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クラウドワークス、Sansan、nanapi、クックパッド、スタートアップにおけるエンジニアの採用と評価とは

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ベンチャーヒューマンキャピタル事業を展開するスローガン株式会社がプロデュースし、アマゾン データサービス ジャパン株式会社との共催で「2020年のエンジニア像 ~ エンジニアがこの先生きのこるには? ~」が先週開催された。 スタートアップ向けにエンジニアの採用、育成、評価に関する事例共有やエンジニアの働き方に関するパネルディスカッションなどが行われた。 ゲストとして参加したのは、 株式会社クラウド…

ベンチャーヒューマンキャピタル事業を展開するスローガン株式会社がプロデュースし、アマゾン データサービス ジャパン株式会社との共催で「2020年のエンジニア像 ~ エンジニアがこの先生きのこるには? ~」が先週開催された。

スタートアップ向けにエンジニアの採用、育成、評価に関する事例共有やエンジニアの働き方に関するパネルディスカッションなどが行われた。

2020年のエンジニア像 ~ エンジニアがこの先生きのこるには? ~

ゲストとして参加したのは、

というメンバー。スタートアップ各社におけるエンジニアの採用についてや、評価制度についてのトークについて紹介する。

スタートアップにおけるエンジニアの採用と評価制度

クラウドワークス – フェーズごとの採用ポイント

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クラウドワークスの開発体制は、立ち上げ期、創業期、成長期と3つのフェーズに分けられる、と野村氏は説明する。

野村氏「立ち上げ期はほぼ自分一人。一番気をつけていたことは体調管理で、フリーランスの方の力を借りつつ開発していました。創業期ではエンジニアが2人入りました。ベテランで、かつ最近話題のフルスタックエンジニアという人達。創業期におけるCTOの役割で大切なことは採用圧力に負けないこと。

サービスインまでは順調に進みますが、一度リリースすると、ユーザサポートなどもあり、スピードは落ちます。そうすると人を増やそう採用へのプレッシャーがかかる。ですが、そこで採用することを優先して人材に妥協するのではなく、あくまで価値ある人材を採用することに重きを置いていました。」

創業期にエンジニアを採用する際に気をつけていたポイントを、「重要なのは事業にコミットできるかどうか」だと野村氏は語る。

野村氏「創業期においては、技術力が最優先の項目ではないんです。事業にコミットメントする力があるかどうか。それは、持続的に成長している会社の出身かどうか、スタートアップを経験しているか、自分のプロダクトを持っているか、など事業を伸ばすことがどういうことかを理解しているかどうかで判断します。」

成長期においては採用における考え方は変化する。

野村氏「成長期では技術力を重視します。CTOよりも優秀な人を採用する事。採用によってチームの力、技術力を向上させるつもりで採用を行います。これまでは速度重視で進めてきた開発のおかげで、パフォーマンス上の問題など負債が積み上がっている状態。これを解決できるチームにしていくことが求められます。」

人の採用には「お金」や「安定」、「人的リソース」など、様々なものが必要になる。だが、スタートアップは大手企業と比較し、この面が弱い。

野村氏「スタートアップには「夢」しかない。露出して夢を語っていく。そして賛同してくれる人を集める。これまではマスメディア、プレスリリース、イベント登壇や協賛、社内や業界での勉強会などを実施することで露出して、採用につなげてきました。現在では結果的にはうまくいっています。」

Sansan – 良いエンジニアを見極めるには

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Sansanの藤倉氏は、法人向けサービスの開発責任者。自分の部署の採用に責任をもっている。

藤倉氏「Sansanは、エンジニアの教育や評価といった部分にはあまり力をいれていないのが現状です。というのも、エンジニアの採用には絶対に妥協していないからです。採用をしっかりやっていれば、教育や評価に割くリソースを抑えることができます。

しっかりと任せられる人、背中を預けられるエンジニアを採用します。これはうちはまだまだ安泰というような規模の会社ではなく、さらに名刺関連のサービスということもあって個人情報を扱っています。何か障害が起きたり、事故が起こることは避けなくてはなりません。一緒に命をかけてサービスを開発できる人かどうか、そういったことを見ています。」

また、採用において技術力より実務能力を重視していると、と藤倉氏は語る。

藤倉氏「個人的には技術が評価されるのは、それがサービスなり事業なりを作り上げ、残すことができたときだと考えています。技術単体で見るだけでは評価はできず、なんのための技術なのか、それが重要です。そういった意味では、適切な技術を選択していくことが重要であり、実務能力が重要になると考えています。」

採用を加速させるために必要なことについては、

藤倉氏「まず、応募を加速させるためんはメディアに出て露出を増やすことが重要です。仕事でもやることは山ほどあるのですが、露出の機会があればそれを最優先しています。次にはダイレクトリクルーティング。勉強会に出て、様々なコミュニティに出ていると、出会ったタイミングでは転職の意思がなくても、転職したくなったときに思い出してもらってコンタクトをもらうこともあります。

あとは社員からの紹介。これを盲目的に信じるわけではありませんが、良い人に巡り合う可能性は高い。そして、大事なことがエンジニアの採用はエンジニアにしかできないということ。私は広報や人事だけで完結するエンジニア採用はありえないと考えています。とはいえ、人事や広報の協力は不可欠なので、うまく協力しながら活動していくこと。

nanapi – 変化し続けること

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nanapiは現在、ライフレシピ共有サイトの「nanapi」、モバイルQ&Aアプリ「アンサー」、海外向けメディア「IGNITION」の3つを運営している。エンジニアは11名。

和田氏「nanapiの教育制度は、「変化し続けるものが強い」という考え方に基いていいます。企業風土としては、業界も事業も変わりうる。会社自体、人材も変化し続けないといけない。新しい技術をキャッチアップ、学び続けることができる人を重視しています。

nanapiは事業が先にあってそこに人をアサインしていくのではなく、チームを作りそのチームでどんなサービスを生み出すのか、という順番でサービスを作っています。普段使っている技術だけでサービスを作っているとどうしても視野が狭くなってしまいます。そのため社としては幅を広げていくことを促しています。」

変化に強いチームにするために、nanapiがやっていることはどのようなことなのだろうか。

和田氏「具体的には1日1時間、業務内に時間を確保して、そこで新しいテクノロジーや今やっていないことをキャッチアップする時間を設けています。クオーターごとにチームで何か学ぶことを設定し、クオーターが終わるころには何か新しいことができるようになっている、そんな状態が生まれるようにしています。

社全体のレベルを上げたいと考えていて、最終的には社内からコードが書けない人間がいなくなるところを目指しています。これにはけっこう私がコミットしていまして、週に一回非エンジニア向けの人に講座を開いてプログラミングを教える、といったこともしています。」

