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フィリピンの学生に、大学や高等教育へのアクセスを提供するEdTechスタートアップEdukasyon

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フィリピンでは、大学を調べて入学を申請するのに数週間、さらには数ヶ月もかかることがある。学生は、更新されていないことも多いウェブサイトを何度も行き来し、それぞれの専攻情報を自分で収集しなくてはならない。

学生が学校に対する興味をすでに失っているフィリピンのような国では特に、こうした厄介な手続きの問題を解決することが課題となっている。

Edukasyon.ph 創業者 Henry Motte-Munoz 氏
Photo credit: Edukasyon

アメリカとロンドンで教育を受けたフランス系フィリピン人の Henry Motte-Munoz 氏は、こうした非効率な手続きがあるのを知って驚いた。同氏は次のように話す。

未来をどのように作るのかが分からない。そうなるのは選択肢を知らないから、またはただ親の言うことを聞いているからです。利用できる情報もほとんどありません。

ハーバードビジネススクール卒の Motte-Munoz 氏がオンラインプラットフォーム Edukasyon.ph を始めたのは、そうした理由からだ。この EdTech スタートアップは、国内外の学校、専攻、奨学金プログラムをリスト化しているほか、学生がパートナー校に入学申請できるようにしている。

ウェブサイトに掲載しているのは、1万3,000件を超える学校と4,000件の奨学金プログラムだ。

Edukasyon は今年1月、フィリピンを対象とし、中国を拠点とする Gobi Partners(戈壁創投)とマニラの Core Capital が組成したベンチャーファンド Gobi-Core からプレシリーズ A ラウンドの資金を調達した。以前には、ヨーロッパの投資企業 Mustard Seed、French Partners、KSR Ventures からも出資を受けた。

Edukasyon の概要

Edukasyon

Edukasyon のサービスは無料で、14~24歳のジェネレーションZ(Z 世代)を対象としている。

学生からの質問や申請をウェブサイトで受け付ける業務に対するサブスクリプション手数料をパートナーの学校や大学から徴収することで、同社はマネタイズしている。この手数料には、マーケティング用動画や Edukasyon チームが制作した特集ブログ・ソーシャルメディアの投稿も含まれる。以上が収入の中心であるが、同社は企業とのパートナー協定やイベントからも収益をあげている。

Edukasyon は2015年の設立以降、500を超える教育機関と提携してきた。これには、フィリピンでトップクラスの大学であるアテネオ・デ・マニラ大学デ・ラ・サール大学のほか、ヘルシンキ大学など国外の大学も含まれる。

具体的な数字に関する言及はないものの、同社によると2017年以降で年間収入は3倍増になった。登録ユーザは25万人、同社サイトには毎月150万のユニークビジターがいるという。

4月に長年の競合だった Find University を買収して以降、国内にライバルはいない。Eskwelahan といった競合はいるものの、Motte-Munoz 氏によると、これらの企業は「トラクションがずっと少ない」という。

アクセスの比較 Edukasyon と、フィリピンの学校一覧ウェブサイト Eskwelahan
Image credit: SimilarWeb

しかし Edukasyon のアイデアは、とりわけ欧米諸国では目新しいものではない。イギリスを拠点とする UCAS やノルウェーの Keystone Academic Solutions などは、Edukasyon と同様の方法を採用している。

学校ディレクトリを作る作業も特段難しいわけでもなく、挑戦者は容易に参入できそうだ。Motte-Munoz 氏によると、同社がライバルの参入を防げているのは、フィリピンにおける Edukasyon のブランド力が高いからだという。

当社はすでに、かなり大きなコミュニティを作りました。トラフィックはすべて有機的です。

また、Motte-Munoz 氏は別の強みとしてデータを挙げた。同氏は次のように明確に述べる。

私たちは、学生のサイトでの行動を知っています。消費するコンテンツ、関心のある教育、投げかける質問を把握しています。この種の横断的な知見は複製できません。

そして、このデータは製品開発に役立ち、より正確なレコメンデーションやパーソナライズ化されたコンテンツを提供できるようになる。

全体的な問題に取り組む

Edukasyon チームが取り組んでいる問題が複雑であることは、早くから認識されていた。

Motte-Munoz 氏は次のように話す。

学生に学校を紹介するだけでは不十分だと分かっていました。キャリア形成の観点から学生に専攻してもらい、人生の目標をどこに置くかということを理解してもらわなくてはいけません。

