業を作るためには「肉食系」な人がいないといけないと考え、新卒や中途採用に積極的に事業を作っていく組織づくりとしたと語る。

「肉食は肉食を呼んでくる。社内に肉食の系譜を作り、パイプラインをあることで、組織が強くなっていく。多様な組織を作るためには草食も肉食も両方いないといけない。互いの強みを活かす組織にしていくべきだ」

宇佐美氏、岡村氏ともに、「社員に任せている」と語るマネージメント方式。サイバー時代には一週間のほとんどをMTGに時間を費やしていた宇佐美氏だが、事業を絞り、各事業者の担当役員や事業責任者に一任し、一週間の4割程度は時間の確保をしている。

空いた時間で役員合宿における企業の中長期計画とそれに伴う経営課題を整理し、各事業の細かな部分にはタッチしないと語る。

「昔は何も口をださない形だったが、いまは任せるが「ここまでは期待してる」と目標や期待値を、短期ではなく長期の時間軸を定義する。なんでそれをやるのかという事業の本質さえ理解してもらえば、やり方はあとは一任。だけど、任せるけど、どうやるかだけでは聞かせてね、って言ってる」

岡村氏は、ほとんど任せすぎて一週間で暇な時間がありすぎる、と語る。しかし、その理由は新事業において詳細を聞かず、概略だけきいて「やろう!」と断言し、現場の意見や人選もボトムアップ型を尊重している。現場のやりたいことをやらせ、代表は緊急事態が起きた時や決断のスピードをできるだけ高めるために時間の余裕を確保しているという。

企業には、成長するとき、事業が経営難になるときという事業サイクルがある。紆余曲折の変化に対応できる筋力を作るためには、成功体験だけでなく苦労体験の共有と次世代育成によって、組織の信頼関係が構築できるからこそ、社員に一任でき、スピード感をもった事業を展開できると両氏は語る。

「喜怒哀楽と苦労体験の共有、企業のマネージメントだ」といった考えが共有された。

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「好きなことを仕事にする、そのためには愚直にやり続けること」:ベンチャー社長5人が、中学生に熱い思いを語る #bdash

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明日から始まるB Dash Camp 2014 Summer in Fukuoka。その前日、B-Dash Campのために集まった起業家たちが、中学3年生たちに対して起業家としての考え方や生き方について話す場が設けられた。 「福岡市中学生チャレンジマインド醸成事業」と題されたこの授業は、起業や新たな事業などのスタートアップに積極的に取り組む全国8自治体で構成する「スタートアップ都市推進協議会…

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明日から始まるB Dash Camp 2014 Summer in Fukuoka。その前日、B-Dash Campのために集まった起業家たちが、中学3年生たちに対して起業家としての考え方や生き方について話す場が設けられた。

「福岡市中学生チャレンジマインド醸成事業」と題されたこの授業は、起業や新たな事業などのスタートアップに積極的に取り組む全国8自治体で構成する「スタートアップ都市推進協議会」が主となり、未来に対して、チャレンジマインドをもった中学生を育成し「日本をチャレンジが評価される社会に変える」ために各自治体で実施する活動の一貫としてスタートした。今回は、福岡市内にある舞鶴中学校の3年たちに対して、起業家による特別授業が行われた。

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集まったのは、ミクシィ顧問の朝倉祐介氏、クルーズ代表取締役社長の小渕宏二氏、gumi代表取締役社長の國光宏尚氏、Gunosy代表取締役CEOの木村新司氏、ドリコム代表取締役社長の内藤裕紀氏の5名だ。

5名の起業家講師たちは、中学生たちが事前に起業家の過去の経歴などをリサーチし、質問したいことや聞いてみたいことをまとめ、それらを本人にぶつける場となった。起業家たちは、それぞれの中学校時代の思い出も交えながら、起業に至るまでの道のりや、起業家として必要な考え方などを熱く語った2時間となった。

中学生たちは、事前にそれぞれのグループで企業のサービスや起業家のインタビューや経歴などを調べた上で、質問をぶつけた。
中学生たちは、事前にそれぞれのグループで企業のサービスや起業家のインタビューや経歴などを調べた上で、質問をぶつけた。