こうした考え方、企業風土を持っているnanapiでは採用に対してこのように考えているという。

和田氏「採用は事業計画と密接に関係するもの。ですが、事業も採用も計画通りにはいかないものです。私たちは採用は結局「縁」と「運」だと考えています。そのため、採用活動は継続的に実施しなくてはいけないと考えていますし、良い人がいれば採用する、というスタンスです。

採用の基準に関しては、志望動機は重視していません。先ほどお話したようにうちはサービスが先にあるのではなくチームが先にあります。志望動機を重視すると現状のサービスへの想いが中心になる人が多い。これは私たちが既存サービスから新サービスへの転換をすることになった場合、よくありません。ですので、志望動機よりも変化に強いこと、ウェブやテクノロジーへの関心が高いことを見るようにしています。」

とはいえ、スタートアップには中々人は入ってきてくれない。

和田氏「なかなか良い条件が出せないスタートアップにとって大事なことは、如何にして口説くかということ。最初のメールのやりとりから採用活動は始まっているので、最近までそのメールのやりとりから自分でやっていました。応募してきてくれた人にとってもCTOからメールが来ると「おっ」と思ってもらえる。そのあたりは肩書を有効活用します。

あとは社員の紹介というのはやはり合う可能性が高いですし、あとは直接の応募も会社に合う人が多い。求人媒体なども使うのですが、コストもかかりますし、リソースも割くことになるので最初のうちは大変です。慣れないうちは人材要件がうまく伝えられないということもありますし。」

和田氏は最後に、nanapiの評価制度についてコメント。

和田氏「基本的にうちの会社ではサービスごとにチームを組んでいます。基本的にはプロジェクトに対してどれだけ貢献できたかが一番多くの割合を占めています。プロジェクトリーダーが査定を行い、役員がチェックして決議、という流れです。

オーソドックスですが、クオーター単位で目標設定をし、末にその確認をします。目標設定に関しては、役員やリーダーから「もっとこのあたりまで目標に入れようよ」などフィードバックをしながら目標を決めていきます。おそらくあまり人数が多くないから可能なやり方かな、と思っています。また、新しい技術へのキャッチアップも考慮には入れています。」

技術的なチャレンジが評価されるべきということもあるし、プロジェクトへの貢献性が評価されるべき、という考え方もある。和田氏は「いまだ最適解は見つかっていないが、今度試行錯誤しながらよりよいやり方を見つけていければ」とコメントしていた。

クックパッド

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現在、クックパッドの社員は150人ほど。エンジニアは60数名。今回、クックパッド CTOの舘野氏はクックパッドでのエンジニア評価制度について紹介した。

舘野氏「クックパッドのエンジニアの7、8割は事業部に所属して仕事をしています。すると、エンジニアを評価するための視点は2つになります。

  • 部室評価 – 部の目標にどれだけ貢献したか
  • 横断評価 – エンジニアとしての技術力評価

今回は、特に横断評価、エンジニアとしての技術力評価についてお話していきます。」

エンジニアを評価するために、クックパッドでは以下のような点を見ているという。

  • 「ユーザの問題発見、解決を主体的にできているか」
  • 「誰にも負けない分野で仕事ができているか」
  • 「シンプルな設計にできているか」
  • 「社内外の開発者全体に貢献できているか」

舘野氏「ユーザの抱ええいる課題を発見し、どうしたらそれを解決していくことができるのかを考えることが非常に重要です。これは直接サービスやプロダクトに関わっていないエンジニアにとっても重要なこと。

誰にも負けない分野で仕事ができているかというのは、自分の強みを持ち、業務へ適用できているかです。自分だからこそ実現できたであろう成果を、出せているか。これをひとつの指標として置いています。

シンプルな設計にできているか。これは技術への深い理解があるからスピードをもった開発が可能になり、知識がないと無駄が増え複雑になってしまいます。シンプルとは何かを考え、それを開発に活かすことができている人を評価するようにしています。

社内外のエンジニア全体に貢献できているか。事業部単位だけではなく、社全体や社会への貢献をどれくらい意識しコミットできているかを評価するようにしています。」

このような指標をおき、チームやチーム外のエンジニアからの評価の次にリーダーからの評価、その次にはCTOや技術の統括責任者が評価を行った後、各部室長に給与提案込みでフィードバックしているという。

舘野氏「評価制度は一度設定したら終わりというものではなく、見直しが必要です。さらに、評価制度を考える上では、会社自体がどういう組織であり続けたいかということが重要です。クックパッドの場合は、ユーザにとって価値があるサービスを提供し続けることが価値だと考えています。

なので、エンジニアにかぎらず、ユーザファーストを最優先としています。ユーザの課題解決のために、どれだけ技術をうまく活用することができるか。この部分を大事にしています。今クックパッドは「ユーザのために技術を役立てる会社」。そのため、今では採用時に「技術の会社ではない」と伝え、そこには齟齬がでないようにしています。」

スタートアップにとって、会社の規模もサービスの規模も変化の速度が早く、採用や評価についての制度を整えることに課題を抱えているのではないかと思う。今回伝えた内容が、少しでも参考になれば幸いだ。

クラウドワークスの年間流通額は20億円規模の見込み #IVS

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本稿は招待制のイベント「Infinity Ventures Summit 2014 Spring」の取材の一部である。 クラウドソーシングというビジネスが「新しい働き方」となって、生きる糧を得るための第三、第四の手段として定着して欲しい、私はそう考えてこのビジネスモデルをみている。THE BRIDGE自体、メンバーはみんなクラウド上だ。 だから、この話題を聞けたのは嬉しかった。クラウドワークスの年…

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本稿は招待制のイベント「Infinity Ventures Summit 2014 Spring」の取材の一部である。

クラウドソーシングというビジネスが「新しい働き方」となって、生きる糧を得るための第三、第四の手段として定着して欲しい、私はそう考えてこのビジネスモデルをみている。THE BRIDGE自体、メンバーはみんなクラウド上だ。

だから、この話題を聞けたのは嬉しかった。クラウドワークスの年間流通総額が(累計の依頼総額ではなく)20億円規模に到達するというのだ。2012年3月のサービス開始後、約2年での数字だ。

流通総額ベースで億単位の金額に乗りつつあることを近い関係者に聞いていたので、クラウドワークス代表取締役の吉田浩一郎氏にIVSの会場で聞いたところ、それを認めた上で「このままの伸びを保てば今年の年間流通総額は20億円規模になる」と教えてくれた。

クラウドソーシングを取り巻く環境については、前回のIVSでランサーズ代表取締役の秋好陽介氏にもその課題を聞いている。

<参考記事> 1万人がクラウドソーシングで”食える”世界に立ちはだかる「見えない壁」ーーランサーズ秋好氏に聞く #IVS

そこで今回は吉田氏に引き続き近況と、取り巻く課題について聞いた。(質問はすべて筆者)

多分、吉田さんやクラウドソーシング全体が目指す市場規模から考えたら本当に登山の一合目ぐらいだと思うのですが、それでも順調に伸びているというのはいい情報ですね。要因は?