全体的な観点から問題に取り組むため、Edukasyon はブログにコンテンツを量産することにした。生活のアドバイス、専攻のレビュー、キャリア上のスポットライトなどが中心となった。また、企業や政府機関とも協力して、地元の学校フェアやインターンシップ採用のイベントといった取り組みを共同で企画した。

しかしこれでも十分ではないと Motte-Munoz 氏は言う。Edukasyon は昨年、同氏が言う「最終進化」を開始した。本当の意味で学生を助けるため、「就職して成功を収めるには、ソフトスキルを教えなくてはいけない」という。

仕事が何であれ、クリティカルシンキング、コミュニケーション、チームワークといったスキルこそ重要である。現実との格差を埋めるために Edukasyon が企業と提携しているのはそのためだ。例えば、ハードウェアメーカー Asus や生命保険会社 FWD フィリピンと提携し、それぞれデジタルスキルと金融リテラシーを学生に教えている。

だが、Motte-Munoz 氏が即答しているように、この教育コンセプトはまだ初期段階にすぎない。

初めての分野のため、まだ終了していません。

成長痛

他のスタートアップと同じように、Edukasyon もスケールするのと同時に新たな課題に直面している。

Motte-Munoz 氏によると、最大の課題はプラットフォームとしての一体感である。

マニラ中心部の高校生向けサイトであった頃は、まとまりを確保するのは容易でした。しかし1,000万人を超える学生と500の教育機関を抱えるマーケットプレイスになると、ウェブサイトにある社是だけに頼ることはできません。

ブランディングに対し、さらなる思想を込めないといけないという。このプラットフォームは自分たちに何をしてくれるか、学生たちは直感的に理解する。同社はこうしたところにも取り組んでいると同 CEO は話す。

多くのユーザは、サイトにあるいくつかのセクションを利用しているだけで、サイトが彼らに提供できることの全てを完全に理解しているわけではありません。

他に大きな課題としては、とりわけコンテンツに関して Edukasyon の発言内容とトーンのバランスをとることだ。

学生に対して、人生を選択する手助けをしていますが、実はきわめて恐ろしい話です。18歳の子に対して、「未来は全て自分の手で作ることができるよ」と言うのは、とても深刻すぎます。コンテンツを軽くし過ぎると、学生は間違った決定をするかもしれません。真面目過ぎる内容だと、つまらないと感じてしまいます。

同社チームは、この問題を克服するために、学生のニーズ把握を目的として対話する時間を設けている。Edukasyon には、学生の動機や関心について話し合うことを専業にしている正社員がいると、Motte-Munoz 氏は話す。

これほどの取り組みをしていても、同社はフィリピンで教育成果が上がらない最大の原因に対処しているわけではない。それは貧困の問題だ。

Motte-Munoz 氏によると、高校と大学を卒業して就職できる子どもは、全体の10%しかいないという。

フィリピン統計局が2017年に実施した調査でも同様の悲惨な結果がみられ、10人に1人の割合でフィリピンの子どもは学校に行っていない。これは380万人超に相当する。

この問題に直接関係するプロジェクトは同社に設けられていないが、Project Layag という奨学金制度に注力すると表明しており、財団のほか企業、政府機関といった複数の資金源が提供する既存の機会を掲載している。

Edukasyon は今後、とりわけパートナー校を増やすなど、事業規模の拡大を目指している。

Motte-Munoz 氏は次のように締めくくった。

当社に関して言えば、仕事はまだ終了していません。確かに、教育パートナーが500校といえば素晴らしい話に思われるかもしれませんが、フィリピンには全国で1万6,000の学校があります。割合で言えば、3%にすぎません。

さらに、年内に追加的な資金調達を目指すとも述べた。だが、新たな資金を使った同社チームの取り組み内容や長期的な計画については明らかにされなかった。

【via Tech in Asia】 @techinasia

【原文】

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