授業では、朝倉氏と小渕氏によるグループ、木村氏、國光氏、内藤氏のグループという2つに別れ、それぞれ質問がなされた。それぞれのグループの授業の内容をレポートする。

社長のイメージ、会社を始めたきっかけ

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一般的に、会社の社長というと「黒塗りの車に乗っている」「印鑑をひたすら押している」といったイメージが持たれがちで、中学生たちもそうしたイメージを持っている人たちも少なくなかった。そうした状況は、会社組織がどのように動き、経営者がどのような意識や視点をもって日々を過ごしているのかが知られていないからでもある。そうしたイメージを払拭するようにそれぞれの起業家は、「日々、社内や外部の人と打ち合わせをしたり、会社の業績などの数字や、社員の普段の様子を24時間365日意識している」と話した。

「常に会社のことを100%考えている。だからこそ、休日はしっかりと休む。そうしないと身体がもたない。自分自身の健康管理を保つことが重要」(小渕氏)

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中学校卒業後、ジョッキーを目指すためのオーストラリアに渡った朝倉氏。その後、怪我などから競馬の道を断念せざるをえず、その後東大に入学し、マッキンゼーに入社。学生自体に立ち上げたネイキットテクノロジーCEOに就任し、同社をミクシィ売却後にミクシィ代表取締役に就任という異色の経歴を踏まえつつ、中学生たちに何かをやりきることの重要性について語った。

「やりきれば、後悔はない。プロの競馬の道は諦めざるをえなくなったが、自分のなかでやりきったから悔いはない。一番いけないのは、やらずに後悔したり、やったけど中途半端でやってしまったこと」(朝倉氏)

高校卒業後、ホテルマンを目指しホテルの専門学校に通った小渕氏。人に喜んでもらおうとホテル業界に入ったものの、IT業界という転身の理由は、正しいと思うことが実現できない世界をどうにかしたいと思ったからだという。

「それまで違った分野に移り変わったのは、ちょうどPCが普及しガラケーも浸透してきた頃これからインターネットを使ったビジネスがくる、と野生の勘が働いた。自分の肌感覚や、これだ!と思ったことを信じたほうがいい。チャンスは誰の目の前にもある。それに気づくか気づかないか。気づいたものを掴めるかどうか、掴んだものを離さずにおけるかどうかだ」(小渕氏)

常にチャレンジをし続け、人を巻き込んでいくことが大切

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もちろん、会社は順風満帆な時だけではない。売上が厳しい状況に陥ったミクシィは、それまでのSNS事業ではなく、ヒットゲームのモンスターストライクなどを軸に売上を成長させるなど、それまでとは違った事業展開を行うなど、大きな舵取りを行った朝倉氏は、会社も個人も、それまでと違ったことをやることの抵抗感をどうなくし、新しいチャレンジをしていくか、といったことを中学生たちに話した。

「今の状態から脱却するためには新しいことをやったりそれまでと違った環境に身を置くことが必要。そのために、組織の人たちとコミュニケーションすることが必要。中学生でも、部活などでも同級生たちと議論したり、新しいチャレンジを提案し、説得するのと一緒。新しいことがどのように重要かを考え、提案し、人を巻き込むことが社長の仕事」(朝倉氏)

小渕氏も、何かを提案するためには「目標、目的、理由」が必要だと語る。先生や両親、友達と何か一緒にやったり説明したりするときには、この3つを常に頭に老いておくことが大切だと語った。

「社長の人たちは、なぜみんなコミュニケーションがうまいのか」といった質問に対しても、木村氏は「時に社員を鼓舞したり、社外の人たちや仕事で関わるすべての人たちに説明や説得をして巻き込むことが必要で、必然とコミュニケーションが上手になっていく」と指摘する。

「自分と違う意見を持った人と友達になれることは大切。色んな意見を聞いたり、自分の意見を言ったりしながら会話をしていくことが重要で、ぜひ中学時代からいろんな人達と出会い、話をしてみよう」(木村氏)