吉田:大企業向けに一社一社カスタマイズ対応してニーズに合わせた結果、継続的な発注がいただけるようになった、という側面はあります。中には数千万円単位で利用してくださるクライアントの方もいらっしゃいます。

注文する企業数やクラウドソーシングに参加する方の数はどのような状況でしょうか?

吉田:企業数は3万社を超えたところです。働く方の数は16万人を超えました。仕事の依頼総額という点では2年で96億円に到達してそろそろ100億円がみえてきました。

クラウドソーシングという市場はどこまで伸びるのでしょうか。働き方そのものですから、なかなか掴みづらいですよね。

吉田:約15年前、電子商取引って本当に使われてなくほぼゼロの状態でした。でも今は15.9兆円規模に成長しているんです。日本の消費すべてを合わせると283兆円という数字がありますので、約6%ぐらいに相当します。

なるほど。

吉田:これを同じく労働市場に重ねて考えると、給与予想に192兆円という数字があるのですが、その6%、約11兆円という数字がみえてくるんです。これを私は労働のオンライン化と考えています。給与と消費に差があるのは年金などの分だと予想はしています。

つまり、商取引が電子化したのと同じように労働もオンライン化できる、という仮説ですね。

吉田:ただ、国内だけでは足りないので海外展開も考えていて、今、英語の勉強してます(笑。年内には目処つけますよ。

さすがです。吉田さんならなんでもできそうな気になるのが不思議ですよね(笑。でもやっぱりクラウドソーシングというか新しい働き方の浸透には壁があると思うんです。今、吉田さんが考える一番の苦しいポイントってなんですか

吉田:企業が個人に発注するのはやはりいろいろ特別な考え方が働くようです。法的な部分や各種調整をすることである一定の責任を負担すると使って頂けるというのが状況です。

また、個人の働き手の方にはプロの自覚というものがやはり必要で、それも壁になっている可能性はあります。だから、研修などに力を入れているんですがね。

私なんかは新しい働き方を実践する仲間をみているので、この方法をもっと自由に選択できればと思っているんですけどね。この壁を超えるポイントってどこにあると思います?

吉田:過去の働き方のシフトって「派遣」というのがあったと思うんです。実はこれ、25年前のことなんです。派遣っていう新しい働き方が定着するまでにそれぐらいの時間がかかる。私はこの事業は20年かけて取り組むべきものなんだと思っていますよ。

でも、一方でAirbnbやUberのように空いたリソースをマッチングさせるビジネスは急成長していますよね。クラウドソーシングも空いた時間とのマッチングです。一気に雪崩が起こる可能性はまだまだあります。

テクノロジーで解決できる壁というのはあるのでしょうか?私はクラウドソーシングがダンピングだという人は単にマッチングがうまくいってないだけだと思っているんですよね。

吉田:クラウドソーシングって、人によって見方が分かれるところがあって、ダンピングだっていう人と、新しい人に出会えたとか、面白いとかいう人とに分かれるんです。これって20世紀型の労働と21世紀型の労働の分岐点なのかなと。

というと

吉田:今、HuluもSpotifyも、Kindleだってそう。10ドルとかそういう金額でコンテンツが手に入る。けど、それって製造原価から考えるとどんどん安くなっていってるんですね。つまりマーケットサイドからのリクエストで価格が決まってる。

人件費がいくらだからそこから割り戻していくらです、という価格設定が難しくなっちゃってる。そういう時代だということはまず認識すべき事実だと思います。

まあ、それがダンピングだという話に繋がりがちなんですよね。予算これだからそれでやって、という。

吉田:その認識の上で最低価格のラインを決めることは大切です。ただ、そのために別の評価軸が必要だとも考えているんです。

今、クラウドワークスにはありがとうボタンというのを付けていて、受発注の関係性の中で単なる価格ではなく、お互いのお仕事を通じた共感が可視化できるようになってきました。例えばこのありがとう、という共感を多く得ている方の範囲で最低価格を決める、などを考えています。

新しい働き方の方法談議はどこまでも続けられそうですよね。でもそろそろお時間みたいなので、今日はこのあたりで。ありがとうございました。

「鬼のように実行する仕組みと風土を作る」ーー隠れたキーマンを調べるお・クラウドワークス成田氏インタビュー

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編集部注:「隠れたキーマンを調べるお」は、国内スタートアップ界隈を影で支える「知る人ぞ知る」人物をインタビューする不定期連載。毎回おひとりずつ、East Venturesフェローの大柴貴紀氏がみつけた「影の立役者」の素顔に迫ります。 昨今注目を浴びるクラウドソーシング。国内でも様々な企業がクラウドソーシングに参入しています。その中でもひときわ注目を浴びているのがクラウドワークス。代表の吉田浩一郎氏…

編集部注:「隠れたキーマンを調べるお」は、国内スタートアップ界隈を影で支える「知る人ぞ知る」人物をインタビューする不定期連載。毎回おひとりずつ、East Venturesフェローの大柴貴紀氏がみつけた「影の立役者」の素顔に迫ります。

日本最大級のクラウドソーシング「クラウドワークス」

昨今注目を浴びるクラウドソーシング。国内でも様々な企業がクラウドソーシングに参入しています。その中でもひときわ注目を浴びているのがクラウドワークス。代表の吉田浩一郎氏はドリコムの執行役員として上場を経験し、その後「インターネットを活用した時間と場所にこだわらない働き方」に着目しクラウドワークスを設立しました。

大型資金調達をおこなうなど急成長中の企業。そのクラウドワークスの中でキーマンとして活躍するのが執行役員の成田修造氏。今回はそんな成田氏にインタビューをしてきました。

起業挫折を経験し、インターンからの再出発

大柴:成田さんとは去年1月、サムライインキュベートのイベントでご挨拶して以来ですが、ソーシャル上などでご活躍は拝見しております。前回の記事をアップした後に「次誰にしようかな」と悩んでたのですが、何人かから「クラウドワークスの成田さんとかどう?」って言われて「確かに!」と。

成田:誰が言ってたんですか(笑) いや、ありがたいです。

大柴:成田さん、今おいくつなのですか?

成田:24歳ですね。クラウドワークスに関わってもうすぐ丸2年になります。

大柴:クラウドワークスのサービスがリリースされてから3月で丸2年なので、本当に初期から参画されているんですね。現在何名くらいいらっしゃるのですか?

成田:インターン含めて40名程です。

大柴:結構増えましたね!成田さんも最初はインターンだったのですか?

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成田:そうですね。2012年6月にインターンとしてクラウドワークスに参加し、その後8月くらいから本格的に働くようになって、11月に正式に社員になるとともに執行役員に就任しました。同じタイミングで佐々木(佐々木翔平氏)も取締役に正式に就任しました。

大柴:2012年11月はクラウドワークスの組織的な礎が固まった重要な時期だったんですね。ところで、どういうきっかけでクラウドワークスのインターンを始めることになったのですか?

成田:代表の吉田に声を掛けてもらったんです。2012年5月に食事に誘われて「インターンでもしてみない?」って誘われて。それで翌月から働くことに。

大柴:その前って起業されてましたよね?

成田:そうです。大学2年の時にアスタミューゼという会社で正社員として働いていて、営業やマーケティングなどを学びました。そしてアスタミューゼを辞めた後に友人とアトコレという会社を立ち上げたんです。ただ、アトコレでは代表としてVCからの出資も受けたりしたのですが、自分に足りない部分が多く離れることになりました。これは自分にとって大きな挫折でした。

大柴:なるほど。

成田:アトコレを離れて間もなく吉田から連絡もらいまして。吉田は元々演劇をやっていたりと芸術に興味がある人で、アトコレのこともずっと応援してくれていたんです。で、アトコレを離れたと知って連絡をくれたんです。吉田自身も20歳の頃に演劇の公演で失敗して挫折感を味わった経験があり、その時の自分にシンパシーを感じて連絡をくれたそうです。

大柴:なるほど。そういういきさつがあり、クラウドワークスにジョインすることになったのですね。でも再度起業しようと思わなかったのですか?

成田:そういう選択肢もあったし、誘いもあったのですが、当時上手くいける感覚がなくて。自分に足りてないものが多く、再度失敗するイメージしかなかった。それで起業ではなく、クラウドワークスに入り成長しようと思って選択しました。この約2年間どんな仕事も猛烈にやりました。他人に負けないくらい寝食忘れて働きましたし、数々の経験も積みました。でもまだまだです。もっと成長し、成功していかないといけないんです。

鬼のように実行する仕組みと風土を作る

大柴:急成長する組織の中で、現在自分自身で感じる課題は何ですか?

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成田:クラウドワークスを時価総額1,000億円超えの企業にしようと考えてるし、絶対にするとコミットしてるのですが、その時に自分がどのような仕事をしているべきなのかがまだ見えないんです。イメージできないというか。どういう風にチームをビルドアップしていけばいいのかのロジックがまだシャープになっていないんです。メガベンチャーと並ぶには何が必要か?それをいつも考えています。絶対にロジックはあるはずだけど、今はそれがわからない。そこが課題です。

大柴:目線が高いですよね。そして熱い!

成田:目線の高さは起業して社長業を経験したことが大きいと感じています。経営者の目線と現場の目線を併せ持っているのが強みかもしれません。

大柴:吉田さんはどんな人ですか?

成田:自分より15歳くらい上の年齢だけど、チャレンジを続けているのが凄いなぁと思ってます。自分たちの世代にもフラットに接してくれるし、やりやすい環境を作ってくれます。

大柴:吉田さんは、去年は特に各地で講演などで忙しかったように見受けられました。その間、サービスや社内のコミュニケーションなどを担っていたのが成田さん?

成田:そうですね。最近では採用も見るようになっています。

大柴:サービス、マーケティング、経営企画、採用など幅広いですね。そんな中、仕事において一番大切にしてることは何ですか?

成田:実行することですね。

大柴:実行?

成田:はい。吉田をはじめとしたメンバーの考えていることに優先順位をつけて片っ端から実行する。鬼のように実行する仕組みや風土を作る。そのためにまずは自分が鬼のように実行しないと周りがついてこない。率先垂範です。今のメンバーはもっともっとやれるはずだと思っていますし、やりきる風土を作っていかないといけないです。

大柴:率先垂範の考え方は僕も同じです。でもそんだけ広い領域を見ていたらキャパがいっぱいになりますよ(笑)

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成田:そうです。なので、どんどん引継いでいこうと思います。そのためのチーム作りをしています。元々吉田もチームプレイを重視し、周りにどんどん振っていく方なので、そういうのを見習っていきたいです。でも最近は広報や経営企画、CTOの大場(大場光一郎氏)など凄腕のメンバーも増えてきたので、それぞれにタスクが振り分けられるので助かっています。それまでは吉田の依頼の一次受けみたいな感じだったので。

大柴:凄腕のベテラン組と成田さんを筆頭にした若い世代が上手い具合に融合している良いチームですね。

成田:でも正直まだまだです。20代の強いメンバーを増やしていかないといけません。圧倒的に考えながら、圧倒的に量をこなしていくようなメンバーを自分以外にも作っていくのが使命ですね。

大柴:常々吉田さんは「組織を作ることを重要視してきた」と仰ってました。最近は「現場は全て任せている」とも仰ってます。成田さんのお話を伺っていると、確かに組織もできてきてるし、任せられる人材も育ってるなと感じます。

成田:ありがとうございます。もっともっと実行できるチームを作ります。今いるメンバーもこれから入ってくるメンバーも成長できるような組織にしたいですね。

大柴:採用で重視している点はどこですか?

成田:ウチに合っているか?ですね。ビジョン重視です。やっぱり、スキルだけではなくて、ミッションやスローガンに共感して120%コミットできる方に来ていただきたいと思っていますし、そういう組織文化を創っていきたいと思っています。

大柴:なるほど。一緒に突っ走るにはビジョンは重要ですもんね。今日はありがとうございました。成田さんの熱さが伝わってきました!

クラウドワークスがMITと共同研究を開始、「新しい働き方」の分析を進めるクラウドワークスリサーチを設立

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クラウドワークスが面白い取り組みを実施する。新しい働き方の研究だ。 クラウドワークスは2月18日、マサチューセッツ工科大学(以下、MIT)と連携し、クラウドソーシングに関する研究プロジェクト「クラウドワークスリサーチ」を設置、共同研究の開始を発表した。 共同研究の中心となるのがMIT博士課程の成田悠輔氏とクラウドワークスデータサイエンティストの塚本鋭氏。クラウドソーシングの利用動向などの分析を通じ…

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クラウドワークスが面白い取り組みを実施する。新しい働き方の研究だ。

クラウドワークスは2月18日、マサチューセッツ工科大学(以下、MIT)と連携し、クラウドソーシングに関する研究プロジェクト「クラウドワークスリサーチ」を設置、共同研究の開始を発表した。

共同研究の中心となるのがMIT博士課程の成田悠輔氏とクラウドワークスデータサイエンティストの塚本鋭氏。クラウドソーシングの利用動向などの分析を通じて、労働に関する新しい制度設計を目指した共同研究を実施する。

新しい働き方がどういったものかを明らかにする研究、といったところだろうか。

プロジェクトチームは2013年から基礎研究を開始しており、手数料変化による仕事量や質の変化、ユーザーアクティブなどの分析を進めてきたという。今後はこれらのデータを元に、新しい働き方の報酬や契約形態など、研究論文にまとめて発表していくそうだ。