何か一つのことを愚直にやり続けること

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会社を作るということは、自分の好きなことに没頭するためであり、社長という職業はやりたいことを仕事にしている職業だと語る國光氏。しかし、本当に自分が好きなことをやり続けていくには、やり続けていくための努力も必要だと中学生たちに語る。

「やり続けていくことを仕事にしていくためには、毎日やり続けることの大切さが求められる。部活であれば、部活を誰よりも真剣にやり続け、結果としてインターハイや全国大会に優勝するための努力をしていくようなもの。もし仮に優勝できなくても、自分なりに納得した努力ができたなら、その努力は無駄にはならない。他のことにも活きていく」(國光氏)

中学高校といった時代は、まずは目の前にあることにどれだけ没頭できるか、それか自分の興味をとことん追求し努力し続けること、そのどちらかしかない、と内藤氏も語る。「なにかをやり続けていくこと」こそが、生きていく上で最も大切なものだと指摘する。

自分自身で選びとること

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社長という立場は、「何かを意思決定することが仕事」とも語る朝倉氏。人のせいにすることなく、自分自身で何かを選び、その責任を背負うことが求められるからこそ、自分が真にやりたいこと、自分自身で掴み取ること、選ぶことの重要性を説いた。

「人生は自分自身だけのもの。だからこそ、悔いの残らないようにするためにも、前に進むなら選んでいってほしい。選んだものが、自分の道を作っていく」(朝倉氏)

「正解はひとつではない。いろんな可能性がある。その中で自分が選んだ道を信じれるかどうか」と信じることの重要性を語る國光氏。内藤氏も、「自分の頭で考え、それを実行していくことが大切。だからこそ、常に考えることをやめてはいけない」と考えることが重要だという。

「大学に行くこともすべてではない。なまじいい大学に行ったことで満足する人も周りに多かった。そうではなく、自分がなにをやりたいかを常に考え、ひたすら追求しつづけたら、自分なりの道ができてくる」(木村氏)

多様性をもつためにも、人と少し変わっているところを卑下することなく、人と違うところを互いに認め合ったり、高め合ったりしてほしいと語る朝倉氏。なんでも自分でやるのではなく、自分ができないことは人に頼ること、いろんな能力やスキルを持った人たちと友人になることで、新しいことができると内藤氏は指摘する。

「人生のほとんどは、ドラゴンボール、スラムダンク、ワンピースに詰まっている。それぞれに個性があって違った能力がある人たちと巻き込み、一緒に取り組むことで、それまでできなかったことや難しい挑戦もクリアできるようになる。いろんな考えや特技をもった友人を見つけて、付き合ってほしい」(國光氏)

起業家を通じて、人生のさまざまな可能性を知る

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90分近い質疑応答や中学生たちにアドバイスを語った起業家たち。後半の振り返りのシーンでは、高島福岡市長も参加し、起業家精神を持って新しいことにチャレンジしてほしい、と中学生たちにエールを送った。

今回の授業は、福岡市の創業特区の一環で、起業家をたくさん作ろうと福岡市が考えている一つの取り組み。人生は、いろんな道筋があるということを中学生たちに知ってもらいたい。いろんな可能性があること、そしてそれらを自分で選ぶことがこれからの時代に求められてくる」(高島福岡市長)

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授業では、一貫して5人の起業家たちも、20年ぶりな中学校の校舎で、二回りも年の違う世代の人達に対して、自身の中学時代の過ごし方や、高校、大学、社会人、経営者といった自身の思い出や経験を振り返りながら話をしてった。2時間の授業を通じて、社長や経営者という存在が、遠いものだったイメージから、より身近なものへと感じた中学生も多く見られた。

授業を通じて、女子中学生が「私、社長になって自分の好きなことを突き詰めたい!」といった内容も飛び出すなど、授業を通して未来に対しての目標を見据えた中学生がでてきたように思える。5年後10年後に、ここから新しい次の世代の起業家がでてくることを、大いに期待したい。

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中学生たちが持ち寄ったそれぞれの質問シート。過去、現在、未来といったそれぞれの軸から、さまざまな質問が飛び交った。

 

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