これらの情報は新たに設置されるクラウドワークスリサーチのサイト上で公開されることになる。

クラウドワークス代表取締役の吉田浩一郎氏によれば、今後、システム手数料が無料化になった際に、仕事の受発注がどのように活性化したかというデータを収集。

それらデータを元に、新しい働き方のインフラ(プラットフォームだけでなく国の仕組みとしても)の税金や手数料が働き手の行動にどういう影響を与えることになるか、などを分析、発表していくことになるという。

それ以外にも、見知らぬ人同士でチームを組んだ際に発生するコミュニケーションなど、興味深いテーマが議論されることになる。

さて、今から結果が楽しみだ。

「フットボールアワー」トークライブも依頼にあった!クラウドワークスとよしもとが連携してクラウドソーシング「クリコン」を開始

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吉本芸人さんのトークライブのロゴとかチラシが仕事として作れるのって楽しそう。 日本各地で成人式が実施されている1月13日、クラウドワークスとよしもとクリエイティブ・エージェンシー(以下、”よしもと”と表記)の2社が連携し、クラウドソーシングサービス「クリコン」のβ版を公開すると発表した。クリコンはよしもと側から提供される各種クリエイティブワークの仕事を、クラウドソーシング形式で募集するプロジェクト…

クラウドソーシング【クリコン】クリエーターが集結!

吉本芸人さんのトークライブのロゴとかチラシが仕事として作れるのって楽しそう。

日本各地で成人式が実施されている1月13日、クラウドワークスとよしもとクリエイティブ・エージェンシー(以下、”よしもと”と表記)の2社が連携し、クラウドソーシングサービス「クリコン」のβ版を公開すると発表した。クリコンはよしもと側から提供される各種クリエイティブワークの仕事を、クラウドソーシング形式で募集するプロジェクトになる。

年間10,000回以上開催されるよしもとのお笑いライブのチラシやポスター制作、番組ロゴやウェブサイトなどをクリコンを通じて募集。クラウドワークスがベースとなるプラットフォームを通じて応募してきた新たなクリエイターの発掘を進めるとしている。具体的にはお笑いコンビ「フットボールアワー」の開催するトークライブのロゴ作成やその他のイベントのポスター作成などが並ぶ。

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クラウドソーシングという事業は単なる仕事の受発注プラットフォーム・システムの提供ではなく、「新しい働き方」という文化づくりと考えた方がしっくりくる。特に大きな壁は、企業側の意識や発注時に発生するさまざまな課題の解決だ。

よしもととの連携で注目したいのは、よしもと自体が仕事を提供している点だ。過去にもクラウドワークスはヤフーやベネッセ、シニア向けにテレビ東京などと連携を進めてきた経緯がある。しかし、それらは全て肝心の仕事はクラウドワークスが集めてきたものを提供していた。どちらかというと提携先にはメディア露出の協力を求めていたと考えるのが自然だろう。

今回は違う。企業側がこのプラットフォームを使って継続的に仕事を提供しているのだ。積極的に企業がクラウドソーシングを活用する事例としては珍しい。実際クラウドワークス代表取締役の吉田浩一郎氏も最初の事例になるとインタビューに答えてくれている。

2013年は大企業がクラウドソーシングを活用し始めた元年でしたが単発の発注が多かったのも事実です。しかし、(今回の提携では)大企業が継続的に仕事を発注する提携が実現した、という初の事例になるかと思います。また、(よしもと的には)新しいクリエーターの発掘プロジェクトにしていきたいという趣旨もあります。(吉田氏)

当然、よしもとからの受注とみることもできることから、売上に対するインパクトも大きい。吉田氏によれば初年度で3億円程度の発注を目指すと答えてくれている。

なかなか興味深いプロジェクトじゃないだろうか。個人や小さなチームの仕事となれば、制作事例のポートフォリオに芸能の仕事がひとつ入っているだけでプラスになる面も多い。連動したテレビ番組なんかも十分ありえるし、露出が増えれば新しい働き方を選択する人の増加にも繋がるのではないだろうか。

「新しい働き方」はバブルか未来かーー11億円を調達したクラウドワークス吉田氏に聞く(後半)

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大型の資金調達を発表したクラウドワークス。代表取締役の吉田浩一郎氏へのインタビュー後半では、日本でのクラウドソーシング成立に必要なポイントと、これまでに経営経験のある同氏に、急成長するスタートアップの「成長痛」について聞くことにしよう。 日本でオープンプラットフォームは通用するのか ーー日本で完全なC2C(もしくはB2C)というワークスタイルを確立するためには、いくつか乗り越えるべき壁があると感じ…

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大型の資金調達を発表したクラウドワークス。代表取締役の吉田浩一郎氏へのインタビュー後半では、日本でのクラウドソーシング成立に必要なポイントと、これまでに経営経験のある同氏に、急成長するスタートアップの「成長痛」について聞くことにしよう。

日本でオープンプラットフォームは通用するのか

ーー日本で完全なC2C(もしくはB2C)というワークスタイルを確立するためには、いくつか乗り越えるべき壁があると感じています。吉田さんが考えるポイントってどこにありますか。

「やはり個人が本当に独立した存在になれるかどうかじゃないでしょうか。そもそも10年ほど前に成立したクラウドソーシングという働き方は、個人が責任をもって「契約する」文化が背景にあります。発注者となる側も成熟が必要で、企業ってこれまであまり考えることなく発注ってできていたんですよ。

営業マンが訪問してきてその無駄を許容できる時代でもあったわけです。でもだんだんそのコスト感では(収支が)合わなくなりつつあるのが現実です。企業内でも担当者レベルではクラウドソーシングへの関心はあるんですよ」。

ーー企業がリソースの選択を間違えると淘汰の道が待っていると。今の話では発注者側の意識を変えなければ危機を乗り越えられないという視点でしたが、受注側はどういう意識の変化が必要ですか。

「会社と違って自己責任ということを意識しなければならないでしょうね。とりあえず請けておいたはいいけれど『できません』ではやはりダメです。記事作成でも最初は5000円のものから始めて、1万円、2万円とステップアップしてく方もいらっしゃいます。そうやって実績を積み上げた方は毎日見積り依頼が届いていますね」。

まあこのあたりが劇的にひっくり返ることは難しそうだ。一方で話からもわかるようにこのご時世、コストメリットから企業側も正社員、派遣、外注に次ぐ「第4のリソース」としてクラウドソーシングを活用する可能性は十分にある。ではどうやってこの文化を作るのか。私はキーとなる2つの質問を吉田氏に投げかけた。

「新しい働き方」は地方とシニアをどうみるか

ーー私はこの働き方が市民権を得るためには、今のIT関連の少し偏った仕事だけでなく、もう少し幅広い地域、年齢に受け入れられる必要があると考えています。吉田さんは岐阜県や福島県南相馬市と連携するなど、地方展開について積極的だったと思うのですがこのあたりはどのように動かされますか。

「行政との連携は引き続きですね。どちらかというと現地で受注できる方々にフォーカスしてます。家庭の事情などを抱えてそこでしか仕事ができない方が多く、例えばそれに関連してなんですが、クラウドワークスとして就業ができなくなった方に保険をだせるんじゃないかとか、セーフティーネットについても検討を進めています」。

シニア世代の新しい働き方「クラウドワーキング」|クラウドワークス

ーーもうひとつ、普段私たちは気付きにくいですが、そもそもネットに触ることができない人材もまだまだ多いです。例えば既に取り組みを始められているシニア層など。こういう人たちにをカバーすることも新しい働き方を文化として根付かせるためには必要と思うのですがいかがでしょうか。

「実はまだこれからの話なんですが、やはりスキルやニーズによって市場は分けるべきかなと考えてるんです。例えば壊れた看板の写真を撮ってきて欲しい、なんて依頼も実際にあるんですね。看板屋さんが依頼主で、そこに営業かけにいくんだとか(笑。もうこうなったらスキル不要の分野になります」。

ーーなるほど、それだったらデジカメ使える方であれば誰でもできますね。

「シニア層の方でもいろいろなパターンの方がいらっしゃって、データ入力だけの方もいますし、名刺のデザインをバリバリとこなす方もおられます。スマートフォンが主流になれば、インターネットに接続する層もさらに拡大しますし、マイクロタスク(データ入力などの軽作業)はさらに広がりをみせるのではないでしょうか」。

ーーそれでもネットに接続できない方というのはいます。例えば小作農じゃないですが、クラウドワークスを使える事業者がとりまとめ役になって、そういったシルバー人材などに仕事を依頼する、というようなスタイルもありえるのではないでしょうか。

「ああ、請けた仕事を分解して発注している方は実際にいらっしゃいますよ。考え方はオープンソースですから、様々な可能性が考えられるでしょうね」。

ここには詳しくはかけないが、インタビュー中、吉田氏と地方展開の難しさについていくつか言葉を交わすことができた。私も地方での仕事が長く、そこに村的な発想が根強いことを体験している。なかなか新参者を寄せ付けないのだ。

完全なプラットフォーム型のクラウドソーシングが日本に根付くには、受注側となる個人、特に地方やシニア層といった多く「埋蔵」されているリソースの覚醒がキーになると信じている。しかし吉田氏への取材で感じたのは、そういったことよりも先に、発注側となる企業利用や理解を促進させる必要があるのではないかという想いだった。

急成長するスタートアップ

インタビューの最後に少し視点を変えて、急成長するスタートアップとしてのクラウドワークスについて話を聞いた。

ーー吉田さんは既に事業者としていくつも経営などを経験されていますよね。3年ほどの運営で一番厳しかったタイミングってありましたか?

「いやあ、実は今なんですよね。サービス開始前にKPIの管理ツールを作り込んでその数字目指して一致団結してましたから一体感もありましたし、一点突破って実はそこまで難しくないんです。でも、KPIが2つ、3つと増えてくるとそうはいかない。緊張感はありますよ」。

ーーえ、吉田さんでも緊張するんですか。

「もちろん過去の経営経験からみえているものもありますし、どうしても同じ道を通るんだろうなという想いもあります。例えば先に入っている人と後から入ってくる人。意識の擦り合わせに時間をかけるのか、それとも前に進むのか」。

ーーそれでも吉田さんは経験豊富なリーダーとして引っ張る役割じゃないですか。メンバーにはどのような話をしてるんです?

「1年後の話をしてます。どういうことが起こるのか。大体、5年とか10年とかで会社なんてできるわけないんです。仲間に話をしているのは株主の論理じゃなく、とにかくユーザーのために働こうと。これまでの経験でもあるんですけど、結局ユーザーについていった会社が勝つんですよ」。

ーーチームはユーザーのために働いて、吉田さんは株主のために働くと。

「笑)」。

ーー今日はお時間ありがとうございました。

さて、いかがだっただろうか。当たり前だがこの話題はバブルなんかじゃない(と信じたい)。人員計画などを聞いても、数百人規模の開発陣を擁するゲーム開発会社などと比べれば小規模だ。それよりも率直に時間がかかるだろうなという印象が強かった。新しい働き方をつくるということは、新卒で大学を卒業する若者が、就職、独立と並んでこの働き方を選択肢にいれておかしくない文化をつくる、ということに他ならない。

今回は時間の関係もあって、ランサーズやその他のライバルとなるサービスについては時間を割くことができなかった。文化づくりには彼らと共同戦線が必要だし、業界で生き抜くためには彼らとの戦いに勝たなければならない。また時間があればそのあたりのことも聞いてみたいと思う。

「新しい働き方」はバブルか未来かーー11億円を調達したクラウドワークス吉田氏に聞く(前半)

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2011年11月創業のスタートアップが大型調達を実施した。 国内でクラウドソーシングを展開するクラウドワークスは12月2日、サイバーエージェント、DGインキュベーション、電通デジタル・ホールディングスの3社を割当先とする第三者割当増資を実施したことを発表した。 金額は総額で11億円、3社の金額割合などの詳細は非公開。また、これに伴い、サイバーエージェントとデジタルガレージの2社とは事業提携も発表し…

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2011年11月創業のスタートアップが大型調達を実施した。

国内でクラウドソーシングを展開するクラウドワークスは12月2日、サイバーエージェント、DGインキュベーション、電通デジタル・ホールディングスの3社を割当先とする第三者割当増資を実施したことを発表した。

金額は総額で11億円、3社の金額割合などの詳細は非公開。また、これに伴い、サイバーエージェントとデジタルガレージの2社とは事業提携も発表している。

クラウドワークスは2011年の12月にサイバーエージェント・ベンチャーズおよび個人を割当先とする第三者割当増資(金額は非公開)を実施、翌年の10月には伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、DGインキュベーション、サンエイトインベストメントをから総額3億円の資金調達を実施している。

リリースを眺めると2013年12月時点での累計発注社数は1万8000社、登録された仕事予算は50億円、新しい働き方を求めて登録する会員は8万人となっている。

サービス開始からわずか1年半で14億円超を調達した「新しい働き方」は私たちの人生を変えてくれる「未来」なのか、それとも単なる「バブル」の産物なのか。

本インタビューでは、新しい働き方に対する疑問と可能性、そしてスタートアップの急成長と重圧の現実についてクラウドワークス代表取締役の吉田浩一郎氏に話を聞く。

私はまず今回の資金調達に関する話題から話を始めた。

大型調達の使い道

ーー11億円の調達は大型ですが、さすがにゲーム会社と違って開発者を大量に採用してというのとも違いますし、営業で攻めるクーポンのようなモデルとも違います。どういう意図でここまで大型にしたのですか?

「まず、(そもそもクラウドソーシングを使って)企業が個人に発注する文化というものがまだ日本には根付いてません。つまり時間がかかるというのが背景にあります。当然、(競合などがいるなかで)シェアを取りにいくというのは自然な流れになります。人材確保も必要ですし、マーケティングも積極的にする必要があります」。

ーーなるほど。ちなみに追いかけているメインの数字は?

「当初は仕事の件数でしたね。最近ではマッチング率をみていて、一件一件の満足度を上げるようにしています」。

ーーシェアであれば、なんだか仕事の件数と予算額をゴリゴリ取りにいくようなイメージありましたが、働き手の満足度を重要視していると。

「リクルートって21世紀における最大級の人材開発会社で、履歴書を一番沢山所有しているわけじゃないですか。私たちはそのオンライン版と思って頂ければ結構です。働いている人たちの情報をデータベース化する」。

ーー働く人のデータを持つことでどのような未来が描けるんですか。

「例えばワーカー方々のマトリックスを作るわけです。ある人はエクセル作業で2万円、でも方や10万円貰っている人がいる。情報をみるとマクロが使えるかどうかでその差が生まれていることが分かる。じゃあ教育をしようとかそういうことが可能になります。また、そういう働き手のリソースがどういう状況かを知ることで、何かアプリ作りたいと考えた企業が的確に発注をすることができます」。

個人というリソースが仮想的に蓄積されるプラットフォーム。人々のスキルが可視化され、適切な仕事とマッチングされる。不足するスキルは教育で補充する。ワーカーの管理を技術で効率化する世界観は理解できる。そしてこのあたりは資金がかかる箇所でもある。もう少しこのあたりを聞いてみよう。

日本最大級のクラウドソーシング「クラウドワークス」

ーーなるほど。働き手のデータベースを拡大させて、国内のリソースを把握することができれば社会の公器としての存在意義が出てきます。クラウドソーシングには各職種に対して工程管理などのシステムが必要で、その対応に開発リソースを投入するというお考えですか?

「業務管理のシステムは個別に開発していく予定です。ただ、自社だけでなくAPIを出して外部の方々との連携も模索するつもりです。先日発表したKDDIウェブコミュニケーションズとの連携もそのひとつですね。オープンソース的な発展を狙っているのは当初の通りです」。

ーーちなみにどの程度の人員規模にされる予定ですか。

「現在(アルバイト等含め)20名から30名ほどですが、これを50名体制にもっていく予定です。ただ、人は厳選して採用するつもりです。現在も役員4名が全員OKしないと採用しないようにしてませんし、成長期を経験した先輩方々から採用の敷居を下げることで修正に苦しんだ例を沢山聞いているので、そこは注意しています」。

個人が独立する時代

クラウドソーシングを取り巻く環境は、概念が生まれた北米と日本では少し違う。私の同僚(カナダ出身)もたまにODeskを使うのだが、彼らにとってクラウドソーシングはあくまでコンタクトフォームだ。ワーカーと便利に連絡が取れて自由に発注ができる。トラブルも同時にやってくるが慣れたものだ。

一方日本ではやはりまだまだ内職のような「安かろう」イメージが強いだろう。さらにプラットフォーム側への依存度、期待度も高い。受注からワーカーの管理まで一元的に実施するMUGENUPのようなスタイルの方が受け入れられやすく、翻訳のクラウドソーシング「Conyac」も最近は営業を強化してビジネス向けの事業に力を入れていることからもその傾向は感じられる。

ユーザー同士が取引を実施する完全なるオープンプラットフォームのスタイルはどこまで日本で受け入れられるのか。後半では大型資金を必要とする「時間のかかる文化づくり」について、引き続き吉田氏に話を聞く。(後半へつづく

クラウドワークスとテレビ東京が提携、シニア特化型クラウドソーシング事業を共同で開始へ

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高齢化するシニア世代に新しい働き方の選択肢が拡大しそうだ。 クラウドワークスとテレビ東京の両社は10月31日、業務提携してシニア特化型のクラウドソーシングサービスを開始すると発表した。サービスの開始時期は11月4日からで、特設のプラットフォーム「クラウドワーキング」が用意される。 またこれに伴い、シニアユーザーが仕事を獲得する上で、必要最低限のITスキルを学習するeラーニングやスキル認定、11月4…

シニア世代の新しい働き方「クラウドワーキング」|クラウドワークス

高齢化するシニア世代に新しい働き方の選択肢が拡大しそうだ。

クラウドワークスとテレビ東京の両社は10月31日、業務提携してシニア特化型のクラウドソーシングサービスを開始すると発表した。サービスの開始時期は11月4日からで、特設のプラットフォーム「クラウドワーキング」が用意される。

またこれに伴い、シニアユーザーが仕事を獲得する上で、必要最低限のITスキルを学習するeラーニングやスキル認定、11月4日に限ってテレビ東京にて番組の放送を実施する。

テレビ東京との提携内容についてクラウドワークス代表取締役の吉田浩一郎氏に尋ねたところ、テレビ東京とは収益分配も実施する共同事業として推進するそうだ。主にシニアワーカーの集客をテレビ東京側、シニアへの仕事紹介をクラウドワークスが実施する形となる。

クラウドワークスでは過去にもこのようなリリースで、シニアユーザーの利用動向を発表するなど、高齢化社会における新しい働き方の模索を続けていた。現在、クラウドワークスには5,000名のシニアユーザー(50歳以上のユーザー)が登録しており、同社ではこの市場の拡大を期待している。

クラウドワークスがKDDIウェブコミュニケーションズと業務提携ーー新サービス「corabbit」と連携

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一般企業とスタートアップの連携、買収は理にかなっていると思えることが多い。昨日のカンファレンスのこの記事ではないが、スタートアップと大企業のマッチングが上手くいけばお互いが足りない箇所をスピーディーに補完できる。 買収のように大きなものはなかなか骨が折れるが、小さなサービス単位だとやりやすかったりする。今日発表された提携もそんなもののひとつと言えるだろう。 10月9日、クラウドワークスはKDDIの…

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左:クラウドワークス代表取締役の吉田浩一郎氏、右:KDDIウェブコミュニケーションズ取締役副社長の高畑哲平氏

一般企業とスタートアップの連携、買収は理にかなっていると思えることが多い。昨日のカンファレンスのこの記事ではないが、スタートアップと大企業のマッチングが上手くいけばお互いが足りない箇所をスピーディーに補完できる。

買収のように大きなものはなかなか骨が折れるが、小さなサービス単位だとやりやすかったりする。今日発表された提携もそんなもののひとつと言えるだろう。

10月9日、クラウドワークスはKDDIのグループ会社で、ホスティングを中心に展開するKDDIウェブコミュニケーションズ(以下、KWC)と業務提携すると発表した。

同日にKWCが発表したクラウドストレージサービス「corabbit」に関するもので、クラウドワークスのユーザーはcorabbitの利用料優待を始め、今後のID連携やその他のシステム連携を進めるとしている。

KWCはウェブクリエイトサービス「Jimdo」やクラウド電話API「Twilio」(※)などを通じてスタートアップ、スモールビジネスとの連携をこれまでも推進してきた。小さな事業者、これからスタートアップするプレーヤーに「近い」存在でもある。

現在、KWCではこのcorabbitほか、新サービスの発表会を実施しているので、詳細を後ほど追記する。

【2時45分追記】

corabbitはDropBoxやBOXといったスモールビジネス向けのクラウドオンラインストレージサービス。

「社内で一つのファイルを上長確認やクライアント確認したりする時に電話などのアナログな方法や、Gmailを使って添付してCCに入れて送ったりしていた。しかも全員がバラバラに返す。結果的にミーティングやろうと時間を取られる」(高畑氏)。

corabbitはこういった複数人のファイル共有問題を解決することに特化したサービスになっているのが特徴だ。つまり、クラウドソーシングのようなバラバラのチームプレイに適したサービスとなっている。

具体的には4つの機能でこの課題を解決しようとしている。

エリアコメント機能

コラボレーションを簡単に___corabbit 2

画像に対してエリアを指定してコメントを付けられる機能。画像添付して内線で電話かけてここを直してくれと伝えるというフラストレーションから解放される。

ファイルプレビュー機能

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PSDとAIといった特定アプリケーションのファイルを閲覧するためだけに高価なソフトを購入することは難しい。そこでcorabbitではアップロードした段階で特定ファイルを画像変換して非クリエイターも閲覧出来るようになっている。

履歴管理

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いろんな修正に対してバージョンファイルが多すぎる問題を解決する。クラウド上にすべての履歴ファイル管理することで、ローカルに置いておくファイルの数を一つに減らせる。

デスクトップアプリ

MacOS、Windowsのローカルアプリおよびウェブアプリが用意されており、様々な環境下での共有作業を可能にしている。

提供プランは二つ

料金プランはProとTeamのふたつで開始される。

作成したプロジェクトにクライアントを招待して共有できるPROプランは、フリーミアムモデルで展開される。

1プロジェクトあたりにシェアできる人数で料金が違い、5人で月額990円、最大で30人まで招待できるプランが月額4980円となる。

TEAMというプランは一社の中にいくつかのプロジェクトが入っているプランで、こちらもフリーミアムで展開される。

10人利用が月額1990円、50人まで利用可能なプランが月額9900円となっている。

正式版公開にあたってクラウドワークスとの業務提携の他、同じくクラウドソーシングを展開するランサーズ、コラボレーションツールを提供するチャットワークスとの業務提携が発表された。それぞれのサービスとの連携が予定されている。


※情報開示:本誌では現在Twilioに関してKDDIウェブコミュニケーションズと協力して記事企画を展開中だ。

スタートアップがクラウドソーシングを活用する3つのメリットーークラウドワークスとサムライインキュベートが提携

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スタートアップにとってのチームづくりには二つの側面があるように思う。ひとつは経営陣だ。サービスや事業の中心に位置するメンバーは雑用から経営までそれこそ何でもやらなければならない。もうひとつはそれをサポートするメンバーだ。資金に乏しく、サービスや事業のドメインが不安定な状況下では正社員のような固定メンバーを採用することはなかなか難しい。 この課題に取り組んだのが今回の提携になるかもしれない。クラウド…

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スタートアップにとってのチームづくりには二つの側面があるように思う。ひとつは経営陣だ。サービスや事業の中心に位置するメンバーは雑用から経営までそれこそ何でもやらなければならない。もうひとつはそれをサポートするメンバーだ。資金に乏しく、サービスや事業のドメインが不安定な状況下では正社員のような固定メンバーを採用することはなかなか難しい。

この課題に取り組んだのが今回の提携になるかもしれない。クラウドソーシングサイトを運営するクラウドワークスは8月8日、インキュベーション事業のサムライインキュベートと提携し、「サムライクラウドソーシング」を開始する。

これはサムライが運営するコワーキングスペースに入居するスタートアップを対象に、クラウドソーシング活用のコンサルティングや特別割引などを実施するもの。

実はスタートアップとクラウドソーシングというのは相性がよい。これまでに何度かご紹介しているが、私たちSD Japanも翻訳記事を配信するにあたり翻訳に特化したクラウドソーシング「Conyac」を使い続けてきた。そこでスタートアップがクラウドソーシングを活用するメリットについて私の体験も含めて三つ程ご紹介したい。

1:柔軟性のあるリソース

クラウドソーシングでメリットの第一に挙げられがちなのが「コストの安さ」だ。確かにその側面もあるが、なんでもかんでも安いわけではない。例えば私たちの記事翻訳作業では、文字換算すると固定の人員に来てもらった方が安くなる。

実はそれよりも大きいのはリソースとなる人員の柔軟性だ。もしサービスがうまく回らず、方向転換をしたいと思ったらそこで利用を停止すればいいし、少ない固定人員では欠員などの穴埋めが結構な問題になる。クラウドソーシングの場合はある程度の補完(完璧ではないが)がサービス内で効くようになっている。

2:ワークフローの可能性

インターネットとサービスの発展で、場所に縛られた働き方というのはどんどん変化していくことが予想される。確かに毎朝顔を合わせ、言葉を交わすことの重要性は変わらない。一方で、遠方に離れたリソースを有効に活用することはこれからの企業にとって検討すべきポイントになると思う。

そういう意味で、遠方のメンバーとどういうワークフローを組むのか、納品物ベースなのか、勤務形式なのか、契約はどうするのか、こういったワークフローに関する経験をクラウドソーシングというプラットフォームで疑似体験できることは大きなメリットになる。

3:受託事業に相性のよいクラウドソーシング

スタートアップにとって受託事業を実施するかは非常に悩ましいことだと思う。サービスや事業内容によっては全てが全てエクイティでの調達でカバーできるとは限らないし、受託事業から広がる事業の可能性もよく耳にする。問題はその際のリソースだ。

受託開発のみに人員を増強するわけにいかないし、中心となるメンバーがこれに携わりすぎるとスタートアップした意味を疑ってしまう。1にも関連するかもしれないが、こういう場合にこそクラウドソーシングを活用するのはよい選択肢になる。

ーーさて、いかがだっただろうか。今回のクラウドワークスとサムライインキュベートの提携は内容ももちろんだが、新しいサービスや事業を作ろうとしているスタートアップに、新しい働き方という手法を掛け合わせようという意味で大変興味深いと感じている。